ザ・グレイトバトル

-感情の力-

第4章

 

 

 Gフォース本部内の客室にカツミとイサミ、ライたちとマーベラスたちは集まっていた。そこへハルキが1人でやってきた。

「防衛チームの隊員か・・」

「1人・・いや、もう1人いるな。」

 ジョーとマーベラスがハルキに目を向けて言いかける。彼らはフォースブレスにフォースが宿っていることに気付いていた。

“みんなには私の声も聞こえているな。私はフォース。惑星F4の戦士だ。”

 フォースがライたちに自己紹介をする。

“この宇宙にもウルトラマンの世界や星があるのかもしれないが、自分以外のウルトラマンに会ったのは、ロッソとブルが初めてだが・・”

「フォースは、故郷を滅ぼした宇宙人たちを追って、地球に来たんだ。地球に滞在するために、オレと一体化したんだ。」

 フォースに続いてハルキも語りかける。

「オレとフォースの共通の敵は、マグマ星人と双子怪獣だ。」

「双子怪獣・・ブラックギラスとレッドギラスですね。」

 ハルキの話を聞いて、アイムが言いかける。

「マグマ星人たちは他の宇宙にもいたんだよ。フォースと同じ境遇のウルトラマンもいる。」

「フォースと同じ境遇のウルトラマンが・・・」

 ドンの話を聞いて、ハルキが戸惑いを覚える。

「ウルトラマンの中にもいろんな人がいます!もちろんそのガンダムもいろんなのがあるッス!」

「ガンダムも、他の世界にも・・・!」

 鎧も気さくに言って、ハルキがさらに戸惑いを覚える。

「戦争の起こっている世界ばかりでなく、格闘技のように対決をして1番になる世界もある。」

「悪い世界ばっかりじゃないってことよ。」

 ジョーとルカも話を続けて、ハルキもライたちも戸惑いをふくらませていく。

「仮面ライダーだけじゃない・・いろんな世界が存在している・・・」

「そのそれぞれの戦士たちが、次元を超えて力を合わせたこともあった・・・」

 仮面ライダー以外のヒーローが存在したこと、その彼らが次元を超えて出会って、強大な敵に立ち向かったことを知って、ライと聖也は勇気と意思を強くした。

“私はこの地球を守りながら、私の敵を捜して倒すつもりだ。ハルキもそのつもりだ。”

 フォースが自分の意思を告げる。彼の言葉を聞いて、ハルキも真剣な顔で頷いた。

 

 ロッソたちの加勢から1度撤退したマグマ星人。彼は漆黒の空間に引き上げていた。

「おのれ、ウルトラマンども・・次こそはヤツらをこの手で滅ぼしてくれるぞ・・!」

 フォースやロッソたちへの憎悪をたぎらせるマグマ星人。

「焦ることはない。もう少し仲間を集めてからだ。」

 そこへ声がかかって、マグマ星人が振り向いた。その先には1人の青年がいた。

「しかしこのままヤツらを野放しにすれば、必ず対策を立ててくるぞ・・!」

「今は向こうには仮面ライダー2人とゴーカイジャーがいる。焦って攻めても返り討ちになるだけだ。」

 声を荒げるマグマ星人に、青年が言いかける。

「こっちも数を揃えば攻撃に出られる。それまで待つんだ。」

「その通りだ、マグマ星人。ヤツらさえ始末できれば、後は地球人を狩り放題だぞ・・」

 青年に続いて別の宇宙人が呼びかけてきた。宇宙ハンター、クール星人である。

「攻撃に使えそうな怪獣を2匹ほど連れてきた・・今度の攻撃に出してみていいか・・?」

「面白くなりそうだ。向こうの出方を見ながら出そう。もちろん、マグマ星人とブラックギラスたちが先陣だけど。」

 クール星人の頼みを聞いて、青年が笑みをこぼす。

「ありがたい・・そのときは存分にやらせてもらうぞ・・!」

 マグマ星人が笑みを浮かべて感謝する。

「もうすぐ再会することになる・・楽しみになってきた・・君もそうじゃないかな・・・」

 青年が期待をふくらませて、笑い声を上げていた。

 

 翌朝、ハルキはフォースガンダムの前にいた。彼は自分の戦う理由を思い返していた。

(オレは戦う・・オレの仇は、マグマ星人たちだけじゃない・・・アイツも・・・!)

 トウカを失ったことを思い出して、ハルキが怒りを噛みしめる。

“他にも敵がいるようだな、ハルキには・・”

 フォースが声を掛けてきて、ハルキが頷く。

(そうだ・・オレの仲間だったけど、アイツは裏切ったんだ・・宇宙人や怪人の味方になってしまった・・・!)

“地球人が、侵略者に寝返ったというのか?”

 事情を話すハルキに、フォースが疑問を覚える。

(おかしな話だけど、ホントのことだ・・今でもオレでも信じられないけど・・・)

 ハルキがその出来事に対する苦悩を感じていく。

“ハルキはその仇に対してどうするのだ?君たちや地球を裏切ったとはいえ、その者は地球人なのだろう?”

(あぁ・・でもアイツに対して躊躇したら、地球がムチャクチャにされてしまう・・アイツの思い通りにはさせない・・・!)

 ハルキが怒りを噛みしめて、両手を強く握りしめる。

(今のオレには、アイツに立ち向かえるだけの力があるはずだ・・またアイツが現れたら、この手で倒す・・・!)

“許せない相手に対する怒りは私も共感する。しかし過信や慢心は命取りになる。警戒は持つに越したことはない。”

 敵意をふくらませるハルキに、フォースが注意を投げかける。

(分かっている・・分かっているさ・・・!)

 ハルキが答えて、気分を落ち着かせようとする。しかし思いと裏腹に彼の焦りと怒りが増していることに、フォースは気付いていた。

 そのとき、ハルキは足音を耳にして振り返った。彼の前に現れたのはナツだった。

(トウカ・・・違う・・トウカじゃない・・・)

 一瞬トウカと見間違うハルキだが、違うと自分に言い聞かせていく。

「また、険しい顔をしているように見えたのですが・・何かあったのですか・・?」

「いや・・わざわざ話すようなことじゃない・・・」

 ナツが心配の声を掛けるが、ハルキはきちんと答えようとしない。自分のことだと考えていて、ライはナツに自分の過去を話そうとしない。

「私は1年前の事件のことは、連絡やニュースでしか知りません。詳しいことは私には分からないです・・ハルキさんは当時の防衛隊にいたそうですが・・」

「そんなことを聞いて何になるんだ?・・あのときのことは、思い出したくないと思っているくらいだ・・・」

「でもハルキさん、何か心に引っかかっているように見えるんです・・もしかして、そのことで・・・」

「これ以上言うな・・あんまり人のことに踏み込んでくるな・・・!」

 質問してくるナツに、ハルキがいら立ちをふくらませていく。彼は過去のことを思い返されて、不愉快に思っていた。

「ごめんなさい・・失礼なことをして・・・」

 ナツが動揺して、たまらず後ずさりする。彼女を目の当たりにして、ハルキも不安を覚えた。

 ナツが再びトウカと重なって見えたハルキ。彼はトウカを悲しませてしまったと思って、動揺を感じていた。

(トウカとそっくりなだけだ・・別人なんだ・・・!)

 また自分に言い聞かせていくハルキ。過去と今を混同しないように、彼は必死だった。

 そのとき、Gフォースの本部に警報が鳴り出した。

「オレはフォースガンダムに乗る!お前は隊長たちに知らせろ!」

「は、はいっ!」

 ハルキが呼びかけて、ナツが答えて指令室へ向かった。ハルキがフォースガンダムに乗り込んで、起動させる。

「マグマ星人と双子怪獣・・本部の近くに出てくるとは・・・!」

 ハルキがコックピットのモニターを確かめて、マグマ星人たちの姿を目撃した。

“私には活動限界がある。可能な限り、変身する前にヤツらにダメージを与えたほうがいい・・”

(うん。特にフォースアーマーを使ったときは、さらにエネルギーを食うことになる・・!)

 フォースからの注意に、ハルキが頷いた。

“ハルキ、怪獣たちの進撃を食い止めろ!ギンたちもすぐに追いつく!”

 ハルキに向かってトウジからの指示が送られる。

「了解!ハルキ、フォースガンダム、いきます!」

 ハルキが答えて、フォースガンダムが本部から発進した。ハルキは自分の目でもマグマ星人たちを視認した。

「今度こそ、お前たち全員、倒してやるぞ・・!」

 ハルキが怒りを浮かべて、フォースガンダムがビームライフルを手にして発射する。ビームを当てられるブラックギラスとレッドギラスだが、平然と前進していく。

「出力を上げるしかないのか・・!」

 ハルキがビームライフルの出力を上げる。それはライフルにかかる負担が増すため、Gフォースとしては行われていない。

 ハルキはビームの出力を意図的にアップして、フォースガンダムの攻撃力を上げた。

「これならどうだ!」

 ハルキが言い放って、フォースガンダムがビームライフルを発射する。ビームを受けたブラックギラスたちが、今度は怯んだ。

 マグマ星人がサーベルを振って指示を出す。ブラックギラスとレッドギラスが組んで回転して、フォースガンダムに迫る。

 フォースガンダムが射撃を繰り返すが、高出力のビームでもギラススピンを貫けない。

「くっ・・モビルスーツじゃここまでなのか・・!?

 フォースガンダムでは完全に太刀打ちできないことに、ハルキが毒づく。

「フォース、やるぞ!一気にフルパワーを出して、ヤツらを倒す!」

 ハルキがフォースに呼びかけて、フォースガンダムを自動操縦に切り替える。

「フォース!」

 ハルキがフォースブレスを付けている左腕を前に伸ばした。彼がフォースに変身して、マグマ星人たちの前に立ちはだかった。

「また出たか、フォース!だがお前だけで我々を倒せると思ったら、大間違いだぞ!」

 マグマ星人がフォースをあざ笑って、サーベルを振りかざす。フォースはサーベルをかわして、ジャンプキックをマグマ星人に当てる。

「ぐおっ!おのれ!」

 マグマ星人が苦痛を感じて、ブラックギラスたちをけしかける。ブラックギラスたちはギラススピンを続けながら、フォースに向かっていく。

 フォースがギラススピンに突き飛ばされて、地面に叩きつけられる。

「フォースガンダム、フォースアーマーとなれ!」

 ハルキが呼びかけて、フォースガンダムがフォースアーマーに変形して、フォースに装着された。

「フォース、そのスピンごと、コイツらを吹っ飛ばすぞ!」

 ハルキが呼びかけて、フォースが腕を振りかぶってエネルギーを集める。ブラックギラスたちが回転しながら向かってくる。

「フォースチャージナックル!」

 フォースがブラックギラスたちに向かって、エネルギーを集めたパンチを繰り出した。

 そこへ光線が飛び込んできて、フォースが攻撃を阻まれた。

「何だ、今のは!?マグマ星人じゃない!」

 ハルキが声を上げて、フォースとともに光線の飛んできたほうに視線を移す。その先にいたのは、別の2体の怪獣。

「クール星人め・・クレッセントとゴルザをよこしてくるとは・・!」

 月の輪怪獣クレッセントと超古代怪獣ゴルザの加勢に、マグマ星人が毒づく。

「ヤツらの仲間の怪獣か・・早く双子怪獣を倒さないといけないのに・・!」

 ハルキが焦りをふくらませて、フォースがギラススピンを打ち破ることに専念する。

「ぐっ!」

 クレッセントたちが放った熱線を受けて、フォースが横に突き飛ばされる。

「邪魔はさせないぞ・・お前たちに邪魔されても、オレは・・オレたちは!」

 ハルキが力を振り絞って、フォースが右手を振りかぶった。

「お前に勝ち目がないのが分からないか!」

 マグマ星人があざ笑って、サーベルのビームをフォースの足元に当てた。

「フォースチャージナックル!」

 フォースが強引にエネルギーを集めたパンチを繰り出す。しかし体勢が崩れたままの彼のパンチは、ギラススピンの正面から外れた。

「ぐっ!・・攻撃を当てられない・・・!」

 ギラススピンを破るチャンスを奪われて、ハルキが毒づく。エネルギーを大きく消耗したことで、フォースのカラータイマーが点滅を始めた。

「いいぞ、いいぞ・・このままフォースのとどめを刺してやる!」

 マグマ星人が笑みを浮かべて、サーベルを構える。

「ウルトラマンフォース!」

 そこへギンが叫んで、Gパニッシャーで援護に出てきた。ナツとイズルもGパニッシャーに乗って駆けつけて、ビームライフルを発射して、フォースを援護する。

「地球人のメカなど、オレたちの前では蚊トンボ同然だ!」

 マグマ星人がさらにあざ笑って、サーベルからビームを放つ。

「うっ!」

 ナツのGパニッシャーがビームを受けて、体勢を崩す。

「ナツ隊員!」

 イズルが叫ぶ先で、ナツのGパニッシャーがフォースの後方に落下した。

「またフォースとGフォースが大ピンチだ、カツ兄!」

「イサミ、オレたちもやるぞ!」

 フォースたちの近くに来て、イサミが声を上げて、カツミが呼びかける。2人がそれぞれルーブジャイロを手にした。

「セレクト!クリスタル!」

 カツミとイサミがそれぞれタロウクリスタル、ギンガクリスタルを手にして展開する。

「まとうは火!紅蓮の炎!」

「まとうは水!紺碧の海!」

“ウルトラマンタロウ!”

“ウルトラマンギンガ!”

 2人がルーブジャイロの中央にタロウクリスタル、ギンガクリスタルをセットした。

“ウルトラマンロッソ・フレイム!”

“ウルトラマンブル・アクア!”

 カツミとイサミがロッソ、ブルに変身して、ゴルザとクレッセントに向かっていった。

「フォース、今のうちに!コイツらはオレたちが相手をするよ!」

「お前が双子怪獣を倒すんだろ!?

 イサミとカツミがフォースとハルキに向かって呼びかける。フォースが立ち上がって、ブラックギラスたちに視線を戻す。

「もうエネルギーがわずかだ・・これで確実に決める・・!」

 ハルキが呼びかけて、フォースがまた右腕を振りかぶる。するとブラックギラスとレッドギラスが回転しながら、角からのビームを放ってきた。

 ビームの爆発に阻まれて、フォースは攻撃に出られなくなる。

「このままじゃ、フォースになれるだけの力が・・・!」

 窮地に追い込まれて、ハルキが危機感をふくらませていく。フォースもブラックギラスたちに近づけなくて、思い切って飛び出せなくなっていた。

 そのとき、上空から2つの赤い光が飛び込んできた。光はそれぞれ赤い巨人の姿に変わった。

 巨人たちは足に熱エネルギーを帯びたキックを繰り出して、ブラックギラスとレッドギラスの角を折った。

「あれは・・また別のウルトラマン・・!?

「このウルトラマンたちも、私の知らない2人だ・・!」

 ハルキとフォースが2人のウルトラマン、レオとアストラを見て驚く。

「レオとアストラ!?お前たちもこの宇宙に来ていたのか!?

 動揺を見せるマグマ星人に、レオとアストラが振り返る。

「マグマ星人、お前たちの勝手にはさせないぞ!」

「これ以上暴れるなら、オレたちがお前たちを倒す!」

 レオとアストラがマグマ星人に向かって言い放つ。

「このままギラス兄弟を失うわけにはいかない・・お前たち、ここは任せたぞ!」

 マグマ星人がブラックギラスたちとともに撤退する。入れ替わりにベムラーと古代怪獣ゴメスが現れた。

「ここはオレたちに任せろ!お前たちはこのままゴルザたちを倒せ!」

「は、はいっ!」

 レオが呼びかけて、カツミが答える。ロッソとブルがゴルザ、クレッセントとの交戦を続けて、レオとアストラがゴメスとベムラーに向かっていく。

 フォースがエネルギーを消耗して姿が消えて、フォースアーマーがフォースガンダムに戻った。そのコックピットの中で、変身が解けたハルキが呼吸を乱していた。

 

 ライと聖也、マーベラスたちもマグマ星人たちの襲撃に気付いていた。

「あれが怪獣と宇宙人か・・!」

「あれじゃオレたちじゃサイズが違いすぎる・・!」

 聖也とライがゴメスたちを見て、たとえ変身しても太刀打ちできないと考える。

「だったらオレたちがやる。オレたちの邪魔をするヤツは、誰だろうと容赦しねぇ。」

 マーベラスが笑みを浮かべて、携帯電話「モバイレーツ」を手にした。そのとき、彼らの眼前で爆発が起こった。

「海賊戦隊と2人のライダーか!」

 そこへ1人の怪人と2人の兵士がマーベラスたちの前に現れた。

「スゴーミンか・・!」

「もう1人は、大星団ゴズマの宇宙獣士、カミラですよ!」

 ジョーと鎧が兵士、スゴーミンと怪人、カミラを見て声を上げる。

「もしかして、あの怪獣たちの仲間?」

「そう思ってくれて構わん!お前たちの息の根をとめられればそれでいい!」

 ルカが問いかけて、カミラが答えて笑みをこぼす。

「ならそれも叶わないな。なぜならおめぇらはここで全滅になるからな。」

 マーベラスが強気を見せて言いかける。ジョー、ルカ、ドン、アイムもモバイレーツを手にして、鎧も携帯電話「ゴーカイセルラー」を手にした。

「ゴーカイチェンジ!」

 マーベラスたちがスーパー戦隊の力を宿した鍵「レンジャーキー」を手にしてモバイレーツ、ゴーカイセルラーにセットした。

“ゴーーカイジャー!”

 彼らがそれぞれの色のスーツとマスクを身にまとった。

「ゴーカイレッド。」

「ゴーカイブルー。」

「ゴーカイイエロー!」

「ゴーカイグリーン!」

「ゴーカイピンク。」

「ゴーーカイシルバー!」

 マーベラス、ジョー、ルカ、ドン、アイム、鎧が名乗りを上げる。

「海賊戦隊!」

「ゴーカイジャー!」

 マーベラスが声を上げて、ジョーたちと声をそろえた。

「これが、スーパー戦隊というものか・・・!」

 変身したマーベラスたちを見て、戸惑いを覚える。

「オレたちも行きますよ、聖也さん!」

「あぁ、ライくん・・!」

 ライが呼びかけて、聖也が答える。2人もクロスドライバーとクロスソウル、クラールドライバーとクラールソウルを手にした。

“クロスドライバー!”

 ライがクロスドライバーを装着した。

“クロス!”

“ライダーソウール!”

 彼がクロスソウルをクロスドライバーにセットした。

「変身!」

 ライが左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。

“クラールドライバー!”

“クラール!”

“ライダーソウール!”

 聖也が装着したクラールドライバーに、クラールソウルをセットした。

「変身!」

“変身・ライダー!クラール!”

 彼がクラールタイフーンを回転させて、クラールに変身した。

「全てを、オレが正す!」

「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」

 ライと聖也がカミラに向かって言い放つ。

「行け、スゴーミン!お前たちはライダーたちを倒すのだ!」

「スゴー!」

 カミラが呼びかけて、スゴーミンたちがライと聖也を狙って飛びかかる。スゴーミンたちが振りかざす大きな両腕を、ライたちは素早くかわす。

 マーベラスたちがゴーカイガンと剣「ゴーカイサーベル」を手にして、カミラに向かっていく。マーベラスとアイムがゴーカイガンを発砲して、カミラを射撃する。

 カミラが反撃に出て、ビームを放つ。マーベラスたちの眼前で爆発が起こる。

 その爆発を飛び越えて、鎧が槍「ゴーカイスピア」を手にして突っ込んできた。

「ぐおっ!」

 ゴーカイスピアに切りつけられて、カミラが怯む。

「一気に倒させてもらうぞ!」

 鎧が言い放って、マーベラスたちと頷き合う。彼らがゴーカイガンとゴーカイサーベル、ゴーカイスピアの鍵穴にレンジャーキーをセットした。

“ファーイナルウェイーブ!”

 マーベラスたちがエネルギーを集めたゴーカイガンを発砲して、ゴーカイサーベルとゴーカイスピアを振りかざす。射撃と斬撃の連続を受けて、カミラが倒れた。

 一方、ライと聖也はスゴーミンたちのパワーに押されて、苦戦をしていた。

「戦闘員タイプのはずなのに、怪人レベルのパワーだ・・!」

 ライがスゴーミンの力に毒づく。

「しかしヤツらは悪しか信じていない力だけだ!オレたちの強さは、そのような力に屈するほど小さくはない!」

「聖也さん・・・はい・・オレたちは、オレたちだけじゃない!」

 聖也が励ましの言葉を送って、ライが頷く。ライが新たなライダーソウル、仮面ライダーオメガの力を宿した「オメガソウル」を手にした。

“オメガ!”

“ライダーソウール!”

 彼はスイッチを入れたオメガソウルをクロスドライバーにセットして、左レバーを上げてクロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!オメガー!”

 クロスの姿がオメガそっくりとなった。ライはオメガの力を備えた「オメガフォーム」となった。

 そして聖也も仮面ライダーギガスの力を宿したライダーソウル「ギガスソウル」を取り出した。

“ギガス!”

“ライダーソウール!”

 聖也がギガスソウルをクラールドライバーにセットして、左レバーを上に上げてクラールタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!ギガース!”

 クラールの姿がオメガに似た仮面ライダーの姿になった。聖也は「ギガスフォーム」へと変身した。

 スゴーミンたちが再び力強く腕を振りかざしてきた。ライと聖也が拳を握りしめて、スゴーミンの腕に叩き込む。

「スゴ!」

 スゴーミンたちがライたちのパンチに押されて後ずさりする。ライたちは飛びかかって、スゴーミンたちをさらに攻め立てる。

 ライと聖也が頷き合ってクロスタイフーン、クラールタイフーンを回転させる。

“ライダースマッシュ・オメガー!”

“ライダースマッシュ・ギガース!”

 2人がジャンプして、それぞれエネルギーを集めた右足、両足のキックを繰り出した。

「クロスライダーキック!」

「クラールギガスマッシャー!」

 ライと聖也のキックが、2人のスゴーミンに命中した。スゴーミンたちが突き飛ばされて、地面に倒れた。

「お前たちは何者だ!?何を企んでいる!?

 ライとともに着地して、聖也がスゴーミンを問い詰める。

「この地球を正しい形に変えることだ。」

 そこへ声がかかって、ライたちが振り向く。彼らの前に1人の青年が現れた。

「誰だ、お前は!?コイツらの仲間なのか!?

 ライが青年に向って問いかける。すると青年が笑みをこぼした。

「仲間?違う。アイツらはオレのしもべだ。」

 青年が笑みを浮かべると、カミラたちに向かって、右手を伸ばして光線を放つ。するとカミラとスゴーミンたちが巨大化した。

「巨大化した!?そんな能力を持っているとは・・!」

 聖也が青年の能力を目の当たりにして、驚きをふくらませる。

「ギョダーイ星の生物、ギョダーイ。その巨大化光線を利用したに過ぎない。」

 青年がライたちに向けて、自分の使った能力を語る。

「お前、本当に何者だ・・!?

「まさか、お前も宇宙人なのか!?

 ジョーと鎧が青年に問い詰める。

「オレは人間だよ。れっきとした地球人。」

 青年が笑みをこぼして、自分のことを話していく。

「オレは侵略者と手を組んだんだよ。今じゃみんなオレのしもべになっている状態だけどね。」

「何だと!?・・お前、地球を裏切ったってことなのか・・・!?

 青年の話を聞いて、ライが驚く。

「地球人から見ればそういうことになるか。でもオレは、地球と地球人の愚かさに嫌気がさしたけどね・・」

「貴様、地球人でありながら地球を滅ぼそうというのか!?

 話を続ける青年に、聖也が怒りの声を上げる。

「地球人は愚か者ばかり。オレのように真っ当なのはほんのひと握りだった・・」

 青年が地球人のことを語って、顔から笑みを消す。

「もはや話し合いに応じようとすらしていない・・自分たちに逆らう者は、何かしら理由や濡れ衣を付けて排除する。ヤツらはそんな種族なのだから・・」

 地球人への不満と憎悪を口にする青年。彼の言葉を聞いて、ライが心を揺さぶられる。

「世の中への不満・・この人もそれに逆らおうとしてるのか・・・!」

「だがヤツは地球そのものを見限った・・見過ごすわけにはいかない・・!」

 青年のことを考えるライに、聖也が呼びかける。

「そうだ・・マックスも人間も敵に入れているが、自分勝手な人間だけを敵にしている・・だけどアイツは、地球人、人間そのものを敵にしている・・・!」

 ライが迷いを振り切って、怒りを噛みしめる。

「お前が地球人だろうと宇宙人だろうと、オレたちをどうにかしようとするなら容赦しねぇぞ・・!」

 マーベラスが青年に向って強気に言い放つ。

「オレと戦うつもりか。ならばオレも生身というわけにはいかないな。」

 青年が笑みを強めると、ベルト「フォースドライバー」を手にした。

「あれは、仮面ライダーのベルト!?

「まさか、ヤツも仮面ライダーなのか・・!?

 ライと聖也がフォースドライバーを目の当たりにして、驚きをふくらませる。

「オレは鷹矢アキト。全ての正義は、オレが塗り替える。」

 青年、アキトが言いかけて、フォースドライバーのレバーを手に掛けた。

「変身!」

 アキトがレバーを引いて、フォースドライバーを展開した。フォースドライバーからあふれた光が、アキトを包み込んだ。

 光は赤と黒を基調としたスーツとマスクに変わった。その姿は仮面ライダーそのものだった。

 

 かつてハルキの仲間だったアキト。彼は仮面ライダーフォースとなって、地球の敵となっていた。

 

 

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