ザ・グレイトバトル
-ロストヒーローズ-
第10章
エックスゼロキラーの前にガンダムDX、そしてジャンボット、ジャンナイン、ハルキが立ちはだかった。
「別の世界のロボットか!あのモノマネロボットを倒すとするか!」
「調子のいいパイロットのようだが、自惚れはないようだ。」
「この戦いの切り札は、あのガンダムに搭載されているビーム砲・・」
気さくに声をかけてくるガロードに、ジャンボットとジャンナインが呟きかける。
「だがこの世界から“マイクロウェーブ”を照射してくれるものも場所も見当たらない!これじゃ“サテライトキャノン”がまともに使えない!」
ガロードが別の世界に来たことに焦りを感じる。
ガンダムDXには高出力のビーム砲「サテライトキャノン」が搭載されている。ガロードの世界では月の太陽光発電施設からのマイクロウェーブを照射されることで発射エネルギーを集めるが、今の世界にはその施設や装置があるかどうかも把握できていない。
「もしかしたら、僕たちの力を貸せるかもしれない!」
そこへコスモスが駆けつけて、ムサシがガロードに声をかけてきた。
「僕たちの月と太陽の力を君のガンダムに送る。力がガンダムのエネルギーに変換できれば、ビーム砲を使えるようになるはずだ。」
「そんなことまでできるのか、ウルトラマンっていうのは!?」
ムサシの説明を聞いて、ガロードが驚きを覚える。
「物は試しだ!やってくれ!」
ガロードが呼びかけて、コスモスが頷く。
「我々は彼らを援護するぞ。」
「分かった・・」
ジャンボットの呼びかけにジャンナインが答える。エックスゼロキラーがエメリウムスラッシュを放つが、ガンダムDXたちにかわされる。
「ダブルジャンナックル!」
ジャンボットとジャンナインが同時に左手を飛ばした。2人のロケットパンチを当てられて、エックスゼロキラーが突き飛ばされる。
その間にコスモスが意識を集中する。彼は月の力を備えたルナモードから、太陽の力を宿した「コロナモード」を経て、2つのモードの力を兼ね備えた「エクリプスモード」となった。
「行くよ、ガロード!コズミューム光線!」
ムサシが呼びかけて、コスモスが光線を放つ。エネルギーとともに信頼も込められたコスモスの光線が、ガンダムDXの背中に装備されている「ツインサテライトキャノン」に照射される。
「すごい!マイクロウェーブと同じ効果が出てる!」
エネルギーが集まっていって、ガロードが驚きと感動の声を上げる。
「バトルアックス!」
ジャンボットが斧「バトルアックス」を手にする。
「ジャンバスター!」
ジャンナインが腹部からビームを発射する。
“キラーアーマー!サイバーベムスター!”
エックスゼロキラーがベムスターアーマーを装着して、盾でビームを受け止めて吸収した。
「今だ!必殺・風車!」
ビームを吸収する一瞬にできた隙を狙って、ジャンボットが体に回転を加えてバトルアックスを振りかざす。バトルアックスがエックスゼロキラーに命中して、空中に吹き飛ばした。
「ここだ!みんな、離れろ!」
ガロードが呼びかけて、エックスゼロキラーに狙いを定める。
「ツインサテライトキャノン!いっけー!」
ガンダムDXが構えたツインサテライトキャノンから、高出力のビームが放たれた。巨大なビームに包まれたエックスゼロキラーが瞬く間に破壊、消滅した。
「なんという威力・・地球の科学力でこれほどの威力を出せるとは・・!」
「だが使い方を誤れば、世界を、宇宙を破壊し混乱させることになる・・それは僕たちの力も同じだ・・」
ジャンボットがサテライトキャノンの威力に驚いて、ジャンナインが危機感を感じる。
「その心配はいらないだろう。力の使い方と制御は心得ている。彼らも我々も・・」
「あぁ。僕たちは宇宙の平和のために戦う。これまでも、これからも・・」
ジャンボットとジャンナインは力の使い方と信じる心を実感していく。機械の体の2人にも、人に勝るとも劣らない心が宿っていた。
「オー!パワフルでデンジャラスなウェポンだぜ〜・・!」
ハルキもガンダムDXとサテライトキャノンに驚いていた。
「ありがとう、コスモス、ジャン兄弟!みんながいなかったら、サテライトキャノンを当てることはできなかった・・!」
ガロードがムサシたちに感謝を送る。しかし彼らは緊張を解かない。
「みんなの援護に行かないと・・早くこの戦いを終わらせないと・・・!」
「あぁ・・アイツらもこの世界に来ているからな・・・!」
ムサシが言いかけて、ガロードが頷く。ガロードはギンガたちと交戦しているシャギアとアルバに目を向けていた。
ブラジラの前に立ちはだかるアムロのνガンダムとカミーユのZガンダムに、ミラーナイトとナクリが合流してきた。
「私も戦います。自分の目的のために犠牲を伴うことをいとわない彼を、私も野放しにはできないので・・」
「協力を感謝する。ともに戦おう、異世界の戦士よ。」
声をかけてきたミラーナイトにアムロが感謝する。
「オレも協力させてもらうぞ。」
そこへさらに声がかかって、アムロたちが視線を移す。初代ウルトラマンとともにもう1人のウルトラマンが現れた。
「あっ!あなたは、ウルトラマンジャック!?」
ナクリがそのウルトラマンを見て驚く。もう1人のウルトラマンは「帰ってきたウルトラマン」と呼ばれているウルトラマンジャックである。
「遅れてすみません、兄さん・・!」
「気にしなくていい。合流できてよかった。」
ジャックが声をかけてウルトラマンが頷く。
「ウルトラマンも加勢するか・・何者が行く手を阻もうと、私の救星は必ず果たす!」
「目の前の現実も見えない男が!」
自分の目的を果たそうとするブラジラに、カミーユが怒りを叫ぶ。
「お前は命の重さと大きさがどれほどのものかを理解してはいない!」
「人間も我々も時に過ちを犯すこともあるが、悪意のない命が滅びていいことにはならない!」
ウルトラマンとジャックがブラジラに言い放つ。
「ブラジラ、お前のやろうとしていることは、希望の芽を摘むことだ!お前の暴挙はオレたちが止める!」
アムロも言い放って、νガンダムがZガンダムとともにブラジラに向けてビームライフルを発射する。ブラジラが翼を広げて発行を放って、ビームをはじく。
「ただのビームが通じないなら・・ビームコンフューズ!」
カミーユが次の攻撃の手を見出して、Zガンダムがビームサーベルを1本、回転を加えて投げつけて、そこへビームライフルを発射した。ビームサーベルに当たったビームが拡散して、ブラジラにダメージを与えて翼を負傷させた。
「おのれ、ガンダムが・・!」
「今だ!合体光線だ!」
うめくブラジラに向けて、ウルトラマンとジャックが同時にスペシウム光線を発射する。ブラジラが両手を突き出して、スペシウム光線をはじく。
しかし直後にジャックは左腕に装備していた「ウルトラブレスレット」を放って、ブラジラに命中させた。
「おのれ・・ガンダムもウルトラマンも、救星の邪魔を・・!」
ブラジラが怒りをあらわにして、全身から閃光を放出する。閃光はウルトラマンたちを巻き込んだように見えた。
だが閃光の先の光景が突然、ガラスのように割れた。その先にウルトラマンたちの姿はなかった。
「何っ!?これは!?」
ブラジラが驚きの声を上げて振り返る。その先には、鏡の破片の舞の中にいるミラーナイトの姿があった。
「きちんと自己紹介していなかったね。私は鏡の騎士、ミラーナイト。鏡を作るのは得意でね。」
ミラーナイトがブラジラに優雅に語る。ミラーナイトが作り出した鏡がウルトラマンたちの姿を映した。その鏡をブラジラは閃光をぶつけたのである。
「ブラジラ、お前のゆがんだエゴ、ここで止める!」
アムロのνガンダムが飛び出してきて、ファンネルを射出してブラジラにビームの包囲網を敷く。
「くっ・・小賢しいマネを・・!」
νガンダムのビームに耐えるブラジラ。そこへガンダムがビームの刃を伸ばしたビームサーベルを大きく振り下ろしてきた。
「ぐあっ!」
ビームサーベルに体を切られて、ブラジラが絶叫を上げる。
「命は力だ!地球を、宇宙を、世界を支える力なんだ!」
カミーユが言い放って、Zガンダムが戦闘機形態に変形して加速する。Zガンダムに、カミーユに力が集束されていく。
「これが、命の強さだ!」
Zガンダムが全速力でブラジラに突撃した。集束された力を叩き込まれたブラジラが力を弱めて、巨大化を保てなくなった。
「ダメージが大きい・・だが、救星を果たすまでは、私は・・!」
「彼らの言う通り、命はかけがえのない大切なものだ・・!」
思うように動けないでいるブラジラの前に、タケルがマコトとともに駆けつけて声をかけてきた。
「世界のためだとか、そういうので犠牲にしていい命なんて1つもない!お前のやろうとしていることは、オレが止めてみせる!」
タケルが言い放つと、新たなベルト「アイコンドライバーG」を身に着ける。
“グレイトフル!ガッチリミーナー・コッチンキナー・・!”
音声が流れるアイコンドライバーGの右側面のボタンを、タケルが押す。
“ゼンカイガン!ケンゴウ・ハッケン・キョショウニ・オウサマ・サムライ・ボウズニ・スナイパー!ダーイーヘーンーゲーー!”
タケルのまとうゴーストの姿が黒と金の鎧の姿に変わる。彼は15の英雄の眼魂の力全てを宿した形態「グレイトフル魂」に変身した。
「よーし!オレもパワー全開で行くぞ!」
大和もタケルたちのそばに駆けつけて、ブラジラに目を向ける。
「本能覚醒!」
大和がジュウオウイーグルのマスクの嘴部分を上にスライドさせた。すると新たなマスクが現れて、スーツの模様がワシからゴリラに変わって、体も筋肉質になった。
「ジャングルの王者、ジュウオウゴリラ!」
大和が新たに変身したジュウオウゴリラが、高らかに名乗りを上げた。
「英雄の心をつなぐ!仮面ライダーゴースト!」
タケルも大和に合わせるように名乗りを上げた。彼に半ば呆れるも、マコトも気を取り直して構えを取る。
「こんなもので・・私を止めることなど・・・!」
「我々もいるぞ!」
ブラジラが声を振り絞ったときだった。彼らの前に新たなウルトラマンが現れて、彼の手の上から2人の戦士が飛び降りてきた。
「お、お前は!?」
「赤の魂を受け継ぐ者!スーパー戦隊、アカレッド!」
「仮面ライダーG!」
声を上げるブラジラに、2人の戦士、アカレッドとGが名乗りを上げる。
「ありがとう、ゾフィー。あなたの協力がなければ、我々も来ることができなかった。」
「君たちも平和を守る戦士だ。ともに手を取り合い、力を合わせるのは当然のことだ。」
感謝するアカレッドにウルトラマン、ゾフィーが答えて頷く。
「ゾフィー兄さん。合流できてよかった・・」
ウルトラマンが声をかけて、ゾフィーが頷く。
光の国を拠点とする「宇宙警備隊」。その中でも地球防衛を果たした者たちは、「ウルトラ兄弟」と呼ばれて称えられている。
ウルトラ兄弟全員が血のつながりを持っているわけではないが、その結束は本物の兄弟に勝るとも劣らない。宇宙警備隊隊長であるゾフィーは、ウルトラ兄弟の長男でもある。
「ここはオレたちに任せてくれ。あなたは他のみんなの援護を。」
Gが呼びかけて、ゾフィー、そしてウルトラマンたちが頷いた。ゾフィーたちは散開して、他のみんなの援護に向かった。
「ともに戦おう、ジュウオウジャーのジュウオウゴリラ!」
「はい!光栄です、アカレッド!」
呼びかけてきたアカレッドに大和が心を躍らせながら答える。
「仮面ライダー・・ここまで伝説が広がっているとは・・!」
「君たちにも守りたい人や、戦う理由があるのだろう?」
戸惑いを感じているタケルにGが声をかける。彼の問いかけにタケルとマコトが頷く。
「僕は悪と正義と、君たちは英雄と命のマリアージュだ・・この力、自分が思う正しいもののために・・」
「はい!みんなの命を、守るために!」
「オレも、大切な人を守るために!」
Gからの励ましに、タケルとマコトが決意を口にする。
「まだだ・・私は倒れはせんぞ!」
ブラジラがタケルたちに向けて光を解き放つ。
「ゴーカイチェンジ!」
“ボーウケンジャー!”
アカレッドが轟轟戦隊ボウケンジャーのボウケンレッドに変身した。アカレッドは歴代のスーパー戦隊のレッドに変身することが可能で、彼らの能力、武器を使うこともできる。
「ボウケンジャベリン!」
アカレッドが槍「ボウケンジャベリン」を手にして、振りかざして光をかき消した。
「そこだ!」
大和がその直後に飛び出して、ブラジラにパンチを繰り出す。ゴリラのジューマンパワーを宿したパンチを叩き込まれて、ブラジラが突き飛ばされる。
「い、いくら消耗しているとはいえ、こんなことで私が追い込まれるなど・・!?」
「お前に言うぞ!この星を、オレたちヒーローを、なめるなよ!」
いら立ちをふくらませるブラジラに、大和が言い放つ。
“ムサシ!デルデルデル〜ヨ〜!・・”
タケルがアイコンドライバーGを動かして、ボタンを押す。
“ラッシャイ!”
アイコンドライバーGからムサシゴーストが召喚された。グレイトフル魂は英雄ゴーストを召喚することができ、協力して戦うことができる。
“ベンケイ!ラッシャイ!”
“ゴエモン!ラッシャイ!”
タケルは続けてベンケイゴースト、ゴエモンゴーストを召喚する。
「タケル、ともに戦おうぞ!」
ムサシゴーストが声をかけて、タケルが頷く。
「オレも続くぞ、タケル!」
“カイガン・フーディーニ!マジイイジャン・スゲェマジシャン!”
マコトもフーディーニ魂に変身する。3人の英雄ゴーストたちがそれぞれ刀を手にして、ブラジラに向かっていく。
英雄ゴーストたちを振り払おうとするブラジラだが、逆に刀に切りつけられていく。
「英雄の魂を、命を甘く見るな!」
「一気に決めるぞ!オレが動きを止める!」
ブラジラに言い放つタケルに、マコトが呼びかける。
“ダイカイガン!フーディーニ!オメガドライブ!”
マコトが鎖を放って、ブラジラの体を縛った。
「今だ!」
マコトの呼び声を受けて、タケル、大和、G、アカレッドが集中力を高める。
「ゴーカイチェンジ!」
“ニーンニンジャー!”
アカレッドが手裏剣戦隊ニンニンジャーのアカニンジャーに変身して、刀「忍者一番刀」を手にする。
“ザ・技!なんじゃなんじゃ・・忍者一閃!”
「シュリケン忍法奥義・忍烈斬!」
アカレッドが忍者一番刀を振りかざして、真空の刃を放つ。
「スワリングライダーキック!」
Gがベルトを動かして右足にエネルギーを集めてジャンプして、回転を加えたキックを繰り出す。
“ゾクゾクイクーゾー・・!”
タケルがアイコンドライバーGを動かして、15人全ての英雄の力を呼び出す。
“レッツゴー!ゼンインシューゴー!メガオメガフォーメーション!”
英雄の魂を体に宿してジャンプするタケル。彼は空中からブラジラに向かってキックを繰り出す。
同時に大和も右腕に力を込めてパンチを繰り出す4人の攻撃が、鎖で身動きの取れないブラジラに直撃した。
「ぐあぁっ!私は・・私はまだぁー!」
タケルたちの攻撃を受けて、ブラジラが完全に消滅した。
「よっしゃー!オレたちの勝ちだー!ウオー!」
大和が勝利の喜びを込めて雄叫びを上げる。タケルもマコトと喜びを分かち合う。
「ありがとうございます!みなさんがいなかったらオレたち、きっと勝てなかった・・!」
「いや、君たちの力があればこその勝利だ。自分たちに誇りを持つといい。」
感謝して一礼するタケルに、Gが励ましの言葉を送る。
「君たちも歴史を作る存在。誰かの英雄になることができる。君たちも、魂と心をつなぐ立派な架け橋だ。」
「はい!このヒーローの歴史を絶やさないためにも、オレたちは頑張ります!」
アカレッドからの励ましに、大和が決意を胸に答える。
「大和、戦闘員が続々出てきてるぞ!」
そこへレオがセラたちと一緒に駆けつけて、大和に声をかけてきた。ショッカー戦闘員から眼魔コマンド、黒十字軍のゾルダーから牙鬼軍団のヒトカラゲ、スッパラゲ、各組織の戦闘員たちが続々を現れた。
「まだ戦いは続くということか・・!」
「だがオレたちは負けない!オレたちの守るべきもののために!」
タスクとマコトが言いかけて構えを取る。
「命、まだまだ燃やすぜ!」
「オレたちの底力、見せてやるぞ!」
タケルと大和が言い放って、マコトやセラたちとともに戦闘員たちに立ち向かった。
混戦する状況の中、戦士たちが消耗するのを待って高みの見物をしている宇宙人がいた。チブル星人エクセラーである。
エクセラーは今、強化兵器「チブローダー」に乗っている。彼が今乗っているチブローダーは、身長40メートルほどもある巨大なものである。
「エクセレーント!これだけの駒がそろっているとは!これは私の頭脳と腕の見せ所ですねぇ・・」
様々な次元や世界からやってきた様々な人や兵器を見渡して、エクセラーが喜びをふくらませていく。
「そろそろ私も動くとしますか。ここにいる駒全部、一網打尽です・・」
無差別に攻撃を仕掛けようとしたエクセラー。
そのとき、チブローダーが接近する熱源を捉えて、エクセラーが回避する。彼を狙って1つのブーメランが飛んできた。
「これは、アイスラッガー!?」
ブーメラン「アイスラッガー」を見てエクセラーが驚きの声を上げる。アイスラッガーを頭に戻して、1人の巨人が姿を現した。
「お前は、ウルトラセブン!」
エクセラーがその巨人、ウルトラセブンに驚く。
「チブル星人エクセラー、お前もこの世界に来ていたとはな!」
「ウルトラセブン・・同族の仇、今ここで討たせてもらいますよ!」
構えを取るセブンに、エクセラーが言い放つ。
「このチブローダーは他のとは格が違います!ウルトラ戦士と言えど、勝ち目は皆無です!」
エクセラーが言い放って、チブローダーが右腕のビーム砲と左腕のバルカン砲を発射する。セブンが加速してチブローダーの攻撃をかいくぐる。
「逃げられんぞ!おとなしく始末されろ、セブン!」
エクセラーがさらに攻撃を続ける。その隙を狙って、セブンが再びアイスラッガーを放つ。
「甘いです!」
エクセラーがチブローダーを高速回転させて、飛んできたアイスラッガーをはじき返した。
「あなたの能力は分析済みです!お前の技は私には通じないぞ!」
エクセラーがセブンに勝ち誇ってあざ笑う。
「まずはウルトラセブン、あなたにとどめを・・」
エクセラーがセブンに向けてビーム砲を放とうとした。セブンも光線を撃とうと構えを取る。
そのとき、チブローダーに向けてビームが飛び込んできた。エクセラーが反応して、チブローダーがビームをかわす。
セブンとチブローダーの前に2機の機体が駆けつけた。「AGE-2」と「AGE-FX」である。
「2体のガンダム・・セブンに加勢するつもりですね・・!」
エクセラーがAGE2機を見て呟く。AGE-FXとAGE-2がセブンに近寄る。
「大丈夫ですか!?僕たちも戦いを止めます!」
AGE-FXのパイロット、キオ・アスノがセブンに呼びかけてきた。
「ありがとう。君たちの救援がなければやられていた・・」
セブンがキオにお礼を言うと、エクセラーに視線を戻す。
「様々な世界の様々な戦士や兵器に、正直驚いている。が、だいたいだがあなたたちのことは分かっているつもりです。」
AGE-2のパイロットであり、キオの父親であるアセム・アスノが、セブンに説明をする。
「地球は地球に住む者の手で守り抜く。私もあらゆる宇宙や星々のために戦う。」
「それは僕たちも同じ気持ちです。住む星が違っても、僕たちは分かり合うことができるんだ・・」
セブンが思いを口にして、キオが頷いた。AGE-2とAGE-FXがそれぞれ「ハイパードッズライフル」と「スタングルライフル」をチブローダーに向けて発射するが、チブローダーのビーム砲にかき消される。
「そんなもので私を倒せるわけがない!」
エクセラーがあざ笑うと、チブローダーがバルカン砲を連射する。AGE-2がセブン、AGE-FXとともに回避して、ワイヤーを射出してチブローダーの左腕に巻きつけた。
「私の頭脳は偉大なのです!お前たちは私に使われるだけの存在なのです!」
「そうやって人を道具にする考え方・・お前は誰とも分かり合うことはできないようだ・・!」
言い放つエクセラーに大して、アセムが目つきを鋭くする。AGE-2がチブローダーを引き寄せる。
「行け、Cファンネル!」
キオが言い放って、AGE-FXが「Cファンネル」を射出する。Cファンネルによる攻撃がチブローダーに正確に命中して、腕と足を切り落とした。
「バカな!?この私が、この偉大な頭脳を持つこの私がやられるなど!?」
「ウルトラマンのデータはあっても、オレたちのデータは持っていなかったようだな!」
声を上げるエクセラーにアセムが言いかける。手足を失ったチブローダーに、AGE-FXが近づいた。
「もうやめよう。もう僕たちが戦う必要はないよ。」
キオがエクセラーに向かって呼びかけてきた。
「人間でも宇宙人でも、分かり合うことができる。あなたとだって・・戦わなくても、苦難を乗り越えることができるよ・・・!」
「そのようですね・・これからは仲良くよろしく・・・」
エクセラーの返事を聞いて、キオが笑みをこぼす。
「・・するなんて思ったら、大間違いだぞ!」
次の瞬間、エクセラーが敵意をむき出しにして、チブローダーが腹部からビームを放とうとした。
そのとき、AGE-FXの全身から光の刃が飛び出した。光の刃はチブローダーのビームを切り裂いて打ち破った。
「父さんの注意が当たったよ。分かり合おうとするときでも、決して油断するなって・・」
真剣な顔で言いかけるキオに、アセムが小さく頷く。アセムが再び視線をチブローダーに戻す。
「キオにだまし討ちを仕掛けて、キオの思いを踏みにじるお前を、オレは許さない・・!」
アセムがエクセラーに鋭く言いかける。AGE-2がビームサーベルを手にして、チブローダーの腹部のビーム砲の砲門に突き立てた。
「ギャアッ!やめろー!私は・・私はー!」
チブローダーの内部にまで火花が散り、エクセラーが絶叫を上げる。
「2人とも離れろ!」
そこへセブンが呼びかけて、AGE-2とAGE-FXが横に動いて離れる。直後、セブンが必殺光線「ワイドショット」を放って、チブローダーに命中させた。
「ぐあぁっ!」
チブローダーの爆発に巻き込まれて、エクセラーも空の彼方に散った。
「どうして、分かろうとしなかったんだ・・・」
エクセラーとの戦いを和解で終わらせることができなかったことに、キオが苦悩する。そんな彼がいるAGE-FXにセブンが歩み寄った。
「戦わずに分かり合う。人間同士だけでなく、違う星の者と絆を結び合うことは、大切なことであり、心ある者の理想だろう。だが正義や文化、考え方は人それぞれ。違う星であればあるほど、その隔ては大きいのだろう。」
「セブンさん・・・」
セブンが語りかける言葉に、キオが戸惑いを感じていく。
「互いに話し合い、分かり合うことは間違いではないが、簡単なことではない。ましてやエクセラーのように、その優しさを踏みにじったり、利用して騙してくる敵も存在する。」
「それが、オレたちが戦うべき敵ということか・・」
セブンの言葉を聞いて、アセムが改めて決意を固める。
「君たちの理想が実現することを願っているのは他にもいる。そのことは、決して忘れないでくれ。」
「ウルトラセブン・・はい!ありがとうございます!」
セブンの言葉を胸に刻んで、キオが微笑んで感謝した。
「行くぞ、キオ!戦いはまだ続いているのだから・・!」
「はい、父さん!」
アセムが呼びかけてキオが答える。セブンも頷いて、AGE-2、AGE-FXとともに救援に向かった。
サーシェスの駆るアルケーに対して、ヒロムたちの乗るゴーバスターオーとバスターヘラクレスが合体を果たして、「グレートゴーバスター」となった。
「何体合体しても、オレがバラバラにしてやるぜ!」
「お前のようなヤツを野放しにすれば、あらゆる世界が焼け野原になってしまう!お前はここで止める!」
あざ笑ってくるサーシェスに、ヒロムが怒りを込めて言い放つ。
「行け、ファング!」
アルケーが射出したファングが、グレートゴーバスターを狙って飛んでいく。
「バスターランス!」
グレートゴーバスターが槍「バスターランス」を手にして振りかざす。グレートゴーバスターの一閃が、ファングのほとんどを破壊した。
「おのれ・・そんなもので、オレが!」
サーシェスが怒号を放って、アルケーが残ったファングを動かす。ファングはグレートゴーバスターの前後左右上下から飛んでくる。
そこへ光線が飛び込んで、ファングに当てて破壊した。ヒロムも反応して、グレートゴーバスターもファングを切り裂いた。
ゾフィーが駆けつけて、「Z光線」でファングを破壊したのである。
「あなたは、ウルトラマン・・!」
「人間同士の問題は人間が解決すべきところだが、彼の暴挙は我々にとっても目に余るものがある。地球と宇宙の平和のため、私も戦う。」
リュウジが声を上げて、ゾフィーが自分の意思を告げる。彼とグレートゴーバスターがアルケーに振り向く。
「今度はウルトラマンか・・この世界は潰し甲斐のあるヤツがうじゃうじゃいて退屈しねぇな!」
サーシェスが言い放って、アルケーがバスターソードからビームを発射する。
「お前の力と野心は常軌を逸している。人の力と協力して、お前の暴挙を止める・・!」
ゾフィーはビームをかわすと、必殺光線「M87光線」を発射した。ウルトラ兄弟の光線の中で最強の威力を誇るとされる技である。
M87光線がバスターソードをアルケーの右腕ごと撃ち抜いた。
「ぐっ!」
「今だ!」
サーシェスがうめいて、ゾフィーがヒロムたちに呼びかける。
「お前には理解できないだろう・・種族と次元を超えた、オレたちのつながりを!」
“It's time for buster.”
ヒロムたちが思いを言い放って、グレートゴーバスターがバスターランスにエネルギーを集める。
「デモリションスラスト!」
突撃したグレートゴーバスターが突き出したバスターランスが、アルケーの胴体を貫いた。
「バカな!オレが、こんなところでー!」
絶叫を上げるサーシェスが、爆発を起こしたアルケーとともに消滅した。
「人間が、ここまで物騒になってしまうなんて・・・!」
同じ人間でありながら破壊の権化と化してしまったサーシェスに、リュウジが歯がゆさを感じていく。
「君たちはそれぞれ大切なことを見出している。その志を心に刻んでいる限り、世界の争いを止められるだろう。」
ゾフィーがヒロムたちに声をかけてきた。彼に励まされて、ヒロムたちが真剣な顔で頷いた。
「私たち1人1人が世界をよくしていかなくちゃね。」
「オレがいる限り、世界平和は安泰だ!」
ヨーコが呼びかけて、スタッグが自信を口にする。彼の態度にウサダが呆れる。
「ヴァグラスがいなくなっても、オレたちの戦いは終わらない。」
「オレたちそれぞれの行動が、世界の未来を決めていくんだ。」
リュウジとヒロムが改めて決意を固めた。彼らの未来に希望を見出して、ゾフィーが頷いた。