ガルヴォルス 第9話「絶望の始まり」

 

 

 たくみと和海の姿を追い求めて、ジュンが夜の街を駆けていた。しかし彼らがどこにいるのか、心当たりも見当さえない状態で、どこに向かったらいいのか途方に暮れていた。

(たくみ、和海さん、どこにいるの・・・!?)

 街の中を見回していくジュン。せめて2人の居場所だけでも知っておきたかった。

 そしてしばらく歩き回った後、ジュンはコンビニの横の壁にもたれかかっている和海の姿を発見した。彼女は気落ちした様子でうつむいて、周りからの情報を気に留めていなかった。

「和海、さん・・・?」

 ジュンが困惑した面持ちの中、和海に声をかけた。和海はその声にはっとなって、下を向いていた顔をジュンに向ける。

「あ、あなたは・・・」

 和海は呟くような声音でジュンに語りかけようとする。しかし、おぼろげな彼女の声は声にならないほどに小さかった。

 当惑しながら見つめ合う2人の少女。「たくみ」という共通点を持つ彼女たちは、互いの思いを受け入れたいという気持ちと受け入れたくない気持ちが交錯していた。

 何とか言葉を探る2人。そして先に声をかけたのは和海だった。

「たくみなら、一緒じゃないですよ・・・」

 物悲しい笑みを見せて突き放すような言葉を投げかける和海。それでもジュンはひかない。

「よかったら、ちょっと話したいんだけど・・・」

 ジュンの誘いに、和海は戸惑いながら頷いた。

 

 ジュンと和海がやってきたのは、街の中心の広場だった。この場所では、ライブやイベントが行われることがあるのだが、深夜となったこの時間に人はほとんどいなかった。

「ひとつ聞いてもいいですか・・?」

「なに?」

 質問を投げかけた和海に、背を向けていたジュンが振り返る。

「あなたは、たくみの何なんですか?昔からの知り合いのように思えるのですが・・・」

 和海が沈痛な面持ちでジュンの素性をたずねた。

 彼女は改めてジュンのことを知ろうとしていた。たまたまたくみと一緒にいたところを目撃したぐらいで、勝手な想像をふくらませ、自分で勝手に傷ついていたことも、今の彼女の心境につながっていた。

 ジュンは屈託にない笑顔で、和海の問いに答えた。

「簡単にいえば、幼なじみかな・・」

「おさな、なじみ・・・」

「久しぶりにあったたくみは、むかしとほとんど変わっていなかった。困ってる人をどうしても助けたいって考えがね。」

「昔のたくみも、あんなふうに行き当たりばったりだったんですか?自分がそうしたいからって。」

 和海が真面目に聞くと、ジュンは思わず苦笑を浮かべる。

「行き当たりばったり・・確かにそうね。困ってる人がそれを望んでなくても、自分がそうしたいからって勝手に助けに現れる。ホントに正義感が、というより感情が人一倍強くてね。」

 ジュンの話を聞いて、和海にも笑みがこぼれる。無鉄砲でがさつな性格の彼に、彼女たちは「余計なお世話」と思っていた。しかし、そんな彼の優しさに、ジュンも和海も感謝を抱いていた。

「でも、私はもうたくみを信じられないんです。あんな怪物だったなんて・・・そんなアイツを信じるなんて、私にはできない・・・」

 悲痛のあまり涙をこぼす和海。たくみに対して自分はどうしたらいいのか分からなくなっていたのだ。

 ジュンはそんな彼女の考えを察して、彼女の肩に優しく手をのせた。

「でも、怪物になって、たくみが何か変わったと思う?」

「そ、それは・・・」

 ジュンの問いかけに、和海は戸惑って答えられずにいた。

 彼女は両親を殺したガルヴォルスを憎んでいた。たくみが同じ怪物だと知り、彼女は自然と彼を拒絶してしまっていた。しかし今改めて考えてみると、なぜ彼を拒んでいたのか分からない。怪物だったからなのか、それとも自分を脅かす存在になるのかもしれないのか。

 明確な理由もなくたくみを拒んでいたことに、和海に後ろめたい気持ちが次第に込み上がってきた。

「今はあんな怪物になってしまったけど、“たくみ”は“たくみ”。彼であることに変わりはないわ。」

「たくみは、たくみ・・・」

 ジュンの言葉に和海は戸惑う。どんな姿になっても、たくみがたくみであることに何の変化はない。変わってない彼を拒絶するのはあまりに不条理である。

「そうかも・・・そうかもしれない・・・」

 和海は心の中にあったわだかまりが消えていくのを感じていた。

 しかし怪物と化した彼を受け入れられるのだろうか。憎しみを抱き続けていた仇の同族を。

 和海のわだかまりは増す一方だった。

「ゴメンね。いろいろ話しにつき合わせちゃって。」

「いえ・・話を持ちかけたのは私のほうですし・・・」

 きびすを返したジュンに、和海は思わず照れ笑いを浮かべる。

「とりあえずこれだけは伝えておくね。お店のみんな、とっても心配してたよ。早く帰ったほうがいいと思うよ。」

 ジュンはそういって和海から離れていく。和海は戸惑いながらも小さく頷いた。

 

 悲劇が起こってからの一夜が明けた。たくみと和海、そして2人を探しに出たジュンはついに店に戻ってこなかった。

 沸かした湯をポットに入れたまま、飛鳥たちは眠っていた。そして1番に起きたのは飛鳥だった。

「もう、朝か・・・」

 外の明かりを見て床から起き上がる。昨晩はヒロキにいつも自分が寝ていたベットを貸し、彼はシーツを羽織って寝ることにしたのだった。

 しかし、ふと視線を向けたベットに、ヒロキの姿がなかった。

「ヒロキくん・・?」

 体力の回復した体を起こし、飛鳥は部屋を出た。リビングにはたくみたちの帰りを待ちわびている隆と美奈が椅子にもたれかかって眠っていた。

 店の中を探し、ついに店の外に出る飛鳥。その店の前にヒロキは立っていた。

「ヒロキくん・・・」

 飛鳥が声をかけると、ヒロキが振り返った。

「おはよう、飛鳥お兄ちゃん。」

「おはよう。朝起きるの早いんだね。」

「何だか眼が覚めちゃって。みんな寝てたから外に出てた。」

 ヒロキの元気そうな笑顔に、飛鳥はホッと胸をなでおろす。

(たくみと和海さんは、まだ戻ってきてないようだ。ジュンさんも・・・)

 飛鳥は沈痛な面持ちで、胸中でたくみたちの安否を思う。美奈と隆が起床したら、彼らを探しに向かおうと考えていた。

 ふと視線を移すと、ヒロキの姿がなかった。

「ヒロキくん・・?」

 飛鳥が周囲を見回すが、ヒロキの姿はない。店に戻ったと思って中をのぞくが、そこにも見当たらない。

「いったいどこに・・・!?」

 顔をこわばらせて、飛鳥はヒロキを探す。

「キャアッ!」

 そのとき、飛鳥のガルヴォルスとしての鋭い聴覚が、女性のかん高い悲鳴を捉えた。飛鳥はヒロキの行方に対して後ろめたさを感じながら、声のしたほうに駆け出す。

「まさか、ガルヴォルスが・・!」

 飛鳥は思考を巡らせながら、商店街から外れた道へと差しかかった。そこには貝と怪物と、恐怖した女子高生の姿があった。登校中に怪物と出くわしたのだろう。

「あれは、海辺などに現れる怪物・・こんなところに・・・!」

 ニュースなどで騒がれている貝の怪物のことを飛鳥は思い返していた。怪物は海辺で海水浴をしていた女性ばかりでなく、川付近の道を通りがかった女性まで宝石の像に変えていたのである。

 怪物は頭部の口から虹色の光線を発射した。怯えた女子高生がその光に包まれる。すると彼女の体が透き通った宝石に変化し始めた。

 自分の体の変化に、女子高生は恐怖のあまりに声が出なかった。当惑しながら抗おうとするが、それでも体の硬質化は止まらない。

 宝石化は幼さの残る少女の手足の先まで到達し、瞳さえも半透明の宝玉に変わった。女子高生は顔に恐怖を焼き付けたまま、見る者を魅了する宝石の像へと変わった。

 怪物はその姿を見つめて、吐息をひとつもらす。そして力を抜いて、人間の姿に戻る。

 その姿に飛鳥は驚愕する。貝の怪物の正体は、先ほど朝の挨拶を交わしたヒロキだった。

「ヒ、ヒロキ・・・!?」

 飛鳥の震える声が響き、ヒロキが振り返る。彼も飛鳥の出現に驚愕を覚える。

「お・・お兄ちゃん・・・」

「ヒロキくん・・・きみは、まさか・・・!?」

 ヒロキの正体を知って、そして飛鳥に正体を見られ、2人は動揺を隠せなくなっていた。

「見られちゃったね。驚くよね、僕がこんな怪物だったなんて・・・」

 ヒロキが視線をそらして、笑みを作る。こんな少年がガルヴォルスであり、人々を襲っているという事実に困惑し、飛鳥は言葉を切り出すことができずにいた。

「僕ね、宝石が好きなんだ。お母さんもよく眺めてるのを見てたし、僕もきれいだと思うし。外の声に耳を傾けると、周りの女の子や女の人も好きだって聞いて。だから、僕がこの力でその人たちを宝石に変えるんだ。そしたら自分自身が好きな宝石になるわけだから、みんな喜ぶはずだし、僕も嬉しくなるから。」

「それは違うよ・・・」

 悠然と語るヒロキの考えを、飛鳥はおもむろに否定した。

「そんなことをしたって誰も喜ばない。それどころかみんなを苦しめていることになるんだ。」

「そんなこと・・・」

 飛鳥の言葉に、ヒロキは歯がゆい思いを見せる。しかし飛鳥はさらに話を続ける。

「いくらみんな宝石が好きだからって、自分がそれに変わりたいとは思っていない。人としての自由を奪われて、辛い思いをしているに違いない。」

 ヒロキを思う飛鳥の言葉。しかし逆にヒロキの心を追い詰めることになっていた。

「僕は宝石が好きだ。みんなだって好きなんだ。だから、僕のこの力でみんなを宝石に変えて幸せにしてあげるんだ。」

「ダメだ、ヒロキくん!」

 飛鳥が叫ぶのも聞かず、ヒロキは全身に力を込めて、再び貝の怪物に姿を変える。

「僕はみんなを幸せにするために、この力を使う!邪魔をするなら、たとえ飛鳥お兄ちゃんでも許さないから!」

「ヒロキくん!」

 飛鳥の必死の説得も、ガルヴォルスとなったヒロキには届いていなかった。自分で思い込んでいる幸せのため、彼は飛鳥に敵対する意思さえ見せていた。

 ヒロキは飛鳥に向かって飛び出し、人差し指と中指を伸ばした右手を振りぬいてきた。飛鳥が身構えて横に飛びのき、手刀が空を切る。

 飛鳥が体勢を立て直し、振り返ったヒロキを凝視する。未だに彼がガルヴォルスであることを信じられないでいた。どうして幼い子供が人が進化した怪物になってしまうのだろうか。こんな不条理が現実に起きているのだろうか。

 飛鳥の心は、かつてないほどに揺らいでいた。

「ヒロキくん・・・これ以外に方法がないのかい・・・!?」

 悲痛な面持ちで、飛鳥はヒロキを見つめる。ガルヴォルスと人間の共存を望む彼は、眼前の少年に刃を向けることを拒んでいた。

 不本意でありながら、飛鳥はヒロキに戦意を見せる。その姿が、突起のあるドラゴンへと変わる。

「あ、飛鳥お兄ちゃんも・・・!?」

 同じ怪物の姿に変身した飛鳥に当惑するヒロキ。違えた考えを持った、人の心を持った怪物が対峙する。

「同じ力を持った人だから、この姿を君に見せる。でもオレは、怪物、ガルヴォルスと人との共存を望んでいる。正直戦いたくはない。みんなを元に戻して、人間の姿に戻ってくれ。」

 困惑する飛鳥が呟くように声をかける。しかしヒロキは苛立ちを募らせるだけだった。

「僕はみんなを幸せにする。それを壊すわけにはいかないんだ!」

 ヒロキはいきり立ち、両手から虹色の光線を発射した。

「くっ!」

 飛鳥は舌打ちして、背中から龍の翼を広げて飛び上がった。彼の真下に光線が行き過ぎる。

「そんなのは幸せじゃない!」

 上空に浮かび上がったまま、飛鳥がヒロキに言い放つ。

「相手を一方的に押し付けるのは、幸せでも何でもない!君は幸せなのかもしれないけど、みんなを不幸にしているだけなんだ!」

「そんなことないよ!」

 飛鳥の言葉をヒロキが否定する。着地し、再びヒロキを見つめる飛鳥。

「本当の幸せは、互いが互いを思いやることで生まれる心の結びつきなんだ。それは宝石よりも輝きがあり、価値がある。今からでも遅くない。みんなを元に戻して、そして帰ろう。みんな心配するから・・」

 飛鳥が人間の姿に戻り、笑みを見せて手を伸ばす。美奈たちのいる店に一緒に戻ろうと手を差し伸べているのだ。

「宝石は僕を、みんなを幸せにするためにあるんだ!それを捨ててしまったら、僕にはもう何もない!僕の幸せが消えちゃうんだ!」

 ヒロキは首を振って飛鳥の言葉を否定し、手を鋭くして再び飛びかかった。しかし飛鳥は戦意を見せない。ヒロキが自分たちのところに帰ってきてくれると信じていたからだ。それは美奈や隆たちの願いでもあり、彼のガルヴォルスと人間の共存にもつながることだと思っていた。

 しかしそれは、ヒロキの繰り出した手刀によって引き裂かれた。ヒロキは飛鳥の体を、何のためらいもなく切り裂いたのである。反射的に後ろに下がっていなかったら、胴体から上半身と下半身が分かれていただろう。

 飛鳥はそのまま仰向けに倒れる。彼には体の傷の痛みよりも、ヒロキに対する思いを打ち砕かれたことの痛みのほうが強かった。

「これだけ言ってもダメなのか・・・!」

 飛鳥の顔が悲痛に歪む。歯がゆい思いを抱えたまま、彼は再びドラゴンへと姿を変える。

 ヒロキがさらに飛鳥に向けて追い討ちをかける。そこへ飛鳥が剣を出現させて、即座にヒロキの体に突きつけた。

 剣はヒロキの体を貫いていた。鮮血を歯がゆさに動揺する飛鳥に降りかかり、ヒロキがゆっくりと倒れる。

「ヒロキくん!」

 飛鳥は手に握り締めていた剣を放り投げ、ヒロキの体を受け止めた。ヒロキの姿も脱力したことで人間に戻っていた。

「ヒロキくん!しっかりするんだ!」

「お・・・おにい・・ちゃん・・・」

 必死に呼びかける飛鳥に、ヒロキが力なく手を伸ばす。血でぬれた手を、飛鳥は悲痛の思いでつかんだ。

「ぼく・・は・・・」

「ヒロキくん、オレは君に気付いてほしかった。ほんの少しでも、オレの願いが伝わればと思っていた。でも、オレは・・・!」

 飛鳥はヒロキの体を抱きかかえた。ヒロキはすでに意識がもうろうとなっていた。

「飛鳥!」

 そのとき、飛鳥たちがいなくなったことを心配して、美奈がかけつけてきた。飛鳥がその声に振り返る。

「美奈・・・」

「飛鳥・・・ヒロキくん!?」

 美奈がヒロキの弱りきった姿を見て声を荒げる。

「ニュースとかで騒がれてた宝石化の事件・・その怪物は・・ヒロキくんだったんだ・・・」

「そ、そんな!?ウソでしょ!?こんな子が、みんなを固めて回ってたなんて・・!?」

 飛鳥の言葉に、美奈は信じられない様子を見せた。幼い少年が多くの女性を宝石の像に変えていた貝の怪物だという事実を受け入れられないのは当然だった。

 飛鳥自身、この事実を未だに受け入れられずにいた。しかしヒロキの正体と力を目の当たりにしたため、認めるしかなかった。

「オレだって今でも信じられない。でも、オレはヒロキくんが怪物になって、そこを通りがかった女子高生を宝石に変えるのを見たんだ。まさかヒロキくんが・・・こんな子供が・・・!」

「・・と、とにかく、早く病院に連れて行こう!でないと、ヒロキくんが・・!」

「いいん・・だよ・・・おねえ・・ちゃん・・・」

 戸惑いながら飛鳥を促す美奈に、ヒロキが手を伸ばす。

「ホントだよ・・・僕が、みんなを宝石に変えてたんだ・・・でも、僕が死ねば・・みんな、元に戻る・・から・・・」

「ダメだ、ヒロキくん!もう少し、もう少しがんばってくれ!」

 飛鳥が必死にヒロキに呼びかける。美奈も困惑した面持ちでヒロキを見つめる。

「ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん・・・でも、僕のこの気持ちは変わらないよ・・・僕はホントに・・宝石が好きだから・・・」

「ヒロキくん・・・!」

「お兄ちゃんたちの、気持ちに・・応えられなくて・・・ごねん・・・ね・・・」

 うっすらと笑みを見せていたヒロキの、美奈が握り締めている手から力が抜ける。

「ヒロキくん・・・?」

 美奈が信じられないような面持ちでヒロキに呼びかける。ヒロキは眼を閉じて、腕をだらりと下げたまま動かなくなった。

「ヒロキくん!」

 飛鳥が憤ってヒロキに叫ぶ。しかしその声に答えることなく、ヒロキの体が白く固まった。そしてその幼い顔が、飛鳥の腕から崩れ落ちていく。

 命を失ったヒロキの体は、砂になって飛鳥の手から零れ落ちた。ガルヴォルス特有の現象で、死亡すると砂になって、跡形もなく消えてしまうのである。

 少年の消えた亡がらを握り締め、飛鳥はその場に泣き崩れた。幼い少年までも駆り立ててしまうガルヴォルスの本能。その非情な運命を、飛鳥は心から呪った。

 

 ジュンと別れた和海は、街を歩きながら、自分の気持ちを落ち着かせようとしていた。心の整理をつかせなければ、たくみと会ったとき、どう話したらいいのか分からなくなると思っていた。

 そしてしばらく街をさまよっていると、和海は眼の前で起きている騒動に気付く。慌ててその場所に駆け込んでみると、金属の壁と粘土のようにうごめいている金属の塊がそこにあった。

 塊は金属の壁に吸い込まれ、一体となった。そして壁の形が人の姿になる。

 和海はその光景に驚愕を覚えた。体の質、形を変える人物。周囲に倒れている金属質と化した人々。

「もしかして、こいつが私の両親を・・・!?」

 和海の脳裏に、金属にされて死亡した両親の無残な姿がよみがえった。金属の男が動揺する和海に姿に気付き、悠然とした態度をとったまま振り返る。

「わざわざ獲物がやってくるとはな。」

 不敵な笑みを浮かべる男を前に、和海は恐怖して後ずさりを始めた。

 

 

次回予告

第10話「金属の恐怖」

 

死神の使い、お前の正体は何だ?

謎の黒幕を追って、不動たくみが生きてきた。

人間にとって、正義とは?思いやりとは?

誰だ?誰だ?誰だ?

ひとりぼっちの不動たくみの死を弔う者は、いったい誰なのか?

 

「和海のためにも、お前はオレが倒す!」

 

 

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