ザ・グレイトバトル外伝
無双戦隊フォースレンジャー
第2章

 

 

 フォースドリル、フォースタンクも吹き飛ばされて、変身の解けた悠馬と理穂も外に投げ出されていた。
「なんてことだ・・みんなと離れ離れになってしまった・・・」
「みんなとも連絡がつかないよ・・どうしたらいいのかな・・!?」
 悠馬が焦りを感じて、理穂が不安を浮かべる。
「本部に連絡して、蓮斗たちの居場所を聞こう・・・」
 悠馬が呼びかけて、理穂が頷いた。悠馬がフォースチェンジャーを使って、本部に連絡しようとした。
「まだ生き残っていたか。」
 そこへ声がかかって、悠馬たちが振り向いた。彼らの前に全身が機械となっている1人の男が現れた。
「えっ!?ロボット!?サイボーグ!?」
「何者だ!?あの大軍勢の仲間か!?」
 理穂が声を荒げて、悠馬が男に問いかける。
「私はザンギャックの行動隊長、バリゾーグ。皇帝陛下に仇名す者を、この手で排除する。」
 男、バリゾーグが名乗って、剣を手にして構える。
「あの感じじゃ逃げ切れないよね・・・!?」
「強い敵なのは分かるけど・・戦うしかない・・・!」
 理穂が不安をふくらませて、悠馬が身構える。バリゾーグが剣を振りかざして、稲妻のようなビームを放つ。
「フォースチェンジ!」
 悠馬と理穂がフォースブルー、フォースイエローに変身して、ビームの爆発から飛び出した。
「フォースシューター!ソードモード!」
 2人が武器「フォースシューター」を手にして、剣の「ソードモード」にした。
 悠馬たちがフォースシューターを振りかざすが、バリゾーグに剣で止められていく。
「うあっ!」
「キャッ!」
 バリゾーグに剣で切り付けられてスーツから火花が散って、悠馬と理穂が突き飛ばされる。
「強い・・ホントに強いよ・・!」
「それだけじゃない・・防御も攻撃も正確だ・・まさに精密機械だ・・・!」
 理穂と悠馬がバリゾーグの強さを痛感して、危機感をふくらませる。
「我々の命令に従え。さもなくばすぐに排除する。」
 バリゾーグが剣の切っ先を悠馬たちに向けて忠告する。
「でもこれで諦めるあたしたちじゃないよ・・!」
「せめて、蓮斗たちが来て合流するまでは持たせるよ・・!」
 理穂と悠馬が諦めずに、バリゾーグに対抗する。
「ならばお前たちを処刑する。」
 バリゾーグが再び剣から電撃を放つ。悠馬たちが後ろに下がって電撃をかわす。
「フォースシューター・ライフルモード!」
 悠馬たちがフォースシューターを銃型の「ライフルモード」に変えて発射した。しかしこの攻撃もバリゾーグにかわされた。
「これも通じないのか!?」
「もっと本気を出さないといけないの!?」
 悠馬と理穂が絶体絶命を痛感して、後ずさりする。
「抵抗は終わりか?ならば覚悟することだ。」
 バリゾーグが告げて、構えを変えた。その彼の攻撃性を痛感して、悠馬と理穂が緊迫をふくらませた。
「わー!」
 そのとき、1人の少女がそばの坂を駆け下りて、悠馬たちの前に飛び込んできた。
「えっ!?人!?」
「まだ逃げ遅れた人が・・!」
 理穂が少女に驚いて、悠馬が声を荒げる。
「えっ!?今度は何!?いったい、何がどうなってるのよー!?」
 少女が悠馬たちとバリゾーグを見て、頭を抱えて悲鳴を上げる。
「だ、大丈夫ですか!?ここは危険ですから、早く逃げてください!」
 理穂が慌てて駆け寄って、少女に呼びかける。
「そ、その姿・・あなたたち、もしかして・・!?」
 少女が彼女を見て戸惑いを覚える。
「どうやら、そこの2人は私たちとは無関係ではなさそうだ。」
 そこへもう1人、青年が姿を現した。
「も、もう1人いた・・!」
「はじめまして。私は猿原真一(さるはらしんいち)と言います。」
 声を上げる悠馬に青年、真一が自己紹介をする。
「あ、あたしは鬼頭(きとう)はるか!高校生で、将来の夢は漫画家!」
 少女、はるかも立ち上がって、理穂に挨拶する。
「それで何ですか、そこにいるロボットは!?」
「あ、あれは悪いヤツってことだけは覚えておいて!さぁ、あたしたちが食い止めるから、その間に逃げて!」
 バリゾーグを指さすはるかに説明して、理穂が呼びかける。
「いや、私たちも加勢させてもらうよ。」
「えっ!?あたしも参加!?」
 真一が戦うことを決めて、はるかが声を荒げる。
「もー!やるしかないわ!やってやるわよ!」
 はるかが開き直って、真一とともにドンブラスターを手にした。
「あ、あれって・・!?」
 それを見て理穂が声を荒げた。
「アバターチェンジ!」
 真一とはるかがそれぞれドンブラスターに、アバタロウギア「サルブラザーギア」、「オニシスターギア」をギアテーブルにセットしてスクラッチギアを回す。
“よぉ~!”
 音声の発するドンブラスターのスクラッチギアを、2人はさらに回していく。
“ドン!ドン!ドン!ドンブラコー!暴太郎!”
“ウッキウキー!ウキウッキー!・・”
“福は内!鬼も内!・・”
 真一たちがドンブラスターのトリガーを引く。
“サルブラザー!よっ、ムッキムキ!”
“オニシスター!よっ、鬼に金棒!”
 2人がそれぞれ青と黄色のスーツとマスクを身にまとった。真一は体格がひと回り大きくなっていた。
「あの2人も、スーパー戦隊・・!」
「それも見たことがない戦隊だよー♪」
 真一たちを見て、悠馬が戸惑いを覚えて、理穂が感動を見せる。
「お前たちも我々に逆らうか。ならば4人まとめて始末するまでだ。」
 バリゾーグが真一たちも敵と見なして、剣から電撃を放つ。悠馬たちと真一たちが動いて、電撃と爆発をかわした。
 真一がドンブラスターを構えて、トリガーを引いて射撃を放つ。悠馬もフォースシューターを撃つが、バリゾーグに射撃をはじく。
「一緒に戦ってくれるなら、力を合わせよう!」
「・・んもう!こうなったらやるしかない!」
 理穂に促されて、はるかが動揺を振り切る。2人がそれぞれフォースシューターとドンブラスターを発射して、悠馬たちを援護する。
 バリゾーグは射撃を全て回避し、再び独特の構えを取った。
「またあの攻撃が来るぞ!」
 悠馬が声を上げて、理穂がはるかの腕をつかんで回避する。バリゾーグが剣を振りかざして光の刃を飛ばして、悠馬たちがかわした。
「速い剣技だね。このままじゃ太刀打ちできないね・・」
 真一がバリゾーグの力を実感して、新たなアイテム「センタイギア」を取り出した。
「アバターチェンジ!」
 真一がドンブラスターにセンタイギアの1つ「キラメイジャーギア」をギアテーブルにセットして、スクラッチギアを回した。
“よぉ~!”
 ドンブラスターのスクラッチギアを、彼はさらに回していく。
“ドン!ドン!ドン!ドンブラコー!キラメイジャー!”
“大先輩!大先輩!・・”
 真一がドンブラスターのトリガーを引く。
“煌めこうぜ!”
“よっ、魔進戦隊!”
 真一のまとうスーツとマスクに変化が起こった。彼は魔進戦隊キラメイジャーのキラメイブルーになった。
「えっ!?君も他のスーパー戦隊にもなれるのか!?」
 悠馬が真一の変身を見て、驚きの声を上げる。
「もしかして、あなたも同じように・・!?」
「まぁ、あたしも同じ力を持ってるからね・・」
 理穂が聞いて、はるかが苦笑しながら答える。
「あたしはこれで行くよ!」
 はるかがセンタイギアの1つ「ルパンレンジャーギア」を取り出した。
「アバターチェンジ!」
 彼女がドンブラスターにルパンレンジャーギアをギアテーブルにセットして、スクラッチギアを回した。
“よぉ~!”
 ドンブラスターのスクラッチギアを、はるかはさらに回していく。
“ドン!ドン!ドン!ドンブラコー!ルパンレンジャー!”
“大先輩!大先輩!・・”
 はるかがドンブラスターのトリガーを引く。
“よっ、怪盗戦隊!”
 はるかのスーツとマスクも変化した。彼女は怪盗戦隊ルパンレンジャーのルパンイエローになった。
「ゴーカイジャー以外にも、他のスーパー戦隊になれる戦隊がいたなんて・・!」
 理穂がはるかと真一の変身を見て、戸惑いをふくらませる。彼女は歴代の戦隊にも変身できる海賊戦隊、ゴーカイジャーのことを思い出していた。
「姿を変え、能力を変えたと見える。しかし実力が伴わなければ意味はない。」
 バリゾーグが口調を変えずに、真一たちに向かっていく。
「目には目を、剣には剣ということで。」
 真一が剣「リュウソウケン」を手にして、バリゾーグを迎え撃つ。しかしバリゾーグの剣技に押されていく。
「オレもやる!フォースシューター・ソードモード!」
 悠馬がフォースシューターをソードモードにして、真一に加勢する。バリゾーグは2人の攻撃を正確に読んで、剣を掲げてかいくぐる。
「遠距離攻撃でいくよ!」
「OK!」
 はるかが呼びかけて、理穂が頷いた。2人がフォースシューターと銃「VSチェンジャー」を構えて、バリゾーグに向かって射撃する。
 バリゾーグが剣で射撃をはじくが、その隙に悠馬と真一がフォースシューターとリュウソウケンを振りかざしてきた。
 バリゾーグが体を切り付けられ、火花を散らす。後ずさりする彼だが、すぐに踏みとどまって剣を横なぎに繰り出した。
「うあっ!」
 悠馬たちが斬撃を受け、突き飛ばされて岩場に叩きつけられた。
「こ、これでもダメなの・・!?」
「もう“フォースウェポン”を使うしかない・・!」
 理穂が不安を浮かべて、悠馬が言いかける。
「フォースバズーカ!」
「フォースアロー!」
 2人がフォースチェンジャーの赤いボタンを押して、フォースレンジャー専用の武器「フォースウェポン」であるバズーカ砲「フォースバズーカ」と弓矢「フォースアロー」を呼び出した。
「蓮斗がいればフォースバスターが使えるんだけど・・・!」
 理穂がフォースアローを構えるも、蓮斗のことを考える。
「1度引き上げよう!本部と蓮斗たちが連絡を取り合っているはずだ!」
「あなたたちにもまだ仲間がいるの!?」
 悠馬が呼びかけて、はるかが問いかける。
「うん!でもすぐに連絡が取れなくて・・その間にあのロボットが来たんだよ!」
「そういうことね。では行こうか。」
 悠馬の説明を聞いて、真一が納得する。
「逃げるつもりか?そうはいかないぞ。」
 追いかけるバリゾーグに向けて、理穂がフォースアローの矢を放った。バリゾーグが剣で矢をはじいたところで、悠馬がフォースバズーカを発射した。
 バリゾーグの前方で爆発が起こる。煙を抜けるバリゾーグだが、悠馬たちは姿を消していた。
「逃げたか。しかしすぐに追いつく。」
 バリゾーグは動じることなく、悠馬たちの追撃に向かった。

 新平もモモも蓮斗たちと離れ離れになっていて、連絡を試みていた。
「みんなとつながらないです、兄さん・・本部に聞いてみます。」
「分かった。僕は周りを見てくる。」
 モモが本部に聞くことにして、新平が答えた。
「逃がしはしないわよ、あなたたち・・・!」
 その2人の前にインサーンが現れた。グレートインサーンの爆発から脱出した彼女は、体力を消耗していた。
「もしかして、あのロボットに乗っていた人か?もうちょっと美人だったら、付き合ってもいいかもね。」
「お兄さん、こんなときまでふざけるのはやめてください・・・!」
 インサーンに向かって手招きをする新平に、モモが注意をする。
「冗談だよ、モモ・・悪い冗談だって分かっているけどね・・」
 新平が苦笑いを見せて、モモが彼に並び立つ。
「すみませんがこちらは急いでいますので、あなたの相手をしている時間はありません。」
「相手をしたいなら、また後でね。」
 モモと新平がインサーンに言って、フォーストレーラーとフォースタンクに戻っていく。
「そうはさせんぞ、愚か者め。」
 その先に1人の男が現れて、新平たちの行く手を阻んだ。
「また仲間がいたのか!」
「ダマラス殿、申し訳ない・・不甲斐ないところをお見せして・・・」
 新平が身構えて、インサーンが男、ダマラスに謝罪する。
「どうやら放ってくれそうにないね・・」
「仕方がありません・・戦いましょう、お兄さん・・・!」
 新平がため息をついて、モモが呼びかける。2人がフォースチェンジャーの青いボタンを押した。
「フォースチェンジ!」
 新平とモモがフォースグリーン、フォースピンクに変身して、フォースシューターを手にした。
「皇帝陛下直属の部下であり、ワルズ・ギル様の腹心として、歯向かう者は1人残らず排除する・・!」
 ダマラスが言い放って、剣を手にして新平たちに飛びかかる。
「フォースシューター・ソードモード!」
 新平がフォースシューターをソードモードにして、ダマラスの剣を受け止める。
「ぐっ!」
 ダマラスの力に押されて、新平がうめく。
「兄さん!」
 モモがライフルモードのフォースシューターを構えるが、インサーンが前に立ちはだかった。
「あなたの相手は私よ・・グレートインサーンを破壊した礼をさせてもらうわ・・・!」
 インサーンが鋭く言って、装備していたミサイルを発射した。
「キャッ!」
 モモが爆発で吹き飛ばされて悲鳴を上げる。
「モモ!」
 新平が叫ぶが、ダマラスの攻撃を振り切ることができない。
「こうなったら・・フォースアックス!」
 新平がフォースウェポンの1つ「フォースアックス」を手にして、ダマラスを迎え撃つ。
 新平が力を込めてフォースアックスを振りかざすが、ダマラスに素早くかわしていく。
「大振りで力任せな攻撃で、この私に勝てると思っていると思っているのか・・!?」
 ダマラスが鋭く言って、剣を振りかざす。正確な剣の攻撃を受けて、新平が切り付けられる。
「お兄さん!」
「よそ見をしている暇があったら、自分の身を心配することね!」
 叫ぶモモに向かって、インサーンが伸ばした両手からビームを放った。ビームを受けたスーツから火花が出て、モモが突き飛ばされた。
「フォースロッド!」
 モモがフォースウェポン「フォースロッド」を手にして回転させて、インサーンのビームをはじいた。
 インサーンがいら立ちを噛みしめて、モモに飛びかかる。
「フォースロッドリボン!」
 彼女がフォールロッドを振りかざして先端からピンク色のリボンを伸ばして、「フォースロッドリボン」とした。
「何っ!?」
 インサーンがリボンで体を縛られてうめく。
「少しじっとしていてもらいます!その間に兄さんを・・!」
 モモはインサーンに呼びかけてから、新平の援護に向かおうとした。そのとき、新平がダマラスの攻撃を受けて、モモのそばまで転がってきた。
「兄さん!」
「気を付けろ、モモ・・アイツ、マジで強いぞ・・・!」
 叫ぶモモに、新平が声を振り絞って注意を投げかける。その2人にダマラスが近づいてきた。
「不甲斐ないぞ、インサーン。だが私がこの者をまとめて排除する。」
 ダマラスがインサーンを注意して、新平たちに目を向ける。
「ここは引き上げたほうがよさそうかな・・・!?」
「早く、勝利さんたちと合流しないと・・・!」
 新平とモモが焦りをふくらませていく。2人の動きが止まっているのを見て、インサーンがリボンから抜け出した。
「もう隙は見せないわよ・・ここからが本当の地獄よ・・!」
「しまった・・!」
 攻撃態勢に入るインサーンに、モモが危機感をふくらませる。剣を構えるダマラスを見て、新平も絶体絶命を痛感する。
「おわー!」
 そこへ1人の男が崖の上から滑り込んできた。
「な、何だ!?」
「イタタタ・・派手に転んじゃったよ~・・」
 新平が驚きの声を上げて、男が悲鳴を上げる。
「あの、大丈夫ですか・・?」
「あ、はい・・派手に転んだだけで・・あ、あれ?ドンブラザーズ!?・・じゃない・・!?」
 モモが心配すると、男が彼女の姿を見て驚く。
「またおかしなヤツらと遭遇するとはな・・」
 さらに青年が1人現れて、新平たちのところに来た。
「もう1人いた・・・!」
「ここは危険です!2人とも逃げてください!」
 新平が青年を見て声を上げて、モモが避難を呼びかける。
「厄介なヤツらがいるようだな・・それなら、降りかかる火の粉を払うまでだ・・」
「待って!僕もやります!」
 青年がダマラスたちを見て言って、男も立ち上がる。2人が手にしたのはドンブラスターだった。
「あなたたち、それは・・!?」
「君たちは誰なんだ・・!?」
 それを見てモモが驚いて、新平が問いかける。
「オレか?オレは犬塚翼(いぬづかつばさ)だ。」
「僕は雉野(きじの)つよしです!よろしくお願いします!」
 青年、翼と男、つよしが名乗って、ダマラスたちに視線を戻した。
「アバターチェンジ!」
 翼とつよしがそれぞれドンブラスターに、アバタロウギア「イヌブラザーギア」、「キジブラザーギア」をギアテーブルにセットしてスクラッチギアを回す。
“よぉ~!”
 音声の発するドンブラスターのスクラッチギアを、2人はさらに回していく。
“ドン!ドン!ドン!ドンブラコー!暴太郎!”
“ワンダフル!ワンダフル!・・”
“トリッキー!トリッキー!・・”
 翼たちがドンブラスターのトリガーを引く。
“イヌブラザー!よっ、ワンダフル!”
“キジブラザー!よっ、トリッキー!”
 2人がそれぞれ黒とピンクのスーツとマスクを身にまとった。翼は身長が小さく、つよし大きくなった。
「えっ!?身長がすごく変わった!?」
「ど、どういうことですか、これは・・・!?」
 新平が驚いて、モモが疑問を投げかける。
「そこは気にするな。」
「そういう姿になるってことで・・」
 翼が低い声で、つよしが苦笑いをこぼして言い返す。
「また似たような姿の敵が現れたの・・!?」
「何者だろうと、何人出てこようと、歯向かう者は全員排除するのみ・・!」
 インサーンが驚きの声を上げて、ダマラスが翼たちを敵視する。
「さっさと倒して、このおかしなところから出ていくぞ・・!」
 翼が言って、ドンブラスターのトリガーを引いて射撃する。ダマラスが剣で射撃をはじいて、インサーンがビームを射撃にぶつけて相殺する。
「僕も行くよー!」
 つよしが言い放って、大きくジャンプしてダマラスたちに突っ込んだ。つよしが長い足を振りかざすが、ダマラスに剣でキックを防がれる。
「やはりリーチが長い・・だが力不足だ・・!」
 ダマラスが告げて、剣を押し込んでつよしを突き飛ばした。
「わわっ!」
 つよしが慌ただしくしりもちをついた。それと同時に翼が駆け出して、ダマラスに詰め寄ってきた。
「くらえ・・!」
 翼が至近距離からドンブラスターを撃つ。ダマラスが射撃を受けて押されるが、ダメージは大きくない。
「お前も突進力しか特出しておらんな・・」
「何だと・・!?」
 ダマラスが口にした言葉に、翼がいら立ちを覚える。
「これではこの私にも遠く及ばんぞ・・!」
 ダマラスが剣を振りかざし、翼が切られて押された。
「犬塚さん!うわっ!」
 叫ぶつよしがインサーンの放ったミサイルの爆発に押されて、吹き飛ばされる。
「2人とも大丈夫ですか!?」
 モモが翼たちに駆け寄って心配の声を掛ける。
「このくらいのことで騒ぐな・・問題ない・・・!」
 翼が言い返して、つよしとともに立ち上がる。
「でも撃つだけじゃ少しきついかな・・」
 つよしが劣勢を感じて、センタイギアを取り出した。警察戦隊パトレンジャーの「パトレンジャーギア」である。
「オレはコイツを使わせてもらう・・」
 翼が騎士竜戦隊リュウソウジャーのセンタイギア「リュウソウジャーギア」を手にした。
「アバターチェンジ!」
 翼がドンブラスターにリュウソウジャーギアをギアテーブルにセットして、スクラッチギアを回した。
“よぉ~!”
 ドンブラスターのスクラッチギアを、彼はさらに回していく。
“ドン!ドン!ドン!ドンブラコー!リュウソウジャー!”
“大先輩!大先輩!・・”
 翼がドンブラスターのトリガーを引く。
“リュウソウクール!”
“よっ、騎士竜戦隊!”
 翼のまとうスーツとマスクに変化が起こった。彼はリュウソウジャーのリュウソウブラックになった。
「アバターチェンジ!」
 つよしも続けてがドンブラスターにパトレンジャーギアをギアテーブルにセットして、スクラッチギアを回した。
“よぉ~!”
 ドンブラスターのスクラッチギアを、彼はさらに回していく。
“ドン!ドン!ドン!ドンブラコー!パトレンジャー!”
“大先輩!大先輩!・・”
 つよしがドンブラスターのトリガーを引く。
“よっ、警察戦隊!”
 つよしのスーツとマスクが変化した。彼はパトレンジャーのパトレン3号となった。
「あなたたちは・・ゴーカイジャー!?ゼンカイジャー!?」
「いや、この2人は別の戦隊だけど、他の戦隊になることもできるみたいだぞ・・」
 モモと新平が翼たちの変身に驚く。
「姿を変えたところで、所詮は小細工よ!」
 インサーンが言い放って、翼たちに向かってビーを発射した。翼とつよしが左右へ走って、ビームと爆発をかわしていく。
「僕たちものんびりしていられないね・・!」
「はい、兄さん!」
 新平が声を掛けて、モモが頷く。2人がライフルモードのフォースシューターを撃ちながら、ダマラスたちに向かっていく。
 ダマラスとインサーンがジャンプして射撃をかわして、崖の上に着地した。
「それで逃げたつもりか・・?」
 翼がリュウソウケンを振りかざして、光の刃を放つ。ダマラスも剣から光の刃を飛ばして、ぶつけ合って相殺する。
「消えなさい、我々に逆らう愚か者たち!」
 インサーンがミサイルとビームを一斉に発射する。
「みなさん、一斉攻撃です!」
 モモが指示を出して新平、つよしと同時に射撃する。翼もリュウソウケンを振りかざして、光の刃を飛ばす。
 新平たちとインサーンの攻撃がぶつかり合って、爆発して煙が広がった。
「このような小細工で、我々を阻めるとでも・・!」
 インサーンが毒づいたとき、新平がフォースアックスを持って飛び込んできた。ダマラスが気付いて後ろに下がって、振り下ろされたフォースアックスをかわした。
「ダマラス殿!」
 インサーンがダマラスに向かって叫んだ。そのとき、彼女がフォースロッドのリボンで体を縛られた。
「し、しまった!」
 インサーンが叫んで、リボンを振り払おうともがく。
“警察ブースト!”
 そのとき、つよしがVSチェンジャーから強力なビームを発射した。
「うあっ!」
 インサーンが体にビームを受けてうめく。
「お前はホントに手ごわい!だから厄介なのを減らした方がいいってことで・・!」
「貴様は私の足止めで、狙いはインサーンか・・!」
 笑みをこぼす新平に、ダマラスが毒づく。
「まずはお前だ・・!」
“剣ボボボボーン!”
 翼が駆け抜けて、インサーンに向けてリュウソウケンを振りかざした。
「イヤアッ!・・ワルズ・ギル・・様・・・」
 斬られたインサーンが悲鳴を上げて、倒れて爆発を起こした。
「インサーン!・・おのれ!」
 ダマラスがいら立って、フォースアックスを剣で防いだまま突進して新平を引き離した。
“ダマラス、1度戻れ。他の所でも反逆する愚民が現れた。”
 そのとき、ダマラスにアクドスの命令が伝わった。
「皇帝陛下・・すぐに戻ります。」
 ダマラスが従って、新平たちに視線を戻した。
「次に我々に会ったときが、貴様たちの最期だ。」
 ダマラスは新平たちに忠告してから、姿を消した。
「助かった・・よ、よかった~・・」
 つよしが安心を覚えて、翼とともに変身を解いた。新平とモモも変身を解除して、翼たちに歩み寄った。
「ありがとうございました。あなた方がいなかったら、私たちは負けていたでしょう・・」
「言ったはずだ。降りかかる火の粉を払っただけだと・・」
 お礼を言うモモだが、翼は冷めた態度で言い返した。
「それにしても、ここはどこなんだろう?・・僕たちがいたところとは違うみたいだけど・・・」
「もしかして、違う世界から来たのか・・?」
 つよしの呟きを聞いて、新平が疑問を投げかける。
「違う世界?どういうことだ?」
「平行世界、つまりパラレルワールドということらしい。」
 翼の問いに答えたのは、悠馬たちとともに来た真一だった。
「2人も無事だったんですね。」
「この2人に助けられて・・いやぁ、お互い危機一髪って感じだったよ~・・」
 つよしが声を掛けて、はるかが答えて大きく肩を落とす。
「おうおう!みんな集まっているようだな!」
 そこへフォースジェットが来て、その上にいたタロウが降下中に飛び降りてきた。
「も、桃井タロウ・・・!」
「えーっ!?あの高さのフォースジェットの上から飛び降りて、平気なの!?」
 はるかがタロウを見て気まずくなって、理穂が驚く。
「どうやら先に集まっていたようだな。お供としてなかなかと言っておくか。」
 タロウがはるかたちを見回して、感心の素振りを見せる。
「お供って・・名前は桃太郎だけと、態度は殿様だな・・」
「ホント・・マイペースなヤツだ。ま、アイツもオレたちも仲間に再会できてよしだけどな。」
 新平がタロウに呆れて、蓮斗は彼らの無事を確かめて安心する。
「まずは地球に攻めてきたアイツらの情報を把握して、迎え撃たないと・・」
「はい。私たちの方も体勢を立て直さないといけませんね・・」
 悠馬が本部に戻ることを言って、モモも賛成する。
「オレたちは他の所へ行く。やらねばならぬことがある。」
 ところがタロウは蓮斗たちと別行動をとろうとする。
「ちょっと待った。今はあちこちで危険な状況になっているんだ。下手に動けばアイツらに集中攻撃されるぞ。」
 蓮斗がザンギャックの攻撃を警戒して、タロウを呼び止める。
「さっきのヤツらか。どんなヤツらが出てきても、オレとお供でバッタバッタとやっつけるだけだ!」
 しかしタロウは自分だけの道を進もうとする。
(あ~・・勝手に動くのね、桃井タロウは・・・)
 はるかが彼に呆れて、心の中で呟く。
「さすがにちょっと唯我独尊すぎるだろ。それとも、どこかどうしても行きたいところとか、やりたいこととかあるのか?」
 蓮斗も肩を落としてから、タロウに問いかける。
「ハッハッハッハッハ!」
 するとタロウは突然高笑いをしてきた。まともに答えようとしない彼に、蓮斗が不満を覚える。
「おい・・いい加減にこっちの話を聞けって・・!」
 蓮斗が不満を感じて、タロウを止めようと手を伸ばした。するとタロウが蓮斗の頭をつかんで払いのけた。
「オレはオレの道を行く。邪魔するヤツは倒すだけだ!」
「お前・・本気で言っているのか・・・!?」
 言うことを聞かないタロウに、蓮斗が怒りをふくらませる。
「ダメだよ、君。桃井タロウは完璧に我が道を行く人で、力も私たち5人の中で飛び抜けているよ・・」
「オレたちの戦いの中心はいつもアイツだ・・」
 真一と翼がタロウのことを言うが、蓮斗はタロウの態度に納得していない。
「そんなに勝負がしたいなら、今からとことんやろうぜ!」
 タロウが強気に言って、ドンブラスターを手にした。
「そこまで自分勝手だっていうのかよ・・・!?」
 蓮斗が我慢の限界を迎えて、フォースブレスを構える。
「蓮斗、落ち着くんだ!僕たちが戦う相手は、今地球を攻撃しているあの軍団だ!」
 悠馬が呼び止めるが、蓮斗は聞かずにタロウと対峙する。
「フォースチェンジ!」
「アバターチェンジ!」
 蓮斗とタロウがフォースレッド、ドンモモタロウに変身して、対決することになった。
 
 
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