ギャバン×ウィザード×キョウリュウジャー

スーパーヒーロー英雄列伝

第2章

 

 

「自己紹介をしておく。オレは十文字撃。銀河連邦警察の宇宙刑事だ。」

「オレは繰真晴人。魔法使いさ。」

「オレは桐生ダイゴ!キングって呼ばれてるぜ!」

 撃、晴人、ダイゴがそれぞれ自己紹介をする。

「正直、まだややこしく感じることばかりだ。戦隊やら宇宙刑事やら・・第一オレは魔法使いだが、仮面ライダーというものだと思ったことはないし・・」

 次々に告げられていく言葉に、晴人だけでなく攻介も瞬平も疑問符を浮かべてばかりだった。

「オレも仮面ライダーと呼ばれているヤツに会ったのは初めてだ。戦隊だったら、他の戦隊とは会ったことがあるが・・」

 撃もライダーに対する疑問を感じていく。

「そのことの説明なら私が説明をしよう。私はこの長い歴史の中で、スーパー戦隊だけでなく、仮面ライダーの存在も知っているのだから。」

 トリンが撃たちに話をすることにした。

「まず仮面ライダーとは、文字通り、仮面を身に着け、バイクを駆使して悪と戦う戦士のことだ。繰真晴人、仁藤攻介、君たちが変身したウィザードとビーストの姿も、仮面ライダーと見て間違いないだろう。」

「仮面・・バイク・・確かに仮面ライダーですね、晴人さん!」

 トリンの話を聞いて、瞬平が納得する。

「そしてスーパー戦隊は、複数の戦士が連携して戦うチームのことだ。1人1人の力も高いが、力を合わせることで本領を発揮するのだ。」

「で、オレたちが、デーボス軍と戦う獣電戦隊、キョウリュウジャーだ!」

 トリンがさらに説明すると、ダイゴが改めて高らかに自己紹介をする。

「つまり、オレや仁藤のような魔法使いが他にもいるということか?」

「それは分からない。おそらく君たちのような魔法使いではないだろうが、そのような姿をしていて、世界を脅かす悪と戦っていることは間違いないだろう。」

 晴人の問いかけにトリンが答える。

「あぁ、分かった分かった、みなまで言うな。つまり、その仮面ライダーがオレたちの他にもどっかにいるってことだろ?」

 攻介が話をさえぎって聞いてくる。

「そういうことだ。そしておそらく、他の仮面ライダーたちも今の異変に気付いているだろう・・」

 トリンは頷くと、おもむろに空を見上げた。彼は深刻な予感を強めていた。

「それにしても、また新しいスーパー戦隊が現れていたとはな。」

 撃がダイゴたちを見て声をかける。

「そういえば撃どのは他の戦隊に会っていたそうでござるが・・その戦隊とは何者なのでござる・・?」

「オレが会った戦隊は、“特命戦隊ゴーバスターズ”だ。」

 空蝉丸の問いに撃が答える。

「ゴーバスターズ・・オレたちだけじゃ、今回のことに関する情報は全部集められそうにないな・・」

 晴人は撃やダイゴたちの協力を受け入れ、攻介も渋々同意することになった。

「瞬平、お前はおやっさんのところに戻っててくれ。うまく事情も話しといてくれ。」

「えっ!?オレ、ついてったらダメなんですか!?

 晴人が呼びかけると、瞬平が不満の声を上げる。

「今回は今までとは勝手が違う。お前が首を突っ込んでも、無事でいられる保障はない。」

「そんな〜・・晴人さ〜ん・・」

 晴人に言いとがめられて、瞬平が落ち込んでしまう。

「ゴーバスターズとはオレから連絡を取ってみる。」

 撃が声をかけてから、ゴーバスターズが所属している「エネルギー管理局・特命部」への連絡を試みた。

 

 邪悪なエネルギーが蠢いている異空間にいたネクロマンサーガルヴォルス。彼は異空間にいることで得ている力を解放して、倒された怪人や戦士たちを次々によみがえらせていた。

「何という力だ・・これならば今まで以上にこの能力をうまく使いこなすことができる・・」

 ネクロマンサーガルヴォルスが高まっている自分自身の力に喜びを感じている。

「だが復活した怪人たちがまたやられている・・それも私が初めて知ることになった者ばかりだ・・」

 同時にネクロマンサーガルヴォルスは、地球の状況を感じ取っていた。

 晴人と攻介が倒したクモの怪人、スパイダーガルヴォルスと暗黒結社「ゴルゴム」のクモ怪人たちも、ダイゴたちが倒したスカル魔たちも、ネクロマンサーガルヴォルスがよみがえらせたのである。

「それも仮面ライダーとスーパー戦隊だけではない。宇宙刑事と呼ばれる者も動いている・・だがどれだけ相手が戦力を増そうと、私たちのほうが上だ。力も数も。」

 ネクロマンサーガルヴォルスはすぐに笑みを浮かべる。

「もっとだ・・もっと・・私のこの力の高まりを、試したい・・・!」

 ネクロマンサーガルヴォルスが喜びを膨らませて、力をどんどん放出させていく。彼の力が、彼のいる異空間を揺るがした。

 その大地から続々と、命を落とした存在が姿を現してきた。

 

 エネルギー管理局の特命部でも、地球付近で発せられている空間の歪みをキャッチしていた。その特命部に所属するゴーバスターズも、その異変の調査を始めていた。

「この地点の上空ですよね、空間の歪みの発生地点は?」

 ゴーバスターズの1人、桜田(さくらだ)ヒロムが上空を見上げる。

「J、本当にこの地点で合っているのか?」

 岩崎(いわさき)リュウジがロボット「バディロイド」の1人、ビート・J・スタッグに問いかける。

「あぁ、間違いない。ここにはうまい樹液の木がある。木の数が少ない割に。まさに穴場だ。」

「もう、相変わらずアンタは“樹液”なんだからー!」

 Jの自分勝手な答えに宇佐美(うさみ)ヨーコが不満の声を上げる。

「だけど、この地点のはるか上空だってことは間違いない。」

「みんなが情報をもっと集めてくれるのを待つしかないな・・」

 ヒロムが言いかけるとリュウジが頷く。彼らには異空間に飛び込む手段はあったが、空間の先がどうなっているのか、またそこから無事に戻ってこれるのか。それが判明していないため、彼らは突入に踏み切れないでいた。

Call mode.”

 そのとき、ヒロムの身に着けているブレス「モーフィンブレス」から音声が発せられた。

「本部・・からじゃない?・・・はい、こちらヒロム。」

 ヒロムが疑念を感じながら通信に応じる。

“久しぶりだな、ヒロム。”

「その声は、撃さん・・!」

 連絡をしてきた撃にヒロムが声を上げる。

 ヒロムたちは地球に降り立った撃、シェリーと出会い、2人の任務をともにこなしたことがある。

“ヒロムたちはもう、地球での異変には気付いているか?”

「気づいてるばかりか、今その発生源の下にいるんですけど・・」

“何っ!?”

 答えたヒロムの耳に、撃の驚きの声が入ってくる。

“すぐにそっちへ向かう!新しく出会った戦隊と仮面ライダーも連れてくる!”

「新しく出会った戦隊とライダー!?・・撃さん、何を言って・・!?

 今度はヒロムが驚きの声を上げるが、撃との通信が切れてしまう。

「新しい戦隊と仮面ライダーか・・そこも気になるところか・・」

 通信を聞いていたリュウジがその戦隊とライダーについて考える。

「深く考えることないんじゃないかな。あのバディロイドのことに比べたら・・」

 ヨーコが言いかけて、Jを見て呆れる。Jは1人勝手に樹木の観察をしていた。

「やぁ・・面白そうなことしてるみたいだね・・・」

 そこへ1人の青年がヒロムたちに向かって歩いてきた。黒いシャツをだらしなく着ていて、気のない雰囲気を見せていた。

「君は誰だい?・・すまないけど、この辺りは危険なんだ。避難してもらえると・・」

 リュウジが青年に向けて呼びかけて近づこうとした。

「近づくな。そいつからは異常な数値が検出された。」

 そこへJが声をかけて、リュウジを呼び止めた。

「J、いきなり何を言って・・!?

「イヤだなぁ・・そういう意地悪言うのはよくないよ・・・」

 ヒロムがJに対して声を荒げると、青年が笑みをこぼしてきた。彼の頬に異様な紋様が浮かび上がってきた。

「まさか、ヴァグラス・・・!?

 ヒロムが緊迫を覚えた瞬間、青年、北崎(きたざき)の姿が巨体の怪人へと変わった。人類の進化系「オルフェノク」の中で龍の力を備えたドラゴンオルフェノクへ。

「ヴァグラスじゃない・・・!?

「人間が、怪物になった・・・!?

 リュウジとヨーコも北崎の変化に驚きを覚える。彼らの前で北崎がそばの木に手を当てると、それだけでその木が灰となって崩れ去った。

「触っただけで・・ヴァグラスと比べても厄介だ・・・!」

 ヒロムが北崎の姿と能力に危機感を覚える。

「緊急事態発生!危険な怪人が現れました!被害を食い止めるため、戦闘に入ります!」

 リュウジが特命部へ通信を送ると、ヒロム、ヨーコ、Jとともに北崎の前に立ちふさがる。

It's morphin time.”

 ヒロム、リュウジ、ヨーコが左腕のモーフィンブレスのダイヤルを回してボタンを押す。同時にJがアイテム「モーフィンブラスター」のトリガーを引く。

 4人の体を強化服「バスタースーツ」が包み込んだ。

「レッツ・モーフィン!」

 ヒロムたちが掛け声とともにヘルメットを身に着け、変身を完了した。

「レッドバスター!」

「ブルーバスター!」

「イエローバスター!」

「スタッグバスター!」

 ヒロム、リュウジ、ヨーコ、Jが名乗りを上げる。

「バスターズ、レディー・・!」

「ゴー!」

 ヒロムの掛け声にリュウジたちが声をそろえる。この掛け声を合図に、彼らが北崎に向かっていく。

 ヒロムとリュウジが北崎にパンチを繰り出していくが、北崎にダメージを与えられない。逆に北崎が振りかざしてきた爪に切りつけられる。

「ヒロム!リュウさん!」

 倒れる2人にヨーコが声を上げる。振り向いてきた北崎に対して彼女が身構える。

Transport.”

 ヨーコはスーツの上に装備されている装置「トランスポッド」を押す。基地からビームガン「イチガンバスター」が転送されてきた。

 ヨーコが北崎に向けてイチガンバスターを発射する。しかし放たれたビームを受けても、北崎は平然としている。

「ムダなんだよ・・僕は世界一強いんだから・・まぁ、これから宇宙一だってことを証明するんだけどね・・」

 北崎は笑みを浮かべてヨーコに迫る。そこへヒロムとリュウジが剣「ソウガンブレード」を手にして、北崎に向けて振りかざしてきた。

 だが2人のソウガンブレードは、北崎の爪に軽々と防がれる。

「くっ!なんてパワーだ・・!」

 北崎のパワーを痛感して、ヒロムが焦りを覚える。北崎が爪を振りかざして、ヒロムを攻め立てる。

「おのれ!このまま好き勝手にはさせんぞ!」

Boost up for buster.”

 Jがブラスターモードにしたモーフィンブラスターにエネトロンをチャージして、北崎に向けて光弾を放つ。しかし北崎も光弾を放って打ち消した。

「何というヤツだ・・これほどまでとは・・!」

「だが、このままヤツを野放しにするわけにはいかない!ここで食い止める!」

 声を荒げるJと、北崎を止めようとするリュウジ。北崎が振り下ろしてきた両腕を、リュウジが受け止めて押さえようとする。

 北崎のパワーにリュウジが逆に押されていく。必死に抵抗する彼の熱気が、徐々に上がっていく。

「まずい!これ以上いくと熱暴走になってしまう!」

 ヒロムがリュウジの異変に気づいて焦りを覚える。

 ヒロム、リュウジ、ヨーコにはそれぞれウィークポイントを持っている。リュウジのウィークポイントは熱暴走。普段は真面目で冷静沈着な彼だが、熱暴走を起こすと性格も戦いも激しく攻撃的になり、仲間であるヒロムたちでも手が付けられなくなってしまう。

「落ち着いて、リュウさん!1度離脱してください!」

 リュウジに呼びかけるヒロム。しかしリュウジは北崎の腕を振り払うこともままならなくなっていた。

 そのとき北崎の背中に突然火花が起こった。その隙にリュウジが彼から離れる。

「大丈夫ですか、リュウさん!?

「あぁ・・危ないところだった・・」

 駆け寄ってきて心配の声をかけてきたヨーコに、リュウジが答えて安堵を覚える。

「しかし、今のは・・・!?

 ヒロムが北崎に起きたことに疑問を覚える。振り返った北崎の前に、携帯電話を銃のように持っていた1人の青年がいた。

「お前・・死んでなかったのか・・・」

「久しぶりだね・・でもずいぶんな挨拶だねぇ・・・」

 青年が憮然とした態度で声をかけると、北崎も悠然と言いかけてきた。

「君は・・・!」

 リュウジが驚きを感じながら声をかけると、青年が彼らに視線を向けてきた。

(いぬい)(たくみ)だ・・」

 青年、巧が名乗ると携帯電話「ファイズフォン」のボタンを押していく。

Standing by.”

 「555」、「ENTER」とボタンを押されたファイズフォンから音声が発せられる。

「変身!」

Complete.”

 ファイズフォンを身に着けているベルト「ファイズドライバー」にセットする巧。ファイズドライバーから赤い光のラインが発せられると、彼の体を装甲が包み込んだ。

「ファイズ・・乾巧が来てくれた・・・!」

 ヒロムが言いかける前で、巧が右の手首を振ってから北崎に向かっていく。

「せっかくだ・・ここで倒してやるよ・・・」

 北崎が巧に迫り、爪を振りかざしていく。彼のパワーの前に巧が押され気味になる。

「乾!」

 そこへもう1人青年が駆けつけて、巧に声をかけてきた。彼も銃の形をした携帯電話を取り出した。

「変身!」

Standing by.”

 青年の掛け声に反応して、音声認識型携帯電話「デルタフォン」が音声を発する。

Complete.”

 デルタフォンをベルト「デルタドライバー」をセットする青年。デルタドライバーから青い光のラインが伸びると、彼の体を黒をメインとした装甲に包まれた。

「三原・・お前も来たのか・・・!」

 北崎に突き飛ばされて横転して、すぐに起き上がった巧が青年、三原(みはら)修二(しゅうじ)に声をかけた。彼らはそれぞれベルトの戦士「ファイズ」と「デルタ」に変身したのである。

「2人とも来てくれたのか・・思い知るといいよ・・僕のほうが上だってことをね・・・!」

 悠然とした口調から、低い冷徹の口調に変わる北崎。

「悪いが、オレもお前の相手だ・・・!」

 そこへヒロムが前に出て、北崎に声をかけてきた。

「いいよ、別に・・全員まとめて倒すから・・・」

 北崎が巧と修二に迫ってきた。彼が振りかざしてきた両腕を、2人が受け止める。

「ニック、来い!パワードカスタムで行くぞ!」

 ヒロムがバディロイド、チダ・ニックを呼ぶ。

“分かった、ヒロム!こっちは準備OKだ!”

 ニックからの応答を聞いて、ヒロムが装備「GBカスタムバイザー」をモーフィンブレスにセットする。

Set!Are you ready?”

 GBカスタムバイザーから音声が発せられる。特命部にて待機していたニックがデータ化され、ヒロムに取り込まれていく。

Powered custom!”

It's morphin time.”

 ヒロムのバスタースーツの上に強化アーマーが装着される。

「パワードモーフィン!」

 ヒロムはゴーバスターズの強化形態「パワードカスタム」への変身を完了させた。

「これならパワーだけでなく、スピードでも圧倒できる!」

 ヒロムが構えて、巧、修二と交戦する北崎に向かっていく。そのスピードは目にもとまらぬほどに上がっていた。

 ヒロムの突撃を受けて、北崎が突き飛ばされる。しかし北崎はすぐに踏みとどまる。

「気を付けろ!そいつは・・!」

 修二がヒロムに向けて呼びかけてきた。次の瞬間、北崎の姿が細身に変化した。

 その北崎のスピードが格段に上がった。そのスピードはヒロムのパワードカスタムを上回るものだった。

「ヒロム!」

 たまらず声を上げるヨーコ。北崎のスピードにヒロムが翻弄されていた。

 北崎の変身するドラゴンオルフェノクには、通常のパワー重視の「魔人態」とスピード重視の「龍人態」の2つの姿を持っている。そのスピードはファイズの「アクセルフォーム」をも上回る。

 北崎のスピード攻撃の前に、ヒロムは絶体絶命のピンチに追い込まれた。

「このままじゃやられる・・やはりここは技で・・・!」

 ヒロムが必殺技で北崎に対抗しようとした。

「ちょっと待ったー!」

 そこへ声がかかり、ヒロムと北崎が動きを止めた。彼らの前に現れたのはダイゴたち、そして晴人、攻介、撃だった。

「もしかしてそれ、ドラゴンの怪人か?」

「ありゃ、とてもドラゴンには見えねぇぞ・・」

 北崎の姿を見て、晴人と攻介が呟く。

「だったら、どっちのドラゴンが本物か、証明してやるとするか。」

“ドライバーオン。プリーズ。”

 晴人がウィザードライバーを具現化させる。

“シャバドゥビタッチヘーンシーン!シャバドゥビタッチヘーンシーン!・・”

 彼は指に赤い宝石のウィザードリングをはめた。

「変身。」

“フレイム・プリーズ・ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!”

 ウィザードリングをハンドオーサーにかざした晴人が、現れた赤い魔法陣を通ってウィザードに変身する。

「へぇ・・魔法っていうヤツだね・・面白そうじゃない・・」

 晴人に興味を持った北崎が魔人態に戻る。

「さぁ、ショータイムだ。」

 晴人が北崎に向かって、軽やかな動きを駆使したキックを当てていく。しかし北崎にはダメージを感じていない。

 北崎が反撃に出て、爪を振りかざす。切りつけられたウィザードの装甲から火花が散る。

「どうしたの?・・もっと見せてよ・・魔法っていうヤツを・・」

 北崎が声をかけて晴人を突き飛ばす。倒れた晴人に向かって、北崎が爪を振りかざしてきた。

 だが北崎の腕が突然止められた。突如出てきた黒い手に攻撃を止められた。

「あれは・・!」

 現れた黒の戦士にヒロムが声を上げる。北崎が続けてキックを受けて、晴人から引き離される。

「ん?・・誰だ、お前・・・?」

 北崎が攻撃の邪魔をしてきた相手に声をかける。

 晴人を助けたのは黒と深緑の体と赤い目をした仮面ライダー。

「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACKRX!」

 黒の仮面ライダー、(みなみ)光太郎(こうたろう)=仮面ライダーBLACK RXが高らかに名乗りを上げた。

RX・・来てくれたんですか・・・!」

 RXの登場にヒロムが声を上げる。ヒロムたちは以前に光太郎と会ったことがある。

「人の命を脅かす悪の怪人、許さん!」

 怒りの言葉を言い放って、RXが北崎に立ち向かう。晴人も負けじと立ち上がり、RXに続く。

「オレたちも行くぞ!」

 ダイゴたちも晴人たちを援護しようとした。

 そのとき、ダイゴたちの前に強烈な雷が落ちてきた。

「おわっ!」

「な、何だ!?

 突然の雷にノブハルとソウジが声を上げる。彼らの前に現れたのは、大きな体格の男だった。

「何者だ!?あのドラゴン怪人の仲間か!?

「仲間?そのつもりはないが、死からよみがえったことは共通しているか。」

 ダイゴが声をかけると、男は北崎に目を向けてから答える。

S.P.D.から聞いているぞ!お前、リバーシア星人、ブリッツ・ヘルズだな!?

 そこへ撃が男、ブリッツに問いかけてきた。

「オレのことを知っているとは。デカレンジャーではないな。もしや宇宙刑事か。」

「あぁ!オレは一文字撃!」

 ブリッツの言葉を受けて、撃が名乗りを上げる。

「蒸着!」

 彼は掛け声をあげて、コンバットスーツの蒸着を行う。

“ガブリンチョ!”

“ガブティ〜ラ!”

“パラ〜サガン!”

“ステゴォッチ!”

“ザクトール!”

“ドリケェ〜ラ!”

“プテラゴーードン!”

 ダイゴたちがガブリボルバーとガブリチェンジャーに獣電池をセットする。

「キョウリュウチェンジ!」

 ダイゴたちと空蝉丸がサンバと歌舞伎の舞をする。

「ファイヤー!」

 ダイゴたちが放たれたキョウリュウスピリットを身にまとって、キョウリュウジャーに変身した。

「おっしゃ!オレも行くぜ!」

 攻介も意気込みを見せて、ビーストドライバーを起動させる。

「へんーしん!」

“セット!オープン!LION、ライオン!

 出現した金色の魔法陣を通って、攻介がビーストに変身した。

「フン。ずいぶんと数が増えたな。だが何人出てこようが、オレに勝つことはできぬ!」

 ブリッツが言い放ち、右手から電撃を放つ。ダイゴたちは横に飛んで電撃をかわす。

「雷ならば、拙者は負けるわけにはいかぬ!」

 空蝉丸が前に出てザンダーサンダーを構える。

「束になっても貴様らに勝ち目はない!」

 ブリッツが再び電撃を放ち、空蝉丸がジャンプでかわす。その勢いでザンダーサンダーを振り下ろす空蝉丸だが、ブリッツが剣を手にして受け止めてきた。

 さらに剣をぶつけ合っていく空蝉丸とブリッツ。しかしパワーで次第に空蝉丸はブリッツに押されていく。

「くっ!・・力も雷も拙者よりも上・・このような強者がいたとは・・!」

 空蝉丸がブリッツの強さに焦りを痛感する。

「ウッチー!」

 そこへアミィが飛び込んできて、ガブリボルバーでブリッツ目がけて発砲する。ブリッツは剣で射撃を防いで、空蝉丸から離れる。

「ウッチー、大丈夫!?

「かたじけない・・あやつ、かなりできる!油断されるな!」

 アミィが心配の声をかけると、空蝉丸が注意を促す。

「あぁ、分かってる・・こうして目にするだけでも威圧される・・・!」

「けどオレたちは戦隊だ!力を合わせればどんな手ごわいヤツにも負けないぜ!」

 ソウジとダイゴが声をあげる。彼らに撃と攻介が加わって、ブリッツと対峙する。

「何度も言わせるな。何人出てこようと・・」

「みなまで言うな。そういう過信は十分聞いた。だからおとなしくオレにやっつけられろ。」

 ブリッツが言いかけるのをさえぎって、攻介が言いかける。ダイゴと攻介が先にブリッツに向かって走り出した。

 ブリッツが左手から電撃を放つ。ダイゴと攻介は左右に飛んで、電撃をかわす。

 そこへイアンとアミィがガブリボルバーを撃つ。ブリッツはその弾丸を剣で弾く。

 その隙を狙ってソウジと空蝉丸がガブリカリバーとザンダーサンダーを振り下ろしてきた。しかしこれもブリッツの剣に受け止められる。

 そこへ撃が光の剣「レーザーブレード」を手にして飛び込んできた。レーザーブレードで剣を叩かれて、ブリッツが押された。

「くっ・・これが今の宇宙刑事の力か・・・!」

 追い込まれたと感じて、ブリッツが焦りを覚える。

「今回はこのくらいにしておこう。だが次はこうはいかんからな!」

 言い放ったブリッツが電撃を放って地面に爆発を起こさせる。

「ま、待て!」

「おい、逃げんな!」

 撃と攻介が声を上げるが、舞い上がる煙が弱まったときには、ブリッツは姿を消していた。

「くっ!逃がしたか・・!」

「しかしあやつの実力は本物でござった・・次もこうして撃退できるとは限らぬでござる・・・!」

 撃が声を上げて、空蝉丸がブリッツの強さを痛感する。

「なーに。悩むことはないさ。オレたちは戦隊だ。どんな強いヤツが出てきても、オレたちが力を合わせれば負けることはない。それに・・」

 ダイゴが気後れすることなく気さくに言いかける。

「今は仮面ライダーと宇宙刑事も一緒なんだからなー!」

 ダイゴが撃と攻介に振り返って、高らかに叫んでいた。

 

 北崎に立ち向かう晴人とRX。しかし北崎のパワーに2人は押され気味になっていた。

「何という力だ・・これがオルフェノクの力か・・・!」

「コイツは、ファントムよりも厄介かもしれないな・・!」

 RXと晴人が北崎の強さを痛感する。北崎が悠然とした態度を見せながら、右手の爪を振りかざしてきた。

 次の瞬間、RXの姿に変化が起こった。機械的な姿で、彼は北崎の右手を受け止めた。

 新たな姿となったライダーが、北崎にパンチを叩き込む。重みのあるパンチを受けた北崎が押されて後ずさる。

RXの姿が変わった!?・・これは・・・!?

 晴人がこの変化に驚きを感じていた。

「オレは炎の王子!RX!ロボライダー!」

 RXが変身したロボライダーが名乗りを上げる。

 RXは他のライダーに変身する2段変身能力を備えている。その1つ、ロボライダーはRXを上回るパワーを発揮する。

 向かってきた北崎にロボライダーが強烈なパンチを叩き込む。彼の打撃に北崎が押されていく。

「ボルティックシューター!」

 ロボライダーが銃「ボルティックシューター」を手にして発砲する。そのビームが北崎に命中していく。

「よし。オレも負けていられないな。」

 晴人も意気込んで、新たなウィザードリング「ランドリング」をはめた。

“ランド・プリーズ・ドッドッドッドドドンドンドッドッドン!”

 晴人の横に新たな魔法陣が現れた。黄色の魔法陣を通ることで、ウィザードの装甲の赤が黄色に変わった。

 晴人はウィザードの土属性の形態「ランドスタイル」となった。大地を操る魔法を扱い、戦い方もパワー重視となる。

 晴人が北崎に向かっていって、パワーの上がったパンチを叩き込んでいく。さらにロボライダーと同時にパンチを繰り出して、北崎を突き飛ばした。

「オレが・・オレが負けるものか!」

 苛立ちをあらわにしてきた北崎が再び龍人態になった。

 一気にスピードを上げた北崎の攻撃に、晴人もロボライダーもついていけない。パワー重視のロボライダーだが俊敏性に欠け、スピード攻撃に対応できない。

「スピードならこれでどうだ・・・!」

 晴人が緑のウィザードリング「ハリケーンリング」をはめてハンドオーサーにかざした。

“ハリケーン・プリーズ・フー・フー・フーフーフー!”

 現れた緑の魔法陣を通った晴人。ウィザードの装甲が黄色から緑に変わった。

 「ハリケーンスタイル」。風の魔法を使う姿で、スピード重視の戦いと飛行を得意とする。

 晴人がウィザーソードガンを手にして、ソードモードにして構える。彼が振りかざすウィザーソードガンからは緑の風が巻き起こっていた。

 晴人の速さは一気に増した。しかしそれでも北崎のスピードに追い付けない。

 北崎の素早い攻撃に、ロボライダーが追い込まれていく。

「遅い、遅い・・僕には追いつけないよ・・」

「このままではやられてしまう・・スピードをかいくぐらなければ・・・!」

 北崎に首を持ち上げられるロボライダー。北崎がロボライダーに追撃を与えようとした。

 そのとき、ロボライダーの体が突然青色の液体に変わった。液体化したライダーは北崎の体をすり抜けると、新たなるライダーの姿に変わった。

「今度は何だ・・?」

「オレは怒りの王子!RX!バイオライダー!」

 北崎が声をかけるとライダーが名乗りを上げた。

 RXのもう1つの2段変身「バイオライダー」。青と銀の体をした、俊敏性に長けたライダーである。最大の特徴は体の液化であり、狭い隙間に入り込んだり物理攻撃を回避したりすることができる。

「命を弄ぶ邪悪な敵は、この俺が許さん!」

 バイオライダーが北崎に怒りの言葉を放つ。

「へぇ、アンタも水になれるのか。だったらオレもできるぜ。」

 晴人も負けじと青いウィザードリング「ウォーターリング」をはめてハンドオーサーにかざした。

“ウォーター・プリーズ・スイースイースイースイー!”

 青い魔法陣を通った晴人のウィザードの装甲が緑から青に変わった。彼は水の魔法が使える「ウォータースタイル」となった。

RX、水攻撃ならオレも負けてないよ。」

 晴人がバイオライダーの横に並んで声をかけてきた。北崎がいきり立って、2人に迫ってきた。

「ならば同時攻撃だ!」

「分かった。」

 バイオライダーの声に晴人が答える。

“リキッド・プリーズ。”

 リキッドリングをハンドオーサーにかざす晴人。すると彼の体も液体化する。

 同時にバイオライダーも液化して、2人は北崎の突撃をかわした。超高速の北崎の龍人態だったが、打撃がすり抜けてしまい、そのスピードが意味をなさない。

 晴人とバイオライダーの液体攻撃に、北崎がダメージを受けて突き飛ばされる。その拍子で彼が魔人態に戻ってしまう。

「オレの・・オレの力が効かないだと・・・!?

 憤りを抱えたまま、北崎が晴人とバイオライダーの前から姿を消した。

「ふぅ・・何とか退けたか・・」

 晴人が安心の吐息をついてから、ウィザードへの変身を解いた。バイオライダーも変身を解いて元に戻った。

「ありがとう、助かったよ・・高いレベルのファントムを相手にするようなものだったから・・」

「君が新しい仮面ライダー、ウィザードか。よろしく。オレは南光太郎。仮面ライダーBLACK RXだ。」

 感謝の言葉をかける晴人に、光太郎が手を差し伸べてきた。晴人も微笑んで光太郎の手を取って握手を交わした。

「光太郎さん、あなたが来てくれて助かったよ・・」

 ヒロムたちがバスターへの変身を解いて、光太郎たちに声をかけてきた。

「久しぶりだ、撃。君たちが来てくれたおかげで助かった・・」

「いや、ヒロムたちも無事でよかった・・」

 ヒロムと撃が声を掛け合って、握手を交わした。

「おー!すげーぜー!また他のスーパー戦隊や仮面ライダーに会えたぜー!」

 ダイゴがヒロムたちや巧たち、光太郎を見て感動の叫び声をあげていた。

「ヒロム、あれが空間の異変のようだな・・」

 撃が空を見上げてヒロムに声をかけた。晴人たちも空を見上げる。

 地球のそばで発生した空間の歪みは、ヒロムたちが来たときよりも大きくなっていて、さらに勢力を増していた。

 

 

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