ザ・グレイトバトル
-ロストヒーローズ-
第6章
ブラジラが放つ驚異の力に、タケルもマコトも悪戦苦闘を強いられていた。
「戦隊だろうと仮面ライダーだろうと、私の目的を阻むことはできない。世界は私の下で救星されなければならぬのだ。」
ブラジラがタケルたちに向けて言いかける。タケルたちが力を振り絞って立ち上がる。
「それってみんなを犠牲にすることにつながるんだよね・・そんなこと、させない!」
「オレとカノンは、やっと元の世界に戻ることができたんだ・・カノンやタケル、みんなのいる世界を、お前などのいいようにされてたまるか!」
言い返すタケルと、妹、深海カノンのことを想うマコト。
「お前たちのことは分かっているぞ。お前たちは生と死の間にいるも同然の状態にある。」
「オレが生き返るために眼魂を集めているのも知っているのか!?」
「不条理で愚かしいことだ。どの世界においても、それは同じだ。」
声を上げるタケルに、ブラジラが笑みをこぼす。
「人間同士、無意味で愚かな争いを繰り返し、幾度となく地球をけがしている。もはや人間自身に地球を救うことはできぬ。だから私が救星を果たす。地球の害悪と化した人間たちを滅ぼしてからな。」
「地球を救うために、人間を滅ぼそうっていうのか!?」
「そうだ。それがこの私、救星主のブラジラの使命だ。」
「何が救星主だ!人の命を何だと思っているんだ!?」
自分の目的を言いかけるブラジラに、タケルが怒りを覚える。
「オレもカノンも命を弄ばれてきた・・お前のような自己満足なヤツにな!」
マコトもブラジラに対して怒りをあらわにする。
「オレはカノンを助けるために眼魂を手に入れようとした。そのために、オレたちのことを考えていたタケルと戦ったこともあった・・タケルは自分が生き返るよりも優先して、カノンを生き返らせてくれた・・コイツのそんな優しさに、甘いと思いながら、感謝もしている・・」
「マコト兄ちゃん・・・」
マコトが口にした本音に、タケルが戸惑いを覚える。
「確かに世界はいいものも悪いものも入り混じっているが、それこそが人間を形作っている!お前のようなヤツの好き勝手にさせるか!」
「愚かな。お前たちも所詮は愚かな人間ということか。」
マコトの意思をあざ笑うと、ブラジラが翼を広げて閃光を放つ。光を受けたタケルとマコトが吹き飛ばされる。
「お前たち人間を滅ぼし、私がこの手で救星を行う!」
「そうはさせない!みんなの命を、オレたちが守る!」
「そのためにお前を、今ここで倒す!」
言い放つブラジラに言い返して、タケルとマコトが別の眼魂「ニュートンゴースト眼魂」と「フーディーニゴースト眼魂」を手にして、ゴーストドライバーにある眼魂と入れ替えた。
“カイガン・ニュートン!リンゴガラッカ・ヒキヨセマッカ!”
“カイガン・フーディーニ!マジイイジャン・スゲェマジシャン!”
2人がそれぞれ「ニュートン魂」と「フーディーニ魂」に変身した。
「オレが引き寄せるから、その間にアイツの動きを!」
タケルが呼びかけて、マコトが頷く。タケルが右手から斥力を発して、ブラジラを押さえようとする。
「この程度の力で私を止めることなど・・」
余裕を見せるブラジラだが、マコトが放った鎖に体を縛られる。
「今だ、タケル!」
マコトがタケルに呼びかけて、2人がジャンプする。
“ダイカイガン!ニュートン!オメガドライブ!”
“フーディーニ!オメガドライブ!”
タケルがさらに強力な斥力をブラジラに当てる。そこへマコトが飛び込んで、ブラジラにキックを叩き込む。
「そんなもので、私を封じ込めることなど不可能!」
ブラジラが全身から閃光を放って、タケルとマコトを押し返す。
「うわっ!」
「ぐあっ!」
吹き飛ばされた2人が倒れて大きく転がる。ダメージが大きくなって、2人の変身が解ける。
「何という力だ・・オレたち2人の力を跳ね返す・・!」
マコトが声と力を振り絞って起き上がる。
「まだ抗おうとする気力が残っているか。だがそれもこれまでだ。お前たちから消えるがいい!」
ブラジラがタケルたちにとどめを刺そうと、両手に光を集めていく。タケルもマコトもすぐに反撃をすることができない。
そのとき、3人の戦士が飛び込んで、ブラジラにキックを叩き込んだ。押されたブラジラだが、空中に浮いてとどまった。
「危ないところだったけど、助けることができてよかった・・」
戦士の1人、火野映司がタケルとマコトに声をかけてきた。
「ゴーストやスペクターとは違う・・でも、みなさんも仮面ライダーなのですか・・!?」
タケルが映司たちを見て声を上げる。
「オレたちはそれぞれの世界で、みんなを守るために戦ってきた。おかしな次元の穴を通って、この世界に来たんだ。」
「邪悪な存在が集まりつつあることを知り、オレたちも行動していた。こうして君たちと無事に合流できたようだ。」
2人の戦士、津上翔一と麻生勝=ZOが答える。
「お前たちも来ていたか。ZO、アギト、オーズ。」
「まだ犠牲のある救いを続けているのか・・お前たちのようなヤツに、人の命を弄ばせはしない!」
「みんなが幸せに暮らせる場所を、お前たちに壊させるわけにはいかない!」
笑みをこぼすブラジラにZOと翔一が言い放つ。
「違う世界でも、違う時間でも、みんなの命はみんなそれぞれのものだ!誰かの一方的な考えで消えていい命なんて、1つもない!」
映司も言い放って、ブラジラの前に立ちふさがる。
「そうですね・・命は、誰にだって1つでかけがえのないものだ・・・!」
「その命を、お前たちの勝手で、消させてたまるか・・!」
タケルとマコトが言い放って、眼魂を入れなおす。
“アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!・・”
“バッチリミロー!バッチリミロー!・・”
「変身!」
“カイガン・オレ!レッツゴー!カクゴ!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!”
“カイガン・スペクター!レディゴー!カクゴ!ドキドキゴースト!”
2人がゴースト・オレ魂とスペクターに変身して、ZOたちと並び立つ。
「まだ諦めずに向かってくるか・・ならばこの世界で全員まとめて、完膚なきまでに葬り去るのみ!」
言い放つブラジラから4人の怪人が現れた。彼の仮の姿、彗星のブレドラン、チュパカブラの武レドラン、血祭のブレドラン、サイボーグのブレドRUNである。
「5人に分身した!?」
「こっちも5人。1人ずつ相手をすればいいだけだ・・!」
驚きの声を上げるタケルと、臆することなく構えるマコト。
「私、ブラジラとこのブレドランが滅ぼす。仮面ライダーもスーパー戦隊も、全ての者を!」
ブラジラが高らかに言うと、ブレドランたちとともにタケルたちに向かっていった。
アスナとサイバーゴモラがリボンズを食い止めている間、エックスとゼロがベリアルが乗り移ってるシンとデスティニーの救出に集中していた。
「シン、目を覚まして!一緒に元の世界に、プラントに帰ろう!」
ルナマリアがシンに向かって呼びかける。しかしベリアルに憑りつかれているシンが笑みを浮かべてきた。
「ムダだ。さらに力を入れてコイツを支配している・・コイツには届きはしねぇよ・・」
「届いているはずよ!シンはザフトのエースなんだから!」
ベリアルがあざ笑うが、ルナマリアはくじけずに呼び続ける。
「そうだ、ルナマリア!もっとシンに呼びかけてくれ!」
「オレたちもシンからベリアルを追い出すぞ!」
大地とゼロが声をかけ合う。エックスとゼロがデスティニーに向かっていく。
「ゼロ、エックス、今度こそお前らを始末してやるぜ・・!」
ベリアルが野心をむき出しにして、デスティニーがビーム砲を発射する。エックスとゼロが素早く動いてビームをかわす。
「シンの心を取り戻す・・オレたちの浄化の力で・・!」
ゼロが言い放って意識を集中する。
「ルナミラクルゼロ。」
彼はルナミラクルゼロになって、浄化の力でシンからベリアルを追い出そうとした。
「私もやるぞ・・我々の力で、シンを助ける!」
エックスが言いかけてゼロが頷く。ゼロが先行してデスティニーに接近して、竜巻を巻き起こす。
「フルムーンウェーブ!」
ゼロが浄化の青い光の球を作り出して、デスティニーを包み込んだ。
「今だ、エックス!」
「ビュリファイウェーブ!」
ゼロの呼び声に合わせて、エックスも浄化の光を放つ。2人の光がかけ合わさって、デスティニーに入り込んでいる邪悪な力を浄化していく。
「お願い、シン!戻ってきて!私もみんな待ってるんだから!」
ルナマリアがさらにシンに向けて呼びかける。するとベリアルに憑りつかれているシンが笑みを浮かべた。
「ムダだと言っている・・コイツはもうオレのものだ!」
ベリアルが言い放ち、デスティニーが黒い光の翼を広げて、エックスとゼロの光を吹き飛ばした。
「そんな!?」
2人のウルトラマンの力を合わせてもシンを救えないことに、大地が驚きを覚える。
デスティニーが両肩のビームブーメランを手にして投げつける。
「ミラクルゼロスラッガー!」
ゼロが2本のゼロスラッガーを放って、何本にも分裂させる。しかしゼロスラッガーの全てが2本のビームブーメランに次々にはじき返される。
「何っ!?がっ!」
ビームブーメランを体に当てられて、ゼロがバランスを崩して落下する。
「ゼロ!」
大地が叫んだところで、デスティニーがビームソードを手にしてエックスに突っ込んできた。
「エクシード、エーックス!」
エックスがエクシードエックスとなって、デスティニーを迎え撃つ。
「エクスラッガー!」
エックスがエクスラッガーを手にして、デスティニーのビームソードとぶつけ合う。しかしデスティニーに力負けして、エックスが突き飛ばされる。
「いい加減お前らのおかしな小細工を終わらせないとな・・まずはエックスを始末して、ゼロを絶望させてやるとするか・・」
ベリアルは先にエックスを倒そうと企む。デスティニーがエックスを追走して、左手を突き出してきた。
「まずい!回避が間に合わない!」
デスティニーのパルマフィオキーナをかわし切れず、大地が焦りを覚える。
「やめて、シン!こんな戦い、あなたは望んでいない!」
そのとき、インパルスがデスティニーの前に飛び出して、ルナマリアが必死に呼びかけてきた。
「邪魔をするなら、お前から始末してやるぞ・・!」
「危ない!逃げて、ルナマリア!」
ベリアルが笑みを強めて、大地が叫ぶ。デスティニーが止まることなく、ルナマリアのインパルスに迫る。
デスティニーの左手がインパルスに向けられた。
“ウルトランス!EXレッドキング!ナックル!”
そのとき、デスティニーの左手が巨大な炎の拳に受け止められた。その拳は怪獣のものだが、その他の体は紛れもなくウルトラマン。
「これ以上、お前たちの好きにはさせんぞ・・!」
ウルトラマンが力を込めて、デスティニーを押し返した。動揺を感じているルナマリアのいるインパルスに、ウルトラマンが振り向く。
赤と黒の体色をしていて、胸のカラータイマーはVの形をしていた。
「ウルトラマンビクトリー・・ショウさん!」
エックスとゼロが戻ってきて、大地が声を上げる。彼らは黒のウルトラマン、ビクトリーと、彼に変身している青年、ショウのことを知っていた。
「久しぶりだな、大地。お前たちもこの世界に来ていたか・・」
ショウが声をかけると、大地とエックスが頷いた。
「このウルトラマンも知っているの、大地・・!?」
ルナマリアがビクトリーを見て、疑問を投げかける。
「別の次元のウルトラマン。地底世界に住む“ビクトリアン”の1人、ショウさんと、彼がウルトライブしているウルトラマンビクトリーだよ。」
大地がルナマリアにショウのことを説明する。
「オレがいることも忘れるなよ!」
さらに声がかかって、エックスたちとデスティニーが振り向いた。
「ギンガファイヤーボール!」
そこへ炎の球が次々と飛び込んできた。デスティニーは即座に動いて、炎の球をかわす。
ビームソードを構えるデスティニーの前に、もう1人のウルトラマンが現れた。
「ヒカルさんも来てくれたんですね!」
「あぁ!合流できてよかったぜ!」
大地が喜びの声を上げて、もう1人のウルトラマン、ギンガにウルトライブしている青年、礼堂ヒカルが答える。
ヒカルとギンガはショウと同じ世界の人間とウルトラマンである。ヒカルとショウも次元の穴を通って、大地たちが来た世界に来ていた。
「ギンガとビクトリー・・オレの初めて見るウルトラマンがまた現れたか・・」
ベリアルがギンガとビクトリーを見て笑みをこぼす。
「世界をムチャクチャにしようっていうなら、オレたちが止めてやるぜ!」
ヒカルが言い放って、ギンガがビクトリーとともに構えを取る。
「待って!シンの中にベリアルが入り込んでいるの!戦ったら、シンが・・!」
ルナマリアがヒカルとショウを呼び止める。
「分かっている!だからオレたちも力を貸すぜ!」
ヒカルは答えて、ギンガがデスティニーの動きをうかがう。
「ウルトラマンは全員まとめて、このオレが始末してやる・・」
ベリアルが言いかけて、デスティニーが再び飛び込んできた。
「まずは動きを止めなくては!」
ショウが言いかけて、ヒカルが頷く。ショウが新たなスパークドールを手にして、アイテム「ビクトリーランサー」でリードする。
“ウルトランス!エレキング!テイル!”
ビクトリーの右手が変化する。宇宙怪獣エレキングの尻尾である。
ビクトリーの能力、ウルトランスはリードしたスパークドールの怪獣の能力を右手に宿すことができる。
ビクトリーがエレキングの尻尾を振りかざして、デスティニーに巻きつけて電撃を与える。
「ギンガサンダーボルト!」
ギンガも電撃の渦を頭上に発生させて放ち、デスティニーに命中させた。2つの電撃を受けて、デスティニーが動きを止められる。
「今のうちにシンからベリアルを追い出す。ヒカル、ショウ、力を貸してくれ。」
「もちろんです。協力します。」
「これでアイツの心を鎮める・・!」
ゼロの呼びかけにヒカルとショウが頷く。ショウとビクトリーが聖剣「ナイトティンバー」を手にした。
「奏でろ、勝利のメロディ!」
ショウがビクトリーとともにナイトティンバーを口元に当てた。ナイトティンバーから横笛のように神秘の音色を放つ。
「ルナマリア、もう1度お願い・・!」
「うん・・!」
大地が呼びかけてルナマリアが頷く。
「ギンガコンフォート。」
「フルムーンウェーブ。」
「ビュリファイウェーブ!」
ギンガ、ゼロ、エックスが浄化の光を放つ。4人のウルトラマンの浄化の力が、デスティニーに、シンに降り注がれる。
「さらに力が増したか・・だがコイツは、完全にオレが支配している・・何をしようと、コイツには届かんぞ・・!」
ベリアルが笑みをこぼして、シンへの支配は揺るがなことを確信していた。
「必ず届ける、シンに・・私の思いを・・みんなの気持ちを・・・!」
「そうだ!諦めちゃいけない!」
諦めずにシンを想うルナマリアに向けて声が響いてきた。エックスたちの光にもう1つの光が加わった。
「この光は・・!」
ゼロが視線を移して声の主を確かめる。その先にいたのは青い体のウルトラマンだった。
「ウルトラマンコスモス!コスモスも来ていたか!」
青いウルトラマン、コスモスに向けて声を上げるゼロ。
「慈愛の勇者」の異名を持つコスモスは、平和と優しさを重んじるウルトラマンである。基本状態である「ルナモード」は浄化の能力に長けている。
怪獣保護、共存を実現させた地球人、春野ムサシと一体化しているコスモスは、浄化の光「フルムーンレクト」をエックスたちの浄化の力に加えたのである。
「おのれ・・こんなことで、オレを追い払うことなど・・・!」
エックスたちの力にベリアルが逆らう。
「シン、戻ってきて!あなたは、1人じゃない!」
ルナマリアがシンに向かって声を張り上げる。
「戦争を失くすために、戦いのない世界のために、あなたも私たちも戦ってきたじゃない!辛いこと、悲しいこともたくさんあったけど、私たちは乗り越えてきた!」
ルナマリアが自分の思いをシンに伝えていく。
「今は違う世界のみんなと出会って、私たちを支えてくれている・・だからシン、あなたは1人じゃないよ!」
ひたすら呼び続けるルナマリアの目から涙があふれてくる。デスティニーを包んでいる光がさらに強まる。
「ムダだと言っている・・もうコイツは、オレのしもべだ・・・!」
「ル・・ルナ・・・」
ベリアルがあざ笑ったところで、シンが声をもらした。ベリアルに支配されていたシンの心が戻ってきた。
「オレはもう・・大切なものを失いたくはない・・お前らの身勝手で、オレたちの世界をムチャクチャにされてたまるか!」
「バカな!?ただの人間が、このオレをはねのけるだと!?」
自分の意思と決意を言い放つシンに、ベリアルが驚きを覚える。
「そうだ・・もう失いたくない・・・父さん、母さん、マユ、レイ・・ステラ・・・!」
失われた大切な人のことを思い返すシン。彼は目の前に1人の少女が舞い降りたことを実感した。
その少女はステラ・ルーシェ。戦争の道具として扱われて、戦いに駆り出された少女。
ステラを守りたいと思いながら助けることができなかったことを、シンは強く悔やんでいた。
「ステラの思いまで、失うわけにはいかない・・オレは、オレを見失わない・・みんなのために・・オレを思ってくれてるみんなのために・・!」
面影のステラが伸ばした手に向かって、シンも手を伸ばす。2人の手が握られた瞬間、シンがベリアルの支配から脱した。
リボンズの駆るリボーンズキャノンの足止めを続けていたアスナとサイバーゴモラ。アスナがシンからベリアルが追い出されたのを目撃した。
「大地、エックス・・みんな、やったんだね・・・」
「ベリアルはしくじったようだ。その過信が致命となったということだ。」
アスナが喜びを感じて、リボンズはベリアルがやられても動揺を感じていない。
「そろそろ終わりにしよう。彼らの始末もしなければならなくなったからね。」
リボンズが言いかけると、リボーンズキャノンがリボーンズガンダムに変形して、ビームサーベルを手にする。
「ここまで消耗していては、接近戦もまともにできはしないさ。」
リボンズが笑みを浮かべて、リボーンズガンダムがサイバーゴモラに向かっていく。リボーンズガンダムが振りかざしたビームサーベルが、サイバーゴモラの体を切りつけた。
「ゴモラ!」
アスナが叫ぶ中、サイバーゴモラが押されて倒される。リボーンズガンダムがビームサーベルを構えて、再びサイバーゴモラに向かっていった。
エックスたちの浄化の力によって、シンが自分を取り戻した。彼の体とデスティニーから、ベリアルとダークサンダーエナジーが追い出された。
「シン、大丈夫!?シン!」
ルナマリアがシンに向けて呼びかける。
「ルナ・・・オレ・・・」
「シン・・シンが戻ってきた・・よかった・・・!」
声をもらしたシンに、ルナマリアが喜びを感じていく。彼女が涙を流す中、インパルスがデスティニーに近寄る。
「シンはベリアルとダークサンダーエナジーに操られていたんだ。オレたちの力と思いが伝わってよかった・・」
事情を説明する大地もシンの帰還を喜ぶ。
「大地・・・こんなにも、ウルトラマンが・・!?」
シンがギンガ、ビクトリー、コスモスを見て驚きを覚える。
「ジャンナインとは違うロボットだな。まだまだオレの知らない世界があるみたいだな。」
ヒカルもデスティニーとインパルスを見て笑みをこぼす。
そのとき、大地たちは近くで起こった爆発の音を耳にして、エックスたちが振り返る。サイバーゴモラがリボーンズガンダムのビームライフルに撃たれて、劣勢を強いられていた。
「ゴモラ!アスナ!」
サイバーゴモラのピンチに、大地が叫ぶ。エックスたちの前で、シンに追い出されたベリアルが実体化する。
「アイツとも相手をしないといけないようだな・・!」
「おのれ、ウルトラマンどもが・・それにまさか、ただの人間が、オレを追い出すなど・・!」
ショウが言いかける中、ベリアルがエックスたちやシンにいら立ちをあらわにする。
「心ある者には、思いは必ず伝わるものだ。ウルトラマンにも人間にも、怪獣にも。」
「ウルトラマンの心を捨てたお前には、もう分かりっこないことだけどな!」
ムサシとヒカルがベリアルに向けて言い放つ。
「オレの心と体はオレのものだ!これ以上、お前の好きなようにさせてたまるか!」
シンが怒りと決意をベリアルに言い放つ。ベリアルが彼らに対していら立ちをふくらませていく。
「やはりどこの馬とも知れない者に任せるのは得策ではなかったということか。」
そこへ声がかかり、ベリアルが視線を移す。彼の隣に2機のMSが出てきた。
「あれもMS・・だけどデスティニーやインパルスとは違う・・!」
「そうだな。あの姿かたち、まさにゲテモノだぜ。」
シンとゼロが2機のMS、ガンダムヴァサーゴとガンダムアシュタロンを見て声を上げる。
「以前とは違う世界に来てしまったが、オレたちのやることは同じ。」
「僕たちを認めない世界を滅ぼすことさ。」
ヴァサーゴとアシュタロンのパイロット、シャギア・フロストとオルバ・フロストが笑みを浮かべて言いかける。
「地球の平和を守って正義の味方になっている宇宙人か。そういうのも目障りなんだよね。」
「オレたちの敵は世界そのものだ。それをかばい立てしようとするヤツらも、まとめて一掃する。」
言いかけるオルバに答えて、シャギアがエックスたちに敵意を向ける。ヴァサーゴがかぎ爪「ストライククロー」を伸ばして、アシュタロンがビームサーベルを手にして構える。
「タッグを組んで挑んでくるのか、あの2体は・・」
「アイツらはオレたちに任せてくれ。向こうも2体だからな。」
ショウが呟いて、ヒカルが大地たちに呼びかけてきた。
「シェパードン、お前も力を貸してくれ・・!」
ショウは親友である地底聖獣シェパードンのスパークドールを手にして呼びかけた。
“奏でろ、勝利のメロディ!”
彼はナイトティンバーを吹いて、聖なる音色を響かせる。するとスパークドールの状態だったシェパードンが元の姿を取り戻した。
「シェパードン、ゴモラを援護しろ!」
ショウの呼びかけに応えて、シェパードンがアスナたちに向かっていく。
「オレはベリアルの相手をする!オレに入り込んで、ルナやみんなを傷付けようとしたアイツを、オレは許さない!」
「私もやるわ!私も、アイツだけは許せない!」
シンとルナマリアがベリアルに目を向けて言いかける。
「僕も手伝うよ。あれだけの邪悪な力、放っておくわけにはいかない・・!」
ムサシも言いかけて、コスモスもベリアルに目を向ける。
「それじゃ、オレたちの相手は、あそこのガンダムってことになるな。」
「うん。シェパードンを援護しよう!」
ゼロと大地が声をかけ合う。エックスとゼロがシェパードンとともにアスナの元へ向かった。
「まぁいい・・乗っ取るのはやめだ・・木端微塵に吹き飛ばしてやるぜ・・!」
ベリアルが笑みを浮かべて、デスティニーたちをじっと見つめる。
「もうこれ以上、お前たちみたいなヤツらに、何もかもムチャクチャにされてたまるか!お前はオレがここで倒す!」
「いい気になるなよ、地球人が・・身の程を思い知らせてやるぞ!」
決意を言い放つシン。ベリアルも言い返すと、デスティニーとインパルスに飛びかかった。
リボーンズガンダムの攻撃に、サイバーゴモラは絶体絶命のピンチに追い込まれていた。
「怪獣とはいえ、よく持ったと褒めておくよ。これで終わりにしよう。」
リボンズが笑みをこぼして、リボーンズガンダムがビームサーベルの切っ先をサイバーゴモラに向ける。
「アタッカーエックス!」
そこへX字の炎が飛び込んできた。リボンズが気付いて、リボーンズガンダムが後ろに下がって炎をかわす。
さらに2本のゼロスラッガーが飛び込んで、リボーンズガンダムがビームサーベルでゼロスラッガーをはじく。
「アスナ、ゴモラ、大丈夫!?」
エックスがゼロとともにサイバーゴモラのそばに着地して、大地がアスナに呼びかける。
「大地・・シンくんは大丈夫なの・・!?」
「あぁ。ヒカルさんやショウさん、ウルトラマンたちが力を貸してくれたんだ。」
声をかけるアスナに、大地が微笑んで答える。
「ここからはオレたちも参戦するぜ。お前らの企みは、必ずぶっ潰す!」
ゼロがリボンズに向けて言い放つ。
「たとえウルトラマンでも不可能というものさ。僕に勝つことも、世界を救うことも。この僕、リボンズ・アルマークだけが、真の救世主なのだよ。」
リボンズが大地たちに向けて自信を込めて言いかける。するとゼロがリボンズに対して笑みをこぼした。
「お前が救世主だと?お前のようなヤツは、支配者にしかなれねぇよ。」
「人間も宇宙人も愚かなのは同じということか。世界は僕によってでしか救われることはないのだよ。」
「笑わせるな!リボンズ・アルマーク、お前のようなヤツが救世主になろうなんざ、2万年早いぜ!」
強きを保つリボンズに、ゼロが高らかに言い放つ。
「地球も他の世界も、たった1人で救えるほど小さくない!ともに手を取り合い、力を合わせてこそ、世界を守ることができるんだ!」
大地が自分たちの思いを口にする。エックス、ゼロ、シェパードンがリボーンズガンダムに向かっていった。