ギャバン×ウィザード×キョウリュウジャー
スーパーヒーロー英雄列伝
第1章
世界を、地球を、そして全宇宙を守るために戦い続けているヒーロー。
仮面ライダー、スーパー戦隊、そして宇宙刑事。
交錯や対立をすることもあった彼らだが、自由と平和を守るために力を合わせて悪に立ち向かった。
倒された怪人たちをよみがえらせていたネクロマンサーガルヴォルス。
しかし仮面ライダー、オメガとフォーゼ、そして海賊戦隊ゴーカイジャーの活躍で、ネクロマンサーガルヴォルスと怪人軍団はその野望とともに滅びたかに思われた。
怪人たちをよみがえらせる能力を備えたネクロマンサーガルヴォルス。
オメガ、フォーゼ、ゴーカイジャーによって、彼はよみがえらせた怪人たち共々倒されたはずだった。
だがネクロマンサーガルヴォルスは生きていた。地球とは違う異質の世界で。
「ここはどこだ?・・私は、どうなっているのだ・・・?」
ネクロマンサーガルヴォルスが起き上がって、自分がいる場所の周りを見回す。薄暗い空と荒野の広がる不気味な光景が広がっているだけである。
「地球ではない・・他の星なのか・・・?」
ネクロマンサーガルヴォルスがその荒野を歩いていく。しかし荒野には何かを見つけるどころか、何らかの気配を感じ取ることもできない。
「本当にどこなのだ?・・それにしても、力が上がっている・・みなぎってくる・・・」
ネクロマンサーガルヴォルスが自分の力が増していることを実感していく。
「どんどん上がっていく・・自分でも抑えきれなくなる・・・!」
震えているネクロマンサーガルヴォルスの体から不気味なオーラがあふれ出してきた。増大していく彼の力に呼応するように、荒野の大地から不気味な影が次々に飛び出してきた。
宇宙での犯罪や異変から星々を守る警察組織「銀河連邦警察」。宇宙の悪に立ち向かう宇宙刑事が所属している。
地球から5光年離れた太陽系の星「バード星」にある銀河連邦警察の本部では、宇宙で起こっている異常な変動をキャッチしていた。
異常は地球に近い位置で発せられているものと、レーダーは捉えていた。その情報から、地球近辺にいた1人の宇宙刑事に捜査が言い渡された。
十文字撃。元レーサーで宇宙飛行士をしていた地球人で、訓練を経て宇宙刑事の一員となった。
「この空間の変動、ただ事ではないな。今まで起こったことのない異変が起こるかもしれない・・」
撃が地球近辺の空間のデータを受けて、緊張を感じていく。
「それじゃまた地球に行くことになるのね?」
撃のパートナー、シェリーが彼に声をかける。
「ダメだって言っても聞きそうもないな、お前は・・だけど、危なくなったらすぐ逃げるようにな。」
「分かってるよ。でもサポートはしっかりやるからね。」
注意をする撃にシェリーが微笑んで答える。
「それじゃ、光を超えるぜ・・!」
異変の捜査にシェリーとともに乗り出す撃。2人は地球へと向かうことになった。
とある街中に点在している骨董品店「面影堂」。店主、輪島繁が住んでいる他、2人の男女が居候している。
操真晴人。絶望を希望に変えるために戦う魔法使いである。
コヨミ。命と記憶を失っている少女で、晴人から魔力を受け取って生活している。
晴人は「ファントム」と呼ばれる怪人が、人々に絶望を与えるのを止めるために戦っている。ファントムは「ゲート」と呼ばれている人間を絶望させて、新たなファントムを生み出そうとしている。その悲劇を起こさせないために、彼は奮起していた。
「ここ最近、ファントムが全然現れんなぁ・・」
「あぁ・・ホントに少なくなってきたのか、何かを企んでのことなのか・・」
繁の呟きに晴人が気のない返事をする。
「嵐の前の静けさじゃなけりゃいいんだけど・・」
繁がさらに呟きをもらしたときだった。
「晴人さん、大変です!」
面影堂に1人の青年が飛び込んできた。やや幼さのある青年である。
「噂をすれば、その嵐が来たみたいだな・・」
皮肉を口にする晴人に青年が駆け寄ってきた。
「晴人さん、大変です!ヘンな人たちが街で暴れてます!」
「ヘンな?ヘンなのは瞬平、お前だろ?」
青年、奈良瞬平に晴人が気のない態度で言葉を返す。
「オレはヘンじゃないって・・って、そうじゃないんです!ホントに・・!」
「でも、ファントムは現れていないみたい・・」
瞬平がさらに呼び掛けると、コヨミが口をはさむ。コヨミは水晶玉でファントムの出現を察知することができるが、水晶玉にファントムの姿は映しだされていない。
「新手のファントムか、それとも別の何かか・・とにかく行ってみるか。」
晴人が椅子から立ち上がって、瞬平の言う人物を探しに出る。
「晴人・・気を付けて・・・」
「あぁ、分かってる・・瞬平、案内してくれ。」
コヨミからの心配の声に答えて、晴人が瞬平と一緒に外に飛び出した。
瞬平に案内されて、晴人は街の中央部の大きな交差点にたどり着いた。普段は人通りの多いはずのその場所には、ほとんど人の姿がない。
「瞬平、ここか?ヘンなヤツがいるっていうのは・・」
「そのはずなんですけど・・いつの間にかいなくなっちゃったみたいで・・」
晴人が声をかけると、瞬平が困惑しながら周りを見回す。
「ホントにいたんですよ、ヘンな人が!」
「分かってる。この辺り・・あまりにも人がいなさすぎる・・・!」
声を荒げる瞬平と、冷静に周りを見回す晴人。晴人は交差点とその周辺に何かの異変が起きていることを察していた。
そこへ1人の男が晴人たちの前に姿を見せた。
「アンタ、この辺りでヘンなヤツがいたみたいだけど、見かけなかったか・・?」
「晴人さん、その人です!僕の言ったヘンな人です!」
晴人が聞いた男を瞬平が指さした。彼の声を聞いて、晴人が男に警戒の視線を送る。
「どういうことなのか、話を聞かせてくれないか・・?」
晴人が問いかけると、男の頬に異様な紋様が浮かび上がってきた。彼の変化に晴人が身構えて、瞬平が慌てる。
さらに男の姿が異形の怪物へと変化した。クモを思わせる姿の怪人へ。
「えっ!?ファントム!?」
「・・いや、似てはいるがファントムじゃない・・!」
瞬平が声を上げると、晴人が言葉を返す。彼の言う通り、2人の前に現れた怪人はファントムではない。
「男を捕まえても面白くないんだよなぁ・・女のほうが捕まえ甲斐があるってものだ・・」
「なるほど。ここの人たちが少なくなったのはお前の仕業か・・」
クモの怪人が不気味な笑みを見せると、晴人が交差点の異変が彼の仕業であると指摘する。
「ファントム?何のことだ?・・まぁ、そんなことはどうでもいい。オレは大暴れしたくてうずうずしているんだ・・・!」
怪人がいきり立って晴人に迫る。
「そういうことか・・だが悪いな。そんなことは、オレがさせない。」
晴人は怪人に言うと、指輪「ウィザードリング」の1つ「ドライバーオンウィザードリング」をはめてかざす。
“ドライバーオン。プリーズ。”
ベルト「ウィザードライバー」が音声を発して具現化された。晴人はウィザードライバーのバックル部の手形「ハンドオーサー」を左がらに傾ける。
“シャバドゥビタッチヘーンシーン!シャバドゥビタッチヘーンシーン!・・”
ウィザードライバーからの音声が続く中、晴人は左手の中指に赤い宝石のはめられたウィザードリングをはめる。
「変身。」
“フレイム・プリーズ・ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!”
晴人が赤い宝石の指輪をハンドオーサーにかざすと、彼の横に赤い魔法陣が現れた。横に動く魔法陣をくぐると、晴人は鎧や魔法使いのローブを思わせる服を身にまとった。かざした指輪の宝石や魔法陣と同じく、服は赤を基調としていた。
「さぁ、ショータイムだ。」
晴人が怪人に向けて言いかける。
晴人は魔法を使う仮面ライダー「ウィザード」である。ウィザードリングを駆使した魔法でファントムと戦い、絶望に追い込まれようとしている人々に希望を与えているのである。
「お前、仮面ライダーか・・見たことのないライダーのようだが・・」
「仮面ライダー?オレはウィザード。魔法使いさ。」
怪人が疑問を投げかけると、晴人が疑問符を浮かべつつも淡々と名乗る。
「その仮面は間違いなく仮面ライダー・・新しく出てきた仮面ライダーのようだが・・」
怪人は晴人の言葉を聞かずに、勝手に呟いていく。
「ここでヤツを倒せば大手柄だ!」
クモの怪人が晴人に向かって飛びかかってきた。手と爪を出してくる怪人を、晴人はパンチとキックを繰り出して迎え撃つ。
“コネクト・プリーズ”
晴人はコネクトリングをハンドオーサーにかざす。横に現れた魔法陣に彼は手を入れて、空間をつなぐ魔法陣から専用武器「ウィザーソードガン」を取り出した。
怪人が口から糸を吐き出すが、晴人がガンモードにしたウィザーソードガンを発砲して吹き飛ばした。
さらに晴人はウィザーソードガンをソードモードに変形して、怪人に立ち向かう。彼の振りかざすウィザーソードガンが、次々に怪人に命中していく。
「晴人さん、そろそろフィナーレと・・!」
瞬平が晴人に呼び掛けようとしたときだった。新たにクモの怪人たちが現れて、晴人に襲い掛かってきた。
新たなるクモの怪人たちは、晴人に襲い掛かってつかみかかってきた。晴人はとっさにキックやウィザーソードガンでクモの怪人たちを引き離す。
「この怪物もファントムじゃない・・何がどうなっているんだ・・・!?」
続けて現れる異種の怪人たちに、晴人は疑念と焦りを感じていた。
「おっ!繰真晴人、おめぇまた人のごちそうを!」
そこへ1人の青年が現れて、晴人を指さして怒鳴ってきた。
「お前も来たのか。だがコイツら、ファントムじゃないから魔力の足しにならないぞ。」
青年に気付いた晴人が、戦いを続けながら呼びかける。
「ウソッ!?そいつらファントムじゃねぇの!?それじゃオレが相手することは・・!」
驚きと不満の声を上げてきた青年だが、クモの怪人の1体に迫られた。
「ったく!おめぇらじゃごちそうにならねぇってのに!・・やるしかねぇとはな!」
青年が不満いっぱいになりながらも身構える。
「へんーしん!」
“セット!オープン!”
青年がベルト「ビーストドライバー」に指輪「ビーストウィザードリング」をセットして、そのシリンダーを回す。
“L・I・O・N、ライオン!”
前に出現した黄金の魔法陣を青年がくぐる。すると彼は金の装甲とライオンのような仮面を身にまとった。
仁藤攻介。魔獣「ビーストキマイラ」と一体となった古の魔法使い「ビースト」である。ビーストキマイラに魔力を与え続けなければ生きられない体となってしまった。
「食えねぇ相手だが、ランチタイムだ!」
攻介が笑みをこぼすと、迫ってきたクモの怪人たちを迎え撃つ。
素早い動きを駆使する怪人だが、攻介は動じることなく怪人たちにパンチとキックを当てていく。
すると怪人が口から糸を吐き出して、攻介の両腕を縛ってきた。
「ぐっ!コイツ!」
攻介が声を上げながら、両腕に力を入れて怪人たちを逆に引き倒す。
「クモの糸かよ!ならコイツで!」
攻介は言いかけて、ウィザードリング「カメレオリング」をビーストドライバーにセットした。
“カメレオー!ゴー!カカ・カッカカ・カメレオー!”
攻介のまとうビーストの装甲の右肩に、カメレオンの頭のついた緑のマント「カメレオマント」が現れる。
クモの怪人たちがさらに飛びかかってくる。攻介は同時にカメレオマントを使って姿を消して、怪人たちの攻撃をかわした。
さらに攻介は姿を消したまま、怪人たちへの攻撃を仕掛けていく。姿を現した彼はさらに、マントの顔からの舌を鞭のように振って、怪人たちを叩いていく。
「晴人、そろそろ終わらせるぞ!」
「あぁ!フィナーレだ!」
攻介の呼びかけに晴人が答える。
“フレイム!スラッシュストライク!ヒーヒーヒー!”
晴人がフレイムリングをハンドオーサーにかざして、ウィザーソードガンに炎の魔力を集中させる。彼がウィザーソードガンを振りかざして、クモの怪人を切りつけた。
切りつけられた怪人は、巻き起こった炎に焼かれながら消滅した。
「それじゃこっちも、メインディッシュだ!」
“ファイブ・カメレオセイバーストライク!”
攻介も剣「ダイスサーベル」のスロットを回転させて、カメレオリングをセットする。スロットの数と同じ5体のカメレオンの幻影が飛び出して、クモの怪人にぶつかって爆発した。
「魔力食えなかったけど・・ごっつぁん!」
攻介が両手を合わせて挨拶をした。その彼に晴人が合流する。
「やったな、仁藤。」
「オレは魔力食えなかったから、骨折り損のくたびれもうけだったけどな・・」
晴人が声をかけるが、攻介は大きく肩を落としていた。
「それにしても、コイツらは何だったんだ?・・ファントムじゃないバケモノ・・・」
「オレには関係ねぇよ〜・・魔力食えなかったんだからよ〜・・」
晴人がファントムと違う怪人に疑問を感じるが、攻介はすっかり落ち込んでいた。
「お前たち、何者だ!?」
そのとき、晴人と攻介に向かって声がかかった。2人の前に1人の青年が現れた。
「もしかして、地球や宇宙で起きている異常な現象、お前たちの仕業じゃ・・・!?」
「誰だ、アンタ?宇宙の異常な現象・・?」
青年が投げかけてくる言葉に、晴人が疑問符を浮かべる。
「お前たちのこと、詳しく聞かせてもらうぞ・・!」
「ちょっと待ってくれ・・何のことだか・・・!」
青年に対して晴人が声を上げる。しかし彼の声を聞き入れることなく、青年が構えを取った。
「蒸着!」
“了解。コンバットスーツ、転送シマス。”
青年が掛け声を上げると、地球の外にいた超次元高速機「ドルギラン」から彼に向けて光が注がれた。光を受けた彼が、機械的かつメタリックはスーツを身にまとった。
「何だ、コイツは!?・・魔法とは違うようだが・・・!?」
「てめぇ、マジで何もんだ!?」
晴人と攻介が驚きながら問い詰める。
「宇宙刑事、ギャバン!」
青年、撃が変身した宇宙刑事、ギャバンが名乗りを上げる。彼がギャバンのコンバットスーツを蒸着するタイムは、わずか0.05秒に過ぎない。
「ギャバン!?宇宙刑事!?何じゃ、そりゃ!?」
撃の言葉の意味が分からず、攻介が頭を抱える。
「お前たちのこと、何を企んでいるのか、詳しく聞かせてもらうぞ・・・!」
「ちょっと待ってくれ!何が何だかさっぱりだ!」
構えを取る撃に晴人が抗議の声を上げる。しかし撃は晴人と攻介に対して攻撃を仕掛けてきた。
古代遺跡を思わせる場所「スピリットベース」。そこには6人の男女がそれぞれ束の間の休息を過ごしていた。
「獣電戦隊キョウリュウジャー」。機械の体を持つ恐竜「獣電竜」を操る「強き竜の者」で構成されたスーパー戦隊である。
桐生ダイゴ、イアン・ヨークランド、有働ノブハル、立風館ソウジ、アミィ結月によって現在のキョウリュウジャーは結成され、その後、戦国時代の剣士、空蝉丸が加わった。
「平和ね。おかげで“こずみっく”をじっくり読めるわね。」
アミィが少女漫画雑誌に読みふけっていく。
「しかしこれだけ平和だと、体がなまってしまうよ。」
ソウジが剣「ガブリカリバー」で素振りをしながら独り言を口にする。
「ソウジどのの言う通りでござる。次の戦に備えて鍛錬を続けるでござる。」
彼の姿に空蝉丸が感心する。
「休みのときぐらい気を張り詰めることないって。平和のときは気持ちへいわ〜♪」
そこでノブハルがオヤジギャグを口にしてきた。その直後、スピリットベースが静寂に包まれた。
その静けさを打ち破ったのは、ダイゴの笑い声だった。
「やっぱノッさんのギャグは、休みに1番の栄養剤だな!」
「オレたちの緊張の糸をプッツリ切っちまったな・・」
ダイゴに続いてイアンが言葉を投げかける。2人の言葉にノブハルが笑みをこぼす。
「休息はもちろん大事だ。だがデーボス軍はいつ動き出すか分からんぞ。」
恐竜の賢神、トリンがダイゴたちに言いかけてくる。
「それに今、世界で不穏な気配を感じている。かつて起きていないことが起こる、そのような予感がしてならない・・」
「トリン・・・?」
トリンが口にした言葉に、ダイゴ、イアン、ソウジ、空蝉丸が眉をひそめた。トリンは地球や宇宙で起ころうとしている異変に気付き始めていた。
「・・街から悲鳴が聞こえてくる・・何かが起こっている・・!」
「デーボス軍か!」
トリンの突然の声に、ダイゴも声を上げる。
「デーボス軍ではないようだ・・だがヤツらに似た邪悪な気配を感じる・・・!」
「とにかく行ってみよう!正体を確かめないと・・!」
トリンの言葉を受けて、ソウジが呼びかける。
「よっしゃ!みんな行くぜ!」
ダイゴが声をかけて、スピリットベースを飛び出す。イアンたちも彼に続いた。
(本当に気を引き締めてくれ。本当にイヤな予感がするのだ・・)
不吉な予感を拭うことができず、トリンは深刻さを膨らませていた。
騒ぎが起こっている街に、ダイゴたちは駆けつけた。そこには逃げ惑う人々と、黒い装束を身にまとった3人のドクロの怪人がいた。
「トリンの言う通り、デーボス軍じゃないみたいね・・!」
「だが悪しき者であることに間違いないでござる・・!」
アミィと空蝉丸が怪人たちを見て警戒を強める。
「お前たち、誰だ?新手のデーボモンスターか?」
「我ら怪魔妖族、スカル魔!」
イアンの問いかけにドクロの怪人、スカル魔のリーダー、スカル魔スターが名乗る。
「怪魔妖族?やはりデーボス軍とは違うようだ・・・!」
「だけど、このままアイツらのやることをほっとくわけにいかないよね。」
ソウジとノブハルが言いかけて気を引き締める。
「よっしゃ!みんな、キョウリュウチェンジだ!」
ダイゴが呼びかけて、彼とイアン、ノブハル、ソウジ、アミィが銃「ガブリボルバー」を取り出し、空蝉丸が左腕のガントレット「ガブリチェンジャー」を構える。
「ブレイブイン!」
彼らがガブリボルバーとガブリチェンジャーに乾電池型アイテム「獣電池」をセットする。
“ガブリンチョ!”
“ガブティ〜ラ!”
“パラ〜サガン!”
“ステゴォッチ!”
“ザクトール!”
“ドリケェ〜ラ!”
“プテラゴーードン!”
ガブリボルバーとガブリチェンジャーから音声が発せられる。
「いざ尋常に・・!」
「キョウリュウチェンジ!」
空蝉丸が声を上げて、ダイゴたちが声をそろえる。ダイゴたちがサンバのような、空蝉丸が歌舞伎のような動きを取る。
「ファイヤー!」
ガブリボルバーとガブリチェンジャーから、装てんされた充電池に込められている恐竜の魂「キョウリュウスピリット」が放たれる。彼らが身にまとったキョウリュウスピリットが、恐竜を思わせるデザインのスーツとヘルメットに変わる。
「その姿、仮面ライダーではない・・!?」
「もしやお前たち、スーパー戦隊か!?」
ダイゴたちの変身した姿を見て、スカル魔たちが声を上げる。
「その通りだ!聞いて驚け!牙の勇者、キョウリュウレッド!」
「弾丸の勇者、キョウリュウブラック!」
「鎧の勇者、キョウリュウブルー!」
「斬撃の勇者、キョウリュウグリーン!」
「角の勇者、キョウリュウピンク!」
「雷鳴の勇者、キョウリュウゴールド!」
ダイゴ、イアン、ノブハル、ソウジ、アミィ、空蝉丸が名乗りを上げてポーズを決める。
「史上最強のブレイブ!獣電戦隊キョウリュウジャー!」
ダイゴたちが高らかに名乗りを上げた。彼らは機械の体を持った恐竜「獣電竜」をつかさどるスーパー戦隊、キョウリュウジャーである。
「天怒りて悪を斬る!」
「荒・れ・る・ぜ〜・・止めてみな!」
空蝉丸とダイゴがスカル魔たちに言い放つ。するとスカル魔たちの後方に兵士「チャップ」が続々と駆けつけてきた。
ダイゴたちがスカル魔たちとチャップたちに向かっていく。
アミィが軽やかな動きを披露して、キャップの攻撃をかいくぐっていく。
「よっしゃー!よいしょー!どっこいしょー!」
ノブハルがキャップの突撃を受け止めて、パワーと両腕を駆使して投げ飛ばしていく。
イアンがガブリボルバーで射撃して、チャップたちに当てていく。
ソウジと剣「ガブリカリバー」でスカル魔の1人に挑む。彼が振りかざすガブリカリバーをスカル魔が大鎌で防いでいく。
「ザンダーサンダー、招来!」
空蝉丸が刀「ザンダーサンダー」を呼び寄せて手にする。彼もスカル魔の1人を相手に、ザンダーサンダーを大鎌にぶつけ合っていく。
そのザンダーサンダーから電撃がほとばしる。その衝撃でスカル魔が突き飛ばされる。
ダイゴもスカル魔スターに対してインパクトのある攻めを仕掛けていた。
「よし!この調子で行くぜ!アームドオン!」
“メッチャム〜チョ!”
ダイゴが自分の右腕にガブリボルバーを滑らせると、彼の右手に恐竜の頭の形をしたナックル「ガブティラファング」が装備される。
ダイゴはガブティラファングをスカル魔スターにぶつけていく。高まったダイゴの攻撃力に、スカル魔スターが押されていく。
「これでフィニッシュだ!ガブティラ岩烈パンチ!」
ダイゴが力を込めたガブティラファングを繰り出して、スカル魔スターを突き飛ばした。炎に焼かれるように、スカル魔スターが爆発を起こした。
「ソウジどの、あとは拙者にお任せくだされ!」
「あぁ!フィニッシュを決めてくれ!」
空蝉丸の言葉にソウジが答える。
“ガブリンチョ!”
空蝉丸がザンダーサンダーに2本の充電池をセットする。ザンダーサンダーの刀身に電撃がほとばしる。
「必殺!雷電衝撃波!」
空蝉丸がザンダーサンダーを振りかざす。放たれた電撃が地を這うように飛び、2人のスカル魔に命中して撃破した。
チャップたちも多くが撃退され、残りも危機を感じて撤退していった。
「ふぅ。とりあえず片付いたみたいだ・・」
ソウジが肩の力を抜いて、イアンたちとともにダイゴのところへ駆け寄った。
「それにしてもアイツら、本当に何者だったんだ?間違いなくデーボス軍じゃなかった・・」
「うん。怪魔妖族って名乗っていたよ・・」
イアンとソウジがスカル魔とキャップたちに疑問を感じていた。
「こりゃ、ちょっと調べる必要がありそうだな。」
「1度スピリットベースに戻って、トリンに聞いてみましょ。」
ダイゴとアミィが声を掛け合う。彼らは平穏を取り戻そうとしていたこの場を離れようとした。
“すぐに急行してくれ!そこの近くで別の戦いが行われている!”
そのとき、ダイゴたちにトリンの声が伝わってきた。
「トリン!・・この近くにまだ悪者がいるのか・・・!」
「皆の衆、休みを取るのはまだ先でござるな・・!」
ダイゴが声を上げて、空蝉丸が呼びかける。彼らはトリンが告げたその場所に向かって走り出した。
晴人と攻介を地球や宇宙の異変に関わっている重要な人物であるとにらみ、撃は彼らを取り押さえようとした。話がのみ込めないでいる晴人を、撃が攻め立てる。
「待ってくれ!アンタは本当に何者なんだ!?ちゃんと話を聞かせてくれ!」
「ならばオレと一緒に来てもらおう!お前たちから、じっくりと話を聞かせてもらう!」
呼び止める晴人だが、撃は攻撃の手を止めない。そこへ攻介が割って入って、撃にキックを見舞う。
「“みなまで言うな”がオレのセリフだが、言われるのは嫌いなんだよ!」
攻介が撃に向けて言い放って構えを取る。
「話ならここで聞いてやるから、全部話しちまえよ!」
「あまり手荒なことはしたくはないが・・こうなったら仕方ないか・・・!」
呼びかける攻介に対して、撃が全力で戦おうとした。
「おっ!何なんだ、アイツらは!?」
そこへダイゴたちが駆けつけて、晴人、攻介、撃を見て声を上げてきた。
「みんな怪人・・というにはちょっと違うよね・・?」
「3人で争っているだけで、他の人を襲うようなことはしていないみたい。」
アミィとイアンが状況を予測していく。
「ということは、悪いヤツらじゃないってことだな。とりあえず話を聞くことにするか。」
「いや。話は私が聞く。」
晴人たちに声をかけようとしたダイゴを呼び止めたのは、現れたトリンだった。
「そこまでだ、撃!君が戦うべき相手はその2人ではない!」
トリンが呼びかけると、撃が攻撃の手を止めた。
「トリン、来ていたのか・・!」
「その2人は敵ではない。その姿からおそらく、スーパー戦隊と並ぶ戦士、仮面ライダーだろう。」
声を上げる撃にトリンが話をする。
「その2人は私も見たことも聞いたこともないライダーのようだが・・」
「話の分かる人が来てくれて助かった・・」
トリンが話に立ち会ってきたことに、晴人が安心を覚える。
「いや人じゃねぇだろ!鳥だろ!」
「細かいことはみなまで言うな。」
「そうそう、みなまで言うな・・って、おい!」
ツッコミを入れる攻介だが、さらに晴人に自分のセリフを言われてしまう。
「もしかしてあなたがトリンですか?一条先輩から話を聞いていました。」
撃はトリンに声をかけると、ギャバンへの蒸着を解除した。彼に合わせて、晴人と攻介も変身を解除した。
「トリンどの、この者と知り合いでござるか?」
「彼とは初対面だが、宇宙刑事の存在は知っていた。」
空蝉丸が問いかけると、トリンが撃のことを話す。
「宇宙刑事である君がこの世界に来たということは、私が感じた異様な気配は間違いではないようだ・・」
深刻さを膨らませていくトリン。撃も晴人もダイゴも、起ころうとしている不穏な出来事を予感していた。