ザ・グレイトバトル -エンドレスメモリーズ- 

第7章

 

 

 血祭のブレドランとサイボーグのブレドRUNに、2人の光太郎、ブラックとRXが立ち向かう。

「2人の黒の仮面ライダーか。何者であろうと我々の目的を阻むことはできん!」

「この私の名の通り、お前たちを血祭りに上げてくれる!」

 ブレドRUNとブレドランが高らかに言い放つ。

「全ての世界の平和を守るため、オレたちはお前たちを倒す!」

「この世に光がある限り、オレたちはいつでもよみがえる!貴様らのような悪の戦士との決着をつけるため!」

 ブラックとRXがブレドランたちに言い放つ。

「行くぞ、ブラック!」

「おう、RX!」

 RXたちが声をかけ合って、ブレドランたちに向かっていく。

 ブラックが繰り出すパンチを、ブレドランが手で受け流していく。

「この程度で我々を止めることはできんぞ!」

 ブレドランが笑みをこぼして、剣を手にして振りかざす。ブラックは剣を正確にかわして立ち回る。

「お前の心に、邪悪な魂を植え付けてくれる!」

 ブレドランが左手から赤黒い光を放つ。ブラックが光に取り込まれて、動きを封じられる。

「この光・・これは・・!」

 ブラックが苦痛を覚えて、光にもがく。

「ブラック!」

 RXが声を上げて、ブラックの援護に向かう。

「貴様の相手は私だぞ!」

 ブレドRUNが連射したビームを受けて、RXが体から火花を散らして倒れる。

「たとえブラックを超える力を持っていても、我々に対抗することはできん!」

 立ち上がったRXにブレドRUNがさらにビームを放つ。周囲が爆発の炎に包まれた瞬間、RXの姿が変化した。金と黒のメカニックな姿に。

「お前は・・!?

「オレは炎の王子!RX!ロボライダー!」

 声を上げるブレドRUNに、RXが変身したロボライダーが名乗りを上げる。RXは別のライダーへ変身する能力も備えている。

RXを超えるパワーを、今のオレ、ロボライダーは持っている!」

 ロボライダーが言い放って、ブレドRUNに向かって前進する。ロボライダーはRX以上の攻撃力と耐久力を備えている。

 ブレドRUNが迎え撃ち腕を振りかざす。ロボライダーはブレドRUNの攻撃を受け止めて、パンチで反撃に出る。

「ぐっ!」

 ロボライダーの威力のあるパンチを受けて、ブレドRUNが突き飛ばされる。

「ボルティックシューター!」

 ロボライダーが光線銃「ボルティックシューター」を手にして、ブレドRUNを射撃した。

「ぐっ!・・おのれ、ロボライダー!」

 ブレドRUNがいら立ちを見せると、両手を前に出して念力を放つ。

「ぐっ!」

 体を宙に持ち上げられて、ロボライダーがうめく。

「ロボライダー!・・このままではやられてしまう!この力を払わなくては!」

 叫ぶブラックが意識を集中する。

「キングストーンフラッシュ!」

 体内に埋め込まれている世紀王の石「キングストーン」のエネルギーを放出するブラック。ブレドランの力が光によって吹き飛ばされた。

「何っ!?

 ブレドランが驚いて、ブラックにさらに力を送り込もうとした。ブラックはジャンプして、ブレドランの力をかわした。

「ライダーパンチ!」

 エネルギーを右手に集めたブラックのパンチが、ブレドランの体に命中した。

「ブラックめ、往生際悪く・・!」

 ブレドRUNがブラックを見ていら立ちをふくらませる。

 次の瞬間、ブレドRUNの念力に捕まっていたロボライダーに変化が起こった。彼の体が液状になって、ブレドRUNの念力から抜け出た。

「何っ!?

 驚くブレドRUNが青い液体の衝突を受けて突き飛ばされる。液体が形を持って、青と銀の新たな仮面ライダーとなった。

「また変身したか!」

「オレは怒りの王子!RX!バイオライダー!」

 声を上げるブレドRUNに、ロボライダーが新たに変身したバイオライダーが名乗りを上げた。

 バイオライダーはRXのもう1つの多段変身で、スピードと水中活動に長けている。最大の特徴は液化能力で、あらゆる場所への侵入や回避を可能としている。

「自分の目的のために、罪のない命を滅ぼすことは、このオレが許さん!」

 バイオライダーがブレドRUNに向けて怒りの声を上げる。

「バイオブレード!」

 バイオライダーが剣「バイオブレード」を手にして、ブレドRUNを迎え撃つ。バイオライダーがブレドRUNを素早く切りつけていく。

 そしてバイオライダーが振り上げたバイオブレードの、エネルギーを集めた一閃がブレドRUNを切りつけた。

「がはぁっ!」

 絶叫を上げるブレドRUNが、高まるダメージでその場に膝をついた。

 ブラックもブレドランに反撃を仕掛けて攻め立てる。

「お前たちのような闇の戦士に立ち向かうため、オレたちは決して死なない!」

「人々の命と全ての世界は、オレたちが守る!」

 RXとブラックが決意を言い放つ。並び立つ2人が頷き合ってから、集中力を高めてジャンプする。

「ライダーキック!」

RXキック!」

 足にエネルギーを集めた2人のキックがブレドランに直撃した。

「こ、これが黒のライダーの力だと・・いうのか・・・!」

 うめき声を上げるブレドランが倒れて、爆発を起こした。

「おのれ・・このまま敗れてなるものか!」

 ブレドRUNが怒りをふくらませて、両手にエネルギーを集めていく。

「リボルケイン!」

 RXがベルト「サンライザー」から剣状スティック「リボルケイン」を引き抜いた。ブレドRUNが放ったビームを、RXはリボルケインで受け止めて、振りかざしてはじき飛ばした。

「何だとっ!?

 驚きの声を上げるブレドRUNに、RXがジャンプして飛び込む。彼が突き出したリボルケインが、ブレドRUNの体を貫いた。

「この世に光がある限り、自由と平和がある限り、オレたちは不滅だ!」

 RXがブレドRUNからリボルケインを引き抜いた。

「不滅なのは我々も同じだ・・また必ず復活を果たし、お前たちの前に・・・!」

 貫かれた体から火花を散らして、ブレドRUNが倒れて爆発を起こした。

「ありがとう、ブラック。君がいたからこそ、いつも以上の力が発揮できた。」

RXと共に戦えるのは、オレにとって自信になる。」

 RXとブラックが頷き合って、握手を交わして結束を分かち合った。違う時間で戦う自分同士の結束を。

 

 ブラジラの発揮する力と光の前に、巧はダメージを増していく。

「私は倒れても、力を付けて復活する!何度倒されようと、救星のために現世に舞い戻る!」

「マジでしつこいヤツだ・・2度とよみがえらないよう、徹底的に地獄に叩き落としてやる・・!」

 執念を示すブラジラに巧が毒づく。彼がファイズフォンを手にして、銃として射撃してブラジラをけん制する。

Ready.”

 そして巧はデバイス「ファイズポインター」に「ミッションメモリー」を装てんして、右足の脚部にセットした。

Exceed charge.”

 巧の右足にエネルギーが集まる。彼がジャンプして突き出した右足から、赤い円錐の光がブラジラ目がけて放たれた。

 巧が光の円錐の中を通るようにキックを繰り出す。ブラジラが体から光を放出して、巧のキックを受け止める。

「この程度の攻撃が、私に通用すると思ったか!」

 ブラジラが光で巧を吹き飛ばす。激しく転がる巧が、痛みを感じてうめく。

「まずは貴様からだ、ファイズ。人間にも天使にも悪魔にもなりきれない貴様にできることなど、何もない!」

 ブラジラが立ち上がる巧をあざ笑う。すると巧がため息をついてきた。

「オレのことを勝手に決めんなよ・・オレの体は普通の人間じゃねぇけどな・・人間として、人間を守るために戦う・・!」

 巧が自分の決意を口にして、トランクボックス型アイテム「ファイズブラスター」を手にして、ボタンを入力する。

Standing by.”

 彼はファイズドライバーからファイズフォンを取り出して、ファイズブラスターにセットする。

Awakening.”

 巧のまとうファイズの装甲の赤が深まる。彼はファイズの最強形態「ブラスターフォーム」となった。

「みんなが幸せでいられるように、オレは戦う・・人間もオルフェノクも、天使も悪魔も関係ねぇ・・!」

「愚かな人間どもを守ろうとしても意味はない!全てを一掃してからでしか、救星は果たせぬ!」

 言いかける巧にブラジラが言い放つ。ブラジラが閃光を放つが、巧は動じることなく前進していく。

「確実に貴様の体を木端微塵にしてくれる!」

 ブラジラが光を集束させて、巧を捕まえて持ち上げようとする。しかしブラジラが力を込めても、巧は持ち上がらない。

「どういうことだ!?私の力が通じないだと!?

「お前の思い通りにはならねぇよ・・オレも、他のみんなも・・・!」

 驚きの声を上げるブラジラに、巧が鋭く言いかける。彼が攻め込んで、ブラジラにパンチを強く叩き込んでいく。

「ぐふっ!」

 巧のパンチから閃光のような衝撃が発して、ブラジラが突き飛ばされて転がる。巧がファイズブラスターを手にして、ボタンを入力する。

Faiz blaster take off.”

 ファイズの背部のユニットからジェット噴射が起こって、巧が飛行する

Blaster mode.”

 「フォトンバスターモード」に展開したファイズブラスターを構える巧。

Exceed charge.”

 エネルギーが集まったファイズブラスターから光線が放たれる。ブラジラも背中の翼を広げて光を放って、光線と激しくぶつかり合う。

「これが救星主である私の力!何者であろうと、救星を阻むことはできん!」

「何度も同じこと言ってんじゃねぇよ・・・!」

 言い放つブラジラに文句を言い返す巧。2つの光が爆発を起こして相殺された。

Blade mode.”

 ファイズブラスターの先からビームの刃が出た。ファイズブラスター「フォトンブレイカーモード」である。

 巧がファイズブラスターを振りかざして、ブラジラの翼を切りつけた。

「ぐあっ!」

 ブラジラが激痛を覚えてその場に膝をつく。着地した巧がファイズブラスターを置いてから、高らかにジャンプしてキックを繰り出した。

 エネルギーを集めた巧のキックが、ブラジラの体に命中した。

「がはっ!・・お・・終わりはしない・・私の意思も、お前たちの無意味な戦いも・・・!」

 断末魔の叫びを上げたブラジラが倒れて爆発、消滅した。

「無意味じゃねぇよ・・他のみんなも、オレも・・・」

 巧がひとつ吐息をついて、思いを口にした。

 

 バスコが剣を振りかざして光の刃を飛ばす。光輝が光の刃の爆発に巻き込まれて、宙に跳ね上げられる。

「君は仮面ライダーに憧れてたのも、仮面ライダーになった理由なんだよね?でも憧れだけで戦いに飛び込むと、痛い目にあっちゃうよ。」

 倒れている光輝を見下ろして、バスコがからかうように言いかける。

「最初は確かに憧れだった・・だけど正義は何なのか、何が大切なことなのかを戦いの中で知っていった・・オレは心の底から、みんなのことを守りたいと思っている!」

 立ち上がる光輝が自分の決意と大切なことを口にする。

 正義のために、世界のために、平和のために。そのために行動することはいいことだが、相手や周囲の事情を知らなければ、守るどころかその人を傷付けてしまうことになってしまう。光輝は仮面ライダーとしての戦いの中で、その答えを見つけていった。

「守りたいねぇ・・そういう図々しい思い通りにはならないよ。何かを得るには、何かを切り捨てなくちゃ。」

「その自分のやり方や目的のために、何かを傷付けて平気な顔をする・・お前のようなヤツを、オレは許しはしない!」

 肩を落としながらも気さくに言いかけるバスコに、光輝が怒りの声を上げる。光輝がオメガドライバーからオメガクリスタルを取り出して、右足脚部にセットした。

「ライダーキック!」

 高らかにジャンプした光輝がエネルギーを集めたキック「メガスマッシャー」を繰り出す。バスコが剣にエネルギーを集めて、振りかざして光輝を迎え撃つ。

「ぐっ!」

 光輝がバスコの力に押されて突き飛ばされて、地面に叩きつけられる。

「仮面ライダーもスーパー戦隊も、僕が思い切り利用してやるから。もちろん、ウルトラマンもガンダムもね。」

「お前たちの思い通りにはならない・・オレたちヒーローは!」

 笑みをこぼすバスコに、光輝が諦めない意思を示す。彼のそばにバイク「メガブレイバー」が駆けつける。

「光輝、スピリットカリバーを使うときだ!」

「あぁ!ありがとう、メガブレイバー!」

 メガブレイバーが呼びかけて、光輝が答えて剣「スピリットカリバー」を手にした。彼はスピリットカリバーの柄の先に、オメガクリスタルをセットした。

 光輝のまとうオメガの装甲に金のラインが入った。彼はオメガの最強形態「スピリットフォーム」となった。

「オメガの強さは精神力!強い意思が強さに変わる!」

 光輝が言い放って飛びかかって、バスコに向けてスピリットカリバーを振りかざす。バスコが剣を出して、スピリットカリバーとぶつけ合う。

 バスコが剣に力を込めるが、押し切ることができず、逆に光輝とスピリットカリバーに押し込まれていく。

「これが、君の言う精神力、正義の力ってヤツなのか・・・!?

「他の人やものを利用して、自分の目的を果たそうとする・・オレたちはお前たちのような邪悪と戦い続ける!」

 うめくバスコに怒りと決意を言い放つ光輝。

「スピリットフラッシャー!」

 光輝が全身から光を放出する。バスコが光に押されて吹き飛ばされる。

「僕の力が押されている・・以前よりも強さが増している・・・!」

「これがオレと仮面ライダー、ヒーローが呼び起こす強さだ!」

 ダメージを感じてひるむバスコに言い放って、光輝がスピリットカリバーを振り上げる。

「スピリットスラッシャー!」

 光輝がスピリットカリバーを振りかざして、光の刃を飛ばす。バスコも剣を振りかざして光の刃を飛ばすが、光輝の刃にはじき飛ばされる。

「ぐはっ!」

 光の刃に体を切りつけられて、バスコが絶叫を上げる。

「悲しいなぁ・・結局、何も手に入れられず、地獄に落ちるしかないなんて・・・」

 自分への絶望を込めた笑みを浮かべたまま、バスコが倒れて消滅していった。

「何度よみがえってきても、オレたちは何度でも立ち向かう。たとえオレがどこかで力尽きたとしても、世界や人々を守るヒーローは、この先も現れる・・」

 正義の味方、それぞれの答えを見つけて戦う戦士はこれからも現れる。光輝はそう確信しながら、これからも戦い続ける決意を固めていた。人々の自由と平和を守るために。

 

 的確な連携を駆使してワイルドジュウオウキング、トウサイジュウオーを攻め立てる3機のハンブラビ。

「アイツらは手も足も出ないぜ!このままハチの巣にしてやる!」

「ヤザン大尉、もう猛獣狩りは終わりしましょう!」

 ラムサスとダンケルが勝利を確信して笑みを浮かべる。

「よし!お前ら、派手に花火を打ち上げるぞ!」

 ヤザンが高らかに呼びかけて、ハンブラビたちがワイルドジュウオウキングたちに向かっていく。

「このままやられてたまるか!トウサイトリプルザビースト!」

 操が叫んで、トウサイジュウオーが右手からジュウオウキューブ型のビームを放つ。

「な、なにぃ!?

 ハンブラビの1機がビームを直撃されて、ラムサスが爆発に巻き込まれて絶叫を上げる。

「ラムサス!おのれ!」

 ヤザンが怒りの声を上げる。ダンケルのハンブラビがスピードを上げて、ワイルドジュウオウキングたちにビームを連射する。

「オレたちも反撃開始だ!」

 レオが叫んで大和が頷く。

「ジュウオウダイナミックストライク!」

 ワイルドジュウオウキングがジュウオウキューブ型の光の球を発射する。ハンブラビが機敏に動くが、回避しきれずに直撃された。

「ギャアッ!」

 ダンケルが絶叫を上げて、ハンブラビとともに爆発の中に消えていった。

「ダンケル!貴様ら、許してなるものか!」

 激高したヤザンが、ハンブラビを駆りワイルドジュウオウキングたちに向かっていく。

「みんな、動物大合体だ!」

 大和が呼びかけてセラたちが頷く。ワイルドジュウオウキングとトウサイジュウオーが1度分離する。

「動物大合体!」

“3!4!9!5!2!7!8!6!1!”

 ジュウオウキューブとジュウオウキューブウェポンが合体して、1体のロボとなった。

“ワイルドトウサイキーングー!”

「完成!ワイルドトウサイキング!」

 合体ロボ「ワイルドトウサイキング」がハンブラビの前に立ちふさがった。

「1つになるなら、またバラバラにしてやるよ!元に戻れないほどにな!」

 ヤザンが言い放って、ハンブラビがスピードを上げてワイルドトウサイキングの周りを旋回する。そしてワイヤーを射出してワイルドトウサイキングに巻きつけて電撃を流す。

 だがワイルドトウサイキングは電撃をものともせずに前進する。

「バカな!?これでひるまんというのか!?

「人間とジューマンのつながりが、オレたちの強さだ!オレたちを、なめるなよ!」

 驚きの声を上げるヤザンに、大和が言い放つ。

「ジュウオウダイレクトショット!」

 ワイルドトウサイキングが左腕の「ビッグワイルドキャノン」からビームを発射する。ヤザンが反応して回避を取るが、ハンブラビがビームをかわし切れず、撃たれてバランスを崩す。

「ジュウオウダイレクトストレート!」

 ワイルドトウサイキングが右腕の「ビッグキングソード」を伸ばした。ひるんだハンブラビが胴体を貫かれた。

「このオレまで、あんな動物もどきにやられるなど・・!」

 ヤザンが毒づきながらも、爆発を起こすハンブラビの背部からコックピットごと脱出した。

「逃げられたか・・人間だけど、野獣のようなヤツだった・・」

 タスクがヤザンに対して苦言を口にする。

「アイツは追っ払ったけど、まだ危なっかしいヤツが残ってる!」

 レオが言いかけて、ワイルドトウサイキングがエックスとゼロが戦っているターンエックスに振り返る。

「さすがウルトラマン、光の巨人と呼ばれているだけのことはあるな!だがたとえ貴様らであろうと、このターンエックスを止められるものか!」

 エックスたちと一進一退の攻防を繰り広げながらも、ギンガナムが高らかに言い放つ。

「デカいのは口だけじゃない。メカの力もだ・・!」

「しかし、我々は負けていない・・ウルトラマンだからじゃない。絆、ユナイトの力があるからだ・・!」

 ゼロとエックスが声をかけ合い、大地が真剣な顔で頷く。

「見せてやろう!このターンエックスの真の力を!」

 ギンガナムが高らかに言い放つと、ターンエックスの背中から光の粒子があふれ出した。

「無数の熱源・・あの光は、もしかして・・!?

 エクスデバイザーで光の分析をした大地が、緊迫を覚える。

「月光蝶である!」

 ギンガナムの叫びとともに、ターンエックスが光を広げる。その形は蝶の羽のようで、鱗粉を飛ばしているかのようだった。

「あの光を浴びちゃダメだ、エックス!」

 大地が呼びかけるが、エックスとゼロがターンエックスの光を浴びてしまう。

「ぐあっ!」

 エックスが激痛を覚えてその場に膝をつく。大地もエックスの痛みを感じて顔をゆがめる。

「な、何だ、これは!?・・ただの光じゃない・・!」

「オレもダメージがあるが、エックスのほうがひどい・・!」

 エックスとゼロが激痛に苦しむ。特にエックスの光による影響が強い。

「この光の正体はナノマシンだ・・無数のナノマシンで、エックスの体が蝕まれているんだ・・・!」

 大地がエクスデバイザーを見つめて、声を振り絞る。

 月光蝶の正体は大量のナノマシン。自分の体がデータ化しているエックスは、ナノマシンによってより大きなダメージを受けていた。コンピューターのデータがウィルスによって破壊されるように。

「ん?絶好調?あの調子を見てりゃ分かるっての!」

 モモタロスがギンガナムの叫びに首をかしげる。

「絶好調じゃなくて月光蝶ですよ。漢字で月の光の蝶々と書くんです・・」

「う、うるせぇ!そんなこと分かってるっての!」

 永夢から説明されて、モモタロスが恥ずかしさを見せながら怒鳴る。ダメージが大きくなって、エックスのカラータイマーが点滅を始める。

「このままでは、私の体が分解されてしまう・・何とかしなければ・・・!」

「エックス、さらにユナイトするんだ!オレたちは、その強さがある!」

 声を振り絞るエックスに大地が呼びかける。大地が新たなスパークドールズを呼び出して、エクスデバイザーにリードする。

“ウルトラマンエックス、パワーアップ。”

 大地の手に虹色の剣「エクスラッガー」が握られる。

「行くぞ、エックス!」

「エクシード、エーックス!」

 大地が呼びかけてエックスと声をそろえて、エクスラッガーを振りかざす。エックスの姿が銀と虹色に染まっていく。

 エックスが大地とより強いユナイトを果たして進化した姿「エクシードエックス」である。

「Xの上に派手な姿・・どこまでもこのターンエックスを愚弄するか!」

 ギンガナムがエクシードエックスを見ていら立ちを覚える。

「ギム・ギンガナム、お前は自分とそのロボの力に溺れている!本当の強さをはき違えているお前が、オレたちに勝とうなんて、2万年早いぜ!」

 ゼロも立ち上がって、ギンガナムに向けて高らかに言い放つ。

「ならばこのギム・ギンガナムが、貴様らウルトラマンに引導を渡してやる!」

 ギンガナムが言い放って、ターンエックスがビームライフルを発射する。エックスは横に動いてビームをかわす。

 ターンエックスが右腕の砲門からビームの刃を発して、エックスに迫る。

「エクスラッガー!」

 エックスが自分の額にあったエクスラッガーを手にする。大地の意識とシンクロして、エックスがエクスラッガーを振りかざす。

 ターンエックスのビームとエクスラッガーが連続で激しくぶつかり合う。

「エクシードスラッシュ!」

 エックスが高速でターンエックスを切りつけていく。ダメージを負うターンエックスだが、分離して攻撃を回避する。

「この程度で、このターンエックスを止められるものか!」

 ギンガナムが言い放って、合体したターンエックスがエックス目がけて右手を伸ばしてきた。

「ストロングコロナゼロ!」

 ゼロの体の青が赤に変わる。彼はパワー重視の姿「ストロングコロナゼロ」となった。

 ゼロは2人のウルトラマン、ダイナとコスモスの力を宿している。ストロングコロナゼロはダイナの「ストロングモード」とコスモスの「コロナモード」の力を発揮する。

 ゼロがターンエックスのビームを発する右手を、左手で受け止めた。

「何っ!?

「この程度じゃ、グレンファイヤーの熱さにも届かないぜ!」

 驚きの声を上げるギンガナムに、ゼロが強気に言い放つ。ゼロが力で引き寄せて、ターンエックスを後ろからつかんだ。

「ウルトラハリケーン!」

 ゼロが高速回転してターンエックスを上空に投げ飛ばした。その回転は竜巻のようになっていた。

「ガルネイドバスター!」

 ゼロが右手を振り上げて、熱エネルギーを放つ。だがターンエックスは分離して、ゼロの光線をかわした。

「ルナミラクルゼロ。」

 ゼロの体の赤が青に変わる。彼はダイナの「ミラクルモード」とコスモスの「ルナモード」の能力を併せ持つ「ルナミラクルゼロ」となった。

 分離しているターンエックスがビームを一斉発射する。

「ミラクルゼロスラッガー。」

 ゼロがゼロスラッガーを分裂させて、ターンエックスのビームを全てはじいた。さらにゼロスラッガーがターンエックスのボディに命中する。

「おのぉれぇー!」

 ギンガナムが怒りの声を上げて、合体したターンエックスが背中から光の羽を生やして突っ込む。

「あの光を止める!」

 大地が言い放って、エックスがエクスラッガーを構える。彼とターンエックスの周囲に虹色の光が広がる。

「この光は!?

「エクシードエクスラッシュ!」

 ギンガナムが驚きの声を上げて、エックスがターンエックスに飛び込んでエクスラッシュで切りつける。エックスの一閃はターンエックスの光とナノマシンの効果を遮断した。

「バカな!?月光蝶が消えただと!?

 ターンエックスから光が消えて、ギンガナムが驚きを隠せなくなる。

「ここでとどめだ、エックス!」

「分かった、ゼロ!」

 ゼロとエックスが声をかけ合う。元の姿に戻ったゼロがゼロスラッガーをカラータイマーの左右に装着して、大地がエクスラッガーの側面のパネルをスライドして、エックスがエクスラッガーを戻した額にエネルギーを集める。

「ゼロツインシュート!」

「エクスラッガーショット!」

 ゼロのゼロスラッガーとエックスの額からそれぞれ光線が放たれる。

「また封じられるのか!このギム・ギンガナムがー!」

 絶叫を上げるギンガナム。ターンエックスの頭部だけが飛び出して、胴体が光にのみ込まれて爆発を起こした。

 地上に落下したターンエックスの頭部から脱出したギンガナム。

「まだだ・・小生はまだ、朽ち果てるわけにはいかぬ・・・!」

 声を振り絞って、ギンガナムがエックスたちに振り返っていら立ちを見せる。

「往生際が悪いな、時代遅れの侍さんよ。」

 そこへガイがやってきて、ギンガナムに声をかけてきた。

「お前は何者だ?お前たちの中には、オレたちに倒されたはずなのによみがえってきたヤツもいる。お前たちのバックに、よみがえらせたヤツがいるはずだ。」

 ガイが指摘したことに、永夢が動揺を覚える。

 これまでガイたちの前に現れた敵たちは、かつて彼らの戦いの中で命を落とした者がほとんどである。命を取り戻してよみがえったのは、真の黒幕の仕業であるとガイは思っていた。

「そんなこと、小生の知ったことではない!闘争本能をかき立てる戦ができれば満足よ!」

 しかしギンガナムはガイの疑問に答えることなく、高らかに笑い声を上げる。彼が腰に下げていた刀を鞘から引き抜く。

「コイツ、どこまでも調子のいいヤローだ!けどな、てめぇがどれだけ絶好調でも、オレたちは最初からクライマックスなんだよ!」

 モモタロスが前に出て、ギンガナムにデンガッシャーを向けて言い放つ。

「ターンエックスは失ったが、小生の闘争本能は燃え尽きてはいないぞ!」

 ギンガナムが刀を構えて、モモタロスと対峙する。

 そのとき、ガイたちのいる場所にハーモニカの音色が響いてきた。ガイが吹いているのではなく、メロディも彼の曲とは違う。

 そこへ1人の男がハーモニカを吹きながらやってきた。オレンジのヘルメットを被った作業員の姿をしていた。

「何だ、貴様は!?わざわざ死にに来たか!?

 ギンガナムが男に振り返り言い放つ。すると男が足を止めてハーモニカを口から離す。

「死にに・・そうか・・ここがオレの死に場所か・・」

 男が1人呟いて、自分の死に場所を勝手に想像する。

「おいおいおい!勝手に死んだら困るんだよ、明!」

 モモタロスが男、虹野(にじの)(あきら)に文句を叫ぶ。

「そうだ。我々は正義と平和のため、死ぬわけにはいかないのだ。」

 さらに声がかかって、ガイたちが振り向く。もう1人、男が姿を現した。その顔は青と白の肌をしたドーベルマンのようである。

「あれ?犬の顔・・犬のジューマン・・・?」

「いや、犬のような顔をしているが、ジューマンではなく宇宙人だ。」

 疑問符を浮かべる永夢にガイ答える。ガイは男の正体に感付いていた。

「今度は何者だ!?その振る舞いと覇気、只者ではないな!?

「私は“S.P.D.”地球署署長、ドギー・クルーガーだ。ギム・ギンガナム、お前の闘争本能とやらは、地球や宇宙に危険を陥れることになる・・」

 ギンガナムが声をかけて、男、ドギーが名乗りを上げる。

「署長って、もしかして、警察の人なのか・・それもそのお偉いさん・・!」

「聞いたことがある。宇宙警察。宇宙の平和を乱す犯罪者を取り締まっている方たちだ。」

 動揺を見せる永夢と、記憶を巡らせるガイ。

「でもあの姿、やっぱり犬のおまわりさんってイメージが・・」

 永夢が苦笑いを浮かべると、ドギーが彼らに視線を向けてうなり声を上げてきた。

「す、すみません・・・」

「地獄耳・・地獄の番犬ってところか・・・」

 永夢がたまらず謝って、ガイも笑みをこぼす。

「全ての世界のため、お前をここでデリートする!」

 ドギーが言い放って、警察手帳「SPライセンス」を手にした。

SPD!エマージェンシー!」

 彼の体をメタリックブルーのスーツとマスクを包み込んだ。

「百鬼夜行をぶった斬る!地獄の番犬、デカマスター!」

 ドギーが変身したデカマスターが名乗りを上げる。

 S.P.D.(スペシャルポリスデカレンジャー)。特捜戦隊デカレンジャーのボス、ドギーがガイたちの前に現れた。

「オレもやらせてもらう・・・!」

 明も言いかけてスマートフォン「アプリチェンジャー」を取り出してタッチ、スライドする。

“変身いたしまーす。白線の内側に下がってお待ちくださーい。”

 アナウンスが発する中、アプリチェンジャーからレールが出る。

「トッキュウチェンジ!はっ!」

 アプリチェンジャーのレールにミニチュアサイズの烈車「ビルドレッシャー」をスライドさせる。彼の体をオレンジのスーツとマスクが包み込んだ。

“トッキュウ6号。トッキュウ6号。”

 アナウンスの中、明がポーズを取る。

 烈車戦隊トッキュウジャー。明はイマジネーションを強さにするトッキュウジャーの一員、トッキュウ6号である。

「スーパー戦隊の戦士か!極上の獲物、このギム・ギンガナムが狩る!」

 ギンガナムが高らかに笑い声を上げて、刀を構えてドギーと明に飛びかかった。

 

 

 

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