ザ・グレイトバトル -エンドレスメモリーズ-

第15章

 

 

 FXAGE-2、レギルス、フォーンファルシアの前に立ちはだかるシロッコのジ・O。ジ・Oは4機のモビルスーツを相手にしても、劣勢になることなく立ち回っていた。

「私と君は同じ考えだと思っていたのだがね、ゼハート・ガレット。常に世の中を動かしてきたのはひと握りの人間。私や君のような天才だ。」

 シロッコがゼハートに向けて言いかける。彼の言葉を聞いて、ゼハートが深刻な顔を浮かべる。

「その力、私のために役立ててくれると嬉しいのだが?」

「確かに私は、かつてはお前と同じ考えをしていたかもしれない・・だがそれが間違いだったことに気付かされた・・!」

 誘いを持ちかけるシロッコに、ゼハートが自分の考えを告げる。

「可能性を潰すようなマネをしてはいけない。強い者を選ぶのではなく、弱い者にも救いの手を差し伸べなくてはならないのだ・・!」

「フン。弱者など天才の足を引っ張るだけ。ヤツらを導く資格があるというのに、君はそれを捨てるというのか?」

 新たな決意を固めるゼハートを、シロッコがあざ笑う。

「そのような傲慢でもたらされる平和などありはしない!」

 彼に反発したのはアセムだった。

「争いのない世界に支配者は必要ない!誰かが誰かを支配する先に未来はない!」

「ゼハート様はあなたとは違う!支配ではなく、ヴェイガンのことを心から想っている方なのよ!」

 アセムに続いてフラムも呼びかける。彼らはそれぞれ答えを見出して、自分の道を選んで歩んでいた。

「支配するよりも、みんなで手を取り合って生きていくこともできるはずです。」

 キオが真剣な顔でシロッコに呼びかける。

「どんな人が相手でも、言葉を交わして分かり合えないことはありません!戦いをやめて、力を合わせましょう!」

「何の理もなく、生の感情を丸出しにして・・それで人に品性を求めることなど絶望的だ。」

 説得を試みるキオだが、シロッコはあざ笑うばかりである。

「これからの人の世に、愚かしい貴様らのような存在は不要だ。今ここで消えるがいい!」

 シロッコが言い放って、ジ・OがビームライフルをFXに向けて発射する。キオが反応して、FXが加速してビームをかわす。

「キオはやらせないぞ、シロッコ!」

 アセムが言い放って、AGE-2が「ハイパードッズライフル」を展開して、ジ・O目がけて発射する。ジ・Oは的確に動いて、AGE-2のビームをかわす。

「あの機体、姿に似合わず素早く正確に動く・・!」

 AGE-2がビーム攻撃を続ける中、アセムがジ・Oの動きに毒づく。

「だったらビットで!」

 フラムが目つきを鋭くして、フォーンファルシアがビットを射出する。ビットがジ・Oを包囲して、一斉にビームを発射する。

 シロッコは即座に反応して、ジ・Oがビームをかわして、ビームライフルでビットを正確に撃ち抜いた。

「そんな!?

 正確に狙撃されたことに驚くフラム。

「ビット!」

Cファンネル!」

 ゼハートとキオが意識を集中して、レギルスとFXがビットとファンネルを展開する。2機の多方面のビーム攻撃だが、ジ・Oはまたも正確に回避してみせた。

「私こそが真の絶対種。この私が、全ての世界を導く存在なのだ。」

 シロッコが自信を見せて、キオたちに言いかける。

「貴様らが束になろうと、私に勝つことはできん。仮に私を倒せたところで、貴様らに世界を導くことはできんよ。」

 シロッコの駆るジ・OがFXたちに迫る。

「ゼハート様に手出しはさせない!」

 フラムが言い放ち、フォーンファルシアがフォーンファルシアバトンを振りかざしてビームの鞭を伸ばす。ジ・Oはビームサーベルでビームの鞭を受け止めて、もう1本のビームサーベルで鞭を切り裂いた。

 FXがジ・Oに向かって加速していく。ジ・Oがビームライフルを発砲するが、FXはファンネルで光の壁を作ってビームを防ぐ。

「あなたがやろうとしている導きは、悲しみを増やすだけです!どうか考え直して、みんなの気持ちを汲み取ってください!」

「天才の足を引っ張るだけの俗人どもに歩み寄ったところで、愚かになるだけだ!」

 呼びかけるキオだが、シロッコは彼と人々の思いをはねつける。FXとジ・Oがビームサーベルを振りかざしてぶつけ合う。

「あなたのような人の暴挙は、絶対に止めなくちゃいけない!僕が止めてみせる!」

「小賢しいだけの子供が何を言う!」

 互いに言い放つキオとシロッコ。FXがファンネルを操作して、ジ・Oの腕の1本を切り裂いた。

「こんなことで、勝てると思うな、小僧!」

 シロッコがいきり立ち、ジ・Oが加速してFXに残りのビームサーベルを振りかざしていく。

「キオ!」

 アセムが叫んで、AGE-2が加速してジ・Oにビームサーベルを振りかざす。ジ・OがビームサーベルでAGE-2の一閃を受け止める。

「お前は孤独だ!1人で何でもできると思っているからだ!だが1りではいずれ限界が訪れる!」

 アセムが言い放って、AGE-2がジ・Oとさらにビームサーベルをぶつけ合っていく。そこへレギルスが飛びかかり、射出したビームサーベルを振りかざして、ジ・Oを攻め立てる。

「オレたちは1人ではない!互いに心を通わせ、支え合っているのだからな!」

「何もできない俗人の戯言をほざくか!」

 言い放つゼハートにシロッコがいら立ちを見せる。

「私たちは、お前の手のひらの上で踊るつもりはない!」

 フラムがシロッコに反発して、フォーンファルシアがバトンを振りかざしてビームのリボンを伸ばす。

「同じ手が通じると思わないことだ!」

 シロッコが笑みを浮かべて、ジ・Oがビームサーベルでビームのリボンをはじく。

「それでもわずかでも隙を作れるなら!」

 フラムは動じずにシロッコに言いかける。次の瞬間、AGE-2とレギルスが同時にビームサーベルを、ジ・O目がけて振りかざした。

「くっ!」

 シロッコが毒づき、ジ・OがビームサーベルでAGE-2とレギルスの攻撃を受け止めた。

「キオ!」

 アセムが呼びかけて、シロッコがFXに目を向ける。FXは胴体から青いビームの刃から発していた。

「何だ、あれは!?あの機体の奥の手か!?

 シロッコがFXに対して警戒を強める。FXは特攻型の形態「バーストモード」となった。

(これは使い方を間違えたら、相手を殺してしまうかもしれない・・でも僕はこの力で、あのモビルスーツの武器だけを壊す!)

 キオが自分に言い聞かせてから、ジ・Oに目を向ける。FXが飛び出して加速して、ジ・Oに向かって突っ込む。

 ジ・OがAGE-2とレギルスから離れて、FXを迎え撃つ。だが繰り出したビームサーベルの1本を、腕ごとFXの突撃と刃に切り裂かれた。

「こ、この機動力と破壊力・・モビルスーツのそれの限界を超えている!?・・なぜ、これほどの力を・・!?

 シロッコがFXの力に驚く。

「これは僕とガンダムだけの力じゃない!みんなが支えてくれたことで強くなった力だ!」

 青い輝きを発するFXから、キオが思いを言い放つ。彼はアセムや数多くの仲間に支えられて強くなって、答えを見出せたと実感していた。

「そんなもので、このジ・Oを倒せると思っているのか!?

 シロッコがいら立ちをふくらませて、FXの動きを見定める。ジ・Oが加速するが、FXのスピードに追い付けない。

 FXが突撃の刃で、ジ・Oの腕と武器を削ぎ落していく。

「こ、これまでなのか!?・・だが、私だけ不様には敗れんぞ・・!」

 うめくシロッコがFXに、キオに向けて感情を高ぶらせる。彼はキオに強い思念を送って、魂を道連れにしようとした。

 そのとき、ジ・Oの胴体をレギルスが尻尾で突き刺した。

「キオ、お前は地球とヴェイガンをつなぐ絆になるのだろう!?ならばここで倒れている場合ではないはずだ!」

「ゼハートさん!」

 呼びかけるゼハートにキオが戸惑いを覚える。レギルスがジ・Oに突き立てている尻尾から、「レギルスキャノン」を発射した。

「オレは元々死んだ身だ・・だから、お前たちの代わりにオレがこの手を汚す・・!」

「ゼハート、お前・・・!」

「ゼハート様!」

 自分の意思を貫くゼハートに、アセムとフラムが叫ぶ。胴体をビームに貫かれたジ・Oが、レギルスから離れていく。

「バカな・・この私が・・私だけが・・こうも、不様に・・・うおぉぉー!」

 絶叫を上げるシロッコが爆発を起こしたジ・Oとともに消えた。

「遅かれ早かれ、オレは地獄に戻る・・お前の後を追うことになるぞ、パプテマス・シロッコ・・・!」

「ゼハート様・・そのときも私は、ゼハート様と共にあります。」

 低く言いかけるゼハートに、フラムが微笑みかけた。彼らは自分たちが現世にいるのは長くないことを悟っていた。

「ゼハート・・」

 ゼハートたちのことを考えて、アセムは胸を締め付けられるような心境に駆られていた。

「オレは既に死んだ人間だ。だがアセム、オレはこれから先、お前ともともに戦い続けていくと確信している・・」

「ゼハート・・オレもだ。オレもお前がそばにいるのを感じている・・」

 互いに自分たちの思いを告げるゼハートとアセム。2人の結束が本物であると思って、キオは微笑んだ。

 そのとき、地上で立て続けに爆発が起こって、キオたちが気付いて視線を移す。

「永夢さんたちが危ない!」

「ガリウス、それほどの力を備えているというのか・・!?

 キオが声を上げて、アセムがガリウスの力を痛感していた。

 

 持てる強大な力で永夢たちを追い詰めていくガリウス。笑みを浮かべる彼に、永夢たちは焦りをふくらませていた。

「真の支配者であるオレに勝てるヤツは存在しない。おとなしく言う通りにしていれば楽になれるのに・・」

 倒れている永夢たちを見て、ガリウスが呆れた素振りを見せる。

「それでみんなをゲームの駒のように扱っていく・・そんなやり方と支配を認めたら、世界は終わってしまう!」

 永夢が立ち上がって、ガリウスに向かって声を振り絞る。

「それで諦めないと思ってもムダだ。諦めるしかお前たちに道はない。」

 ガリウスが呆れてから、永夢に向けて右手をかざす。彼が放った念力で、永夢の体が持ち上げられる。

「う、うわっ!」

 永夢が左右に振られて悲鳴を上げる。

「永夢を放せ!」

 貴利矢がガシャコンスパローから光の矢を連射する。ガリウスが左手をかざして、光の矢を全て止めた。

「そこまで始末されたいなら、望みどおりにしてやるよ。」

 ガリウスが笑みを浮かべて、光の矢を操って貴利矢目がけて動かす。

「ぐっ!」

 レーザーの装甲から火花が散って、貴利矢が突き飛ばされて横転する。

「貴利矢さん!」

 叫ぶ永夢だが、ガリウスの念力で身動きが取れない。ガリウスは左手からも念力を発して、貴利矢を持ち上げた。

「2人まとめて叩き潰してやろうか!」

 ガリウスが永夢と貴利矢を見て笑みを浮かべる。

「させない!スピリットライダーパンチ!」

 光輝が飛び出して、エネルギーを集めたパンチをガリウス目がけて繰り出した。だがガリウスが放った衝撃波に吹き飛ばされる。

「ぐっ!・・このままでは、エグゼイドたちが・・!」

 永夢たちのピンチにドギーが焦りを感じていく。ガリウスが永夢と貴利矢を念力でぶつけようとした。

“ニーンニンジャー!”

 そのとき、1つの一閃がガリウスの眼前できらめいた。不意を突かれたガリウスがとっさにこの場を離れて、永夢と貴利矢が念力から解放されて着地した。

 永夢たちを救ったのは、1人の赤い戦士。「手裏剣戦隊ニンニンジャー」のアカニンジャーである。

「アカニンジャー、来てくれたのか・・!」

 テディがアカニンジャーを見て声を上げる。

「いや、違う・・アイツは・・!」

 明がアカニンジャーをじっと見て言いかける。アカニンジャーの姿が変わって、別の赤い戦士へと変わった。

「あなたは・・!」

 ドギーが赤い戦士を見て声を上げる。戦士はドギーに視線を向けて頷いた。

「赤の魂を受け継ぐ者!スーパー戦隊、アカレッド!」

 赤い戦士、アカレッドが名乗りを上げた。

 アカレッドは歴代のスーパー戦隊のレッドにも変身することが可能で、その能力や技も使える。

「アカレッドも来ていたのか・・!」

「遅くなってすまなかった、ゴーカイジャー!ガリウスたちがよみがえらせた者たちに足止めをされていた・・!」

 マーベラスとアカレッドが声をかけ合う。2人は宇宙最大の宝を追い求めた海賊仲間だった。

「君が仮面ライダーエグゼイド、宝条永夢くんだね?君にこの力を使ってくれ。」

 アカレッドが永夢に呼びかけて、彼にあるものを渡した。永夢が受け取ったのは、新たなライダーガシャットだった。

「ガシャット・・“ダイスオー”・・!?

 永夢がガシャットを見つめて戸惑いを覚える。

 「ダイスオー」。スーパー戦隊の登場するゲームで、永夢に託されたガシャットにはダイスオーが収録されていた。

「スーパー戦隊のゲーム・・つまり、“レンジャーガシャット”・・!」

 永夢がダイスオーガシャットを見つめて、気を引き締める。彼はアカレッドに視線を戻して頷き合った。

「ありがとうございます!このゲームもクリアしてみせます!」

“ダイスオー!”

 永夢がアカレッドに感謝して、ダイスオーガシャットを起動して、ゲーマドライバーにセットした。

“ガシャット!”

「スーパー大変身!」

“ガッチャーン!レベルアーップ!スーパーレンジャー・みんながスター・スーパーレンジャー・カラフルレジェンド!ダイスオー!”

 永夢のまとうエグゼイドのスーツの色が赤、青、黄色、緑、ピンクを中心にして、様々な色が散りばめられたものとなった。

「何だ、こりゃー!?えらくカラフルになっちまったじゃねぇかー!」

 モモタロスが永夢の姿を見て驚く。永夢はスーパー戦隊の力と魂を宿した「ダイスオーゲーマー」となった。

「新しいエグゼイド!?・・もしかして、エグゼイドにスーパー戦隊の力が加わったんじゃ・・!?

 永夢が戸惑いを感じながら、アカレッドに目を向ける。

「今の君なら、私のようにスーパー戦隊の力を使うことができる。君もその力を使いこなしてくれ!」

「アカレッド・・はい!分かりました!」

 アカレッドからの激励を受けて、永夢が頷く。彼はガリウスに目を向けて自信を見せた。

「ガリウス、ラウンド2と行くぜ!」

「何をしてきてもオレに勝てないというのが、まだ分かっていないか。ならもっと地獄以上の苦しみを味わって、そのことを思い知らせるまでだ。」

 高らかに言い放つ永夢にため息をついてから、ガリウスが左手から衝撃波を放つ。永夢はジャンプして衝撃波をかわした。

「体が前より軽い・・これが、スーパー戦隊の動き・・!」

 ダイスオーゲーマーの能力を確かめて、永夢が戸惑いをふくらませていく。

「素早くはなったか。だがいい気になっていいものではないぞ。」

 ガリウスは自信を見せたまま、永夢を狙って光の球を連射する。

“ジャキーン!”

 永夢がガシャコンブレイカーを手にして、ガリウスに飛びかかって振りかざす。ガリウスは全身に光の膜を張って、かざした腕でガシャコンブレイカーを受け止める。

 ガリウスが笑みを浮かべて、永夢に向けて右手を突き出す。すると永夢の体が2人に別れて左右に動いて、ガリウスの攻撃をかわした。

「分身した!」

「ニンジャレッドの分身(わけみ)の術か。やるじゃねぇか。」

 レオが声を上げて、マーベラスが笑みをこぼす。永夢は「忍者戦隊カクレンジャー」のニンジャレッドの分身の術を使った。

 ダイスオーゲーマーはアカレッドやゴーカイジャーのように、スーパー戦隊の能力を使うことができる。しかも永夢はその力を、最初から理解しているかのように使いこなしてた。

「姑息なマネでもオレを惑わすことは・・」

 ガリウスが笑みを浮かべたまま、再び光の球を連射した。分身されてもどれにも当たるように調整しながら。

 次の瞬間、本物の永夢のスピードが一気に上がり、光の球を全てかわした。

「今度はレッドバスターの超高速だ!」

「スーパー戦隊の力を、完璧に使いこなしてますよー!」

 ドンと鎧も永夢の動きを見て声を上げる。永夢の発揮するスーパー戦隊の力に、ガリウスが翻弄されていく。

「小賢しいマネを・・お前たちが束になったところで、オレをどうにかできるものか・・・!」

 ガリウスが目つきを鋭くして、意識を集中する。

「みんな、衝撃に備えろ!」

 ドギーが呼びかけて、タケルたちが身構える。

「よけきれないほどの力を出す気か!だったらこっちも!」

 永夢が思い立って、ダイスオーガシャットをゲーマドライバーからキメワザスロットホルダーに移してボタンを押した。

“キメワザ!ダイスオー・クリティカルストライク!”

 永夢の体が5人に別れた。彼らからはそれぞれ赤、青、黄色、緑、ピンクの光を発していた。

 5人の永夢は同時にジャンプして、ガリウスに向けてキックを繰り出した。光を足に集めた5人のキックが、ガリウスが右手から放った衝撃波とぶつかる。

「何!?押し切れないだと!?

 永夢の発揮する力に驚くガリウス。永夢たちのキックがガリウスの衝撃波を押し込んでいく。

「ぐおっ!」

 5人の永夢のキックをぶつけられて、ガリウスが突き飛ばされる。彼は足に力を入れて踏みとどまる。

「まさか、オレが追い詰められるなど・・!」

 永夢に押されたことにガリウスがいら立ちを見せる。

「エグゼイド、スーパー戦隊の力はまだこんなものではない!君なら全てを引き出せるはずだ!」

 アカレッドが呼びかけて、永夢が頷いた。彼がマイティアクションXガシャットとダイスオーガシャットを、ゲーマドライバーにセットした。

“ガッシャーン!レベルアップ!マイティジャンプ・マイティキック・マイティマイティアクションX!アガッチャ!アカ・アオ・キ・ミド・モモ・クロ・シロ!スーパーレンジャー・ダイスオー!”

 永夢の体にさらなる装甲が装着された。ダイスオーゲーマー同様のカラーリングが成された装甲である。

「さっきよりもすごいパワーがあふれてくる・・これが、スーパー戦隊の本当の力・・!」

 永夢が力を実感して、見つめる両手を握りしめる。

「よし!スーパー強力プレーでクリアしてやるぜ!」

 彼が意気込みを見せて、ガリウスに向けて指さして言い放つ。

「調子に乗るな、支配されるだけの存在が!」

 いら立ちをふくらませるガリウスが、前に出した両手から閃光を放つ。

「ジンガ・ゴル・マジュナ!」

 永夢が「魔法戦隊マジレンジャー」の防御魔法「マジカルカーテン」を発動する。光の魔法陣の壁がガリウスの閃光を防いだ。

「オレの力が通用しないだと!?

「これはオレだけの力じゃない!スーパー戦隊のみんなが、仮面ライダーの1人であるオレに力を貸してくれているんだ!」

 驚きの声を上げるガリウスに、永夢が言い放つ。彼はさらに強いスーパー戦隊の力を引き出していた。

“スパパパーン!”

 永夢はガシャコンキースラッシャーを手にして、アックスモードにする。続けて彼はダイスオーガシャットをガシャコンキースラッシャーに移した。

“キメワザ!ダイスオー・クリティカルフィニッシュ!”

 永夢がガシャコンキースラッシャーを回転を加えて投げる。すると5本の棒「コマンドバット」が合わさったようなブーメランに変わった。

 「バトルフィーバーJ」の技、ペンタフォースが発動された。

「ぐっ!」

 衝撃波を放つガリウスだが、ペンタフォースを防ぎきれずに突き飛ばされる。

「歴代の戦隊の合体技も使えるのか・・!」

「よっしゃ、ラッキー!すげぇぜ、永夢!」

 永夢の発揮する力を見てナーガが呟いて、ラッキーが喜びを見せる。

“ズキュキュキューン!”

 永夢がガシャコンキースラッシャーをガンモードにした。

“キメワザ!ダイスオー・クリティカルフィニッシュ!”

 ガシャコンキースラッシャーの先端に「電撃戦隊チェンジマン」のエネルギー「アースフォース」が集まっていく。アースフォースの弾丸がガシャコンキースラッシャーから放たれた。

「ぐあぁっ!」

 ガリウスが砲撃を受けて大きく突き飛ばされた。彼を追い詰めていることに、永夢が自信を見せる。

「許せん・・真の支配者であるオレが、他のヤツにやられるなど・・!」

 自分が追い詰められていることに我慢がならず、ガリウスの怒りは頂点に達していた。

「お前も他のヤツらも、まとめて吹っ飛ばしてやるぞ!」

「そうはさせないぞ!」

 言い放つガリウスに向けて声がかかった。彼に向かって1人の仮面ライダーが飛び込んできた。

「ライドルスティック!」

 棒型の武器「ライドルスティック」が振り下ろされた。不意を突かれたガリウスが叩かれて押される。

 攻撃を止められてふらつくガリウスの前に、ライダーが着地した。

Xライダー!」

 仮面ライダー(エックス)が名乗りを上げた。彼も永夢たちとの合流を果たした。

「あなたも来ていたのですね、先輩!」

 RXが声を上げて、Xライダーが頷いた。

「エグゼイド、仮面ライダーの魂も、君に託すぞ!」

「エックスさん・・ありがとうございます!」

 Xライダーに励まされて、永夢が笑みをこぼして頷いた。彼は新たなライダーガシャットを取り出した。

「先輩ライダーのみなさん、お願いします!」

 永夢が呼びかけてから、キメワザスロットホルダーに新たなガシャット「ガンバライジングガシャット」をセットした。

“キメワザ!ガンバライジング・クリティカルストライク!”

 構えを取る永夢の後ろに、歴代の仮面ライダーの幻影が現れた。永夢は全身から光を発して、その幻影たちと一緒にジャンプする。

「オールライダーキック!」

 永夢が繰り出したライダーキックが、ガリウスに命中した。全員の仮面ライダーのキックが叩き込まれるような衝撃が、ガリウスを襲った。

「ぐあぁっ!」

 ガリウスが大きく突き飛ばされて絶叫を上げる。着地する永夢の前で、ガリウスがダメージを増やして顔をゆがめる。

「冗談じゃない・・オレがお前たちにやられるわけがない・・オレが全てを支配するというのに・・・!」

 ガリウスがいら立って、永夢に鋭い視線を向ける。

「もう諦めろ!お前のゲームは終わりだ!」

 永夢がガリウスに向かって呼びかける。ガリウスがオーブたち、リュウテイキュウレンオーたち、デスティニーたちを目にする。

「オレが敗北することはない・・お前たちが束になろうと、オレに勝つことはできないぞ・・・!」

 ガリウスが笑みを浮かべて自信を見せる。

「他のヤツの力を使うのは、お前たちの専売特許ではない・・オレも使わせてもらうことにする・・・!」

 ガリウスが両手を握りしめて、意識を集中する。彼の力が強まって、周囲が揺れ出す。

「ヤツのパワーが高まっている!それで星全体が震えている!」

「アイツ、今度は何をやるつもりだ!?

 ゼロとチャンプがガリウスを見て声を上げる。

「見て!ガリウスに向かって黒い霧のようなものが!」

 ソラが指さして呼びかける。周辺から黒い霧のようなものがあふれ出して、ガリウスに向かっていく。

「この霧・・邪悪な力が強い・・!」

「まさかこれは、オレたちが倒した敵の・・!?

 BLACKRXが霧の正体に気付く。ドギーたちも霧について感付いていた。

「そうだ!お前たちが倒したエンペラ星人、岩石大首領、黒十字王、シロッコの力を取り込んで、オレの力を高めるのだ!」

 ガリウスが高らかに言い放って、黒い霧を集めていく。彼はオーブたちが倒したエンペラ星人たちを取り込もうとしていた。

「そうはさせるか!Xキック!」

 Xライダーがガリウスに向かってジャンプして、ライドルスティックを駆使して回転を加えてキックを繰り出した。だがガリウスの発揮するエネルギーにはじき飛ばされる。

「先輩!」

 倒れたXライダーに永夢が叫ぶ。力を凝縮させたガリウスが黒く染まり、だんだんと巨大化していく。

 巨大化を果たしてオーブたちの前に立ちはだかったガリウス。人間の姿だった彼は、今は黒く刺々しい姿へと変わっていた。

「大きくなって、あんなバケモノになりやがった・・・!」

「よみがえらせた怪人たちの力と魂を取り込んで、パワーアップしたのか!」

 巧とタケルがガリウスを見上げて身構える。強大な力を手に入れたガリウスが笑い声を上げてきた。

「オレの力がさらに高まり、さらに体も大きくなった!これでウルトラマンやモビルスーツを倒すのも不便はないぞ!」

「あのヤロー!体も生意気なとこもデカくなりやがってー!」

 勝ち誇るガリウスに怒鳴りかかるモモタロス。彼に目を向けたガリウスが、左足を動かしてきた。

「おわっ!」

 ガリウスが振り下ろしてきた左足の踏みつけを、モモタロスが慌ててよける。

「コラー!あぶねぇじゃねぇかー!」

 しりもちをついたモモタロスが文句を言って立ち上がる。

「大きくなっただけでないと分からないわけではないだろう?思い知るのはこれからだ・・オレの力という絶望を思い知るのは・・・!」

 ガリウスがさらに笑みを見せると、デスティニーとFXに目を向けてきた。彼は両手を突き出して、衝撃波を放った。

 シンとキオがとっさに反応して、デスティニーがビームシールドを出して、FXがファンネルを操作してビームのバリアを展開する。

「ぐっ!」

「うっ!」

 デスティニーとFXが衝撃波を防ぎきれずに押されて、シンとキオがうめく。

「シン!」

「キオ!」

 ブラッドとアセムがシンとキオに叫ぶ。

「ガリウス!」

 オーブが飛び出してガリウスに向かっていく。オーブが繰り出す素早いパンチとキックを、ガリウスは正確にかわしていく。

「パワーだけでなく、スピードも上がっている・・!」

 スティンガーがガリウスの高まっている戦闘力に息をのむ。

「うっ!」

 ガリウスが突き出した両手のパンチを体に受けて、オーブが大きく突き飛ばされる。

「オーブ!」

 ダイナがオーブに向かって叫ぶ。強化したガリウスがオーブたちに迫ろうとしていた。

 

 

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