ギャバン×ウィザード×キョウリュウジャー
スーパーヒーロー英雄列伝
第5章
先にネクロマンサーガルヴォルスのいるところへ向かう晴人たち。その彼らの前の地面から突然火花が散った。
「お前たちをここから先には行かせない。」
晴人たちの前に1人の怪人が現れた。「ホロスコープス」の1人、リブラゾディアーツである。
「お前も復活した怪人というわけか。こっちには相手をしている暇はないんだ。」
晴人はリブラゾディアーツに言いかけると、フレイムリングを指にはめた。
「変身。」
“フレイム・プリーズ・ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!”
フレイムリングをハンドオーサーにかざすことで、晴人は赤い魔法陣を通ってウィザードに変身する。
「一気に突破させてもらうぞ!」
「フン。先に行かせないと言ったはずだ。」
ウィザーソードガンを構える晴人に言い返すリブラゾディアーツ。彼の後ろに星屑忍者「ダスタード」が姿を現した。
「くっ!あのような者も忍者を従えておるとは・・!」
「忍者だろうが怪物だろうが、悪者だということには変わらないけどね。」
空蝉丸とソウジがダスタードに対して言いかける。
「どっちにしても、こういうのには好かれたくないね。」
イアンが苦笑いをこぼして、彼らがリブラゾディアーツとダスタードに視線を戻す。
「さーて!オレたちもやらせてもらうと・・!」
「いや、アイツらの相手をするのはオレたちだ。」
ダイゴが立ち向かおうとしたのを、ヒロムが呼び止めてきた。
「ちょっと待ってくれって!お前らだけじゃ・・!」
「晴人が言っただろ。オレたちには時間がない。急いであのガルヴォルスのところへ行かなければならないから・・」
声を上げるダイゴにヒロムが呼びかける。彼の言葉を聞いて、ダイゴが納得する。
「あの怪人と忍者はオレたちに任せてくれ。」
「あたしたちもすぐに追いつくから安心して。」
リュウジとヨーコもダイゴたちに呼びかける。
「オレがいれば、あんな連中など相手ではない!」
Jが前に出て言い放つが、ヨーコに引っ張られてどかされる。
「撃、みんなを頼んだぞ。」
「任せてくれ。必ずヤツらを止めてやるさ。」
呼びかけるヒロムに撃が答える。
「それじゃ先に行くぜ!」
「必ず無事でいてくれ。」
ダイゴと晴人もヒロムたちに声をかけて走り出した。
「メガブレイバー、僕たちも行くよ!」
「あぁ。ここからが正念場だ。」
光輝がメガブレイバーに乗って声をかけると、メガブレイバーが返事をする。彼らに続いて晴人、撃、ダイゴたちも走り出していった。
「それじゃこっちも早く済ませるか。」
リュウジが言いかけると、彼らに対してリブラゾディアーツが杖を構える。
“It's morphin
time.”
ヒロムたちがモーフィンブレスとモーフィンブラスターを使ってバスタースーツを身にまとう。
「レッツモーフィン!」
彼らもゴーバスターズへの変身を果たす。
「まずはゴーバスターズから葬ってやる。」
リブラゾディアーツがダスタードとともに飛びかかる。
「バスターズ・レディー・・」
「ゴー!」
ヒロムたちも飛び出してリブラゾディアーツたち迎え撃つ。リュウジ、ヨーコ、Jがダスタードの相手をする。
リュウジとJが肉弾戦でダスタードを打ち倒していく。ヨーコもイチガンバスターでダスタードを狙い撃ちする。
ヒロムがソウガンブレードを手にして、リブラゾディアーツに振りかざす。リブラゾディアーツが杖を振りかざして、ソウガンブレードを受け止める。
「私は返り咲くのだ・・よみがえり、高まったこの力で、栄光をつかむのだ!」
「そんなお前たちだけの栄光なんて、オレたちがさせない!」
野心を見せるリブラゾディアーツに言い返して、ヒロムが反撃に転ずる。しかし彼が振りかざすソウガンブレードは、リブラゾディアーツの杖にことごとく防がれていく。
「やはり魔空空間でパワーアップしている・・!」
「ヒロム!」
焦りを感じていくヒロムに声をかけて、ニックがバイクモードに変形してきた。
「乗れ、ヒロム!」
「ニック!」
声を掛け合って、ヒロムがニックに乗り込む。向かってくる彼らに、リブラゾディアーツが杖を振りかざしてビームを放つ。
ビームによる爆発をかいくぐって、ヒロムとニックが走り込んで、リブラゾディアーツに突っ込んだ。突き飛ばされて横転するリブラゾディアーツだが、すぐに立ち上がって構える。
ヒロムとニックが再びリブラゾディアーツに向かって走り込む。リブラゾディアーツが杖からビームを放って、ヒロムに命中させた。
「ヒロム!」
停車したニックが声を上げる。横転したヒロムが即座に起き上がって、リブラゾディアーツに目を向ける。
「ダスタードはともかく、私はお前たちよりも力が上ということか。」
リブラゾディアーツがヒロムたちよりも強いと思って、笑みをこぼす。
「急いでいるようだな。なら遊びはなしで、すぐにとどめを刺させてもらうしよう。」
「ヒロム!」
杖を構えるリブラゾディアーツ。ヒロムのピンチにニックとリュウジが声を上げる。
そのとき、横からビームが飛んできてリブラゾディアーツに命中した。
「くっ!何者だ!?」
リブラゾディアーツがビームの飛んできたほうに目を向けて声を上げる。
「ア、アンタは・・!?」
ビームを放ってきた人物を見て、ヒロムだけでなくリュウジたちも驚きを覚える。彼らはその男の顔に見覚えがあった。
「しばらくの間に、ずいぶんと弱くなっちまったのか?」
男がヒロムに気さくに声をかけてきた。彼の手にはモーフィンブラスターが握られていて、リブラゾディアーツを撃ったビームはそこから発射されたものだった。
「あなたは、陣さん・・!?」
驚きの声を上げるヒロム。ゴーバスターズの一員だった陣マサトがヒロムたちの前に現れた。
「何だよ、オバケが出たみたいな顔して・・」
「オバケなんてもんじゃないですよ・・先輩、亜空間で消滅したはずじゃ・・・!」
苦笑いを浮かべるマサトに、リュウジも恐る恐る声をかける。
「そのはずだったんだけどな。気が付いたらこんなおかしなところにいた。お前たちがいるってことは、ここはあの世ってわけじゃないな。」
「先輩・・相変わらずですね・・」
マサトが語りかえると、リュウジが苦笑いをこぼす。
「そろそろ真面目な話に切り替えるか。この魔空空間で今起きていることは分かってる。あの怪人が力を上げて他のヤツらもよみがえらせていることも、オレも一緒に生き返ることになったのも・・」
「それじゃ、陣さんもあのガルヴォルスの力でよみがえったんですか・・」
「そういうことになったのは、喜ぶべきなのか嫌気を感じるべきか。オレが生き返ったのは、あの怪人の力だからな。」
「それじゃ、もしあのガルヴォルスを倒せば、陣さんはまた・・・」
マサトの説明を聞いて、ヒロムたちが一抹の不安を覚えた。ネクロマンサーガルヴォルスを倒せば、彼の力でよみがえったマサトたちも命を落とすことになる。
「まだ仲間がいたとは。しかもアイツが私と同じようによみがえらせていたとは・・」
リブラゾディアーツがマサトに目を向けて呟く。
「それにここに来たのはオレだけじゃないぞ。」
マサトが声をかけると、もう1人、男が姿を現した。彼の顔はマサトそっくりだった。
「あれ!?陣さんが、2人!?」
ヨーコがマサトと男の顔を見比べて、驚きの声を上げる。
「まさかオレと顔がそっくりの人と会うとは・・」
「これは驚いたぞ。まさか陣が双子だったとは。」
男が呟いているのをさえぎって、Jが出てきた。
「かぶんな、J!お前も相変わらずだな!」
するとマサトにJがどかされる。
「あなた、もしかして・・・!」
「あぁ。オレは小津翼。そして・・魔法変身!マージ・マジ・マジーロ!」
“マ〜ジ・マジ・マジ〜ロ!”
ヒロムが言いかけると、男、翼が携帯電話「マージフォン」に呪文を唱える。翼が黄色のスーツとマントを身にまとう。
「走る雷のエレメント!黄色の魔法使い、マジイエロー!」
翼が名乗りを上げて、リブラゾディアーツとダスタードたちに振り返る。
「お前も戦隊の戦士か。だが1人や2人加わったところで・・」
リブラゾディアーツが笑みを見せたところで、さらに緑、桃色、青、赤のスーツとマントを身にまとった戦士たちが駆けつけてきた。
「先に行っちまうなんて、ひどいぞ、ちい兄・・」
「しょうがないじゃないか、陣に引っ張られちゃったんだから・・」
赤の戦士が文句を言うと、翼が言葉を返す。彼らが改めてリブラゾディアーツに視線を向ける。
「お前たちは・・!」
リブラゾディアーツが翼たちに声を荒げる。
「うなる大地のエレメント!緑の魔法使い、マジグリーン!」
「吹き行く風のエレメント!桃色の魔法使い、マジピンク!」
「たゆたう水のエレメント!青の魔法使い、マジブルー!」
「燃える炎のエレメント!赤の魔法使い、マジレッド!」
翼の兄弟、蒔人、芳香、麗、魁が名乗りを上げる。
「あふれる勇気を魔法に変える!魔法戦隊、マジレンジャー!」
魁たちが声をそろえてポーズを決めた。同じく魔空空間に飛び込んでいたマジレンジャーが、ヒロムたちと合流してきた。
「さて、オレも久しぶりに体を動かすとするか。」
“It's morphin
time.”
マサトもモーフィンブラスターを取り出して、金色のバスタースーツを身にまとう。
「レッツモーフィン!」
彼はゴーバスターズの1人、ビートバスターへの変身を果たした。ゴーバスターズがそろい、マジレンジャーも駆けつけたことに、リブラゾディアーツは焦りを覚える。
「とりあえずその命は預けておくぞ。だが次に会うときがお前たちの最後だ。」
ヒロムたちに言いかけると、リブラゾディアーツは忽然と姿を消した。ダスタードたちも素早くこの場から去っていった。
「逃げんなって。せっかくオレが久しぶりにやる気になってたのに・・」
マサトが不満を口にして、ヒロムたちに目を向けた。
「他のヤツらのことも聞いた。戦隊や宇宙刑事の他に、仮面ライダーなんてのもいるみたいだな。」
「はい。撃たちは先に向かっています。」
「よし。オレたちも追いかけるぞ。このままだとこの空間と外の世界が入り混じっちまうぞ。」
答えたリュウジに呼びかけるマサト。彼のこの言葉にヒロムたちが緊張を膨らませた。
「陣さん・・それって、どういう・・・!?」
「あの怪人の力が、逆にこの空間に影響を及ぼしてる。それでこの空間と外の世界が入り混じることになる・・」
ヨーコが投げかけた問いかけに、マサトが深刻さを込めて答えた。
「魔空空間はマクーの連中だけじゃなく、バグラスとかの他の怪人たちのパワーも3倍にしてる。この空間がオレたちの世界と入り混じっちまったら・・」
「オレたちの世界で、怪人たちが次々によみがえる・・それも通常の3倍の強さになって・・・!」
マサトに続いて、魁も不安を口にする。彼らの脳裏に最悪の事態がよぎった。
「とにかくダイゴたちに追いつこう。敵は魔空空間に逆に影響を及ぼしているぐらいのヤツらだ。」
「あぁ!こんな邪悪な死者蘇生なんて、オレたちで止めてやる!」
ヒロムと魁が声を掛け合って、彼らは晴人たちに追いつくために走り出した。
先にネクロマンサーガルヴォルスのところへ向かう晴人、撃、光輝、ダイゴたち。彼らはついにネクロマンサーガルヴォルスの前にたどり着いた。
「やっと見つけたぞ、ガルヴォルス!」
ダイゴが呼びかけると、ネクロマンサーガルヴォルスが振り返ってきた。
「お前のやっていることは、地球をはじめとした宇宙の星々に悪影響を及ぼすことだ。お前たちを見過ごすことはできない!」
「世界のみんなの希望は、オレたちが守る・・!」
撃と晴人も言い放つと、ネクロマンサーガルヴォルスが笑みを見せてきた。
「お前たちが束になろうと、私を止めることはできない。私はこの力をもっともっと解き放ちたいのだ。」
「そのために世界や地球、宇宙をメチャクチャになんてさせない!お前たちの企みは、ここで僕たちが止める!」
野心を口にするネクロマンサーガルヴォルスに光輝が言い放つ。
「変身!」
光輝がベルトに水晶をセットして、オメガに変身する。
「蒸着!」
撃もコンバットスーツを身に着けて、ギャバンに変身する。
「往生際の悪いことだ。お前たちなど、私が相手をするまでもない。」
ネクロマンサーガルヴォルスが言いかけると、晴人たちの前にメーズとブラジラが現れた。
さらにもう1人、仮面ライダーに似た姿の怪人も現れた。オルフェノクの王、アークオルフェノクである。
「仮面ライダー・・みたいだけど、似た姿の怪人だ・・!」
光輝がアークオルフェノクを見て緊張を覚える。
「オレもアイツのすごさを感じてるぜ・・多分、そこの2人以上の強さかもな・・・!」
ダイゴもアークオルフェノクの強さを感じて息をのむ。
「ライダー、宇宙刑事、キョウリュウジャー・・」
「今度こそこの魔空空間をお前たちの墓場にしてくれる。」
ブラジラとメーズも笑みをこぼして、晴人たちに迫る。光輝が先に飛び出して、ブラジラに立ち向かう。
「地球は今度こそ救星されなければならん。お前たちも地球に住む者たちの愚かさに気付かず、地球のために戦い続けている。おめでたいことだ、戦隊も仮面ライダーも。」
「確かに人々の中には、悪い心を持っている人がいた・・そのために心優しい人が怒りと憎しみに駆り立てられてしまったこともある・・」
ブラジラに対して、光輝が今までの自分の経験と戦いを思い返していく。
「でもお前たちのような邪悪な存在に作り変えられるほど、地球は悪に染まっていない!地球には心優しい人が大勢いるんだ!」
「今の人間どもが心優しいとは笑わせる。お前もそのような愚かな人間の1人にすぎぬわ!」
自分が見出した答えを言い放つ光輝をあざ笑うブラジラ。
「うあっ!」
ブラジラが放った光を受けて、光輝はオメガの装甲から火花を散らしながら吹き飛ばされる。倒れた彼に向けて、ブラジラが光の弾を放つ。
そこへ晴人が飛び込んできて、ソードモードのウィザーソードガンを振りかざして光の弾を弾き飛ばした。
「悪いけど、世界はお前のようなヤツに作り変えられるほど絶望的じゃないんでね。」
「お前に、地球や宇宙の秩序を乱させるわけにいくか!」
晴人に続いて撃も言い放って、レーザーブレードを手にして構える。
「仮面ライダーも宇宙刑事も、愚かさに気付けない存在でしかないとは・・」
あざ笑ってくるブラジラが電撃を放出する。晴人、光輝と同時に電撃をかわした撃の前に、ネーズが立ちはだかった。
「宇宙刑事ギャバン、お前の相手は私がしてやる。」
メーズが笑みを見せてから、鞭を手にして撃に振りかざしてきた。撃は鞭をかわしてレーザーブレードを振りかざすが、メーズの鞭の柄に防がれる。
「晴人!光輝!撃!」
ダイゴが声を上げるが、彼らの前にアークオルフェノクが立ちはだかった。
「どうやらオレたちは、コイツの相手をしないといけないみたいだな・・」
「各々方、心してかかるでござるよ・・!」
イアンが呟き、空蝉丸が注意を呼びかける。構えを取るダイゴたちに向けて、アークオルフェノクが右手から光の弾を放ってきた。
ダイゴたちが光の弾を回避して、イアンとアミィがガブリボルバーで射撃する。しかしアークオルフェノクは左腕を振りかざして、ガブリボルバーのビームを弾き飛ばした。
その直後に空蝉丸が飛び込んで、ザンダーサンダーを振りかざしてきた。しかしアークオルフェノクは軽々とかわし、さらに右手で空蝉丸の斬撃を受け止めて、左手から衝撃波を放った。
「うあっ!」
空蝉丸が突き飛ばされて、壁に激しく叩きつけられる。倒れた彼にアークオルフェノクが向かっていく。
「よいしょ!」
そのとき、ノブハルが後ろからアークオルフェノクを取り押さえてきた。
「今だよ!」
ノブハルが呼びかけると、ダイゴとソウジが飛び込んでガブリカリバーを振りかざしてきた。2人の斬撃は直撃したが、アークオルフェノクはさほどダメージを受けていなかった。
「やっぱりとんでもなく強い・・!」
「生半可な攻撃じゃダメージも与えられない・・・!」
アークオルフェノクの強さにダイゴとソウジが危機感を膨らませる。アークオルフェノクが全身から衝撃波を放ってノブハルを吹き飛ばして、右手を振りかざして触手を伸ばして、ダイゴとソウジを突き飛ばした。
「ヤツらの力、体にも十分に感じたことだろう。お前たちがどれだけ集まってきても、私はおろか、私がよみがえらせた怪人たちにも勝つことはできない。」
ネクロマンサーガルヴォルスが晴人たちをあざ笑う。
「私がどれだけ力を高められるのか、どれほどの数の怪人たちをよみがえらせることができるのか、お前たちはどこまで見届けることができるかな?」
ネクロマンサーガルヴォルスが自分の力をさらに高めていく。彼の力に呼び起こされる形で、空間の地中から次々と怪人や戦闘員たちが現れていく。
「まずいぞ!このままでは地球にも影響が・・!」
「魔空空間が、地球や宇宙と融合してしまう・・・!」
光輝と撃が魔空空間の異変に危機感を膨らませていく。しかし2人も晴人もダイゴたちも、ブラジラ、ネーズ、アークオルフェノクの前に悪戦苦闘を強いられていた。
「そろそろ本番といくか。新たなる私の真髄を今こそ・・!」
ネクロマンサーガルヴォルスが笑みを浮かべて、右手にエネルギーを集中させていく。
「まさか、味方ごと攻撃するつもりか・・!?」
「巻き添えで死ぬことになろうと、再び私の力でよみがえらせてやるまでだ・・・!」
声を上げる晴人に、ネクロマンサーガルヴォルスが嘲笑を投げかける。
「ギャバン、ウィザード、オメガ、キョウリュウジャー、ここで全員消え失せろ!」
ネクロマンサーガルヴォルスが右手から光の球を放つ。光の球は地面に当たると、一気にふくれ上がって爆発を引き起こした。
「うわあっ!」
「があっ!」
「キャアッ!」
爆発の衝撃で晴人たちが大きく吹き飛ばされてしまう。光の球が当たった場所は大きく削れて、巨大な穴ができていた。
「ここまで威力が上がっているとは、私自身驚いている・・」
ネクロマンサーガルヴォルスが自分の右手を見つめて、自分の高まっている力を実感していく。
「本当に巻き添えになるところだったぞ、お前・・」
光の球を回避していたネーズが、ネクロマンサーガルヴォルスに不満を言ってくる。ブラジラもアークオルフェノクも回避を行っていた。
「それなのに回避できたということは、お前たちの力もこの魔空空間で高まっている証拠だろう。」
「それはそうだが、お前に捨て駒のようにされるのは腹立たしい。お前によみがえらせてもらったが、それでお前の部下になったつもりもない。」
「どう思おうがお前たちの自由だ。だが1つだけ覚えておくべきことがある。」
ブラジラの文句を聞き流して、ネクロマンサーガルヴォルスが告げる。
「お前たちは私の力でよみがえった。つまり私が力を使えば、お前たちの命を簡単に消すことができるということだ。」
ネクロマンサーガルヴォルスが意識を傾けると、ブラジラが突然苦痛を覚える。ネクロマンサーガルヴォルスが力を抜くと、ブラジラを襲った痛みも消えた。
「お前、まさか我々の命を・・・!」
「私によって生き返らせてもらったお前たちの命は、私の思うがままになっている。仮に私よりも強くなって反逆してこようとしても、私の意思ひとつで命をかき消されて、その力を奪われるだけだ。」
声を振り絞るブラジラに語りかけるネクロマンサーガルヴォルス。
「私に刃向かうことをしなければ、お前たちの行動は自由だ。ライダーや戦隊への復讐、地球や宇宙の征服や破壊、好きにやるといい。」
「おのれ、いい気になりおって・・ライダー、戦隊、宇宙刑事、全員始末したら、いずれ貴様も・・!」
笑みを見せるネクロマンサーガルヴォルスに、ネーズもいら立ちを感じていた。
「ウィザードたちは全員生きている。私の攻撃で離れ離れになっているが。」
ネクロマンサーガルヴォルスが晴人たちの気配を感じて言いかける。
「ヤツらが体勢を立て直した頃には、私の最大の戦力が整っているだろう・・」
ネクロマンサーガルヴォルスは笑い声をあげながら、ブラジラたちの前から歩き出していく。
「魔空空間と外の世界が1つになる、か・・それもまた面白くなるな・・」
撃たちが予測している最悪の事態に対して、ネクロマンサーガルヴォルスは期待と野心を抱いていた。
ブーバのブルバドス活人剣によってオルフェノクの力の暴走を止めて、眠りについていた巧が意識を取り戻した。
「乾、目が覚めたか・・・!」
体を起こした巧に、修二が安心を見せる。
「オレは・・・?」
「オルフェノクの力にのみ込まれそうになっていたのを、あのブーバというヤツが・・・」
巧が声をかけると、修二が事情を説明する。続けて光太郎も話に加わる。
「ブーバのブルバドス活人剣を受けたことで、君は一時的に仮死状態になって意識を失ったんだ。結果、君の暴走が止まったが・・」
「そうだったのか・・アイツ、根っからの悪じゃないってことか・・」
説明を聞いた巧が立ち上がり振り返る。
「他のみんなのことも気がかりだ。今はみんなと合流したほうがよさそうだ・・」
「フン。相変わらず仲良しなことだ。うらやましい限りだ・・」
呼びかける光太郎と、あざけってくる雅人。
「オレもアイツらを倒すために戦ってやる。オレはあのような連中に命を長らえているのには我慢がならないからな・・」
「草加・・・」
言いかけてくる雅人に、修二が戸惑いを感じていく。
「オレも行く・・こうして生き返ったからには、この手で海を守らないと・・・」
クジラ怪人も行動を共にすることを言い出してきた。すると光太郎が彼に手を差し伸べてきた。
「ありがとう、クジラ怪人。今回も一緒に戦おう・・」
クジラ怪人が頷いて光太郎と握手を交わした。
「行こう。これ以上怪人たちに、自由と平和を踏みにじらせはしない・・」
「あぁ・・行くぜ・・・」
光太郎が呼びかけると、巧が頷く。彼らは晴人たちと合流するため、移動を始めた。
そのとき、巧たちが遠くで爆発がしたのを目撃した。
「あれは・・光輝くんたちが向かった先だ・・まさか、みんなに何か・・・!?」
「急いだほうがいいみたいだな・・・!」
光太郎と巧が不安を感じていく。彼らは晴人たちのところへ急ぐ。しばらく進んでいくと、彼らは変身が解けたダイゴ、イアン、アミィ、撃、光輝が倒れてるのを発見した。
「光輝くん!みんな!」
光太郎が声を上げて光輝に駆け寄る。巧と修二も撃とダイゴたちに駆け寄った。
「しっかりするんだ!目を覚ますんだ!」
光太郎に呼びかけられて、光輝が目を覚ました。
「・・光太郎さん・・・ここは・・・!?」
「君たちだけがここに倒れていた・・他のみんなは・・・!?」
周りを見回す光輝に光太郎が答える。
「あれからまた怪人たちが現れて、ヒロムたちが相手をするって残って・・」
「それからあのガルヴォルスのところまで来たけど・・」
「見事に返り討ちにされて、みんなバラバラに・・」
ダイゴ、アミィ、イアンも事情を説明する。
「あのガルヴォルスを早く止めないと・・魔空空間が、外の世界に広がってしまう・・・!」
撃がネクロマンサーガルヴォルスの動向に危機感を膨らませていく。
「みんなと合流しよう。ガルヴォルスのいるほうに向かえば、みんなもそちらのほうへ向かうだろう、すぐに合流できるはずだ。」
「よし!そうと決まったらすぐにでも・・!」
光太郎の言葉を聞いて、ダイゴが意気込みを見せる。そのとき、ダイゴはクジラ怪人がいることに気付いて振り返ってきた。
「お前もしかして、戦隊かライダーに味方してた怪人か?」
ダイゴが声をかけると、クジラ怪人が頷いた。
「君たちにも頼みたい・・お願いだ・・僕の故郷を、海を守ってくれ・・・!」
「海か・・海はオレたちにとっても獣電竜たちにとっても大切なもんだ!海も世界も、オレたちが守ってみせるぜ!」
頼んできたクジラ怪人にダイゴが気さくに答える。
「ありがとう・・本当にありがとう・・・」
ダイゴの勇敢さに心を打たれて、感謝するクジラ怪人が涙を見せた。
「それじゃ戻るとするか!」
「ノッさんやウッチーも行ってると思うからね。」
ダイゴが声をかけるとアミィが答える。
「改めてよろしく頼むぜ!」
「あんまり馴れ馴れしくするな・・分かってる・・」
ダイゴが声をかけると、巧は突っ張った素振りを見せた。
「やはり生きていたか。探りを入れて正解だった。」
そのとき、ダイゴたちの前にブラジラが現れた。ダイゴたちの追撃に出ていたブラジラは、彼らを見つけ出した。
「ブラジラ・・こんなときに・・・!」
「お前たちをここで、今度こそこの手で葬り去ってくれるぞ。」
焦りを覚える撃たちを倒そうと、ブラジラが野心をむき出しにしてきた。