ザ・グレイトバトル

-地球人と宇宙人-

第1章

 

 

ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、ガンダム。
地球や宇宙の平穏、正義と平和、それぞれの大切なものを守るために戦う存在。

地球と宇宙を守るため。
地球人と宇宙人、双方の戦士が厳しい戦いに身を投じる。


 地球から遠く離れた惑星「フワン」。かつてあった惑星「F4」の衛星と言える星で、地球における月に相当する。
 そのフランの復興を、その人々が進めていた。
 その復興の指揮の中心にいたのが、1人の女性、ウルトラウーマンセレーナだった。
 セレーナはフワンの王女で、かつてフワンが襲撃された際に地球へ逃げることになった。その地球に留まっていたのが、彼女の知り合いだったウルトラマン、フォースだった。
(私たちは必ず、このフワンを復興してみせる。)
 フワンを元のすばらしい星に戻す。セレーナはそのために人々を指揮して、自らも作業に当たった。
「今日もありがとうございます、セレーナ様。」
 フワンの住人の1人がセレーナにお礼を言ってきた。
「みんなで力を合わせること。その大切さを私は学んだんだよ。」
 セレーナが答えて、地球で過ごした時間を思い出す。
「今頃どうしているかな、ナツたち・・」
 彼女は地球で出会った人のことも思い出していた。
 「Gフォース」。機動兵器「モビルスーツ」を主力とする防衛チームで、その隊員たちはその操縦に長けている。
 地球に来たセレーナはGフォース隊員の1人、羽鳥ナツと一体となって、自分と地球を狙ってきた宇宙大魔王、ジャッカルの軍団と戦った。
 セレーナはナツと別れて、フワンへ戻って復興を進めていた。
(もう1度地球へ行きたい・・もう1度ナツたちに会いたい・・でも今はそのときじゃない・・)
 心の中で本音を呟くセレーナだが、フワンの王女としてやるべきことがあるという自覚も持っていた。
(フォース、あなたも私と同じ気持ちなのかな・・?)
 セレーナは1人の男のことを考えて、空を見上げた。

 フランから離れた宇宙を、1人の巨人が飛行していた。
 巨人の名はウルトラマンフォース。かつてフランの近くにあった惑星「F4」出身の戦士である。
 フォースはセレーナより先に地球に来た。彼はしばらく地球に滞在して、地球や宇宙を脅かす敵と戦い続けた。
 フォースも今は地球を離れて、宇宙のパトロールをしていた。
 ところが今、フォースはある敵の襲撃を受けて、攻防を繰り広げていた。
(光線も物理攻撃も通じない・・どうなっているのだ・・!?)
 自分の使う攻撃が通じないことに、フォースが焦りを感じていく。
「このオレの新技には、さすがのウルトラ戦士も手も足も出ないようだな!」
 彼と対峙する敵、サーベル暴君マグマ星人スクルが勝ち誇る。
「ギラス怪獣のスピンを応用し、オレのスピードを掛け合わせて編み出した“スクルスピン”は、誰にも破れはせんぞ!」
 スクルが自分の必殺技を自信を込めて語る。
 かつて同族のマグマ星人が部下の双子怪獣ブラックギラス、レッドギラスの使った回転技「ギラススピン」。その攻防一体の技を、スクルは応用して新たな技を編み出した。
「ギラススピンを応用しているなら、対処法は分かっている・・!」
 思い立ったフォースがスクルの動きを見計らいながら飛行する。
「そのこともオレは先刻承知だ!同じ手は通用せん!」
 スクルが勝ち誇って、体を回転させてフォースに突っ込んできた。
「スピンにはスピンだ!」
 言い放つフォースも体を回転させて、そのままスクルの頭目がけてキックを繰り出した。
「甘い!」
 スクルが回転の方向を変えて、フォースのキックをはじいた。
「何っ!?」
 吹き飛ばされたフォースが驚きの声を上げる。
「そう簡単に回転の隙間を狙わせてたまるか!」
 スクルが回転しながら高笑いする。
「ヤツの回転を見切って当てるしかないか・・・!」
 フォースが集中力を高めて、スクルの動きを細かく見計らう。
「オレの力、徹底的に貴様に叩き込んでやるぞ!」
 スクルが言い放って、フォースに突撃してきた。フォースが何度も攻撃されて、ダメージを増していく。
「このままではやられる・・・!」
 絶体絶命を痛感して、フォースが焦りをふくらませる。
 そのとき、紅い炎のような光のトンネルが現れて、中から1人の男が飛び出してきた。
「貴様は!」
 スクルがその男を見て驚く。
 男が炎を灯した右足のキックを繰り出した。スクルが回転を駆使してキックを受け止めて、互角の力比べを繰り広げる。
「ウルトラゼロキック!」
 さらにもう1人、男が飛び込んできて炎のキックを繰り出した。彼はスクルの頭上を狙って突っ込んできた。
「うっ!」
 スクルが左肩にキックを当てられて突き飛ばされた。
「ウルトラマンレオ、ウルトラマンゼロ・・貴様らもここに来ていたのか・・!」
 スクルが踏みとどまって、2人の男、レオとゼロに鋭い視線を向ける。
「助かりました、レオ、ゼロ・・あなたたちがいなかったら、危ないところでした・・・」
 フォースがレオたちに近づいて、礼を言う。
「気を抜くな、フォース。オレたちの戦いは、絶対に勝たなければならない戦いだ・・!」
 レオがスクルの動きを見ながら、フォースに檄を飛ばす。
「アイツはただのマグマ星人じゃない。かなり自分を鍛えてきたみてぇだ・・!」
 ゼロもスクルに対して警戒を強める。
「だがウルトラ戦士が何人出てこようと、今のオレの敵ではない!」
 スクルが強気な態度を見せてから、再び回転して突っ込んできた。フォースたちが動いて、突撃をかわした。
「あの回転は攻撃力も防御力も高い・・回転の方向を変えることで、その威力を上げている・・しかしスピードがある分、動きが大きくなっている・・!」
 フォースがスクルの動きを見て、スクルスピンの特徴と弱点を見抜いた。
「気付いたか、フォース。その隙を突ければ、ヤツを倒せる・・!」
 それを聞いたレオが頷く。スクルが旋回して彼らに向かっていく。
「貴様らに勝ち目はない!大人しくやられた方が楽になれるぞ!」
「そんなもんでオレたちに勝とうなんて、2万年早いぜ!」
 笑い声を上げるスクルにゼロが言い返す。フォースとゼロが突撃をかわして、後ろからスクルに攻撃しようとした。
 そのとき、鎖鎌が飛んできて、フォースの腕に巻き付いた。
「これは!?」
「貴様たちのいい気にはさせんぞ、ウルトラ戦士!」
 声を上げるフォースの前に、もう1人の宇宙人が現れた。フォースを捕まえた鎖鎌は彼が出したものだった。
「ババルウ星人!お前もいたのか・・!」
「オレはババルウ星人ウルガ。レオ、ゼロ、フォース、貴様たちの首はオレが取る!」
 ゼロが声を上げて宇宙人、ウルガが言い放つ。
「邪魔をするな、ウルガ!ヤツらはオレの獲物だ!」
「オレが加勢しなければ、貴様は倒されていた。そのスピンの弱点にヤツらは気付いた。」
 怒鳴るスクルにウルガが言い返す。
「それに、オレが手出ししなくても、他のヤツらが動き出しているぞ。」
「何っ!?」
 ウルガの話を聞いて、スクルが驚く。
「バラノイアとガイアークが結託して、ともにフワンを侵略しに向かった。」
「何だと!?フワンが!?」
 ウルガがスクルに続けて言って、フォースが驚きの声を上げる。
「セレーナだけで軍勢を防ぎ切るのは難しい・・私が行かなければ・・・!」
 フワンとセレーナを心配するフォースが、レオとゼロに振り向く。
「あの2人の相手をお願いします・・私は先にフワンに向かいます・・!」
 フォースはレオたちに頼んでから、ウルガの鎖鎌を振り払ってフワンへ急行した。
「行かせはせん!」
 スクルがフォースを追いかけて、ウルガがレオたちの前に出る。
「貴様たちの相手は我々だ・・!」
「我々?他にも仲間がいるっていうのか!?」
 笑みをこぼすウルガに、ゼロが問いかける。
 そのとき、レオたちに向かってビームが飛んできた。レオたちが後ろに下がってビームをかわした。
 3体の形の異なる円盤が飛んできた。しかしそれらは本物の円盤ではなかった。
 ノーバ、ロベルガー、ロベルガー2世。悪魔の惑星「ブラックスター」で生まれた、円盤形態と巨大生物の姿を兼ね備えた「円盤生物」のうちの3体である。
「お前たち、円盤生物まで従えていたか・・!」
「新たに現れたコイツらを、オレの命令も聞くようにしたのだ!」
 レオが言いかけて、ウルガがノーバたちに目を向けて語る。
「一斉攻撃で貴様たちを始末してやるぞ!行け、円盤生物たち!」
 ウルガが命令して、ノーバたちが怪獣の姿となってレオたちに襲いかかってきた。
 レオがノーバを、ゼロがロベルガー2体を迎え撃つ。
 レオが正拳突きを繰り出して、ノーバを突き飛ばしてその先の隕石に叩きつけた。急降下するレオがノーバの目からのビームをかわして、隕石に着地した。
 ロベルガーたちが両手を素早く振って、光の球を連射する。ゼロも両手で弾をはじいて、ロベルガーたちに近づいていく。
 ゼロが勢いに乗ってのパンチを繰り出すと、ロベルガーたちが左右に動いてかわして後ろへ回る。するとゼロは頭部にある2つの刃「ゼロスラッガー」を投げて、ロベルガーたちの出すビームをはじいた。
 ロベルガーたちが二手に分かれて、続けて手から光の球を連射する。ゼロスラッガーを手にして振りかざすゼロだが、全ての球をはじき切れず、数発を当てられる。
「2対1とはいえ、オレを追い込むとはやるじゃねぇか・・それならオレも本気でやらせてもらうぜ!」
 笑みをこぼすゼロが、左腕に装備している「ウルティメイトブレスレット」に意識を傾けた。
「ルナミラクルゼロ。」
 ゼロの体の赤が青に変わった。
 ウルティメイトブレスレットには2人のウルトラマン、ダイナとコスモスの力が宿っている。ゼロの青い姿「ルナミラクルゼロ」はダイナの「ミラクルモード」とコスモスの「ルナモード」の力を宿していて、スピードと特殊能力に長けている。
 ロベルガーたちが手を振って光の球を連続で放つ。
「ミラクルゼロスラッガー。」
 ゼロが放ったゼロスラッガーが分裂して、光の球を全てはじき飛ばした。
 ロベルガーがゼロに向かって突っ込んで、目からビームを放つ。ゼロは素早く回避して、ロベルガーの背中に手を当てた。
「レボリウムスマッシュ。」
 ゼロが手から衝撃波を放って、ロベルガーが吹き飛ばされて隕石にぶつかった。
 直後にロベルガー2世が突っ込んできて、ゼロを後ろから組み付こうとした。その瞬間にゼロの姿が残像となって消えた。
 次の瞬間にゼロが距離を詰めて、ロベルガー2世を吹き飛ばした。
 同じ頃、レオがノーバが伸ばす腕の鞭を回避していた。
「お前の力は把握している。オレには通用しない・・!」
 レオが言いかけて、ノーバに近づいて水平のチョップを繰り出す。ノーバが打撃を体に当てられて、大きく突き飛ばされた。
「ババルウ星人がいない・・フォースを追っていったのか・・・!」
 ウルガが周囲にいないことに気付いて、レオがフォースが飛んでいった方に意識を傾けた。

 自分たちが頂点であると豪語している機械のいるマシン帝国「バラノイア」と、破壊や汚染で世界の支配を企む蛮機族「ガイアーク」。
 双方のトップの座にいたカイザーブルドントとヨゴシマクリタインが、全宇宙征服のために結託して、フワンに向かっていた。
「あれがウルトラマンフォースと所縁のある惑星、フワンであるナリナ。」
 ヨゴシマクリタインがフワンを見下ろして呟く。
「そうだ。地球人たちの見せしめのため、あそこにいるウルトラ戦士とウルトラマンフォースを始末する。」
 ブルドントが答えて、フワンへの攻撃に踏み切る。
「まずはこの星を支配し、ヒューマンワールド、地球への攻撃の前線基地とするナリナ。」
「このフワンはかつてあった惑星F4にとっての月。地球人への復讐心を高めるにはふさわしい・・!」
 ヨゴシマクリタインが口にした言葉に答えて、ブルドントが地球への憎しみを増していく。
「ではフワンへ攻撃するぞ!行け、バーロ兵!」
「ウガッツよ、貴様らの先陣を切るナリナ!」
 ブルドント、ヨゴシマクリタインの命令で、戦闘員であるバーロ兵、ウガッツがフワンへ次々に降り立った。
「な、何だ、コイツらは!?」
「新たなる侵略者か!?」
 人々がバーロ兵たちを見て声を上げる。
「早くセレーナ様に知らせないと!」
 彼らが慌ててセレーナに知らせに向かう。
 バーロ兵が人々や町を狙って目からビームを放つ。地面で爆発が起こって、ビームが当たった建物が破壊されていく。
 ウガッツたちも武器を手にして、人々を追いかける。
 そのとき、人々とウガッツたちの間に光が飛び込んだ。ウガッツたちが光に阻まれて立ち止まる。
「あの兵士たちの相手は、私がするよ!」
 セレーナが降り立って、バーロ兵とウガッツの前に立ち塞がった。
「セレーナ様・・!」
「ありがとうございます、セレーナ様!」
 人々が戸惑いを感じて、この場から離れた。
「いくら慎重さがあっても、悪いことを企んでいるなら容赦はしないわよ・・!」
 セレーナがバーロ兵たちを見下ろして言い放つ。慎重さが大きくても、彼女はフワンを守るために戦おうとしていた。
 バーロ兵が目から、ウガッツが持っている銃からビームを放つが、巨大なセレーナには通じない。
「早くこの星から出ていきなさい!」
 セレーナが手を振りかざして、バーロ兵とウガッツを町から吹き飛ばした。
「おお!やった!」
「さすがセレーナ様!」
 彼女の活躍を見て、人々が喜ぶ。
「町やみんなが巻き込まれないように、敵を人のいない場所へ追い払うよ!」
 セレーナが言い放つと、両手を前に出して意識を集中する。
「セレーナウェーブ!」
 彼女が放った念力によって、バーロ兵とウガッツが町の外の荒野へ飛ばされた。
「ここなら思い切りやれるわね!すぐに片づけるよ!」
 セレーナが言い放って、バーロ兵たちに見下ろして構えを取った。
 そのとき、上空からビームが飛んできて、地上にぶつかって爆発を起こした。セレーナがとっさに身構えて爆発に耐えた。
「トップに立つ者は、常に前線に立ち続けた上で絶対的な力を見せつける者のことである。
 セレーナの前に巨大な怪人が現れた。
「あなたは・・!?」
「吾輩はガイアーク害統領、バッチードである。ガイアーク総裏大臣と別行動を取っていたが、今この惑星で合流したのである。」
 問いかけるセレーナに怪人、バッチードが名乗る。
「この敵の首領の1人ということね・・このフワンには手出しさせないよ!」
「この星を占領し、次にお前たちの所縁のある地球を汚して支配するのである。」
 フワンを守ろうとするセレーナに、バッチードが語っていく。
「地球も狙っているというの!?そんなことはさせない!」
 セレーナがバッチードに向かって飛びかかる。
「バッチードバルカン!」
 バッチードが体にあるバルカンを発射して、セレーナに当てて押し返した。
「つ、強い・・しかも攻撃が正確・・・!」
 倒れたセレーナがバッチードの力を痛感して焦りを感じていく。
 バッチードがバルカンを連射する。セレーナがとっさに動いて射撃を回避する。
「なかなかやるのである。しかしいつまでも持ちはしないのである。」
 バッチードがセレーナを見てあざ笑う。
「戻ったと思えば先走りするとは、勝手なヤツナリナ。」
 そこへヨゴシマクリタインが降り立って、バッチードに声を掛けた。
「総裏大臣殿、久しぶりなのである。」
 バッチードが悠然とした態度でヨゴシマクリタインに挨拶する。
「お前に言いたいことはたくさんあるが、今はこの星の征服が先決ナリナ。」
「その通りだ、バッチード。巨体であるお前がウルトラウーマンセレーナを排除せよ。その間に我々は他の住人の討伐に向かう。」
 ヨゴシマクリタインに続いてブルドントもバッチードに呼びかける。
「お前たちに命令されるように癪に障るが、今はその通りにするのである。」
 バッチードが2人の言葉を聞いて、セレーナに視線を戻す。
「させない・・フワンの人たちのところには行かせない!」
 セレーナがヨゴシマクリタインたちを止めようとする。ヨゴシマクリタインが杖から稲妻のような光線を放って、セレーナを吹き飛ばした。
「うっ!」
 倒れたセレーナがダメージを負ってうめく。
「バッチードスパイラル!」
 バッチードが体から大量の歯車を飛ばして、セレーナにぶつける。セレーナのダメージが大きくなって、胸にある「カラータイマー」が点滅を始めた。
 ウルトラの一族の多くは、胸にカラータイマーが存在する。普段は青色だが、エネルギーが少なくなると赤く点滅して、力尽きればその輝きは消えてしまう。
「エネルギーが少なくなってきている・・早く倒さないと・・・!」
 セレーナが立ち上がって集中力を高める。
「何をしてもムダである。吾輩とお前の間には、埋めようのない力の差があるのである。」
 バッチードが強気を見せて、彼女に迫る。
「フルムーンシュート!」
 セレーナがエネルギーを集めた左手を前に出して、光線を発射した。しかしバッチードが振りかざした右手に光線をはじかれる。
「効かない!?」
「終わりである。」
 驚くセレーナに向かって、バッチードが右手からビームを放った。
「フォースチャージシュート!」
 そのとき、上空から光線が飛んできて、バッチードのビームとぶつかって相殺した。セレーナたちの前にフォースが降り立った。
「フォース!」
「セレーナ、無事か!?」
 声を上げるセレーナにフォースが問いかける。
「お前があのウルトラマンフォースであるか。お前もここへ来たのである。」
 バッチードがフォースを見て笑みをこぼす。
「ここは私に任せて、君はフワンの人々を守るんだ。」
「フォース・・ありがとう・・!」
 フォースが呼びかけて、セレーナが立ち上がって答える。
「ムダなこと・・お前は吾輩には勝てんし、ヨゴシマクリタインも止められないのである。」
 バッチードがあざ笑って、フォースに向かってバルカンを発射した。フォースが側転して連射をかわす。
(今はフォースアーマーは使えない・・私自身の力だけでヤツらを倒すんだ・・・!)
 地球での戦いを思い出して、フォースは今はそれと同じ戦い方ができないことを自覚する。
(ただ他の戦士の力を借りるだけが、私の力ではない・・地球での戦いの中で、私自身も強くなったはずだ・・・!)
 地球での戦いを思い出して自身を持つフォース。多彩な技や武器が使えなくても戦えると、彼は確信していた。
「バッチードスパイラル。」
 バッチードが大量の歯車をフォース目がけて飛ばした。
「フォースブーメラン!」
 フォースが両手を振りかざして光の刃を出した。2つの刃が彼の意思で自由に動いて、バッチードの歯車をはじいていく。
 そのとき、バッチードが右手からビームを発射した。フォースがビームを受けて、宙へ吹き飛ばされて地面に叩きつけられた。
 フォースはすぐに立ち上がって、バッチードに向かって走る。
「無鉄砲に向かってくるのは、愚かの証である。」
 バッチードがあざ笑って、バルカン砲を発射する。ジャンプして飛行するフォースが素早く射撃をかわす。
「ウルトラマンとやらも、ムダなあがきというものが好きなようである。」
 バッチードがまた歯車を連射する。フォースが歯車をかいくぐって、バッチードに近づく。
 バッチードが振りかざした右腕をつかんで、フォースが押し込む。2人が転がるも、すぐに立ち上がる。
「フォーススマッシュ!」
 フォースが両手にエネルギーを集めて、拳のように放った。
「うおっ!」
 バッチードが突き飛ばされて、激しく転がった。
「おのれ・・吾輩を追い詰めるとは・・なんという力であるか・・・!」
 立ち上がるバッチードが、追い込まれていることに毒づく。
「時間を掛けられない。すぐに終わらせる・・!」
 フォースがバッチードを倒すため、光線を出そうとした。
「うっ!」
 そのとき、フォースが背中に痛みを感じて体勢を崩した。踏みとどまった彼が後ろに振り返る。
 フォースの前にゼロが現れた。ゼロが光線を放って、フォースに当てたのである。
「ゼロ!?・・・いや、違う・・お前はババルウ星人・・!」
 フォースは現れたゼロが偽者であるとすぐに気付いた。
「やはり先に正体を見せるべきではなかったか・・」
 呟くゼロの姿が変わった。彼に化けていたのはウルガ。ババルウ星人としての高度な変身能力で、ゼロに化けてフォースに奇襲を仕掛けたのである。
「だが集中攻撃を加えれば、さすがの貴様も敗北は免れないぞ!」
 ウルガが笑みをこぼすと、バッチードとともにフォースを挟み撃ちにする。
「ウルトラ戦士を狙う宇宙人であるか。その志には感謝させてもらうのである。」
「コイツらウルトラ戦士を滅ぼせるなら、オレは構わんぞ・・!」
 結託を認めるバッチードに、ウルガが頷いた。
 ウルガが槍を手にして、フォース目がけて振り下ろしてきた。フォースが槍をかわすが、直後にバッチードが右手を突き出してきた。
「うっ!」
 フォースが背中を突かれて体勢を崩す。ウルガが槍を振りかざして、フォースの体を斬り付ける。
 フォースがダメージが増して、エネルギーを消耗させていく。彼の胸にあるカラータイマーが点滅を始めた。
「いけない・・このままでは・・・!」
 フォースが危機感を増して、ウルガたちとの距離を取る。
「逃がしはせん!」
 ウルガが鎖鎌を腕から射出して、フォースの左腕に巻きつけた。
「そのまま押さえておくのである。その間に吾輩が・・」
 バッチードが笑みをこぼして、右手にエネルギーを集める。フォースがウルガの鎖鎌に振り回されていく。
 そのとき、上空から光線が飛び込んで、鎖鎌に当たった。
「うおっ!」
 鎖が立ち切れて、ウルガが体勢を崩して倒れた。
「これは・・!」
 驚くフォースの前に現れたのは、3人のウルトラマン、タイガ、タイタス、フーマだった。
「君たちもフワンに来ていたのか・・!」
「近くを通りがかったら宇宙人たちが降りていくのが見えたんでな。」
 戸惑いを見せるフォースに、タイガが気さくに答える。
「何か企みを持っていたようなので追ってきたら・・」
「フォースたちを見かけたので助けたということだ。」
 タイタスとフーマも続けてフォースに説明した。
「ここからはオレたちがアイツらの相手をするぞ!オレたち“トライスクワッド”が!」
 タイガが高らかに言って、タイタスとフーマが頷いた。彼ら3人はトライスクワッドを結成して、平和を守るために戦っている。
「タイガ、タイタス、フーマ、感謝する・・私はこのフワンの中心地に向かっている敵を食い止めに行く・・・!」
 フォースがタイガたちに言って、セレーナたちのことを気にする。
「分かった!すぐにここを片付けて、そっちに合流する!」
 タイガが答えて、フォースがセレーナを追っていった。
「逃がさないのである。」
 バッチードがフォースを狙うが、タイタスが繰り出した拳に横から突き飛ばされた。
「貴様の相手はオレたちだ!」
「時間を掛けられない以上、人数をかけて相手をさせてもらう。」
 タイタスが言い放って、フーマが彼とともにバッチードを挟み撃ちにする。
「ババルウ星人、お前の相手はオレがする!」
「おのれ・・ならばお前たちの首からいただいてやるぞ・・!」
 言い放つタイガにいら立ちを感じて、ウルガが槍を構えた。

 町に攻め込んできたヨゴシマクリタインとブルドントに追い詰められて、人々は恐怖を感じていた。
「惑星フワンの者たちよ、我らに全面降伏し従うナリナ。」
「逆らうならばその者は処刑あるのみ。」
 ヨゴシマクリタインとブルドントが人々に向かって忠告する。
「そうはいかない・・セレーナ様が必死に戦っているのに、その意思に背くようなことはできない・・!」
「力で絶対に敵わないとしても、私たちは諦めない!」
 人々は言いなりにならず、ヨゴシマクリタインに対立の意思を示した。
「従わないというならば、滅びる以外にない!」
 ブルドントが怒鳴り声を上げて、サーベルを手にして切っ先を人々に向けた。
「みんなに手を出さないで!」
 そこへセレーナが駆け付けてきて、左手を伸ばしてビームを放った。ヨゴシマクリタインと人々の間にビームが飛び込んだ。
「ウルトラウーマンセレーナ!?性懲りもなくまた・・!」
 ブルドントがセレーナの登場にいら立ちを見せる。
「だがエネルギーが少なくなっているナリナ。始末するのは造作もないナリナ。」
 ヨゴシマクリタインがセレーナのカラータイマーを見てあざ笑う。
「それでも・・それでもみんなを守らなくちゃならないのよ!」
 セレーナが体力の消耗に耐えながら、ヨゴシマクリタインたちに向かって左手をかざす。
「よかろう。我の力、存分に味わわせてやるナリナ。産業革命!」
 ヨゴシマクリタインが巨大化して、セレーナの前に立ちはだかった。
「定額給付弾!」
 ヨゴシマクリタインが光の球を放つ。
「フルムーンシールド!」
 セレーナが円状の光の壁を出して、光の球を受け止める。しかし止め切れずに光の壁を破られて、彼女は光の球をぶつけられて倒れた。
「他愛もないナリナ。我が力の前に、貴様もひざまずくがいいナリナ!」
 ダメージを増していくセレーナを見下ろして、ヨゴシマクリタインがあざ笑っていた。

 

 

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