ザ・グレイトバトル -エンドレスメモリーズ-
第5章
混戦となった永夢たちと淳たちの戦いに、大和たちジュウオウジャーも駆けつけた。
“ジュウオウジャーのみんなもこっちに来ていたんだね・・!”
良太郎が大和たちの登場を喜ぶ。
「これで面白くなってきやがったぜ!」
モモタロスも意気込みを見せて、ウラタロスたちとともに戦闘員たちをなぎ払う。
「もうやめるんだ、お前・・お前も人間でサイなんだから・・!」
操が淳に向かって呼びかける。すると淳が肩を落としてきた。
「同じだって?バカなこと言ってるんだね・・オレのほうが優れてるんだよ。金も地位も名誉も、力もゲームの腕も・・」
淳が大和たちもあざ笑って、メタルホーンの切っ先を彼らに向ける。
「どいつもこいつも、オレが楽しむためのゲームの駒なんだよ。」
「このヤロー、デスガリアンみてぇなこと言いやがって・・!」
淳の言動にレオがいら立ちを見せる。
生き物を弄び駒のように扱うゲームを楽しんできた組織「デスガリアン」。地球をゲームの舞台としたデスガリアンを、大和たちは迎え撃って撃破した。
「命は1つだ!どんな生き物にも!ゲームの駒にしていいものじゃない!」
「駒だよ。みんな潰し合ったりやられ役になったり、僕の手のひらの上で踊ってればいいんだよ。僕が楽しむためにね。」
大和が呼びかけるが、淳は彼の言葉を鼻で笑う。
「人間は心優しい人ばかりじゃない・・ほんの少しだけど、デスガリアンのように、悪い心の持ち主もいるんだね・・」
「ジューマンも人間も宇宙人も、別の世界の人も関係ない。困っている人がいたら手を差し伸べたり、悪いことをしていたら止めたりしなくちゃね。」
アムが不安を口にして、セラが自分たちの思いを口にする。
「みんな生きているんだ。住む世界が違っても、出会えばつながりができる。それを絶つことは誰にもできない。」
「命や絆を弄ぶことを許さない!オレたちは、何もかも、お前たちの思い通りにはならない!」
タスクと大和が淳たちに思いを言い放つ。命と絆、みんなの世界を守るため、大和たちは世界を脅かす敵に立ち向かう。
「どいつもこいつも・・もういいよ、みんな死んじゃって・・」
淳が不満を口にして、メタルゲラスが大和たちに突っ込んできた。
「サイが相手ならオレが行く!」
「操、オレもやるぜ!」
操とレオがメタルゲラスに向かっていく。が、メタルゲラスの突撃にはじき飛ばされる。
「オレに任せろ!」
タスクが両足に力を入れて踏ん張り、両手でメタルゲラスの突進を受け止める。大和がメタルゲラスの頭に両手を打ちつける。
メタルゲラスが地面に突っ伏すのを目の当たりにして、淳がため息をつく。
「ちょっとはちゃんと動けっての。」
不満を口にしてから、淳が永夢にメタルホーンを繰り出す。そこへセラとアムが駆けつけて、淳にパンチを当てて引き離す。
「大丈夫!?」
「は、はい!ありがとうございます!」
アムが声をかけて、永夢が頷いて答える。
「まったく、みんなして邪魔してくるんだから・・」
淳が不満を口にすると、左手を掲げて手招きをする。すると2体の怪人、クロコダイルオルフェノクとウルフイマジンが駆けつけた。
「なっ!?ワニと狼まで!?・・オレがジューマンパワーをもらった恨みで・・・!」
クロコダイルオルフェノクたちを目にして、操が頭を抱えて悲鳴を上げる。彼は絶望して、その場に座り込んで体育座りをする。
「みっちゃん、違うから・・あの3人のジューマンとは違うから・・・」
大和が呼びかけるが、操は落ち込んだままである。
「どういうことだか分かんねぇが、暴れられるなら構わないぜ!」
「お前たちを倒す・・僕たちが生きるために・・・」
ウルフイマジンが高らかに言い放って、クロコダイルオルフェノクが呟く。
「どう見てもお友達になりに来たようには見えないね!」
「遠慮なくやっつけてやるわよ!」
アムとセラが言いかけて、ウルフイマジンを迎え撃つ。
「上等だ!やれるもんならやってみろ!」
ウルフイマジンが叫び声を上げながら、セラたちに飛びかかる。彼が振りかざす剣を、彼女たちが素早くかわす。
「ジュウオウバスター!」
セラたちが武器「ジュウオウバスター」を「剣モード」にして構える。2人がウルフイマジンと剣をぶつけ合っていく。
レオとタスクがクロコダイルオルフェノクを迎え撃つ。
「野生解放!」
レオとタスクがジューマンパワーを発揮して、それぞれ両手、両足が大きくなる。レオが巨大な爪で切りつけるが、クロコダイルオルフェノクは耐える。
「はっ!」
タスクが地面を踏みつけて地響きを起こす。その衝撃を受けて、クロコダイルオルフェノクが倒される。
「一気に行くぜ!」
レオがクロコダイルオルフェノクに乗りかかり、爪を連続で振りかざす。クロコダイルオルフェノクがとっさに両手を突き出して、レオを引き離す。
「コイツ、かなりタフだぜ!」
「しかしコイツの動きも直線的だ。倒せない相手ではない。」
毒づくレオにタスクが言いかける。クロコダイルオルフェノクが雄叫びを上げて、レオたちに向かっていく。
「野生解放!」
大和が翼を広げて、淳の周りを旋回する。
「イーグライザー!」
大和が剣「イーグライザー」を振りかざす。イーグライザーの刀身が鞭のようになって、淳の装甲を叩く。
「うっとうしいなぁ。面白くないんだよ。」
淳が不満を口にして、メタルホーンを振りかざす。しかし空中を速く飛ぶ大和に攻撃が当たらない
「お前の相手はオレだ!本能覚醒!」
操が淳に言い放つと、ジュウオウザライトの持ち手の先の側面の絵柄を変えて、取っ手の先のボタンを押す。
“ザワールド!ウォーウォーウルフー!”
ジュウオウザワールドのマスクがサイから狼の形に変わった。操は3人のジューマンパワーをそれぞれ発揮して戦う。
操がスピードを上げて駆け回って、淳を翻弄させる。「ウルフフォーム」は基本フォームの「ライノスフォーム」と比べてスピードが上がる。
操は釣り竿型の武器「ジュウオウザガンロッド」を「ガンモード」にして、淳を狙い撃ちする。
「しつこいよ、お前。僕を楽しませるために動けばいいのにさ・・」
淳が不満を口にして、メタルゲラスが操に飛びかかる。
「本能覚醒!」
操がジュウオウザライトの側面の絵柄をワニに変えて、取っ手のボタンを押す。
“ザワールド!ウォーウォークロコダーイル!”
ジュウオウザワールドのマスクの形がワニに変わる。操がパワー重視の「クロコダイルフォーム」となって、メタルゲラスの突進を受け止めた。
「同じサイでも、お前たちとはレベルが違うんだよ!」
操が言い放って、メタルゲラスを持ち上げて放り投げる。メタルゲラスが地面に叩きつけられる。
「このまま一気に決めるぞ!」
レオが呼びかけて、タスクとともにジュウオウバスターを手にする。
“ジューオーシューート!”
レオとタスクが「銃モード」のジュウオウバスターから光の球を発射して、クロコダイルオルフェノクに命中させた。だがクロコダイルオルフェノクが両腕を振り上げて、光の球をはじき飛ばす。
「コイツ、どこまでタフなヤツだ・・!」
クロコダイルオルフェノクの屈強さにレオが毒づく。
「オレがそいつを吹っ飛ばす!」
操がクロコダイルオルフェノクに目を向ける。
「野生大解放!」
“ザワールド!ウォーウォーウォオオー!”
操が3つのジューマンパワーを発揮して、両肩からサイの角、右手がワニの尻尾、左手が大きなオオカミの手に変わる。
「お前の世界はここで終わる!ワールドザクラッシュ!」
エネルギーを体に集中させて、操が体当たりを仕掛ける。彼の突進を受けたクロコダイルオルフェノクが、衝撃に耐えられずに吹き飛ばされて、空中で爆発した。
「な、何だ、アイツは!?」
ウルフイマジンが操を見て驚きの声を上げる。
「よそ見してる場合じゃないよ!」
「アンタの相手は私たちよ!」
その彼にアムとセラが言い放つ。
「本能覚醒!」
セラの背中に背びれが生えて、アムの両手が大きくなる。セラが地中を海のように潜って、ウルフイマジンを翻弄する。
「おのれー!チョコマカ動いてんじゃねぇぞー!」
いら立つウルフイマジンが剣を振りかざして、エネルギーの刃を飛ばして周りを切りつけていく。しかし刃はセラに命中しない。
「こうなったら何もかもぶっ壊してやる!そうすりゃ済むってもんだ!」
「そんなことはさせないよ!」
いきり立つウルフイマジンにアムが飛びかかる。彼女が振りかざす爪で、ウルフイマジンが切りつけられていく。
「がはぁっ!」
突き飛ばされて倒されるウルフイマジン。セラとアムがジュウオウバスターを構える。
“ジューオースラーッシュ!”
2人が振り下ろしたジュウオウバスターから光の刃が放たれる。
「がはあっ!」
光の刃に切り裂かれたウルフイマジンが、絶叫を上げて爆発を起こした。
「やったわね。残るはあの2人だけね。」
セラが言いかけて、レオたちと合流して淳とメタルゲラスに目を向ける。
「どいつもこいつも邪魔だし役に立たないし・・僕がみんな吹っ飛ばしてやるよ・・!」
不満いっぱいとなった淳が、新たなカードをセットした。
“Final vent.”
彼を両肩に乗せて、メタルゲラスが大和たちに向かって突っ込んできた。だが大和が振りかざしたイーグライザーに体を巻きつけられる。
「何っ!?」
「ライザースピニングスラッシュ!」
驚く淳に巻きつけているイーグライザーを振り抜く大和。イーグライザーに切りつけられて淳がダメージを受けて、メタルゲラスが切り裂かれて昏倒した。
「ぐっ・・バカな・・僕が、こんなことに・・・!」
大きなダメージを受けて、立ち上がることもやっととなった淳。彼に向けて大和たちが視線を向ける。
「もう悪いことはやめるんだ!命はゲームのように弄んでいいものじゃない!」
「人間だろうと宇宙人だろうと、命をおもちゃにするなんてサイテーなんだよ!」
大和とレオが淳に言い放つ。しかし淳はいら立ちをふくらませるばかりである。
「うるさい!・・みんな、僕の思った通りに動いてゲームをしてればいいのに・・!」
怒鳴りかかる淳がメタルホールを構える。彼が感情のままに大和たちに向かっていく。
そのとき、淳が突然体に激痛を覚えて動きを止める。
「なっ!?・・お前・・・!」
驚きを感じながらうめく淳。彼の後ろに1人の男が立っていた。
「アイツは、カイザじゃねぇか!」
「カイザは既に死んでいるよね?また地獄からよみがえってきたわけ?」
モモタロスとウラタロスが男、カイザを見て声を上げる。今のカイザは草加雅人が変身している。
「どういうつもりだ!?・・お前も、こっち側の・・・!」
「あんまり見苦しいマネをするのはやめてくれないか・・鬱陶しくなってくる・・・」
倒れる淳に雅人が低い声で告げる。彼が後ろから武器「カイザブレイガン」を振り下ろして、淳を切りつけたのである。
雅人はため息をついてから、ベルト「カイザドライバー」から携帯電話「カイザフォン」を取り出してボタンを押して、カイザへの変身を解いた。
「えっ!?バド、さん・・!?」
「いや、バドさんはあんな悪い感じはしないよ・・」
目を疑う操に大和が言いかける。
大和が使っている鳥のジューマンパワーは、彼が子供の頃に鳥のジューマン、バドから受け取ったものである。
「お前たち、いろんなヤツらとつながりたい、仲良くなりたいんだってな?・・だったらオレに協力してくれないか?・・人間じゃない怪物たちを一掃するんだよ・・」
雅人が言いかけて、大和たちに手招きをする。
「倒すべきなのは、命を弄ぶ悪いことをする敵だけだ!怪物だからって、有無を言わさず一方的に命を奪っていいことにはならない!」
永夢が雅人に向かって呼びかけてきた。
「大変身!」
“ガッシャーン!レベルアップ!マイティジャンプ・マイティキック・マイティマイティアクションX!””
彼はレベル2への変身を果たした。すると目を向けた雅人がため息をついてきた。
「命を弄ぶ悪い敵ねぇ・・お前たちはそいつらを守ろうとする愚かなヤツらにしか見えないな・・」
「人間も宇宙人もジューマンも関係ない!命を助けるためにオレは戦う!医者としてもゲーマーとしても、仮面ライダーとしても!」
あざ笑ってくる雅人に永夢が意思を言い放つ。傷ついた人や絆を助けるという共通の意思で、永夢と大和たちはつながった。
「どいつもこいつも、オレの思った通りに動かない・・オレのことを好きにならないヤツは邪魔なんだよ・・・!」
雅人はいら立ちをふくらませて、カイザフォンにコード「913」を入力した。
“Standing by.”
「変身!」
雅人が音声の発するカイザフォンをカイザドライバーにセットする。
“Complete.”
彼は再びカイザに変身して、永夢に近づいていく。
「まずはお前から消えてもらおうか・・」
雅人が打撃を繰り出して、永夢を攻め立てる。
「永夢!」
モモタロスが声を上げて、永夢に加勢しようとした。
そのとき、空からビームが飛んできて、永夢たちのいる場所に爆発が起こった。
「おわっ!」
「な、何や!?」
モモタロスとキンタロスが声を上げる。彼らのいる場所の上空から、1機の機体が降りてきた。
「ハーハハハハ!我が世の春が来たー!」
その機体から高らかに声が響いてきた。
「な、何だ、あの声は・・!?」
この声にモモタロスが驚きと呆れの声を上げる。
「ここに∀はいないようだが、この混戦、小生の闘争本能をかき立てる!」
機体のパイロットが戦況を見下ろして歓喜をふくらませる。
「いきなり物騒なマネしやがって!誰だ、てめぇ!?」
レオが機体を見上げて怒鳴り声を上げる。
「このギム・ギンガナムが、この“ターンエックス”の力をこの場で存分に発揮してやるぞ!」
パイロット、ギンガナムが高らかに言い放って機体、ターンエックスがビームライフルを手にして連射する。
「おわっ!」
ビームが撃ち込まれて次々に爆発が起こって、モモタロスが慌ててよける。
「やめろ!」
ブリッツと交戦していたシンのデスティニー。デスティニーがビームブーメランを1つ投げてブリッツを引き離して、ターンエックスに向かってパルマフィオキーナを繰り出す。
「面白い!ターンエックスのシャイニングフィンガーと勝負してみるか!」
ギンガナムが歓喜の笑みを浮かべて、ターンエックスが「溶断破砕マニピュレーター」を搭載した右手を突き出す。デスティニーとターンエックスが手のひらのビームをぶつけ合う。
「ぐっ!」
手のひらのぶつけ合いが相殺されてデスティニーがターンエックスと引き離されて、シンがうめく。
「なかなかやるな!極上の獲物として、最後の楽しみに取っておくぞ!」
ギンガナムがシンとデスティニーの力にさらなる喜びを覚える。
「あんなのに好きにさせたら、私たちみんなムチャクチャになってしまうわ!」
「“ジュウオウキューブ”であの人を止めなくちゃ!」
セラとアムが呼びかけて、大和たちが頷く。
“イーグル!”
“ゴリラ!”
“シャーク!”
“ライオン!”
“エレファント!”
“タイガー!”
大和たちがジュウオウチェンジャーのボタンを押して、絵柄をそろえる。
“ジューオーキューーブ!”
ジュウオウチェンジャーから動物メカ「ジュウオウキューブ」が召喚される。
“ジャンボ!”
操もジュウオウザライトのボタンを2回押した。
“キューブイーグルー!”
“キューブシャーク!”
“キューブライオーン!”
“キューブエレファーント!”
“キューブタイガー!”
“キューブゴリラー!”
“キューブライノース!”
7体のジュウオウキューブが出現、変形して、大和たちが乗り込んだ。
“キューブクロコダーイル!”
“キューブウルフー!”
キューブライノスの荷台に乗っていた2体のジュウオウキューブ、キューブクロコダイル、キューブウルフも起動する。
「動物大合体!」
“アーアーアアアー!4!3!2!5!1!6!”
6体のジュウオウキューブと2体のジュウオウキューブウェポン、キューブキリンとキューブモグラが合体を果たす。
“ワイルドジューオーキーングー!”
「完成!ワイルドジュウオウキング!」
ジュウオウキューブが合体して、合体ロボ「ワイルドジュウオウキング」となった。
「動物合体!」
“9!7!8!”
キューブライノスが変形して、キューブクロコダイル、キューブウルフと合体する。
“トーサイジューオー!”
「完成!トウサイジュウオー!」
合体ロボ「トウサイジュウオー」がワイルドジュウオウキングの横に並び、ターンエックスの前に立つ。
「これがスーパー戦隊のロボットか!どれほどのものか、小生が確かめてくれる!」
ギンガナムが高らかに言い放って、ターンエックスが右手からワイヤークローを出す。
「独り占めはよくないな、御大将!」
そこへ声がかかって、ギンガナムと大和たちが視線を移す。彼らの前に3機の同型の機体が上空から現れた。
「また新しいメカが・・!」
「あれは“ハンブラビ”!“ティターンズ”ヤザンたちか!」
ウラタロスと永夢が声を上げる。3機の機体、ハンブラビのことを永夢はゲームで知っていた。
「小生の楽しみを邪魔するならば、貴様らとで容赦はせんぞ、ヤザン!」
ギンガナムがハンブラビのパイロットの1人、ヤザン・ゲーブルに呼びかける。
「お前にそういう事情があるってことは、こっちにもあるってことだ!」
「フン!いいだろう!小生はまず、そこのデカいほうの相手をさせてもらうぞ!あまりにグズグズしているようなら、貴様らの獲物もいただくと思え!」
たがいに笑みを浮かべて言い放つヤザンとギンガナム。
「貴様、名は!?」
「世界の王者、ジュウオウザワールド!」
ギンガナムの問いかけに操が答える。
「世界の王者・・そのような大そうな称号は、小生以外には不要の代物!」
「ならば見せてやる!お前でも、オレとはレベルが違うってことを!」
あざ笑ってくるギンガナムに、操が強気に言い放つ。
「いいだろう!その大見得、見事現実にしてみるか、ジュウオウザワールド!」
ギンガナムが言い放って、ターンエックスとトウサイジュウオーが同時に飛び出す。
「ではこちらもやらせてもらうぞ!ダンケル、ラムサス!」
ヤザンがハンブラビのパイロット、ダンケル・クーパーとラムサス・ハサに指示を出す。3機のハンブラビがワイルドジュウオウキングに迫る。
ワイルドジュウオウキングが剣「キングソード」を手にして、ハンブラビを迎え撃つ。しかしハンブラビは高速と3機の連携でワイルドジュウオウキングを翻弄する。
「なんてすばしっこいヤツだ!」
「1体ずつ確実に攻撃を当てるしかないぞ。」
レオが毒づいて、タスクが冷静に言いかける。ワイルドジュウオウキングがハンブラビの1機に狙いを絞って前進する。
次の瞬間、ワイルドジュウオウキングがハンブラビ3機が張った網に引っ掛かって、身動きが封じられる。
「しまった!うわっ!」
焦りを覚える大和が、電磁ネットからの電気ショックにうめく。
「まさに動物の捕獲だぜ!」
「このまま生け捕りにして、サーカスでもさせますか、隊長!」
ダンケルとラムサスが大和たちをあざ笑う。
「そんな子供みたいなことをするか!今ここでバラバラにしてやるんだよ!」
ヤザンが言い放って、ハンブラビたちが上空で並ぶ。
「大和!みんな!」
操が声を上げるが、トウサイジュウオーの前にターンエックスが立ちはだかる。
「真剣勝負によそ見をするな!」
ギンガナムが言い放って、ターンエックスが分裂して、それぞれの部位からビームを発射する。
「ぐあっ!」
トウサイジュウオーがビームの雨を浴びて、操が衝撃に揺さぶられる。
「このままだとジュウオウジャーがやられる・・!」
ガイが大和たちのピンチを悟る。
「焦ってきているみたいだな。このまま進んだら、お前はどんな顔になるのかなぁ・・」
彼の様子を気にして、カイがあざ笑ってくる。2人のオーブの戦いは、ガイが大和たちのピンチを気にして、カイに押され始めていた。
「力はこちらが上だが、決定打を与えられない・・!」
ブラッドが優勢になりながらも、サラマンドラを倒せずにいた。
「このまま一気に仕留めるぞ!」
ヤザンがダンケルたちに呼びかけて、ハンブラビたちがワイルドジュウオウキングに向かっていく。
「エックススラッシュ!」
そこへ光の矢が飛び込んで、ハンブラビたちの突撃を阻んだ。続けて2本のナイフがワイルドジュウオウキングを絡め取っていた電磁ネットを切り裂いた。
「な、何だ!?」
ヤザンが声を上げて視線を移す。彼らの前に現れたのは、2人のウルトラマン。
「ゼロ!エックス!2人もこっちに来てたのか!」
シンがウルトラマンたち、ゼロとエックスを見て笑みを浮かべる。シンはゼロたちとかつて出会っていた。
ウルトラマンエックス。防衛チーム「Xio」の一員、大空大地と一体化「ユナイト」をして戦うウルトラマン。大地やXioが開発した「サイバーカード」の力を宿した鎧「サイバーアーマー」を身にまとう。
ゼロはウルティメイトブレスレットから発動した鎧「ウルティメイトイージス」を身にまとって、ガイたちのいる世界に来た。ウルティメイトイージスには次元の壁を通り抜ける力がある。
エックスはゼロの力を宿した「ウルティメイトゼロアーマー」を身にまとうことで、ゼロ同様に次元の壁を通れるようになった。
異変を感じた大地とエックスは、ユナイトしてこの世界に来た。そこでゼロと合流して、ガイたちのピンチに駆けつけたのである。
「シン、大和、モモタロス、みんなもこっちに来ていたのか!」
ゼロがデスティニーたちを見て声を上げる。彼がターンエックスたちに視線を移す。
「ゼロさん、エックスさん!ウルトラマンの先輩が来てくれるとは!」
ガイがエックスたちを見て感動を覚える。
「オレは今、猛烈に感動している!そういう顔してるだろって言うんだろ、カイ!」
彼がカイに視線を戻して笑みを浮かべる。
「また邪魔が増えて・・本当にイライラさせてくれる・・・!」
カイがいら立ちをふくらませて、ガイに力任せに攻撃を仕掛ける。ガイは冷静に攻撃を回避して反撃を当てていく。
「また面白そうなヤツらが現れたな!ヤツらもウルトラマンという者か!」
ギンガナムが興奮をふくらませて笑う。が、エックスに目を向けた途端、彼の顔から笑みが消えた。
「だが貴様の胸の印、気にくわんな!エックスの称号がふさわしいのは、このターンエックスのみ!」
エックスに対して敵意を向けるギンガナム。
「あの機体も胸に×字がある・・もしかして、それを気にして・・!?」
「あの機体のパイロット、ものすごく物騒な様子だ・・あまり関わりたくないような・・」
大地がターンエックスを見て、エックスとともに動揺を覚える。
「まずは貴様から引導を渡してくれる、ウルトラマン!」
ギンガナムが言い放って、ターンエックスがエックスに向かって飛翔する。ワイヤークローを振りかざすターンエックスに、エックスが打撃を当てる。
「やりおるな!だが貴様の攻撃には覇気がない!」
ギンガナムがエックスに向かって高らかに言い放つ。
「そのような腑抜けた気構えで、小生とターンエックスの相手が務まるものか!」
「あなたは世界を戦いの場に変えようとしている!人も怪獣も共存できる世界に、無益な争いなんてないんだ!」
あざ笑ってくるギンガナムに、大地が自分の思いを言い放つ。人や怪獣、あらゆる生き物が共存できる世界が大地の夢で、エックスも共感していた。
「共存?何をたわけたことを・・そんな生ぬるいこと、できるわけないだろうが!」
嘲笑に続いて激高を見せるギンガナム。ターンエックスが分離して、エックスにビームを連射する。
「ぐっ!」
「エックス!」
エックスと大地がうめいて、ゼロが2人の援護に向かう。
「エメリウムスラッシュ!」
ゼロが額のビームランプから光線を放つ。ギンガナムが反応して、ターンエックスがビームをかわす。
「貴様も極上の獲物だ!まとめて小生が仕留めてくれるわ!」
ギンガナムが言い放って、ゼロも狙いに含める。
「チッ!獲物の1匹をほったらかしにしやがって・・まぁいい!あの2体ともまとめて仕留めるぞ!」
ヤザンが舌打ちをして、ワイルドジュウオウキングとトウサイジュウオーに狙いを向ける。
「ここは力を合わせてあの3機を倒すよ、みっちゃん!」
「大和・・・分かった・・ありがとう・・!」
大和の呼びかけに、操が感謝して頷く。
「ダンケル、ラムサス、2体まとめて仕留めるぞ!」
「はっ!」
「了解!」
ヤザンの呼びかけにダンケルたちが答える。3機のハンブラビがワイルドジュウオウキングとトウサイジュウオーを狙った。