ザ・グレイトバトル

-感情の力-

第7章

 

 

 レオとアストラはL77星出身のウルトラマンである。しかしマグマ星人とブラックギラス、レッドギラスの襲撃にあい、L77星は滅亡、生き残ったのはレオたちだけだった。

 1人地球に来たレオは、故郷を滅ぼされた怒りに駆られて、マグマ星人たちに返り討ちにされたばかりか、大切な人や街々の被害を広げる結果を招いてしまった。

 特訓を経てマグマ星人たちを撃退したレオは、次々に現れる怪獣や宇宙人を、新たに技を身に着けて倒していった。

 アストラと再会して、ともに地球を襲う敵と戦ったこともあった。

 しかし、新たに現れた敵、「ブラックスター」の円盤生物によって、ゲンは仲間や大切な人を失った。残された友人と苦楽を共にしながらも、レオは1人で円盤生物と戦い打ち勝った。

 レオの戦いは孤独の多いものだった。それでも戦い抜く強い精神力と、アストラや新たにできた仲間たちとの絆で、今も苦難を乗り越えているのである。

 

「あなたは、オレ以上に過酷な戦いをしてきたんですね・・・」

 ハルキがゲンのことを聞いて、動揺を覚える。

「こういうことに大きいも小さいもない。辛いということに変わりはない。それでもくじけずに生きていこうとするのが、大事なことなのだ。」

「オレもこれからを強く生きていきます・・でも、過去を忘れることはないと思います・・」

 激励を送るゲンに、ハルキが自分の意思を告げる。

「過去に囚われるのは悪いことじゃない・・過去を捨てれば、未来へは進めないから・・」

「それが、お前の生き方か・・より厳しい戦いになるぞ・・」

「覚悟の上です・・オレが選んだ戦いですから・・・」

 ゲンから警告されるも、ハルキは自分の意思を貫こうとする。

「だったら、まずはあの人と改めて話をしたほうがいいんじゃないかな。」

 そこへソウゴがライたちとともにやってきて、ハルキに声を掛けてきた。

「みんな、ずっと見ていたのか・・?」

「まぁね。あの2人はずっと自主トレしてたみたいだけど。」

 ハルキが問いかけて、ソウゴが答えて視線を移す。その傍らで、カツミとイサミもトレーニングを続けていた。

「訓練は自主的にやる気になるか、理屈ややり方を示すのが効果的だ。鍛えるのだから厳しさも必要だが、それだけでは強さには結びつかない。」

 ゲンがハルキとライたちに向けて助言を送る。

「お前たちも、いつか誰かに教えたり鍛えたりするときは、それを忘れないようにな。」

「もちろんです。ちゃんと相手の気持ちを理解して、面と向かっていきますよ・・もっとも、相手もそのつもりがあればですけど・・・」

 ゲンの助言に答えるも、ライは表情を曇らせる。

「そうだな・・向こうが自分を押し付けようとしてくるなら、オレも受け入れるつもりはない・・反発するだけだ・・」

 ノゾムがライの言葉に賛成して、自分の意思を告げる。

「お前たちは理不尽というものが許せないようだな・・オレもたくさん強いられて、それに反発するかのように対立したこともあったな・・」

 ゲンが昔の自分を思い返して笑みをこぼす。その月日が苦くもいい思い出であると同時に、彼は時代の流れと変化を感じていた。

「みんな、彼女の所へ行ってくる・・」

 ハルキはライたちに言ってから、ナツのところへ向かった。

「オレたちだけじゃなく、ハルキも大変だね。」

 ハルキを見送ったソウゴが、気さくに言いかける。そこへ訓練に区切りをつけたカツミとイサミが合流してきた。

「いきなり特訓やったって、すぐに鍛えれるわけじゃ・・・」

 イサミがカツミに対して不満を口にする。

「あれ?ハルキは?もう特訓終わったの?」

「そうだ。今、本部に戻っていった。」

 周りを見回すイサミに、聖也が答える。

「もしかして、誰かと会いに行ってるのかなぁ〜♪」

「イサミ、ふざけるのもいい加減にしろよ。本人の問題だろ・・」

 にやけるイサミをカツミが注意する。

「そういえば魁利たち、知り合いを見つけられただろうか・・?」

 カツミが魁利たちのことを思い出して声を上げる。

「知り合い・・3人・・・知り合いっていうより、天敵かもしれないな、怪盗としては・・」

「それってもしかして、おまわりさん・・・?」

 ノゾムも続けて言って、ソウゴが疑問を投げかける。ノゾムは頷いてから、本部のほうへ目を向けた。

 

 ライたちのいた場所から反対側。Gフォース本部に向かって近づく3人がいた。

「ここは、軍隊の基地か・・!?

「世界は違ってても、軍の人なら分かってくれますよ・・!」

 2人の青年、朝加(あさか)圭一郎(けいいちろう)陽川(ひかわ)咲也(さくや)が本部を見て声を上げる。

「でも向こうは私たちを警戒するかもしれない。私たちも用心したほうがいいわ。」

 1人の少女、明神(みょうじん)つかさが注意を呼びかけて、圭一郎たちが頷いた。3人は慎重に本部へと近づいていく。

「やっぱり圭ちゃんたちもこっちに来てたんだな。」

 そこへ声がかかって、圭一郎たちが振り返って身構える。彼らの前に現れたのは魁利、透真、初美花だった。

「魁利くん、透真くん!」

「初美花ちゃーん♪君たちもこっちで無事にいたんだねー♪」

 つかさが笑みをこぼして、咲也が満面の笑顔を見せる。

「ここの防衛隊の人たちには事情を話している。3人のことも受け入れてくれるだろう。」

「また他の世界の人と出会えたんですよ。仮面ライダーもウルトラマンも。」

 透真と初美花が圭一郎たちに説明する。

「いやぁ、パラレルワールドとはいえ、戦隊じゃないヒーローがいたとは。まさにモ・デクスクラマション。」

 ノエルも圭一郎たちに姿を見せて、驚きの素振りを見せる。

「ノエルさんもこっちに来てたんですね!」

「これでオレたちは全員そろったな・・」

 咲也がまた喜びの声を上げて圭一郎が安心の笑みをこぼした。

「もしかして、この人たちが魁利くんたちが捜していた人たち?」

 そこへイズルがギンとともにやってきて、魁利たちに声を掛けてきた。

「なるほどなぁ〜。怪盗の天敵は警察ってことかぁ〜・・」

 ギンが圭一郎たちを見て頷く。

「この2人がここ、Gフォースの隊員、ギンさんとイズルさんだよ。」

 ノエルが圭一郎たちにギンたちを紹介する。

「はじめまして。我々は国際警察です・・といっても、ここの警察ではないですが・・」

 敬礼して自己紹介する圭一郎が少し口ごもる。

「隊長にも会ってください。みなさんのお話も聴きたいそうです。」

 イズルが呼びかけて、圭一郎たちを本部に案内する。圭一郎たちはノエルと頷いてから、イズルたちについていった。

 

 自分がトウカとそっくりだったから、ハルキに不思議に思われていた。そのことに対する複雑な気分を抱えて、ナツは落ち着かない状態になっていた。

(別に望んでいたわけじゃないけど、ハルキさんから心から好かれていたらって思っていた・・それは私の勝手な思い込みだったみたい・・)

 自分の持っていた気持ちが間違いだと思って、ナツが悲しい顔を浮かべる。

(今は任務に集中しよう・・ハルキさんやみなさんに後れを取るわけにはいかない・・)

 ナツは自分に言い聞かせて気を引き締めなおす。

 そのとき、ナツは足音を耳にして振り向く。ハルキがやってきて、ナツが表情を曇らせる。

「さっきは悪かった・・お前の心を傷付けてしまって・・・」

「ハルキさんは悪くないです・・私が勝手に考えていただけですから・・・」

 謝るハルキにナツが言葉を返す。

「勝手に考えていたのはオレだ・・トウカのことを、アキとのことも考えていて、それ以外のことを深く考えられなくなってた・・」

「それを考えないで、勝手に自分の気持ちを決めていたのは、私・・・」

 互いに自分のことを責めて、ハルキとナツが口ごもる。

(トウカのことを忘れることはできない・・でもナツのことをトウカじゃなく、ナツとして見なくちゃいけない・・・!)

 ハルキが自分に言い聞かせて割り切ろうとする。

「この先どうなるか分かんない・・だけどオレは生きて帰る・・オレの戦いにケリをつけて・・」

「ハルキさん・・あなた・・・」

 自分の決心を告げるハルキに、ナツが動揺を覚える。ハルキは1つ深呼吸をしてから、1人歩き出した。

 

 ギンたちに案内されて、圭一郎たちはトウジと対面していた。

「はじめまして。協力に感謝します。」

「事情は2人から聞きました。こことは違う世界ですが、国際警察として、支配を企む敵からみんなを守ります。」

 礼を口にするトウジに、圭一郎が自分たちの意思を告げる。

「本来なら警察が怪盗と共闘するのはご法度ですが、ともに力を合わせなければこの状況は打破できないと考えています。」

「しかもここには海賊もいるから、なおさら怪盗ばっかりにこだわってる場合じゃないですからね。」

 つかさと咲也がそれぞれ自分たちの考えと判断を口にして、魁利たちに目を向けた。

「こっちの世界に来て、今まで隊長さんたちと協力してるんだ。帰るまでは最後までやってやるさ。」

 魁利が圭一郎たちに向かって言いかけて、気さくな笑みを見せる。

 そのとき、Gフォース本部に警報が鳴り響いた。

「来たか・・!」

 トウジが怪獣、宇宙人たちの襲来を予測する。

「ギン、イズル、Gパニッシャーで発進準備だ!」

「了解!」

 トウジからの指示に答えて、ギンとイズルが指令室を飛び出した。入れ違いにハルキが指令室に来た。

「隊長、怪獣ですか・・!?

 ハルキの問いかけに頷いて、トウジがモニターに映っているブラックギラス、レッドギラスに目を向けた。

「自分もフォースガンダムで出撃します!」

「ダメだ。フォースガンダムは修復が完了していない。変形データの更新と併用して進めていたのだが、こうも早くヤツらが再び出てくるとは・・」

 出撃しようとしたハルキに、トウジが苦言を呈した。

「ハルキ、お前は地上から攻撃。ギンたちを援護するんだ。」

「了解・・!」

 トウジの指示に、ハルキは腑に落ちない気分を抱えながらも答えた。

「我々も彼に同行します。」

「オレたちもノゾムたちに知らせてくるよ。」

 圭一郎と魁利がトウジに呼びかける。彼らもハルキとともに指令室を出た。

「みんな、協力感謝する・・頼むぞ・・・!」

 トウジがハルキたちだけでなく、魁利たちを信じていた。

 

 ハルキたちが本部の外へ向かうのを、ナツが目撃した。

「ハルキさん・・!」

「ナツもGパニッシャーで出るんだ!オレは地上から怪獣を攻撃する!」

 声を上げるナツに、ハルキが呼びかける。

「ハルキさん、フォースガンダムは・・!?

「まだ修理が終わっていない!」

 ナツの問いかけに答えて、ハルキが再び走り出した。

「彼は我々が援護します!危険には晒しません!」

 圭一郎がナツに告げてから、咲也たちとともにハルキを追いかけた。

「ハルキさん・・・」

 ハルキのことを心配しながらも、ナツはドックへ向かってGパニッシャーに乗り込んだ。

 

 Gフォース本部のそばにはライたちとゲン、マーベラスたちが待っていた。

「話は聞いた。きりもみキックを完成させたようだな。」

 ジョーが問いかけて、ハルキが無言で頷いた。

「まずは双子怪獣を倒すことに専念するんだ。お前が倒そうとしている敵のことは、その後だ。」

 ゲンが呼びかけて、ハルキがライたちとともに振り返る。レッドギラス、ブラックギラスが暴れながら本部に向かって前進していた。

“ハルキ、私もアストラとの組手で、力を高めることができた・・”

 フォースがハルキに向かって呼びかけてきた。ハルキがゲンから受けている間、フォースは異空間にてアストラからの特訓を受けていた。

「フォース、まずはあのギラス兄弟と、ヤツらを操るマグマ星人だ・・!」

“分かった。これは復讐ではなく、地球と大切なものを守るための戦いだ。”

 ハルキがフォースと会話をして、フォースブレスを構えた。

「フォース!」

 ハルキがフォースブレスを前に掲げて、フォースに変身した。

 ブラックギラスたちと向き合うフォースが、自身の特訓を思い返していた。

 

 レオの弟、アストラ。ウルトラ戦士の中でも身体能力に長けているレオだが、アストラの能力も兄に勝るとも劣らない。

 ほとんど我流で強くなってきたフォースでは、アストラよりも強さが劣るのはおかしくないことだった。

「君の攻撃には怒りと憎しみが強く込められている。それは本当の強さとは言えない。」

 倒れかかっているフォースに、アストラが指摘をする。

「私はヤツらを倒さなければならないのだ・・そうしなければ、F4や暮らしていた人々が浮かばれない・・・!」

 フォースはアストラの言葉を聞き入れようとせず、怒りをたぎらせる。

「平和を脅かす敵は倒さなければならない・・しかしそれは復讐や敵討ちではなく、平和を守るためにしなければならないのだ。」

「敵を倒すことは平和につながる・・ならば怒りでも力にできるなら・・!」

「それは違う。平和や大切なものを守るには、力ではなく強さを持って戦わなければならない。決して破壊や打倒を前提にしてはいけないんだ。」

「私はヤツらを倒す!その気持ちがなければ、私は何のために戦うのかを見失ってしまう・・!」

 強さについて語っていくアストラだが、フォースは自分の戦い方を貫こうとする。

「信じるんだ。力ではなく強さを。力に溺れて周りが見えなくなるようでは、オレたちを超えるどころか、マグマ星人たちに勝つこともできないぞ。」

「ならば超えるだけだ・・あなたたちを・・そして必ず、マグマ星人たちを倒す!」

 アストラがさらに呼びかけるが、フォースは聞こうとしない。

「そこまでいうなら、その力で見事オレに勝ってみるか・・!」

 アストラが構えて、フォースが真正面から向かっていく。フォースがパンチとキックを繰り出していくが、アストラに軽々とかわされる。

 続けて繰り出されたパンチをかわして、アストラがその腕をつかんでフォースを投げ飛ばす。フォースが倒れるも、すぐに体を起こす。

「どうした?オレを超えるのではなかったのか?」

 アストラがフォースを挑発して、再び構えを取る。

「負けるわけにはいかない・・ここで負けるようでは、マグマ星人たちに勝てるわけがない・・!」

 フォースが声と力を振り絞って立ち上がる。彼が両手を握って、左胸の前で交差するように腕を組む。

「フォースチャージシュート!」

 フォースが両手を伸ばして右腕を縦、左腕を横にして再び両腕を組んで光線を発射した。しかしアストラは即座にジャンプして、光線をかわした。

「光線や特殊能力に頼っても、この差は埋められないぞ。」

 着地したアストラが冷静に告げる。フォースが怒りをふくらませて、両手を強く握りしめる。

「私は必ず倒す・・倒さなければ前へは進めない!」

 フォースが感情をあらわにして、アストラに飛びかかる。フォースが繰り出した右のパンチを、アストラは左手だけで受け止めた。

「フォース、お前にも守りたいものが、今もあるはずだ!」

 アストラが思いを込めて、フォースに檄を飛ばす。この言葉にフォースが心を揺さぶられた。

「私の守りたいもの・・今も残っているもの・・・!」

 フォースが記憶を巡らせて、戸惑いを感じていく。彼の脳裏にハルキの姿が浮かび上がってきた。

「ハルキはともに戦う仲間・・それだけでなく、守りたいと思う存在・・・!」

 ハルキのことを考えるフォースが、アストラに止められている拳に力を込めていく。

「それだけではない・・ハルキが守ろうとしている人、そして彼らのいるこの星・・地球・・・!」

 彼はハルキが守ろうとしているものが、自分の守ろうとしているものではないかと思うようになる。

「私の大切なものを、これ以上失うわけにはいかない・・!」

 感情を高ぶらせたフォースが、アストラの手を押し切ろうとする。踏みとどまろうとしたアストラだが、耐えきれずに突き飛ばされた。

 アストラを押し込んだことに戸惑いを覚えて、フォースが繰り出した拳を見つめる。

「お前の強さ、オレにしっかりと伝わってきたぞ。」

 宙で体勢を整えて着地したアストラが、フォースに言いかける。

「私の強さ・・これが・・・」

「何かを心から守ろうとするときに発揮されるのが強さだ。平和、命、大切なもの、守るものはそれぞれだが、それを守ろうとすることが大切なんだ。」

 自分の強さを実感するフォースに、アストラが言いかける。

「ウルトラマンとして戦うなら、そのことを決して忘れないように。いや、それはウルトラマン以外にも言えることだ。」

 アストラがフォースに歩み寄って語りかける。

「力に溺れれば破滅の道を歩むことになる・・そのために悪に染まったウルトラマンもいる・・」

 アストラが邪悪に堕ちたウルトラマンのことを思い出していた。

 ウルトラマンベリアル。光の国の中でただ1人悪の道を進んだウルトラマンである。強大な力で光の国を壊滅寸前に追い込んだこともあったが、最終的に倒されることになった。

「君に同じ道を歩ませたくなかった・・それは分かってほしい・・・」

「アストラ・・・はい・・ありがとうございます・・」

 アストラが激励を送って、フォースが感謝した。2人が手を差し伸べて、握手を交わした。

「どうやら、ハルキくんの技も完成したようだ。」

 アストラがハルキたちのことを感知して、フォースとともに振り向いた。彼らは異空間から現実に意識を戻した。

 

 ハルキだけでなく、フォースも鍛えられて心身ともに強くなった。飛びかかってきたブラックギラスとレッドギラスを、彼が迎え撃つ。

 フォースが繰り出したパンチが、ブラックギラスを突き飛ばす。続けて彼が足を振りかざして、レッドギラスを蹴り飛ばす。

「強くなっている・・オレだけじゃなく、フォースも・・!」

 ハルキが自分たちの強さを実感していく。

「これがレオとアストラが教えてくれた、強さというものだ。」

 フォースが言いかけて、ハルキが真剣な顔で頷いた。

 そのとき、マグマ星人が雷雲の中から降り立った。

「マグマ星人!」

「ヤツの好きにもさせはしないぞ!」

 フォースが声を上げて、ハルキが言い放つ。

 装備したサーベルを振りかざすマグマ星人。フォースが軽やかに動いて、サーベルをかわしていく。

「オレのサーベルが当たらないだと!?・・ギラス兄弟!」

 いら立ちを覚えたマグマ星人が、サーベルからの光線で指示を送る。光線を角に受けたブラックギラスたちが、組んで回転を始める。

「ギラススピンだ!」

「フォース、オレたちも高速回転だ!」

 声を上げるフォースに、ハルキが呼びかける。回転を続けるブラックギラスたちの突進を、フォースは大きくジャンプして回避した。

 ハルキがゲンから受けた特訓を思い出していく。体に徹底的に叩き込まれた技の動きを。

(ヤツらと同じ向きの回転をしながら、ヤツらの真上から飛び込む・・!)

 ハルキが心の中で呟いて、眼下に集中する。彼とフォースはブラックギラスたちが止まって見えていた。

(この速度を維持したまま・・ヤツらにキックを叩き込む!)

 ハルキが思い立って、足に集中力と力を込める。フォースが繰り出したきりもみキックが、ブラックギラスとレッドギラスの頭に叩き込まれた。

 ブラックギラスとレッドギラスが互いに反対のほうへ突き飛ばされて、倒れて動かなくなった。

「何っ!?

 ギラススピンが破られたことに、マグマ星人が驚きを隠せなくなる。

「すごい・・!」

「特訓の成果が出たってところだな。」

 フォースの戦いを見ていたカツミとイサミが声を上げる。

「おのれ、フォース・・よくもギラス兄弟を・・!」

 マグマ星人がいら立ちを浮かべて、フォースに対して構えを取る。フォースが振り返って、マグマ星人を迎え撃つ。

「コイツらを加勢させてやるぞ、マグマ星人。」

 そこへクール星人が現れて、マグマ星人に声を掛けてきた。

「クール星人、フォースはオレのこの手で倒す!」

「ならば援護をさせてくれ。怪獣と超獣を送り込むぞ。」

 不満の声を上げるマグマ星人に、クール星人が告げる。フォースの前に新たに2体が現れた。

 宇宙大怪獣アストロモンスとオイル超獣オイルドリンカーが、クール星人に召喚された。

「行くのだ、お前たち!フォースを取り押さえろ!」

 クール星人が呼びかけて、アストロモンスとオイルドリンカーがフォースに飛びかかる。

「イサミ、オレたちも行くぞ!」

「分かった、カツ兄!」

 カツミとイサミが声を掛け合って、ルーブジャイロとルーブクリスタルを手にした。

「セレクト!クリスタル!」

 カツミとイサミがそれぞれタロウクリスタル、ギンガクリスタルを展開する。

「まとうは火!紅蓮の炎!」

「まとうは水!紺碧の海!」

“ウルトラマンタロウ!”

“ウルトラマンギンガ!”

 2人がルーブジャイロの中央にタロウクリスタル、ギンガクリスタルをセットした。

“ウルトラマンロッソ・フレイム!”

“ウルトラマンブル・アクア!”

 カツミ、イサミがロッソ、ブルに変身して、フォースと合流した。

「ここからはオレたちもやるぜ!」

「ハルキとフォースはあの宇宙人を!」

「カツミ、イサミ、助かるよ・・!」

 カツミとイサミが声を掛けて、ハルキが感謝した。ロッソとブルがオイルドリンカーとアストロモンスに立ち向かい、フォースがマグマ星人と対峙した。

 

 ライたちもフォースたちの戦いを見届けていた。

「アイツら、派手にやってるな。」

「オレたちもここで高みの見物ばっかりはしてられないな。」

 マーベラスと魁利が言いかけて、自分たちもフォースたちに加勢しようとする。

「オレたちも行くぞ!」

 圭一郎が呼びかけて、咲也とつかさが頷いた。

「お前らの相手はオレたちだ!」

 そこへ声がかかって、ライたちが振り返った。彼らの前に1人の大柄な男と2体の怪人が現れた。

「誰だ、お前たちは!?あの怪獣たちの仲間は!?

「コイツらは!バイオマンと戦った“新帝国ギア”のモンスターとジュウオウ、チャン自慢と戦った“大星団ゴズマ”のドドンです!」

 ライが声を上げて、鎧が男たちを指さして叫ぶ。

 ギアの幹部の1人であるモンスターと、メカ怪人「ジューノイド」の1体であるジュウオウ、ゴズマの宇宙獣士、ドドンである。

「モンスターのオヤビン、久しぶりに大活躍してやりましょー!」

「オレは宇宙獣士だけど、2人とも、仲良くドーンとやってやろうぜー!」

 ジュウオウとドドンが明るく声をかけ合う。

「よーし!ジュウオウ、オレたちの力を、あそこの戦隊どもに思い知らせてやるぞ!」

「はいな、オヤビン!」

 モンスターの呼びかけに、ジュウオウが気さくに答える。

「ドドン、お前の愛嬌をオレは気に入った!バイオマンやチェンジマンへの見せしめの意味も込めて、そこのヤツらをぶっ潰すぞ!」

「任せとけー!ドドーンとアイツらをやっつけてやるぜー!」

 モンスターが続けて呼びかけて、ドドンも答えた。

「どうやら、オレたちの相手はあの怪人たちみたいだね。」

「アイツらを片付けて、ハルキたちと合流するぞ。」

 ソウゴとライが言いかけて、聖也たちとともに構えを取る。

“クロスドライバー!”

“クロス!”

“ライダーソウール!”

 ライがクロスドライバーを装着して、クロスソウルをセットした。

「変身!」

 ライが左手を斜め右上に振り上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。

“クラールドライバー!”

“クラール!”

“ライダーソウール!”

 聖也がクラールドライバーをそちゃくして、クラールソウルをセットした。

「変身!」

“変身・ライダー!クラール!”

 彼がクラールタイフーンを回転させて、クラールに変身した。

“ジクウドライバー!”

 ソウゴとゲイツがジクウドライバーを装着して、ジオウライドウォッチ、ゲイツライドウォッチをジクウドライバーの右スロットにセットした。

「変身!」

 2人がジクウドライバーのジクウサーキュラーを回転させる。

“ライダーターイム!”

“カメンライダー・ジオー!”

 ソウゴとゲイツがジオウとゲイツに変身した。

“マックス!”

 ノゾムがビースドライバーにマックスカードをセットして、左上のボタンを押した。

「変身!」

“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”

 彼がマックスへの変身を果たす。

 魁利、透真、初美花がVSチェンジャーにVSビーグルをセットして、それぞれダイヤルコードとグリップを回す。

「怪盗チェンジ!」

“マスカレイズ!怪盗チェンジ!”

「はっ!」

 トリガーを引いたことでVSチェンジャーから放たれた光を浴びる魁利たち。彼らがルパンレンジャーへと変身を果たした。

 圭一郎、咲也、つかさもVSチェンジャーを手にした。さらに魁利たちとは違うVSビーグルを手にして、VSチェンジャーにセットしてグリップを下に回した。

「警察チェンジ!」

“パトライズ!警察チェンジ!”

「はっ!」

 トリガーを引いたことでVSチェンジャーから放たれた光を浴びる圭一郎たち。彼らは魁利たちとは違う形のスーツとマスクを身にまとった。

 警察戦隊パトレンジャー。人々の命と平和を守る使命を帯びた戦隊で、その任務で魁利たちルパンレンジャーと戦ったこともあった。

“エックスナイズ!”

 ノエルがガン型アイテム「エックスチェンジャー」を手にして、装着されている「エックストレイン」の「ゴールド」を前に向けた。

「警察チェンジ!」

 ノエルがエックスチェンジャーの引き金を引く。

“警察エックスチェンジ!”

 エックスチェンジャーから出た光を浴びて、ノエルが変身を果たす。前の戦いのときと違って、金色のスーツとマスクである。

 ノエルはパトレンジャーの一員、パトレンエックスに変身した。彼は2つの姿に変身することができるのである。

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーーカイジャー!”

 マーベラスたちがモバイレーツ、ゴーカイセルラーにレンジャーキーをセットして、ゴーカイジャーに変身した。

「ルパンレッド!」

「ルパンブルー。」

「ルパンイエロー!」

 魁利、透真、初美花が名乗りを上げる。

「怪盗戦隊!」

「ルパンレンジャー!」

 魁利が声を上げて、透真たちと声をそろえた。

「パトレン1号!」

「パトレン2号!」

「パトレン3号!」

「パトレンエックス!」

 圭一郎、咲也、つかさ、ノエルが名乗りを上げる。

「警察戦隊!」

「パトレンジャー!」

 圭一郎が声を上げて、咲也たちが声をそろえた。

「ゴーカイレッド。」

「ゴーカイブルー。」

「ゴーカイイエロー!」

「ゴーカイグリーン!」

「ゴーカイピンク。」

「ゴーーカイシルバー!」

 マーベラス、ジョー、ルカ、ドン、アイム、鎧が名乗りを上げる。

「海賊戦隊!」

「ゴーカイジャー!」

 マーベラスが声を上げて、ジョーたちと声をそろえた。

「全てを、オレが正す!」

「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」

「オレの怒りは限界突破!」

 ライ、聖也、ノゾムがモンスターたちに向かって言い放つ。

「ゲンさんはフォースたちのところへ行ってください!」

「ヤツらの相手はオレたちがする。この前の仮面ライダーもまた出てくるはずだ・・!」

 ソウゴとゲイツがゲンに呼びかける。

「分かった。頼むぞ・・!」

 ゲンが頷いて、この場を後にした。ライたちがモンスターたちの前に立ちはだかった。

 

 

 

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