ザ・グレイトバトル -エンドレスメモリーズ- 

第4章

 

 

 シンの乗るデスティニーが、ブラッドのジャッジとともにガイアとレジェンドの前に来た。

「シン、呼びかけてみるんだ。もしも乗っているのが本当にステラとレイなら、必ず答えるはずだ。」

「ブラッド・・あぁ!」

 ブラッドの呼びかけにシンが答える。彼がガイア、レジェンドへの通信を試みる。

「ステラ、レイ・・お前たちなのか・・・!?

 シンが思い切って呼びかける。

「シン・・・シン・・・」

 するとガイアから返事があった。その声を聞いて、シンは確信した。

「ステラ!ホントにステラなんだな!」

 ステラが実際に再び現れたことに、シンが戸惑いと喜びを覚える。

「やはりその機体に乗っているのはシン、お前か・・」

 レジェンドからデスティニーに向けて声がかかる。この声を聞いて、シンはさらに戸惑いをふくらませる。

「レイ・・お前もホントのお前なんだな・・!」

「あぁ。詳しい話は、あの怪物を撃退してからだ。」

 声を振り絞るシンにレイが呼びかける。デスティニーたちに向かってゼッパンドン、バードン、ブラックエンドが近づいてきた。

「レイ、アイツらは急に襲ってきたのか・・!?

「あぁ・・オレもステラも呼びかけたが、ヤツらは攻撃を仕掛け、止めようとしない・・攻撃をかいくぐる中、デスティニーの反応をキャッチしたんだ・・」

 シンの疑問を受けて、レイが最低限の説明をする。シンとブラッドが納得して、ゼッパンドンに目を向ける。

「もう1機のパイロットは誰だ?この世界に来る直前に、同型の大型機体とオレたちは交戦しているのだが・・」

 ブラッドがサイコガンダムに向けて呼びかける。

「私は地球連邦軍所属、フォウ・ムラサメよ・・もっとも、これはもはや過去のことだけど・・」

 サイコガンダムのパイロット、フォウが応答する。

「連邦軍・・オレたちとは別の世界の人間か・・」

 ブラッドがフォウの正体に気付く。世界が違えば文化や知識に違いが生じることを、彼は改めて実感した。

「フォウ、ステラの友達・・レイと一緒に助けてくれた・・・」

 ステラがフォウのことを話して、2人が笑みを浮かべる。

「ありがとう、ステラを助けてくれて・・このままデンライナー、あの電車のところに連れて行ってくれないか。そこにオレの仲間がいる・・」

 シンがフォウに感謝して、デンライナーに目を向ける。

「オレはシンたちとともにヤツらを迎撃する。2人は先に行け。」

 レイがゼッパンドンたちを見て、フォウたちに呼びかける。

「分かったわ。ステラ、行きましょう・・」

「うん・・シン、またね・・・」

 フォウが頷いて、ステラがシンに向かって微笑む。サイコガンダムとガイアがデンライナーに向かっていく。

「懐かしいな、レイ・・お前とこうして、一緒に戦えるなんて・・・」

「この久しい気分に浸りたいところだが、今はそれは命取りとなる・・」

 笑みをこぼすシンに、レイが冷静に告げる。

「オレが真ん中のヤツをやる!ヤツが1番強力のようだからな!」

「分かった。だがヤツは高い戦闘力だけでなく、バリアなどの特殊能力も備えている。油断するな。」

 シンとレイが声をかけ合って、ゼッパンドンに目を向ける。

「これまではステラとフォウを守るために仕方なかったが、オレはお前たちには負けはしない。」

「頼りにさせてもらうぞ、レイ。オレはブラッド・J・クロノスだ。」

 意思を口にするレイに、ブラッドが声をかける。レジェンドとジャッジもバードン、ブラックエンドを迎え撃つ。

 デスティニーが先陣を切って、ビームライフルを手にして発射する。ビームを受けるゼッパンドンだが、ダメージを受けていない。

「やはりとんでもない強さのようだが・・今のデスティニーもオレも負けはしない!」

 シンが言い放って、デスティニーがビームソードをサーベルの長さの刃を出して、ゼッパンドンに向けて振りかざす。するとゼッパンドンが光の壁を出してきた。

「何っ!?

 ゼッパンドンの出すバリア「ゼッパンドンシールド」に攻撃を防がれて、シンが驚きの声を上げる。

 ゼッパンドンが火の球「ゼッパンドン撃炎弾」を連射する。シンがとっさに反応して、デスティニーが加速して火の球をかいくぐる。

「オレは戦う・・平和を乱す敵を倒すために・・!」

 シンが揺るがない意思を口にして、デスティニーがビームソードの刃を伸ばす。

「これが、今のデスティニーの、シンの強さか・・・」

 レイがシンの戦いを見て呟く。信念を貫こうと全てを賭けているシンの姿をレイは喜ぶが、それが自分の思いとずれがあることも同時に感じていた。

 そのとき、バードンがレジェンドに向かって飛び込んできた。そこへジャッジが飛び込んで、ビームダガーをバードンの胴体に叩きつけた。

「この鳥の相手はオレがする。もう1体を任せていいか?」

「了解した。」

 ブラッドの呼びかけにレイが答える。体勢を整えたバードンがジャッジを狙って、スピードを上げて突っ込んできた。

 ブラッドがバードンの動きを見ながら、ジャッジが突撃をかわす。

(あのスピードと鋭い嘴がヤツの武器か・・だが、ジャッジが追いつけないスピードではない・・!)

 ブラッドが思考を巡らせて、ジャッジがビームライフル2つを手にして発砲する。バードンは素早く横に動いてビームをかわす。

 ジャッジが続けてレールガンを発射する。バードンがビームの直撃を受けて、体勢を崩す。

(突進を仕掛け、嘴であらゆるものを貫く。しかもヤツのこぶには強力な毒素が溜められている。嘴を食らえば生物は死に至り、機械は腐食などの以上につながる・・)

 バードンの特徴を分析するブラッド。

(ならば正確にヤツの体を捉える・・!)

 勝機を見出したブラッドが、向かってくるバードンを捉える。ジャッジがバードンの嘴を紙一重でかわして、右手のビームダガーでバードンの体を貫いた。

 絶叫を上げるバードンがジャッジに切り裂かれて、落下して爆発を起こした。

 一方、レイのレジェンドはブラックエンドと交戦していた。口からの火炎とクワガタのハサミのような尻尾で攻撃を仕掛けるブラックエンドだが、レジェンドは的確に攻撃をかわしていく。

(ドラグーンの射出はできないが、それでも十分に仕留められる・・!)

 レイが目つきを鋭くして、レジェンドが背中に搭載している武装「ドラグーン」からビームを発射する。

 ドラグーンシステムは端末を射出して、あらゆる方向からビームを放つ全方位攻撃を可能とする。しかしドラグーンを分離させての遠隔操作は宇宙などの無重力地帯でなければできない。

 ただレジェンドのドラグーンは背部に搭載したままでもビームを撃つことが可能となっている。

 レジェンドのドラグーンのビームがブラックエンドに命中していく。

(体から出ている角が、ヤツの力の源・・そこに集中砲火を浴びせる。)

 レイが狙いを定めて、レジェンドがビームをブラックエンドの角に集中する。ブラックエンドの角が爆発、破壊される。

「今だ・・!」

 レイの駆るレジェンドが立て続けにビームを発射する。体中にビームを撃ち込まれて、ブラックエンドが爆発を起こした。

「残るはシンだけ・・・」

「デスティニーは強力だが、あの怪獣もまた協力ということか・・・」

 レイとブラッドが、交戦するデスティニーとゼッパンドンに目を向ける。デスティニーがビームソードを振り上げて、ゼッパンドンに向かって加速する。

 ゼッパンドンがテレポートを使って移動して、デスティニーの突撃をかいくぐる。

「瞬間移動まで使えるのか!?

 ゼッパンドンの能力にシンが毒づく。ゼッパンドンがデスティニーを狙って、口から火炎を吐いてきた。

「スペリオンシールド!」

 そこへオーブが駆けつけて、光の壁を作って火の球を防いで、デスティニーを守った。

「オーブ!」

「大丈夫ですか、シンさん!?

 声を上げるシンにオーブが呼びかける。シンは頷いてから、ゼッパンドンに目を向ける。

「ヤツはゼットンとパンドン、ウルトラマンさんとセブンさんを苦しめた怪獣が合わさっているんです!」

「だとしても、ヤツをこれ以上ステラのところに進ませるわけにはいかない!」

 オーブが呼びかけて、シンの駆るデスティニーが構えを取る。

(彼も大切な人への強い思いを抱えているんだな・・)

 シンの心境を察して、オーブが戸惑いを感じていく。

(またステラたちと会えたんだ・・こんなところで倒れてたまるか!)

 ステラへの思いを胸に刻むシン。そのとき、彼の中で何かがはじけた。

 感覚が研ぎ澄まされて、身体能力が向上したシン。彼の操縦するデスティニーも戦闘力が上がった。

 ゼッパンドンが火の球を連射するが、デスティニーが残像を伴った動きでかいくぐる。そしてビームソードを構えてゼッパンドンに突っ込む。

 ゼッパンドンがゼッパンドンシールドを展開するが、突撃するデスティニーのビームソードはシールドごとゼッパンドンの体を貫いた。

 デスティニーがそのままビームソードを振り上げて、ゼッパンドンを切り裂いた。ゼッパンドンが絶叫を上げて、落下して爆発を起こした。

(ゼッパンドンを倒すとは・・あれが、ベリアルさんをはねのけた人間の力・・・)

 心の中で呟くガイが1枚のカードを取り出した、闇のウルトラマン、ベリアルのカードである。

 シンがかつてベリアルに体を乗っ取られたことを、ガイはゼロから聞かされていた。シンはルナマリアたちの励ましを受けて、ベリアルを体から追い出して倒したのである。

「やったな、シン。こちらも終わったぞ。」

 ブラッドが声をかけて、シンが真剣な顔のまま頷く。

「レイ、待ってくれ!この人はオレたちの味方だ!」

 レジェンドがビームライフルを構えていたのを目にして、シンがレイを呼び止める。レイが思いとどまって、レジェンドがビームライフルを下げる。

「ステラたちのところへ行こう。みんなと合流しているはずだ。」

「あぁ。」

 シンの呼びかけにレイが答える。デスティニー、ジャッジ、レジェンド、オーブがデンライナーに戻っていった。

 

 シンたちがゼッパンドンと交戦していた間、ステラ、フォウの乗るガイア、サイコガンダムがデンライナーに向かっていた。2人が敵でないことを、ルナマリアはシンから伝えられていた。

「ステラ・・シンが話してたガイアのパイロットが、また現れるなんて・・・!」

「でも僕たちの味方なんですよね?でしたらこちらで保護しましょう。」

 ルナマリアが戸惑いを感じて、永夢が言いかける。

「オレ、良太郎さんたちに知らせてきます。」

 永夢はルナマリアに声をかけてから、1人デンライナーに戻ろうとした。

 そのとき、良太郎の前に1人の男が現れた。

「あれ?ガイさん?何でここに?」

 永夢が現れたガイに疑問を覚える。ガイがオーブに変身してシンたちのところに行ったことを、永夢も知っていた。

「シンさんは?ブラッドさんたちはどうしたのですか?」

 永夢が問いかけると、男は笑みを浮かべてきた。

「そうかぁ。オレってそいつとそっくりなのかぁ・・」

「お前、ガイさんじゃない・・!?

 男の様子を見て、永夢はその人がガイでないことに気付く。

「いろんな世界の連中が集まってきて、おかしなことになってきてる・・おかげで退屈しない時間をたくさん過ごせそうだ・・・」

「あなたは誰ですか!?何を考えてるんですか!?

 1人呟く男に対して、永夢が身構える。

「カイとでも言っておくか。お前が新しい仮面ライダー、エグゼイドか。」

 ガイをそっくりな顔の男、カイが永夢に声をかける。

「丁度いい。電王の前にお前を痛めつけてやるか・・」

 カイが言いかけて指を鳴らす。彼の後ろに怪人たちと戦闘員たちが並び立つ。

「ガイさんの言う通り・・シンさんが出たタイミングで、デンライナーに乗り込もうとしてくるなんて・・!」

 永夢がデンライナーを守ろうとカイたちを迎え撃とうとする。

「1人でオレたち全員と戦うつもりか?勇ましいことだなぁ。勇気を通り越して無謀ってヤツか?」

 カイが永夢を見てあざ笑ってくる。怪人たちも永夢に笑い声を上げる。

 そのとき、1つのビームが飛び込んできて、怪人たちが直撃に巻き込まれた。ルナマリアのインパルスがビームライフルを発射したのである。

「私がいることも忘れないでよね!」

 インパルスのコックピットから、ルナマリアがカイに向けて言い放つ。

「あ〜あ、邪魔が入って不満いっぱいだよ〜・・オレ、今そういう顔してるだろ・・?」

 カイが笑う素振りを見せて、永夢とインパルスに向かおうとした。

「オレらがいるのを、忘れてもろたら困るで!」

 そこへキンタロスが良太郎たちと一緒に駆けつけて、カイに呼びかけてきた。

「今度は間違いないよ!ガイじゃなくてカイだ!」

「まさかアイツまで復活して、こっちの世界に来ていたとはね・・」

 リュウタロスがカイを指さして、ウラタロスが呆れた素振りを見せる。

「電王と裏切り者、みんな集まってきて・・おびき寄せる手間が省けたなぁ・・」

「それはこっちのセリフだ!後腐れがねぇように、思いっきり地獄に送り返してやるぜ!」

 笑みをこぼすカイにモモタロスが言い放つ。彼ら4人のイマジンがそれぞれ武器を手にして、カイや怪人たちを迎え撃つ。

「そうか。そいつがオレとそっくりなヤツか。」

 そこへガイがやってきて、カイたちの前に現れた。ガイはオーブへの変身を解いて、カイたちと対峙していた。

「けどそっくりなのは顔だけ。性格は正反対みたいだな。」

「へぇ。お前がクレナイ・ガイか。確かにオレとそっくりな顔だなぁ・・」

 言いかけてくるガイを見て、カイが笑みをこぼす。

「やはり怪獣をけしかけて、デンライナーやオレたちの仲間を攻撃しようとしていたか。」

 デスティニーたちが駆けつけて、ブラッドが言いかける。

「怪獣たちは撃破した。2人は下がっていろ。」

「分かったわ、レイ・・」

 レイが呼びかけて、フォウが頷く。サイコガンダムとガイアがデンライナーに近づいていく。

「こんなところでも邪魔されるなんて、イヤな感じだよ・・なぁ、今オレ、そんな顔してるだろ?」

「お前の顔色なんて知ったことか。何か悪いことを企んでいるなら、ここでお前ら全員倒す!」

 笑い声を上げてくるカイに言い返して、ガイが強気に言い放つ。

「えらく正義の味方を気取ってるんだな、オーブ・・かつて力を使いこなせずに暴走したくせに。」

 カイがガイをあざ笑って、1つの人形を取り出した。

「それは・・!?

 ガイがその人形を見て驚く。彼は人形の姿かたちに覚えがあった。

「そうだよ。お前の姿だよ。闇であふれて大暴れしたお前の・・」

 カイが人形を見て笑みをこぼす。それはオーブのスパークドールズだった。

「ガイさん、あれがまさか・・・!?

 永夢もスパークドールズを見て息をのむ。彼はそのオーブの姿が、かつて暴走を起こした姿であるとすぐに推測できた。

「暴走して周りをムチャクチャにしたとき、お前はどんな顔してたのかなぁ?・・オレも、そんな顔になれるか・・?」

 カイが笑い声を上げて、ダークスパークを手にした。

“ダークライブ!ウルトラマンオーブ!”

 彼がダークスパークでスパークドールズをリードする。彼がオーブの別形態「サンダーブレスター」となった。

 ゾフィーとベリアル、2人のウルトラマンの光と闇の力を兼ね備えたサンダーブレスター。巨大かつ相対的な力を宿している。

「おいおい!アイツ、ウルトラマンになっちまいやがった!」

 モモタロスがオーブになったカイを見上げて、驚きの声を上げる。

「さすが2人の強いウルトラマンの力だ!興奮が湧き上がって、気分がよくなってくる!」

 カイがサンダーブレスターの力を感じ取って、高らかに笑う。

「さぁ、お前らも存分に楽しむといい!コイツらをムチャクチャにしてやりな!」

 カイが呼びかけて、怪人たちが活気づいて騒ぎ出す。ブリッツ・ヘルズが巨大化して、魔化魍の1体、ツチグモと再生怪獣サラマンドラと並び立つ。

「あくまで自分との戦いを演出したいってわけか。だったらオレもやってやる・・!」

 ガイが意を決して、オーブリングと2枚のウルトラフュージョンカードを手にした。

「ゾフィーさん!」

“ゾフィー!”

「ベリアルさん!」

“ウルトラマンベリアル!”

 ゾフィーとベリアル、2枚のカードをオーブリングにリードさせるガイ。

「光と闇の力、お借りします!」

 彼がオーブリングを掲げて、ゾフィーとベリアルの力を身にまとう。

“ウルトラマンオーブ・サンダーブレスター!”

 ガイもオーブ・サンダーブレスターへの変身を果たした。2人のオーブが対面するが、カイの変身しているオーブはガイよりも顔つきがより凶悪になっていた。

「お前もその姿になったか!さぁ、この力を、お互い存分に楽しもうぜ!」

 カイが今の自分の力に酔いしれて、ガイをあざ笑う。

「今のオレはお前とは違う。この力を初めて使ったときのオレともな・・」

 ガイがカイの嘲笑をはねのけて言い返す。

「オレやお前だけじゃない。誰の中にも、光と闇の両方がある。他の人を支える光と、悲しみや辛さ、絶望に囚われる闇を・・」

 ガイが言いかけて、永夢や良太郎たち、デスティニーたちに目を向ける。人間も怪人も、怪獣も宇宙人も光と闇の両方を抱えている。世界や地球、宇宙を狙う悪は闇に囚われてしまった者だと、ガイは思っていた。

「闇を乗り越えて切り離しては、自分の光を輝かせることはできない・・闇があるからこそ、光がより強く輝くんだ!」

「あ〜あ。くだらないこと言っちゃって・・おかげで気分がぶち壊しだよ・・」

 ガイが思いを言い放つと、カイが肩を落としてため息をつく。そしてカイが目つきを鋭くする。

「この状態じゃ見えてないけどさ、オレ今、すっごく不満な顔をしてるよ・・・!」

 低い声で言いかけるカイが、ガイに握った右手を振りかぶる。ガイも右のパンチで迎え撃って、パンチの攻防を繰り広げる。

「オーブ!」

 シンが声を上げて、ガイを援護賞とする。しかしデスティニーたちの前にブリッツたちが立ちふさがる。

「我らが怪獣どもとは違うことを教えてやる!」

「相手が何だろうと、世界をムチャクチャにしようとするなら、オレが倒す!」

 強気な態度を見せるブリッツに、シンが言い放つ。

「シン、熱くなりすぎるな。自分を見失うと、的確な判断が下せなくなるぞ。」

「レイ、久しぶりだけど、相変わらずだな・・!」

 言いかけるレイにシンが笑みを見せて答える。

(シン・・以前よりも精神力が強くなっている・・感情的でありながら冷静、何よりも強い決意がある・・・)

 シンの強さを悟って、レイが戸惑いを覚える。

「コイツはオレが倒す!レイとブラッドは他の2体を!」

「分かった。」

「他にヤツに、お前の邪魔はさせない。」

 指示を出すシンにレイとブラッドが答える。彼らとブリッツたち、ガイとカイの激闘が始まった。

 

 カイに従っている怪人たちと戦闘員たち。彼らの前に永夢と良太郎が出る。

「また怪人や宇宙人たちが復活してきたけど、僕たちが止めなくちゃ・・」

 良太郎が言いかけて、永夢が小さく頷く。次の瞬間、永夢がゲームをするときの顔になった。

「一騎当千はゲームの醍醐味になってるからね・・でもこっちは一騎ってわけじゃないか。」

 強気に言いかける永夢が、良太郎たちに視線を送った。

「行きますよ、良太郎さん、イマジンのみなさん!」

 永夢が呼びかけて良太郎が頷く。

「ヘッ!おめぇも気合入ってきてるじゃねぇか!」

 モモタロスも前に出て意気込みを見せる。

“マイティアクションX!”

 良太郎がデンオウベルトのボタンを押して、永夢がライダーガシャットを起動する。

「変身!」

“ガシャット!レッツゲーム・メッチャゲーム・ムッチャゲーム・ワッチャネーム!アイムアカメンライダー!”

Sword form.

 2人がエグゼイド、電王・ソードフォームに変身した。

「オレ、参上!・・って、何だおめぇ、その姿!?

 良太郎に憑依して高らかに名乗りを上げたモモタロスが、永夢の変身したエグゼイド・レベル1の姿を見て驚く。

「みんな最初驚いちゃうけど、ゲームクリアできますよ!」

 永夢が自信を見せて、迫ってきた戦闘員たちを迎え撃つ。見た目と違う身軽な動きで、永夢は戦闘員の頭の上を飛び移るなど、奔走していく。

「やるじゃねぇか!オレほどじゃねぇけどな!いくぜ、いくぜ、いくぜー!」

 モモタロス高らかに言い放って、デンガッシャーを振りかざして、戦闘員たちを切りつけていく。

「僕もやっちゃうよー!バーン!」

 リュウタロスが銃「リュウボルバー」を手にして駆け出す。

「わいらも行くで!」

「行きますか。」

 キンタロスとウラタロスも声をかけ合って、それぞれの武器「キンタロスアックス」と「ウラタロッド」を手にして加勢に向かった。

 永夢がジャンプアクションで注意を引き付けて、その隙を突いてモモタロスたちが攻め立てる。

「このまま一気にみんなでクリアするぜ!」

「あんまりいい気になるもんじゃないよ。」

 自信を付けている永夢が突然突き飛ばされる。空中から地面に落ちた彼の前に、西洋の鎧のような装甲を身にまとった戦士がいた。

「お前、ゲームに自信あるみたいだけど、この芝浦(しばうら)(じゅん)には勝てないよ。ゲームでもライダーでも。」

 男、淳=仮面ライダーガイが永夢に自信を見せる。

「へぇ。アンタもゲーマーでライダーか・・だけどゲームで、人間同士の殺し合いをするのはよくないな!」

 気さくな笑みをこぼした永夢だが、実際にライダー同士、人間同士で戦いをすることを快く思っていなかった。すると淳が永夢に対してため息をついてきた。

「そんなぬるいの、退屈でゲームにならないよ。僕が楽しめなくちゃ、ゲームじゃない。」

「自分だけいいなんて、ゲームの楽しみ方じゃない!オレがたっぷり教えてやるぜ!」

「ハァ、うざいなぁ・・もういいよ、倒されちゃって。」

 強気を見せる永夢に肩を落として、淳が彼に向かっていく。

 永夢に突っ込んで力押しを仕掛ける淳。押さえた永夢だが、すぐに体勢を整えて淳の突進をかわす。

「いつまでも逃げられはしないよ、お前。」

 淳が言いかけて、1枚のカードを手にして左肩のスロットにセットする。

Strike vent.

 彼の右手に武器「メタルホーン」が装備された。

「武器での勝負も負けないぜ!」

“ガシャコンブレイカー!ジャキーン!”

 永夢がガシャコンブレイカーをブレードモードにして構える。2人がそれぞれの武器をぶつけ合う。

 だが淳の力に押されて永夢が突き飛ばされていく。

「すばしっこくても力じゃ僕が上ってことか。」

 淳は笑みをこぼして、さらにカードをセットした。

Advent.

 サイの怪物、メタルゲラスが現れて、永夢に向かって突っ込んできた。

「おわっ!」

 永夢が突進を受けて大きく突き飛ばされる。

「永夢!」

 モモタロスが声を上げるが、戦闘員たちに行く手を阻まれる。

「コイツら!邪魔すんじゃねぇ!」

 モモタロスがデンガッシャーを振りかざして、戦闘員たちをなぎ払う。しかし他の戦闘員たちがさらに迫ってくる。

「お前は終わりにするか。あっちのほうが盛り上がりそうだし・・」

 淳がモモタロスたちを見て呟く。彼がメタルホーンを構えて永夢にとどめを刺そうとした。

 そのとき、永夢と淳が足音が近づいてきたことに気付いて振り向く。2人の視界の中に、6人の男女が現れた。

「やっぱり、またいろんな世界の人たちが来ていたか・・!」

「電王やデスティニーがいるところを見ると間違いないな。」

 2人の青年、風切(かざきり)大和(やまと)とタスクが永夢たちを見て言いかける。

「あの人、人間だけど、悪者たちに味方してるみたい・・!」

「操られているとかじゃないみたい。デスガリアンみたいなイヤな感じがするよ。」

 2人の少女、アムとセラが淳を警戒する。

「あ、あの人、サイの仲間を連れている・・もしかして、オレたちの仲間なんじゃ・・!?

 青年、門堂(もんどう)(みさお)が淳を指さして動揺を見せる。

「オレたちの仲間を襲ってるヤツのどこが仲間だってんだ!」

 青年、レオが操に文句を言う。

「サイなのに、オレたちの敵・・敵だなんて・・・」

 すると操が落ち込んで、その場に座り込んでしまった。彼はものすごいマイナス思考の持ち主で、ことあるごとに落ち込んで、体育座りをすることも多々ある。

「み、みっちゃん・・まずはあの人を止めることを考えよう・・ね・・」

 大和が苦笑いを浮かべて操を励ます。

「止める・・そうだ・・オレたちの手で止めてあげればいいんだ・・大和たちが、デスガリアンに操られたオレを助けてくれたように・・!」

 立ち直った操が高らかに言い放つ。彼は落ち込みやすいが立ち直りも早い。

 様々な星や生き物を巻き込んで独自のゲームを楽しんできた組織「デスガリアン」。操はデスガリアンに洗脳されたが、大和たちによって助けられたのである。

「それじゃ仕切り直して、行くとすっか!」

「良太郎さんたちやみんなを助けるために!」

 レオが呼びかけて大和が答える。彼らが携帯電話「ジュウオウチェンジャー」と懐中電灯「ジュウオウザライト」を取り出した。

“イーグル!”

“シャーク!”

“ライオン!”

“エレファント!”

“タイガー!”

 大和、セラ、レオ、タスク、アムがジュウオウチェンジャーのボタンを押して、それぞれの動物の絵柄をそろえる。

“ザワールド!”

 操がジュウオウザライトの取っ手の先のボタンを押す。

「本能覚醒!」

“アーアーアアアー!”

“ウォーウォーウォオオー!”

 雄叫びが響き渡る中、大和たちがスーツとマスクを身にまとう。

「あ、あなたたちは・・!?

 変身した大和たちを見て、永夢が驚く。

「大空の王者!ジュウオウイーグル!」

「荒海の王者、ジュウオウシャーク!」

「サバンナの王者!ジュウオウライオン!」

「森林の王者、ジュウオウエレファント!」

「雪原の王者、ジュウオウタイガー!」

「世界の王者、ジュウオウザワールド!」

 大和、セラ、レオ、タスク、アム、操が名乗りを上げてポーズを決めた。

「動物戦隊!」

「ジュウオウジャー!」

 大和が声を上げて、セラたちが声をそろえた。

 「動物戦隊ジュウオウジャー」。大和と操以外の4人は人間ではなく、異世界「ジューランド」に住む「ジューマン」であり、「王者の資格」によって人間の姿になっている。そして大和と操もジューマンパワーを宿していることで、ジュウオウジャーへの変身が可能となっている。

「ジュウオウジャー・・戦隊・・・!」

 永夢が大和たちを見つめて戸惑いを覚える。

「何なんだよ、お前たち・・」

 淳が大和たちに対してため息をついてみせる。

「地球とジューランドを、なめるなよ!」

 大和が淳や怪人たちに向かって高らかに言い放つ。ジュウオウジャーもガイたちのいる世界にやってたのだった。

 

 

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