ザ・グレイトバトル
-ロストヒーローズ-
第3章
突如大地たちの前に現れた怪人たち、ネコマタ、マタネコ、眼魔コマンドたち。襲い掛かってきた彼らに、シン、ゼロ、アスナが発砲する。
シンたちの射撃を直撃されても、ネコマタたちは平然としていた。
「ゲラゲラ!そんな攻撃じゃビクともしないぜー!」
ネコマタが笑い声を上げてから、大地たちに向かってきた。ゼロはウルトラゼロアイをウルティメイトブレスレットにしまってから、ネコマタを迎え撃つ。
ゼロの身体能力は人間の姿でも、通常の地球人の能力を超えていた。それでもネコマタ、マタネコ相手に苦戦を強いられていた。
「ゼロ!」
突き飛ばされたゼロに大地が叫ぶ。アスナがジオブラスターにカスタムパーツ「ウルトラブースター」をセットして「ウルトライザー」とする。
“ウルトライザーモード、キドウシマス。”
アスナがネコマタに向けてウルトライザーを構える。
“ウルトラマンノチカラヲ、チャージシマス。”
ウルトライザーにエネルギーが集まっていく。
「みんな、離れて!」
アスナが呼びかけて、シンたちが下がる。直後にアスナがウルトライザーを発射する。
「くらえ!超肉球ボンバー!」
ネコマタが両手からエネルギー弾を放って、ウルトライザーのビームとぶつけ合う。両者の攻撃は爆発を起こして相殺された。
「くっ!これじゃキリがない!」
毒づくシンが駆け出して、デスティニーに乗り込んだ。デスティニーがビームライフルを手にして構える。
「みんな、離れろ!一気に吹っ飛ばす!」
シンが呼びかけて、大地たちがネコマタたちから離れる。デスティニーがネコマタたちに向けてビームライフルを発射する。
「ポー!危ないニャー!」
「早く逃げるでウィスー!」
ネコマタとマタネコが叫んでビームをかわす。眼魔たちも回避しようとするが、数人がビームやその爆発に巻き込まれる。
「ち、ちょっと!危ないって!」
そのとき、突然声がかかって大地たちがさらに驚く。彼らの声でもネコマタたちでもない。
「他にも誰かいるのか・・!?」
ゼロが注視して、透視能力を使う。彼は眼魔たちと交戦している1人の青年がいた。
「誰だ、お前は!?お前も姿を消せるのか!?」
「えっ!?見えるの!?・・っていうか、姿が見えちゃってる!?」
ゼロが呼びかけると、青年が驚いて振り返る。
「姿を消して事を済ませようなんてふざけたことを考えるとは・・」
青年に向かって、もう1人の青年が出てきて呆れてきた。
「たまにはこういうのもいいかなって思ったけど、似合わなかったね、マコト兄ちゃん・・」
青年の1人、天空寺タケルがもう1人、深海マコトに苦笑いを見せる。
「もう遊びはなしだ、タケル。状況はまだ分からないが、まずはコイツらを倒すのが先だ・・!」
「うん・・行こう、マコト兄ちゃん!」
マコトが言いかけて、タケルが呼びかける。マコトはタケルの実の兄ではなく、彼をタケルが兄貴分として幼い頃から慕っていた。
タケルとマコトが目玉型のアイテム「ゴースト眼魂」を手にして、装着しているベルト「ゴーストドライバー」にセットする。
“アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!・・”
“バッチリミロー!バッチリミロー!・・”
音声を発するゴーストドライバーの右側のレバーを、2人が引く。
「変身!」
“カイガン・オレ!レッツゴー!カクゴ!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!”
“カイガン・スペクター!レディゴー!カクゴ!ドキドキゴースト!”
タケルとマコトがレバーを押すと、それぞれスーツと仮面を身に着けた姿に変わった。
「へ、変身した!?・・宇宙人!?」
「分からない・・人の姿から化けたというよりは、強化スーツを身に着けたって感じだ・・!」
アスナと大地がタケルたちを見て驚きの声を上げる。
「だが、あの怪人たちと戦っているということは、2人に協力しても問題なさそうだ・・」
ゼロがタケルとマコトを味方だと判断する。
「オレたちもヤツらを撃退したい!力を貸してくれ!」
「えっと・・何だかよく分かんないけど、味方みたいだね!」
ゼロが呼びかけて、タケルが振り向いて答える。
「オレはゼロ!ウルトラマンゼロだ!」
「オレは大空大地!そして彼が、ウルトラマンエックスだ!」
ゼロと大地が自己紹介をして、エクスデバイザーを見せる。
「ウルトラマン!?・・・オ、オレは天空寺タケル!よろしく、大地、エックス、ゼロ!」
タケルも動揺を見せながらも名乗って、ネコマタたちに視線を戻す。
「えーい!ゴーストとスペクターもこっちの世界に来ていたとはー!」
「こうなったら、みんなまとめてやっつけてやるニャー!」
ネコマタとマタネコが叫んで、眼魔コマンドたちと一緒に飛びかかる。
「眼魔だけでないが、倒したほうがよさそうだな・・行くぞ、タケル!」
「うんっ!命、燃やすぜ!」
マコトとタケルがネコマタたちを迎え撃つ。マコトがマタネコと、タケルがネコマタと組み合う。
眼魔コマンドたちも続くが、デスティニーのビームライフルの射撃に行く手を阻まれる。
「えっ!?ロボット!?でも・・!」
「あれもオレたちの味方と見ていいだろう・・!」
さらに驚くタケルと、味方だと判断してマタネコとの交戦を続けるマコト。
「行くよ、ムサシ!」
タケルが眼魂「ムサシゴースト眼魂」を取り出して、オレ眼魂と入れ替える。
“カイガン・ムサシ!ケットウ・ズバット・チョウケンゴウ!”
タケルのまとうゴーストの姿が変わった。彼は剣「ガンガンセイバー」を「二刀流モード」にして構える。
眼魂の中には歴史上の偉人の魂が込められた「英雄の眼魂」が存在する。ムサシ眼魂には宮本武蔵の魂が宿っている。
「ゲラゲラ!侍みたいな姿になっちゃってー!」
ネコマタが叫び声を上げて、タケルに飛びかかって爪を振りかざす。タケルはガンガンセイバーで爪を防いで、反撃を仕掛ける。
「眼魔じゃなくても、命を弄ぼうとするヤツらは、オレがその企みを止める!」
「くー!このネコマタ様の力を甘く見るなよー!」
決意を言い放つタケルに不満を叫んで、ネコマタが突っ込んできた。タケルが2本のガンガンセイバーを振り下ろすが、ネコマタの突進に押される。
「すごい力・・力には力だ!」
ネコマタの強さを痛感して、タケルが新たな眼魂「ベンケイゴースト眼魂」をゴーストドライバーにセットする。
“カイガン・ベンケイ!アニキ・ムキムキ・ニオウダチ!”
ゴーストの姿が再び変化する。パワー重視の「ベンケイ魂」に。
「ゲラゲラ!どんな姿になっても、オレ様には勝てないニャー!ポー!」
ネコマタが叫び声を上げて、タケルに突進を仕掛ける。突進を受けるタケルだが、両足に力を入れて踏みとどまる。
「ニャんと!?」
驚きの声を上げるネコマタに、タケルが「ハンマーモード」にしたガンガンセイバーを振りかざす。ネコマタが叩きつけられて突き飛ばされる。
「オレたちは早く、オレたちの世界に帰らなくちゃならないんだ!」
“ダイカイガン!オメガボンバー!”
タケルがガンガンセイバーを地面に叩きつけて、エネルギーを武器に変えて解き放つ。
「わ、わ、わっ!ポー!」
ネコマタが武器をぶつけられて、慌てて逃げ出していく。
「全部妖怪のせいでしたー!」
「アニキー!」
叫びながら逃げ出していくネコマタに、マタネコも叫ぶ。
「お前の相手はオレだ!よそ見をするな!」
マコトが呼びかけて、マタネコにキックを繰り出して突き飛ばす。マコトも新たな眼魂「ノブナガゴースト眼魂」をゴーストドライバーにセットした。
“カイガン、ノブナガ!ワレノイキザマ・オケハザマ!”
マコトのまとうスペクターの姿が変わった。射撃戦に特化した「ノブナガ魂」に。
マタネコが突撃を仕掛けるが、武器「ガンガンハンド」を「銃モード」にしたマコトの射撃に迎撃される。
「今のうちにアニキと一緒に逃げておいたほうがいいぞ・・!」
“ダイカイガン!オメガスパーク!”
マコトが忠告を送ると、ガンガンハンドを構えてエネルギーを集中する。彼は作り出した分身とともに、ガンガンハンドからビームを発射する。
「アニキの無念、晴らしてやるニャー!超超肉球ボンバー!」
マタネコが炎の球を放って迎え撃つ。しかし炎の球はたやすくかき消され、マコトの射撃にマタネコが当てられる。
「ニャー!これで勝ったと思うなよー!まだまだ味方がいるでウィスー!」
マタネコも捨て台詞を叫んで、マコトの前から逃げていった。
「まだ味方がいる・・どういうことなんだ・・!?」
「マコト兄ちゃん、空!」
疑問を感じたところでタケルに声をかけられて、マコトが大地たちとともに空を見上げる。彼らのいる星の空に、4つの巨大な影が迫ってきた。
「グンダリ・・じゃない・・何だ、アイツらは・・!?」
「怪獣・・しかも、アイツらは!」
マコトだけでなく、ゼロも声を上げる。現れたのは眼魔の怪物「グンダリ」ではなく怪獣。しかも複数の怪獣や宇宙人の特徴を併せ持つ合体怪獣たちだった。
最強超獣ジャンボキング。カウラの頭、ユニタングの手、マザリュースの体、マザロン人の足を合体させた超獣。
暴君怪獣タイラント。シーゴラスの頭、イカルス星人の耳、バラバの手、ベムスターの体、レッドキングの足、ハンザギランの背中、キングクラブの尻尾が合体した怪獣。
超合体怪獣ファイブキング。ファイヤーゴルザの上半身、超コッヴの下半身、レイキュバスの頭の形をした右手、ガンQの頭の形をした左手、メルバの翼をした怪獣。
合体怪人獣サソリガドラス。古代怪獣ガドラスが暗黒結社「ショッカー」の怪人、毒サソリ男と共鳴して合体した怪獣である。
「4体の怪獣・・しかもいずれも、複数の怪獣や宇宙人が合体した怪獣だ!」
「あの怪獣たちを止めるのは、極めて難しいということか・・・!」
エックスが呼びかけて、大地が緊張をふくらませる。
「攻め込まれたらひとたまりもないぞ・・大地、エックス、ヤツらを食い止めるぞ!」
「分かった!」
ゼロが呼びかけて大地が答える。
「オレも行く!アイツらをこれ以上行かせるか!」
シンも呼びかけて、大地とゼロが頷いた。
「ルナ、アスナを頼む!それとそこの2人のことも!」
「分かった!シン、気を付けて!」
シンに呼びかけられて、ルナマリアが頷く。
「アスナ、インパルスに!」
「えぇっ!」
ルナマリアがアスナと一緒にインパルスに乗り込む。ゼロがウルトラゼロアイを着眼して、ウルトラマンゼロに変身する。
「エックスー!」
“エックス、ユナイテッド。”
大地がエックスとのユナイトを果たす。
「シン・アスカ、デスティニー、行きます!」
シンの駆るデスティニーがエックス、ゼロとともに飛翔して、タイラントたちを迎え撃つ。
「アイツらを食い止めるぞ!」
「これ以上進ませるか!」
ゼロが呼びかけて、シンが意気込みを見せる。ゼロ、エックス、デスティニーが別れて、タイラントたちに攻撃を仕掛けた。
タイラントを迎え撃ったエックス。エックスたちは組み付いて、そのまま下の草原に落下した。
パンチとキックを繰り出していくエックスだが、タイラントの屈強の体へのダメージは小さい。
「やはりたくさんの怪獣が合体しているだけあって、強さが段違いだ・・!」
「ここは一気に動きを止めたほうがよさそうだ!」
大地とエックスがタイラントの強さに緊張をふくらませる。エックスが足を突き出してタイラントを引き離すと、空中に飛んで距離を取る。
「ザナディウム光線!」
エックスが空中から光線を発射する。しかしタイラントの腹部に光線が吸い込まれていく。
「ベムスターのように吸収した!?」
「怪獣たちの体や強さだけじゃなく、能力まで備えているのか!」
大地とエックスが警戒を強める。タイラントが口から火炎を吐き出して、エックスが飛行して回避する。
だがタイラントが立て続けに耳から放ったイカルス星人のアロー光線をかわせず、エックスが直撃を受けて墜落する。
さらにタイラントが尻尾を振りかざして、エックスを突き飛ばす。
「このままじゃやられてしまう・・何とかしないと・・・!」
窮地に追い込まれて、大地が焦りをふくらませる。タイラントが腕から鎖鎌を射出して、エックスの首に巻きつけた。
首を絞めつけられて、エックスも大地も苦痛を感じていく。タイラントに振り回されて、エックスが横転する。
「くっ・・ゴモラ、力を貸してくれ・・・!」
大地が声を振り絞って、サイバーカード「サイバーゴモラカード」を取り出して、エクスデバイザーにセットする。
“サイバーゴモラ、ロードシマス。”
サイバーゴモラカードのデータが読み込まれたことで、エックスの体を爪付きの鎧が包み込んだ。
“サイバーゴモラアーマー、アクティブ。”
エックスはゴモラの能力と戦闘力を宿した「ゴモラアーマー」を身に着けた。
エックスが突撃して、タイラントとぶつかり合う。エックスがゴモラアーマーの爪を振りかざして、タイラントを切りつける。
タイラントが腹から冷凍ガスを噴射してきた。パワーはあるがスピードが弱まるゴモラアーマーのため、エックスは回避できずにガスを浴びて、動きが鈍る。
「冷凍ガスまで・・それならこれで・・!」
大地が新たなサイバーカードを呼び出して、エクスデバイザーにセットする。
“サイバーゼットン、ロードシマス。”
ゴモラアーマーが解除されて、エックスは新たなアーマーを装着した。
“サイバーゼットンアーマー、アクティブ。”
最強の怪獣に数えられる宇宙恐竜ゼットンの能力を宿した「ゼットンアーマー」を身にまとうエックス。
タイラントが放ってきた炎を、エックスはゼットンの力を駆使してバリアを張って防ぐ。続けて鎖鎌を射出するタイラントだが、これもバリアにはじかれる。
タイラントがアロー光線を放つと、エックスはバリアを解いて光線を吸収・反射した。跳ね返した光線はタイラントに命中してダメージを与えた。
「このまま一気に押し切る!」
大地が叫んで、エックスがタイラントに組み付く。
「ゼットントルネード!」
エックスはそのまま高速回転して、タイラントを投げ飛ばした。タイラントが地面に叩き落とされて、エックスが着地する。
「よし!このまま一気に行くぞ!」
「あぁっ!」
エックスの呼びかけに大地が答える。エックスが勢いそのままにタイラントに向かっていく。
そのとき、上空から突然黒い稲妻が飛び込んできた。エックスがとっさに立ち止まり、稲妻はタイラントに直撃した。
「あれは、ダークサンダーエナジー!」
「この世界でも発生していたのか!」
大地とエックスが黒い稲妻「ダークサンダーエナジー」を見て驚く。大地たちのいる世界では、地球に度々降り注いで怪獣を凶暴化させていた。
ダークサンダーエナジーを浴びたタイラントが凶暴化。邪悪な姿へと変貌を遂げた。ゴモラの足が後ろ足として生えて、頭にはジェロニモンの羽根が生えていた。
タイラントが邪悪なる進化を遂げた「EXタイラント」である。
「タイラントが凶暴化した・・!」
大地が緊迫をふくらませた直後、タイラントが口から火炎を吐き出してきた。勢いも威力もけた違いに上がっている火炎を受けて、エックスが吹き飛ばされる。
「やはりパワーが上がっている・・!」
「エックス、上だ!」
声を上げるエックスに大地が呼びかける。エックスの真上にタイラントがジャンプして落下してきた。
エックスが前に飛んで、タイラントののしかかりをかわす。しかしタイラントの着地の衝撃が強く、エックスが押されて横転する。
「危なかった・・いくら私でも、あれを受けたら無事では済まなかった・・・!」
エックスが言いかけて、立ち上がってタイラントに視線を戻す。
「こっちもパワーアップだ、エックス!」
大地が呼びかけて、新たな姿のエックスのスパークドールを手にして、エクスデバイザーに読み込ませる。
“ウルトラマンエックス、パワーアップ。”
大地の手元に虹色の剣「エクスラッガー」が現れた。
「エクシード、エーックス!」
大地がエクスラッガーを振りかざすと、エックスがそのスパークドールと同じ銀色の姿に変わった。2人のユナイトが強まったエックスの進化した姿「ウルトラマンエクシードエックス」である。
エックスがタイラントに向かっていく。タイラントが炎を放つが、エックスがエネルギーを放出してはじき飛ばした。
エクシードエックスは能力の上昇だけでなく、ダークサンダーエナジーを始めとした邪悪な力を打ち消す力も備えている。
虹色の光のエネルギーを帯びたエックスのパンチとキックが、タイラントに命中していく。タイラントが邪悪な力を弱められて、ダメージを蓄積していく。
タイラントが手の鎖鎌を射出する。鎖鎌は鉄球ごとエックスに向かって飛んでいく。
「エクスラッガー!」
エクシードエックスの額にもエクスラッガーが装着されている。彼はエクスラッガーを額から取り外して手にする。
タイラントが再び鎖鎌を射出する。エックスがエクスラッガーで鉄球をはじき飛ばした。
エックスが飛びかかってエクスラッガーを振りかざす。タイラントが切りつけられて、ダメージを受けていく。
大地がエクスラッガーの虹色のパネルをスライドタッチして、ブーストスイッチを押す。エックスが構えるエクスラッガーから虹色の光があふれ出す。
「エクシードエクスラッシュ!」
エックスが突撃して、タイラントをエクスラッガーで切りつける。ダークサンダーエナジーが断絶、浄化されて、タイラントが元の姿に戻る。
「真正面から光線を撃っても吸収されるだけ・・後ろに回り込むんだ!」
大地が呼びかけて、エックスがジャンプしてタイラントの後ろに回り込む。
「ザナディウム光線!」
エックスの交戦がタイラントに命中した。爆発を起こしたタイラントがスパークドールになった。
「タイラント、とんでもない怪獣だったが、何とか止めることができた・・」
エックスがタイラントの強さを痛感して、安心を口にする。
「早くアスナたちのところに戻ろう。みんなを援護しないと・・」
大地が言いかけて、エックスがシンたちと合流しようとした。
そのとき、エックスが突然強い冷気に襲われて、体が氷に包まれた。
「な、何っ!?」
驚くエックスだが、体が凍って身動きが取れない。
「お前に出しゃばれると困るのでな。しばらくおとなしくしてもらうぞ・・」
エックスに向けて不気味な影が呟く。影の姿かたちが徐々に変化していた。
ジャンボキング、サソリガドラスと交戦するゼロ。ジャンボキングたちが放つビームを、ゼロが素早くかわす。
ゼロが額のビームランプから光線「エメリウムスラッシュ」を放つ。ジャンボキングがエメリウムスラッシュを頭に受けて、怯んで後ろに下がる。
続けてゼロがワイドゼロショットを放つが、サソリガドラスは腹部から光線を吸収してしまった。
「アイツもビームを吸収するのか・・ならば!」
ゼロが頭部の2本のゼロスラッガーを放った。サソリガドラスの尻尾がゼロスラッガーによって切り裂かれた。
「このまま一気に押し切る!」
ゼロがさらにサソリガドラスを攻め立てようとした。
そのとき、ジャンボキングが両手から糸を吹き付けてきた。ゼロが糸に絡み付かれて身動きが取れなくなる。
「しまった!・・くそっ!」
ゼロが糸を振り払おうとするが、その隙にサソリガドラスが彼を振り切って前進する。
「行かせるか!」
ゼロが全身からエネルギーを放出して、糸を吹き飛ばす。サソリガドラスを追いかけようとする彼の前に、ジャンボキングが行く手を阻んできた。
「どけ!お前の相手をしてる暇はねぇんだよ!」
ゼロが言い放つと、至近距離からウルトラゼロキックを繰り出す。キックの直撃を体に受けるも、ジャンボキングが目から光線を出してゼロを迎撃した。
ジャンボキングはさらに口から火炎を放つ。ゼロはすぐに体勢を整えて、火炎をかわす。
「お前を倒したほうが早そうだ・・!」
ゼロは毒づくと、左腕からウルティメイトブレスレットを外して、槍「ウルトラゼロランス」に変形させて投げつけた。
ウルトラゼロランスはジャンボキングの体を貫いた。戻ってきたウルトラゼロランスを手にして、ゼロがジャンボキングに飛びかかって叩きつける。
ゼロの連続攻撃を受けて、ジャンボキングがダメージをふくらませていく。
「これで終わりにする!」
ゼロがウルティメイトブレスレットを左腕に戻して、2本のゼロスラッガーを胸部に装着した。
「ゼロツインシュート!」
ゼロがゼロスラッガーから光線を放射する。ジャンボキングが光線を受けて爆発、消滅した。
「急がないと!」
ゼロがゼロスラッガーを頭に戻して、サソリガドラスを追いかけた。
ゼロを振り切ってタケルたちのところへ迫ったサソリガドラス。着地したサソリガドラスに、タケルとマコト、アスナとルナマリアが緊張を覚える。
「こ、こんなのまともに相手できないってー!」
「くっ・・さすがにサイズが違いすぎるか・・・!」
タケルとマコトが危機感をふくらませる。
「ルナマリア、援護して・・アイツを撃退する・・!」
「撃退するって・・あなたの力じゃ・・!?」
呼びかけてきたアスナに、ルナマリアが声を上げる。
「私は、1人じゃないわ・・・!」
アスナは言いかけて、ジオデバイザーにサイバーゴモラカードをセットした。
“サイバーゴモラ、ロードシマス。”
サイバーゴモラカードのデータを読み込んだジオデバイザーからスパークドールが現れた。サイバー怪獣、サイバーゴモラである。
「怪獣の人形!?・・もしかして、それで・・!」
ルナマリアが声を上げると、アスナが頷いた。アスナはサイバーゴモラのスパークドールを、ジオデバイザーに乗せて読み込ませる。
“リアライズ。”
データが読み込まれたことによって、サイバーゴモラが実体化した。
サイバーゴモラは古代怪獣ゴモラのデータから誕生したサイバー怪獣。実験を繰り返して実体化に成功したサイバー怪獣の1体目である。
「怪獣を操ることもできるの・・!?」
「ゴモラは私たちの仲間、友達よ。」
さらに声を上げるルナマリアに、アスナが微笑みかける。アスナの脳波に同調して、サイバーゴモラがサソリガドラスに立ち向かう。
サソリガドラスが両手のハサミを突き出して、サイバーゴモラを迎え撃つ。サイバーゴモラは怯まずに爪を突き返す。
「注意を引き付ける!しっかりつかまってて!」
「うんっ!」
ルナマリアが呼びかけて、アスナが頷く。
「ルナマリア・ホーク、インパルス、行くわよ!」
ルナマリアが動かすインパルスが飛翔して、ビームライフルを手にする。サイバーゴモラと組み合い力比べをするサソリガドラスの横に、インパルスが回り込んだ。
サイバーゴモラがサソリガドラスのハサミに挟まれて、締め付けられる。
「ゴモラ!」
アスナが叫んで、ルナマリアがサソリガドラスに狙いを向ける。インパルスがビームライフルを発射して、サソリガドラスの頭の角を撃ち抜いた。
力の源である角を破壊されて、サソリガドラスの力が弱まった。サイバーゴモラが反撃に出て、サソリガドラスを爪で切りつける。
さらにサイバーゴモラが前転しての尻尾攻撃を、サソリガドラスの頭に命中させる。サソリガドラスが突き飛ばされて倒される。
「ゴモラ、サイバー超震動波よ!」
アスナの呼びかけを受けて、サイバーゴモラがサソリガドラスに突撃を仕掛ける。サイバーゴモラが頭の角をサソリガドラスの体に突き立てて、超震動波を放つ。
ゴモラの放つ震動波は、本来は地中を掘り進むためのものであるが、攻撃にも使える力で、光線のように放つことも相手に直接注入することもできる。
サイバーゴモラの超震動波でダメージをふくらませて、身動きが取れなくなる。
「オレたちもやれるだけやってみよう、マコト兄ちゃん!」
「指をくわえて見ているなど、オレたちらしくないからな!」
タケルが呼びかけて、マコトが答える。2人もサソリガドラスに攻撃を加えようとした。
“ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!”
“ダイカイガン!スペクター!オメガドライブ!”
2人が足にエネルギーを集めてジャンプする。タケルたちのキックを頭に受けたことで、サソリガドラスが決定打を受けて力尽きた。
サソリガドラスが押されて、爆発して消滅していった。
「やった!」
アスナが喜びの声を上げて、ルナマリアとタッチをした。
「オレたちの力、あんなバケモノにも十分通じるな。」
「あんなのに暴れられたら大変だけどね・・」
マコトも笑みをこぼして、タケルが苦笑いを見せる。彼らもサソリガドラスの撃退に成功した。