ザ・グレイトバトル

-感情の力-

第11章

 

 

 Gフォースの本部を目指してハルキ、カツミ、イサミは歩いていた。しかし彼らが本部を目前にしたところで、ギンガたちから逃げてきたクール星人が飛び出してきた。

「おっ!お前たちはロッソとブル、それにフォース!」

「げっ!宇宙人!こんなときに・・!」

 クール星人とイサミが互いを見て驚きの声を上げる。

「しぶとく生きていたヤツらがいたか・・ならばここで息の根を止めることにするぞ・・!」

 クール星人が言いかけて、思念波を発する。彼の後ろから5体の怪人が現れた。

 「デストロン」のハサミジャガー、「ドーラモンスター」のドーラスケルトン、「クライシス帝国」の怪魔妖族、スカル魔3体である。

「こんなときに怪人が出てくるなんて・・!」

 一気に窮地に追い込まれて、ハルキが焦りを噛みしめていく。

“まだ変身できるだけのエネルギーも回復していない・・!”

 フォースがハルキに向けて注意を投げかける。

「お前たち、そこの3匹を倒せ!これだけいればたやすいことだろう!」

 クール星人が呼びかけて、ハサミジャガーたちが構えを取る。

「こうなったら、やるしかない・・・!」

 ハルキが銃を手にして、ハサミジャガーたちと応戦しようとする。

「そんなおもちゃでオレたちに勝てると思ってるのか?」

 ハサミジャガーがハルキたちをあざ笑って、ドーラスケルトンたちとともに迫る。ハルキが銃を発砲するが、ハサミジャガーの両手の手刀に弾丸をはじかれる。

「ムダなあがきだ・・オレ様がお前たちの息の根を止めてやるぞ・・!」

 ハサミジャガーがあざ笑って、右手を構えた。再び銃を撃とうとしたハルキに向かって、ハサミジャガーが右手を突き出した。

 そのとき、ハサミジャガーの右手の刃が、飛び込んできた1本の剣に受け止められた。

「ぬっ!?

 刃を止められたことに、ハサミジャガーが驚く。刃を止めた剣を持っていたのは、1人の青年だった。

「ちょっと待った!危ないことはさせないよ!」

 青年は気さくに言いかけて、ハサミジャガーの右手を剣「リュウソウケン」で払いのけた。

「な、何だ、お前は!?それにその剣・・ただ者ではないな!?

 ハサミジャガーが青年に驚きの声を上げる。

「コウ、1人で勝手に動いたらダメじゃないか。ここはオレたちの知っている世界じゃないんだから・・」

「ここじゃ迷子にならなくても、無事に元の世界に帰れるかどうか分かんないんだから・・」

 青年、コウに向かって2人の男女が声を掛けてきた。

「いやぁ、メルト、アスナ、ゴメンゴメン。ここにいる人たちが危なーいって思ったら、じっとしてられなくて・・」

 コウが男女、メルトとアスナに振り返って照れ笑いを見せる。

「しょうがないね。僕らの切り込み隊長なんだから。」

「ここでも世話を焼かせる・・面倒見切れないな・・」

 2人の青年、トワとバンバがコウに向かって言いかける。

「何なんだ、アイツらは?・・普通の人には見えないけど・・」

「あんな剣を持ってる時点で、普通じゃないけど・・」

 カツミとイサミがコウたちを見てあ然となる。

「別の世界から来たヤツらのようだが、我々に会ったのが運の尽き。まとめて始末してくれるぞ。」

 クール星人がコウたちを見てあざ笑う。

「それはどうかな。運の尽きなのはそっちのほうかもな。」

 コウが彼らに言い返して、1度リュウソウケンを腰に収めた。彼はメルトとともにアイテム「リュウソウル」を取り出して、左腕に着けているアイテム「リュウソウチェンジャー」を掲げる。

「リュウソウチェンジ!」

 コウたちがリュウソウルの顎にあるボタンを押して、「ソウルモード」から「ナイトモード」に変形して、リュウソウチェンジャーにセットした。

“ケ・ボーン!”

“ワッセイ・ワッセイ・ソウ・ソウ!ワッセイ・ワッセイ・ソレソレソレソレ!”

 コウたちの周りを小さな鎧の騎士の集団が取り囲んで、勝どきを上げる。コウたちがリュウソウチェンジャーの下あごを回して、その頭部のバイザーにする。

“リュウソウクール!”

 鎧の騎士たちがコウたちに取りついてスーツになって、続けてマスクが装着された。

「あれって・・あの人たちも戦隊なのか!?

「お前たち、いったい何者だ!?

 変身したコウたちにイサミが驚いて、ハサミジャガーが問いかける。

「勇猛の騎士、リュウソウレッド!」

「英知の騎士、リュウソウブルー!」

「剛健の騎士、リュウソウピンク!」

「疾風の騎士、リュウソウグリーン!」

「威風の騎士、リュウソウブラック!」

 コウ、メルト、アスナ、トワ、バンバがそれぞれのリュウソウケンを引き抜いて、名乗りを上げる。

「正義に仕える5本の剣!騎士竜戦隊、リュウソウジャー!」

 コウたちが声をそろえてポーズを決めた。古代人「リュウソウ族」の末裔の騎士「騎士竜戦隊リュウソウジャー」である。

「オレたちの騎士道、見せてやる!」

 コウがリュウソウケンの切っ先をハサミジャガーたちに向けて言い放つ。

「何者であろうと、オレのハサミに勝てるはずがない!ズタズタにしてくれる!」

 ハサミジャガーがいきり立って、コウたちに向かっていく。ハサミジャガーが突き出す両手の刃を、コウたちがリュウソウケンで受け止めていく。

 メルトとアスナも飛びかかって、ハサミジャガーに向けてリュウソウケンを振りかざす。ハサミジャガーは後ろに動いて、リュウソウケンをかわす。

「腕は立つが、オレの手をわずらわせるほどではないな。」

「って、手ないじゃん!刀じゃない!」

 さらにあざ笑うハサミジャガーに、アスナが文句を言う。

「スピードに自信があるなら、僕に任せてよね。」

 トワが前に出て、リュウソウルの1つ「ハヤソウル」を取り出した。

“ハヤソウール!”

 彼がリュウソウケンにハヤソウルをセットして、後部のレバーを2回押す。

“リュウ・ソウ・ソウ・ソウ!この感じー!ハヤソウール!”

 トワの右肩に竜の形の装甲「竜装」が装着された。彼らはリュウソウルを使うことで、その力を使うことができるのである。

「そんなものでオレに勝てると思っているのか!」

 ハサミジャガーがあざ笑って、トワを狙って向かっていく。次の瞬間、トワが一気にスピードを上げて駆け出した。

「何っ!?おわっ!」

 驚くハサミジャガーが、トワが高速で振りかざすリュウソウケンに切りつけられてうめく。トワの高速を捉えられずに立て続けに斬撃を受けて、ハサミジャガーが突き飛ばされた。

「速さの次は力を見せてやる。コウ!」

「あぁっ!」

 バンバの呼びかけに答えて、コウがリュウソウル「ツヨソウル」を手にした。

“ツヨソウール!”

“リュウ・ソウ・ソウ・ソウ!この感じー!ツヨソウール!”

 コウがリュウソウケンにツヨソウルをセットして、竜装を装着した。

「おのれ、戦隊め・・容赦せんぞ!」

 ハサミジャガーがいきり立って、コウたちに飛びかかる。コウとバンバが同時に飛び出して、力を込めてリュウソウケンを振りかざした。

「がはっ!」

 コウのリュウソウケンが刃をはじき返して、バンバのリュウソウケンがハサミジャガーを切りつけた。

 ドーラスケルトンたちがハサミジャガーに加勢しようとする。そこへマーベラスたちゴーカイジャーが駆けつけてきた。

「あなたたちの相手は私たちです。」

「ここから先へは行かせないよ!」

 アイムとルカがドーラスケルトンたちに向かって言い放つ。

「これで決めるよ、みんな!」

「あぁっ!」

 アスナの呼びかけにコウが答える。彼らがリュウソウケンのレバーを4回押す。

“ソレ・ソレ・ソレ・ソレ・そのちょうしー!”

 コウたちのリュウソウケンの刀身に力が宿る。

“剣・ボーン!”

 彼らがリュウソウケンを振りかざして、光の刃を放つ。

「ギャアッ!」

 ハサミジャガーが光の刃に斬られて、絶叫を上げて倒れて爆発した。

「やったー!オレたちの勝ちだ!」

 コウが喜びを振りまいて、メルトたちも笑みをこぼして頷いた。

「新しい戦隊もなかなかやるようだ。」

「オレたちも負けてられないな。」

 ジョーとマーベラスがコウたちを見て笑みをこぼす。

「新しい戦隊が竜の戦隊なら、こっちはコレで行きましょう!」

 鎧が呼びかけて、新たなレンジャーキーを取り出した。

「なるほど、竜の戦隊の先輩ですね。」

「よし、乗った!」

 そのキーを見てアイムが微笑んで、ルカが頷いた。マーベラスたちも同じ戦隊のレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

 マーベラスたちがレンジャーキーをモバイレーツ、ゴーカイセルラーにセットした。

“ジューレンジャー!”

 彼らのスーツとマスクに変化が起こった。マスクの模様はそれぞれ恐竜の形となっていた。

「恐竜戦隊!」

「ジュウレンジャー!」

 マーベラスが声を上げて、ジョーたちと声をそろえた。彼らは「恐竜戦隊ジュウレンジャー」に変身した。

「あの戦隊、他の戦隊にもなれるのか・・!?

「しかも恐竜の戦隊とはね。」

 メルトとトワがマーベラスたちを見て、戸惑いを覚える。

 ジュウレンジャーとなったマーベラスたちに対して、ドーラスケルトンが身構える。彼が両手に剣を持って、マーベラスたちに向かっていく。

「トリケランス!」

「モスブレイカー!」

 ジョーとドンがそれぞれ槍「トリケランス」と斧「モスブレイカー」を手にして振りかざして、ドーラスケルトンを切りつけた。体がバラバラになったドーラスケルトンだが、すぐに合体して復活した。

「コイツは頭を破壊しない限り、何度でも復活します!」

 鎧がドーラスケルトンについて呼びかける。

「アイム、頭を狙って!マーベラス、行くよ!」

「はい!」

「分かった!」

 ルカが呼びかけて、アイムとマーベラスが答える。

「サーベルダガー!」

「龍撃剣!」

 ルカとマーベラスがナイフ「サーベルダガー」と剣「龍撃剣」を手にして、ドーラスケルトンに向かっていく。ルカがサーベルダガーで2本の剣をはじき飛ばして、マーベラスが龍撃剣を振りかざしてドーラスケルトンを切り裂いた。

 またバラバラになったドーラスケルトンの体が、頭部を介して元に戻ろうとする。

「プテラアロー!」

 アイムが弓矢「プテラアロー」を構えて、矢を放った。ドーラスケルトンの頭部に矢が刺さって、体が制御を失ってうろたえる。

「獣奏剣!」

 鎧が短剣「獣奏剣」を振りかざして、ドーラスケルトンの頭部を切り裂いた。胴体が完全に制御を失ってふらつく。

「今です!」

 鎧が呼びかけて、マーベラスたちがそれぞれの武器を合体させた。

「ハウリングキャノン!」

 それぞれの武器を合体させたバズーカ砲「ハウリングキャノン」を構えるマーベラスたち。ハウリングキャノンから光線が放たれて、ドーラスケルトンの体を吹き飛ばした。

「やったー!やりましたね、みなさーん!」

 鎧がマーベラスたちに向けて声を上げた。そのとき、彼らの前にゴーレム兵、「デストロン」の戦闘員、「クライシス帝国」の戦闘員「チャップ」が続々と姿を現した。

「ふえ〜!こんなにぞろぞろ〜!」

 ドンが不安を口にして、取り囲んできたゴーレム兵たちを鎧が迎え撃つ。

「ザコたちはオレに任せてください!マーベラスさんたちはスカル魔のほうを!」

 ゴーカイシルバーに戻った鎧が、マーベラスたちに呼びかける。

「いいぜ!やってやるぜ!」

「コイツでさっさとね!」

 マーベラスが頷いて、ルカが新たなレンジャーキーを取り出した。

「確かに“さっさと”だな。」

 ジョーが頷いて、マーベラスたちとともに同じ戦隊のレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“ターーボレンジャー!”

 彼らのスーツとマスクが再び変化した。

「高速戦隊!」

「ターボレンジャー!」

 マーベラスたちがポーズを取って名乗りを上げた。彼らは「高速戦隊ターボレンジャー」に変身した。

 スカル魔たち3人がそれぞれ鎌を持って、マーベラスたちに向かっていく。マーベラスたちはスピードを上げて、スカル魔たちの周りを駆け抜ける。

 ジョーとドンのパンチとルカとアイムのキックが、スカル魔のうちの2人を突き飛ばす。

「GTソード!」

 マーベラスが剣「GTソード」を手にして振りかざして、スカル魔の鎌とぶつけ合う。

「そら!」

 マーベラスが足を突き出して、スカル魔を蹴り飛ばした。他のスカル魔2人がマーベラスたちに向かっていく。

「Vターボバズーカ!」

 マーベラスがバズーカ砲「Vターボバズーカ」を呼び出して、ジョーたちとともに構えて、スカル魔の1人をロックオンした。

「ゴー!」

 マーベラスたちがVターボバズーカを発射して、スカル魔の1人を吹き飛ばした。

「このまま攻め切りましょう!」

 アイムが呼びかけて、別の戦隊のレンジャーキーを取り出した。

「よーし!今度はそれでいこう!」

 ドンが答えて、マーベラスたちとともにレンジャーキーを手にした。

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーゴーーファイブ!”

 また新たな戦隊へと変身したマーベラスたち。

「人の命は地球の未来!」

「燃えるレスキュー魂!」

「救急戦隊!」

「ゴー!」

「ゴー!」

「ファイブ!」

 マーベラス、ジョー、ドン、ルカ、アイムが名乗りを上げた。

「出場!」

 アイムが掛け声を上げて、マーベラスたちとともに走り出す。

 スカル魔たちが鎌たちを振りかざすが、マーベラスたちに正確にかわしていく。ジョーとドンがローブを使ってスカル魔の鎌の柄に巻きつけ絵、引っ張って跳ね上げた。

「よし!ライフバート!ブレイカーモード!」

 マーベラスが鳥型マシン「ライフバード」を呼び出して、銃砲型の「ブレイカーモード」にして、ジョーたちとともに構えた。

「カラミティブレイカー!」

 マーベラスたちがライフバートからビームを発射して、スカル魔の1人に命中させて倒した。

「最後の1人も逃がさないぞ!」

「ブイランサー!」

 ドンが言い放って、マーベラスたちとともに槍「ブイランサー」を手にして構えた。

「ビッグブイバスター!」

 彼らがブイランサーを同時に発射して、巨大なエネルギーの球を作り出した。放たれたエネルギーの球をぶつけられて、スカル魔が爆破した。

「すっごーい!他の戦隊になっても、すごいパワーを発揮してるよー!」

 コウがマーベラスたちの戦いを見て、喜びを振りまく。

「確かに他の戦隊の力も使いこなしているのは、目を見張るものがあるね。」

「僕たち以外のスーパー戦隊・・歴史も力も奥が深そうだ・・」

 トワとメルトもマーベラスたちの戦いを見て呟きかけていた。

「おのれ、戦隊どもが・・こんなところでやられてたまるか・・!」

 クール星人が焦りを覚えて、慌てて逃げ出す。コウたちと鎧がゴーレム兵たちを打ち倒した。

「こっちも終わったよ、ゴーカイジャーのみなさん♪」

 コウが喜びを浮かべたまま、ゴーカイジャーに戻ったマーベラスたちに駆け寄ってきた。

「馴れ馴れしくするな。まだ敵はいるんだからな。」

 マーベラスがそっぽを向いて、コウに対して邪険の素振りを見せる。

「それよりもあの宇宙人を追いかけないと!」

「このままじゃ逃げられちゃうよ!」

 カツミとイサミが呼びかけて、クール星人の逃げたほうを指さす。

「その先はアイツが・・アキトがいるところだ・・・!」

 ハルキが感情を高ぶらせて、1人走り出す。

「ハルキ、待て!1人で行くなって!」

 カツミが声を上げて、イサミとともにハルキを追いかける。

「オレたちも行こう!事情はまだよく分かんないけど、オレたちも行かなくちゃいけない気がする!」

 コウもメルトたちに呼びかけて、走り出した。

「どいつもこいつも忙しないヤツらだ・・」

 ジョーが肩を落として、マーベラスたちもついていった。

 

 アキトに立ち向かうライたちだが、アキトの力に歯が立たない。

「往生際が悪いぞ・・呆れてものがいえない・・」

 アキトがライたちを見て呆れる。

「このライダーの力はシンプルではあるが、力の高さは最強だ。お前たちには絶対に届きはしない。」

「思い上がるな!オレはお前のように、自分が正しいと思い上がるヤツを、絶対に許さない!」

 自信を見せるアキトに、ノゾムが怒りをふくらませる。

「ヨゴシマクリタインの消滅の力をはねのけたのには驚かされたけど、それでオレより強いというわけではないぞ。」

「思い上がるなというのが分からないのか!」

 笑みをこぼすアキトに怒鳴って、ノゾムがアニマルカード「エクシードカード」を2枚取り出した。

“エクシード!インフィニットマックス!”

 彼がエクシードカードを、それぞれエックスブレスにセットした。

“チャージ・エクシード!インフィニット・エックス!インフィニット・マックス!ビース・エクシードライダー!”

 ノゾムをまとうマックスのスーツからまばゆい光があふれ出した。エックスフォルムの白から銀色になっていて、前と後ろに金のラインがX字になるように描かれていた。

 ノゾムはマックスの最強形態「エクシードフォルム」となった。

「ノゾム!・・オレもやる・・アイツに負けるわけにはいかない・・!」

 ライが声と力を振り絞って、新たなライダーソウル「カメンソウル」を手にした。

“カメン!”

“ライダーソウール!”

 彼はカメンソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットした。

「超変身!」

 ライがクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“超変身・カメーン!”

 クロスの装甲とマスクが、緑と赤の横のラインの入ったものになった。ライはクロスの強化形態「カメンフォーム」となった。

 力を上げたライとノゾムが、アキトに近づいていく。

「お前たちが何をしても、オレが世界を変えることに変わりはない・・いつまでも愚かな世界など、もはや見るに耐えない・・・!」

 アキトが鋭く言って、ライたちに向かっていく。ライとノゾムが握りしめた手を振りかざして、アキトに向かってパンチを繰り出す。

 アキトは素早く動いてパンチをかいくぐる。次の瞬間、ノゾムが後ろに回ったアキトに振り返った。

 ノゾムがアキトに向かって足を振りかざす。アキトもとっさに足を出して、キックをぶつけ合う。

「私との力の差を埋めてきただと・・!?

 ノゾムの発揮した力に、アキトが驚きを覚える。2人が同時にパンチを繰り出して、強くぶつけ合う。

「オレは・・お前を絶対に許しはしないぞ・・・!」

 ノゾムが鋭く言って、拳にさらに力を込める。

「ぐっ!」

 アキトがノゾムに押されてふらつく。そこへライも飛びかかって、パンチを連続で当てて攻め立てる。

「クロスも・・1段階程度のパワーアップで、オレがここまで追い詰められるなど・・・!」

 ライに対しても緊迫を感じていくアキト。彼は感情をふくらませて、全身に力を込める。

「怒りがそのまま力に変えている・・ヤツのライダーとしての力は、そういうものなのか・・・!」

 ゲイツがノゾムを見て戸惑いを覚える。

「あの消滅の力も跳ね返しちゃうし、頭が上がらないよ・・」

 ソウゴもノゾムを見て苦笑いをこぼした。

「許しちゃおかない・・お前はオレがブッ倒す!」

 ノゾムは鋭く言うと、ビースドライバーの左上のボタンを3回押した。

“エクシードスマッシャー!”

 ノゾムの手元に剣の形をした武器が現れた。柄と刀身の間に1つの画面があった。

 エクシードフォルムの武器「エクシードスマッシャー」である。

 ノゾムはエクシードスマッシャーの画面をスライドする。彼は画面にゾウのアイコンを出してから、そばのボタンを押した。

“エレファントスマーッシュ!”

 エクシードスマッシャーを左手に持ち替えたノゾムの体に、力が宿る。彼はゾウのパワーを備えた「エレファントフォルム」の力を宿した。

 アキトがノゾムに向かっていって、ジャンプしてキックを繰り出した。ノゾムが握りしめた右手を振りかざして、力のあるパンチを繰り出した。

「ぐおっ!」

 アキトがキックを押し返されてうめく。彼が地面に叩きつけられて、激しく転がる。

「さらにパワーが上がった・・オレのフォースの力を超えるなど・・・!」

 ノゾムの力をさらに痛感して、アキトがうめく。

 ライもアキトに向かっていって、腰に提げていた剣「クロスカリバー」を手にした。ライが振りかざしたクロスカリバーを、アキトが後ろに下がってかわしていく。

「スピードを上げる・・!」

“ドライブ!”

 思い立ったライが仮面ライダードライブのライダーソウル「ドライブソウル」を手にしてスイッチを入れた。彼はクロスカリバーの左のスロットに、ドライブソウルをセットした。

“ドライブパワー!”

 クロスカリバーの刀身に赤い光が宿る。

「ドライブ・クロスカリバー!」

 ライがアキトに向けてクロスカリバーを振りかざした。高速で繰り出されたライの一閃が、アキトのまとう装甲を切りつけて火花を散らせた。

「ノゾム、一気に行くぞ!」

「分かった、ライ!」

 ライとノゾムが声を掛け合う。ノゾムがエクシードスマッシャーの画面に「X」を表示させた。

“エクシードチャージ!エクシードスマーッシュ!”

 ノゾムの全身から光が放出される。飛び上がった彼がエネルギーを右足に集めて、キックを繰り出す。

 ライもクロスドライバーの右レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させる。

“ライダースマッシュ・カメーン!”

 全身からまばゆい光を発するライ。彼もジャンプして、光を集めた右足のキックを繰り出した。

 ハルキもフォースドライバーの右のスイッチを下にして、レバーを閉じて引いた。

「フォースライダーキック。」

 アキトもジャンプして、エネルギーを集めたキックを繰り出した。両者のキックがぶつかり合って、爆発のような衝撃を巻き起こした。

 ライとノゾムが押されるも、空中で体勢を整えて着地する。アキトも押されて、地面に叩きつけられた。

「オレが・・今のオレがやられるなど・・・!」

 体に痛みを感じて、アキトがうめく。彼は力を振り絞って立ち上がって、ライたちに鋭い視線を向ける。

「これで終わりだ・・オレの目の届く限りは、身勝手なヤツは許さない・・・!」

 ノゾムがアキトに向かって鋭く言いかける。

「オレは倒れるわけにはいかない・・本当の敵は、この世界そのものだというのに・・・!」

 アキトが感情をあらわにして、自分の意思を貫こうとする。

「この人、何か過去を抱えているようだ・・・」

 ソウゴがアキトの心境を察して、深刻さを覚える。そこへ逃げてきたクール星人が飛び出してきた。

「すまん〜!また戦隊が現れて〜!」

「くっ・・役に立たないヤツが・・・!」

 悲鳴を上げるクール星人にいら立って、アキトが右手を振りかざす。

「ギャアッ!」

 クール星人が殴り飛ばされて、絶叫を上げて爆発した。

「アイツ、仲間にした宇宙人を・・!」

 聖也がアキトの行動に毒づく。

「愚か者ならば、その愚かさを正さなければならない・・地球人だろうと宇宙人だろうと、それは関係ない・・・!」

「お前・・自分こそが愚か者なのに・・!」

 いら立ちを噛みしめるアキトに、ノゾムが怒りを見せる。

「アキト・・・!」

 そこへハルキがカツミたちとともに駆けつけて、アキトに声を掛けてきた。

「お前をそこまで駆り立てるのは何なんだ!?・・どうして、オレたちを裏切ったんだ・・!?

 ハルキが感情をあらわにして、アキトを問い詰める。アキトはひと息ついて、落ち着きを取り戻してから答えた。

「裏切ったのは防衛隊の上層部・・ヤツらは自分たちの部下である隊員たちを、捨て駒にしたんだ・・・!」

「何だとっ・・!?

 アキトが語った事実に、ハルキが耳を疑った。

「地球を狙う侵略者が後を絶たなかった時代だ・・宇宙人軍団を殲滅するため、防衛隊の中から突撃隊を編成して、本拠地である惑星に送り込んだ。突撃隊は全滅を被ったが、侵略者の軍団の全滅には成功した。表向きはそうなっている・・」

 アキトは話を続けて、変身を解いた。

「だが真実は、突撃隊に侵略者の足止めをさせて、惑星破壊ロケットを送り込んだんだ・・侵略者を全滅させたのは、そのロケットだ・・・!」

「そんなバカな・・・あのときの上層部が、そんなことを・・・!?

 アキトが話を続けて、ハルキが声を荒げる。

「自分の部下を、同じ人間をゴミのように扱う上層部こそが、排除されるべき存在だった・・事実を知ったオレは進言をしたが、ヤツらは逆に脅しをかけてきた・・処分や部隊の解体など、自分たちにとっては赤子の手をひねるのと同じだと・・・!」

 さらに話を続けて、アキトが怒りをふくらませて、両手を強く握りしめる。

「そのときはオレは引き下がったが、ヤツらを野放しにするつもりはなかった・・ヤツらを野放しにしている他の人間も、オレは信じられなくなった・・・!」

「それでお前、宇宙人や怪人の味方になったっていうのか・・!?

「最初はそうだった・・だがオレはその後に、常人離れした力を使えるようになった・・このライダーシステムで、その力を何倍にもできるようになった・・・!」

 驚きを隠せなくなるハルキに、アキトが笑みを見せる。

 自分たちを思い通りにしようとする人間への憎悪をふくらませて、アキトは自分の力を高めた。それにより、彼を従わせて利用しようとした侵略者たちが、逆に従うことになった。

「オレはこの地球を正しく塗り替える・・愚かなヤツらがいる、愚かなヤツらに従っている人間に、この世界を任せてはおかない・・・!」

「アキト・・そのために、オレたちを裏切ったのか・・・そのために、この地球で生きている人たちを滅ぼすつもりなのか!?

 全ての人類に自ら制裁を下そうとするアキトに、ハルキが動揺と怒りをあらわにした。

 

 

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