ザ・グレイトバトル外伝
無双戦隊フォースレンジャー
第６章
一輝とモモタロスがそれぞれリバイスとクライマックスフォームに変身して、ワイズマンと対峙した。
「その姿がお前たちの希望の姿か。だがそれでもお前たちの希望が叶うことはない。」
ワイズマンは口調を変えずに一輝たちに告げる。
「みんなを守るっていうのが希望なら、オレたちが必ず叶える！オレたちの世界も、この世界も守る！」
「あぁ！オレたちの未来もな！」
一輝が決意を口にして、モモタロスが頷いた。
「これは、先輩らしくないノリだね。」
「新しい友情ってヤツか！これは泣けるで！」
「ワーイ♪面白くなってきたー♪」
電王のスーツのパーツになっているウラタロス、キンタロス、リュウタロスが声を上げる。
「よっしゃー！いくぜ、いくぜ、いくぜー！」
モモタロスが高らかに言って、ワイズマンに向かっていく。
「オレたちも行くぞ、バイス！」
“おう！”
一輝が掛け声を上げて、バイスが答える。一輝もモモタロスに続いていって、ワイズマンに戦いを挑む。
一輝とモモタロスが繰り出すパンチを、ワイズマンは瞬間移動の魔法を使って回避していく。
「くっそー！チョコマカ逃げ回りやがってー！」
“落ち着いて、モモタロス・・速く動くなら捕まえればいいんだよ・・・！”
いら立ちを見せるモモタロスに、良太郎が注意を投げかける。
「そうか！よーし、いくぜー！」
モモタロスが頷いて、ワイズマンの出方を伺う。
「仕掛けてこなければ、勝てる戦いも勝てはしないぞ。」
ワイズマンが冷静に言って、魔法陣を通じて一輝たちに向けて手を伸ばした。
「うっ！」
モモタロスがワイズマンの巨大な手に叩かれるが、耐えてその手をつかんで止めた。
「今だ、リバイス！」
「分かった！」
モモタロスが声を掛けて、一輝が頷いた。
“そのまま放すなよ！”
バイスが言い放って、一輝がローリングバイスタンプを近づけて、サンダーゲイルバイスタンプを読み込ませる。
“サンダーゲイル！”
“エナジー！”
“バババ・バーイス！バババババッバ・バーイス！・・”
彼がローリングバイスタンプのトリガーを押した。
“ペインティングフィニーッシュ！”
一輝がローリングバイスタンプを振りかざして、自分の分身を描いて実体化させた。多数のリバイスが一斉にワイズマンに向かっていく。
モモタロスに右手を止められているワイズマンが、左手で魔法陣を出して防ごうとする。しかし一輝の分身の突撃を防ぎ切れず、彼は体勢を崩していく。
そこへ一輝自身も来て、パンチを繰り出してワイズマンに命中させた。
「おっと！」
同時にモモタロスがワイズマンの手を放した。ワイズマンが一輝のパンチで突き飛ばされて、仰向けに倒れた。
「へッ！やったな、リバイス！」
モモタロスが喜んで、一輝が頷いた。
「これでは私に一矢報いたに過ぎない。私にお前たちを倒さなければならないという使命感を植え付けることになった。」
ワイズマンが立ち上がって、上に向かって右手を掲げた。その手の上に巨大な光の球が現れた。
「えっ!?あれもあの人の魔法!?」
“あんなの跳ね返せねぇぞ！”
一輝が驚いて、バイスが声を荒げる。
「ビビってんじゃねぇぞ！オレたちの力なら、あんなもんには負けねぇ！」
モモタロスが彼らに向かって檄を飛ばす。
「やれやれ、飛ばしているね、先輩・・」
「でも僕たちは負けないのは間違いないね♪」
「オレたちの技に、アイツが泣いた！」
ウラタロスが呆れて、リュウタロスが喜び、キンタロスが満足げにしていた。
「行くぞ、おめぇら！リバイスも！」
モモタロスが呼びかけて、ライダーパスをターミナルバックルにかざした。
“Full charge.”
彼の右足にエネルギーが集まる。
“爆風爆雷GO！爆風爆雷GO！・・”
一輝がリバイスドライバーのレバーを２回倒して、オーインジェクターを回転させる。
“爆爆リバイストラーイク！”
彼の足にもエネルギーが集まる。
「行くぜ、オレたちの必殺技！」
モモタロスが言い放って、一輝とともにジャンプした。ワイズマンが彼らに向かって、光の球を放った。
一輝とモモタロスのキックとぶつかって、光の球が爆発した。その閃光を突き破って、２人がワイズマンの前に飛び出した。
一輝たちのキックを体に受けて、ワイズマンが大きく吹き飛ばされた。
「まさか私が、お前たちに倒されるとは・・・」
致命傷を負ったワイズマンが声を振り絞る。
「だがお前たちだけでは、いつか希望は潰える・・希望をもたらせるのは、この私だけ・・・」
一輝たちに告げて、ワイズマンが倒れて消滅した。
「希望をもたらすのは、その人１人１人だ・・オレたちも、蓮斗たちも・・」
一輝が自分たちの強さを実感して、スーパーフォースロボのいるほうへ振り向いた。
“悪魔のオレッチにも希望なんてもんがあんのか？”
「あぁ。悪魔は悪魔でも、お前はいい悪魔だからな、バイス。」
バイスが疑問を投げかけて、一輝が微笑んだ。
“いい悪魔か・・いいこと言ってくれるぜ、一輝！”
「浮かれるのは早いよ！まだオレたちにできることがあるはずだ！」
嬉しくなるバイスに檄を飛ばして、一輝がモモタロスとともに走り出した。
グレートワルズ、ヴェイガンギア・シドと三つ巴の乱戦を繰り広げる蓮斗たち。しかしグレートワルズたちの強力なパワーに、スーパーフォースロボは劣勢を強いられていた。
「このままじゃ周辺にも被害が及ぶよ・・！」
「私たちの持てる力の全てを使うしかありません・・！」
悠馬が危機感をふくらませて、モモが気を引き締める。
「あぁ・・みんな、オレたちに力を貸してくれ・・・！」
蓮斗がフォースチェンジャーを操作して、目の前に画面を出した。その中には様々なアイコンが表示されていた。
「レンジャーフォース！」
蓮斗が画面にあるアイコンの１つにタッチした。
“ファーストヒーロー！”
音声が発せられたと同時に、スーパーフォースロボに変化が起こった。両腕と頭部に赤、銀、緑のラインが入り、背中にはプロペラの付いたユニットが装備されていた。そのユニットの形状は、ゴレンジャーの戦闘機「バリブルーン」に酷似していた。
「スーパーフォースロボ・ファーストヒーロー！」
蓮斗たちが名乗りを上げて、スーパーフォースロボがポーズを決めた。初代ウルトラマン、仮面ライダー１号、ゴレンジャー、ガンダムの力を宿した「ファーストヒーロー」である。
「アイツ、また小賢しいマネを！」
ワルズがスーパーフォースロボを見て、不愉快を覚える。
「何をてこずっている、ワルズよ。」
そこへアクドスからの声が響いて、ワルズが緊張を覚える。
「お父様・・・！」
「倒すのだ、息子よ。我らに歯向かう者、従わぬ者は全て排除せよ。」
緊張を覚えるワルズに、アクドスが命じる。グレートワルズの周囲に、ギガントホースを始めとした戦艦が展開していた。
「目標、敵ロボット、及び乱入者。全艦、ワルズを援護しながら一斉攻撃だ。」
ドルズが命令を出して、戦艦がビームを発射した。ヴェイガンギア・シドが飛翔して回避して、ビームを発射して戦艦を撃ち落としていく。
「おのれ、ガラクタめ・・ならばこの僕が、あのロボットを破壊してくれる！」
ワルズがいら立ちを浮かべて、スーパーフォースロボに目を向ける。
「まずはお前と決着をつけるぞ！」
「身の程知らずが・・我らの偉大さを思い知るがいい！」
蓮斗が言い放って、ワルズが言い返す。
「ワルズアロー！」
グレートワルズが光の矢を連射する。スーパーフォースロボが飛翔して、スピードを上げて光の矢をかわしていく。
「スーパーフォースキック！」
上空に移動したスーパーフォースロボが急降下して、グレートワルズに向かってキックを繰り出した。
「ぐおっ！」
グレートワルズが蹴り飛ばされて、ワルズが衝撃に揺さぶられる。
「このグレートワルズに傷をつけたな・・！」
ワルズが憎悪を浮かべて、グレートワルズが胸部にエネルギーを集めていく。
「させないよ！」
新平が言い放って、スーパーフォースロボが右手を振り下ろして、刃の付いた光の輪「フォーススラッシュ」を放った。グレートワルズが横に動いて、フォーススラッシュを回避する。
その瞬間にスーパーフォースロボが右手を動かして光の十字を描く。
「スペシウムフォース！」
スーパーフォースロボが右手を十字に当てると、十字から光線が放たれた。
「ワルズギルティ！」
グレートワルズが胸部から光線を出して、スーパーフォースロボの光線とぶつけ合う。光線の衝突が衝撃を巻き起こして、周囲にいた戦艦が巻き込まれて爆発、撃墜していく。
「ものすごいパワーだよ！」
「あたしたちも何とかしないと・・！」
つよしとはるかが両者の激突を見て、声を荒げる。
「行くぞ、お供たち！」
タロウが呼びかけて、ロボタロウギア「ドンオニタイジンギア」を取り出して、ドンブラスターにセットした。
“よぉ～！”
音声の発するドンブラスターのスクラッチギアを、彼はさらに回していく。
“ドン！ドン！ドン！ドンブラコー！大合体！”
タロウたちが大きくなって、船に乗って波に乗る。
「ハッハッハー！いざ、大合体！」
“大合体！大合体！・・・”
タロウが掛け声を上げて、はるかたちとともに変形していく。タロウが胴体、はるかと翼が足、真一が両腕、つよしが肩になって合体した。
“完成・ドンオニタイジーン！”
「いざ、出陣！」
“よっ！銀河一！”
タロウたちが合体して、巨大ロボ「ドンオニタイジン」となった。
「ドンブラザーズ!?えっ!?桃井タロウは本部にいるはずなのに!?」
理穂がドンオニタイジンを見て驚く。
「オレたちも加勢する！このまま攻撃を続けろ！」
タロウが蓮斗たちに呼びかけて、ドンオニタイジンがグレートワルズに近づいていく。
「お前、まだ自分勝手なことを！」
「蓮斗、今はあのロボットを倒すのが先だ！桃井タロウのことは後だ！」
蓮斗がタロウに不満をあらわにするが、悠馬に呼び止められる。納得がいかなかった蓮斗だが、グレートワルズを倒すことに専念する。
「いくよー！キジミサイルー！」
つよしが叫んで、ドンオニタイジンが肩からミサイルを発射した。
「ぐおっ！」
グレートワルズがミサイルを受けて体勢を崩して、ワルズがうめく。その直後にグレートワルズが体勢を崩して、スーパーフォースロボの光線に押し切られた。
「お、おのれ、愚民ども・・グレートワルズをここまで傷つけ、この僕にここまで屈辱を与えおって・・・！」
ワルズがいら立ちをふくらませて、ドンオニタイジンに鋭い視線を向ける。
「今度は私にやらせてもらうよ・・！」
真一が言って、ドンオニタイジンがジャンプして、急降下してパンチを繰り出した。グレートワルズが後ろに動いて、パンチをかわした。
「逃がさないよ！」
はるかが言い放って、ドンオニタイジンが足を突き出して、連続でキックを繰り出した。
「ぐふっ！」
グレートワルズがキックを受けて押されて、ワルズが衝撃に揺さぶられる。
「小賢しい！」
ワルズが怒鳴って、グレートワルズが光の矢を連射する。ドンオニタイジンが背中にある２本の剣「キジンソード」を手にして、光の矢をはじく。
「アイツに任せっきりにしてたまるか！」
蓮斗がいきり立って、スーパーフォースロボを前進させる。
「フォースサーベル！」
スーパーフォースロボがフォースサーベルを手にした。
「スーパーフォースチャージ！」
フォースサーベルの刀身にエネルギーが集まっていく。
「スーパーフォースエクスプロージョン！」
スーパーフォースロボが振り下ろしたフォースサーベルから光の刃が放たれた。
「こしゃくな！ワルズギルティ！」
ワルズがスーパーフォースロボに気付いて、グレートワルズが光線を発射した。両者の攻撃がぶつかり合い、拮抗する。
「今だ！必殺奥義！」
タロウが掛け声を上げて、ドンオニタイジンが２本のキジンソードを組み合わせて巨大な刀にした。流れるように出てきた桃をキジンソードで突き刺して、大きな桃にする。、
「一騎桃千（いっきとうせん）・ドンブラパラダイス！」
ドンオニタイジンがキジンソードを振り下ろして、桃ごとグレートワルズを切り裂いた。
「ぐあぁっ！・・おのれ、愚民ども！」
ワルズが絶叫を上げながら脱出して、グレートワルズが倒れて爆発した。
「鬼退治、完了！」
ドンオニタイジンがキジンソードを２本に戻して、高らかに言い放った。
「スーパーフォースパンチ！」
そのとき、スーパーフォースロボがドンオニタイジンに向かって飛び込んで、エネルギーを込めたパンチを繰り出した。
「ち、ちょっと！何でー!?」
突然のことにはるかが驚く。
「その自己中心的な態度を改めない以上、桃井タロウ、お前を味方とは認めない！」
蓮斗がタロウに対して不満をぶつける。スーパーフォースロボに押し切られて、ドンオニタイジンの合体が解けた。
ドンロボタロウから変身も解けたタロウは、空中に現れた光のトンネルの中に吸い込まれた。ドンオニタイジンで戦い元に戻ったとき、彼は数秒動けなくなるのである。
「あー！タロウ、待ってー！」
「これでこの世界とおさらばか・・」
「やっとオレたちの世界に戻れる・・・」
「わー！みんなー！置いてかないでー！」
はるか、真一、翼、つよしがタロウについていくように、光のトンネルに飛び込んでいった。
「いいのですか、蓮斗さん？あの人たちを強制送還させてしまって・・」
モモが蓮斗が取った行動を気にする。
「はるかたちはともかく、桃井タロウは自分を絶対的な存在だとして周りを動かそうとする・・一方的に決めつけたり力ずくで従わせたりするのは、間違ったやり方だ・・・！」
「そうだな・・こっちも力ずくって感じになってよくないけど、こうでもしないとチームワークがムチャクチャになるかもしれない・・・」
蓮斗が自分の考えを口にして、悠馬が納得する。
「はるかちゃんたちには悪いことしちゃったよ・・また会うことがあったら、ちゃんと謝らなくちゃ・・・」
理穂がはるかたちのことを気にして落ち込む。
「オレもそんな気持ちだけど、向こうは黙って待ってはくれないだろうね・・」
新平が言って、ザンギャックの艦隊とヴェイガンギア・シドに目を向ける。
「このままアイツらを止めるぞ、みんな！」
蓮斗が呼びかけて、悠馬たちが頷く。スーパーフォースロボがヴェイガンギア・シドたちに向かっていく。
「次はこれでいきましょう！」
モモが画面を出して、アイコンを表示した。
「ＯＫ！レンジャーフォース！」
蓮斗がそのアイコンにタッチした。
“メガフォース！”
元の姿に戻ったスーパーフォースロボの胴体が、虹色の輝き始めた。その輝きが宿って、胴体も虹色になった。
「スーパーフォースロボ・メガフォース！」
蓮斗たちが高らかに名乗りを上げる。スーパーフォースロボはゾフィー、仮面ライダーフォーゼ、電磁戦隊メガレンジャー、ガンダムF91の力を宿した「メガフォース」となった。
「ザンギャックとその機体、これ以上暴れさせるか！」
蓮斗が叫んで、ヴェイガンギア・シドがスーパーフォースロボに振り向く。
「我が息子を手に掛けた愚か者の一味・・地獄の苦しみを思い知らせてやるぞ・・・！」
アクドスも蓮斗たちに向けて憎悪を傾ける。
そのとき、スーパーフォースロボたちのいる場所の空が、ガラスのように突然割れた。その先の異次元から、５体の巨大な怪物が現れた。
「あ、あれは異次元・・超獣まで出てきたのか!?」
悠馬が怪物たちを見て、緊張を覚える。
宇宙生物と他の動植物を合成させて生み出された「超獣」。５体の超獣はミサイル超獣ベロクロン、一角超獣バキシム、大蟻超獣アリブンタ、蛾超獣ドラゴリー、月超獣ルナチクスである。
「これだけ数を揃えているってことは・・・！」
「また出てきたみたいだ・・異次元人、ヤプールが・・・！」
理穂と悠馬が超獣を操る存在、ヤプールもいることを予測していた。
「次から次へと邪魔者が・・・父上、全て排除しますか？」
「無論だ。今出てきたヤツらも殲滅しろ。」
ドルズが問いかけて、アクドスは態度を変えずに命令する。
「全艦、敵全てを葬れ。攻撃の手を休めるな。」
ドルズが命令して、ザンギャックの艦隊がスーパーフォースロボやヴェイガンギア・シドだけでなく、ベロクロンにも攻撃を仕掛けた。
「これだけの数の相手をするのは、さすがにムチャだぞ・・」
「同士討ちさせた方が楽だけど、その間に被害が広がってしまう・・・！」
新平と悠馬がこの乱戦に焦りを感じていく。
「やるしかない・・オレたちがやるんだ！」
蓮斗が檄を飛ばして、スーパーフォースロボが果敢に立ち向かった。
蓮斗たちに言われて、体力の回復に専念していたケンゴ。蓮斗たちの戦いの激化や超獣の出現を目の当たりにして、彼は再び戦う決意を固めた。
「もう十分だ・・オレも行くよ！」
思い立ったケンゴが、スパークレンスを手にした。
“Ultraman Trigger,Multi type.”
彼がマルチタイプキーを取り出して起動させる。
“Boot up,Zeperion.”
ケンゴはスパークレンスのグリップにマルチタイプキーをセットした。彼は続けてスパークレンスを展開して、スパークレンスモードにした。
「未来を築く希望の光！ウルトラマン、トリガー！」
ケンゴはスパークレンスを高らかに掲げた。
“Ultraman Trigger,Multi type.”
彼はトリガー・マルチタイプに変身して、スーパーフォースロボたちの前に現れた。
「お待たせしました！ここからまたオレも戦います！」
「トリガー！」
ケンゴが呼びかけて、蓮斗が返事をする。トリガーがスーパーフォースロボと合流した。
「まずはあの怪獣たちを倒そう！あの体で暴れられたら大変だ！」
「怪獣じゃなくて超獣なんだけど・・」
ケンゴが呼びかけて、新平が呟いた。
「でもあれだけの数だ・・骨が折れそうだ・・・！」
悠馬が呟いて、勝利たちとともに危機感を感じていた。
そのとき、空から光線が飛び込んで、ベロクロンたちの進行を阻んだ。
「この光は・・・！」
蓮斗が声を上げて、光線の飛んできた方に目を向けた。上空に５人の巨人が姿を現した。
「あれは、ウルトラマン・・！」
ケンゴがその巨人たちを見て、戸惑いを覚える。その５人はウルトラセブン、ウルトラマンエース、ウルトラマンティガ、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンゼロ。トリガーと同じウルトラ戦士である。
「みんな、ここからはオレたちも参加するぜ！」
「事情も状況も理解している。我々もこの世界を守るために戦うぞ。」
ゼロとセブンが蓮斗たちに呼びかける。
「ありがとうございます！よろしくお願いします！」
ケンゴが挨拶して、ベロクロンたちに視線を戻した。
そのとき、再び空が割れて、新たに２人の巨人が飛び出してきて、地上に落下した。
「あれは・・！」
「ジード！ゼット！」
ティガが声を上げて、ゼロが２人の巨人、ジードとゼットに向かって叫ぶ。
「どうしたんだ、２人とも!?」
ダイナがゼットたちに声を掛けたときだった。その空の割れ目からもう１人、巨人が現れた。
「あれはエースキラー！」
「まさか、またウルトラ戦士の力をコピーしたのか!?」
エースとセブンが巨人、異次元超人エースキラーを見て身構える。エースキラーは元々エース打倒のためにヤプールが生み出して、彼の兄４人の能力と武器を奪い取ったロボット超人である。
「その通りだ、ウルトラマンエース。かつてエースキラーと呼ばれていたヤツに、ウルトラマンゼットのデータを組み込んだのだ。ゼットキラーと呼ぶことにしよう。」
エースたちに向けて不気味な声が響き渡る。
「やはりお前だったか、ヤプール！」
エースが言い放つと、１人の男が姿を現した。超獣を生み出して宇宙の支配を企んだ異次元人、ヤプールである。
「すいません、師匠・・アイツ、オレの技を使ってきて・・！」
ゼットが立ち上がって、ゼロに状況を話す。
「自分と同じ技を使うからといって慌てんな！同じ技を使うということは、その対処法も分かっているはずだ！」
「は、はい・・すいません・・・！」
ゼロが檄を飛ばして、ゼットが謝る。
「それにしても、ヤプールは何度もよみがえってきますね・・！」
ジードも立ち上がって、ヤプールの復活に毒づく。
ヤプールはエースによって倒された。しかしその後に何度も復活を果たして、ウルトラ戦士によって倒されてきた。
「私は異次元人にして、怨念の塊。お前たちウルトラ戦士への恨みが消えることはなく、故に私は何度でも蘇るのだ・・！」
ヤプールが語りかけて、ゼットたちをあざ笑う。
「ならばオレたちが何でも倒すまでだ！ヤプール、お前のような悪魔を！」
エースが言い放って、セブンたちとともに構えを取った。
「トリガー、君のことは聞いている。我々もこの世界と宇宙を守るために戦う。」
「一緒に戦おう、トリガー！」
セブンとティガがケンゴに向かって声を掛けてきた。
「はい！よろしくお願いします！」
ケンゴが答えて、スーパーフォースロボとともにゼットたちと合流した。
「我らの支配に逆らう愚か者どもが・・ここで我らが一掃してくれる。」
アクドスがヤプールたちもゼットたちも敵と認識して、ドルズが艦隊に攻撃の指示を送った。
「みなさん、行きますよ！本当の戦いは、ここからだぜ！」
ダイナが呼びかけて意気込みを見せる。
「行け、ゼットキラー、超獣たちよ！」
ヤプールが命令して、ゼットキラーたちをけしかけた。蓮斗たちとザンギャック、ヴェイガンギア・シド、ヤプールたちが入り乱れて、混戦が激化した。
ベロクロンが体にある突起からロケット弾を発射する。セブンは飛行しながら光の壁「ウルトラバリヤー」でロケット弾を防ぎながら、ベロクロンに接近する。
ベロクロンが口からミサイルを発射する。セブンは頭にあるブーメラン「アイスラッガー」を投げつけて、ミサイルを切り裂いた。
ミサイルの爆発に向かって、ベロクロンは口から火炎を放ってセブンを焼き尽くそうとした。その火炎を突き抜けて、ベロクロンの左わき腹を斬りつけた。
ベロクロンが体勢を崩して、炎から離れていたセブンがアイスラッガーを戻して着地した。
ベロクロンが再び火炎を吐こうと口を開いた。その瞬間を見逃さず、セブンが額のビームランプから「エメリウム光線」を発射して、ベロクロンの口に命中させた。
セブンは続けて両腕をＬ字に組んで、光線「ワイドショット」を放った。光線を体に受けたベロクロンが、倒れて爆発した。
ドラゴリーに対して果敢に挑むダイナ。力の強いドラゴリーが接近して、ダイナをつかんで地面に叩きつける。
「ものすごいパワーだ、コイツは・・！」
ドラゴリーに押さえつけられて、ダイナがうめく。
「こうなったら・・！」
ダイナは力を振り絞って、足を上げてドラゴリーをはねのけた。立ち上がった彼は両腕を十字に組んで意識を集中する。
するとダイナの体の青が赤に変わった。彼は通常の「フラッシュタイプ」からパワー重視の「ストロングタイプ」となった。
ドラゴリーが近づいて力押しを仕掛ける。しかしダイナは少し押されただけで、逆にドラゴリーの突進を押さえ込んでいた。
ダイナがドラゴリーの手をつかんで、引っ張るように振り回して、その勢いで背負い投げをした。ドラゴリーが地面を転がって、立ち上がるもふらつく。
「ガルネイトボンバー！」
ダイナが赤い光の球を出して、右手のパンチで撃ち出した。光の球を受けたドラゴリーが、貫通されたように体の前後から火花を散らした。
「これで決める！ソルジェント光線！」
ダイナがフラッシュタイプに戻って、両腕を十字に組んで光線を発射した。ドラゴリーが光線を体に受けて、倒れて爆発した。
「よっしゃー！見たか、オレの超ファインプレー！」
ダイナが勝利したことで調子に乗った。だが次の瞬間、近くで爆発の音が響いて、彼が一瞬体勢を崩した。
「みんなも派手にやっているみたいだな・・！」
ダイナが周りを見て、気を引き締めなおした。
アリブンタが放つ蟻酸と火炎をかわして、ジードが近づいていく。
「レッキングリッパー！」
ジードが両手を水平に開いて、光の刃を放つ。刃が火炎と蟻酸を切り裂いて、アリブンタに命中した。
体勢を崩したアリブンタを跳び越えて、ジードが後ろに回った。振り返ったアリブンタの腕をつかんで、ジードはパンチとキックを叩き込んでいく。
ジードはアリブンタの首をつかんで走り込む。彼はその勢いでアリブンタを投げ飛ばした。
「レッキングバースト！」
ジードがエネルギーを集めた両腕を十字に組んで、光線を放った。アリブンタが光線を浴びて、倒れて爆発した。
「他の超獣たちは、ゼットやゼロさんが何とかしてくれる。僕はあの艦隊を止める・・！」
ジードが空を見上げて、ザンギャックの艦隊に立ち向かうことを決意していた。
バキシムとルナチクスがゼロを攻め立てる。２大超獣の連携に、ゼロは反撃に出れないでいた。
「さすが超獣だな。怪獣より強い上に仲がいいことだ・・！」
ゼロがバキシムたちに毒づく。
「けど、ゼットに言った手前、オレが弱音を吐くわけにいくか！」
彼は自分に言い聞かせて、構えを取った。
「相変わらず勇ましいことだ、ウルトラマンゼロ。」
そこへ声がかかって、ゼロが空を見上げた。１機の機体が上空から降下して、彼の前に現れた。
「あれは“リボーンズキャノン”・・リボンズ・アルマークか！」
ゼロが機体、リボーンズキャノンのパイロット、リボンズに言い放つ。
「僕のことを知ってくれて光栄だよ。だがたとえ異星人でも、僕の計画を止めることはできないよ。」
リボンズが悠然と言って、ゼロと敵対する。
「お前、侵略者や怪獣と手を組むつもりなのか!?人間でありながら、地球が支配されることに加担するのか!?」
「君たちを先に排除する方が効率がいいと判断したまでだ。君たちの後にザンギャックもヤプールも排除すると決めている。」
問い詰めるゼロに、リボンズが自分の考えを告げる。
「自分の目的のために、地球まで危険にさらす・・お前も悪魔だな！」
「悪魔？僕は救世主なのだよ。この地球だけでなく、世界全てのね。」
怒りを覚えるゼロだが、リボンズは悠然とした態度を変えない。
「お前もアイツらと同じく、必ず倒さなければならない相手だ！」
ゼロがリボンズとも戦うことを決意する。しかしリボーンズキャノンとバキシムたちを同時に相手にする彼は、劣勢に追い込まれていた。
「この世界のため、お前を殲滅する！」
そこへ別の声がかかって、ゼロとリボンズが視線を移す。新たに３機の機体がゼロたちの前に姿を現した。
「“ダブルオークアンタ”、“AGE-FX”・・刹那とキオか！」
ゼロが２機の機体に向かって声を上げる。刹那（せつな）・Ｆ・セイエイとキオ・アスノがダブルオークアンタ、AGE-FXで世界を超えて駆け付けてきたのである。
「どうやら別の世界の刹那たちのようだが、そちらも僕を完全に拒絶するようだ。」
「お前が世界を乱すなら、オレはその根源を断ち切る。たとえ何者であろうと！」
ため息をつくリボンズに、刹那が自分の意思を言い放つ。
「僕はみんなを守りたい・・僕たちがいるのとは違う世界でも・・戦いを止めることができるはずだ・・！」
キオが自分の考えを口にする。話し合って分かり合うことで戦いを終わらせるのが、彼の本心だった。
「全てが僕によって導かれる。それ以外に戦いを終える術はないよ。」
「そのエゴが世界を乱す。お前にあるのは正義でも信念でもない。独りよがりな支配だ！」
自分の考えが絶対だと信じて疑わないリボンズに、刹那が言い返す。
「その歪んだ考えは、オレたちが駆逐する！」
「誰かが傷つくことに心を痛めないあなたの思い通りにはならない！」
刹那とキオが言い放って、ダブルオークアンタとAGE-FXが「GNソード」とビームサーベルを手にした。
「２万年早いどころじゃない！お前らが地球や宇宙を支配するなんて、絶対にできないぜ！」
ゼロがリボンズに向かって高らかに言い放つ。
「僕がもたらす救済を支配と同列に語る・・実に滑稽だ・・」
リボンズがため息をついて、リボーンズキャノンが搭載されている「GNキャノン」を発射した。
「ワイドゼロショット！」
ゼロが両腕をＬ字に組んで光線を発射して、リボーンズキャノンのビームとぶつけ合って相殺した。
「僕の目指す世界のため、君たちにはここで消えてもらう。」
リボンズが笑みを浮かべて、リボーンズキャノンが変形して人型の「リボーンズガンダム」となった。
「リボーンズガンダムか・・！」
刹那が声を上げて、リボーンズガンダムが大型の剣「GNビームサーベル」を手にした。
「リボンズ・アルマーク、リボーンズガンダム、行く！」
リボンズの駆るリボーンズガンダムが、ゼロに向かっていった。