ギャバン×ウィザード×キョウリュウジャー

スーパーヒーロー英雄列伝

第7章

 

 

 外の世界へのトンネルを目指していた晴人たち。彼らはトンネルの手前でダイゴたちと合流した。

「ノッさん、ソウジ、ウッチー、みんな!」

「光輝たちも無事だったみたいだ・・」

 ダイゴと晴人が声を掛け合って、再会と無事を分かち合った。

「あのブラジラ、ますますパワーが上がってる・・きっとあのガルヴォルスも・・!」

「メーズも強くなっていた・・みんな魔空空間が広がりだしている外の世界に出て行ってしまった・・!」

 2人がネクロマンサーガルヴォルスたちのパワーアップと外の世界への進行に緊張を感じていく。

「オレたちも元の世界へ戻ろう。ヤツらを倒さない限り、地球、いや、全宇宙が混乱に陥ってしまう・・」

「守ってやるさ、人間を・・人間が生きている場所を・・・」

 光太郎と巧が決意を口にする。

「よし!オレたちについてきてくれ!今のあのトンネルは、大きなってはいるが空間が不安定になってる・!」

「だから私たちが魔法で歪みに巻き込まれないようにするわ。」

 魁と芳香が晴人たちに呼びかける。

「ありがとう。だけどオレも魔法使いだ。オレにもそれをやらせてくれ・・」

「分かった、ありがとう。けどムチャはなしだぞ。」

「そういう魁が1番ムチャするって・・」

 呼びかけてくる晴人に返事する魁に、麗が注意を言う。すると魁が肩を落として、晴人たちが笑みをこぼした。

「さて、ライダー、戦隊、宇宙刑事、一世一代のショータイムだ・・」

「いつも以上に、ブレイブに荒れるぜ!」

 晴人とダイゴが言いかけて、撃たちと一緒にトンネルに向かっていった。

 トンネルは晴人たちが魔空空間に入ってきたときと比べて大きく、そして不安定になっていた。

「空間にのみ込まれないように、オレたちができるだけ安全に通れるようにしないと・・」

 翼の口にした言葉に晴人が頷く。マジレンジャーと晴人が魔法の力を使って、トンネルの歪みを遠ざける。

「今のうちに急ぎますよ!」

「あぁ!」

「えぇ!」

 ソウジの呼びかけにダイゴとアミィが答える。彼らは外を目指してスピードを上げた。

 晴人たちは一気にトンネルを抜けて、元の世界に戻ってきた。しかし彼らは戻ってきた実感が湧いてこなかった。

「あれ!?おかしいな!トンネル、こんなに長かったか!?

「いや、もう地球に戻っているはずだ!にもかかわらずこの感じ・・まさか!?

 ダイゴと撃が声を上げる。トンネルを抜けたはずのその先の街には、魔空空間と同じ不穏な気配が漂っていた。

「まさか、魔空空間がここまで広がってるというのか・・・!?

 晴人も周りを見回して、周辺の光景を確かめる。

「おーい、晴人!戻ってきたのか!」

 そこへ攻介たちが駆けつけてきて、晴人に声をかけてきた。

「仁藤、無事だったか・・他のライダーや戦隊も一緒に・・」

 晴人がゴーオンジャーや良太郎、薫たちに目を向ける。

「魁もヒロムも無事に帰ってこれてよかったなぁ!」

「そんなのんきにやってる場合じゃねぇぞ・・!」

 感激しているゴーオンレッドに、良太郎が文句を言う。

「この地球も魔空空間に汚染されてきている。怪人たちがこっちでも手ごわくなって出てくるぞ・・」

「ってことは、あの剣客ヤローもあのばっちぃのも、アレの3倍のパワーになるってことか!?ごちそうなら大歓迎だが、面倒事が3倍になるのは勘弁したいぜ・・」

 マサトが不安を口にすると、攻介が頭を抱えて悩む。

「それでもオレたちがやるしかない。オレたちしか、この世界や宇宙を守るヤツがいないんだから・・」

「そうだ・・オレたちが守るんだ・・地球を、宇宙を・・!」

 世界や宇宙を守ることを自分に言い聞かせる晴人と撃。ダイゴも2人に駆け寄ってきて、意気込みを見せてきた。

「オレたちも戦うぜ。この世界も、宇宙も、仲間も、大切なみんなを!」

 ダイゴが投げかけた言葉に、晴人と撃が頷いた。

「お前たちがそれを成し遂げることはできない・・」

 そのとき、晴人たちに向けて声がかかってきた。上空からブラジラが降りてきた。

「貴様・・・!」

 雅人がブラジラに対して鋭い視線を向ける。

「他の戦隊や仮面ライダーもいるようだが、もはや何人束になろうと私を止めることはできない。」

「侮るなよ・・お前らが3倍、いや、それ以上強くなってきても、オレたちは負けないぞ!」

 言いかけるブラジラに撃が言い返す。彼らは世界や宇宙の危機に立ち向かうことを、諦めていない。

「往生際が悪いのはお前たちらしいというべきか・・」

 その晴人たちの前に、ネクロマンサーガルヴォルスも現れた。

「ガルヴォルス・・まさかお前がすぐに出てくるとは・・!」

「私の力は高まる一方だ・・怯えて隠れる必要はない・・」

 光輝が身構えると、ネクロマンサーガルヴォルスが笑みを見せる。

「といっても、私自ら手を下すまでもない・・ブラジラの言う通り、お前たちが何人束になろうとな・・」

 ネクロマンサーガルヴォルスが言いかけると、両手を伸ばして光を放出した。光の当たった地面から4人の怪人が姿を現した。

「あれは、ショッカーの怪人たち・・!」

 光輝が怪人たちを見て声を上げる。現れたのは大怪人、狼男、イカデビル、ガラガランダ、ヒルカメレオンだった。

「そうだ。お前たちの相手はこの者たちで十分・・」

 ネクロマンサーガルヴォルスが言いかけて、そばのビルの屋上に飛び移った。

「ライダーや戦隊への恨みを晴らすがいい・・もう1度征服や破壊に乗り出すがいい・・」

 ネクロマンサーガルヴォルスが狼男たちに呼びかけて、高みの見物を決め込んだ。

「スーパー戦隊や宇宙刑事も一緒のようだが・・」

「もはや我々の敵ではない。」

「全員まとめて、ここで血祭りにあげてやる。」

「これまでの恨み、今ここで晴らしてやるぞ!」

 狼男、イカデビル、ガラガランダ、ヒルカメレオンが晴人たちに言い放つ。

「そういうわけにはいかない!」

「お前たちに好き勝手にやられると、みんなが希望をなくすことになる・・!」

「世界や宇宙を守るために、オレたちは戦うぜ!」

 撃、晴人、ダイゴが狼男たちに言い放つ。彼らは大怪人たちを前にしても、立ち向かうことを諦めていない。

「ならば貴様らが味わうことだ・・絶望というものをな!」

 狼男が言い放って、彼らが晴人たちに飛びかかってきた。

 晴人と攻介がソードモードのウィザーソードガンとダイスソードでヒルカメレオンを迎え撃つ。体を切りつけられて押されるヒルカメレオンだが、大量のヒルを放ってきた。

「うわっ!ヒルかよ!気持ちわりぃ!」

 攻介がダイスソードで慌ててヒルを振り払おうとする。

「怪人の姿がないぞ!」

 RXが声をかけると、晴人と攻介が周りを見回す。ヒルカメレオンの姿が消えている。

「逃げたわけではない・・姿を消して、こちらの隙を狙っている・・・!」

「おいおい・・オレのお株をぶんどりやがって・・!」

 晴人が言いかけて、攻介が不満の声を上げる。ヒルカメレオンは透明になって、彼らを攻撃する機会をうかがっていた。

「晴人くん、後ろだ!」

 RXが呼びかけて、晴人がとっさにウィザーソードガンをガンモードにして後ろに発砲する。彼の後ろで火花が起こって、そこからヒルカメレオンが姿を現して倒れた。

「くっ・・おのれ、RX・・!」

 ヒルカメレオンが居場所を見抜いてきたRXに苛立ちを見せる。RXは「マクロアイ」による透視で、ヒルカメレオンの居場所を見抜いたのである。

 狼男が一気にスピードを上げて、ゴーオンジャーを切りつける。しかしゴーオンジャーも負けじとスピードアップして、狼男を追撃する。

「スピードはオレたちの十八番だぜ!」

「おのれ、ゴーオンジャーが・・いい気になりおって!」

 強気に言い放つゴーオンレッドに、狼男がいら立ちを見せる。

「戦隊は複数の強者が力を合わせて立ち向かうもの。しかし各々の強さだけでも、一騎当千に値する。」

 薫がことはとともに狼男の前に立ちふさがって、シンケンマルの切っ先を向ける。

「一騎当千・・それはオレ様の強さをいうのだ!」

 狼男が体に力を込める。すると彼のスピードが一気に飛躍した。

「何っ!?

「うっ!」

 狼男の素早い動きによる爪の攻撃に切り裂かれて、ゴーオンレッドと薫がうめく。ことはたちも狼男の攻撃を受けて押し倒される。

「ホントにスピードが上がっている・・・!」

「オレたちがスピードで負けるなんてこと・・・!?

 ゴーオンブルーとゴーオンブラックが狼男のスピードに危機感を覚える。狼男が勝ち誇り、遠吠えのような笑い声をあげていた。

 一方、ダイゴたちキョウリュウジャーにイカデビルが迫っていた。

「キョウリュウジャー、お前たちは私が葬ってやるぞ。」

「イカねぇ。だったらうまくさばいてやらないとな、ソウジ。」

「こんなときにからかわないでほしいよ・・」

 笑い声を上げるイカデビルに皮肉を言うイアンに、ソウジが軽く文句を返す。

「それじゃみんな、ブレイブに行くぜ!」

 ダイゴが呼びかけて、彼らがガブリボルバーとガブリカリバー、ザンダーサンダーを手にしてイカデビルに立ち向かう。

 イカデビルが腕の触手を振りかざす。ダイゴたちは横に動いて触手をかわして、ガブリカリバーとザンダーサンダーでイカデビルを切りつけて、さらにガブリボルバーで射撃する。

「おのれ・・ならば恐竜らしく、これを受けて絶滅するがよい!」

 イカデビルが右手を上げて意識を集中する。すると空中から隕石が現れて、ダイゴたちに向かって落下してきた。

「ちょっと!こんなのアリ!?

 アミィが悲鳴を上げて、隕石から慌てて逃げる。ダイゴたちが回避を続けて、地上に落ちた隕石が爆発を引き起こす。

「見かけによらずとんでもないことしてくるよ!」

 ノブハルがイカデビルの攻撃にたまらず声を上げる。イカデビルによって、隕石がさらに次々に落下してくる。

「まずはあやつを何とかせねば!」

「あぁ!うまくヤツの注意を引き付けてくれ!オレが狙い撃つ!」

 空蝉丸が声を上げると、イアンが呼びかけてガブリボルバーを構える。

「よし!イアンを援護するぞ!」

 ダイゴが呼びかけるとノブハルたちが頷く。

「何をゴチャゴチャ言っている!おとなしく木端微塵に吹き飛ぶがよい!」

 イカデビルが言い放って、さらに隕石を落下してきた。ダイゴたちは隕石をかわしながらイカデビルの注意を引き付ける。

 だが次第に隕石の回避が間に合わなくなってくる。

「よいしょ!このままじゃやられちゃう!イアン、まだ!?

 ノブハルが慌ただしくイアンに声をかける。イカデビルが放った隕石がノブハルに向かって落下してきた。

「危ない、ノッさん!」

“ガブリンチョ!プクプト〜ル!”

 アミィがガブリボルバーに獣電池「プクプトル」をセットして放った。撃たれたノブハルの体が風船のようにふくらんで、彼にぶつかった隕石が反対方向へ跳ね返された。

「またこれ〜!?

 ゴムボールのようにバウンドするノブハルが悲鳴を上げる。やがて獣電池の効力が切れて、彼は元に戻った。

「ゴメン、ノッさ〜ん。つい〜・・」

「いっつもこれなんだから・・まぁ体を張るのが僕の役目だからね!よいしょ!」

 謝るアミィにノブハルが気合を見せる。

「今だ!獣電ブレイブフィニッシュ!」

 イアンがガブリボルバーから強力な光の弾丸を発射する。光の弾がイカデビルの体に直撃した。

「やった!」

 ダイゴが喜びの声を上げた。だが爆発の煙の中から出てきたイカデビルは、ダメージをほとんど受けていなかった。

「まともに食らったはずなのに、何事もなかったかのように・・!」

「魔空空間のように、パワーが3倍になっているのか・・!?

 空蝉丸とソウジがパワーアップしているイカデビルに焦りを覚える。

「フフフフフ、キョウリュウジャー、今度こそ貴様らを地獄に叩き落としてくれるぞ!」

 笑い声を上げながら、イカデビルがダイゴたちに迫ってきていた。

 ガラガランダは光輝とヒロムたち、魁たちに攻撃を仕掛けていた。ガラガランダが振りかざす右手の鞭を光輝とヒロムが素早く飛び越えて、魁たちが軽やかな動きでかわしていく。

「そこだ!ジジル!」

 翼がガラガランダに向けて雷を落とす。その衝撃でガラガランダの動きが一瞬止まった。

「今だ!マジ・マジ・マジカ!」

 魁が魔法の炎を身にまとい、火の鳥となってガラガランダに突っ込んだ。炎の突撃を受けて、ガラガランダが押される。

It's time for buster.

 ヒロムがエネルギーを集中させたソウガンブレードを構えて突撃する。光輝もベルトの水晶を右手の甲部に移す。

「ライダーパンチ!」

 光輝のメガブレイカーとヒロムのソウガンブレードがガラガランダに叩き込まれた。彼らは決定的なダメージを与えたと思った。

「甘いわ!」

 ガラガランダが言い放って、鞭で地面を叩く。その衝撃で光輝、ヒロム、魁たちが揺さぶられて倒される。

「やはりパワーアップしたままだ・・!」

「このままではやられてしまうぞ・・・!」

 リュウジと光輝がガラガランダのパワーに対して、焦りを口にする。

「誰から地獄に叩き落としてくれようか・・」

 ガラガランダが笑い声を上げながら、光輝たちを見回していく。

「ここはけん制を入れてみるか・・ニック!」

「よし!任せろ、ヒロム!」

 ヒロムに呼ばれて、ニックが駆けつけてバイクモードに変形する。ヒロムがニックに乗って、ガラガランダに向かって走り込む。

「オレも行くぞ・・メガブレイバー!」

 光輝が呼びかけると、メガブレイバーも駆けつけてきた。光輝がジャンプしてメガブレイバーに乗り込み、ヒロムとニックを追いかける形で走っていく。

「あの怪人をけん制して、オレがライダーキックを叩き込むよ!」

「分かった、光輝。」

 光輝の呼びかけにメガブレイバーが答える。

「おー!お前もしゃべるバイクなのか!何だか気が合いそうだな!」

「ニック、おしゃべりしてる場合じゃないだろ。」

 メガブレイバーに興奮するニックにヒロムが注意を入れる。光輝とヒロムがスピードを上げて、ガラガランダに向かっていく。

 メガブレイバーとニックの突撃に、ガラガランダが身をひるがえして回避する。光輝とヒロムは転回して、再びガラガランダに向かっていく。

「一気にスピードを上げる!スピードフォームだ!」

 光輝の呼びかけを受けて、メガブレイバーからパワードフォームからスピードフォームに変わる。さらにスピードを上げたメガブレイバーが、ガラガランダに突撃を当てた。

「ぐおっ!」

 突き飛ばされてうめいたガラガランダが、激しく横転する。

「よし!このまま一気に!」

 ニックがガラガランダへの追撃に乗り出そうとした。

 そのとき、ガラガランダが地面の下に伸ばしていた鞭を飛び出させて、ヒロムの首を縛ってきた。

「ぐっ!」

「ヒロム!」

 地面に倒されたヒロムにニックが声を上げる。ヒロムはさらにガラガランダに鞭で締め上げられていく。

「ヒロムくん!」

 光輝がメガブレイバーを走らせて、ベルトの水晶を右足脚部にセットする。彼はガラガランダに向かっていくメガブレイバーからジャンプした。

「ライダーキック!」

 光輝がメガスマッシャーを繰り出して、ガラガランダに命中させる。そのはずみでヒロムがガラガランダの鞭から抜け出た。

「ヒロム、大丈夫!?

「あぁ、大丈夫だ・・!」

 駆け寄ってきたヨーコにヒロムが呼吸を整えながら答える。メガスマッシャーを受けたガラガランダだが、これでもほとんどダメージを受けていなかった。

「おとなしく始末されたほうが楽でいいぞ?苦しみたいならムダな抵抗をやるがいい。」

 ガラガランダが光輝たちを見て、さらに笑い声をあげていた。

 

 ブラジラと対峙する巧、雅人、修二、撃。彼らのそばには直也とクジラ怪人もいた。

「ムダな抵抗は見苦しいだけだ。私に従うならば命は助けてやろう。特にお前は人間ではなくオルフェノク。人間に味方する道理はないだろう?」

 ブラジラが手を差し伸べて、巧たちに呼びかける。しかし誰もがブラジラに従おうとしない。

「ふざけるな・・オレは貴様に従うつもりはないし、ムダな抵抗をするのは貴様のほうだ・・!」

「お前が作り変えようとしている世界じゃ、夢が持てなくなる・・そんなのは我慢できない・・」

「アンタの言いなりなんて死んでもゴメンだ・・体はオルフェノクでも、オレは人間として生きる・・そしてファイズとして、アンタを倒す!」

 雅人、修二、巧がそれぞれの意思を口にする。彼らの決意は揺るがないものだった。

「人間とオルフェノクの共存って理想を、オレは引き継いじまってるんだぜ。だからおめぇなんかの言いなりになってる場合じゃねぇんだよ!」

 直也もブラジラに言い放つと、クジラ怪人に振り向く。

「ちゅーか、おめぇらとの共存も同じだよな・・?」

 直也に聞かれて、クジラ怪人が頷いてみせる。

「考え方ややり方は違うが、お前たちに従わないことは同じだ・・ブラジラ、地球や宇宙を乱すお前たちは、オレが止めてやるぞ!」

 撃もブラジラに言い放って、レーザーブレードを構えた。するとブラジラが撃たちをあざ笑ってきた。

「お前たちはつくづく、愚かな選択しかできないのだな・・やはり救星は果たされなければならない!そしてお前たちは、新たなる世界には不要!」

「愚かな選択をしてんのはテメーだろ、堕天使ヤロー。」

 そこへ良太郎が出てきて、ブラジラに強気に言いかけてきた。

「何を企んでるのか知らねぇが、テメーの思い通りにはいかねぇぞ。なぜなら、オレは今までもこれからもクライマックスだからよ!」

「人間に振り回されているだけのイマジンが、私に刃向かおうとは笑止。」

 良太郎をもあざ笑い、ブラジラが右手から光を放つ。光を受けて、撃たちの周囲の地面から爆発が巻き起こる。

「やってくれるじゃねぇか・・それじゃオレも、いくぜ、いくぜ、いくぜ!」

 良太郎がソードモードのデンガッシャーを手にして、ブラジラに立ち向かう。彼が振りかざすデンガッシャーを、ブラジラは軽やかにかわしていく。

 撃も続けて飛びかかり、レーザーサーベルをブラジラに向かって振りかざす。

「オレもお前の相手だ!」

「いい気になるな、宇宙刑事!」

 言い放つ撃にブラジラが言い返す。ブラジラの放つ衝撃波で、撃と良太郎が吹き飛ばされる。

 続けて巧と修二がブラジラに向かう。パンチとキックを繰り出す2人だが、ブラジラにかわされていく。

「本当にムダな抵抗が好きなようだな、お前たちは。」

 ブラジラが右手を上に伸ばして光を放出する。その光の威力で巧と修二も吹き飛ばされる。

 2人を見かねた雅人もブラジラに攻撃を仕掛ける。だが雅人のまとうカイザの装甲に、ブラジラが光を宿した手を当ててきた。

 ブラジラの光を受けて雅人が突き飛ばされる。そのはずみでカイザのベルトが外れて、雅人の変身が解かれた。

「草加!」

 修二が声を上げたところで、ブラジラがさらに光を放出する。その爆発に跳ね上げられた巧と修二が横転して、ファイズ、デルタへの変身が解除される。

「おいおい、コイツぁやべぇんじゃねぇか!?

 良太郎が頭を抱えて慌てる素振りを見せる。力を振り絞って立ち上がる巧に、ブラジラが近寄ってきた。

「オルフェノクにも人間にもなりきれない愚か者が。ただの人間や裏切り者以上に愚かで厄介なのだ。」

「そうかもな・・それでもオレは生きていく・・人間を守るためにな・・・!」

 ブラジラに言い返して、巧が鋭い視線を向ける。

「フン。考え方も愚かということか・・」

「おめぇよりはマシだろうが!」

 あざ笑うブラジラに、良太郎が飛びかかってデンガッシャーを振りかざす。ブラジラは瞬間移動で良太郎の攻撃をかわした。

「おめぇらの世界じゃ、どうしてもクライマックスになれねぇからな・・さっさと天国に帰りやがれ!」

「そんなに私の手にかかりたいのであれば、ここでお前たちをまとめて葬らせてもらおう。」

 言い放つ良太郎に言い返すと、ブラジラが背中から翼を広げて光を放出する。

「コイツは・・!」

 巧がとっさにそばにあったベルトを身に着けた。手にしたベルトと携帯電話は、カイザドライバーとカイザフォンだった。

Standing by.

 カイザフォンに変身コードを入力する。

「変身!」

Complete.

 彼はカイザに変身して、良太郎とともに横に動いて、ブラジラの光をかわした。

「助かったぜ、草加・・・!」

 雅人への感謝を呟いて、巧が良太郎とともに構えを取る。

「面白くなってきたじゃねぇか・・オレもやってやるぜ!」

 良太郎も意気込みを見せて、ブラジラに挑もうとした。

“ちょい待ち、モモの字!ここはオレに任せとき!”

 良太郎に向けて声が飛び込んできた。良太郎と行動をともにするイマジンの1人、キンタロスだった。

 キンタロスが横入りするように良太郎に憑依して、そのはずみでモモタロスが彼の体から追い出される。

Ax form.

 良太郎のまとう電王の装甲の外装が1度外れ、別のフォームの形へと装着された。電王のフォームの1つ「アックスフォーム」である。

「こっからはオレが相手や!オレの強さは泣けるで!」

「別のイマジンが入り込んできたか。だがそれもムダにしかならん。」

 言い放つ良太郎に、ブラジラが落ち着きを見せる。彼に良太郎と巧が向かっていく。パワー重視の攻撃を仕掛ける2人だが、ブラジラの動きにかわされていく。

「同時に必殺技行くで!」

「そういうならタイミングを外すな・・!」

 デンガッシャーをアックスモードにする良太郎に、カイザポインターを足にセットする巧が言い返す。

Exceed charge.

Full charge.

 右足とデンガッシャーにエネルギーを集中させて、巧と良太郎が大きくジャンプする。

「ダイナミックチョップ!」

 良太郎のダイナミックチョップと巧のゴルドスマッシュがブラジラ目がけて炸裂する。光を放出して迎え撃つブラジラだが、2人の技に押される。

 だがブラジラの光に巧と良太郎も吹き飛ばされる。カイザギアが外れて、巧のカイザへの変身が解かれる。

「私がこの程度のことで押されるとは・・!」

 立ち上がるブラジラがいら立ちを浮かべる。巧から外れたカイザギアを、雅人が拾い上げる。

「やはりカイザのベルトは、オレが1番うまく使いこなせる。そういうことだ・・」

 雅人が呟く中、巧が再び立ち上がる。彼の手にはデルタギアがあった。

「やるな、アイツ!久々に燃えてきたで!」

 良太郎も立ち上がって意気込みを言い放つ。

“キンちゃん、そろそろ僕の出番だよ。”

 その良太郎に向けて、また声が響いてきた。今度はイマジンの1人、ウラタロスが良太郎の体に入ってきた。

Rod form.

 また電王の装甲が変化を起こす。良太郎の体からキンタロスが出て、電王は「ロッドフォーム」となった。

「また別のイマジンか。」

「お前、僕に釣られてみる?まぁ、天使を釣るなんて罰当たりなことだけどね。」

 呟くブラジラに良太郎が言いかける。ロッドモードにしたデンガッシャーを、彼はブラジラに向けて振りかざす。

 ブラジラは翼を広げて飛び上がり、デンガッシャーを軽々とかわしていく。

「お前のような者に私を捕らえることなど・・」

 ブラジラが良太郎に向けて言いかけたときだった。デンガッシャーが竿や鞭のように曲がって、後ろからブラジラを叩いた。

「後ろから・・小賢しいマネを・・!」

「釣りは力押しだけじゃダメさ。押し引きや裏をかいたりしてうまくいくものさ。」

 声を上げるブラジラに良太郎が言いかける。

「オレはまだやられていないぞ・・変身!」

Standing by.

 巧がデルタフォンに声をかけて、デルタギアにセットする。

Complete.

 彼はデルタに変身して、ブラジラを見据えて構える。

「出てきたね。今度はデルタになってきたか。」

 良太郎が巧を見て気さくに呟いた。

“ねーねー♪今度は僕がやるよー♪”

 そこへまた声が飛び込んできて、ウラタロスが良太郎の体から飛び出してきた。

Gun form.

 電王の装甲が変化してガンフォームへとなった。良太郎の体にはイマジンの1人、リュウタロスが入っていた。

「お前倒しちゃうけどいいよね?答えは聞かないけど。」

「答える権利がないのはお前たちだ。」

 良太郎の言葉にブラジラが笑みを見せて言葉を返す。良太郎はデンガッシャーをガンモードにして、ブラジラ目がけて発砲する。

 しかしブラジラは軽やかに射撃をかわし、さらに光で射撃をはじいていく。

「もー!何で当たんないんだよー!」

「お前の攻撃など、当たること自体愚かしいことだ。」

 不満を見せる良太郎をブラジラがあざ笑う。

「お前だけでアイツの相手をしてんな。」

「いいじゃないかー!もっともっとやるよ、僕はー!」

 互いに文句を言ってくる巧と良太郎。2人に対して、ブラジラが光を放とうとしてきた。

「お前がそう来るなら、こっちだって!」

Full charge.

 良太郎がガンモードのデンガッシャーにエネルギーを集中させる。

「チェック!」

Exceed charge.

 巧もデルタフォンに呼びかけて、ブラジラに向けて光の円錐を放つ。良太郎がエネルギーの弾「ワイルドショット」を放つと同時に、巧はジャンプしてルシファーズハンマーを繰り出した。

 ブラジラの光がエネルギーの弾を受け止める。そこへ巧が飛び込んで、ブラジラがキックを叩き込まれて押された。

「やったー♪僕の勝ちー♪」

 良太郎が喜んで万歳をする。巧もブラジラを追い込めたことに安心を感じていた。

「ずいぶんと手こずっているな、ブラジラ。」

 そこへメーズが現れて、ブラジラに声を変えてきた。彼女の後ろにはリブラゾディアーツとブライアンがいた。

 メーズが鞭を振りかざしてビームを放つ。ビームによる爆発で巧が良太郎とともに吹き飛ばされて、彼からデルタギアが外れた。

 ブラジラの劣勢にメーズたちが加勢してきた。

「メーズ、余計なことを・・!」

 ブラジラがいら立ちを見せる中、メーズが撃たちを見て笑みを浮かべてきた。

「今こそ覚悟を決める時だ、スーパー戦隊、仮面ライダー、宇宙刑事よ。」

 鞭の先を撃たちに向けて言い放つメーズ。さらにヒドラー兵たちの他、ショッカー戦闘員やゾルダーなどの戦闘員たちも姿を現してきた。

 

 

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