ザ・グレイトバトル -ロストヒーローズ-

第11章

 

 

 恨みと力を増していくヤプールに、豪獣ゴーカイオーは決め手を欠いていた。

「アイツ、どこまでもしぶとくてしつこいヤツだ・・!」

「ウルトラ戦士に倒され続けた恨みで、私は力を増している!ウルトラ戦士だけでなく、仮面ライダー、ガンダム、そしてお前たちスーパー戦隊でも止められんぞ!」

 毒づくマーベラスを、ヤプールがあざ笑ってくる。

「お前、みんなを甘く見ているぞ・・!」

「どの方々も、地球や宇宙、大切なものを守り続けてきたのです・・あなたがどれだけ力や恨みを増やしても、みなさんのその思いを壊すことはできません!」

 ジョーとアイムが声を振り絞ってヤプールに言い放つ。

「スーパー戦隊だけじゃない!仮面ライダーもウルトラマンもガンダムも、長い歴史と強い力と思いを持ってるんだ!」

「そんなあたしらやみんなをどうにかできるなんて、考えるだけでも馬鹿げてるよ!」

「てめぇみたいに、何度もしつこくよみがえって出てきても・・!」

 ドン、ルカ、鎧も続けて言い放つ。

「力に限りぶっ潰す!」

 マーベラスたちが声をそろえて、豪獣ゴーカイオーがヤプールに反撃を仕掛ける。

「フン!お前たちの身の程を、力の差とともに分からせてやるぞ!」

 ヤプールが鎌状の右手から、豪獣ゴーカイオーに向けて光線を放ってきた。そのとき、別から光線が飛んできて、ヤプールの光線とぶつかって相殺した。

「何っ!?

「この宇宙でも絶望をまき散らそうとしているのか、ヤプール!」

 声を上げるヤプールに、新たに駆けつけたウルトラマンが呼びかけてきた。数々の光線を使うことから「光線技のエース」の異名を持つウルトラマンエースである。

 エースは数々の超獣と戦ってきた。超獣を送り込むヤプールは、彼にとって宿敵だった。

「貴様も来ていたか、ウルトラマンエース!だが貴様に敗れたときの私とは違う!」

「お前がどう強くなろうが、何を企もうが、オレはお前には負けない!人間の優しさと心の強さは、お前に負けたりはしない!」

 高らかに言い放つヤプールにエースが言い放つ。

「あ、あれは、ウルトラマンエース!」

「またウルトラマンが現れたか・・」

 鎧が感動の声を上げて、ジョーが呟く。

「お前たちにも、ヤプールのような邪悪な存在に負けない強さと優しさがある。それを決して忘れるな・・!」

「オレたちは海賊だからな。優しさがあるかどうかは分かんねぇが・・」

 エースが投げかける言葉を聞いて、マーベラスが笑みを浮かべる。

「どんなヤツが相手でも、負けるつもりは全くない・・!」

「私たちもみなさんも、あなたの企みに屈したりはしません!」

 ジョーとアイムが言い放って、豪獣ゴーカイオーがヤプールに向かって突撃する。

「エースも貴様らも地獄に落ちるがいい!」

 ヤプールが再び光線を放つが、豪獣ゴーカイオーは素早く光線をかわす。

「ゴーカイ電撃ドリルスピン!」

 豪獣ゴーカイオーが突撃して、ヤプールの体を切りつける。

「おのれ・・こんなもので、私の恨みが途切れることなど・・!」

「ウルトラギロチン!」

 うめくヤプールに向けて、エースが光輪「ウルトラギロチン」を放つ。ウルトラギロチンは複数に分裂して、ヤプールを切りつけてダメージを与えた。

 続けてエースは光線「メタリウム光線」を放つ。ヤプールが光線を当てられて追い詰められていく。

「今だ!とどめだ!」

 エースが呼びかけて、マーベラスたちが頷いた。

「レンジャーキー、セット!」

 彼らが操縦桿である舵の中央に、レンジャーキーを差し込んで回す。豪獣ゴーカイオーにエネルギーが集まっていく。

「ゴーカイレックスドリル!」

 豪獣ゴーカイオーが右腕のドリルと左腕のアゴを振りかざして、ヤプールを攻め立てる。

「ここで私を倒しても、私は何度でもよみがえる!怨念となって、恨みを増して、何度でもお前たちを葬りに来るぞ!」

 絶叫を上げるヤプールが体から火花を散らしながら突き飛ばされる。彼は虚空の彼方で爆発して消えていった。

「やったー!勝ったよー!」

「おっしゃー!ヤプールをやっつけたッスよー!」

 ドンと鎧が勝利を喜ぶ。マーベラス、ジョー、アイムがエースに目を向ける。

「君たちの多くは地球人ではないが、地球を愛する心を持っていることを感じた。ウルトラマンだけではない。君たちも地球の素晴らしさを見出し、大切にしたいと思うようになったのだな・・」

「ま、たくさんのスーパー戦隊やみんなが守ってきてるんだもん。そのお宝は誰にも手出しできないって。」

 エースが投げかけた言葉に、ルカが気さくに答える。

「お前たちに宿っている絆、決して忘れないでくれ。そしてこれから出会う者たちに、その思いを伝えていってくれ・・」

「そういうのはオレたちのガラじゃないが・・」

「他のヤツらに不様は見せねぇさ・・」

 エースからの言葉を受け止めながらも、ジョーとマーベラスが強気に答える。それが海賊としての彼らなりの答えだった。

 

 エタルガーが放つ光線の連続に、ライデンキョウリュウジンはダメージを増していた。

「何人たりとも、このオレを脅かすことなど不可能!たとえ貴様らの言うブレイブが恐怖を押し返したとしても、力はオレには敵わない!」

「力の差など関係ねぇ!お前のようなヤツに、地球も宇宙も、どの世界も好きにはさせねぇ!」

 あざ笑うエタルガーにダイゴが言い放つ。彼らのブレイブを受けて、倒れていたライデンキョウリュウジンが立ち上がる。

「これは勇敢ではなく無謀というもの。その愚かさを、身を持って思い知るがいい!」

 エタルガーが全身から光を発して、ライデンキョウリュウジンに突っ込んでいた。

「ウルトラダイナマイト!」

 そこへ1つの炎が飛び込んできて、エタルガーと衝突した。エタルガーが弾き飛ばされて、ライデンキョウリュウジンから引き離される。

「何だ!?

 突然のことにイアンが驚きの声を上げる。炎が集まって、1人のウルトラマンの姿となった。

「あれは、もしかして!?

 ソウシもウルトラマンを見て声を上げる。ウルトラ兄弟の1人、ウルトラマンタロウである。

「大丈夫か、お前たち!?お前たちの勇気に、私も力も貸すぞ!」

「ありがとう、助かった!ここから反撃開始だ!」

 タロウが呼びかけて、ダイゴが感謝して気合いを入れなおす。

「ウルトラ6兄弟の末っ子、ウルトラマンタロウか・・誰が何人出てこようと同じこと!」

 エタルガーが言い放って、両手から光線を放つ。ライデンキョウリュウジンとタロウが光線をかわして、エタルガーに飛び込む。

「五連獣電剣!」

 ライデンキョウリュウジンが剣「五連獣電剣」を手にして、すれ違いざまにエタルガーを切りつける。

「ストリウム光線!」

 タロウがエネルギーを集中させて、エタルガーに向けて「ストリウム光線」を放つ。光線を受けてダメージを増して、エタルガーが怯む。

「今だ!」

 タロウが呼びかけてダイゴたちが頷く。ライデンキョウリュウジンが飛び上がって、電撃を帯びた五連獣電剣を振り上げる。

「獣電剣・稲妻ブレイブフィニッシュ!」

 急降下したライデンキョウリュウジンが五連獣電剣を振り下ろす。落下した稲妻のような一閃が、エタルガーを切り裂いた。

「バカな!?このオレが!このオレが敗れるなどー!」

 閃光に包まれたエタルガーが爆発を引き起こした。

「やったぜ!オレたちの勝ちだ!」

 ダイゴが勝利の叫びを上げて、イアンたちと喜びを分かち合う。

「これも戦隊とウルトラマンの協力のおかげってことだね!」

「かたじけない!違う世界であるにもかかわらず、我らを助けてくださり・・!」

 ノブハルが喜びの声を上げて、空蝉丸が感謝する。

「君たちのブレイブは、必ず多くの人たちに勇気を与える。その強さと意思を忘れないようにな。」

「もちろんだ!オレたちは戦隊だ!みんな一緒に立ち向かって、そしてみんな無事に帰るんだ!」

 タロウからの励ましを受けて、ダイゴが高らかに意思を言い放つ。

「そしてオレたちの戦いは、まだまだ終わってねぇ!」

「もっともっと荒れちゃうわよ!」

 ダイゴとアミィが声をかけて、彼らが気を引き締めなおす。タロウも頷いて、戦いを続けているギンガとビクトリー、メビウスとヒカリに目を向けた。

 

 ネロインサーンがヴァサーゴ、アシュタロンと合流する。ギンガ、ビクトリー、メビウス、ヒカリが悪戦苦闘を強いられていた。

「利用しようとしているんだろうけどね。向こうも僕たちも・・」

「こういう表向きの協力も悪くはないな・・」

 オルバとシャギアがネロインサーンに目を向けて呟く。

「そこの地球人もなかなか使えるわね。」

「中に深い闇を抱えているようだしな。」

 インサーンとネロもシャギアたちを見て笑みをこぼす。両者は共通の目的のために、仮初めの結託を果たした。

「これほどの力・・ヤツらのどこにそれだけの力が・・・!?

「だけど諦めるわけにいかない!アイツらのために、世界がムチャクチャになるのは止めないとな!」

 毒づくショウと、強い意思を見せようとするヒカル。

「そうだ、諦めるな!諦めたら、絶望の闇に沈むことになる!」

「憎しみや絶望に囚われてはならない!それらに屈することなく立ち向かうことが、自分たちだけでなく、我々の意思を受け継ぐ者たちの未来にもつながるのだ!」

 メビウスとヒカリがヒカルとショウに檄を飛ばす。

「往生際の悪いことだ。一気に決めてしまうとしよう、兄さん。」

「オレたちの“サテライトランチャー”で、ヤツらを一掃するぞ。」

 オルバとシャギアが笑みを浮かべて、ギンガたちを倒そうとする。

「吾輩がいるのを忘れてもらっては困るのであーる!」

 そこへ1人の男が現れて、ヒカルたちに高らかに言い放つ。

「何だ、アンタは!?

「吾輩はガイアーク害統領、バッチードであーる!貴様らウルトラマンどもにも、吾輩が引導を渡すのであーる!」

 ヒカルが声を上げて、男、ガイアークが高らかに名乗る。

「おかしなヤツが現れたが、オレたちのやることに変わりはない。」

「まとめて葬り去るだけだね。」

 シャギアとオルバが再び笑みをこぼす。ヴァサーゴとアシュタロンがサテライトランチャーを起動して、ギンガたちに狙いを定めた。

 そこへ6つの光線が飛び込んで、ヴァサーゴたちの行く手を阻んだ。

「あれは!」

 ギンガたちが振り向いて、ヒカルが声を上げる。ゾフィー、ウルトラマン、セブン、ジャック、エース、タロウが駆けつけた。

 ゾフィーたち6人はウルトラ兄弟の中でも特別の存在とされていて、「ウルトラ6兄弟」と称えられている。

「タロウ!ウルトラ6兄弟!」

「久しぶりだな、ヒカル!お前たちの強さはまだまだこんなものではないはずだ!」

 笑みをこぼすヒカルに、タロウが呼びかける。

「お前たちには無限の可能性、果てしない未来が秘められている。」

「それを生かすも消すもお前たち次第、人それぞれなのだ。」

「ヤツらはその希望の芽を潰そうとしている。見せるのだ、未来を切り開く強さを。」

 ゾフィー、ウルトラマン、セブンがヒカルたちに呼びかける。

「君たちは1人ではない。君たちだけでもない。多くの人たちの思いが、君たちに宿っている。」

「その思いを、今こそ1つにするとき!お前たちの強さと絆を1つにするときだ!」

 ジャックとタロウもヒカルたちに激励を送る。

「そうだ・・オレたちは1人じゃない・・オレたちだけでもない・・!」

「オレたちには仲間がいる!オレたちを応援してくれるたくさんの人たちがいる!みんなの気持ち、ムダにするわけにはいかない!」

 彼らに励まされて、ショウとヒカルが決意を口にする。彼らは数多くの仲間や守りたい人々、帰るべき場所を思い返していく。

「メビウス、ヒカリ、ギンガ、ビクトリー、ウルトラータッチだ!」

GIG!」

「ガレット!」

 エースの呼びかけにメビウスとヒカリ、ヒカルとショウが答える。

「メビウース!」

 メビウスとヒカリが手を掲げる。2人のそれぞれ左腕のメビウスブレスと右腕のナイトブレスが共鳴して、彼らが一心同体となった。

 メビウスはヒカリと合体して、「フェニックスブレイブ」となった。彼の右腕にはナイトブレスが装着されている。

「見せてやるぜ、オレたちの絆!」

 ショウとヒカルが言い放って、それぞれビクトリーランサーと左腕に付けている「ウルトラフュージョンブレス」を構える。

「ウルトラタッチ!」

 2人がジャンプしてビクトリーランサーとウルトラフュージョンブレスを合わせる。

「ギンガー!」

「ビクトリー!」

 ヒカルとショウの結束で、ギンガとビクトリーが合体を果たした。

「ギンガビクトリー!」

 2人が合体した戦士、ウルトラマンギンガビクトリーが現れた。メビウスとギンガビクトリーが並んで、互いに目を合わせて小さく頷いた。

「我らも力を合わせましょう、兄さんたち!」

 タロウが呼びかけて、ゾフィーたちが頷く。彼らが意識を集中して、意思を1つにする。

「ウルトラ6重合体!」

 頭の角、ウルトラホーンに6人の力を集めることで合体を果たして、タロウはスーパーウルトラマンとなった。

「バッチード、お前の相手は私だ!」

「何をしようとムダであーる!あえて言おう!貴様らはカスであーる!」

 振り返ったタロウに、バッチードが高らかに言い放つ。

「受けてみろ!バッチードバルカン!」

 バッチードが腹部のバルカンを発射するが、タロウは彼の連射を受けてもダメージを受けていない。

「バカな!?バッチードスパイラル!」

 バッチードが歯車のエネルギーを連射する。タロウが素早く動いて歯車をかわして、空中で旋回してキックを繰り出す。

「ぐおっ!」

 キックを叩き込まれて、バッチードがうめく。さらにタロウが素早く放ったストリウム光線を受けて、ダメージを増していく。

「お前たちのような邪悪な企みを持つ者を、我らは許しはしない!」

「吾輩の力が全く通じないなどあり得ん!認めないのであーる!」

 言い放つタロウにバッチードがいら立ちを見せる。

「コスモミラクル光線!」

 タロウがウルトラ6兄弟の力を結集した光線を放つ。バッチードが体を光線に貫かれる。

「これは敗北を意味するのか!?否!これは始まりなのであーる!辞任!」

 バッチードが断末魔の叫びを上げて、爆発して消滅した。タロウは頷いてから、メビウスとギンガビクトリーに目を向けた。

 

 合体を果たして驚異的な力を発揮するギンガビクトリー。しかしシャギアもオルバもギンガビクトリーを見ても動揺を感じない。

「何をしてきても僕たちを止めることはできないよ。」

「我らのサテライトランチャーを止めることはできない!」

 オルバとシャギアが言い放って、サテライトランチャーの発射を狙う。

「させるか!」

「シェパードン、オレに力を貸してくれ!」

 ヒカルが声を上げて、ショウがシェパードンのスパークドールを手にして、ビクトリーランサーにリードさせた。

“ウルトランス!シェパードン!セイバー!”

 ギンガビクトリーがシェパードンの魂と力を宿した剣「シェパードンセイバー」を手にした。

「これで決める!」

 ヒカルとショウが言い放って、ギンガビクトリーがヴァサーゴたちに一気に詰め寄って、さらにナイトティンバーを手にしての二刀流を披露する。

「うっ!これではサテライトが付けない!」

「アイツを引き離さないと・・!」

 シャギアとオルバが毒づいて、ヴァサーゴとアシュタロンがクロービームとシザースビームを放って、ギンガビクトリーを引き離す。

「逃がしはしないぞ!」

“2!ナイトビクトリウムブレイク!”

 言い放つショウがナイトティンバーを操作して構える。ギンガビクトリーがシェパードンセイバーとナイトティンバーを立て続けに振りかざす。

「ナイトビクトリウムブレイク!」

 ギンガビクトリーの斬撃が、ヴァサーゴとアシュタロンに叩き込まれた。

「こ、こんなもので、僕たちのガンダムがやられるものか!」

 オルバがいら立ちをふくらませて、アシュタロンがギンガビクトリーに向けてシザースビームを発射する。ヒカルがウルトラフュージョンブレスのディスクを回してウルトラマンティガ、ダイナ、ガイアを表示する。

「ウルトラマンティガの力よ!ゼペリオン光線!」

 ギンガビクトリーの隣にティガの幻影が現れる。彼とシンクロするように、ギンガビクトリーが光線を放つ。

「ぐっ!」

 アシュタロンが光線を当てられて、オルバがうめく。

 ティガ、ダイナ、ガイア、コスモス、ネクサス、マックス、メビウス、ゼロ。ギンガとビクトリーの合体を経て、ギンガビクトリーは8人のウルトラマンの能力を身に宿している。

「オルバ!おのれ、ウルトラマン!」

 シャギアが怒りの声を上げて、ヴァサーゴがクロービームを放つ。ヒカルがウルトラフュージョンブレスのディスクを回して、マックスを表示させる。

「ウルトラマンマックスの力よ!マクシウムカノン!」

 ギンガビクトリーの隣にマックスの幻影が現れる。彼の動きに合わせるように、ギンガビクトリーが光線を放つ。

「ぐおっ!」

 ヴァサーゴも光線を受けてダメージを受けて、シャギアもうめく。ギンガビクトリーの力がヴァサーゴとアシュタロンを追い詰めていた。

「こんなもので、僕たちはおとなしくするわけにはいかない!僕たちを認めなかった世界に、僕たちの力と怒りを思い知らせる!」

「それがオレたちの未来を奪った大罪を犯した、世界の償いなのだ!」

 世界への憎悪を言い放つオルバとシャギア。2人は自分たちが認められなかった憎悪を世界に向けていた。

「お前たちはそうやって、自分たちが未来を閉ざされたと思って、それを世界のせいにして・・!」

 ヒカルがシャギアたちに対して感情を言い放つ。

「お前たちの未来を閉ざしたのは、世界でもお前たちが憎む相手でもない!どのような状況でも未来を目指すことを諦めたお前たち自身だ!」

「どんなことになっても、誰に何を言われても、未来は変えることができる!それをよくするか悪くするかは他の誰でもない!自分自身だ!」

 自分たちの意思を言い放つショウとヒカル。様々な経験とかけがえのない仲間との絆が、2人に強い意思をもたらしていた。

「その未来を奪った、世界に味方するお前たちが戯言を!」

「世界に味方するお前たちの言葉に耳を傾けなどしない!」

 オルバとシャギアがヒカルたちの言葉をはねつける。ヴァサーゴとアシュタロンがサテライトランチャーの発射体勢に入る。

「見せてやる!これがオレたち人間とウルトラマンの絆だ!」

 ヒカルがショウとともに言い放つと、ウルトラフュージョンブレスのディスクを次々に回していく。ウルトラマン10人の力がギンガビクトリーに集約される。

「サテライトランチャー、発射!」

 ヴァサーゴとアシュタロンがギンガビクトリーに向けて、サテライトランチャーを発射した。

「ウルトラフュージョンシュート!」

 ギンガビクトリーも光線を放って、ヴァサーゴたちのビームとぶつけ合う。

「オレたちは未来をつかみ取る!」

「そして世界の未来を守り抜く!」

 強い意思を言い放つショウとヒカル。ギンガビクトリーの光線がサテライトランチャーのビームを押し切って、ヴァサーゴ、アシュタロンに直撃させた。

「そんな・・兄さん!」

「バカな・・こんなバカな!」

 ヴァサーゴとアシュタロンが爆発を引き起こして、オルバとシャギアがその閃光に巻き込まれて消滅した。

「誰にだって未来をつかむ力がある!オレたちは未来に向かって進んでいく!」

 シャギアたちに対して、ヒカルが未来への決意を胸に秘めた。彼とショウは人やウルトラマンたちとの絆とともに、未来への確信も感じていた。

 

 ヒカリとの合体を果たしたメビウス。彼から驚異的な力を感じて、ネロもインサーンも緊迫をふくらませていた。

「合体したところで、私たちに勝つことはできないわよ!」

「闇の科学の力を受けよ!」

 インサーンとネロが言い放って、ネロインサーンが黒い光を解き放つ。しかしメビウスの体が闇の光をかき消した。

「バカな!?我らの闇の力と・・!」

「科学の力が通用しないなんて!?

 ネロとインサーンがメビウスに驚きを覚える。

「僕たちは1人じゃない!」

「世界を、お前たちの好きにはさせない!」

 メビウスとヒカリがネロとインサーンに言い放つ。メビウスが両腕のナイトブレス、メビュームブレスから光の刃「メビュームナイトブレード」を発して突っ込んで、ネロインサーンの両腕を切り裂いた。

「うっ!」

 ネロインサーンを傷付けられて、ネロがうめく。

「メビュームナイトシュート!」

 メビウスが腕を振りかざして構えて、赤と青の光線を放つ。光線が顔をかたどったネロインサーンの胸を破壊した。

「イヤアッ!私たちのネロインサーンがー!」

 インサーンがネロインサーンを破壊されて、頭を抱えて悲鳴を上げる。

「このまま敗れるものか!我らは闇と科学の偉大さを全世界に知らしめるのだ!」

 ネロが怒号を言い放って、ネロインサーンが残された力を解き放って閃光を放つ。

「メビュームフェニックス!」

 メビウスは全身から炎を放って、不死鳥のように飛び込む。彼は閃光を突き破り、ネロインサーンの体を貫いた。

「私の・・出世コースがー!」

「私の名誉がー!」

 ネロインサーンの爆発に巻き込まれて、インサーンとネロが吹き飛ばされた。飛んだ不死鳥が別れて、メビウスとヒカリが元に戻った。

 

 剣を振りかざすDの猛攻に、ゼロは一進一退の攻防を繰り広げていた。

「ずいぶんとしぶといヤツだ・・!」

「そろそろ終わりにしようか・・覚悟しろ、ゼロ!」

 毒づくゼロにDが剣を構えて彼に向かっていく。

 そのとき、1本の刃が振り下ろされて、ゼロとDの間に割って入った。Dが刃の一閃に阻まれて踏みとどまる。

「お前は・・!」

 驚きを見せるゼロ。彼の前に現れたのは、かつて自分が感銘を覚えた相手、刹那の乗るダブルオーライザーだった。

「お前がウルトラマンゼロか。ティエリアから話は聞いている。」

「あのときのガンダム・・お前もこっちに来ていたのか・・!」

 ダブルオーライザーのパイロット、刹那が呼びかけて、ゼロが声を上げる。

「ダブルオーライザーの刹那・F・セイエイだ。ここは協力してこの敵を倒すことを提案する。」

「いいぜ。さっさとアイツを倒して、戦いを終わらせるぞ!」

 刹那の言葉を聞き入れて、ゼロが構えを取る。

「ガンダムが現れたか。だが誰が来ても滅ぼしてやるだけだ!」

 Dが戦意をむき出しにして飛びかかる。彼が振りかざした剣を、ゼロとダブルオーライザーがかわす。

 続けてDが振りかざした剣を、ダブルオーライザーが剣「GNソード」で受け止めて、つばぜり合いに持ち込む。

「オレは食らい尽くす!全ての世界を、全ての宇宙を!」

「そのお前の破壊衝動が世界を歪ませる!」

 獰猛さを見せつけるDに刹那が言い放つ。ダブルオーライザーがDを引き離し、そこを狙ってゼロがゼロスラッガーを飛ばしてDをけん制する。

「オレたちは生きる!罪のない者たちが生きられる世界を築く!お前の破壊衝動を、オレが破壊する!」

 刹那が意思を言い放って、ダブルオーライザーがGNソードを「ライフルモード」にしてビームを発射する。Dが剣を振りかざしてビームをはじく。

「オレも負けてられるか!ウルティメイトゼロ!」

 ゼロがウルティメイトブレスレットを使って、ウルティメイトイージスを装着した。

「行くぞ、刹那!」

「分かった、ゼロ!」

 ゼロが呼びかけて刹那が答える。ゼロとダブルオーライザーがDに飛びかかり、右腕の剣「ウルティメイトゼロソード」とGNソードを振りかざす。

「ぐっ!」

 すれ違いざまの両者の攻撃を防ぎきれず、Dがうめく。

「おのれ・・オレの力を甘く見るな!」

 いら立ちを見せるDが、スピードを上げてダブルオーライザーに飛びかかる。

「トランザム!」

 刹那がダブルオーライザーに備わっている機能「トランザム」を起動させた。赤い光を発したダブルオーライザーが、一気にスピードを上げてDの攻撃をかわした。

「速い!?

 ダブルオーライザーの高速移動に驚くD。トランザムは一時的に機体の性能を飛躍的に増大させ、残像を伴う高速も可能とする。

「このオレが、お前などに手も足も出ないなど!」

 ダブルオーライザーの素早い攻撃に翻弄されて、Dが声を荒げる。ダブルオーライザーがゼロの隣に並んで、刹那が彼と頷き合う。

「オレはソレスタルビーイングの刹那・F・セイエイ!たとえ忌み嫌われようと、武力による戦争根絶を果たす!お前のような破壊者や支配者を、オレたちが打ち倒す!」

「邪悪な怪獣や侵略者、破壊者から世界や宇宙を守る!そのためにオレも戦い続ける!」

 刹那とゼロがそれぞれの決意を言い放つ。ダブルオーライザーとゼロが巨大ビームサーベル「ライザーソード」と、巨大な光の刃を発したウルティメイトゼロソードを振り上げる。

「そうだ!オレが!」

「オレたちが!」

「ガンダムだ!」

「ウルトラマンだ!」

 2人が叫ぶ中、ダブルオーライザーとゼロがライザーソードとウルティメイトゼロソードを振り下ろす。2つの一閃がDの体を切り裂いた。

「ぐあぁっ!こんなもの・・こんなものに・・!」

 ダメージが大きくなって、Dが絶叫を上げる。

「今だ、ゼロ!」

 赤い光が消えたダブルオーライザーから、刹那がゼロに呼びかける。ゼロがウルティメイトイージスを外して「ファイナルウルティメイトゼロモード」にして弓矢のように構える。

「ファイナルウルティメイトゼロ!」

 ゼロがウルティメイトイージスから矢のような閃光を放つ。光がDに命中して包まれる。

「オレは・・オレはまだ地獄に行くわけにはぁー!」

 絶叫を上げるDが光の中に消えていった。

「やったな、刹那!オレたちの勝ちだ!」

「あぁ。ゼロの力がなければ、ヤツを止められなかった。感謝する・・」

 勝利を分かち合うゼロと刹那が頷き合う。

「トランザムの使用で、性能が回復するまで少し時間がかかる。すぐには援護できない・・」

「その心配はいらないみたいだ。みんな、協力し合って立ち向かっている・・」

 言いかける刹那にゼロが微笑んで答える。2人は志を同じくする戦士たちの勝利を確信していた。

 

 

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