ザ・グレイトバトル外伝
無双戦隊フォースレンジャー
第3章

 

 

 我が道を行くタロウに不満を爆発させた蓮斗。2人は変身して、本格的に対峙することになった。
「フォースソード!」
 蓮斗がフォースソードを手にして飛びかかる。タロウも刀「ザングラソード」を手にして、振り下ろされたフォースソードを受け止めた。
 タロウがザングラソードを振りかざして、蓮斗を攻め立てる。
「荒々しく攻めますね・・蓮斗さん以上です・・」
「感心してる場合じゃないって!止めないとケガするよ!」
 モモがタロウの戦い方を分析して、理穂が慌てる。
「やめておいたほうがいい。逆に君たちがケガをすることになるから・・」
 しかし真一に呼び止められて、理穂が足を止める。
「アイツは強い・・オレたちじゃ足元にも及ばないくらいにな・・・!」
 翼も続けてタロウのことを言う。彼は納得していないが、タロウの力を理解していた。
「でも止めないと無事じゃ済まなくなるよ・・!」
「この戦いをして、あのザンギャックとの戦いに影響が出てしまったら・・・!」
 理穂がそれでも止めに向かい、悠馬も続く。
「フォースチェンジ!」
 2人もフォースイエロー、フォースブルーに変身して、蓮斗とタロウの勝負に割って入る。
「蓮斗、やめて!こんなことやってる場合じゃないって!」
「放せ、理穂!アイツの頭を冷やさないと!」
 理穂が呼び止めるが、蓮斗は戦いをやめようとしない。
「お前も落ち着け!戦う相手が違うだろ!」
「オレはアイツと勝負している!邪魔をするな!」
 悠馬も止めに入るが、タロウにザングラソードで切り付けられる。
「うあっ!」
 悠馬が突き飛ばされて、蓮斗たちのところに転がってきた。
「悠馬!」
「アイツ・・本気で倒されないと分かんないのかよ!?」
 理穂が叫んで、蓮斗がタロウへの怒りをふくらませる。
「さぁ、勝負だ、勝負!とことんやろうぜ!」
 タロウが高らかに叫んで、血気盛んを見せつけていた。

 蓮斗たちのいる世界に空間を超えて訪れたのは、タロウたちだけではなかった。
 1人の青年と1人の怪人が、荒野を歩き続けていた。
「お~い!ここはどこなんだよ~!?オレたちの知ってる世界と全然違うじゃんかー!」
 怪人が頭を抱えて叫び声を上げる。
「おまけにこんなとこを歩くことになるなんて~!どうすんだよ、一輝!?」
「落ち着けって、バイス。わめいて助かるならそうするって・・」
 怪人、バイスに青年、五十嵐一輝(いがらしいっき)が注意をする。
「おかしな光に飛び込んじゃったと思ったら、ここに来ちまったんだよなぁ~!」
「しかも近くで爆発と炎が見えたし・・ここは本当にどこなんだ・・・!?」
 バイスがさらに叫んで、一輝が周りで起きている異変に緊張を感じていた。
「とにかく、誰かと合流して話を聞かないと・・状況がのみ込めないと、どうにもならない・・」
 一輝が今の最善の選択を選ぶ。
「そうだな!・・おーい!誰か・・!」
「ちょっと待った!」
 大声を上げて人を呼ぼうとしたバイスを、一輝が止める。
「何だよ、一輝!?・・大声で呼んだ方が助けが来やすいって・・・!」
「そうかもしれないけど、悪いヤツに気付かれるかもしれないだろ・・!」
 バイスが小声で文句を言って、一輝が注意する。
「悪いヤツって・・あっちでドンパチやってたヤツらか!?」
「それもあるが、他の悪いヤツがいるかもしれない・・・!」
 バイスが疑問を投げかけて、一輝が答えて周囲を警戒する。
「とにかく、ゆっくりといい人を見つけて、助けを求めよう・・」
「あ~、まどろっこしいなぁ~!」
 一輝の言葉に、バイスが頭を抱えながらも聞き入れた。
「お、おい、一輝・・近くで何か聞こえないか・・!?」
 そのとき、バイスが物音を聞いて、一輝が耳を澄ませる。
「確かに聞こえる・・行くぞ、バイス・・ただし慎重にな・・!」
「あ、あぁ・・慎重にな・・!」
 一輝が声を掛けて、バイスが頷いた。2人は音のする方へゆっくりと歩いていく。
 その先で一輝たちが目にしたのは、蓮斗とタロウの対決だった。
「な、何だろう、あれは!?」
「リバイスとは違うけど、どっか似てないか・・!?」
 一輝とバイスが蓮斗たちの姿を見て声を荒げる。
「でも何かヤバそうな感じしないか!?」
「これは止めたほうがよさそうだ・・・!」
「よっしゃー!オレがアイツらをやっつけてやるぜー!」
「やっつけるんじゃなくて、止めるんだよ・・!」
「わ、分かったって!止めればいいんだろ!?」
「そう!止めるんだ!」
 一輝になだめられて、バイスが大きく頷いた。2人は蓮斗たちのところに向かって走り出す。
「ちょっと待ったー!」
 一輝が呼びかけて、蓮斗たちが足を止めた。
「また人が来た!」
「っていうか、もう1人は何!?また怪物!?」
 理穂が驚きの声を上げて、はるかがバイスを見て動揺する。
「怪物じゃねぇ!オレは悪魔だ!」
「悪魔も怪物も大して変わんないって!」
 バイスが言い返すが、逆にはるかにツッコミを入れられる。
「って、みんな、バイスが見えるの!?」
「えっ!?この人、見えない人だったの!?」
 一輝が驚いて、理穂が声を荒げる。
 バイスは一輝と契約を結んだ悪魔で、普段は普通の人間に見ることができない。しかし蓮斗たちもタロウたちもバイスの姿を捉えていた。
「もしかして、オレと同じように悪魔と契約を・・!?」
「いや、悪魔のことなんて知らない!」
「そういう契約も聞いたこともないよ・・」
 一輝の問いに、はるかが言い返して、悠馬も逆に疑問符を浮かべた。
「ここには悪魔がいないってことなのか!?」
「というより、オレたちが別の世界に来てしまった感じだぞ・・・!」
 バイスが頭を抱えて、一輝が自分たちがいた世界と違う世界に来たと推測する。
「ところで、お前たちは誰だ?あのザンギャックの、地球に攻めてきたヤツらの仲間か?」
 新平が一輝たちに疑問を投げかける。
「ザンギャック?何なんだ、そりゃ!?」
「オレたちはいきなりここに来て、さまよっていたところで君たちを見かけたんだ・・」
 バイスが疑問符を浮かべて、一輝が事情を説明する。
「さぁ、勝負の続きだ!盛り上がっていこうぜ!」
 タロウが再びいきり立って、蓮斗と戦おうとする。
「だから、僕たちが争っている場合じゃないっていうのが分からないのか!?」
 悠馬が怒鳴るが、それでもタロウは戦いをやめない。
「もう力ずくで止めるしかない・・倒してでも!」
 蓮斗も怒りをふくらませて、フォースソードを構えた。
「君たち、もしも戦うことができるなら、この2人を止めてくれ!」
 悠馬が一輝たちに協力を求める。
「バイス、行くぞ!」
「おい、一輝!」
 一輝が声を掛けて、バイスが大きく頷いた。一輝がベルト「リバイスドライバー」を装着した。
“レックス!”
 一輝がスタンプ「バイスタンプ」の1つ「レックスバイスタンプ」を、リバイスドライバーにある「オーインジェクター」に押印する。
“Come on!レ・レ・レ・レックス!・・”
 彼がレックスバイスタンプをリバイスドライバーのソケット「バイスタンプゴースロット」にセットした。
「変身!」
 一輝がリバイスドライバーのレバーを倒して、オーインジェクターを回転させる。
“バディアーップ!オーイング・ショーイング・ローリング・ゴオーイング!仮面ライダー!リバイ・バイス・リバーイス!”
 一輝の体をピンクのスーツとマスクが包み込んだ。同時にバイスが実体化したと同時に、彼と違う形状のスーツとマスクを身にまとった。
 仮面で素顔を隠して戦う戦士、仮面ライダー。一輝とバイスはそれぞれ仮面ライダー、リバイとバイス、その基本形態である「レックスゲノム」に変身した。
「ウソッ!?何アレ!?」
「もしかしてあの2人も、仮面ライダー・・!?」
 はるかが驚いて、悠馬が一輝たちを見て記憶を巡らせる。
「オレは五十嵐一輝。コイツはバイスだ。」
「人間と悪魔、2人組の仮面ライダーだ!よろしくな!」
 一輝とバイスが蓮斗たちに自己紹介をする。
「また人が来たか!また盛り上がるってもんだー!」
 タロウが笑い声をあげて、蓮斗に向かっていく。
「ちょっと待ったー!」
 一輝が2人の間に割って入ってきた。
「事情はよく分かんないけど、みんなが争うのはよくないんじゃないか!?」
「そんなこと言ったって、向こうが勝手なマネするからだろうが!」
 一輝が呼び止めるが、蓮斗は文句を言う。
「どけ!邪魔するな!」
「おわっ!」
 タロウがバイスを押しのけて、蓮斗に飛びかかる。
「いい加減にしろ、バカヤロー!」
 蓮斗が怒鳴って、フォースソードを突き出す。タロウがその腕をつかんで、彼を振り回す。
「このっ!」
 蓮斗もタロウの腕をつかみ返して、逆に投げ飛ばした。
「あの桃井タロウに動きがついてきている・・」
「蓮斗は僕たちの中でガムシャラだ。ムチャをしすぎて失敗することもあるけど、純粋な信頼能力や戦闘力は、僕たちの中で1番だ・・」
 真一が感心して、悠馬が蓮斗のことを話す。蓮斗が力任せにタロウを攻め立てる。
「くっ・・このオレとしたことが・・!」
 タロウが追い込まれていることに毒づく。
「この力を使わせてもらうぞ!」
 タロウがドンブラスターと、機界戦隊ゼンカイジャーのゼンカイザーの力を宿した「ゼンカイザーギア」を手にした。
「アバターチェンジ!」
 タロウがドンブラスターにゼンカイザーギアをギアテーブルにセットして、スクラッチギアを回した。
“よぉ~!”
 ドンブラスターのスクラッチギアを、彼はさらに回していく。
“ドン!ドン!ドン!ドンブラコー!ゼンカイザー!”
“大先輩!大先輩!・・”
 タロウがドンブラスターのトリガーを引く。
“ババン・ババン・ババン・ババン・ババババーン!ゼーンカイジャー!”
“よっ、秘密のパワー!”
 彼はゼンカイザーへの変身を果たした。
「お前たちも別の戦隊に変身できるのか・・!」
 蓮斗がタロウの変身を見て、記憶を呼び起こす。
「よっしゃ、行くぜ!全力全開!」
 タロウがいきり立って、蓮斗に飛びかかる。タロウが繰り出すパンチとキックを、蓮斗はフォースソードを掲げて防いでいく。
「このっ!」
 蓮斗が反撃に出てフォースソードを振りかざす。タロウはフォースソードをかわして、右足を突き出して蓮斗を蹴り飛ばす。
「ぐっ!」
 蓮斗は痛みに耐えながら、フォースソードを地面に突き立てて踏みとどまる。
「はるかちゃん、あの人を止めて!あなたの仲間なんでしょ!?」
「いやぁ~・・あたしたち、桃井タロウにお仕えしているので~・・」
 理穂がお願いをするが、はるかは気まずく答える。
「それに、僕たち4人が力を合わせても、桃井さんに勝てないし・・」
「おいおい、そんな弱気になっちゃ話にならないぞ・・・!」
 つよしも続けて答えて、新平が大きく肩を落とす。
「私たちも蓮斗さんに協力して、全力でタロウさんを止めましょう!」
 モモが呼びかけて、悠馬たちが頷いた。
「フォースチェンジ!」
 4人もフォースブレスの青いボタンを押して、フォースレンジャーに変身した。
「蓮斗、アイツは強力だ。だから全力を出してやっと止められると思った方がいい・・!」
「みんな・・・!」
 悠馬からの指示を聞いて、蓮斗が戸惑いを覚える。
「ありがとう、みんな・・・オレのために・・・!」
 蓮斗が感謝して、悠馬たちと頷き合った。
「フォースバズーカ!」
「フォースアロー!」
「フォースアックス!」
「フォースロッド!」
 悠馬、理穂、新平、モモがフォースバズーカ、フォースアロー、フォースアックス、フォースロッドを手にした。
「フォースウェポン、セット!」
 蓮斗たちがそれぞれのフォースウェポンを組み合わせた。
「スーパーフォースバスター!」
 フォースバズーカが強力になった「スーパーフォースバスター」が完成した。
「力を合わせてくるか!お供たち、合体攻撃だ!」
 ゼンカイザーからドンモモタロウに戻ったタロウが檄を飛ばすが、はるかたちは動揺を隠せなくなっていて、翼はやる気を見せない。
「腑抜けどもが!オレだけでやる!」
 タロウがため息をついて、ドンブラスターとザングラソードを構えた。
“パーリーターイム!”
 彼はドンブラスターの天面に、ザングラソードのつば中央のスクラッチギアをタッチさせる。
“いざ参る!”
“アーバタロ斬・アバタロ斬!アーバタロ斬・アバタロ斬!・・”
 ザングラソードの刃に赤い光が宿る。
「スーパーフォースチャージ!」
 蓮斗たちが構えるスーパーフォースバスターの砲門に、エネルギーが集まっていく。
“必殺奥義!モモタロ斬!”
 タロウがザングラソードを振りかざして、光の刃を飛ばした。
「スーパーフォースバースト!」
 蓮斗たちが強力な光線を発射した。光線が光の刃とぶつかって押し込んでいく。
「盛り上がってきたなー!もっともっと盛り上げるぞー!」
「いつまでもお前の勝手に付き合っている暇はない!」
 高らかに言い放つタロウに、蓮斗が怒号を放つ。両者の攻撃が再び拮抗する。
「何だかすごいことになっちゃってるよー!」
「オレたちがみんなを止めるんだ!キックであの力を打ち破る!」
 頭を抱えるバイスに、一輝が呼びかける。
「止めるって、あんなすげぇのに突っ込んだら、ひとたまりもねぇってー!」
「やらないとみんながやられてしまうって!」
 文句を言うバイスに一輝が怒鳴る。
「あー、もー!どうなっても知らないぞー!」
 バイスが悲鳴を上げて、一輝が蓮斗たちに視線を戻す。一輝がリバイスドライバーにセットされているレックスバイスタンプを2回倒して、オーインジェクターを回転させていく。
“レックス!スタンピングフィニーッシュ!”
 一輝とバイスが足にエネルギーを集めて、同時にジャンプした。2人がスタンプの形になったエネルギーを帯びたキックを繰り出して、蓮斗たちとタロウの攻撃を横にはじき飛ばした。
「うっ!」
 タロウがその衝撃に押されて、ドンブラスターを手放す。彼は倒れて、そのはずみでドンモモタロウへの変身が解けた。
「オレたち全員を止めるために飛び込んできたのか・・・!」
 新平が一輝とバイスを見て戸惑いを覚える。蓮斗がタロウに近づいて、ドンブラスターを取り上げた。
「こいつはオレが預かる。また勝手なマネをされたら困るからな・・」
 気絶しているタロウを見下ろして、蓮斗がため息をつく。
「さすがにそれはやりすぎなんじゃ・・」
「また暴れられて攻撃されたらたまったもんじゃないだろうが・・・!」
 つよしが苦言を呈するが、蓮斗が不満を込めて言い返す。
「それもそうだよね・・・桃井タロウ・・いつもマイペースなんだから・・・」
 はるかが納得して、大きく肩を落とす。
「この桃井タロウは拘束する。君たちも僕たちの本部に来てもらいたい。情報交換をしたいから・・」
「そうだな・・早く元の世界に戻りたいし・・何も分からないわけにはいかないからな・・」
 悠馬が呼びかけて、翼が賛同する。
「オレたちも来ていいか?オレたちも分からないことがいっぱいで・・」
「はい。よろしくお願いします。」
 一輝が頼んで、モモが答える。
「本部に行く前にこのことは言っておく。ここは君たちがいたのとは違う世界。空間を超えて、君たちはこの世界に来たみたいだ。」
 悠馬が一輝たちに状況を説明する。
「別の世界・・どうりで何かがおかしいと思ったら・・・」
「って、気楽に考えている場合じゃないって!どうやって帰ったらいいのよ~!?」
 真一が冷静に言って、はるかが慌てる。
「気に病むことはないよ。こっちの世界に来た人はたくさんいたんだ。」
「えっ!?他の世界の人が、こっちにたくさん!?」
 新平が話をして、つよしが驚きの声を上げる。
「あぁ・・みんながいなかったら、オレたちは世界を守るどころか、大切なものを自分の手で壊してたかもしれない・・・」
 蓮斗が過去を思い返して、仲間である戦士たちとの同士討ちをしたことを悔やむ。
「たとえ違う世界から来たとしても、それだけの力とそれを正しく使おうとする心があるなら、オレたちは信用する・・オレたちもみんなと協力するつもりだけど・・」
「このタロウの勝手な態度ばかりは、力ずくで止めないといけなかった・・できれば、そんなやり方はしたくはなかったけど・・・」
 蓮斗に続けて悠馬が話をして、タロウに目を向ける。
「まぁ、しょうがないよね・・変身すると敵だけじゃなく、あたしたちにも容赦しないから・・・」
 はるかがタロウのことを考えて、苦笑いを浮かべる。
「おい。行くなら早く行くぞ。アイツらがまた出てくるかもしれないんだろう?」
「そうだな・・みんな、こっちに来てくれ。」
 翼が本部へ向かうことを言って、悠馬が案内する。悠馬と新平がタロウに肩を貸して、本部に連れていった。

 ドンモモタロウになったときのタロウを、仙太郎も危険視していた。彼の指示で、タロウは窓を含めた外への隙間のない独房に入れられることになった。
「やりすぎだと私も思うが、ここで暴れられるわけにはいかない・・悪く思わないでくれ・・」
 仙太郎が謝罪して、はるかとつよしが頷いた。
「いえ、迷惑を掛けたのはこっちの方ですので・・」
 はるかが言葉を返して、小さく頭を下げた。
「ところで、さっきオレたちが戦ったヤツらは誰だ?人間でないのは間違いないが・・」
 翼がダマラスたちのことを思い出して、仙太郎に問いかける。
「ヤツらはザンギャックと名乗っていた。全宇宙を支配できるほどの規模と戦力を有していると見て間違いないだろう・・」
「ザンギャック・・そんな連中が地球を狙ってきたのか・・・!」
 仙太郎の話を聞いて、蓮斗がザンギャックへの怒りを覚える。
「アイツらのためにフォースマシンが負傷した・・すぐに修理できるけど、圧倒的に多勢に無勢だ・・」
「だから、私たちの力を借りたいということですか。」
 新平が現状を口にして、真一が把握する。
「猫の手を借りたいとは、このことね・・」
「犬や猿ならいるんですけどねぇ・・」
「黙れ・・・」
 はるかとつよしが肩を落として、翼が文句を言う。
「それで、ヤツらに動きはありましたか?」
 悠馬が聞くと、仙太郎がモニターにギガントホースの姿を映した。
「この星の人類の全面降伏を要求してきた。拒否すれば皆殺しにすると。」
「ぐわぁ!物騒なヤツらがわんさか出てきたもんだ!」
 仙太郎が伝えて、バイスが悲鳴を上げる。
「さっきオレたちが戦ったヤツらなら、オレたちが力を合わせれば何とかなるが・・」
「戦艦の大群は、スーパーフォースロボだけじゃ・・・」
 翼と悠馬がザンギャックと戦うことへの危機感を覚える。
「みなさんにマシンや巨大ロボはないのですか?巨大な姿になるのでもいいですが・・」
「えっと・・あれも巨大ロボになるのかな・・」
 モモが質問をして、はるかが記憶を巡らせる。はるかも真一たちも思い当たることがあった。
「2人にはそういうものは・・?」
「それがあるんだったら使ってみたいもんだねー!」
 モモがさらに質問をして、バイスが高らかに答える。
「巨大戦で戦えるのは、あたしたちとはるかちゃんたちだけだね・・」
 理穂が自分たちの戦力を確認して、はるかが頷いた。
「それで司令官、あの桃井タロウはどうしますか?」
 悠馬がタロウのことを仙太郎に聞く。
「勝手に力を振るう様は問題ありますが、その力は強力です・・この状況下です。ともに戦うことも視野に入れては・・」
「ちょっと待て!あんな乱暴なヤツと一緒に戦えるか!ライオンやトラを外に出すようなもんだぞ!」
 悠馬の提案に蓮斗が反対してきた。
「確かに蓮斗の言う通りだ。安易に外に出すわけにはいかない・・」
 仙太郎も悠馬の提案に賛成しなかった。
「あくまで最後の手段ということにする。その判断は私がする。彼の力の源となっているその銃も、私が預かる。」
 仙太郎は言って、タロウのドンブラスターを手にした。
「分かりました、司令官・・彼のことを、お願いします・・」
 悠馬が答えて、仙太郎が頷いた。
「あっ!ザンギャックが動き出したよ!市街地に向かってる!」
 理穂がモニターを見て声を上げる。艦隊が街に向かって攻撃を開始した。
「“Gフォース”は・・他の部隊はどうしてるんですか・・!?」
 蓮斗が仙太郎に問いかける。
 蓮斗たちのいる世界を守っているのは、蓮斗たちだけではない。防衛隊にも様々な部隊やチームが存在していて、Gフォースもその1組である。
「Gフォースはザンギャックの別部隊と交戦している。向こうも手一杯で、我々に合流することができない・・」
「僕たちだけで街の防衛をしなければならないのですね・・・!」
 仙太郎がGフォースの状況を話して、悠馬が深刻な顔を浮かべる。
「フォースマシンの修理、完了しました!」
 モモが格納庫からの報告を伝える。
「戦艦以外の敵は、オレとバイスが中心になって戦います!」
「今度こそ派手に暴れてやるぜー!」
 一輝が蓮斗たちに言って、バイスが意気込みを見せる。
「みんなは戦艦を倒すために、力を温存してほしい!」
「一輝・・・そう言ってくれて嬉しいけど・・・」
「オレはそういう器用なことをするのが苦手なんで・・・!」
 彼の協力に感謝しつつも、悠馬と蓮斗も戦艦だけでなくダマラスたちとも戦うことを決意していた。
「まぁ、オレと一輝がいれば十分だけど、みんなと一緒なら大盛り上がりできそうだからな!」
「バイス、お祭りじゃないんだから・・」
 喜ぶバイスを一輝が注意する。
「フォースレンジャー、出動!」
「はい!」
 仙太郎が号令して、蓮斗たちが答えた。
「君たちもよろしく頼む。」
「分かりました!」
「任せてください!」
 仙太郎に頼まれて、一輝とつよしが答える。
「よし、行くぞ!」
 蓮斗が悠馬たちと一緒にザンギャックを迎え撃った。

 ザンギャックは戦艦による攻撃をしながら、ダマラスが指揮する部隊が人々を襲撃していた。
「我々の命令に従え。さもなくばその場で処刑する。」
 ダマラスが忠告して、人々が恐怖して震える。
「隠れているヤツらを引きずり出せ。逆らうヤツは始末しろ。」
 ダマラスが命令して、ゴーミンたちが人々に向かっていく。そのとき、先頭にいたゴーミンたちが突然火花を散らして倒れた。
 はるかと翼がドンブラスターを撃って、ゴーミンたちを止めたのである。
「貴様たち、また現れたか・・!」
 ダマラスが鋭く言って、剣を手にして切っ先をはるかたちに向けた。
「ほう。徒党を組んだだけでなく、他の仲間を連れてきたか。だが我々ザンギャックの巨大な勢力に、その程度の力と数で挑むとはな・・」
「お前たち、オレたちの力を甘く見すぎだぞ・・!」
 あざけるダマラスに蓮斗が言い返す。
「オレたちは1人1人の力もあるが、そのみんなが力を合わせれば、その力は単純な足し算じゃなく、2倍にも3倍にもなる!」
「だからあたしたちのホントの強さは、これから見せることになるよ!」
 悠馬と理穂も続けて言い放つ。
「愚かしい・・たとえ貴様らの本領がこれからだとしても、我々の力の前では儚いものでしかない。」
 ダマラスが言い返して、ゴーミンたちがあざ笑う。
「分かっていないな。みんなっていうのは、ここにいるオレたちだけじゃないぞ。」
「様々な世界から、あなたたちのような悪と戦う人が来ているのです!」
「オレたちはみんなと、力と結束でつながっているんだ!」
 新平、モモ、蓮斗が世界を超えて力を合わせた戦士たちのことを考える。戦士たちの絆は、蓮斗たちにも強く結びついていた。
「わけの分からないことを・・」
 ダマラスは理解できずため息をつく。
「みんな、行くぜ!」
「あぁ!」
「うん!」
 蓮斗が呼びかけて、悠馬たちが答えた。蓮斗たちがフォースチェンジャーの青のボタンを押した
「フォースチェンジ!」
 フォースチェンジャーから発した光を浴びて、彼らはフォースレンジャーに変身した。
「フォースレッド!」
「フォースブルー!」
「フォースイエロー!」
「フォースグリーン!」
「フォースピンク!」
 蓮斗、悠馬、理穂、新平、モモが名乗りを上げてポーズを決めた。
「無双戦隊!」
「フォースレンジャー!」
 蓮斗が声を上げて、悠馬たちと声をそろえた。
「行くぞ、一輝!」
 バイスが声を掛けて、一輝がレックスバイスタンプを手にした。
“レックス!”
 一輝がレックスバイスタンプをリバイスドライバーのオーインジェクターに押印した。
“Come on!レ・レ・レ・レックス!・・”
 彼がレックスバイスタンプをバイスタンプゴースロットにセットした。
「変身!」
 一輝がリバイスドライバーのレバーを倒して、オーインジェクターを回転させる。
“バディアーップ!オーイング・ショーイング・ローリング・ゴオーイング!仮面ライダー!リバイ・バイス・リバーイス!”
 一輝の体をピンクのスーツとマスクが包み込んだ。彼はリバイ・レックスゲノムとなって、バイスも変身を果たした。
「行くぞ、お前ら!」
 翼が呼びかけて、はるかたちとともにドンブラスターを手にした。
「アバターチェンジ!」
 はるかたちがそれぞれドンブラスターに、それぞれのアバタロウギアをギアテーブルにセットしてスクラッチギアを回した。
“よぉ~!”
 音声の発するドンブラスターのスクラッチギアを、2人はさらに回していく。
“ドン!ドン!ドン!ドンブラコー!暴太郎!”
“ウッキウキー!ウキウッキー!・・”
“福は内!鬼も内!・・”
“ワンダフル!ワンダフル!・・”
“トリッキー!トリッキー!・・”
 はるかたちがドンブラスターのトリガーを引く。
“サルブラザー!よっ、ムッキムキ!”
“オニシスター!よっ、鬼に金棒!”
“イヌブラザー!よっ、ワンダフル!”
“キジブラザー!よっ、トリッキー!”
 真一、はるか、翼、つよしがそれぞれの色のスーツとマスクを身に着けた。
「ザンギャック、この星を狙うお前たちは、オレたちが倒す!」
 蓮斗がダマラスを指さして言い放つ。3組の戦士がザンギャックを迎え撃った。
 
 
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