ザ・グレイトバトル外伝
無双戦隊フォースレンジャー
第1章

 

 

ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、ガンダム。
地球や宇宙の平穏、正義と平和、それぞれの大切なものを守るために戦う存在。

様々な世界で、戦士たちが悪との戦いを続けていた。


 地球防衛隊に所属する1つの防衛部隊。地球を守る任務に就く一方、自分たちの力の把握と精進にも余念がなかった。
 防衛隊の基地内の訓練場を、2人の青年がランニングをしていた。
「あんまりのんびりしてると置いていくぞ。」
 青年の1人、赤木蓮斗(あかぎれんと)が気さくに声を掛ける。
「あまり焦って走っても、後で疲れが残るよ。」
 もう1人の青年、緑川新平(みどりかわしんぺい)が気さくに答える。
「限界の1歩先に行かなくちゃ、訓練にならないって。」
 蓮斗がそう言って、走るペースを速めた。
「後で疲れても知らないよ・・」
 彼に呆れる新平は、ペースを変えずに走り続けた。

 同じ頃、3人の男女が射撃訓練場で銃の訓練をしていた。使う銃は競技でも使われるレーザー銃である。
 少女の1人が的に向けて銃を発射する。中心からは外れたが、的には当たっていた。
「大分当たるようになってきたかな。始めは全然当たんなかったからねぇ~・・」
 少女、黄山理穂(きやまりほ)が自分の銃の腕の上達に感心する。
「でも狙ったところに正確に当てられるようになれば完璧だ。」
 青年、青柳悠馬(あおやぎゆうま)が理穂にアドバイスを送る。
「狙ったところに正確に当てる・・的の中心・・やってみます・・」
 彼の言葉に背中を押されるように、少女、緑川モモが銃を構える。モモは新平の妹である。
 モモは集中力を高めて、銃の引き金を引いた。十からレーザーが放たれて、的の中央に命中した。
「すごい♪当たったね、モモちゃん♪」
 理穂がモモの腕前に感心して、笑顔で喜ぶ。
「集中したら当てられただけですよ・・私自身、驚いているくらいで・・」
 モモが持っている銃を見つめて、照れ笑いを見せる。
「その集中力も大事だ。そして自分を見失わないようにすることも・・」
「ありがとうございます、悠馬さん。勇気が出ました・・」
 悠馬に励まされて。、モモが笑顔で感謝した。
「3人ともここにいたか。」
 新平が悠馬たちのところに来て、声を掛けてきた。
「兄さん・・」
「あれ?蓮斗はどうしたの?」
 モモが答えて、理穂が新平に蓮斗のことを聞く。
「まだ走っているよ。うまくペース配分しないで走ったら、疲れてスピードが落ちてきて・・」
 新平が蓮斗のことを説明して、両手を軽く上げて肩をすくめる。
「頭で考えるより先に体が動くタイプだからね、蓮斗は・・」
「でも、その勢い任せなところに勇気づけられたこともあるんだけどね。」
 悠馬と理穂が蓮斗のことを話して笑みをこぼした。
「あたしたち3人が集まってからしばらくは、怒りと憎しみでいっぱいになってた・・」
「そういえば前の司令官は、君たちを騙して利用していたんだったね・・」
 理穂が昔のことを思い出して、新平が話を伺う。すると将馬と理穂が表情を曇らせる。
「僕たちの意思で戦うことを決めたはずだったのに、僕たちの形の手のひらの上で、何度も踊らされていた・・バカなくらいに・・・」
 悠馬がかつて自分たちが犯した過ちを後悔する。
 蓮斗、悠馬、理穂は救星主のブラジラによって家族や親友を殺された。みんなの仇を討つため、3人は地球防衛隊に入隊した。
 しかし蓮斗たちの最初の上官、富良野虎男(ふらのとらお)はブラジラが化けた姿だった。
 怒りと憎しみを利用されて絶望した蓮斗たちだが、何のために戦うべきかを理解して、平和のために戦ったのである。
「でも僕たちは、世界を守るのがどういうことなのか、ちゃんと理解することができた・・」
「うん・・こっちの世界に来てくれた、スーパー戦隊が教えてくれた・・・」
 悠馬が大切なことを、理穂がそのときの戦いを思い出していく。
 スーパー戦隊。違う色のスーツとマスクを身にまとい戦う戦士たちの総称である。世界や地球を守るため、大切なものを守るため。大きな目的はそれぞれだが、悪と戦うことは共通している。
 歴代のスーパー戦隊が次元を超えて、蓮斗たちと出会った。そのときに蓮斗たちは、戦隊から大切なことを教わった。
「戦隊のみなさんの強さと信念、私たちにも強く伝わりました・・」
「オレたちも負けないように精進しないと。」
 モモが戦隊との出会いを大切にして、新平が気を引き締める。
「今度はスーパー戦隊の力を使う練習をしようか。どんな力でも、使いこなせなかったら意味がないからね。」
 新平が提案をして、悠馬たちが頷いた。
「それは蓮斗が戻ってきて、少し休憩してからになりそうだ・・」
 悠馬が言いかけて、理穂とモモが笑みをこぼした。そこへ丁度、蓮斗が戻ってきて、疲れてしりもちをついた。
「ちくしょう・・こんなはずじゃなかった・・・」
「突っ走るばかりが勝利のカギじゃないってことさ。」
 悔しがる蓮斗に、新平が悠然と言葉を返した。
「僕たちの力も武器も道具も、使い方次第で善にも悪にもなる。勝利のカギにすることもね。」
「使い方次第、か・・確かにそうだな・・・」
 悠馬が助言を口にして、蓮斗が納得する。
 そのとき、蓮斗たちの通信機に通信が入った。
「はい、青柳です。」
“みんな、多数の戦艦が地球に接近している。警戒態勢に当たってくれ。”
 悠馬が応答して、司令官である戸沢仙太郎(とざわせんたろう)が指示を送った。
「戦艦・・・分かりました。フォースマシンで出動します。」
 悠馬が答えて、理穂たちと頷いた。
「フォースマシンで現場に急行。状況を把握して対処するよ。」
「フォースレンジャーに変身だ!」
 悠馬が呼びかけて、蓮斗が意気込む。彼らがが腕に付けている腕輪「フォースチェンジャー」の青のボタンを押した。
「フォースチェンジ!」
 フォースチェンジャーから発した光を浴びて、蓮斗、悠馬、理穂、新平、モモがそれぞれ赤、青、黄色、緑、ピンクをベースにした色のスーツとマスクを身にまとった。
「フォースマシン、発進!」
 蓮斗がフォースチェンジャーで呼ぶと、5機のマシンが発進した。戦闘機型の「フォースジェット」、ドリル戦車「フォースドリル」、大型車「フォースタンク」と「フォーストレーラー」、飛行機「フォースウィング」である。

 突如、地球に近づいてきた多数の戦艦。この大軍勢は大気圏を突破して、地球に侵入した。
「そこの宇宙戦艦に告ぐ!この星に来た目的を、名前とともに話すのだ!」
 蓮斗たちより先に地球防衛軍の小隊が来て、艦隊に警告をしてきた。
「こちらの誘導に従い、着陸を・・」
 小隊の隊長が誘導しようとしたとき、戦艦の1隻がビームを撃ってきて、戦闘機2機に命中させた。
「なっ!?・・いきなり撃ってきただと・・!?」
 落下する戦闘機と脱出したパイロットを見て、隊長が驚きの声を上げる。
「我らは宇宙帝国“ザンギャック”。余は皇帝のアクドス・ギルだ。」
 艦隊の母艦「ギガントホース」にいるアクドスが声を掛けてきた。
「この星も我々の物とする。住民は全員、我々に降伏せよ。」
「全面降伏を要求するだと!?そんな要求をのむわけにはいかない!」
 アクドスからの警告に、隊長が反発する。
「下等な愚民どもに逆らうことは許されん。処刑という罰を受けよ。」
「その通りです、父上!逆らう者に身の程を分からせてやりますよ!」
 アクドスに続いて彼の息子、ワルズ・ギルが意気込みを見せる。
「攻撃開始だ!まずはそこの蚊トンボを撃ち落とせ!」
 ワルズが命令して戦闘員、ゴーミンが戦艦を操縦する。戦艦が小隊に向けてビームを発射した。
「回避!」
 隊長が指示を出すが、雨のように飛び交うビームをかわし切れず、戦闘機が次々に撃墜されていく。
「この星の軍事力はこんなものか?大したことはない!」
「油断するな、ワルズ。この星には巨大な力を持つ者がいるという情報がある。それが真実なら、この星の真の戦力は他にあるはずだ。」
 勝ち誇るワルズをアクドスがなだめる。
「だったらあぶり出してやればいいのですよ、父上。」
 そこへもう1人の男が声を掛けてきた。
「この私、ドルズ・ギルに先陣をお任せください。この星の有力な施設を叩けば、真の戦力も姿を現すでしょう。」
「手ぬるいです、兄上!こちらはこれだけの戦力を有しているのですぞ!手当たり次第に攻撃しても十分だ!」
 男、ドルズがアクドスに志願して、ワルズが反発する。
「ドルズ、お前は小隊を率いて、この星の軍事施設を叩け。ワルズはここで部隊を指揮しろ。」
「分かりました。直ちに舞台とともに出立します。」
「お任せを、父上!この星の愚民どもに、我々の力を思い知らせてやります!」
 アクドスが命令を下して、ドルズとワルズが答えた。ドルズたちはそれぞれ攻撃のために指揮を執り、部隊を動かした。
「よし!まずはこの近くの街を攻撃だ!」
 ワルズが部隊に命令を下し、戦艦数隻が街に向けて砲撃しようとした。
 そのとき、フォースジェットとフォースウィングが駆け付けて、ビームを発射した。戦艦の数隻がビームを当てられて爆発、撃墜した。
「ん!?何だ、アイツらは!?」
 ワルズがフォースジェットたちを見て、声を荒げる。
「もしや、あれがこの星の戦力か。すぐに叩きますか?」
「無論だ。我々に逆らう愚か者は、処罰あるのみだ。」
 ドルズが言いかけて、アクドスは表情を変えずに答える。
「全艦、2機の戦闘機を攻撃しろ。」
「あの蚊トンボどもを撃ち落とせ!」
 ドルズとワルズが戦艦に命令を出す。戦艦が一斉に射撃するが、フォースジェットとフォースウィングは素早くかわしていく。
「チョロチョロと・・何をしている!?早くアイツらを撃ち落とせ!」
 ワルズが怒鳴り声を上げて、戦艦がビームを連射する。フォースジェットとフォースウィングが回避して、ビームを出して戦艦に当てた。
「おのれ!愚民の分際で!」
 ワルズがフォースジェットたちにいら立ちをふくらませる。
 そのとき、地上からもビームが飛んできて、戦艦数隻を撃ち落とした。フォースドリル、フォースタンク、フォーストレーラーも急行してきた。
「オレたちがいるのを、忘れてもらっちゃ困るよ。」
「こっちからも攻撃していくよ。」
 新平が気さくに言って、悠馬が冷静に指示する。フォースドリルたちがビームを連射していく。
「おのれー!次から次へとー!」
「まずは地上にいる3機を1機ずつ集中して潰せ。そうすれば敵の連携が崩れる。」
 ワルズが不満をふくらませる中、ドルズが冷静に指示を送る。
「まずはあの大型の車だ。集中砲火!」
 ドルズの指示で、戦艦がフォースドリルに向かってビームを発射した。
「やられはしないぞ!」
 悠馬が言い放って、フォースドリルがスピードを上げて地中に潜って、ビームをかわした。
「フォースドリルジャンプ!」
 フォースドリルが地上に飛び出して、その勢いのまま上昇して、戦艦の1隻に突撃した。
「何をやっている!?それでもザンギャックの兵士か、馬鹿者ども!」
 ワルズが地団太を踏んで、兵士たちに文句を言う。
 フォースタンクとフォーストレーラーがビームを発射して、戦艦を撃ち落としていく。
「みんな、合体して母艦を押さえるよ!」
「分かった!」
 悠馬が指示して、蓮斗が答えた。
「無双合体!」
 蓮斗が呼びかけて悠馬、理穂が備える。フォースジェット、フォースドリル、フォースタンクが合体シークエンスに入る。
 2つに分かれたフォースタンクの上に、フォースドリルが変形して組み合わさる。その上にフォースジェットが変形して合体を果たした。
「完成、フォースロボ!」
 フォースカートが両足、フォースドリルが胴体と両腕、フォースジェットが胸部と頭になって、合体ロボ「フォースロボ」となった。
「5つのメカが合体してロボットになったか。」
「フン!的が1つになってやりやすくなったというものだ!」
 ドルズが冷静に言って、ワルズが高らかに言い放つ。
「全艦、集中砲火だ!あのロボを花火にしてやれ!」
 ワルズの命令で、戦艦がフォースロボに向かって一斉にビームを発射した。フォースロボは飛翔して、ビームをかわして艦隊に突っ込む。
「フォースレーザー!」
 フォースロボが両肩から光線を発射して、戦艦を撃ち落としていく。
「よし!あの母艦を撃墜させるぞ!」
 蓮斗がザンギャックの母艦「ギガントホース」を見て檄を飛ばす。
「向かってくるぞ!アイツを撃ち落とせ!」
 ワルズが命令して、ギガントホースがフォースロボに向けてビームを放った。
「フォースシールド!」
 フォースロボが盾「フォースシールド」を左手で持って、ビームを防いだ。
「フォースサーベル!」
 フォースロボがフォースシールドに付けられている柄を右手で持って、ビームの刃を発した。
「スーパーフォースブレイク!」
 フォースロボがギガントホースに向かって加速して、剣「フォースサーベル」を横なぎに振りかざした。
 そのとき、1体のロボが飛び込んで、フォースロボに横から突撃した。
「うわっ!」
 蓮斗が悠馬たちとともに衝撃を覚えてうめく。
「向こうも巨大ロボを出してきました・・!」
「悪趣味丸出しという感じだねぇ・・」
 モモがロボを見て声を上げて、新平がロボの容姿に呆れる。
「陛下、ここはこのインサーンとグレートインサーンにお任せを!」
 巨大ロボ、グレートインサーンに乗っている女性、インサーンがアクドスたちに呼びかける。
「よし!インサーン、ヤツらを派手に始末しろ!」
「分かりました、ワルズ・ギル様!」
 ワルズが命令して、インサーンが答える。
「来るぞ!」
 蓮斗が呼びかけて、フォースロボがグレートインサーンを迎え撃つ。グレートインサーンがミサイルを一斉に発射して、フォースロボが空中でかいくぐっていく。
「もう1回やろう、蓮斗、悠馬!」
「あぁ!」
「了解だ!」
 理穂が呼びかけて、蓮斗と悠馬が頷いた。フォースロボがグレートインサーンへのほうへ上昇する。
「スーパーフォースブレイク!」
 フォースロボがフォースサーベルをグレートインサーンに向けて振りかざした。しかしグレートインサーンの眼前に出たバリアに、フォースサーベルが止められた。
「何っ!?」
「そのような攻撃で、このグレートインサーンに勝てると思っているのかしら?」
 驚く蓮斗とあざ笑うインサーン。グレートインサーンのバリアに弾かれて、フォースロボが押された。
「みんな!」
「大丈夫ですか!?」
 空中で踏みとどまったフォースロボに向かって、新平とモモが叫ぶ。
「問題ない!あのバリアに跳ね返されただけだ!」
 蓮斗が新平たちに向けて答える。
「でもあのロボ、ただ者じゃないパワーを持っているようだ・・!」
「ここはもっと合体したほうがいいみたいだね!」
 悠馬がグレートインサーンの力を分析して、理穂も呼びかける。
「よし!みんな、超無双合体、行くぞ!」
 蓮斗が掛け声を上げて、フォーストレーラーとフォースウィングがフォースロボに近づいた。
「超無双合体!」
 フォーストレーラーとフォースウィングがそれぞれ2つに分離して変形する。フォーストレーラーがフォースロボの両足と両肩に装着されて、フォースウィングが背中と頭部に組み合わさる。
「完成、スーパーフォースロボ!」
 フォースロボが更なる合体を果たして、「スーパーフォースロボ」となった。
「あのメカも段階的な合体や変形が可能のようね・・でも私たちには及ばないわよ!」
 インサーンがスーパーフォースロボを分析するも、自信を絶やさない。
 グレートインサーンがミサイルを連射する。スーパーフォースロボは攻撃を受けても、ものともせずに突っ込んでいく。
 スーパーフォースロボが右手のパンチを繰り出して、グレートインサーンの頭部に命中させた。
「うっ!」
 グレートインサーンが殴られた衝撃を受けて、インサーンがうめく。
「何をやっている、インサーン!?そんなヤツ、さっさと片付けてしまえ!」
「各艦、インサーンを援護せよ。」
 ワルズが不満をふくらませて、ドルズが冷静に指示を送る。戦艦が砲撃でインサーンを援護する。
「あんな戦艦ぐらいで、オレたちは負けないぞ!」
 蓮斗が言い放って、スーパーフォースロボがフォースサーベルを手にして、グレートインサーンに向かって加速する。
 グレートインサーンがミサイルを連射するが、スーパーフォースロボがフォースサーベルを振ってミサイルを切り裂いてなぎ払っていく。
 グレートインサーンが再び発したバリアに、スーパーフォースロボがフォースサーベルを振って叩きつけていく。バリアがガラスが割れるように打ち砕かれた。
「何っ!?」
 グレートインサーンが押されていることに、インサーンが目を疑う。
「まずはあのロボットを倒すぞ!」
「OK!」
 蓮斗が呼びかけて、悠馬たちが答える。
「スーパーフォースチャージ!」
 フォースサーベルの刀身にエネルギーが集まっていく。
「スーパーフォースエクスプロージョン!」
 スーパーフォースロボが振り下ろしたフォースサーベルから光の刃が放たれた。グレートインサーンが光の刃に切り裂かれた。
「お、おのれ!」
 インサーンが慌てて脱出して、直後にグレートインサーンが爆発した。
「うん!敵のロボットを撃破したよ!」
「この調子で他の戦艦もやっつけちゃおう!」
 新平が頷いて、理穂が掛け声を上げる。スーパーフォースロボがギガントホースに向かっていく。
「一斉放射!」
 そのとき、ドルズの指示の下、戦艦が同時にビームを発射してきた。スーパーフォースロボがビームを受けて爆発に包まれる。
「うあっ!」
「キャッ!」
 爆発の衝撃に襲われて、蓮斗たちが悲鳴を上げる。スーパーフォースロボが体勢を崩して、地上に落下した。
「今だ!一気に攻めろ!集中砲火だ!」
 ワルズが呼びかけて、戦艦たちがさらにビームを発射した。
「回避!」
 悠馬が叫び、スーパーフォースロボが立ち上がる。しかしビームをかわし切れず、攻撃を受け続けた。
「うわあっ!」
 コックピットにも爆発が起こって、蓮斗たちが叫ぶ。スーパーフォースロボの合体が解除されて、フォースマシンが吹き飛ばされた。
「いいぞ!あのロボットはバラバラになったぞ!我らザンギャックに歯向かえばどうなるか、この星のヤツらは思い知ったはずだ!」
 ワルズが勝ち誇り高らかに笑う。
「他の愚民どもも葬り去れ。今のヤツらが生き残っていれば、生かして帰すな。」
 アクドスが命令し、戦艦が周囲の街にも攻撃の範囲を広げた。

 ザンギャックの強襲の前に、フォースジェットたちは離れ離れに地上に落下していた。
「くっ・・ちくしょう・・・!」
 蓮斗がフォースジェットから出てうめく。彼のフォースレッドへの変身は解けていた。
「悠馬、理穂、新平、モモ!みんな、無事か!?」
 蓮斗がフォースブレスに呼びかけるが、悠馬たちからの応答がない。
「みんな気絶してるのか?・・やられちまったってことはないはずだ・・・!」
 悠馬たちの無事を信じて、蓮斗がフォースジェットに戻ろうとした。そこへザンギャックの兵士、ゴーミンとスゴーミンが彼の前に現れた。
「あのザンギャックってヤツらか・・こんなときに・・!」
 蓮斗がゴーミンたちと対峙することになって毒づく。
「やるしかないか・・フォースチェン・・!」
 蓮斗が再びフォースレッドに変身しようとしたときだった。
「ハッハッハッハッハー!」
 突然高笑いが聞こえてきて、蓮斗とゴーミンたちが振り向いた。その先にいたのは、数人の男たちが担ぐ神輿の上にいる、赤いスーツとマスクの男だった。
「な、何だ、アイツは!?・・コイツらの仲間・・じゃないよな・・・!?」
 蓮斗が男に対して驚きを覚える。
「やーやーやー!祭りだ祭りだー!大盛り上がりになってるなー!」
 男が扇子をあおぎながら、高らかに言い放つ。
「袖振り合うも他生の縁!つまづく石も縁の端くれ!ともに踊ればつながる縁!この世は楽園!」
 男は神輿から飛び降りて、蓮斗たちに近づいていく。ゴーミンとスゴーミンが身構えて、彼に迫る。
「オレも混ぜてもらうぜ!勝負、勝負!」
 男が剣「ザングラソード」を手にして、ゴーミンたちに飛びかかる。彼に斬られてゴーミンたちが次々に倒れていく。
「強い・・それにあの姿・・スーパー戦隊の1人か・・!」
 蓮斗が男の姿と戦いを見て呟く。他のゴーミンたちが危機感を覚えて、彼らから撤退していった。
「た・・助かった・・お前が来てくれなかったら、厳しい戦いは避けられなかった・・・」
 蓮斗が男に近づいて感謝を口にした。
「オレは赤木蓮斗だ。お前の名前は?」
 蓮斗が自己紹介をして、男に手を差し伸べた。
「ハッハッハッハッハ!」
 すると男が突然高笑いをしてきた。
「何だよ?・・何がおかしいんだよ・・・!?」
 蓮斗が男の態度に疑問を覚える。
「お前は誰だって聞いているんだよ!これじゃずっと“お前”呼ばわりになってしまうぞ!」
 蓮斗が問い詰めると、男は笑い声を止めた。
「それもそうだな・・オレは桃井(ももい)タロウ。この姿はドンモモタロウだ。」
 男、タロウが納得して自己紹介をした。
「タロウはここで何をしに来たんだ?誰か仲間とかはいないのか?」
 蓮斗が頷いてタロウに質問する。
「オレにはお供がいる。だがここに来たときに離れ離れになってしまった。」
「お供?親分か殿様か?」
 タロウの答えを聞いて、蓮斗がさらに疑問符を浮かべる。
「ここはオレの知っている所とは違うようだ。早くお供を見つけて戻らないと・・」
「そのお供っていうのはどこにいるんだ?」
 周りを見回すタロウに、蓮斗が聞く。
「ハッハッハッハッハ!」
 するとタロウがまた高笑いを上げた。
「何も分かってないってことか・・・」
 彼の態度を見て、蓮斗が大きく肩を落とした。
「いけない!早くみんなと合流しなくちゃ!」
 蓮斗が悠馬たちのことを思い出して声を上げた。
「ん?お前にもお供がいるのか?」
「お供じゃない!仲間だ!」
 タロウが聞いて、蓮斗が言い返す。
「仲間・・お前も面白いヤツだな!」
 タロウが喜びを見せて、ドンモモタロウへの変身を解いた。
「仲間のところへ行くのだったな。ならばオレも一緒に行かせてもらう。」
「助けてくれたのに悪いが、お前はこの戦いにおいては部外者のようだ。あんまり深入りして危険に飛び込む必要はないぞ。」
 ついていこうとするタロウに、蓮斗が懸念を示す。
「オレは荷物を届けるのを仕事にしているが、幸せも運んでいる。それがオレの生き方だ。」
「そうか・・今の戦い方なら、簡単にやられるってことはなさそうだ・・・」
 自分の考えを貫くタロウがついていくことを、蓮斗は認めた。
「フォースジェットに乗れ。まずは仲間を捜しながら、フォースレンジャーの本部に戻る。もしかしたら、タロウの知り合いの情報が入っているかもしれない。」
「そうか。それなら行かないといけないな。」
 蓮斗の言葉を聞き入れて、タロウは彼とともにフォースジェットに乗った。
「本部、応答してください!本部!」
 蓮斗はフォースジェットを通じて、仙太郎へ連絡を取った。
“蓮斗、無事だったか!・・悠馬たちにも連絡を取っているのだが、応答がない・・”
「そうですか・・それと、オレのいる場所の周辺に、他の人はいませんか?」
 仙太郎から悠馬のことを聞いて落ち込む蓮斗が、タロウの仲間について聞く。
“その辺りは敵の攻撃で混乱状態にある・・避難勧告は出ているが、まだ逃げ遅れた人がいることは否定できない・・”
「そうですか・・・みんなを捜しながら本部へ向かいます・・!」
 仙太郎から現状を聞いて、蓮斗は通信を終えた。
「みんなの行方はまだ分からないか・・・!」
 悠馬たちの行方が分からなくて、蓮斗が肩を落とす。
「そういえばタロウの知り合いも、ドンモモタロウみたいに変身できるのか?」
「そうだ。アバターチェンジする。オレにはまだまだ及ばないが、頼もしいお供だ。」
 蓮斗の問いに答えて、タロウが銃「ドンブラスター」を見せた。
「アバターチェンジ!」
 タロウがドンブラスターにギア「アバタロウギア」の1つ「ドンモモタロウギア」をギアテーブルにセットして、スクラッチギアを回す。
“よぉ~!”
 音声の発するドンブラスターのスクラッチギアを、彼はさらに回していく。
“ドン!ドン!ドン!ドンブラコー!暴太郎!”
“ドンブラコ!ドンブラコ!・・”
 タロウはドンブラスターのトリガーを引く。
“ドンモモタロウ~!よっ!日本いち~!”
 赤いスーツと仮面を身にまとい、タロウはドンモモタロウに変身した。
「そうやって変身するのか。それならオレも・・!」
 蓮斗もフォースチェンジャーの青のボタンを押した。
「フォースチェンジ!」
 蓮斗がフォースレッドへの変身を果たした。
「おー!お前もスーパー戦隊だったのかー!」
 タロウが蓮斗の姿を見て喜ぶ。
「せっかくだ!お前をオレのお供にしてやるぞ!」
「お供だとか子分だとか、オレはそういうのじゃない!助けてくれたことには礼を言うが、そんな関係で言うことを聞くわけにはいかないな!」
 高らかに言うタロウに、蓮斗が不満げに言い返す。
「オレたちは仲間だ!仲間だったら、言うことを聞いてやらないこともない!」
「そうか。ならば仲間として一緒に戦っていくぞ!」
 蓮斗が自分の考えを言って、タロウが聞き入れた。2人の戦隊の戦士が、世界を超えて新たな出会いを果たした。
 
 
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