ザ・グレイトバトル外伝
無双戦隊フォースレンジャー
第7章
グレートワルズを破壊されたワルズだが、辛くも脱出していた。
「おのれ、愚か者どもめ・・だがこれで諦める僕ではないぞ・・・!」
ワルズが蓮斗たちに対していら立ちをふくらませていく。
「1度ギガントホースに戻り、新たな力をもらい受ける!たとえグレートワルズほどでなくとも・・!」
「それでみんなを困らせるつもりなら、そうはいかないぞ!」
アクドスたちと合流しようとしたワルズに向かって声がかかった。振り返った彼の前に、それぞれ違う色のスーツとマスクを身に着けた5人の戦士がいた。
「お前たち、何者だ!?あの戦隊というヤツらの仲間か!?」
「戦隊っていうならその通りだ!」
ワルズが問いかけて、戦士の1人が答える。
「お前は宇宙帝国ザンギャック。その皇帝の息子のワルズ・ギルだね。」
「アンタたちのことも、他の戦隊の敵も知ってるんだからね!」
「また出てきたとしても、侵略や破壊をするならば容赦しない・・!」
「戦隊の先輩に代わって、私たちがあなたたちを倒します!」
他の戦士たちもワルズに向かって言い放つ。
「生意気なヤツらが・・えーい、名を名乗れ!」
ワルズがいら立ちを浮かべて、戦士たちを問い詰める。
「先手必勝!ビクトレッド!」
「明鏡止水!ビクトブルー!」
「電光石火!ビクトイエロー!」
「一騎当千!ビクトグリーン!」
「誠意誠心!ビクトピンク!」
戦士たち、ビクトレッド、ビクトブルー、ビクトイエロー、ビクトグリーン、ビクトピンクが名乗りを上げてポーズを決めた。
「必勝戦隊、ビクトレンジャー!」
ビクトレッドたちが声を揃えてポーズを決めた。新たなるスーパー戦隊「必勝戦隊ビクトレンジャー」が、ワルズの前に現れた。
「ビクトレンジャー!?またふざけたヤツらが出てきたか!」
ワルズがビクトレッドたちへの苛立ちをふくらませて、手を強く握りしめる。そこへゴーミンたちが駆け付け、ワルズの護衛に回った。
「丁度いいところに来た!あの反逆者を始末しろ!」
ワルズが笑みをこぼして、ゴーミンたちをけしかける。
「みんな、行くぞ!」
「OK!」
ビクトレッドが呼びかけて、ビクトブルーたちが答えた。彼らがゴーミンたちを迎え撃つ。
ビクトレッドが果敢に立ち向かい、パンチとキックを当ててゴーミンたちを打ち倒していく。
ビクトブルーが大勢のゴーミンたちに押し寄せられるが、正確に数人を転ばせたことでかいくぐっていく。
ビクトイエローがゴーミンの動きを見抜いて、すばやくかわして反撃を当てていく。
ビクトグリーンが迫るゴーミンたちに正確に打撃を当てて、さらに投げ技も仕掛けていく。
ビクトピンクが冷静にゴーミンの攻撃に対処して、うまく回避と反撃をしていく。
「何をしている!遠くから銃撃しろ!」
ワルズが不満を込めて命令して、ゴーミンたちが銃を発砲した。ビクトレッドたちが銃撃を回避する。
「銃ならこっちも銃だ!」
ビクトブルーが呼びかけて、ビクトレッドたちが頷いた。
「ビクトレーザー!」
“ビクトレーザー!ガンモード!”
彼らが武器「ビクトレーザー」を呼び出して、銃型の「ガンモード」に変形させた。
「シュート!」
ビクトレッドたちがビクトレーザーを発射して、ゴーミンたちに命中させた。
「このー、役立たずどもが!僕がやる!」
転がってきたゴーミンの1人を蹴り飛ばして、ワルズが剣を持ってビクトレッドたちに向かっていく。
“ソードモード!”
ビクトレッド、ビクトイエロー、ビクトグリーンがビクトレーザーを剣の「ソードモード」に変えて、ワルズに向かっていく。
ワルズが振りかざす剣を、ビクトグリーンがはねのける。その直後にビクトレッドとビクトイエローがビクトレーザーで切り付けた。
「ぐあぁっ!」
ワルズが絶叫を上げて、切られた体に左手を当てる。
「貴様らも・・僕の体に傷を・・・!」
「これで決めるぞ、みんな!」
ワルズが怒りで体を震わせてビクトレッドがビクトブルーたちに呼びかける。
「みんな、スーパー戦隊の力を借りよう!」
ビクトレッドが提案して、アイテム「ビクトリーダー」と「レンジャーメモリー」を取り出した。レンジャーメモリーはビクトレンジャーに変身するものの他、歴代のスーパー戦隊の力を宿っているものもある。
「ビクトリード!」
ビクトレッドがゴレンジャーのレンジャーメモリー「ゴレンジャーメモリー」をビクトリーダーの右上のスロットにセットした。
“ビクトリード・ゴレンジャー!”
彼の手元にゴレンジャーのアカレンジャーの武器である鞭「レッドビュート」が現れた
「ビクトリード!」
ビクトブルーが「特捜戦隊デカレンジャー」のレンジャーメモリー「デカレンジャーメモリー」をビクトリーダーのスロットにセットした。
“ビクトリード・デカレンジャー!”
彼の手に警棒「ディーロッド」が現れた。
「ビクトリード!」
ビクトイエローが「炎神戦隊ゴーオンジャー」の力を宿した「ゴーオンジャーメモリー」をビクトリーダーのスロットにセットした。
“ビクトリード・ゴーオンジャー!”
彼女の手に銃「マンタンガン」が現れた。
「ビクトリード!」
ビクトグリーンが「侍戦隊シンケンジャー」の「シンケンジャーメモリー」をビクトリーダーのスロットにセットした。
“ビクトリード・シンケンジャー!”
彼の手に刀「シンケンマル」が現れた。
「ビクトリード!」
ビクトピンクが「星獣戦隊ギンガマン」の「ギンガマンメモリー」をビクトリーダーのスロットにセットした。
“ビクトリード・ギンガマン!”
彼女の手元に自在剣「機刃(きば)」の1つ「キバアロー」が現れた。
ビクトレンジャーはレンジャーメモリーによって、スーパー戦隊の武器を呼び出していた。
「また小賢しいマネを!」
ワルズがいら立ちをふくらませて、ビクトレッドたちに飛びかかる。
「マンタンガン!」
「キバアロー!」
ビクトイエローとビクトピンクがマンタンガンとキバアローを構えて、ビームと光の矢を放つ。ワルズが2人の射撃を体に受けて押される。
「レッドビュート!」
ビクトレッドがレッドビュートを振りかざして、ワルズの剣を持つ右腕に巻き付けた。
「ディーロッド!」
「シンケンマル!」
ビクトブルーとビクトグリーンがワルズに飛びかかって、ディーロッドとシンケンマルを振りかざす。2人の打撃と斬撃で、ワルズが突き飛ばされた。
「おのれ・・この僕をここまで・・・!」
ダメージが大きくなって、ワルズがふらつく。
「みなさん、次で終わりにしましょう。」
「OK!」
ビクトピンクが呼びかけて、ビクトレッドたちが答えた。彼らが再びビクトレーザーを手にした。
「レンジャーメモリー、セット!」
“ビクトチャージ・ビクトシュート!”
ビクトブルーとビクトピンクがガンモードのビクトレーザーのグリップの下ににレンジャーメモリーをセットした。
“ビクトチャージ・ビクトスラッシュ!”
ビクトレッド、ビクトイエロー、ビクトグリーンがソードモードのビクトレーザーの柄の下に、レンジャーメモリーをセットした。
ビクトレーザーの銃口と刀身にエネルギーが集まっていく。
「ビクトレーザー・スラッシュシュート!」
ビクトレッドたちがガンモードのビクトレーザーから光の球を発射して、直後にソードモードのビクトレーザーを振って光の刃を飛ばした。
「ぐあぁっ!」
ワルズが光の球と刃を受けて、絶叫を上げた。
「僕は不滅だ・・ザンギャックは不滅だ・・・!」
ワルズが断末魔を上げて、倒れて爆発した。
「やった!あたしたちの勝ちだね!」
ビクトイエローが喜んで、ビクトピンクが微笑んだ。
「オレたちのここでの戦いはここまでだな・・」
「うん。僕たちは戻ることにしよう。」
ビクトグリーンとビクトブルーが自分たちの世界に帰ろうとした。
そのとき、ビクトレッドたちの前に、1つの光が飛んできた。ビクトレッドが捕まえると、光はレンジャーメモリーに変わった。
「これは、ドンブラザーズの・・みんなもこっちに来てたんだな!」
「その力がメモリーになって、私たちに伝わったのですね。」
ビクトレッドとビクトピンクが「ドンブラザーズメモリー」を見て微笑む。
「こうして力を貸してくれるなら、受け取ることにするよ。」
ビクトレッドはドンブラザーズメモリーを受け取って感謝した。彼らはザンギャックとの戦いを蓮斗たちに任せて、光のトンネルを通って、自分たちの世界に戻っていった。
刹那とキオが加勢して、ダブルオークアンタとAGE-FXがバキシムとルナチクスを迎え撃つ。
「ヤツらは植え付けられた命令通りに動くだけだ。対話は通じない。」
「倒さないと、たくさんの人が犠牲になるってことですね・・・!」
刹那が超獣のことを語って、キオが聞き入れる。敵味方問わず命が失われていくことをよく思わないキオだが、バキシムたちを倒すことに納得するしかなかった。
バキシムが前に出した両手からロケット弾を連射した。刹那たちが反応し、ダブルオークアンタとAGE-FXが動いて回避する。
ダブルオークアンタがバキシムに、AGE-FXがルナチクスに向かっていく。
バキシムがロケット弾を連射するが、ダブルオークアンタが盾「GNシールド」で射撃を防ぐ。直後にダブルオークアンタは、GNシールドから武装「GNソードビット」を射出して、バキシムにぶつけた。
バキシムが口からもミサイルを放つが、GNソードビットの突撃で破壊される。直後にダブルオークアンタがGNシールドに搭載されていたGNビームガンを発射して、バキシムの口に命中、爆発させた。
バキシムが切り札である角をミサイルにして発射した。
「トランザム!」
刹那がダブルオークアンタに搭載されている機能「トランザム」を発動した。赤い輝きを発したダブルオークアンタの姿がバキシムの前から消えて、直後に角が切り裂かれて爆発した。
トランザムは短時間だが機体のスピードを引き上げる機能だが、ダブルオークアンタのトランザムは目にも留まらないスピードだった。
ダブルオークアンタがGNソードでバキシムの体を連続で切り裂いた。致命傷を負ったバキシムが倒れて爆発した。
ダブルオークアンタが止まって、刹那がAGE-FXに目を向けた。
AGE-FXが銃「スタングルライフル」を持って射撃してけん制する。しかしルナチクスは周りの地面にビームが当たっても動じていない。
ルナチクスが口から火炎を吐く。AGE-FXが加速してかわして、ルナチクスに近づいていく。
その瞬間、ルナチクスが口から熱風を噴射した。AGE-FXが熱風を浴びて押し返される。
「僕はみんなを守るんだ・・この世界のみんなも!」
キオが言い放つと、AGE-FXの胴体から光が発せられた。エネルギーを解放して突撃するAGE-FXの機能「FXバーストモード」である。
光は刃の形になって、AGE-FXが加速してルナチクスに突っ込んだ。ルナチクスが刃に切られるように突撃を受けて、さらに上空に持ち上げられた。
大気圏の外に出たところで、AGE-FXがバーストモードを解除した。その直後にルナチクスが目玉を爆弾として飛ばしてきた。
「Cファンネル!」
AGE-FXが端末「Cファンネル」を射出して、突撃して爆弾を爆破する。続けてファンネルがルナチクスにぶつかっていく。
「これで、終わりだ!」
キオが叫んで、AGE-FXが再びバーストモードになってルナチクスに突っ込んだ。決定打を受けたルナチクスが爆発して、AGE-FXが地球に戻っていく。
「みんなのところに戻って、戦いを止めなくちゃ・・!」
キオは刹那たちと合流するため、AGE-FXを加速させた。
ゼロの動きを見抜いていくリボンズ。リボーンズガンダムがゼロに近づいて、ビームサーベルを振りかざす。
ゼロは頭部にある2つの刃「ゼロスラッガー」を手にして、ビームサーベルを防いでいく。
「さすがの戦闘能力だ。しかし最強のウルトラ戦士でも、僕とリボーンズガンダムには及ばないよ。」
リボンズは余裕の態度を変えず、リボーンズガンダムが左手にバスターライフルを持って発射した。ゼロが反応して後ろに下がって回避するが、リボーンズガンダムが端末「GNフィンファング」を射出して彼を包囲した。
「ファンネル・・いや、ファングか。オレもスラッガーを自由に動かして攻撃できるんだ。そんなものでオレを倒そうなんて、2万年早いぜ!」
ファングのことを知っていたゼロが、リボンズに強気に言い放つ。リボーンズガンダムがファングをけしかけるが、ゼロはゼロスラッガーを投げてはじいていく。
「もちろんこれはけん制にすぎない・・」
リボンズはそれも予測していて、リボーンズガンダムがゼロに突っ込んだ。
「ぐっ!」
ゼロが地面に押し付けられてうめく。彼が押しのけようとするが、リボーンズガンダムの力が強く立つことができない。
「この力と加速なら、さすがの君も簡単には押し返せないだろう?」
「それはどうかな・・!」
笑みをこぼすリボンズに、ゼロが言い返す。
ゼロが力を振り絞って、リボーンズガンダムを押し返す。彼は左腕に装備している「ウルティメイトブレスレット」に意識を傾けた。
「ストロングコロナゼロ!」
ウルティメイトブレスレットから赤い輝きが放たれる。ゼロの体の青色が赤に変わり、赤が主体となった。
ウルティメイトブレスレットにはダイナとウルトラマンコスモス、2人のウルトラ戦士の力が宿っている。ゼロの別形態「ストロングコロナゼロ」は、ダイナのストロングモードとコスモスの「コロナモード」の力を備えた攻撃力重視の姿である。
ゼロが立ち上がりながら、リボーンズガンダムを持ち上げた。
「ウルトラハリケーン!」
彼はその状態から回転して竜巻を起こして、リボーンズガンダムを空高く舞い上げた。
「ガルネイドバスター!」
ゼロは拳を上に上げて、熱エネルギーを込めた光線を発射した。
「バスターライフル、最大出力!」
リボーンズガンダムがバスターライフルを発射して、ゼロの光線とぶつけ合って相殺した。
「ガルネイドバスターを破るとは!」
「僕とリボーンズガンダムを甘く見ない方がいいよ。そうであっても君に勝ち目はないけどね。」
毒づくゼロにリボンズが余裕を見せる。
「トランザム。」
リボーンズガンダムがトランザムを起動して、ゼロに高速で迫る。
「ぐっ!」
リボーンズガンダムにビームサーベルに連続で切り付けられて、ゼロがダメージを負っていく。
「トランザム・・スピードが格段に跳ね上がっている・・!」
ゼロがリボーンズガンダムの高速を痛感する。
「トランザムを使わせたことは褒めておくよ。でもこれで僕の方が上だと理解したはずだ。」
リボンズが勝ち誇って、リボーンズガンダムがさらに攻め立てる。
「まだまだオレたちの力を甘く見ているな、お前は!」
ゼロが言い返して、ウルティメイトブレスレットに意識を傾けた。
「ルナミラクルゼロ。」
ゼロの体の赤が青に変わった。彼はダイナの「ミラクルモード」とコスモスの「ルナモード」の力を宿した「ルナミラクルゼロ」となった。
「ミラクルゼロスラッガー。」
ゼロが放ったゼロスラッガーが2本から大量に分裂した。高速で動くリボーンズガンダムが、ビームサーベルでゼロスラッガーをはじいていく。
次の瞬間、ゼロがリボーンズガンダムの眼前まで詰め寄って、その胴体に手を触れてきた。
「いつの間に・・!?」
「レボリウムスマッシュ。」
リボンズが目を見開いた瞬間、ゼロが手から衝撃波を発した。リボーンズガンダムが衝撃波で吹き飛ばされて、そのダメージでトランザムが解除された。
「今のゼロは、リボーンズガンダムの力を封じたというのか・・!?」
リボーンズガンダムの動きが鈍って、リボンズがいら立ちを覚える。
「次で決める・・・!」
ゼロが1度元の姿に戻って、ウルティメイトブレスレットに意識を傾けた。ブレスレットが光り輝いて、彼は銀の鎧「ウルティメイトイージス」を身にまとった「ウルティメイトゼロ」となった。
「ウルティメイトゼロソード!」
ゼロが右腕から剣「ウルティメイトゼロソード」を伸ばして、リボーンズガンダムに向かっていく。ウルティメイトゼロソードとビームサーベルが激しくぶつかり合う。
そしてウルティメイトゼロソードが、ビームサーベルをリボーンズガンダムの手からはじいた。
「何っ!?」
リボンズが驚きの声を上げた直後、ウルティメイトゼロソードがリボーンズガンダムの左腕を切り裂いた。
「僕がここで終わるわけがない・・僕が、全てを正しく導くのだ・・・!」
リボンズがゼロに対するいら立ちをふくらませていく。
「お前の思い通りになるほど、どの世界も馬鹿げちゃいない!」
ゼロが言い返して、リボーンズガンダムから離れてウルティメイトイージスを展開して、弓矢の形の「ファイナルウルティメイトゼロモード」にした。
「受けてみろ、リボンズ・アルマーク!これが世界の光だ!」
ゼロが集めた光を矢の形にして放った。リボーンズガンダムが光の矢に貫かれて、爆発を起こした。
「僕がいなければ・・世界は・・・」
リボンズが爆発の光の中に消えていった。
「人間も宇宙人も関係ない。悪いヤツらの悪だくみが成功することはないんだよ!」
ウルティメイトイージスをウルティメイトブレスレットに戻して、ゼロがひと息ついた。
「ゼットもトリガーもやれるはずだよな・・・!」
ゼロがトリガーたちの信じて、ザンギャックを止めに向かった。
エースキラーが進化したゼットキラーに、ゼットは苦戦を強いられていた。
「とんでもない力だ・・しかもこっちの技も能力も使ってきてる・・!」
ゼットと一体化している青年、ナツカワ・ハルキが危機感をふくらませる。
ゼットキラーが両腕を動かして、十字に組んで光線を発射した。ゼットの技であるゼスティウム光線をコピーして使った。
「ゼスティウム光線!」
ゼットもゼスティウム光線で迎え撃つ。2人の光線がぶつかり合うが、ゼットがゼットキラーに押し切られる。
「やっぱり今のままじゃダメか・・!」
互角どころか力負けしていることに、ゼットが危機感を覚える。
「まだッス、ゼットさん!こっちはまだ全力全開ッス!」
ハルキが諦めずに、ゼットを励ます。
「そうだな!オレたちはまだまだこれからだ!」
ゼットが気を引き締めなおして構えを取った。
「行くッスよ、ゼットさん!」
ハルキがゼットに呼びかけて、アイテム「ウルトラメダル」の1種「ライズウルトラメダル」を3枚取り出した。ゼロの強化形態「ゼロビヨンド」の「ゼロビヨンドライズメダル」、ジードの「ジードライズメダル」、ウルトラマンベリアルの進化した「ベリアル・アトロシアス」の「ベリアルアトロシアスメダル」である。
「闇をのみ込め、黄金の嵐!ゼロ師匠!ジード先輩!ベリアル!」
“Zero Beyond,Zeed,Belial atrocious.”
ハルキが3枚のウルトラメダルをアイテム「ウルトラゼットライザー」にセットして、リードしていく。
「押忍!ご唱和ください、我の名を!ウルトラマン、ゼーット!」
「ウルトラマン、ゼーット!」
ゼットの掛け声とそろえて、ハルキが高らかに掲げたウルトラゼットライザーのトリガーを押した。
“Ultraman Z,Delta rise claw."
ゼットの体が赤、青、金のカラーリングとなり、上半身も鎧のような装甲が現れた。彼は最強形態「デルタライズクロー」となった。
そしてハルキの手にベリアルを模した剣「ベリアロク」が現れた。
「あんなモノマネヤローに何手こずってるんだ?」
ベリアロクに宿っているベリアルが、ハルキとゼットに呆れる。
「悪かったッスね・・けど、もう情けないオレたちじゃない!あのウルトラキラーもヤプールも、これからブッ倒してやる!」
ハルキが不満げになりながらも、決意を新たにする。
「その意気だ。面白くなりそうだな・・!」
ベリアルが笑みをこぼして、ゼットキラーとの戦いを期待する。
ゼットキラーがゼットと同じ構えを取る。しかしハルキと同じくベリアロクを手にしているゼットと違い、ゼットキラーにはベリアロクはない。
ゼットがゼットキラーに向かっていって、ベリアロクを振りかざす。武器を持たないゼットキラーが、ベリアロクに斬りつけられていく。
ゼットキラーが再びゼスティウム光線を発射した。ハルキがベリアロクのトリガーを1回押した。
「デスシウムクロー!」
ゼットがベリアロクから赤黒い爪の形のエネルギーを発して、ゼットキラーを押さえた。そのはずみでゼットキラーの体制が崩れて、光線がゼットから外れた。
ゼットキラーが体を回転させて、ゼットに突っ込んできた。ハルキがベリアロクのトリガーを2回押した。
「デスシウムファング!」
ベリアロクからベリアルの顔の形の光が飛び出して、ゼットキラーに噛みついた。ゼットキラーが返り討ちにされて、体から火花を散らす。
「さっさととどめを刺してしまえ!」
「言われなくても!」
ベリアルが命令して、ハルキが言い返す。
ハルキがベリアロクのトリガーを3回押した。ベリアロクから巨大な光の刃が伸びた。
「デスシウムスラッシュ!」
ゼットがベリアロクを振り下ろして、光の刃がゼットキラーの体を切り裂いた。ゼットキラーが倒れて、木っ端微塵に吹き飛んだ。
「やった!やったぜ、ハルキ!」
「押忍!」
ゼットとハルキが喜びの声を上げる。
「フン。なかなかやるじゃないか。その調子でオレを楽しませてくれよな。」
ベリアルが2人に対して強気に言った。
エースと戦っていたヤプールだが、ゼットキラーたちが敗れたことに気付いた。
「まさか、超獣たちが敗れるとは・・おのれ、ウルトラ戦士・・・!」
ヤプールが毒づいて、エースに視線を戻す。
「オレたちの強さを甘く見るな!お前が何を企もうと、オレたちが必ずその野望を打ち砕く!」
エースが言い放って構えを取る。
「愚か者め。私は怨念の塊。ウルトラ戦士への恨みによって私は強くなり、倒されて蘇る度に、恨みも力も強くなるのだ。」
ヤプールが勝ち誇ってエースをあざ笑う。
「お前が恨みによって強くなるなら、オレたちは正義と心で強くなる。その強さは、お前の持つ力を上回る!」
エースが本当の強さを口にする。かつてのヤプールや超獣たちとの戦いの中で経験したことを思い返していた。
「怨念よりも強い力はない。お前たちの戦いは永遠に続く・・お前たちが滅ぼるまでは・・・!」
ヤプールが言い放って、左手から光線を放つ。エースがジャンプしてかわして、そのまま飛行してヤプールに近づいていく。
ヤプールが続けて左手から三日月状の光の球を連射する。エースは旋回して球をかわして、額にある「ウルトラスター」から光線「パンチレーザー」を発射した。
ヤプールは左手を振りかざして、レーザーをはじいた。
「ウルトラギロチン!」
エースが刃のある光の輪「ウルトラギロチン」を連射した。ヤプールが光の輪をかわすが、エースが詰め寄って組み付いてきた。
「人間は弱く愚かだ。我々に簡単に利用されるのだからな・・その人間を守ったところで、お前たちの戦いはムダでしかない。」
ヤプールが地球や数々の星の人々をあざ笑う。
「人の強さを見ようとしないお前に、人の可能性の大きさは分かりはしない!人類には、お前をも超える強さと優しさがある!」
エースがヤプールに向かって、人々への信頼を言い放つ。
「弱い人、困っている人を労り、互いに助け合い、どの国や世界の人と友達になることができる!オレの、オレたちの願いは、長い時間の中で確実に叶っている!」
エースが自分が見出して人々に贈った願いを口にした。
かつてヤプールは友好的な宇宙人、サイモンに化けて子供たちを騙してエースを惑わした。この地球での最後の戦いの後、エースは子供たちに本当の優しさを伝えて地球を去った。
自分の変わらぬ願いがみんなに伝わっていることを、エースは実感していた。
「そんなことで、このヤプールに逆らうことは不可能だ!」
ヤプールがあざ笑って、エースを投げ飛ばす。エースは着地して、両腕を振りかぶってL字に組んで「メタリウム光線」を発射した。
ヤプールも右手を前に出して、赤黒い光線を出してメタリウム光線とぶつけ合う。
「我が怨念に勝る力はない!ウルトラマンエース、お前たちには敗北以外の末路しかない!」
「お前のように、人の心を利用する悪には決して屈しない!オレもみんなも!」
勝ち誇るヤプールに言い返して、エースが力を込める。正義、優しさ、信じる心が彼の背中を押していた。
エースの光線が徐々にヤプールの光線を押していく。
「バカな!?エースの力が、これほどまでに上がるとは・・!」
ヤプールが押されて驚きを隠せなくなる。エースの光線がヤプールに直撃した。
「ぐおぉっ!・・お前たちの絶望は終わらん・・我々の怨念は消えることはない・・怨念ある限り、我々は何度でもよみがえる・・ヤプールは不滅なり・・・!」
絶叫と断末魔を上げて、ヤプールが倒れて、霧のように消滅した。
「たとえお前が何度よみがえっても、オレたちは何度でもお前を倒す。たとえオレたちの世代でこの戦いを終わらせられなかったとしても、オレたちの意思を継ぐ者が戦い、いつか必ず決着をつける・・!」
これからも戦う覚悟と未来への希望を確信するエース。
「そして戦士の意思と強さは、今も引き継がれている・・・!」
彼はトリガーとティガに目を向けてから、ザンギャックとの戦いに加勢した。