ザ・グレイトバトル
-地球人と宇宙人-
第2章
フワンを守るために戦うセレーナの前に、巨大化したヨゴシマクリタインが立ちはだかった。
「いいぞ、ヨゴシマクリタイン!その女に逃げられた害統領とは違うな!」
ブルドントがヨゴシマクリタインに称賛を送る。
「では私は他の反逆者の処刑を行うぞ。バーロ兵、行け!」
ブルドントの命令で、バーロ兵たちが人々を追いかけた。
「ダメ!」
セレーナが止めようとするが、ヨゴシマクリタインが棍棒「デンカノホウトウ」を手にして、彼女に叩きつけてきた。
「うあっ!」
セレーナが突き飛ばされて、激しく地面を転がる。
「強行採決!」
ヨゴシマクリタインがデンカノホウトウからビームを発射した。セレーナが光線を受けて吹き飛ばされた。
「ち、力が・・・!」
倒れたセレーナが自力で立てなくなる。エネルギーの消耗が激しくなって、彼女のカラータイマーの点滅が早まる。
「我はお前たちの相手をするほど暇ではないナリナ。そろそろとどめを刺させてもらうナリナ。」
ヨゴシマクリタインがセレーナに近づいて、デンカノホウトウの先を彼女に向けた。
(私には、これが限界だというの!?・・また、フワンを守れないの・・・!?)
思うように動けず、セレーナが絶望を感じていく。
「フォースチャージシュート!」
そこへフォースが駆け付けて、組んだ両腕から光線を発射した。ヨゴシマクリタインがデンカノホウトウを振って、光線をはじいた。
「セレーナ、しっかりするんだ!」
「フォース・・・」
フォースが駆け寄って、セレーナが声を発する。
「このまま戦い続けても、敗北は確実だ・・君は1度宇宙に出て、太陽に近づいてエネルギーを回復させるんだ。」
フォースが空を見上げてセレーナに指示を送る。フワンにも太陽の光が注がれている。
「でもフォース、あなたは・・1人であの相手をするつもりなの!?」
「そうしなければ君が倒され、フワンがヤツらに侵略されてしまう・・!」
不安を覚えるセレーナに、フォースが言葉を返す。
「エネルギーを回復させて、すぐに戻ってくるんだ。我々でフワンを守るんだ・・!」
「でもそれだとあなたが危険に・・・!」
「私のことを思うなら、迷わずに早く行くんだ!」
「・・うん!」
フォースに言われて、セレーナが飛び上がって宇宙へ出た。
「あの女の代わりに我の相手をするつもりか?どいつもこいつも身の程知らずばかりナリナ・・」
ヨゴシマクリタインがフォースを見てあざ笑う。
「たとえ強大な力を持つ敵でも、命を守ることを諦めはしない・・!」
フォースが退かずにヨゴシマクリタインを迎え撃った。
バッチードとウルガに対して果敢に攻め立てるタイガ、タイタス、フーマ。
「賢者の拳は全てを砕く!ウルトラマンタイタス!」
「銀河の風と共に参上!ウルトラマンフーマ!」
タイタスとフーマがバッチードに対して名乗りを上げる。
「吾輩はガイアーク害統領、バッチード。ウルトラ戦士も吾輩の力を思い知り、屈服することになるのである。」
バッチードも名乗って、タイタスを狙って右手からのビームを放った。
「フン!」
タイタスが右腕を振りかざして、力ずくでビームをはじいた。
「私の力はちょっとやそっとでは負けはしないぞ!」
「ならばこれを受けるのである!バッチードスパイラル!」
言い放つタイタスに向かって、バッチードが歯車を連射する。
「七星光波手裏剣(しちせいこうはしゅりけん)!」
フーマが7つの光の手裏剣を投げつけて、歯車をはじいた。
「タイタスが力ならオレは速さだ!お前の技はオレが見切った!」
フーマがバッチードに向かって高らかに言い放つ。
「ならば2人まとめて始末するまでである!」
バッチードが右手からのビームを放つ。フーマが回避して、タイタスが両腕を組んで防御する。
「スラッシュソード!」
フーマが振りかざした右手から光の刃を発した。
バッチードがビームを出そうとする右腕に、フーマが光の刃をぶつける。彼が素早く刃を振って、バッチードと打ち合いを繰り広げる。
その間にタイタスが全身にエネルギーを集めていく。
「フーマ!」
「光波手裏剣!」
タイタスが呼びかけて、フーマが後退しながら光の手裏剣を飛ばす、バッチードが右腕を振って、手裏剣をはじく。
「ブラニウムバスター!」
タイタスが光の球を出して、パンチで打ち出した。バッチードが光の球を受けて、空中へ跳ね上げられた。
「あらゆる偉業は情熱の産物である。辞任!」
バッチードが断末魔を上げて、空で爆発した。
「やったな、タイタス。オレたちの勝利だ!」
「タイガのところに戻るぞ。アイツも決着をつけているはずだ。」
喜ぶフーマにタイタスが呼びかける。2人が頷き合って、タイガのところへ向かった。
ウルガが振りかざす槍を、タイガが両手で受け止めた。
「どのような武器や能力を使っても、オレはお前には負けない!」
タイガが言い放って、チョップで槍を叩き折った。
「おのれ、タイガ・・たとえ素顔でも正体でも、オレが勝つのだ!」
ウルガがいら立ちを浮かべて、タイガに飛びかかる。
「ストリウムブラスター!」
タイガが両腕をT字に組んで光線を発射した。
「ぐおぉ!」
光線を受けたウルガが吹き飛ばされて、地面に倒れて爆発した。
「よし。ババルウ星人ウルガを倒したぞ。」
タイガがこの勝利に頷いて、フワンの町の方に目を向けた。
「タイガ!」
フーマがタイタスとともに戻ってきて、タイガに声を掛けた。
「オレたち全員、勝利したみたいだな。」
「だが戦いは終わっていない。フォースたちのことも気がかりだ。」
タイガが答えて、タイタスがフォースたちのことを気にする。
「急ぐぞ、2人とも!オレたちで援護するんだ!」
「待て、フーマ!あそこ!」
町へ向かおうとしたフーマを呼び止めて、タイガが空を指さした。その先の空を飛んでいたセレーナを、彼は見つけた。
「ウルトラ戦士!確かセレーナといったな!」
「カラータイマーが点滅していた!回復するために太陽に向かっているみたいだ!」
タイタスとタイガがセレーナを見て声を荒げる。
「オレがセレーナを追いかける!2人はフォースのところに行ってくれ!」
「分かった!」
タイガが指示をして、タイタスたちが答える。彼らは別れて移動を開始した。
ロベルガーたちと交戦するゼロ。スピードと特殊能力を駆使して、ロベルガーたちを追い込んでいた。
「この勝負、そろそろ終わらせてもらうぞ。」
ゼロがロベルガーたちに言ってから、ウルティメイトブレスレットに意識を傾けた。
「ストロングコロナゼロ!」
ウルティメイトブレスレットから赤い輝きが放たれる。ゼロの体の青色が赤に変わった。
ゼロはダイナの「ストロングモード」とコスモスの「コロナモード」の力を備えた攻撃力重視の「ストロングコロナゼロ」となった。
ロベルガーが両手から光の球を連射する。ゼロは球を当てられてもものともせず、ロベルガーに近づいて捕まえた。
「ウルトラハリケーン!」
ゼロが高速回転して、竜巻を起こすと同時にロベルガーを上に投げ飛ばした。直後にロベルガー2世が突っ込んできて、ゼロと組み付いた。
「ガルネイドバスター!」
ゼロがロベルガー2世の体に右手を当てて、炎の光線を放つ。飛ばされたロベルガー2世がロベルガーとぶつかって、ともに爆発した。
「こっちは片付いたぜ・・!」
ゼロがひと息ついて、元の姿に戻った。
ゼロが戦っている間、レオもノーバを圧倒していた。ノーバの放つビームを、レオが手刀ではじく。
レオが右手を振りかざして、炎の球「エネルギー光球」を投げつけた。光球がノーバの頭に命中した。
直後にレオがノーバの頭上へ回って、加速して足に熱を込めたキックを繰り出した。キックを受けたノーバが爆発を起こした。
「マグマ星人がいない・・フワンへ行ったのか・・・!」
レオがスクルがいないことに気付いて、フワンのある方向に振り返る。
「レオ、そっちも終わったみたいだな。」
ゼロがレオのところへ来て声を掛けてきた。
「急ぐぞ、ゼロ。巨大な敵があの星を攻め込んでいる。」
「もちろんだ!」
レオが呼びかけて、ゼロが答える。2人がフワンに向かって加速した。
フォースの言葉を聞き入れたセレーナが、フワンを1度出て太陽に近づいた。太陽の光がカラータイマーに注がれて、彼女の体力が回復した。
「よし!急いでフォースのところに戻らないと!」
セレーナが全快したことを実感して、フワンに戻る。
「君!」
そのとき、彼女を見つけたタイガがやってきた。
「あなたは、タイガさん・・!」
「セレーナ・・回復していたようだね。」
セレーナが声を上げて、タイガが彼女の状態を確かめる。
「急いでフワンに戻らないと、フォースやみんなが・・!」
「今、タイタスとフーマがフォースのところに向かっている。心配はないさ。」
フォースを心配するセレーナに、タイガが状況を説明する。
「でもみんなを守らなくちゃ・・行きましょう、タイガさん!」
「あぁ!」
セレーナが呼びかけて、タイガが答える。2人がフワンへ戻って、街へ向かって進んでいく。
町のそばに着地したセレーナたちは、フォースたちを捜して周りを見回す。
「フォース、どこにいるの!?・・姿を見せて・・・!」
「タイタスとフーマも見当たらない・・どうしたっていうんだ・・・!?」
フォースたちを見つけられず、セレーナとタイガが緊張をふくらませていく。
「タイガ・・・!」
そのとき、フーマがタイタスとともに姿を現して、セレーナたちの前で倒れた。
「タイタス!フーマ!」
「どうしたのですか!?フォースはどこですか!?」
タイガが声を上げて、セレーナが問いかける。
「フワンの人々がバラノイアとガイアークに制圧され、フォースも捕まってしまった・・・!」
「えっ!?」
タイタスが話したことに、セレーナが耳を疑う。
「ここは1度体勢を整えてから救出に向かわないと、オレたちもフワンの人たちも全滅してしまう・・!」
「それならなおさら今、助けに行かないと!みんなが・・!」
フーマがこれからのことを言うが、セレーナは納得せずに町に向かおうとする。
「いや、これはフーマの言うことが正しいぞ。」
レオがゼロとともに来て、セレーナに声を掛けてきた。
「レオさん、ゼロさん・・」
「敵の勢力は大きく、指揮しているトップはどちらも並外れた力を備えている。ここにいるオレたちが全員、万全の状態でなければ勝つことはできない。」
動揺するセレーナにレオが忠告する。今すぐセレーナが行ってもフォースたちを助けることができないと、レオには分かっていた。
「ですが、このままじゃみんなが・・!」
「何の策もなく突っ込んで自滅するつもりか!?怒りや焦りに囚われて突っ込めば、自分だけでなく多くの命が犠牲になる!1つの星をまとめる立場なら、その使命と責任を忘れるな!」
不安を増すセレーナに、レオが檄を飛ばす。彼の言葉を聞いて、セレーナが押し黙る。
「今はフォースたちが無事でいると信じて、1度宇宙へ引き上げるぞ。」
「・・・はい・・・」
レオの指示に仕方なく従うセレーナ。彼女は1度町に目を向けてから、タイガたちと一緒に宇宙へ出た。
セレーナが戻ってくるまで体を張ろうとしたフォース。しかしヨゴシマクリタインの力に耐えきれず、力尽きて捕まった。
「フハハハハ!無様なものよ、ウルトラマンフォース!貴様を公開処刑し、他のウルトラ戦士や宇宙への見せしめとしてくれるぞ!」
磔にされたフォースを見て、ブルドントが高らかに笑う。
「その上でこの星のヤツらを奴隷としてこき使う。逆らう者はフォースと同じ末路を辿ってもらう。」
「その通りですわ、ブルドント。」
フワンの人々のことを考えるブルドントの前に1人の女性が現れた。バラノイアの皇妃でブルドントの妻であるマルチーワである。
「マルチーワ、お前も来たか!」
「他の反逆者と交戦となり、マシン獣を囮に使って、私は先にこちらへ来ました。」
ブルドントが喜んで、マルチーワが事情を話す。」
「僕たちへの反逆者がこの周辺でウロウロしているようだ。だがいずれこの手で全て葬り去ってくれる。」
「ここからは私も共闘させていただきますわ。よろしくお願いします、ヨゴシマクリタイン様。」
ブルドントが野心を口にして、マルチーワがヨゴシマクリタインに挨拶する。
「せいぜい我の足を引っ張ることがないようにするナリナ。」
ヨゴシマクリタインが言葉を返して、ブルドントたちの前から立ち去った。
「油断するな、マルチーワ。僕らバラノイアは今、ガイアークと協定を結んでいるが、ヤツはいつ僕らを出し抜くか分からんぞ・・」
「寝首をかかれぬよう気を抜くなということね・・」
ブルドントとマルチーワが小声で話して、ガイアークにも警戒をする。
「まずは明日、ウルトラマンフォースを処刑し、他の反逆者を一掃するのが目的だ。今に見ていろ、愚か者どもめ!」
ブルドントが剣を手にして、切っ先をフォースに向けた。エネルギーを使い果たしたフォースは意識を失って、カラータイマーも輝きを失っていた。
フワンの近くにある小惑星まで移動したセレーナたち。セレーナはフォースや人々のことを心配して、フワンを見つめていた。
「フワンを助けるためにも、君はこれからやるべきことに集中するんだ。」
レオがセレーナに向かって冷静に指示をする。
「やるべきこと・・?」
「セレーナ、君も戦士として強くする。オレたちが君を心身ともに強くする。」
疑問を感じるセレーナにレオが答える。レオたちはセレーナを鍛えて強くしようとしていた。
「ウルトラ戦士の多くは地球に留まり、平和と命を守るために戦ってきた。その戦いは決して負けられない戦いだ。」
「そのためには自ら鍛え、技を身に着け強くなるしかないんだ。」
レオに続いてゼロもセレーナに向かって話をする。
「強くなるための特訓・・・それでフォースやフワンを助けられるのですか!?」
「それは君次第だ。みんなを助けるために、必ず強くなって、ヤツらに勝たなければならない・・!」
問いかけるセレーナにレオは言い返す。
「そのためにも、君には時間の流れが異なる異空間で訓練してもらう。」
そこへもう1人の男が現れて、セレーナに声を掛けてきた。
「あなたは、ウルトラセブン・・!」
「バラノイアとガイアークに協力する敵を撃退した。その勢力はしばらく大きな動きはできないだろう。」
セレーナが声を上げて男、セブンが周囲の状況を説明する。
セブンは元々は恒点観測員だったが、ある地球人に感銘を受けて地球に留まって平和を守る戦いに身を投じた。1度地球から離れて再び防衛の任務に来た彼は、マグマ星人と双子怪獣によって重傷を負って、変身能力も失った。
そこへ駆け付けたレオに地球の守りを託したセブンは、レオに特訓を課して鍛え上げた。初めは未熟だったレオは技を覚えて成長して、格闘技だけでなく光線も使えるようになった。
そしてセブンはゼロの父親でもある。レオはセブンに頼まれて、ゼロを鍛えることにした。
これによりゼロはウルトラ戦士最強の強さを身に着けて、彼も後進のウルトラ戦士を鍛えることになった。
「セレーナ、君はその異空間で強くなるんだ。ヤツらも悠長にみんなの処刑を待つ確証はない。」
「だから短時間で強くなるというやり方に変わりはない。」
セブンとレオがセレーナの覚悟を確かめる。
「分かりました・・お願いします、みなさん!」
セレーナが頷くと、セブンがウルトラ念力を発して、異空間へつながる光のトンネルを作り出した。
「オレも付き合うぜ、親父、師匠。タイガたちはここで待機して、オレたちが戻るまでここを守ってくれ。」
「分かりました。オレたちもここを守りながら、次の戦いに備えます。」
ゼロもセレーナに同行して、タイガが彼の言うことを聞いた。セレーナはセブンたちとともに光のトンネルの中に入っていった。
「ヤツらの動きに目を離さないようにな。」
「アイツらがフォースたちに手を出すなら、オレたちはフワンへ急行するぞ!」
タイタスとフーマがブルドントたちの動向にも目を光らせていた。
異空間の中は虹色の光に包まれている以外は何もない場所だった。
「ここが、私の特訓の場・・ここで強くなる・・・!」
セレーナが空間を見渡して、気を引き締める。
「君はスピードと光線、特殊能力を得意としている。力の強い相手に真っ向から挑んでも返り討ちにされるだけだ。」
「まずはスピードを活かして相手を翻弄し、隙を狙って確実に攻撃を当てるのが重要だ。」
セブンとレオがセレーナの能力を把握して、彼女に伝える。
「常に冷静に動き、状況を把握し、素早く攻撃や救出を行う。それができれば大きな強みとなるぞ。」
ゼロも話を続けて笑みをこぼす。
「相手の攻撃や相手自身、周りの人や物の位置や状況を常に把握できるようになる。それができるようになるには・・!」
ゼロが言いかけて、ウルティメイトブレスレットに意識を傾けて、ルナミラクルゼロになった。
「数の多い攻撃に全て対処することだ。」
彼はそう言って、ゼロスラッガーを射出して数を増やした。
「ミラクルゼロスラッガー。」
ゼロがゼロスラッガーに輝きを宿らせて飛ばす。セレーナが回避行動を取るが、縦横無尽に動くゼロスラッガーの全てをかわし切れず命中させられる。
「目だけで追って動いていてはスピードが出ないぞ。」
「全身の感覚を研ぎ澄ませ、周囲の動きの全てを把握するのだ。」
ゼロとレオがセレーナに注意を送る。
「全身の感覚を・・・!」
セレーナが2人の言葉を覚えて、集中力を高める。
(ゼロスラッガーの動きが・・1つ1つ分かる・・さっきは全然速かったのに・・・)
セレーナの頭の中にゼロスラッガーの姿がよぎった。その動きは実際よりも遅く見えていた。
セレーナは頭の中に浮かぶビジョンを頼りに回避行動をとる。彼女はゼロスラッガーを紙一重でかわしていく。
ゼロがセレーナの動きがよくなったのを見て、ゼロスラッガーのスピードを上げた。セレーナは回避だけでなく、手足でゼロスラッガーをはじいていく。
「見事だ。だが敵は1人や小規模で攻撃してくるとは限らないぞ。」
セブンは称賛を送ってから、両手を振りかざして、セレーナに向かって手裏剣光線を連射した。気付いたセレーナは、ゼロスラッガーとともに手裏剣光線に対処していく。
「潜在能力の高さは確かだ。その力を引き出したことで感覚が研ぎ澄まされ、周囲の動きを把握し、動きも感覚についていっている。」
レオもセレーナの成長を確認していた。セレーナが飛んできた手裏剣光線とゼロスラッガーを全てはじき飛ばした。
次の瞬間、レオが大きくジャンプして、セレーナに向かって急降下してキックを繰り出した。
(レオさんのキックはパワーが高い・・まともに受けるのは危険・・・!)
熱を込めて威力を上げているレオキックの特徴を把握して、セレーナは防御ではなく回避を選んだ。彼女の動きは軽やかでありながら速く、複数の残像が現れていた。
レオはセレーナ本人の位置を感覚で捉えて、落下の軌道を調整した。彼はキックをセレーナに確実に当てたと判断した。
しかしセレーナはさらなる高速で動いて、レオのキックをかわしてみせた。
「オレのキックをかわすとは・・彼女のスピードと正確さはかなりのものだ・・!」
レオが振り向いて、セレーナの引き出された能力を称賛した。
「しかしその動きを続ければ体力を大きく消耗する弱点も見つけることができた・・」
レオが続けてセレーナに指摘する。足を止めたセレーナのカラータイマーが点滅をしていた。
「引き続き訓練をして、体力を持続させるのだ。」
「はい・・この感覚を忘れないように、イメージトレーニングも欠かさないようにします・・・」
セブンが声を掛けて、セレーナが答えた。彼女は先ほどの動きと感覚を振り返りながら、深呼吸をして落ち着きを取り戻していく。
「潜在能力が高く、それを引き出して強くなるスピードも速い・・これならすぐに特訓を終わらせられるかもしれないぞ・・!」
ゼロがセレーナの成長に驚きと期待を感じていた。
フワンでは一夜が過ぎて、フォースの処刑のときが迫っていた。
「そろそろ処刑の時間か。待ち遠しいものだ。」
ブルドントがフォースを見上げて、期待をふくらませる。
「しかし他の戦士がここへ来るかもしれないし、フォース本人が自力で抜け出す可能性もあるぞ。」
そこへ1人の男がスクルとともに現れた。
「これはこれは、エージェント・アブレラ。君のお膳立てには感謝しているよ。」
「こうしてウルトラマンの1人を処刑しようというところまで来ましたわ。」
ブルドントとマルチーワがアブレラに対して上品に振る舞う。
「きちんと支払いをしてくれるならば、どのような相手でも商談に応じよう。」
「支払いは十分に渡した。十分以上の支払いをした。それでも何か不服なのか?」
「いや。その十分以上に答えて、1つ情報を提供しよう。ウルトラウーマンセレーナが、時の異空間で特訓を行っている。」
「何?」
アブレラが告げた話に、ブルドントが笑みを消す。
「セレーナがどれほど成長してくるか予想がつかん。彼女がフォースと合流すれば、我々にとって脅威となるはずだ。」
「再び徒党を組まれると面倒になるということか。ならばここで始めることにしよう。フォースの処刑を。」
アブレラの言葉を受けて、ブルドントは予定より早くフォースの処刑に踏み切ることにした。
「皆の者、予定を早め、これよりウルトラマンフォースの処刑を行う!準備を行い、周囲の敵に備えろ!」
ブルドントが命令を下して、バーロ兵が行動を起こした。
「急に騒がしくなったナリナ。」
ヨゴシマクリタインが来て、ブルドントたちに声を掛けてきた。
「敵は愚かだがそれなりに力のあるヤツらだ。退屈はしないだろう。」
「フン。我らに勝てるヤツらなど、どの世界にも存在しないナリナ。」
ブルドントが投げかけた言葉を聞いて、ヨゴシマクリタインが鼻で笑う。
「それとこれは、一応の用心とサービスとして、これも戦力として使ってくれて構わない。」
アブレラがブルドントたちに言って、複数の球体を取り出して放り投げた。球体が人型のロボットに変わった。
アーナロイド、バーツロイド、イーガロイド。いずれもアブレラが保有している戦闘ロボットである。
「戦闘員の数を増やしても余りあるが、まぁ、いないよりはマシとしておこう。」
「私も今回の戦闘に参加させてもらおう。フォースとその仲間が敗北するところを、間近で見させてもらう。」
ブルドントがアーナロイドたちの導入を了承して、アブレラも加勢することを告げた。
「お前たち、準備はできたか?」
ブルドントが問いかけて、バーロ兵たちが頷いた。
「ではこれより、ウルトラマンフォースの公開処刑を行う!この模様を宇宙中継で各地に流せ!」
ブルドントが高らかに言って、バーロ兵とウガッツが一斉に行動を起こす。彼らによって巨大な砲台が現れた。
「これはバラノイアで開発したビーム砲だ。これをカラータイマーに向けて集中的に撃ち込めば、フォースも一巻の終わりだ。」
「これでフォースという名の花火を出すとしましょうね。」
ブルドントとマルチーワが喜びを感じて、高らかに笑い声を上げる。
ビーム砲が磔になっているフォースに狙いを定めて、砲門にエネルギーを集めていく。フォースは力尽きたまま目を覚まさない。
「さぁ、反逆者に絶望を与えてくれるぞ!」
ブルドントが勝ち誇ってマルチーワたちとともにフォースの最期を見ようとしていた。
ブルドントたちがフォースへ攻撃しようとしていることに、タイガたちが気付いた。
「ヤツらが動き出したぞ・・!」
「セレーナの特訓はまだ終わっていない!」
タイタスとフーマが緊張をふくらませる。
「この周辺に敵のいる気配はない・・ここはフォースを助けに行くしかない・・!」
タイガが周囲を見回してから、フォース救出を決断する。
「トライスクワッド、出撃だ!」
「おう!」
タイガが掛け声を上げて、タイタスたちが答えた。
タイガが右手を伸ばして、光の文字「ウルトラサイン」を異空間に向かって放った。それからタイガはタイタスたちとともに、フワンへ急行した。
ビーム砲のエネルギー充てんが完了して、バーロ兵がブルドントたちに知らせた。
「目標、ウルトラマンフォース!ビーム砲、発射!」
ブルドントが剣の切っ先をフォースに向けて、号令を出す。バーロ兵がビーム砲を発射しようとした。
そのとき、ビームと光の刃が飛んできて、ビーム砲が攻撃されて爆発した。
「何っ!?」
突然の出来事にブルドントが驚く。爆発に巻き込まれたバーロ兵たちが、彼らの前まで転がってきた。
「何者!?私たちの邪魔をするのは!?」
マルチーワがいら立ちを浮かべて、攻撃の飛んできたほうへ振り返る。その先にいたのは7人の男女だった。
「き、貴様は!」
アブレラが彼らを見て驚きを見せる。
「また復活していたか、エージェント・アブレラ!」
「お前がバラノイアやガイアークと結託していたか。」
2人の男、戸増宝児(とますほうじ)と江成仙一(えなりせんいち)がアブレラを見て声を掛ける。
「お前たち、せっかくの処刑を邪魔してくれたな・・!」
「その償いをしてもらい、この星の住人と一緒に地獄に落ちるといいわ。」
ブルドントがいら立ちを浮かべて、マルチーワが宝児たちに敵意を向ける。
「ナンセンス。お前たちではオレたちを倒すことはできない。」
「リーダーのあたしがみんなをまとめてるから、こっちの勝利は確実なんだから!」
男、姶良鉄幹(あいらてっかん)と自信を見せて、女性、胡堂小梅(こどうこうめ)が強気に言い放つ。
「ホラホラ。そういう言い合いはしなくていいの。」
女性、礼紋茉莉花(れいもんまりか)が小梅をなだめる。
「そうだ。ヤツらの侵略を阻止し、この星や宇宙を守る。それが我々の使命だ。」
もう1人の男、ドギー・クルーガーが伴番たちに激励を送る。ドギーはアヌビス星人で、地球署の署長。宝児たちの上官である。
「あのウルトラマンとこの星の人たちは、オレたちが守ってみせるぜ!」
男、赤座伴番(あかざばんばん)がアブレラを指さして言い放った。
「チェンジスタンバイ!」
「ロジャー!」
ドギーが呼びかけて、伴番たちが答える。伴番たちが警察手帳「SPライセンス」を取り出した。
「エマージェンシー・デカレンジャー!」
彼らが掛け声を上げて、SPライセンスを起動させた。
伴番たちからのコールを受けた宇宙警察地球署「デカベース」から、形状記憶宇宙金属「デカメタル」が微粒子状に分解、送信された。
「フェイスオン!」
デカメタルが伴番たちの体に定着して、強化服「デカスーツ」となった。
「エマージェンシー・デカブレイク!」
鉄幹が左腕に装着している腕輪「ブレスロットル」の青のスイッチを押す。ブレスロットルからあふれた光を浴びて、彼はデカスーツを装着する。
「エマージェンシー・デカマスター!」
ドギーが警察手帳「マスターライセンス」を手にして声を掛けた。
「フェイスオン!」
マスターライセンスへ送信されたデカメタルを浴びて、彼はデカスーツを身にまとった。
「その姿・・お前たちは!」
ブルドントが伴番たちの姿を見て、声を荒げる。
「1つ!非道の悪事を憎み!」
「2つ!不思議な事件を追って!」
「3つ!未来の科学で捜査!」
「4つ!よからぬ宇宙の悪を!」
「5つ!一気にスピード退治!」
「6つ!無敵がなんかいい!」
デカレッド、デカブルー、デカグリーン、デカイエロー、デカピンク、デカブレイクに変身した伴番、宝児、仙一、茉莉花、小梅、鉄幹が言い放つ。
「S.P.D!デカレッド!」
「デカブルー!」
「デカグリーン!」
「デカイエロー!」
「デカピンク!」
「無法な悪を迎え撃ち、恐怖の闇をぶち破る!夜明けの刑事、デカブレイク!」
伴番たちが名乗りを上げてポーズを決める。
「百鬼夜行をぶった斬る!地獄の番犬、デカマスター!」
ドギーも続けて名乗りを上げた。
「特捜戦隊!」
「デカレンジャー!」
伴番が声を上げて、宝児たちと声をそろえた。
「特捜戦隊デカレンジャー」。宇宙警察「S.P.D」に所属する刑事で構成された戦隊で、宇宙で犯行を行う犯罪者「アリエナイザー」による事件の解決のために戦っている。
「デカレンジャー、こんなところにまで現れるとは!」
伴番たちの登場にアブレラがいら立ちを見せて、ブルドントたちも彼らに敵意を向けていた。
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