ギャバン×ウィザード×キョウリュウジャー
スーパーヒーロー英雄列伝
第3章
ネクロマンサーガルヴォルスの力は格段に上がっていた。その力に影響されて、空間の大地の下にいた怪人たちが次々と目覚めていた。
「もっとだ・・もっとよみがえれ・・全員私の力となるのだ・・・!」
ネクロマンサーガルヴォルスが増していく自分の力に酔いしれていく。
「怪人や宇宙人だけではない・・仮面ライダーやスーパー戦隊に敵対していた組織や集団の者をよみがえらせて、私に従わせる・・・!」
さらに力を解放していくネクロマンサーガルヴォルス。しかし彼は増している自分の力を制御できていなかった。
そのため、ネクロマンサーガルヴォルスは自分がどのような死者をどれだけよみがえらせたのかを把握していなかった。
「間違いない・・あれは魔空空間だ・・!」
空間の歪みを見た撃が、その正体を口にする。
「魔空空間?」
彼の言葉に晴人やダイゴたちが疑問符を浮かべる。
「魔空空間は宇宙犯罪組織“マクー”が作り出す空間のことだ。そこではマクーの連中は能力が3倍になるんだ。」
「3倍に!?さっきみたいなのがそれだけパワーアップしちまったら厄介だ!」
撃の説明を聞いて、ダイゴが驚きの声を上げる。
「しかしマクーは全滅しているはずだ・・残党がいる可能性もあるが、魔空空間をつなげることは・・!」
「それにこの空間、こちら側からじゃなく向こうから開けられた可能性が高いんだ・・」
撃に続いてリュウジが語りかける。
「ということは、魔空空間にいるマクーが、空間のトンネルを開けたと・・」
「しかもそいつが怪人たちをよみがえらせているのか・・」
イアンとソウジも深刻な表情を浮かべて言いかける。
「このまま怪人たちがよみがえってしまったら、世界の混乱がさらに大きくなることになる。早く止めないと・・!」
「でも、仮にあの中に行けても、そこじゃ敵の強さがここでの3倍なんでしょ!?それにどんな敵がいるのか分かんないし・・」
光太郎が呼びかけるが、ヨーコが不安の声を上げる。
「たとえ敵がどんなに強くても、世界がムチャクチャになるのは止めないといけない!」
ダイゴは不安を見せることなく、高らかに言い放っていく。
「本当に騒がしいヤツだ・・ま、世界をムチャクチャにしようって連中の好きなようにさせるのもイヤだからな・・」
巧も憮然とした態度を見せながらも、怪人たちと戦う決意を固めていた。
「オレも戦う・・デルタとして、みんなの夢を守らないと・・」
修二も迷いを振り切り、戦うことを心に決めていた。
「それで、他の仮面ライダーやスーパー戦隊もいるんだろう?甘えるつもりじゃないが、どうしてるのかぐらいは把握してもいいと思うんだけど・・」
「みんなそれぞれの場所で戦っているはずだ。みんなが今の異変を感じていないとは思えない・」
晴人が問いかけると、ヒロムが真剣な顔で答える。
「ならそれなら、オレたちが先にその魔空空間に行こうぜ!悪者の悪さを止めようぜ!」
「おっと!悪いがオレはここに残らせてもらうぜ。いざってときにオレの魔力を温存させときたいんでな。」
ダイゴが呼びかけるが、攻介が待ったをかけた。
「あのな、こんなときに何を言って・・」
「まぁまぁ、みなまで言うな。オレは魔力をくわねぇと生きていけねぇ体になってるんだよ・・」
撃が不満を言おうとしたのをさえぎって、攻介が自分のことを言う。
「だったら仁藤は居残りだ。こっちの守りはお前に任せる。」
すると晴人が攻介に世界の守りを頼んできた。
「よーし!ここはとりあえずオレに任せろ!食いもんがなくなって飢え死にしちまうようなことになっちまったらたまんねぇからな!」
攻介が意気込みを見せると、晴人が笑みを見せて頷いた。
「それじゃ行くとするか!」
「僕も行くよ。」
ダイゴが空間に飛び込もうとしたとき、声がかかった。彼らの前に1人の青年がバイクに乗って駆けつけてきた。
「光輝くんも来てくれたのか・・!」
青年、吉川光輝に光太郎が声をかける。
「そのバイク・・もしかしてあなたも仮面ライダーなのかな?」
アミィが光輝に歩み寄って声をかけてきた。
「うん。僕は吉川光輝。仮面ライダーオメガだ。そして彼がメガブレイバーだ。」
光輝が自己紹介をして、オメガ専用バイク「メガブレイバー」を紹介する。
「君たちがあの獣電戦隊キョウリュウジャーだね。そしてウィザードとビーストか。」
メガブレイバーが晴人と攻介、ダイゴたちに声をかけてきた。
「おぉ!お前もしゃべるバイクなのか!」
するとニックが興奮を見せてきて、メガブレイバーに駆け寄ってきた。
「もしかして、人型になれたりするのか!?そうなったらいい友達になれそうだ〜!」
「いや、私は人の形にはなれない。通常の“パワードフォーム”からスピード重視の“スピードフォーム”に切り替わるのだ。」
興奮を見せるニックに、メガブレイバーが冷静に答える。
「だけどだけど、話のできるバイクということで、オレたち、気が合いそうだ!」
「ニック、いい加減にしろって・・」
さらに喜びを見せるニックをヒロムが止めに入る。
「そろそろ行くぞ。ここでいつまでもおしゃべりしている時間はない・・」
撃が声をかけると、光輝もヒロムも真剣な顔を見せる。
「まずはオレがサイバリアンで突入して、魔空空間への地上からのトンネルを開ける。みんながそこから空間に入ることになる。」
撃が説明をしてから、ドルギランに待機しているシェリーに連絡を取った。
「シェリー、サイバリアンで魔空空間に突入する。」
“魔空空間の中のエネルギーがさらに増してるわ。気を付けて、撃。”
呼びかける撃に答えるシェリー。そして撃たちの前にサイバリアンが駆けつけてきた。
「おお!宇宙刑事にもそういうバイクがあるのかー!」
光輝がサイバリアンを見て喜びの声を上げる。
「感動は後だって言ったはずだ。オレが先に行くから、みんなはついてきてくれ。」
撃は声をかけてからサイバリアンに乗り込んで走らせる。エネルギーを発したサイバリアンが、次元の壁を破って魔空空間へと乗り込んでいった。
「オレたちも行くぜ!」
“ガブリンチョ!ディノチェ〜イサー!”
ダイゴたちが恐竜型のバイク「ディノチェイサー」に乗って、撃に続く。
「それじゃオレも行くか。」
“コネクト・プリーズ”
晴人が魔法陣を通して、バイク「マシンウィンガー」を呼び寄せた。彼も撃やダイゴたちを追いかけていく。
「オレたちも行こう。」
「はい!」
「あぁ。」
光太郎が声をかけて、光輝と巧が答える。彼らと修二、ヒロムたちも魔空空間に向かっていった。
「はぁ、オレは留守番かぁ・・」
1人残った攻介がため息をつく。しかしすぐに気持ちを切り替えて、腹ごしらえをするのだった。
撃を先頭にして、晴人たちは魔空空間に突入した。荒野のような場所で足を止めた彼らは、周りを見回していく。
「ここが、魔空空間なのか・・・!?」
「何だか僕たちの世界とあまり変わんないみたいだけど・・」
ダイゴと光輝が魔空空間を見て声を上げる。
「この感じ・・アンダーワールドに雰囲気が似ている・・・」
晴人は人の心と記憶の世界「アンダーワールド」とこの魔空空間が似ていると感じていた。
「しかし、この気配・・世界全体から禍々しい妖気が漂っているようでござる・・・!」
「どこから何が出てくるか分からないぞ・・・!」
空蝉丸と光太郎が魔空空間の異様な感じに緊張を膨らませていく。
「乾さん、どうかしたんですか・・・?」
ヒロムが巧の様子を気にして声をかけた。
「いや、何でもない・・」
巧が返事をするも、ヒロムは彼の様子がおかしいという判断を捨てられなかった。
(乾、お前まさか・・・!?)
修二は巧のこの様子に一抹の不安を感じていた。修二にはこの異変が何なのか予想がついていた。
「ここまでやってくるとはな・・」
そこへ声がかかって、撃たちが振り返った。彼らの前に白く長い髪をした怪人が現れた。
「お前は誰だ?この世界に住んでるヤツか?」
「私の名はメーズ。ここはすばらしい。私の力がどんどん湧き上がってくるわ・・・!」
イアンが声をかけると怪人、メーズが自分の力への喜びを見せていく。
「この力、お前たちで試させてもらうぞ・・出てこい!」
メーズが呼びかけると、地面から青い体の怪人たちが出現した。
「うわっ!何アレ!?気持ち悪いわよ〜!」
「青い怪物に僕らの顔が青ざめたー!」
アミィが悲鳴を上げて、ノブハルがダジャレを口にする。
「こんなときにのん気なこと言ってる場合じゃないでしょ。」
晴人がノブハルにツッコミを入れる。青色の怪人、ヒドラー兵が続々と晴人たちに迫ってくる。
「こんなところで立ち止まっているわけにはいかない!」
「一気に突破するぞ!」
光輝とヒロムが呼びかけて構える。
“ドライバーオン。プリーズ。シャバドゥビタッチヘーンシーン!シャバドゥビタッチヘーンシーン!・・”
“Standing by.”
晴人がウィザードライバーを起動させて、巧がファイズフォンに変身コードを入力する。同時に修二もデルタフォンを構え、光輝も水晶「オメガクリスタル」を手にする。
「変身!」
“フレイム・プリーズ・ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!”
“Standing by.”
“Complete.”
晴人、巧、修二がウィザード、ファイズ、デルタに変身する。光太郎もRXへの変身を果たす。
光輝もオメガクリスタルをベルト「オメガドライバー」にセットして、赤い装甲を身にまとう。
「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACK!RX!」
「仮面ライダーオメガ!」
RXと光輝が名乗りを上げる。光輝はオメガドライバーの力を使い、「オメガ」へと変身したのである。
“ガブリンチョ!”
ダイゴたちもガブリボルバーとガブリチェンジャーに獣電池をセットする。
「キョウリュウチェンジ!ファイヤー!」
彼らはサンバと歌舞伎の動きをして、ガブリボルバーとガブリチェンジャーからキョウリュウスピリットを放って身にまとう。
“It's morphin
time.”
ヒロムたちもモーフィンブレスとモーフィンブラスターを使ってバスタースーツを身にまとう。
「レッツモーフィン!」
彼らもゴーバスターズへの変身を果たす。
「史上最強のブレイブ!獣電戦隊キョウリュウジャー!」
「バスターズ、レディー・・!」
「ゴー!」
ダイゴたちとヒロムたちが名乗りを上げて、メーズたちに向かっていく。彼らに向かってヒドラー兵が襲い掛かってくる。
イアン、アミィ、ヨーコがガブリボルバーとイチガンバスターでヒドラー兵を撃っていく。しかし撃たれたはずのヒドラー兵たちが起き上がってくる。
ノブハルとリュウジも肉弾戦でヒドラー兵を打ち倒していくが、すぐに起き上がってくる。
「えーっ!?えらくタフじゃないかー!」
ノブハルがヒドラー兵に対して不満の声を上げる。ソウジと空蝉丸も切りつけていくが、それでもヒドラー兵は起き上がってくる。
「どういうことなんだ・・なぜこれだけやられて・・・!?」
「これも、この場所の異様な妖気が引き起こしているということでござるか・・・!?」
何度も立ち上がってくるヒドラー兵に、ソウジも空蝉丸も焦りを感じていた。
「ヒドラー兵はこの魔空空間とあの方の力によって、戦闘力を増している!たとえお前たちでも止めることはできぬわ!」
メーズがダイゴたちをあざ笑う。魔空空間とネクロマンサーガルヴォルスによって、メーズもヒドラー兵もパワーアップしていた。
「そしてこの私も、力が高まっているぞ!」
メーズもいきり立って、晴人たちに迫る。彼女が振りかざすステッキを、晴人がソードモードのウィザーソードガンで受けていく。
「晴人!」
撃とダイゴが押されていく晴人を助けに、メーズに飛びかかる。レーザーブレードとガブリカリバーを振りかざす2人だが、メーズは軽々とかわしていく。
「オレも行かないと!」
光輝も晴人たちに加勢しようとした。
そのとき、光輝、光太郎、巧、修二の前に雷が飛び込んできた。とっさに身構えて雷が落ちた衝撃に耐えた光輝たちが、空を見上げる。
「戦隊、仮面ライダー、宇宙刑事。愚かな人間どもを守ろうとする戦士が多くなったことだ。」
光輝たちのいる場所に天使のような羽根が舞い降りてきた。そして1人の天使が彼らの前に降りてきた。しかしその姿は天使の翼を生やした怪人だった。
「お前は何者だ!?この空間でよみがえった怪人か!?」
「怪人と呼ばれるのは心外だ。我が名はブラジラ。星を救う真の救星主となる者だ。」
RXが声をかけると怪人、ブラジラが名乗りを上げる。
「今度こそお前たちの住む星を作り変える。愚かな人間どもの存在しない、救われた星にする。」
「ふざけるな!地球にはかけがえのない命と自然が存在している!決して愚かではない!」
自分の目的を語るブラジラに、RXが怒りの言葉を投げかける。
「地球は地球に住むみんなのものだ!誰かが好きにしていいなんてことない!」
「そのような浅はかな考えだから、星は堕落していくのだ。だから私が救いの導きをするのだ。」
光輝も呼びかけるが、ブラジラはあざ笑うばかりだった。
「好き勝手なこと言ってくれるな・・けどな、アンタみたいなのが作った世界に住むくらいなら、死んだほうがマシだ!」
巧もブラジラに対して言い放つ。修二もブラジラの救星を受け入れようとしない。
「ならばお前たちも、愚かな人間どもとともに滅びるがいい!」
ブラジラが言い放って、光輝たちに向けて電撃を放ってきた。光輝たちが動いて電撃をかわすが、ブラジラがさらに電撃を放っていく。
「うあっ!」
「ぐあっ」
押し寄せる電撃の速さを振り切ることができず、RXのボディや光輝たちのまとう装甲から火花が散る。
「は、速い・・!」
「それに威力もある・・受け続けたらやられてしまう・・・!」
ブラジラの強さにRXと光輝がうめく。
「こうなったらこれで・・!」
立ち上がった巧が左手につけられているリストウォッチ「ファイズアクセル」を起動させる。
“Complete.”
ファイズの装甲の胸部が展開して色も赤から黒に変わった。ファイズの超高速形態「アクセルフォーム」である。
“Start up.”
ファイズアクセルのスイッチを押した巧が、ブラジラを見据えて構えを取る。ブラジラが巧に向けて電撃を放つ。
次の瞬間、巧が目にも留まらぬスピードを発揮して、電撃をかわした。そして巧は一気に飛び込んで、デジタルカメラ型パンチングユニット「ファイズショット」を装備した右手のパンチ「アクセルグランインパクト」をブラジラに叩き込んだ。
突き飛ばされて宙に跳ね上げられるブラジラに向けて、円錐状の赤い光が数個出現する。
「私を大きく上回る速さだ・・だが!」
ブラジラが全身から光を放出する。彼の光の力で、連続キック「アクセルクリムゾンスマッシュ」が弾かれてしまう。
「ぐっ!」
“3,2,1...Time out.”
ブラジラの光を受けてダメージを受けた巧が、地上に落ちて横転する。そしてアクセルフォームの制限時間が終わりを迎える。
“Reformation.”
ファイズの胸部が閉じて、アクセルフォームから元に戻る。大きなダメージを負った巧の前に、ブラジラが降りていた。
「力までは私を上回ることはできなかったようだ。」
「巧さん!」
光輝がブラジラに飛びかかって、パンチとキックを繰り出していく。しかしブラジラに軽々とかわされていく。
「お前はヤツの力に及ばない!」
ブラジラが右手を出して衝撃波を放つ。光輝が突き飛ばされて、その先の岩場に叩きつけられる。
「本当に強い・・この空間の力も合わさっているのか・・・!」
うめく光輝が立ち上がって、オメガドライバーにある水晶を右足脚部にセットする。彼の精神エネルギーが右足に集中する。
「チェック!」
“Exceed charge.”
修二がデルタフォンにマルチウェポン「デルタムーバー」を組み合わせて呼びかける。そしてデルタフォンを撃って、ブラジラに青紫の円錐の光を放つ。
修二、そして光輝とRXがジャンプして、ブラジラに向かっていく。
「RXキック!」
「ライダーキック!」
ルシファーズハンマー、RXキック、メガスマッシャーが繰り出される。しかしブラジラの放出した光に阻まれて、彼らははじき飛ばされてしまう。
さらにブラジラは電撃を放って、起き上がってきた巧を攻撃する。そのはずみでファイズドライバーが外れて、彼はファイズへの変身が解けてしまう。
「乾・・・!」
声を上げる修二。痛みを覚えて動けなくなっている巧に、ブラジラが近づいてきた。
「ベルトが外れて戦えなくなった・・とは言えないようだ、お前の場合は。」
ブラジラが巧に笑みを見せる。
「分かっているぞ、お前の正体を。魔空空間の影響で、その力を制御できなくなっているのがその証拠。」
ブラジラが言いかける前で巧がうめき出す。彼の頬に異様な紋様が浮かび上がってきていた。
「あれは・・まさか・・!?」
メーズと交戦していた晴人が、この異変を目の当たりにして緊張の覚える。ふくれ上がってくる力を抑えきれなくなり、巧が空に絶叫を上げる。
そして巧の姿に変化が起こった。狼の特徴を備えたウルフオルフェノクへ。
「ウソ!?アイツ、モンスターになっちまったぞ!」
ダイゴもウルフオルフェノクとなった巧に驚きの声を上げる。
「乾もオルフェノクなんだ・・それでもアイツは人間の心を失わず、人間を守るために戦っているんだ・・人間として生きて・・・」
修二が巧のことをダイゴたちに話す。このことはRXと光輝は知っていた。
巧はオルフェノクの1人である。彼がファイズの力を使いこなせたのもオルフェノクだったからである。
「オルフェノクである乾巧も、この空間によって力を上げている。そして自分のその力に支配されることになるだろう。」
「そんなことはない!自由と平和を守ることを決意したのなら、そんな邪悪な力に支配されることはない!」
喜びの声を上げるブラジラに、光輝が言い放ってきた。
「巧さんはお前たちが言うような人じゃない!たとえオルフェノクであっても、人間としての心はある!」
「ほざくな、愚か者が。お前たちが何を言おうと、ヤツがオルフェノクであり、この空間によって暴走の一途を辿ろうとしていることは変わらん。」
光輝の言葉をあざ笑うブラジラ。オルフェノクの力を高めた巧が、光輝に振り返ってきた。
そして巧がパンチを繰り出して、光輝を突き飛ばしてきた。
「巧さん!?」
巧に突然攻撃されて、光輝が驚きの声を上げる。巧は自分のオルフェノクの力に振り回されていた。
「やめるんだ、巧くん!人間の心を取り戻すんだ!」
RXが呼びかけて、巧を後ろから取り押さえる。しかし巧はRXの腕を振り払う。
「君は、このようなことで悪魔に魂を売り渡すような人ではない!自分を見失うな、巧くん!」
「巧さん、みんなを守るために、あなたが見つけた答えのために戦ってください!」
RXと光輝が巧に呼びかける。2人の言葉が伝わったのか、巧が攻撃の手を止めた。
「オレは・・・オレは・・・!」
暴走するオルフェノクの力を抑えて、巧が声を振り絞る。彼は必死にオルフェノクの力と戦っていた。
そのとき、巧の体に突然破裂の火花が巻き起こった。
「巧さん!」
光輝が声を上げて、巧に当たった光が飛んできたほうに振り返った。
「久しぶりに君に会ったが、ずいぶんと情けない姿になったものだな・・」
光輝たちの前に1人の青年が現れた。彼の顔を巧と修二は知っていた。
「草加・・・!?」
巧も修二も一瞬目を疑った。彼らの前に現れたのは、ベルト「カイザドライバー」を身に着け、携帯電話「カイザフォン」を銃型の「フォンブラスター」を手にしていた草加雅人だった。
「草加・・お前、死んだんじゃ・・・!?」
修二が雅人に向けて驚きの声を投げかける。
「どうやら生き返ったようだ。バケモノの力で生き返らせられたのは気に入らないが・・」
雅人が不満を込めて言いかける。彼は不敵な笑みを浮かべてから、ブラジラに振り向く。
「とりあえず、コイツがオレにとって味方でないことは間違いない・・早速だが、ここで消えてもらう・・・」
雅人はブラジラに言いかけると、カイザフォンに変身コード「913」と「ENTER」を入力する。
“Standing by.”
カイザフォンから音声が発せられる。その音声はファイズやデルタと比べて濁りがあった。
「変身!」
“Complete.”
カイザフォンをカイザドライバーにセットする雅人。彼の体を金色の光のラインが包んで、金色の装甲となった。
「草加雅人・・カイザのベルトとともに復活していたとは・・」
「カイザ」に変身した雅人に、ブラジラが声をかける。
「あの方も人が悪いということか・・この現状を把握しているのか、いないのか・・・」
「オレには関係ない・・オレにとってオルフェノクは全て敵だ・・いや、オルフェノクと似たお前たちも、オレの敵だ・・・」
呟いているブラジラに敵意を向ける雅人。彼がブラジラに向かっていって、パンチを繰り出してきた。
「ファイズとデルタ以上に攻撃的だ。攻撃的で野蛮。だからこそお前も愚かな人間の1人でしかない。」
ブラジラが言いかけて、右手から衝撃波を放つ。突き飛ばされる雅人だが、すぐに立ち上がって武器「カイザブレイガン」を手にした。
“Blade mode.”
ブレードモードにしたカイザブレイガンを構えて、雅人が再びブラジラに向かっていく。光の刃を発したカイザブレイガンを、雅人がブラジラに向けて振りかざす。
組み付いたところで雅人がブラジラを蹴り飛ばす。後ずさりした一瞬の隙を突いて、ブラジラに向けて雅人が光の弾を放つ。
光の弾を受けたブラジラが動きを封じられる。
“Exceed charge.”
雅人の構えるカイザブレイガンにエネルギーが集まる。彼は飛び込んで、ブラジラにカイザブレイガンを振りかざす。
「お前も私を見くびっているようだ。」
ブラジラが自分を押さえている光を打ち破って、自分も光を放出する。その光に雅人が押し返される。
「私は今度こそ救星を果たす!お前たち愚かな人間どもを排除する!」
ブラジラが雅人に向けて追撃を仕掛けようとする。
「そこまでだ・・・」
そこへ声がかかり、ブラジラだけでなく、メーズもヒドラー兵たちも戦闘を止めた。晴人たちも声のしたほうに振り返る。
「お・・お前は・・・!?」
見覚えのある姿に、光輝は目を疑った。彼らの前にネクロマンサーガルヴォルスが現れた。
「仮面ライダー、スーパー戦隊、久しぶりだな。他の戦士や宇宙刑事は初めて会うことになるが・・」
「あのときのガルヴォルス・・・!?」
声をかけてきたネクロマンサーガルヴォルスに、光輝が驚きの声を上げる。
「お前はあのとき、オレたちに倒されたはず・・・!?」
「そうだ。確かに私はお前とフォーゼ、ゴーカイジャーによって倒された・・私も命を落としたとばかり思っていた・・」
問い詰める光輝にネクロマンサーガルヴォルスが語りかけていく。
「だが私は生き延びていた・・この魔空空間にたどり着いたことで、私は力を上げることができた・・・」
「そうか!邪悪な怪人の力を上げるこの魔空空間で、ヤツは復活を果たして力を上げた!その力でまた怪人たちをよみがえらせているのか!」
ネクロマンサーガルヴォルスの話を聞いて、RXが声を上げる。
「そしてその力でよみがえった怪人たちも、この魔空空間の効力によって力を上げている・・!」
「だけど、アイツを倒せば、怪人たちの復活が今度こそ止まる・・・!」
RXに続いて光輝も声を上げる。するとネクロマンサーガルヴォルスが笑みをこぼしてきた。
「残念だがそれは不可能だ。少なくとも私の強さは、お前たちが以前に戦ったときより上回っている。」
ネクロマンサーガルヴォルスが右手を掲げて、エネルギーを集中させていく。
「だがその力、お前自身制御できていないはずだ!」
「何?私がこの力を制御できていない?」
光輝が投げかけた言葉に、ネクロマンサーガルヴォルスが疑問を覚える。
「自分たちの敵に回る人まで生き返らせている!それが大きな証拠だ!」
「確かに私の敵に回った者まで生き返らせている。それでも私の優位が揺らぐことはない!」
光輝の言葉に動じることなく、ネクロマンサーガルヴォルスが右手を掲げて光を放つ。光は光輝たちのいる場所に落ちて、爆発を引き起こす。
「うわっ!」
「ごあっ!」
爆発に巻き込まれて光輝と雅人がうめく。晴人たちも爆発に吹き飛ばされていく。
「思い知らせてやろう。魔空空間の力によってパワーアップを果たした私には、仮面ライダーとスーパー戦隊が束になってかかってこようと勝利することは不可能ということを。」
ネクロマンサーガルヴォルスが晴人たちを見下ろしてあざ笑う。彼の後ろにメーズとブラジラが姿を現す。
「私まで巻き添えにするつもりだったのか?」
「私はそんなことでやられる愚か者ではないが。」
問いかけるブラジラと強気に振る舞うメーズ。2人に声をかけられても、ネクロマンサーガルヴォルスは笑みを消さない。
「仮にお前たちが死んだとしても、私がいる限り、何度でもよみがえらせられる。」
「それは構わんが、敵まで生き返らせるのは感心しないな。」
「そんなことは些細なことだ。時期に質も量も私たちが上になる。そのときを楽しみとしよう。」
ブラジラに苦言を呈されるも、ネクロマンサーガルヴォルスは自分の目的を貫くことを変えなかった。
爆発の煙が弱まって、荒野の光景が見やすくなる。しかしそこに晴人たちの姿はなかった。
「粉々に吹き飛んだのではない。爆発に紛れて逃げたか。」
「ヤツらは私たちの獲物よ。追跡は私たちがやるわ。」
呟くネクロマンサーガルヴォルスにメーズが声をかける。
「私も行かせてもらう。このまま手柄を取られるのは納得しがたい。」
ブラジラも言いかけると、メーズとともに晴人たちを追って動き出した。
「たとえ魔空空間から逃げ出したとしても、外にも戦士たちがいる。仮面ライダー、スーパー戦隊、そして宇宙刑事、お前たちにはもはや、わずかの希望も残されていない。」
勝利と地球支配を目論んで、ネクロマンサーガルヴォルスはさらに怪人たちの蘇生を行うのだった。