ザ・グレイトバトル -エンドレスメモリーズ-
第2章
聖都大学附属病院。そこへ研修医として勤めている1人の青年がいた。
宝生永夢。8歳のときに起きた交通事故から命を救われたことから、医者を目指すようになった。
医者としてはまだまだ未熟な永夢。だが彼には医者の他に、2つの顔を持っていた。
その1つは、あらゆるジャンルのゲームをこなすゲームの達人である。世間を騒がせた天才ゲーマー、Mの正体が彼である。
普段は穏やかな性格の永夢だが、ゲームプレイのときは強気になる。
この日も永夢は休憩中に、携帯ゲームをプレイしていた。彼のプレイを周りの子供たちが見ていた。
「すげー!タイムも速いし得点もたけぇー!」
子供たちが永夢のゲームの腕に、驚きと感動の声を上げる。
「よーし♪今日も絶好調ってね♪」
永夢が子供のような無邪気な笑顔を見せて、プレイを続ける。
「宝生先生、またゲームですか!?」
そこへ女性の看護師がやってきて、永夢に注意をしてきた。
「いつまでも大人げないことしてないで、医者としての自覚を持ってください!」
「こ、子供たちに元気を与えるのは、ゲームが1番なんです!」
怒鳴る看護師に、永夢がゲームのすばらしさを熱弁する。
「いい加減してください、先生!」
「す、すみませ〜ん!」
しかし看護師をさらに怒らせることになってしまい、永夢は慌てて駆けだしていった。
「いや〜・・せっかくみんなで楽しくやっていたのに〜・・」
病棟の隅で足を止めて、永夢が肩を落としてため息をつく。
「うわあっ!」
そのとき、永夢が悲鳴を耳にして、再び走り出す。病棟の裏にたどり着いた彼が、逃げ出す人々と1人の怪人を目撃した。
「何だ、コイツは!?新しいバグスターなのか!?」
永夢が怪人に対して疑問と警戒を抱く。
人の体に入り込むコンピューターウィルス「バグスター」。感染症「ゲーム病」に発症させてその人を乗っ取る。
永夢は目の前の怪人も新たな姿をしたバグスターだと思った。
「我が名はユガンデ。我が力、地球人たちに思い知らせる・・」
怪人、ユガンデが永夢を見て言いかける。ユガンデは剣「ダークサンダー」の切っ先を永夢に向ける。
「お前も我が力に屈することになる・・」
「それはどうかな?」
言いかけるユガンデに強気に言葉を返す永夢。彼はゲーマーとしての顔を浮かべていた。
「アンタの力とオレのゲームの腕、どっちが上か白黒つけようか。」
永夢が言いかけると、ゲームカセット型のアイテム「ライダーガシャット」を手にした。
“マイティアクションX!”
ライダーガシャット「マイティアクションX」を起動して、永夢が構える。
「変身!」
彼がガシャットを装着しているベルト「ゲーマドライバー」のスロットにセットする。
“ガシャット!レッツゲーム・メッチャゲーム・ムッチャゲーム・ワッチャネーム!アイムアカメンライダー!”
永夢の体を装甲が包み込んだ。ただしその姿は戦士としてはあまりにも間の抜けたものだった。
永夢がゲーマドライバーのスイッチを押すと、彼とユガンデのいる場所が変わった。彼ら以外の人がいない荒野で、周囲にはところどころにたくさんのブックが点在していた。
ゲーマドライバーには空間生成装置が備わっている。装置によって現れた空間は、ガシャットのゲームを模したものが取り入れられている。
「何者だ、貴様は?戦いを挑むにしてはあまりにもふざけているな。」
ユガンデが永夢に向けて疑問を投げかける。
「オレの名はエグゼイド!仮面ライダーエグゼイドだ!」
戦士、エグゼイドに変身した永夢が高らかに名乗りを上げる。
「仮面ライダー・・スーパー戦隊と並ぶ戦士・・・」
ユガンデが永夢の言葉を聞いて記憶を巡らせる。彼は仮面ライダーの存在を知っていた。
「さーて!このゲーム、ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」
永夢が高らかに言い放つと、ユガンデに向かって駆け出す。ユガンデがダークサンダーを彼目がけて振りかざした。
永夢はジャンプしてダークサンダーをかわした。鈍重な見た目に似合わず、彼は身軽な動きを見せた。
「これじゃボスキャラには程遠いぜ!」
“ガシャコンブレイカー!”
永夢が笑みをこぼして、武器「ガシャコンブレイカー」を手にして周りのブロックを叩いて壊す。その中の1つからメダルが出てきて、彼の中に入った。
「よっしゃ!攻撃力アーップ!」
「マッスル化」のメダルを手に入れた永夢が、ユガンデに向かっていく。彼が繰り出すパンチやタックルが、ユガンデを押していく。
ユガンデがダークサンダーを振りかざす。エグゼイドの装甲が切りつかれて火花を散らして、永夢が倒れる。
「この程度で私に勝てると思っているのか?」
ユガンデが言いかけて、永夢に近づいていく。立ち上がった永夢が再び笑みをこぼす。
「オレの力はまだまだこれからだ!大変身!」
永夢が言い放って、ゲーマドライバーのレバーを右に開いた。
“ガッシャーン!レベルアップ!マイティジャンプ・マイティキック・マイティマイティアクションX!””
彼のまとうエグゼイドの装甲がはじけ飛んで、新たな姿のライダーが現れた。
「さぁ、ラウンド2の始まりだ!」
着地した永夢がユガンデに言い放つ。彼は第2形態「レベル2」に変身した。
「少しはまともな姿になったようだ。だが何に姿を変えようと、我が力には敵わない・・」
ユガンデが言いかけて、永夢に向かってダークサンダーを振りかざす。
“ジャキーン!”
永夢がガシャコンブレイカーのAボタンを押して、「ブレードモード」に変形させた。ガシャコンブレイカーとダークサンダーが激しくぶつかり合う。
ユガンデとダークサンダーの動きを見極めて、永夢がガシャコンブレイカーを振りかざす。彼の一閃がユガンデの体を捉える。
「このままフィニッシュを決めるぜ!」
永夢がゲーマドライバーにあるガシャットをガシャコンブレイカーに移す。
“ガシャット!キメワザ!”
彼が構えるガシャコンブレイカーにエネルギーが集まっていく。
「我が力を解放して、エグゼイド、お前を粉砕する・・」
ユガンデがダークサンダーを振り上げて、エネルギーを集中する。
“マイティクリティカルフィニッシュ!”
永夢もガシャコンブレイカーを振り上げて縦に回転して突っ込む。2人の全力の一閃がぶつかり合って、激しい衝撃が周囲に巻き起こる。
永夢が激突に競り勝ち、ユガンデにガシャコンブレイカーを叩きつけた。
「ぐっ!」
体を切り裂かれてユガンデがうめく。
“会心の一発!”
決定打を受けた彼に永夢が振り返る。
「このような者が存在していたとは・・・」
体から電気を放出しているユガンデが、永夢に目を向けて声を振り絞る。
「だが、このまま野放しにはしないぞ・・・!」
ユガンデが残された力を使って、左手を強く振りかざした。左手の先の空間が、ガラスのように割れた。
「な、何だ!?」
突然開かれた次元の穴の引力に引っ張られて、永夢が驚く。力尽きたユガンデが倒れて、爆発を起こした。
「引きずられる・・入ってしまったら、どこに連れて行かれるか・・・!」
引力に耐える永夢だが、次元の穴に吸い込まれてしまう。
「うわあっ!」
次元の穴の中に落ちて、永夢がその暗闇の中に消えていった。
コルドを追って次元の穴に飛び込んだオーブ。穴の先の宇宙空間に浮遊して、彼は周りを見回してコルドの行方を探る。
「別の宇宙に来てしまったようだ・・ヤツはどこに行った・・!?」
オーブが呟きながら、感覚を研ぎ澄ませてさらにコルドを探した。
そのとき、オーブの前に1体の怪物が近づいてきた。コウモリやハチを思わせる姿かたちをした怪物である。
「何だ、コイツは!?・・見たことのない怪獣だが・・・!?」
オーブが怪物を見て警戒する。次の瞬間、怪物が翼をはばたかせて突風を起こしてきた。
「ぐっ!」
怪物から奇襲を受けて、オーブがたまらずうめく。怪物が尻尾の針から光の針を飛ばしてきた。
オーブが反応して横に動いて、光の針をかわす。
「邪悪な意思で攻撃を仕掛けてくるなら、オレも容赦しないぞ!」
ガイが怪物「ギガンテス」となったバットイマジンに言い放って、新たなウルトラフュージョンカードを手にした。
「ジャックさん!」
“ウルトラマンジャック!”
「ゼロさん!」
“ウルトラマンゼロ!”
ガイがウルトラマンジャックとゼロのカードをオーブリングにリードさせる。
「キレのいいヤツ、頼みます!」
“フュージョンアップ!”
彼がジャックとゼロの姿と力を宿す。
“ウルトラマンオーブ・ハリケーンスラッシュ!”
オーブが青い姿へと変わる。彼はスピード重視の姿「ハリケーンスラッシュ」になった。
「光を超えて、闇を斬る!」
オーブが腕組みをして、バットイマジンに言い放つ。その彼にバットイマジンが尻尾から電撃のようなビームを放ってきた。
オーブは素早く動いてビームをかわして、バットイマジンの眼前まで一気に詰め寄った。彼が両腕を振りかざして、手刀をバットイマジンの胴体に叩き込んでいく。
バットイマジンがオーブから離れて、光の針を連射する。
「オーブスラッガー!」
オーブが頭にある2本の武器「オーブスラッガー」を飛ばして、光の針をはじき飛ばしてバットイマジンに命中させる。
オーブがオーブスラッガーを手元に戻して、回転を加える。
「オーブスラッガーランス!」
彼がオーブスラッガーを槍「オーブスラッガーランス」に変えて手にする。
バットイマジンが光の針を飛ばすが、オーブがオーブスラッガーランスを回転させてはじき飛ばす。オーブがバットイマジンに詰め寄って、オーブスラッガーランスを叩きつける。
「トライデントスラッシュ!」
オーブがオーブスラッガーランスのレバーを3回引いて振りかざす。彼がバットイマジンを連続で斬りつける。
バットイマジンが突き飛ばされて宇宙を流れていく。
「オーブランサーシュート!」
オーブがオーブスラッガーランスのレバーを1回引いて、光線を発射する。バットイマジンが光線を浴びて爆発を起こした。
「やった・・しかし何者だったんだ、アイツは・・・?」
バットイマジンに対して疑問を感じていくオーブ。初めて見る脅威に、彼の感じている不安はふくらんでいた。
そのとき、オーブが突然横から突き飛ばされた。
「今度は何だ!?」
振り返ったオーブの前に赤、青2人ずつの怪人の兵士が現れた。
「またおかしな連中が出てきたか・・どうなっているんだ、この宇宙は・・!?」
次々に現れる襲撃者に毒づくオーブ。
そのとき、オーブの胸にあるO字のランプ「カラータイマー」が赤く点滅を始めた。直後に彼の体からジャックとゼロの姿がはがれかかる。
ウルトラマンの多くは胸にカラータイマーがある。普段は青だが、エネルギーが少なくなると赤くなって点滅をして警告を知らせる。
「エネルギーを使いすぎた・・このままでは・・!」
度重なる戦いでの消耗に、オーブが危機感を覚える。
「見慣れないウルトラマンだ!いずれにしろ始末する対象だ!ここで処刑だ!」
赤い怪人、ドゴーミンの1人が槍を構えて、切っ先をオーブに向ける。
「やれ!」
ドゴーミンの号令で、青い兵士、スゴーミンがオーブに飛びかかる。オーブが応戦するが、体力の消耗で動きが鈍る。
さらにドゴーミン2人も加勢してオーブを攻め立てる。オーブがオーブスラッガーランスをはじき飛ばされる。
「しまった!」
声を上げるオーブがドゴーミン、スゴーミンの振りかざす槍を立て続けに受ける。反撃もままならず、オーブは防戦一方となる。
そのとき、絶体絶命のピンチに陥ったオーブの近くに、次元のトンネルが開かれた。
「まだ次元が!?また何か出てくるのか!?」
さらなる敵の出現を予感して、オーブが息をのむ。次元のトンネルから出てきたのは、デスティニーたちとラグナログだった。
「今度はロボットか!」
オーブがデスティニーたちにも警戒を向ける。シンたちもドゴーミンたちと交戦しているオーブを目にした。
「あれはウルトラマンだ!でも見たことのないウルトラマンだ・・!」
「それじゃここも、別の世界の宇宙・・!?」
シンとルナマリアがオーブとドゴーミンたちを見て、自分たちがまた次元を超えたことに気付いて、緊張と戸惑いを覚える。
「えっ!?ウルトラマン!?ど、どういうことですか!?」
彼らの口にした言葉に、ハルは疑問符を浮かべていた。
「まさかここが、以前に話してくれた平行世界か・・!?」
ブラッドがシンたちからかつて聞いた話を思い返す。
「それじゃ、あの巨人は私たちの味方・・!?」
「多分、オレたちの味方だと思う・・!」
ソラが聞いてきて、シンが頷く。彼はウルトラマンへの信頼を強固としていたが、偽者や邪悪なウルトラマンである可能性も考えられたため、警戒を解こうとはしなかった。
「確実なのは、あのウルトラマンを襲っているのが私たちにとっても敵ということ・・!」
ルナマリアがドゴーミンたちに目を向けて、すぐに攻撃に出れるよう備えた。
「まずはあの4人を攻撃する・・!」
「はい!」
ブラッドが意を決して、ハルが答える。デスティニーとインパルスが先行して、ドゴーミン、スゴーミンに向けてビームライフルを発射する。
ドゴーミンたちがビームをかわして、オーブから離れる。
「大丈夫か、ウルトラマン!?」
「ウルトラマンを知っているのか・・!?」
声をかけてきたシンに、オーブが驚きを覚える。
「近くに空気のある星がある・・そこに避難してくれ・・!」
「分かった・・エネルギーを回復させたらすぐ戻る・・!」
シンの言葉を聞いて、オーブが近くにある星に向かった。
「逃がすか!」
ドゴーミンたちがオーブを追いかけようとするが、ファルコンとジャッジが行く手を阻んだ。
「お前たちの相手はオレたちだ・・!」
ブラッドが言いかけて、ジャッジが2つのビームライフルを発射する。ドゴーミンは回避するが、スゴーミンは射撃を受けてダメージを負う。
「おのれ!あれがモビルスーツというヤツか!」
「まずはコイツらを仕留めて、あのウルトラマンを追うぞ!」
ドゴーミンたちが声をかけ合って、スゴーミンたちとともに構える。
スゴーミンの1人が振り下ろした槍を、デスティニーがサーベルの長さにしたビームソードで受け止める。デスティニーが続けて左手を突き出して、パルマフィオキーナでスゴーミンを突き飛ばす。
「これで撃ち抜く!」
シンが言い放って、デスティニーが両腰に搭載されているビーム砲を展開、発砲する。スゴーミンが体をビームに貫かれて、爆発を起こした。
その直後、もう1人のスゴーミンがデスティニーを後ろから狙ってきた。
「甘いよ!」
そこへルナマリアのインパルスが飛び込んで、ビームサーベルでスゴーミンを切りつけてきた。
「私がいることを忘れないでよね!」
ルナマリアがさらに言い放って、インパルスがさらにビームサーベルを振りかざす。ビームの刃がスゴーミンの体を貫いた。
「モ、モビルスーツが・・人間が我らに敵うなど・・・!?」
うめくスゴーミンからビームサーベルが引き抜かれる。致命傷を負ったスゴーミンが、虚空の中で爆発した。
「大丈夫、シン!?」
「あぁ・・助かった・・!」
心配の声をかけるルナマリアに、シンが微笑んで答える。2人がドゴーミンたちと交戦するソラたちに目を向ける。
ビームライフルでの射撃を続けるジャッジに対して、ドゴーミンが距離を詰めて、槍を振りかざす。だがジャッジが両手のビームダガーを出して、ドゴーミンの攻撃を受け止めた。
「接近戦なら有利に立てると思ったら、大間違いだぞ・・・!」
ブラッドは低い声で告げて、ジャッジがビームダガーを振りかざしてドゴーミンを突き飛ばす。ジャッジが続けてレールガンを発射して、ドゴーミンを撃ち抜いた。
「ドゴー!」
ドゴーミンが絶叫を上げて、爆発を起こして消滅した。
「私たちも負けてられないね!」
「うんっ!行くよ、ソラ!」
ソラとハルが声をかけ合う。ハルが操縦するファルコンが、ビームサーベルを手にしてドゴーミンに向かっていく。
ドゴーミンが槍を振りかざして迎撃するが、ファルコンのビームサーベルによる速い攻撃に連続で斬りつけられる。
「ドゴー!」
絶叫を上げるドゴーミンが抵抗しようと槍を振りかざす。が、ファルコンがビームサーベルを振りかざして、槍をはじき飛ばす。
ドゴーミンが力尽きて爆発を起こした。
「やったー♪」
「やったね、ソラ!」
ソラとハルが喜んで、手で軽く叩く。2人がシンたちに目を向ける。
「あのウルトラマンを追おう。今回のことで、何か知っているかもしれない・・」
シンが呼びかけて、ルナマリアたちが頷く。デスティニーたちがオーブの行った星に向かった。
惑星グラン。空気があり生き物の住める環境にあるが、大半が荒野の星である。
シンたちに助けられたオーブは、グランの荒野の1つに降り立った。一瞬ふらついた彼は、意識を集中して変身を解いた。
「危ないところだった・・あのロボットたちが来てくれなかったら、どうなっていたか・・・」
デスティニーたちが助けてくれたことに、ガイは安心と感謝を感じていた。
「とんだ援軍がいたものだ。おかげでお前を追い詰めることができた・・」
そこへコルドが現れて、ガイをあざ笑ってきた。
「しかもさらに協力者が来てくれた・・」
コルドが笑みをこぼすと、3体の怪人が姿を現した。3人ともカメの姿をした怪人である。
「またおかしなヤツらを連れてきたな・・しかもカメばっか・・・!」
ガイが3人の怪人、カメバズーカ、イワガメ怪人、リクガメヤミーを見てガイが呆れる。
「エネルギーを消耗したお前は、オーブに変身する力も残っていまい!しかもこれだけの勢力!お前に勝ち目は残っていない!」
コルドが勝ち誇って、ガイをあざ笑う。
(ヤツの言う通り、今のオレには変身して戦う体力が残っていない・・どうすれば・・!?)
窮地に立たされたガイが打開の糸口を必死に探す。
そのとき、ガイとコルドたちのそばに次元の穴が開いた。
「ま、またか!?」
次々に開く次元のトンネルに声を上げるガイ。トンネルから出てきたのは、エグゼイドに変身している永夢だった。
「こ、今度は誰だ!?」
「えっ!?ここは、どこ!?」
ガイと永夢が互いの顔を見合って驚きの声を上げる。
「むむ!?もしやヤツは、新しく現れた仮面ライダー、エグゼイドでは!?」
カメバズーカが永夢を見て声を上げる。
「仮面ライダー!?・・そういえばゼロさんたちから聞いたことがある・・別の世界で、人々を守っている戦士がいると・・・!」
ガイが記憶を巡らせて呟く。彼は仮面ライダーやスーパー戦隊、ガンダムの世界のことは聞いていた。
「だが仮面ライダーも1人!まとめてかかれば十分勝てる!」
「お前たち2人はエグゼイドを倒せ!オレはそいつのとどめを!」
コルドが声を上げて、カメバズーカが呼びかける。イワガメ怪人とリクガメヤミーが永夢に向かっていく。
「バグスターじゃない・・カメばっかりだけど・・・!」
永夢がカメバズーカたちを見て呟く。
「でも悪さをする敵なら、遠慮はしないぞ!」
彼が意気込みを見せて構えを取った。
そのとき、永夢が装着しているエグゼイドの装甲から警告音が鳴り出した。装甲の左胸部分にある「ライダーゲージ」が少なくなっていた。
「そのライダーにも活動限界があるのか・・!?」
ガイが永夢を見て息をのむ。ユガンデとの戦いで永夢はエネルギーを消耗していた。
窮地に追い込まれた永夢に、イワガメ怪人が飛びかかる。永夢がとっさに投げ飛ばすが、イワガメ怪人は空中で手足と頭を引っ込めて突撃してきた。
「うあっ!」
永夢が突き飛ばされて横転する。その先で待ち構えていたリクガメヤミーが、持っていた鉄球を振りかざした。
「ぐっ!」
鉄球をぶつけられて装甲から火花が散って、永夢がうめく。
「ま、まずい!」
変身できないことを承知の上で、ガイが永夢を助けようとする。だがコルドとカメバズーカが行く手を阻む。
「貴様を処刑するのはこのオレだ!」
カメバズーカが言い放って、背中にあるバズーカを発射した。
「うわっ!」
とっさに横に飛ぶガイだが、砲撃の爆発の爆風に押されて地面に倒される。永夢もイワガメ怪人とリクガメヤミーの攻撃で悪戦苦闘に追い込まれる。
「ウルトラマンオーブだけでなく仮面ライダーエグゼイドも仕留められる!まさに一石二鳥だ!」
ガイと永夢を見てコルドが勝ち誇る。カメバズーカたちがガイたちに迫る。
そのとき、突然1列の電車が線路を形成しながら走行してきた。
「な、何だ!?」
ガイと永夢の驚きの声が重なる。彼らのそばで停車した電車「デンライナー」から1人の青年が出入り口から顔を出した。
「やっぱりエグゼイドもオーブもこの世界に来てたみたいだ・・・!」
青年が言いかけて、デンライナーから降りようとした。次の瞬間、彼が足をつまづいて地面に転んだ。
「イタタタタ・・・!」
“おいおい、相変わらずなんだから、良太郎は・・”
痛がりながら立ち上がる青年、野上良太郎に向かって声がかかる。
「心配かけてゴメンね・・行くよ、モモタロス・・」
声の主、モモタロスに声をかけてから、良太郎がベルト「デンオウベルト」を身に着けて、赤いボタンを押す。するとベルトから特有の音が流れる。
「変身・・!」
良太郎がデンオウベルトに、手にした「ライダーパス」をかざす。
“Sword form.”
彼の体を赤い装甲が包み込んだ。変身したのは電王。形態の1つ「ソードフォーム」である。
「オレ、参上!」
良太郎が高らかに言い放ってポーズを決めた。
特異点である良太郎は、「イマジン」と呼ばれる怪人と一体になることができる。今の彼にはイマジンの1人、モモタロスが憑依していた。
「またおかしなことになってるみてぇだが、久しぶりに大暴れできそうだ・・!」
モモタロスが笑みをこぼして、コルドたちを見渡していく。
「電王!?ヤツもこっちに来てたのか!?」
カメバズーカがモモタロスを見て驚きを見せる。
「こうなれば・・お前たち、オーブとエグゼイドを仕留めろ!」
カメバズーカがイワガメ怪人とリクガメヤミーに呼びかけて、モモタロスに向かっていく。
「1人ずつじゃ物足りねぇなぁ・・みんなまとめてかかってこいよ!」
モモタロスが強気に言って手招きする。
「慌てるな!お前にとどめを刺すのは、オーブたちを先に始末してからだ!」
「おめぇらの都合なんて知るかよ!オレは最初からクライマックスなんだよ!」
怒鳴りかかるコルドだが、モモタロスは強気な態度を変えない。彼が武器「デンガッシャー」を「ソードモード」にして手にする。
「行くぜ、行くぜ、行くぜー!」
モモタロスがカメバズーカに飛びかかって、デンガッシャーを振りかざす。カメバズーカが距離を取って、バズーカを発射する。
モモタロスがジャンプで砲撃をかわすが、爆発の飛び火がガイや永夢にまで届く。
「おいおい、オレたちのことも考えてくれよな!」
力を振り絞って回避するガイが、モモタロスに文句を言う。
「おめぇの攻撃なんて当たりゃしねぇんだよ!」
モモタロスが言い放って、デンガッシャーでカメバズーカを切りつけていく。
「いたっ!」
そこへリクガメヤミーに背中に鉄球をぶつけられて、モモタロスがうめく。
「後ろからいてぇじゃねぇか!まとめて叩き潰してやるぜ!」
モモタロスが不満の声を上げて、ライダーパスをデンオウベルトにかざす。
“Full charge.”
彼がパスを放り投げて、エネルギーを集めたデンガッシャーを構える。
「必殺!オレの必殺技・パート1!」
モモタロスが突っ込んで、デンガッシャーを振りかざしてカメバズーカを切りつけた。
「ズーカー!」
絶叫を上げるカメバズーカが、倒れて爆発を起こした。
「ヘッ!決まったぜ!」
モモタロスが勝ち誇って、コルドたちに振り返る。
「すごい・・!」
「粗削りだが、力は半端じゃないな・・!」
モモタロスの戦いぶりを見て、永夢とガイが声を上げる。
「さぁ、次にオレの必殺技を食らいてぇヤツはどいつだ!?」
“先輩、ひとり占めはずるいんじゃないかな?”
さらに意気込むモモタロスに向かって声がかかる。
「ちぇ!仕方ねぇな!しくじるんじゃねぇぞ!」
“そんなことにはならないよ。先輩じゃないんだから。”
「何だとー!?」
声に対してモモタロスが怒鳴りかかる。
“2人ともケンカしてる場合じゃないよ・・”
良太郎が言いかけて、モモタロスが気分を落ち着かせる。彼がデンオウベルトの青いボタンを押す。
“Rod form.”
電王の装甲が1度外れて、別の形状で装着された。別形態「ロッドフォーム」となった。
同時にもう1人のイマジン、ウラタロスがモモタロスと入れ替わりで良太郎に憑依した。
「お前、僕に釣られてみる?」
ウラタロスが言いかけて、デンガッシャーを「ロッドモード」にする。
「カメを作るのは、共食いって感じでいい気がしないんだけどねぇ・・」
乗り気がしない素振りを見せる彼に、イワガメ怪人が飛びかかる。しかしデンガッシャーを体に突き立てられる。
「鶴は千年、亀は万年。千の偽り、万の嘘。いつでも手玉に取らないとね。釣りも女性も。」
ウラタロスは笑みをこぼして、デンガッシャーを振りかざす。しかしデンガッシャーを叩きつけられても、イワガメ怪人は平然としている。
「さすがイワガメ。硬い甲羅は伊達じゃないって?でも・・」
言いかけるウラタロスがデンガッシャーを振り下ろす。デンガッシャーがイワガメ怪人の頭に直撃する。
「僕のテクニックのほうが硬いよ。」
優雅な素振りを見せるウラタロス。彼の打撃を受けてイワガメ怪人が絶叫を上げる。
「さて、そろそろおろしますか。
“Full charge.”
ウラタロスが拾ったライダーパスをデンオウベルトにかざして、デンガッシャーを投げつける。亀甲型の光の網が現れて、イワガメ怪人が動きを止められる。
ウラタロスがジャンプして、イワガメ怪人の頭にキックを当てた。突き飛ばされたイワガメ怪人が倒れて爆発を起こした。
「ぐっ!カメバズーカだけでなく、イワガメ怪人も!?」
コルドが電王の力に驚きを隠せなくなる。ウラタロスの前にリクガメヤミーが立ちはだかる。
「僕が独占するのは素敵な女性だけさ。キンちゃん、後は任せたよ。」
ウラタロスが言いかけて、デンオウベルトの黄色のボタンを押した。
“Axe form.”
電王の装甲がまた形を変えて、「アックスフォーム」となった。ウラタロスと入れ替わりに、良太郎の体に金色のイマジン、キンタロスが入った。
「よっしゃ!任された!」
キンタロスが意気込みを見せて、デンガッシャーをアックスモードにして手にする。
「オレの強さに、お前が泣いた!」
キンタロスが言いかけて、リクガメヤミーに向かっていく。
リクガメヤミーが投げつける鉄球を、キンタロスが左手ではたいていく。彼がデンガッシャーを振りかざして、リクガメヤミーを連続で切りつけていく。
「どや!オレの強さは泣けるやろ!」
力強い攻撃を受けて倒れたリクガメヤミーに向かって、キンタロスが上機嫌に言い放つ。
「最後に1発、ドデカいのを行くで!」
“Full charge.”
デンオウベルトにライダーパスをかざして、デンガッシャーにエネルギーを集めるキンタロス。リクガメヤミーが投げつけた鉄球をジャンプでかわして、急降下しながらデンガッシャーを振り下ろした。
デンガッシャーの一閃を受けて、リクガメヤミーが真っ二つにされて爆発した。
「ダイナミックチョップ。」
着地したキンタロスが静かに呟いた。
「3人の怪人が全滅!?・・信じられん・・!」
コルドが窮地を覚えて逃亡を図る。
“ねぇねぇ♪今度は僕にやらせてよー♪”
そのとき、キンタロスに向かって別の声がかかってきた。
「それは構へんが、あの弱そうなのだけやで?」
“いいよ、いいよ♪みんなやって僕だけやらないなんてずるいよー♪」
聞いてくるキンタロスにイマジン、リュウタロスが無邪気に答える。キンタロスがデンオウベルトの紫のボタンを押した。
“Gun form.”
電王の装甲が変わって、良太郎にキンタロスの代わりにリュウタロスが入った。彼は「ガンフォーム」へと変身した。
「お前倒すけどいいよね?」
リュウタロスがコルドを指さして声をかける。
「ふざけるな!倒していいかと聞かれていいと答えるバカがいるか!」
「答えは聞いてない!」
コルドの文句を聞かずに、リュウタロスが「ガンモード」にしたデンガッシャーを発射する。とっさに逃げようとするコルドだが、かわし切れずに射撃されていく。
「それじゃ派手にとどめ、いっちゃうよー!」
“Full charge.”
リュウタロスがエネルギーを集めたデンガッシャーを構えて、エネルギーの球を発射する。
「う、うわあっ!」
逃げようとするコルドがエネルギーの球の直撃を受けて爆発、消滅した。
「すごい・・これが、電王・・・!」
「仮面ライダーが、まだまだたくさんいたんだ・・しかも、あんなにコロコロ変わって・・・!」
ガイと永夢が電王の強さを目の当たりにして、戸惑いを感じていた。