ザ・グレイトバトル
-感情の力-
第3章
フォースの正体は知られなかったが、2人のウルトラマン、ロッソとブルの正体がカツミとイサミであることは、Gフォースのモニターが変身を解く瞬間を捉えていたために知られることになってしまった。
カツミとイサミはナツたちにGフォースの本部に連れて行かれることになった。
「この2人が、あの赤と青のウルトラマンだなんて、ビックリだよ〜・・」
ギンがカツミたちを見て、戸惑いと感心を見せる。
「まずは君たちのことを話してほしい。私はこのGフォースの隊長、桜木トウジだ。」
トウジがカツミたちの前に来て、声を掛けてきた。
「オレは湊カツミ。コイツは弟のイサミです。」
カツミが自分とイサミのことを、トウジたちに紹介する。
「君たちもウルトラマンだったとは・・もう1人のウルトラマンについても、何か知っているのか?」
「いえ・・オレたちもあのウルトラマンとは初めて会ったんです・・そもそも、オレたちは別の世界から来たみたいなんです。パラレルワールドってヤツですか・・」
トウジからの質問に、イサミが自分たちのことを正直に話す。
「突然現れたブラックホールに吸い込まれて、気が付いたらここにいたんです・・」
「怪獣と宇宙人があのウルトラマンとあなたたちのメカを追い詰めていたんで、助けようって思ったんです・・」
イサミとカツミが語る話を聞いて、ハルキたちは複雑な気分を感じていた。
「オレたちの世界にも怪獣や宇宙人は出てきました。でもあのようなロボットはなかったです。」
「あれはモビルスーツに分類されている。フォースガンダムとGパニッシャーだ。」
イサミが疑問を感じて、トウジが機体について話す。
「詳細は軍事機密になるので言えないが、我々と君たちは共闘ができるということでいいか?」
「どういう状況なのかはよく分かってないですが、オレたちにできることならやってやりますよ。」
トウジからの誘いを、カツミが快く受けた。
「この世界の地球も、怪獣や宇宙人に狙われてるみたいですね。オレたちに任せてくださいよー♪」
イサミが気さくな態度で、トウジたちに頼んできた。カツミもイサミもトウジたちとの協力を喜んだ。
「ただ君たちに任せ切りにするつもりはない。我々も我々の力を信じて、この地球を脅かす脅威に立ち向かう。」
「それは分かってます。力を合わせていきましょう。」
自分の意思を伝えるトウジに、カツミが笑みを見せて頷いた。2人が手を差し伸べて、握手を交わした。
本部内の自分の部屋に戻ったハルキ。カツミとイサミも彼についていって、3人とフォースだけの会話をするのだった。
「ここならウルトラマンの話ができる・・」
ハルキがカツミたちに言いかけて、左腕のフォースブレスを見せる。
“君たちにも私の声が聞こえているだろう。私はフォース。惑星F4のウルトラマンだ。”
「惑星F4・・聞いたことないなぁ・・」
フォースが自己紹介をして、イサミが疑問符を浮かべる。
「オレたちの場合はウルトラマンの姿と力を使っている。F4というのは、オレたちは知らない・・」
カツミもフォースの話に答える。カツミとイサミが変身するロッソとブルは、かつて存在していたウルトラマンだった。
「やはりオレたちの世界とこの世界とは、やはり違うということかぁ・・」
イサミがハルキたちのいる世界を考えて呟きかける。
「カツミくん、イサミくん、君たちの世界には、戦いや戦争があったのか?」
ハルキが真剣な顔で、カツミたちに問いかけてきた。
「戦争っていっても、オレたちが生まれるずっと前にあったらしいぐらいで、今では起こってないぞ・・」
「そうか・・平和なんだな、君たちの世界は・・・」
カツミの話を聞いて、ハルキが物悲しい笑みを浮かべる。
「この世界は数年前まで、人間同士の争いが続いてた・・そこに付け込んで地球を侵略しようとする宇宙人もいた・・」
ハルキが自分たちの世界について、カツミたちに話す。
「人間同士で戦争をしている場合じゃないとして、双方は停戦という形の戦争終結をした。そして地球には防衛隊が確立して、オレはそこに所属していた・・」
世界や自分の過去について語っていくハルキ。
「そのかつての防衛隊の本部が襲われた・・怪獣や宇宙人、怪人・・」
「怪人・・!?」
ハルキの話を聞いて、カツミが疑問符を浮かべる。
「巨大じゃないが怪物を思わせる姿と能力のヤツらだ。宇宙人だけじゃないから、怪人に分類されているんだ。」
「なるほど。この世界はいろいろありすぎて、頭の中がゴチャゴチャになりそうだよ・・」
ハルキがさらに話を続けて、イサミが腕組みをして考え込む。
「そのヤツらに、本部は襲われた・・本部が滅ぼされただけでなく、彼女が・・トウカが・・・!」
「トウカ?」
「あ、いや、何でもない・・・」
カツミが聞き返して、怒りをふくらませていたハルキが我に返る。
「だから、オレは怪獣、怪人、宇宙人を許せない・・この手で滅ぼすんだ・・・!」
「ハルキさんのことは分かったけど、それでウルトラマン、フォースのことは・・?」
ハルキのことに納得するカツミが、フォースに話を聞く。
“惑星F4は滅ぼされた。先ほどのマグマ星人と、ヤツの操る双子怪獣によって・・”
「なるほど。フォースもハルキさんと同じで、怪獣や宇宙人を憎んでいるってわけか・・」
フォースの話を聞いて、イサミが納得する。
「だけど、憎んでばかりいて、疲れてこないか?」
カツミがふとハルキとフォースの考えに対して問いかけてきた。
「地球や自分の居場所や大切なものを守るのはいいけど、怒りに任せて戦うのはどうかなって、オレは思う・・」
「君たちに何が分かる・・大切なものを奪われる苦しみが分かるのか・・・!?」
自分の考えを口にするカツミに、ハルキが怒りをあらわにする。
「全然分かんないわけじゃない・・帰ってきたけど、母さんがいなくなってさびしい思いをしたことあるから・・」
イサミが自分たちの過去を告げて、思いつめた表情を浮かべる。
「分かっているつもりなだけで、オレのことは分かっていない・・怪獣たちがいなければ、オレたちは平和でいられたのに・・・!」
しかしハルキは怒りをふくらませて、体を震わせる。怪獣たちへの憎しみが、彼を奮い立たせていた。
「そこまでいうならいいけど・・オレたちは敵を倒すんじゃなくて、みんなを守ることを第一にして戦ってるってことで・・」
「そうだよ!オレたちは人間であり、ウルトラマンなんだからさ!」
カツミとイサミが自分たちの意思を、ハルキとフォースに伝える。
「みんなを守る・・・言われるまでもない・・そのためにもオレは、オレたちは敵を倒す・・・!」
しかしハルキの意思は変わらない。彼の言葉に納得するフォースの意思も。
ハルキたちに自分たちの言葉の本当の意味を分かってもらえてないと思って、カツミとイサミは参っていた。
その後、カツミとイサミはGフォースの特別室で泊まることになった。2人は休息に入りながら、ハルキとフォースのことを考えていた。
「復讐ってヤツなんだな・・その復讐を果たして、アイツらや他のみんなが納得するだろうか・・」
「さぁな・・そこまで先のことまでは誰にも分かんないんじゃないか?自分のことでも・・」
カツミが呟いたことに、イサミがのん気に答える。
「それよりも、元の世界に戻ることを考えたほうがいいんじゃないか、カツ兄・・」
「イサミ、ハルキさんたちが大変なことになっているのを、ほっといていいと思うか?」
「それは・・ほっとけないとは思うけど・・オレたちはこの世界のことをよく分かってないんだぞ・・自分たちのことだけで手いっぱいだって・・」
「それはそうだけど・・どうしてもほっとけないんだよなぁ・・」
ハルキたちの世界と自分たちのことを天秤にかけて、カツミとイサミは苦悩していた。
「理屈じゃないか、そういう気持ちは・・」
イサミがため息まじりに言いかける。彼の言葉と振る舞いに、カツミは笑みを浮かべた。
「どっちにしても、ここの人たちが協力してくれないと、オレたちもどうにもならないからね・・」
「今は休んで、みんな明日からだ。」
イサミとカツミがひと息ついて、ベッドで眠りについた。
Gフォース本部の近くに、2つの影がいた。蜘蛛男と黄金仮面が、本部に迫っていた。
「ここがGフォースの本部か・・」
「だが本部の防衛システムは高度だ。わずかでも引っかかれば、隊員たちがすぐに迎撃に出てくるぞ。」
蜘蛛男と黄金仮面が本部を警戒する。
「だが地球人など取るに足らない。1人ずつ仕留めていけばいいだけのことだ・・・」
「人間を甘く見るな。スーパー戦隊も、その多くは元はただの人間だ・・」
「何を怯えているんだ、黄金仮面?・・お前がやらなくても、我々だけでやらせてもらうぞ・・」
「早まるな、蜘蛛男!ヤツらに気付かれたら・・!」
いきり立つ蜘蛛男を、黄金仮面が呼び止める。
「違う世界にも、怪人が何か企んでいるのか・・・」
そこへ声がかかって、蜘蛛男たちが驚きを覚えて振り返る。彼らの前に2人の青年がいた。
「お前たちは!・・なぜここにいる!?」
蜘蛛男が青年たちを見て声を荒げる。
「そんなこと、オレも知らないって!いきなりできた穴に吸い込まれて、気が付いたらこっちに来てたんだから!」
青年の1人、十時ライが不満げに答える。
「お前たちがよからぬことを企んでいるのは想像がつく。ここでお前たちを倒す・・!」
もう1人の青年、滝聖也が蜘蛛男たちに言い放つ。
「おのれ・・こうなればやるしかない・・・!」
「者ども、出あえー!」
蜘蛛男が焦りを噛みしめて、黄金仮面が呼びかける。ライと聖也の前に「黒十字軍」の戦闘員、ゾルダーと秘密組織「ショッカー」の戦闘員が現れた。
「戦闘員たちを出してきたか・・・!」
「何が出てきても、オレたちやみんなの居場所をムチャクチャにしようとするなら、オレは容赦しない・・!」
聖也が身構えて、ライが言い放つ。2人はそれぞれアイテム「ライダーソウル」とベルトを取り出した。
“クロスドライバー!”
ライがベルト「クロスドライバー」に装着して、ライダーソウル「クロスソウル」のスイッチを入れた。
“クロス!”
音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。
“ライダーソウール!”
ライは意識を集中して構えを取る。
「変身!」
彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、中心部「クロスタイフーン」を回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。
“クラール!”
聖也がクラールソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼はクラールソウルをクラールドライバーにセットした。
「変身!」
聖也は左手を斜め右上に振り上げて、クラールドライバーの左レバーを上に上げて、中心部「クラールタイフーン」を回転させた。
“変身・ライダー!クラール!”
彼の体をオレンジ、黒、銀に彩られた装甲とマスクが包んだ。
ライと聖也は仮面ライダー、クロスとクラールに変身した。
「お前たち、やるのだ!」
「イー!」
「ホイ!」
蜘蛛男が呼びかけて、戦闘員たちとゾルダーたちが掛け声を上げる。向かってきた戦闘員たちを、ライと聖也が迎え撃つ。
ライと聖也の繰り出すパンチとキックの連続で、戦闘員たちが次々に打ち倒されていく。
「おのれ、クロス、クラール・・こうなれば我々も!」
蜘蛛男がいきり立って、ライに向かって口から糸を吐き出す。ライは横に転がって糸をかわす。
蜘蛛男は口から続けて針を飛ばしてきた。
「うっ!」
クロスの装甲に針が当たって火花が散って、ライがうめく。
「速い攻撃もできるのか・・だったら・・!」
彼が蜘蛛男の動きを見計らいながら、別のライダーソウルを取り出した。仮面ライダー1号の力を宿した「1号ソウル」である。
“1号!”
ライが1号ソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼はクロスドライバーからクロスソウルを外して、1号ソウルをセットして、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!1ゴー!”
ライのまとうクロスの姿が、1号と同じ姿になった。彼は「1号フォーム」への変身を果たした。
「1号ライダー・・その姿で相手をしてくるとは・・!」
蜘蛛男がいら立ちを浮かべて、ライが針を連射する。ライは素早く動いて針をかいくぐる。
「何をやっている!?私もやるぞ!」
黄金仮面がいきり立って、死神の鎌を手にして構える。その彼に聖也が立ちはだかった。
「お前の相手は私がさせてもらうぞ・・!」
聖也が言いかけて、新たなライダーソウル「イクサソウル」を手にした。
“イクサ!”
“ライダーソウール!”
聖也がイクサソウルをクラールドライバーにセットして、左レバーを上に上げてクラールタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!イクサー!”
クラールの姿が白い仮面ライダーに変わった。聖也はイクサの姿と力を備えた「イクサフォーム」となった。
黄金仮面が聖也目がけて鎌を振りかざす。聖也は横に動いて、紙一重で鎌をかわした。
「どこまでよけられるか!」
黄金仮面がさらに鎌を振りかざす。聖也は右手を伸ばして、鎌の刃を受け止めた。
「何っ!?」
鎌に力を入れる黄金仮面だが、鎌はビクともしない。
「その程度の力では、このような武器を使おうと、オレには勝てないぞ・・!」
聖也が鋭く言って、鎌を引っ張って黄金仮面を引き寄せる。
「ぐっ!」
黄金仮面がパンチを受けて突き飛ばされる。そのはずみで彼は持っていた鎌を放してしまう。
「おのれ・・ゾルダー、私を守れ!ライダーどもを倒せ!」
「ホイ!」
黄金仮面が焦りをふくらませて、ゾルダーたちをけしかける。聖也は鎌を放すと、ゾルダーたちを撃退して前進する。
一方、ライは連続で打撃を繰り返して、蜘蛛男を攻め立てる。
「このままお前を倒す!」
ライが蜘蛛男に言い放って、クロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加える。
“ライダースマッシュ・1ゴー!”
ライが足に力を込めて、かなたとともに大きくジャンプする。
「クロスライダーキック!」
ライが繰り出したキックが、蜘蛛男の体に命中した。
「おのれ、仮面ライダー!」
絶叫を上げる蜘蛛男が倒れて爆発を起こした。
「蜘蛛男が・・おのれ・・!」
黄金仮面がいら立ちを抱えたまま、聖也から逃げ出す。
「逃がしはしない・・!」
聖也はゾルダーを退けて、クラールドライバーの右のレバーを右手で上げて回転を加える。
“ライダースマッシュ・イクサー!”
彼の右手にエネルギーが集まる。
「クラール・ブロウクンファング!」
聖也が前進してパンチを繰り出す。黄金仮面がパンチを受けて、大きく突き飛ばされる。
「Gフォースを攻める前に倒れるとは・・そんな、バカな・・・!」
Gフォースを攻撃することもできず、黄金仮面が力尽きて爆発した。
戦闘員たちとゾルダーたちが慌てて逃げ出していく。
「逃がさないぞ・・!」
聖也がライとともに戦闘員たちを追おうとした。そのとき、戦闘員たちとゾルダーたちが射撃されて、次々に倒れていく。
「な、何だ・・!?」
突然のことにライと聖也も驚く。2人と戦闘員たちの前に現れたのは、6人の男女。
「また違う世界に飛び込んでしまったようだな・・」
「ま、それだけお宝が見つかるってわけだけど。」
「またとんでもないことが起きそうな気がするなぁ・・」
「でも私たちが力を合わせれば、何が起こっても乗り越えられますよ。」
男女のうちの4人、ジョー・ギブケン、ルカ・ミルフィ、ドン・ドッコイヤー、アイム・ド・ファミーユが言葉を交わしていく。
「大丈夫ッス!オレもどこへ行ってもギンッギンに燃えますからねー!」
1人の青年、猪狩鎧が高らかに言い放つ。
「ま、ここがどういうところかは知らねぇが、また派手に暴れられそうだな。」
1人の青年、マーベラスが強気な笑みを浮かべる。
「何だ、あの6人は・・・!?」
「あの6人、もしかして・・・!?」
聖也とライがマーベラスたちを見て声を上げる。
「あれ?1号ライダーとイクサじゃない?」
「いや、ベルトが違う。別の仮面ライダーが、そのライダーになっているようだ。」
ルカが疑問を投げかけて、ジョーが言いかける。
「あなたたちは、スーパー戦隊・・海賊戦隊ゴーカイジャーじゃ・・!?」
「何?スーパー戦隊!?」
ライがマーベラスたちのことを言って、聖也が疑問を投げかける。
「複数の男女がチームとして戦うスーパー戦隊・・仮面ライダーと同じく、世界や宇宙、大切なものを守っている人たちです・・・!」
「そんな者たちが・・仮面ライダー以外にもいたとは・・・!」
ライがスーパー戦隊について説明をして、聖也が戸惑いを覚える。
“変身カイジョー。”
2人はクロス、クラールへの変身を解除した。
「あなたたちはこの世界の仮面ライダーですか?それとも2人も別の世界から・・?」
「別の世界からです。突如現れたトンネルに吸い込まれて・・ここが私たちのいた世界と気付いたのは、それほど時間はかからなかったです。」
アイムが質問して、聖也が自分たちのことを話す。
「それでこの辺りを歩き回っていて、どこか寝れるところを探していたら、怪人たちを見つけて・・」
「そうだったんだね。僕たちも似たようなものだよ。」
ライが答えて、ドンが苦笑いを見せて答えた。
「違う世界に行けば、違う冒険が待ってるッス!ギンッギンに燃えてくるッスー!」
鎧が喜びを振りまいて意気込みを見せる。
「ま、オレたちは戦隊だけど、海賊でもある。正義も悪も関係ねぇ。ただ気に入らなかったりぶっ潰したりしたヤツらが、悪ばっかってだけだ。」
マーベラスが腕組みをして、強気な態度を見せる。
「別世界については、彼らのほうが知識が豊富そうだ。ここは彼らと行動を共にしたほうがよいと思うのだが・・」
聖也がライに言いかけて、マーベラスたちに視線を戻す。
「好きにしな。オレたちはオレたちのやり方をするだけだ。」
「そういうのはいい気がしないが・・ここから出なくちゃどうにもならないからな・・・」
マーベラスの見せる態度に不満を覚えるも、ライは元の世界に戻ることを優先した。
そのとき、多くの兵士たちがやってきて、ライたちとマーベラスたちを包囲して銃を構えた。
「お前たち、ここで何をしている!?」
「ここは立ち入り禁止エリアだぞ!」
兵士たちがライたちとマーベラスたちに向かって言い放つ。
「わわ〜!見つかっちゃったよ〜!」
ドンが頭を抱えて慌てる。
「武装解除して、こちらの言う通りにしてください。そうすれば手荒なことはしない。」
イズルもライたちの前に現れて、注意を呼びかけてきた。
(相手は怪人でも悪者でもない・・傷つけて強行突破するわけにはいかない・・・!)
ライはイズルたちと戦うことをためらう。聖也も同じ考えだった。
「悪いが、おとなしく捕まってやる義理は、オレたちにはねぇんでな・・!」
マーベラスが笑みを見せて、持っていた銃「ゴーカイガン」を構えて発射した。射撃はイズルたちから外れたが、彼らはこれで警戒を強めた。
「くそっ!撃て!拘束するんだ!」
兵士たちがたまらず発砲するが、マーベラスたちは走り出して迎撃をかいくぐった。
「ちょっと待ったー!」
そこへ声がかかってライたち、マーベラスたち、イズルたちが振り向いた。カツミとイサミ、ハルキが彼らの前にやってきた。
「ハルキ隊員!カツミさんとイサミさんも・・!」
イズルがハルキたちを見て声を上げる。
「この人たちは悪い人じゃない!」
「聞いたことがあるんだ!世界や宇宙を守るヒーロー、ウルトラマンだけじゃなく、仮面ライダー、スーパー戦隊というのもいるって・・!」
イサミとカツミがイズルたちに呼びかける。
「仮面ライダー!?スーパー戦隊!?・・何を言っているんです・・・!?」
彼らの言葉の意味が分からなくて、イズルが疑問符を浮かべる。
「簡単に言うと、みんなオレたちの味方だってことだよ!」
イサミがイズルたちに向かって、さらに呼びかける。戸惑いを覚えるイズルに、ハルキが小さく頷いた。
「撃たないでください。彼らはカツミさんたち同様、Gフォースへ招き入れます。」
イズルが兵士たちに呼びかけて、通信機を使って当時にも連絡を入れる。
「隊長、よろしいですか?」
“了承する。ただしまたどのような人物か完全に把握しているわけではない。警戒は怠るな。”
イズルの声にトウジが答えた。
「よろしいのですか、東出隊員、桜木隊長!?」
「今、何が起こっているのか、僕たちよりも彼らのほうが把握していると思う。情報を得るためにも、彼らが便りなんだ・・」
兵士が苦言を呈するが、イズルもトウジも考えを変えない。
「話を聞かせてほしい。こっちに来てからのあなたたちの話を・・」
イズルがライたちとマーベラスたちに向かって呼びかける。
「ま、ちょっとは気晴らしにはなるか・・」
マーベラスが呟いて、ジョーたちも笑みを見せた。ライと聖也も頷き合って、ハルキたちについていくことにした。
Gフォース本部の指令室に案内されたライたち。彼らと対面したトウジが、真剣な顔を見せる。
「私がこのGフォースの隊長、桜木トウジだ。」
「滝聖也です。よろしくお願いします。」
トウジと聖也が手を差し伸べて握手を交わした。
「トウジさん、世界で今、何が起こっているのですか?平行世界同士がつながるとは・・」
聖也が問いを投げかけると、トウジが深刻さを見せてきた。
「平行世界、パラレルワールドに関しては、我々も詳しくは知らない。次元を超える方法も見出せてはいない・・」
トウジがこの世界のことを話していく。
「この世界では怪獣、宇宙人、そして怪人が地球を狙って暗躍をしている。地球の防衛のために地球防衛隊、そして我々Gフォースがいるのだ。」
「おーっ!いわゆる防衛チームってヤツッスかー!」
トウジの話を聞いて、鎧が感動の声を上げる。
「Gフォースが設立された理由は、敵からの襲撃に備えてのものだ・・防衛隊の本部は、1度襲撃にあって壊滅を被っているのだ・・」
トウジが話を続けると、ハルキがそのときのことを思い出して怒りを覚える。
「君たちと今出会ったが、その前にもウルトラマンが現れた。1人は正体は分からないが、我々の危機を救ってくれた。そしてあと2人はカツミくん、イサミくん、2人の変身するウルトラマン、ロッソとブルだ。」
「へぇ。新しいウルトラマンだね、アンタたち。」
トウジが紹介したカツミたちを見て、ルカが笑みをこぼす。
「もしかして、他のウルトラマンに会ったことあるんですか!?」
「まぁな。別の世界から空間を渡ってきたいろんなヤツと会ってきたからな。」
カツミが問いかけて、ジョーが答える。
「いろいろな世界、いろいろな宇宙で、地球や宇宙、大切なものを守っている方々がいます。スーパー戦隊だけでなく、仮面ライダーやウルトラマン、ガンダムの世界でもいえます。」
アイムが並行世界について話していく。
「本来はそれぞれ別々の世界にいますが、違う世界につながる出来事も起こっています。次元を超える能力を持っている人もいます。」
「自分で次元を超える人もいるのか・・興味が湧いてくるなぁ〜♪」
彼女がさらに語りかけて、イサミが興味をふくらませて笑顔を見せる。
「たとえば“マシンワールド”と私たちのいる“ヒューマンワールド”を行き来する炎神戦隊ゴーオンジャーの炎神のみんな。」
「ウルトラマンでいえば、ゼロが有名だな。」
ドンとジョーがこれまで会ったことのある戦士について告げる。
「もしかしたら、オレたち以外にもこっちに引きずり込まれたか、異変を感じてこっちに来ているヤツがいるかもしれないな。」
マーベラスがその戦士たちのことを考えて言いかける。
「その人たちと会って情報を得て、この異変の犯人を突き止める・・」
「それが私たちの、ここでに戦いになるな・・」
ライと聖也が彼らの言葉に納得する。
「我々も地球防衛を続けながら、情報収集を進めていくつもりだ。協力とまではいかなくても、情報交換ができたほうがよいと思うのだが・・」
トウジがライたちに向けて提案を持ちかける。
「オレたちもその親玉が誰なのかは分かっちゃいねぇ。大した協力はできねぇぞ・・」
「それでも構わない。わずかな情報でも大きな手掛かりになる可能性は十分にある。この現状の中では・・」
突っ張った素振りを見せるマーベラスに、トウジが感謝した。
「また、新しい仲間が増えたということですね。」
ライたちを見て笑みを浮かべて、ナツがハルキに目を向けた。
(仲間・・違う世界の仲間か・・・)
ハルキはライたちとの出会いに、複雑な気分を感じていた。
“彼らは信用してもいいだろう。だが我々が戦う理由に変わりはない。”
フォースがハルキの心に呼びかけてくる。ハルキは彼の言葉に小さく頷いていた。