ザ・グレイトバトル -エンドレスメモリーズ- 

第6章

 

 

 強靭な耐久力を見せつけるサラマンドラに、ブラッドは決定打を与えられないでいた。彼はサラマンドラの弱点を探っていた。

(ヤツのエネルギーの集中している部分。そこが巨大な体力をもたらしているのだろう。それはのど。顎下に隠れているのどだ・・)

 ブラッドはサラマンドラの弱点を見つけた。

(顎で隠しているようだが、注意を引く術はある・・!)

 ブラッドが目つきを鋭くして、ジャッジがビームライフルを発射する。ビームはサラマンドラの頭上を上向きに飛んで、注意を引き付けられて顔を上げた。

 その一瞬の隙をブラッドは見逃さない。ジャッジが続けてレールガンを発射して、サラマンドラののどにビームを当てた。

 弱点であるのどを攻撃されて、サラマンドラが絶叫を上げて倒れた。

「生命活動停止・・ヤツの生命線でもあったか・・・」

 ブラッドは呟いてから、サラマンドラからデスティニーに視線を移した。

 

 口から糸を吐くツチグモだが、レイの駆るレジェンドを捕まえることができない。

「獣にオレを捕らえることはできはしない・・」

 レイは冷静にツチグモの動きを見定める。レジェンドが背部に装備したままのドラグーンからビームを発射して、ツチグモの足に命中させた。

 レジェンドが続けてビームジャベリンを手にして、ツチグモの胴体に突き立てた。ツチグモが激痛を覚えて、倒れて動かなくなった。

「あとはお前だけだ、シン・・・」

 レイもデスティニーに目を向けて、シンの勝利を信じた。

 

 シンのデスティニーとブリッツが激しい攻防を繰り広げる。ブリッツが放つ電撃状のビームを、デスティニーがビームソードで受け止めて薙ぎ払う。

「おのれ・・こんなメカにオレが苦戦するなど・・!」

 いら立ちをふくらませるブリッツが、全身にエネルギーを集中させる。彼が右手を上に掲げて、空から雷を落とす。

「ぐっ!」

 雷の衝撃にデスティニーが揺さぶられて、シンがうめく。

「シン!」

 シンの危機にルナマリアとステラが叫ぶ。2人の声がシンに届いた。

(ステラが戻ってきたんだ・・オレが、倒れるわけにはいかないんだ・・・!)

 感覚を研ぎ澄ませたシン。デスティニーが雷光をかき分けて、残像を伴ってブリッツに迫る。

「何っ!?ぐあっ!」

 驚くブリッツがデスティニーのビームソードに体を貫かれる。デスティニーが続けて左手を突き出して、パルマフィオキーナをブリッツの顔面に当てる。

 ビームソードが引き抜かれて、ブリッツがデスティニーから遠ざかっていく。

「バカな・・たかが・・たかが地球人などに・・・!」

 うめくブリッツがデスティニーに向けて手を伸ばす。デスティニーがビーム砲を構えて発射して、ブリッツの体を貫いた。

「認めん・・認めんぞー!」

 絶叫を上げるブリッツが、爆発と光に巻き込まれて消えた。

「シン、やったな・・」

 ジャッジがデスティニーに近づいて、ブラッドがシンに声をかけた。

「安心するのはまだだ。他の敵がまだ残っている。」

 レイも言いかけて、シンが真剣な顔で頷く。

「分かっている。でもみんななら大丈夫だ。みんな強い。力も心も・・」

 ガイたちへの信頼を口にするシン。彼はカイと戦うガイに目を向けた。

「切り裂いてやる・・ゼットシウム光輪!」

 カイが右手にのこぎり型の刃を持つ光の輪を持って、ガイに振りかざす。

「サンダークロスガード!」

 ガイが両腕を組んで、カイの光輪を防ぐ。ガイが右足を突き出して、カイを引き離す。

 ガイとカイ、2人のオーブがエネルギーの消耗により、同時にカラータイマーの点滅が始まる。

「お前にある力、オレが存分に使ってやるよ・・・!」

 カイが笑い声を上げてから、エネルギーを集中する。

「闇を抱きながらも闇を乗り越える、闇を抱えることで光をより輝かせる。それがオレの、人の強さ・・!」

 ガイも思いを口にして、エネルギーを集中する。

「闇や負の力だけを信じているお前に、オレたちは負けはしない!」

「お前・・オレと顔そっくりなのに、全然違ってて・・オレ、すっごく腹が立ってるよ・・オレ、そんな顔・・」

「お前の顔色なんて知ったことか!全ての世界と宇宙のために、オレはお前を倒す!」

「ホント・・すごく腹が立つなぁ!」

 強気に言い放つガイに、カイのいら立ちが頂点に達した。

「ゼットシウム光線!」

 ガイとカイ、2人のオーブが同時に光線を放つ。同じ姿のオーブの同じ技であるが、ガイがだんだんとカイを押していく。

「バカな!?力を受け入れているオレが、お前に負けるなど・・!?

「力と自分ばかりを信じているお前に、本当の強さを知ったオレを倒すことはできない!」

 激情に駆られるカイにガイが言い放つ。ガイの光線が押し切って、カイに直撃した。

「そんな・・そんなことがぁ!」

 絶叫を上げるカイが光線の衝撃に揺さぶられる。彼がライブしているオーブが消滅して、彼が地面に倒れた。

「オレが・・オレが負けるなど・・・!」

 うめくカイが憤りをあらわにするが、大きなダメージのため起き上がることができない。オーブから元の姿に戻ったガイが、カイの前に立つ。

「これで終わりだ・・おとなしく仲間と一緒に引き上げるんだ・・」

「くっ・・これでオレも終わりか・・結局、何も手に入らないし、何も壊せない・・何もかも、オレの思い通りにならない・・・!」

 呼びかけるガイに、カイが絶望といら立ちを込めた笑みを見せた。

「そう。自分の命さえもね・・」

 そこへ声がかかって、カイの背中に剣が突き立てられた。

「ぐっ!」

「なっ!?

 カイがうめいて、ガイが目を見開く。カイに剣を指したのは、1人の海賊だった。

「お前は、バスコ!?・・何のつもりだ・・!?

 カイが海賊、バスコ・タ・ジョロキアに怒りの声を振り絞る。

「だって、もう役に立ちそうもないからねぇ。」

 バスコが気さくに振る舞って、カイから剣を引き抜く。

「アイツは!・・・誰だったっけ?」

「ちょっと、先輩・・・」

 声を上げるも首をかしげたモモタロスに、ウラタロスが呆れる。

「そうだ、思い出した!タバスコだ、タバスコ!」

「ちゃう!バスコや、バスコ!」

 さらに声を上げるモモタロスに、キンタロスが突っ込みを入れる。

「もうそいつは動くこともままならない状態だったんだぞ・・それを、そんなマネしやがって・・・!」

 ガイがバスコに怒りをあらわにする。しかしバスコは気さくな笑みを絶やさない。

「だってこれ以上一緒にいても何にもならないじゃない。だから切り捨てたってわけ。君だって代わりにとどめを刺してもらって嬉しいよね?」

「ふざけるな!お前は仲間を、命を何だと思っているんだ!」

 バスコの態度にガイが怒りを覚える。

「誰も何もかも手に入れられるわけじゃないよ。何がを手に入れるには、何かを捨てなくちゃ。」

「コイツ・・許すわけにはいかないな・・!」

 目的のために犠牲を平気で行うバスコに、ガイが怒りを覚える。

「おい、待て・・アイツはオレがブッ倒す・・いつまでもおめぇだけにいいカッコはさせねぇよ・・!」

 そこへモモタロスが間に割って入って、ガイに声をかけてきた。

「それは僕のセリフだよ、先輩。たまには僕も活躍したいってね。」

「ヤツはとんでもない強さやからな!せやけど、オレの強さは泣けるで!」

「オレもアイツ嫌い!やっつけるけどいいよね!?答えは聞いてない!」

 ウラタロス、キンタロス、リュウタロスがバスコを見て言い放つ。彼らイマジンの考えは同じになっていた。

「イマジンたちがすっかりその気になっちゃって。アカレッドも恐れた僕の力、君たちも耳にしてないわけじゃないでしょ?」

 ため息をつくバスコから、赤い霧のようなオーラがあふれる。彼の姿が人から怪人へと変わった。

「それがお前の正体ってヤツか・・!」

 ガイがバスコを見て言いかける。

「これでもゴーカイジャーやたくさんのスーパー戦隊を倒してきたこともあるんだよ。いくら電王でも束になったって・・」

「ずいぶんとなめてくれるじゃねぇか!オレたちのてんこ盛りも、他のヒーローたちのチームワークも、そんじょそこらの寄せ集めとはわけが違うんだよ!」

 あざ笑ってくるバスコに、モモタロスが強気に言い放つ。

「オレたちもヒーローのみんなも、とことんクラマックスなんだよ!最初から、これからずっとな!」

“モモタロス、みんな、行くよ!”

 言い放つモモタロスに良太郎が呼びかける。モモタロスが携帯電話「ケータロス」を手にした。

Momo,ura,kin,ryu.climax form.

 彼がボタンを押したケータロスをデンオウベルトにセットする。ウラタロス、キンタロス、リュウタロスも良太郎の体に入り、電王の装甲が変化していく。

「オレたち、参上!」

 モモタロスが高らかにポーズを決める。良太郎は電王の強化フォーム「クライマックスフォーム」となった。

「その姿も知っているよ。でもそれで尻尾巻いて逃げる僕じゃないよ。」

「いい気になってられるのも今のうちだぞ!行くぜ、行くぜ、行くぜー!」

 気さくな態度を変えないバスコに、モモタロスが言い放って飛びかかる。しかしバスコが発揮するエネルギーをぶつけられて、モモタロスが突き飛ばされる。

「ぐあっ!」

「良太郎さん!」

 うめくモモタロスに永夢が叫ぶ。しかし雅人の攻撃に行く手を阻まれる。

「よそ見をするとは、ずいぶんと余裕があるじゃないか・・・!」

 雅人がいら立ちを浮かべて、永夢に打撃を与えて攻め立てる。さらに雅人はカイザブレイガンで永夢を切りつける。

“ガシャコンブレイカー!”

 永夢もガシャコンブレイカーで迎え撃つが、雅人の攻撃をかいくぐることができない。

「こんなものなのか?これじゃゲームにもならないな・・」

 雅人がため息をついて、永夢を蹴り飛ばす。転がる永夢だが、すぐに立ち上がって体勢を整える。

「こうなったら、もっとレベルを上げないといけないか・・!」

 永夢がさらなる変身を考える。

Exceed charge.

 そのとき、雅人がカイザブレイガンから光の弾丸を放った。弾丸を受けた永夢が光の網に包まれて、動きを止められる。

「ぐっ!・・体が、動かない・・・!」

 もがく永夢だが光の網から抜け出せない。雅人がエネルギーを集めたカイザブレイガンを構えて、彼に向かって突っ込む。

 そのとき、1つの刃が鞭のように飛び込んで、雅人の一閃を阻んだ。雅人がとっさに後ろに下がり、刃は続けて永夢を押さえている光の網を切り裂いた。

「い、今のは・・!?

 解放された永夢が戸惑いを覚える。彼のそばに1人の男が降り立った。

「大丈夫か?危ないところだった・・・」

 男が永夢に向けて声をかけてきた。彼が持っていたのは、大和と同じ剣、イーグライザーだった。

「あなたももしかして、ジューマン・・!?

「バドさん!あなたも来てくれたんですね!」

 大和が男、バドを見て喜びの声を上げる。彼もこの次元の世界に来ていたのである。

「オレも今起きている異変に気付いた。来るのが遅れてしまった・・」

 バドが永夢に事情を言って、雅人に目を向ける。

「オレはかつてジューランドのジューマンに疑問を抱いたことがある。ジューマンという理由で人間に怖がられて襲われたこともあった・・しかし、ジューマンであるオレを怖がらずに助けてくれた人間もいた・・」

 バドが永夢に自分の過去を語りかける。ジューマンにも人間にも疑心暗鬼になりかけていたバドを助けたのは、大和の父だった。

 バドが自分のジューマンパワーを子供の頃の大和に与えたのは、彼の父への恩があったからだった。

「お前は大和たちとは全く違う・・自分のことしか考えていない。敵と定めた者を利用し排除することを企んでいる・・」

 バドが雅人に向けて真剣な顔で言いかける。すると雅人がいら立ちをふくらませてきた。

「オレの何が分かる・・人間じゃない・・バケモノのお前が、分かった風な口を叩くな!」

「分かりはしない・・お前が自分の目的で、他の命を弄ぶ限りは・・・!」

 怒りの声を放つ雅人に冷静に答えるバド。彼が金色のジュウオウキューブ「ジュウオウキューブファイナル」を手にした。

“バード!”

 ジュウオウキューブの1のボタンを押して、バドが絵柄をそろえる。

「本能覚醒!」

“アーアーアアアー!”

 バドの体をオレンジのスーツが包み込んだ。

「天空の王者、ジュウオウバード!」

 ジュウオウバードに変身したバドが名乗りを上げる。雅人がカイザブレイガンを構えて、バドに向かっていく。

 バドは冷静沈着に雅人の振りかざすカイザブレイガンを防御していく。

「オレは負けない・・バケモノどもを滅ぼすまでは死ねないんだよ!」

「ジューマンも人間も、他の種族も関係ない・・心ある者はともに支え合い、命を弄ぶ悪意に立ち向かう・・その思いに、種族の境目などない・・!」

 怒鳴りかかる雅人に自分の思いを口にするバド。彼が振りかざしたイーグライザーが、雅人のまとうカイザの装甲を切りつける。

「すごい・・あの強いライダーを攻めている・・!」

 永夢がバドの戦いを見て戸惑いをふくらませていく。バドが勢いに乗って畳み掛けた。

Exceed charge.

 そのとき、雅人がバドに当てた足から金の光の円錐が現れて、彼を押す。

「まずい!」

“ガシャット!”

 危機感を覚えた永夢がゲーマドライバーの左腰にある「キメワザスロットホルダー」のスロットに、マイティアクションXガシャットをセットして、上部のボタンを押す。

“キメワザ!マイティ・クリティカルストライク!”

 永夢も足にエネルギーを集める。彼は雅人と同時にジャンプして、キックを繰り出した。

 永夢と雅人のキックがぶつかり合って、周囲に衝撃が巻き起こる。

「バドさん、今のうちです!」

 永夢の呼びかけにバドが頷く。彼が雅人に向けてイーグライザーを振りかざす。

「グライドフェザースラッシュ!」

 バドがイーグライザーを縦と横に振り抜く。

「ぐあぁっ!」

 絶叫を上げる雅人が地面に叩き落とされる。その際にカイザドライバーが外れて、彼はカイザへの変身が解けた。

「オレは・・オレはまだ・・・!」

 雅人が声と力を振り絞って、カイザドライバーに手を伸ばす。

「お前はオレにも大和たちにも勝てない。弱い人、傷ついている人に手を差し伸べようとしないお前には・・」

 バドが雅人を見下ろして思いを伝える。バドの言葉に励まされて、永夢が笑みをこぼして頷いた。

「やれやれ。これじゃ僕ががんばらなくちゃいけなくなるじゃないか。」

 バスコがため息をついて、剣を振りかざしてエネルギーの刃を放つ。

「おあっ!」

 モモタロスが刃を受けて大きく吹き飛ばされて、永夢とバドの前に転がってきた。

「良太郎さん!」

「まずは君たちからやっつけちゃうからね。それから他のみんなも、君たちの後を追わせてあげるよ。たとえば、ジュウオウジャーのみんなとかね。」

 永夢が声を上げて、バスコが彼らに気さくに言いかける。

「そんなことはさせない!」

 永夢がガシャコンブレイカーを手にして、バスコに向かっていく。だがバスコの放った光を受けて吹き飛ばされて、エグゼイドへの変身が解ける。

「永夢!」

 倒れた永夢にモモタロスが叫ぶ。

「そろそろフィニッシュを決めないとね。僕も遊んでばかりというわけにいかないから・・」

 バスコが手に持つ剣にエネルギーを集中させる。モモタロスも身構えてバスコを迎え撃とうとした。

 そのとき、バイクに乗った4人の男が駆けつけて、永夢たちとバスコの間を通り抜けた。

「あれは!」

 永夢がバイクを止めて降りた男たちを見て戸惑いを見せる。

「い、乾・・お前・・・!」

 雅人が男の1人、(いぬい)(たくみ)を見てうめく。

「草加・・よみがえったのか、お前も・・・」

 巧が雅人に目を向けて呟く。

「そして他の命もよみがえっている・・怪人も怪獣も、宇宙人もメカも・・!」

 男の1人、吉川(よしかわ)光輝(こうき)も続けて言いかける。

「これは仮面ライダーのみなさん。おそろいで来てくれるとはね。」

 バスコが光輝たちに振り向いて笑みをこぼす。

「ならば私もヤツらの相手をしなければな。」

 そこへ1人の男が現れて、バスコに声をかけてきた。

「おやおや。また出てきちゃったの、ブラジラ?」

 バスコが男、ブラジラに気さくに言いかける。

「私の目的は真の救星だ。今の愚かな人間や天使たちの守護する地球を、私が代わりに救うのだ。」

「ガンコだねぇ、ホント。ま、これで数で手を焼かされずに済むかな。」

 自分の正義を貫こうとするブラジラに苦笑をこぼすバスコ。

「いでよ、我が分身たちよ!」

 ブラジラの後ろから4人の怪人たちが現れた。彼の仮の姿、彗星のブレドラン、チュパカブラの武レドラン、血祭のブレドラン、サイボーグのブレドRUNである。

「またコイツ、分裂しやがった!」

 モモタロスがブラジラとブレドランたちを見て声を上げる。

「ライダーも戦隊も、我々の使命を阻むことはできない!」

「何度でもよみがえり、必ず救星を果たしてくれる!」

 ブラジラとブレドランが野心をむき出しにする。

「そのために人々に苦しみや絶望を与えようとすることは、絶対に許さん!」

「みんなの世界の自由と平和を守るため、オレたちはよみがえる!いつでも、何度でも!」

 2人の男がブラジラたちに怒りと決意を言い放つ。2人とも同じ男、(みなみ)光太郎(こうたろう)である。

「オレたちも戦う・・コイツらが、2度とよみがえらないように、徹底的にぶっ潰してやる・・!」

 巧が強気に言うと、ベルト「ファイズドライバー」を身に着けて携帯電話「ファイズフォン」を手にした。

Standing by.

 彼がファイズフォンに「555」と入力する。

「変身!」

Complete.

 ファイズフォンをファイズドライバーにセットした巧。彼の体を赤い装甲が包み込んだ。

 巧は戦士、ファイズへの変身を果たした。

「僕も行きます!」

 光輝も意気込みを見せて、水晶「オメガクリスタル」を手にした。

「変身!」

 彼がオメガクリスタルをベルト「オメガドライバー」にセットして、赤い装甲を身にまとう。

「オレたちも行くぞ!」

「あぁっ!」

 2人の光太郎が声をかけ合って、それぞれポーズを取る。

「変・・身!」

「変身!」

 2人がそれぞれ黒い戦士への変身を果たした。

「仮面ライダー、BLACK!」

「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACKRX!」

「仮面ライダーオメガ!」

 2人の光太郎と光輝が名乗りを上げてポーズを決めた。

 暗黒結社「ゴルゴム」によって世紀王、ブラックサンに改造された光太郎。脳改造の直前でゴルゴムから逃げ延びた彼は仮面ライダーBLACKと名乗り、ゴルゴムや平和を脅かす敵と戦い続けた。

 そして新たなる敵「クライシス帝国」によって変身機能を破壊されて窮地に立たされた光太郎は、新たなる仮面ライダー、RXへと生まれ変わったのである。

 光輝は精神力を強さに変える戦士、オメガとなって戦っている。真の正義と平和を知り守るために。

「オレは戦う・・人間を守るために、心を持ってるヤツを守るために・・戦うことが罪なら、オレが背負ってやる・・!」

 自分の意思を口にする巧。彼の言葉を聞いて、永夢が心を動かされる。

「守る・・そのためなら戦いの罪も背負う・・・僕も、ゲーム病という爆弾を背負って・・・」

 永夢が自分の両手を見つめて、動揺を深めていく。

 永夢は人々で初めてゲーム病になった。自分がバグスターウィルスに感染していたことを始めは知らず、知ったときには激しい絶望に襲われたが、今は乗り越えて受け入れている。

「お前も、光と闇を抱えていたんだな・・」

 ガイが永夢のことを知って、真剣な顔で言いかける。

「あなたは自分の闇を自分で抱えて乗り越えた・・僕も、バグスターという闇を使いこなしてみせます!」

 永夢が決意を口にして、新しいガシャット「マイティブラザーズXX(ダブルエックス)ガシャット」を手にした。

“マイティブラザーズXX!ダブルガシャット!”

 マイティブラザーズXXガシャットをゲーマドライバーにセットする永夢。

「変身!」

“ガッチャーン!レベルアップ!マイティブラザーズ・二人で一人!マイティブラザーズ・二人でビクトリー!エックス!”

 ゲーマドライバーのレバーを開いた永夢が新たなエグゼイドの姿になった。「ダブルアクションゲーマー・レベルX」である。

「コンティニューしちゃったけど、無敵モードで復活したぜ!」

 永夢が笑みをこぼして、バスコたちに言い放つ。

「えっ!?何、あの姿!?あれが、仮面ライダーの姿!?

 光輝が永夢の姿を見て動揺を見せる。

「おかしな姿の仮面ライダーだね。でもそんなんで戦いなんてできるの?」

 バスコが永夢を見てあざ笑う。

「今度はミスはしないぜ!見た目に騙されると、あっという間に終わっちまうぞ!」

「それじゃ、あっという間に終わらせちゃおうか。僕は君たちをやっつけてね。」

 強気に言い放つ永夢に、バスコが剣の切っ先を向ける。

「待て。あのような子供、我々のうちの2人で十分だ。」

「お前は他の誰かの相手をしていることだ。」

 そこへ彗星のブレドランと武レドランが出てきて、バスコに声をかけた。

「それじゃ僕はまずは、オメガを仕留めることにするかな。」

 バスコが剣の切っ先を永夢から光輝に移す。

「スーパー戦隊や仮面ライダーの力を奪い、弄ぼうとするバスコ、お前は許さない!」

 光輝がバスコに言い放って構えを取る。ブラック、RX、巧、モモタロスもブラジラ、ブレドランたちを見て構える。

「バドさんはガイさんを守ってください!」

「分かった・・頼む・・・!」

 永夢が呼びかけて、バドがガイとともに下がる。

「まずは仮面ライダーを葬り、スーパー戦隊もウルトラマンも救星のための礎としてくれる!」

「そうはさせない!人々の自由と真の平和は、オレたちが守る!」

 高らかに言い放つブラジラにRXが決意を口にする。

 彗星のブレドランと武レドランに永夢とモモタロスが立ち向かう。コミカルながら軽やかに動く永夢に、ブレドランたちが翻弄される。

「おのれ!チョコマカと動いて!」

 武レドランがいら立ちを見せて、永夢を追いかける。しかしジャンプする永夢に後ろを取られて、後ろからキックを受ける。

「おわっ!」

 武レドランが押されて、地面に仰向けに倒れる。

「よっしゃ!どんなもんだい!」

 永夢が喜んでガッツポーズを見せる。

「小賢しいマネを・・そんなことで我々を倒せるか!」

 ブレドランが永夢に向けて両手からビームを放つ。

「わっ!」

 永夢がビームを当てられて押されて、エグゼイドの装甲から火花が散る。

「永夢!」

 モモタロスが永夢の援護に向かうが、部レドランが行く手を阻む。

「お前たちのいい気にはさせんぞ!」

「こうなったらてめぇからブッ倒してやるぞ!」

 モモタロスが感情をむき出しにして、ソードモードのデンガッシャーを振りかざす。部レドランがかぎ爪でデンガッシャーを受け止めて、攻防を繰り広げる。

 起き上がる永夢の前にブレドランが迫る。

「分身だけあってうまく連携してるなぁ!だったら目には目を、2人には2人だ!」

 永夢が言いかけてから、1度ゲーマドライバーのレバーを閉じる。

「だーい変身!」

 彼が再びゲーマドライバーのレバーを開いた。

“ガッシャーン!ダブルアップ!オレがお前でーお前がオレでー・ウィーアー!マイティ・マイティ・ブラザーズ・ダブルエックス!”

 エグゼイドの姿が変わるだけではなかった。永夢の体が2人に別れて、それぞれオレンジと青緑を基調としていた。腕にレベルXの顔半分が付いていて、それぞれ左右対称の姿をしていた。

「なにー!?アイツも2人に別れたー!?

 モモタロスが2人の永夢を見て驚きの声を上げる。

“おもしろーい♪僕もできるかな〜♪”

“僕たちにそんなことできないって・・”

 永夢に興味を持つリュウタロスに、ウラタロスが呆れる。

“わいらは別れるんやなくて、合体で勝負や!”

 キンタロスが呼びかけて、モモタロスが武レドランに目を向ける。

「ここは僕たちだけじゃなく、良太郎さんたちと!」

「超強力プレーでクリアしてやるぜ!」

 2人の永夢が高らかに言い放つ。青緑のエグゼイドには本来の永夢、オレンジのエグゼイドにはゲーマー、Mの人格が入っている。

「我らは5人に別れているのだ!」

「2人に増えたところで、我らに勝てはせん!」

 武レドランとブレドランが永夢とMに向かっていく。永夢がブレドランたちの間をすり抜けて、Mが隙を狙って振りかざした腕を当てる。

“ガシャコンキースラッシャー!”

 永夢が武器「ガシャコンキースラッシャー」を手にした。武レドランが永夢に飛びかかって、かぎ爪を振りかざしてきた。

“スパパパーン!”

 永夢がガシャコンキースラッシャーのオレンジのエンターキーを押して、斧形態「アックスモード」にして、武レドランのかぎ爪を受け止めた。永夢が右足を出して武レドランを蹴り飛ばす。

 永夢が続けてガシャコンキースラッシャーのボタンを押して、武レドランに向けて振りかざした。通常よりも威力の高い一閃が、武レドランに命中した。

“ズキュキュキューン!”

 ガシャコンキースラッシャーを銃形態「ガンモード」にして、永夢が武レドランを射撃する。

「おのれ、エグゼイド・・・!」

 武レドランがいら立ちを見せる中、永夢がMにガシャコンキースラッシャーをパスする。

「今度はオレの攻撃の番だ!」

 Mが強気に言うと、ガシャコンキースラッシャーのボタンを押して、強力な射撃を放つ。ブレドランが射撃を受けて押される。

「この私が、我々がこの程度の力に屈するものか!」

 ブレドランが永夢たちに怒りをあらわにする。

「おいおい!1人だけ、いや、2人だけで楽しんでんじゃねぇよ!」

 モモタロスが永夢たちにひがんで文句を言う。

「オレたちもいくぜ、いくぜ、いくぜー!」

 モモタロスが武レドランにとびかかって、デンガッシャーを振りかざす。部レドランがかぎ爪で応戦するが、防ぎきれずにデンガッシャーに切りつけられていく。

「これ以上は好きにはやらせん!」

「お前の相手はオレたちだぜ!」

 武レドランを援護しようとするブレドランの前に、Mが永夢とともに駆けつけた。

“ジャジャジャキーン!”

 Mがガシャコンキースラッシャーの青いエンターキーを押して、剣状態「ブレードモード」にした。

 ブレドランが手からビームを放つ。Mが素早く動いて、ビームを横にかわしていく。

「くらえ!」

 ブレドランがさらに両手からビームを放つ。Mが爆発に巻き込まれて、ガシャコンキースラッシャーが飛び出してきた。

「まずは1人。次はもう1人のエグゼイドを・・」

 ブレドランが笑みを浮かべて、永夢に振り返った。その瞬間、永夢がブレドランに向かってきていて、手にはガシャコンキースラッシャーが握られていた。

 永夢がガシャコンキースラッシャーのボタンを押して、強力な一閃をブレドランに命中させた。

「ぐあっ!」

 体を切りつけられて、ブレドランが絶叫を上げて後ずさりする。

「オレばっかに気を取られてるからだぜ!」

 爆発の煙の中からMが出てきて、気さくに言いかける。彼はわざとガシャコンキースラッシャーを投げて、永夢に渡したのである。

「それじゃ、そろそろフィニッシュを決めるぞ!」

「良太郎さん、早く終わらせましょう!」

 Mと永夢がモモタロスに呼びかける。モモタロスが武レドランを蹴り飛ばす。

「いいぜ!こっちもかっこよく決めてやるぜ!」

 モモタロスが言い放って、ライダーパスをケータロスにかざす。

Charge and up.

 彼が構えるデンガッシャーにエネルギーが集まる。

「必殺!オレたちの必殺技!」

 モモタロスが向かってくる武レドランを迎え撃つ。部レドランが振りかざしたかぎ爪をかいくぐって、モモタロスがデンガッシャーを横に振り抜いた。

「ぐあぁっ!」

 体を切り裂かれた武レドランが、絶叫の中、爆発を起こした。

「行くぜ、オレたちの合体技!」

 Mが永夢と同時にゲーマドライバーのレバーを閉じて開く。

“キメザワ!マイティダブル・クリティカルストライク!”

 Mの左足と永夢の右足にそれぞれエネルギーが集まる。2人が同時にジャンプして、ブレドランにキックを繰り出す。

「ぐっ!」

 突き飛ばされてうめくブレドラン。永夢とMが1度レベルXの姿に戻って、パンチを振り上げてブレドランを跳ね上げる。

 そして再び2人に別れて、さらに飛び蹴りを繰り出した。

「こんな・・こんなバカなー!」

 絶叫を上げるブレドランが爆発して消滅した。着地した永夢とMが笑みをこぼして軽く手でタッチをした。

「へへ!やったな、2人とも!・・で、いいんだよな・・!?

 モモタロスが駆け寄って声をかけるも、永夢が2人もいることに慣れず首をかしげる。

「今は2人に別れてるってだけで。」

「元々は1人だよ、オレたちは。」

 永夢とMが笑みをこぼしてモモタロスに答える。彼と2人が握った拳を合わせて、絆を分かち合った。

 

 

第7章へ

 

その他の小説に戻る

 

TOPに戻る

inserted by FC2 system