ザ・グレイトバトル -エンドレスメモリーズ-

第8章

 

 

 ギンガナムの前に現れたドギーと明。ギンガナムが刀を構えて、2人に飛びかかる。

“ユウドウブレイカー。”

「ディーソード・ベガ!」

 明が誘導ライト「ユウドウブレイカー」を手にして、ドギーが刀「ディーソード・ベガ」を鞘から引き抜く。

 ギンガナムが振りかざした刀を、ドギーがディーソード・ベガで受け止める。2人がそれぞれの刀をぶつけ合い、つばぜり合いを演じる。

「やりおるわ、貴様!これほどの手練れとの戦は血沸き肉躍るわ!」

「これは真剣勝負ではない・・任務のため、使命のため、お前を倒すことを優先する!」

 笑みを浮かべるギンガナムにドギーが言い放つ。そこへ明が飛び込んできて、ユウドウブレイカーを振り下ろしてきた。

 ギンガナムが蹴りでドギーを引き離して、後ろに下がってユウドウブレイカーをかわした。

「卑怯などとは言わん!2人まとめて小生の刀の錆びにするまで!」

 ギンガナムが高らかに言い放って、ドギーに向かって飛びかかる。

“オーライ!オーラーイ!”

 ユウドウブレイカーに烈車「ドリルレッシャー」をセットして、明がドリル状のエネルギーを放つ。ギンガナムが振り上げた刀の刀身が、明のエネルギーを受けて折れた。

「何っ!?

 武器を折られてギンガナムが驚きを隠せなくなる。

「覚悟はいいか、ギム・ギンガナム・・!」

 ドギーがディーソード・ベガに力を注ぎ込んで、円を描いて構える。

「ベガスラッシュ!」

 折れた刀を振りかざそうとしたギンガナムに、ドギーがディーソード・ベガを振り抜く。

「ぐはぁっ!」

 体を切り裂かれたギンガナムが絶叫を上げる。

「また必ず、オレは貴様らの前に現れる!また心躍る戦いをしようぞー!」

 笑い声と断末魔を上げて、ギンガナムは倒れて消滅した。

「ゴッチュー!」

 ドギーが左手の親指を下に向けた。

「ユニバース!」

 さらに彼はディーソード・ベガを空に向けて高らかに掲げて叫んだ。

「す、すごい勢い・・・」

 ドギーを目の当たりにして永夢があ然となっていた。

「これでこの戦いを切り抜けることができたな・・」

 ガイが言いかけて永夢たちが頷く。エックスがユナイトを解除して、ゼロが人間の姿、モロボシ・ゼロとなった。シンたちも着地したデスティニーたちから降りてきて、大和たちもワイルドトウサイキングから降りて、ドギーたちとともに変身を解除した。

「大地、ゼロ、ドギーさん、大和たちもこの世界に来ていたのか。」

「あぁ。異変を感じてこの世界に来た。この前のような、いろんな世界の人や兵器が集まってきている・・」

 シンが声をかけて、ゼロが真剣な顔で答える。

「しかも今回は、倒されたり命を落としたりした者たちが復活している。だがそれは復活というよりは、オリジナルそっくりの別人が生まれているのだ。」

 ドギーも続けて状況を説明して、レイ、ステラ、フォウに目を向ける。

 レイたちはそれぞれの世界で命を落としたはずだった。しかし彼らはまたシンたちの前に現れた。夢でも幻でもなく、会話もでき、体も本物である。

「大和くん、君たちはバングレイという男を知っているな?」

 ドギーからの質問に、大和たちが息をのむ。

「巨獣ハンター、バングレイ・・人の心を踏みにじる凶悪なヤツだった・・!」

 大和がバングレイのことを思い出して、憤りを覚える。

「ヤツは人の記憶を読み取って実現させることができる。ヤツはその記憶にいるその人の大切な人を傷付ける最悪なヤツだ・・まさか、そのバングレイが・・!?

 タスクも語りかけて、バングレイの復活を予感する。

「そうだ。バングレイともう1人、エタルガーが復活を果たし、我々の敵をよみがえらせている。オリジナルそっくりの別人というのは、記憶を利用して呼び出されたからだ。」

「エタルガーも・・アイツ、また地獄からよみがえってきたのか・・!」

 ドギーが話を続けて、ゼロがエタルガーを思い出して怒りを覚える。

「でも、バングレイは相手の頭に触れないと、記憶にある人を呼び出すことができないんですよ。それが、あんなにたくさんの敵を・・」

「そんなにたくさんの人の記憶を読み取ったってこと?」

 セラが疑問を投げかけて、アムが首をかしげる。

「確かにバングレイの能力はその通りだ。だが今のヤツとエタルガーは、世界に散らばっている思念を利用している。」

「人の記憶は頭や心の中だけじゃない。強い思いはたくさんの人と結び合ったりぶつかったりすることで外に飛び出して、外に飛び出して散らばっている。」

 ドギーに続いてRXも語りかける。

「記憶は世界や時間の中に、星や砂粒ほどの数が散りばめられ漂っている。記憶がある限り、その存在は存在していられます。誰の記憶からもどの世界からもいなくなれば、存在は存在することができません。最初からいなかったかのように・・」

 デンライナーのオーナーも話に加わって、ガイたちに語りかける。

「我々の真の敵は、その記憶を大いに利用しているようです。」

「それじゃ、ステラたちはそれで・・・」

 オーナーの話に戸惑いを感じて、シンがステラ、レイ、フォウに振り返る。

「つまり、今の私たちは、本当の私たちじゃない・・みんなの記憶や思いから生まれた、別の私たち・・・」

 今の自分たちのことを知って、フォウが胸を締め付けられるような気分を覚える。

「でもステラはここにいる・・フォウもレイもここにいる・・・」

「そうだな・・そこの人の言う通りだとしたら、オレたちは偽者ではなく本物ということになる・・」

 ステラが微笑んで、レイがオーナーの言葉を冷静に受け止める。

「ステラ、レイ・・また会えるなんて・・・」

 シンがステラとレイに歩み寄って、戸惑いをふくらませていく。

「あの子が、シンさんの言っていた、ステラ・・・」

 ソラもステラを見つめて、戸惑いを感じていた。

「私も少しだけ会ったことがあるわ。連合のパイロットとして戦いに駆り出されて・・」

 ルナマリアがステラに目を向けて言いかける。ルナマリアはザフトに収容されたステラを目撃していた。

「戦争の中で死んだはずだった。レイも・・でもあんな形だけど、2人ともまた私たちの前に現れた・・」

「シンさんにとっての、仲間と大切な人・・」

 ルナマリアの話を聞いて、ソラが戸惑いをふくらませる。彼女はシンの心を垣間見たような気になっていた。

「僕たちを狙う敵は強大だけど、僕たちも味方が増えているね。もちろん、負けてられないっていうのもあるけどね・・」

 ハルが喜びと自信を感じて、ソラが小さく頷いた。

「シンさんはステラさんを守ろうと躍起になる・・私たちも、ステラさんたちを、みんなを守らなくちゃ・・・!」

「うん・・ソラ、力を合わせよう。」

 ハルとソラが手を取り合って、決心を分かち合った。

「レイ、あなたたちを呼び出したのが誰か、知らない・・?」

 ルナマリアがレイに疑問を投げかけてきた。

「オレが気が付いたのは、何もない宙域。オレはレジェンドの中にいた・・」

「周りに誰もいなくて、何もなくて、ステラ、さみしくなって怖くなって・・でも、フォウとレイが助けてくれた・・・」

 レイとステラが自分たちに起きたことを告げる。

「同じくよみがえった人や怪物たちからの攻撃を受けることになり、私たちは退避しようとした・・」

「それでオレたちのところまで来て、合流したわけか。」

 フォウも話を続けて、ガイが納得する。ステラたちは辛くもシンたちと再会することができたのである。

「ホントの親玉が誰かはまだ分かっちゃいねぇが、バングレイが絡んでるのは分かった!」

 レオが意気込みを見せて、両手を強く合わせる。

「でも、バングレイやその親玉を倒したら、レイさんたちが消えてしまうんじゃ・・・!?

 永夢が1つの不安を覚える。バングレイたちによってよみがえった人は、バングレイたちが倒れれば消えてしまうのではないかと、永夢は思った。

「落としたはずの命がよみがえったのだ。何らかの要因で命がなくならないと、確実には言い切れない・・」

「何とも言えん。ヤツらを倒しても生きられるのか、倒せば消えてしまうのか・・」

 ブラッドとドギーが推測を巡らせる。ステラたちの命運がハッキリとせず、シンたちの間で苦悩が深まっていた。

「オレの命は1度失われたものだ。死ぬことを恐れてはいない。が、シンたちを悲しませるようなことはしたくはない・・」

「レイ・・・」

 決意を固めているレイに、シンが戸惑いを見せる。

「ステラもシンとずっと一緒・・何があっても、ステラたちがどんなことになっても・・」

 ステラも自分の思いを口にして、フォウと目を合わせて微笑み合う。生きようとする意思を持ちながらも、ステラたちは自分たちに起こることへの覚悟も決めていた。

「力を貸してくれてありがとう、みんな・・でもみんな死なない・・オレがステラを、みんなを守る・・!」

 シンもステラたちに決意を口にする。

「オレもお前たちの覚悟、受け取ったぞ・・オレも賭ける。オレの命と魂を・・!」

「ガイさん・・みなさん・・・!」

 ステラたちの思いを受け取って頷くガイに、永夢が戸惑いを感じていく。仲間や世界を守るために、誰もが自分の命を賭けていた。

「僕は医者として、命を賭けた戦いをしてほしくない・・だって本来、命はコンティニューできないんだから・・!」

 自分の正直な気持ちを口にする永夢。彼は医者としてみんなに死んでほしくないと思っていた。命だけでなく、心も傷ついてほしくないと。

「永夢くん、君の気持ちは十分承知だ。誰だって家族や仲間、大切な人を失いたくないと、強い心を持つ者ならば誰でも思っていることだ。だが、その者を何が何でも守り抜くことは、自分の命が脅かされるほどの危険と覚悟を伴うことだ。」

 ドギーが永夢に励ましの言葉を送る。

「医師も命に関わる仕事だ。1つのミスで患者に死や後遺症を与えてしまう。だがそれは我々、世界や人々を守る戦士にも言えることだ。1つ判断を間違えたことで、取り返しのつかない事態を招くことになる。」

「ドギーさん・・」

 ドギーが語りかける意思に、永夢が心を動かされる。

「私も他のスーパー戦隊も、仮面ライダーもウルトラマンも、ガンダムやモビルスーツのパイロットも神ではない。全てを救いたいと願っても、叶えることはできない。」

「ですが、それでも・・・!」

 ドギーからの激励を受けても、永夢はみんなのためを思っての苦悩を深めていく。

「それに、お前は1人で戦っているわけじゃない。1人で守っているわけじゃない。世界や種族が違っても、オレたちは助け合い、支え合うことができる。」

 ガイも永夢に向けて励ましを投げかける。

「オレもウルトラ戦士の先輩方の力がなければ、ウルトラマンとして戦うこともできなかった。たとえ1人で立ち向かうときがあっても、誰かが支えになっていることを忘れないでくれ・・」

「ガイさん・・みなさんも、1人じゃない・・・!」

 ガイの言葉を受けて、永夢がシンたちを見渡して戸惑いを感じていた。みんなを守りたいと思う彼らの姿が、永夢の支えになっていた。

「また、違う世界の人たちが絆を深めて思いを1つにしている・・」

「また新しい、大きなユナイトが実現している・・!」

 大地とエックスがガイたちの様子を見て安らぎを感じていた。2人は自分たちの夢、あらゆる生き物の共存がまた前進したと思っていた。

 そのとき、ガイたちのいる場所の周辺に爆発が起こった。

「な、何だ!?

 モモタロスが声を上げて身構える。彼らの前に1人の怪人が現れた。

「みんな集まってるね。僕とたっぷり遊ぼうよ。」

 怪人がガイたちを見渡して微笑む。長身の怪人であるが、声も口調も子供のようだった。

「ネオ生命体ドラス・・アイツも復活していたのか・・!」

 ブラックが怪人、ドラスを見て身構える。ガイたちもドラスに目を向けて臨戦態勢を取る。

「シン、早くモビルスーツに乗るわよ!」

「あぁ!」

 ルナマリアの呼びかけにシンが答える。彼らがデスティニーたちに乗り込もうとした。

「そうはさせないよ。」

 ドラスが笑みをこぼして、全身から光を放出する。シンたちが光と爆発で行く手を阻まれて、機体に乗り込むことができない。

「これじゃガンダムに乗ることも、ライダーやウルトラマンに変身することもできない・・!」

 光輝がドラスの攻撃に焦りを感じていく。

「オレたちが時間を稼がなくては!行こう、RX!」

「分かった、ブラック!行くぞ!」

 ブラックとRXが声をかけ合って、ドラスに向かっていく。2人がドラスの話す光と爆発をかいくぐっていく。

「まずは君たちと遊ぶからね。」

 ドラスが地面から浮いて、RXたちに向かっていく。RXがジャンプしてドラスの注意を引く。

「ライダーパンチ!」

 ブラックがエネルギーを集めたパンチをドラスの体に叩き込む。突き飛ばされたドラスだが、空中で体勢を整える。

「なかなかやるね。でも2人だけで僕に勝てるわけないよ。」

 ドラスが笑みをこぼして、ガイたちに目を向ける。彼らの周りでは次々に爆発が起こっていた。

「みんなも変身できないし、ロボットに乗れない。みんな、ぼくのおもちゃになるんだよ。」

「違う・・命は、おもちゃなんかじゃない!」

 喜びを見せるドラスに、永夢が怒りの声を上げる。

「みんな命を賭けて、みんなを守っている・・お前たちのような悪から!」

 言い放つ永夢の瞳に輝きが現れる。彼は次々に巻き起こる爆発をものともせずに前進する。

「あの光・・永夢さん、いったい・・・!?

 ハルが永夢の異変に驚きを覚える。永夢の瞳だけでなく、体からも光があふれていた。

「永夢くんはゲーム病の最初の発症者だ。彼がエグゼイドとして変身できたのも、2重人格となったのも、ゲーム病が起因している・・」

 ドギーが永夢の状態について語る。彼らはゲーム病やバグスターについて知っていた。

「アイツ・・・!」

 巧が永夢を見て心を動かされる。永夢も大きな爆弾を抱えているのだと、巧は実感した。

「オレも、四の五の言ってられないか・・・!」

 意を決した巧の頬に異様な紋様が浮かび上がる。直後、彼の姿が狼の怪人に変わった。

「えっ!?巧さんが怪人に!?

 ソラが巧の姿を見て驚く。

 巧は人類の進化「オルフェノク」である。しかし人間として生きることを決めた彼は、ファイズとしての戦いを続けている。ファイズになれない危機が訪れたときだけ、狼の怪人「ウルフオルフェノク」に仕方なく変身している。

「人間もジューマンも、他の生き物も関係ない・・互いに支え合い、思いがひとつになれば、共存することができる・・オレたちのように・・」

 操も巧を見て戸惑いを感じていく。

「お兄ちゃんも遊んでくれるの?退屈しなくて済むかな。」

「いいぜ。退屈しないよう、地獄に送り返してやるよ・・!」

 無邪気に声をかけるドラスに、巧が笑みをこぼして構える。

「だったらオレも混ぜてくれないか?さらに退屈しなくなるぞ。」

 そこへ声がかかって、永夢たちが視線を移す。彼らの前に1人の男が現れた。

「あ、あなたは、貴利矢さん!?

 永夢が男、九条(くじょう)貴利矢(きりや)を目の当たりにして、驚きを隠せなくなる。

 貴利矢は監察医で、ゲーマドライバーで変身する仮面ライダーの1人である。しかしライダーの戦いの中で彼は命を落としたはずだった。

「貴利矢さん、どうしてここへ!?・・あなたも、よみがえったんですか・・・!」

 動揺を見せる永夢に、貴利矢が目を向けて笑みを見せた。

「久しぶりだな、永夢。どうやらオレの身に起きたことはだいたい分かっているみたいだな・・」

 貴利矢が気さくな態度で永夢に声をかける。

「どうやら自分がゲーム病だってことは知ってるみたいだな・・」

「はい・・でも僕は受け入れました・・それでも患者のために、みんなを守るために戦うと・・医者として、仮面ライダーとして・・」

 真剣な顔を浮かべる貴利矢に、永夢が決意を告げる。

「だったら迷うことないな。まずはそこの悪ガキにお仕置きするぞ。」

「はい、貴利矢さん!」

 貴利矢の呼びかけに永夢が答える。

“マイティアクションX!”

“爆走バイク!”

 永夢と貴利矢がそれぞれライダーガシャット、マイティアクションXガシャットと「爆走バイクガシャット」を手にした。

「変身!」

“ガシャット!レッツゲーム・メッチャゲーム・ムッチャゲーム・ワッチャネーム!アイムアカメンライダー!”

 2人が仮面ライダー、エグゼイドとレーザーに変身した。

「早速二速いくぞ!頼むぞ、永夢!」

「はい!」

 貴利矢の呼びかけに永夢が答える。

「大変身!」

“ガッシャーン!レベルアップ!マイティジャンプ・マイティキック・マイティマイティアクションX!”

“ガッシャーン!レベルアップ!爆走・独走・激走・暴走・爆走バイクー!”

 レベル2に変身した永夢と貴利矢。貴利矢の変身した姿は永夢たちのような人型ではなく、バイクだった。

「うえっ!?バイクになったー!?

 モモタロスが貴利矢の姿を見て驚きの声を上げる。

“「バイクになるライダーは他にもいたでしょう、先輩・・」

「そ、そうだったか・・・?」

 ウラタロスが言いかけるが、モモタロスは首をかしげていた。

「それじゃ、オレと相乗りしてくれるか?」

「もちろんです!行きますよ、貴利矢さん!」

 貴利矢の呼びかけに永夢が答える。永夢が貴利矢に乗って、ドラスに向かって走り出す。

「おもしろそうだね。たっぷりと遊ぼうか。」

 ドラスが永夢たちを見てさらに笑みをこぼす。

「お前の相手はオレだ・・!」

 そこへ巧が飛びかかって、ドラスに手を振りかざす。後ろに下がってパンチと爪をかわすドラスに、巧はさらに足を振り上げてキックを繰り出す。

「下がってください!」

 永夢が呼びかけて貴利矢を走らせる。駆け抜けた彼らがドラスを突き飛ばす。

「危ないなぁ。ぶつかったら痛いじゃないかぁ・・」

 ドラスが不満を口にして、永夢たちに向けて光を放つ。永夢たちが失踪して、地面に立て続けに起こる爆発をかいくぐる。

「このままアイツを吹っ飛ばすぞ!」

 貴利矢が呼びかけて、永夢が爆走バイクガシャットをキメワザスロットホルダーにセットした。

“キメワザ!爆走クリティカルストライク!”

 貴利矢の胴体から炎が巻き起こる。永夢はそのままドラスに突撃を仕掛けた。

「うわっ!」

 ドラスが突き飛ばされて、地面を大きく転がった。その瞬間、ガイたちの周囲で起こっていた爆発が途絶えた。

「爆発が止まった!今だ、みんな!」

 ドギーが呼びかけて、シンたちがデスティニーたちに乗り込んだ。

「変身!」

Complete.

Sword form.

 巧、良太郎、光輝がファイズ、電王、オメガに変身した。

SPD!エマージェンシー!」

「トッキュウチェンジ!」

「本能覚醒!」

 ドギー、明、大和たちもデカマスター、トッキュウ6号、ジュウオウジャーに変身した。

「オレたちのクライマックスに終わりはねぇぜ!」

 良太郎に憑依しているモモタロスが高らかに言い放つ。

「大地、また新たな邪悪なエネルギーが近づいている!しかしこれは・・!」

 そのとき、エックスが気配を感じて大地に呼びかける。視線を移した大地が、姿を現した1人の男を目撃した。

「あれは、神木(かみき)隊長!?・・いや、違う・・!」

 エックスが男の姿に対して疑問を感じていく。メガネをかけているが、顔つきはXioの隊長に似ていた。

「君たちに大切な人はいますか?家族、友、仲間、人によって様々でしょう・・」

 男、真木(まき)清人(きよと)が無表情で大地に声をかけてきた。

「大切な人・・大切な人、守りたい人はたくさんいます!宇宙人とも、怪獣とも、オレたちはともに生きることができます!」

 大地がエックスやXio、仲間や家族のことを思い返して、清人に向かって思いを叫ぶ。

「ならば、それが醜く変わる前に終わらせることをお勧めします。私のように絶望することがないよう・・」

「何を言ってるんです!?そんなことをするほうが絶望への道じゃないですか!」

 清人が投げかける言葉に、大地が反論する。

「何者も何も手を加えなければ、永久不変というわけにはいきません。大切に思っていた人が醜く変わり、絶望するしかない・・ならば醜くなる前に終えることが、お互いの幸せになるというもの・・」

「確かに人も動物も変わっていく・・いいことばかりじゃなく、あなたの言うように悪い形になることもある・・それでも、たとえ悪い形になってしまったとしても、元に戻すことができる!仲直りすることができる!」

 手招きをしてくる清人に、大地が自分たちの思いを口にしていく。

 怪獣を始めとした数多くの生き物との共存を目指す大地の夢は、平坦な道のりではない。時にすれ違ったり、思いが伝わらなかったりしたことも、彼は経験している。それでもいつか夢を実現できると、心から信じていた。

「悲しいことです・・あなたが後悔しないよう、私が終わらせてあげますよ・・さぁ、あなたにもよき終末を・・」

 肩を落とす清人の姿が変化する。彼は怪人「恐竜グリード」へと変身を遂げた。

「怪人だったのか・・!」

「大地、上だ!」

 清人を見て声を上げる大地に、エックスが呼びかける。彼らのいる場所の上空に、1体の怪獣が浮遊していた。

「グ、グリーザ!?

 大地が怪獣、グリーザを目の当たりにして、エックスとともにさらに驚く。

「グリーザ・・かつてエックスさんが倒した、無の存在といえる怪獣・・・!」

「バングレイたちは記憶を読み取って実現させる・・グリーザがオレたちの前に現れたことがあるなら、呼び出すことは不可能じゃない・・」

 ガイと明がグリーザを見つめて緊張を覚える。無の存在であったが人の認識する力によって実体化したグリーザが、再び現れたのである。

「僕たちもこのショーに参加させてもらうよ。」

 そこへさらにもう1人、怪人が姿を現した。きらびやかなタキシードを着た宇宙人で、空に向けて高らかに指さしてポーズを決めていた。

「ゼットン星人・・アイツはえらくおかしな感じみたいだな・・」

 ガイが宇宙人、ゼットン星人ベルメを見て呆れる。

「オレもやらせてもらうぞ。」

 戦闘員、イーガロイドも現れて剣を構える。他の戦闘員たちも続々と姿を現した。

「どんどん出てきやがって!オレが全部まとめてぶった切ってやるぜ!」

 モモタロスが意気込みを見せてデンガッシャーを構えた。

「たとえお前たちが束になっても、これだけの大人数を相手にできるものか!」

「いくら百人斬りのデカマスターでもムチャってもんだよ〜♪さすがに一騎当千ってわけにはいかないからね〜♪」

 イーガロイドが高らかに言い放って、ベルメが明るく言いかける。

「ちょっと待ったー!」

 そこへ声がかかって、ガイたちとベルメたちが振り返る。彼らの前に9人の男女が現れた。人間の姿の人から狼の顔、ロボットまで様々だった。

「今度は何だ!?また新しい敵!?

「いや、違う。彼らは・・!」

 身構える永夢にドギーが呼びかける。ドギーは男女たちのことを知っていた。

「あれがオレたちの、スーパー戦隊の先輩たちか!」

「もう、ラッキーたら。先輩にはきちんと敬意を見せないと。」

 青年、ラッキーに少女、ハミィが注意をする。

「そうだよ。いつも燃えてばかりのウェルダンだと嫌われちゃうよ。」

「我々の評判とともに、強さを証明してもらうのも一興だろう。」

「オレたちに牙を向けるヤツらは仕留めればいい・・」

 男たち、スパーダ、チャンプ、スティンガーが言いかける。

「戦隊以外にもいるようだが・・巨大なロボットもいる・・」

「とってもにぎやかになってるね♪これは楽しくなりそうだ〜♪」

 青年、ナーガ・レイと機械生命体、バランスが永夢たちを見て言いかける。

「またおかしなのがぞろぞろ出てきちゃったね〜♪」

「誰だろうと、邪魔をしてくるなら始末するのみ!」

 ベルメが上機嫌に振る舞って、イーガロイドがラッキーたちにも敵意を向ける。

「上等だ!オレたちが返り討ちにしてやるぜ!」

「あなたたちのように無理やりな人たちは、私たちがお仕置きです!」

 狼の顔の男、ガルとアンドロイドの少女、ラプター283がベルメたちに言い返す。

「よーし!宇宙最大の運試しだ!」

 ラッキーが意気込みを見せて、スティンガーたちとともに左腕に装着しているガントレット「セイザブラスター」にそれぞれの色の「キュータマ」をセットした。

“シシキュータマ!”

“サソリキュータマ!”

“オオカミキュータマ!”

“テンビンキュータマ!”

“オウシキュータマ!”

“ヘビツカイキュータマ!”

“カメレオンキュータマ!”

“ワシキュータマ!”

“カジキキュータマ!”

 彼らがセットしたキュータマを前に倒す。

“セイ・ザ・チェンジ!”

「スターチェンジ!」

 ラッキーたちがセイザブラスターのトリガーを引く。彼らをそれぞれの色のスーツとマスクが包み込んだ。

「スーパースター!シシレッド!」

「ポイズンスター、サソリオレンジ。」

「ビーストスター!オオカミブルー!」

「トリックスター、テンビンゴールド!」

「リングスター!オウシブラック!」

「サイレントスター、ヘビツカイシルバー。」

「シノビスター、カメレオングリーン!」

「スピードスター、ワシピンク!」

「フードマイスター、カジキイエロー!」

 ラッキー、スティンガー、ガル、バランス、チャンプ、ナーガ、ハミィ、ラプター、スパーダが名乗りを上げてポーズを決めた。

「究極の救世主!宇宙戦隊!」

「キュウレンジャー!」

 ラッキーが声を上げて、スティンガーと声をそろえる。

 新たなスーパー戦隊、宇宙戦隊キュウレンジャー。宇宙幕府「ジャークマター」に立ち向かう反乱軍「リベリオン」のメンバーである。

「お前らの運、試してやるぜ!」

 ラッキーがベルメたちを指さして言い放つ。キュウレンジャーが現れて、ガイたちに加勢した。

 

 

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