Drive Warrior Episode05「手繰り寄せられる絆」

 

 

 カイロスとの戦いで魔力の大半を消耗したヒカル。家に帰ろうとしていた彼女だったが、その途中で意識を失い、倒れてしまった。

 ヒカルが目を覚ましたのは病院の1室。彼女は病院に運ばれていたのである。

「あたし・・・ここは・・・?」

 自分のいる場所が気になって、体を起こそうとするヒカル。だが全身が痛みを訴えて、彼女はすぐにベッドに横たわってしまう。

「イタタタタ・・思うように、動けない・・・!」

「目が覚めたようね、ヒカル・・」

 悲鳴を上げるヒカルに声をかけてきたのはアカリだった。アカリは病院から連絡を受けて駆け付けたのである。

「もう、いきなり倒れたって聞いたからビックリしたじゃない・・心配させないでよ・・・!」

 アカリが涙ながらにヒカルを叱ってくる。

「お母さん・・・ごめんなさい・・心配かけちゃって・・・」

 ヒカルが沈痛の面持ちを浮かべて謝る。するとアカリがヒカルを優しく抱きとめてきた。

「本当に、おてんばなんだから、ヒカルは・・・」

「お母さん・・・あたし・・あたし・・・」

 苦笑を見せるアカリに、ヒカルはひたすら涙する。母親を辛くさせた自分がイヤに思えたからだった。

「今夜はゆっくり休みなさい・・お父さんにも言っておくから・・・」

「ありがとう、お母さん・・・ホントにありがとうね・・・」

 落ち着きを取り戻していくアカリとヒカル。娘の無事に安堵しながら、アカリは病室を去っていった。

「ハァ・・・お母さんに心配させちゃったよ・・これじゃメイやみんなも・・・」

 さらなる心配にヒカルが肩を落とす。

I was relieved because it awoke safely. It worried whether awoke.(無事に目が覚めて安心しました。目が覚めないものかと心配しました。)

 そこでカイザーがヒカルに声をかけてきた。

(カイザー・・・ゴメンね・・あなたにも心配かけちゃって・・・)

 ヒカルが心の中でカイザーに謝り、苦笑いを浮かべる。

I continued the vital activity. You might not have survived if there was neither honesty nor emergency measures that I had done.(私が生命活動を持続させました。正直、私が行った応急措置がなければ、あなたは助からなかったでしょう。)

(カイザー・・あたしのために、ここまで・・・)

 身を案じてくれたカイザーに、ヒカルが戸惑いを覚える。彼女が意識を失っている間、カイザーは魔力を放出して、彼女が死に至らないように助力していたのである。 

You think the family and the friend to be important, and feelings of you who tries to fight for everybody are understood. However, please avoid the act of dangerously driving me in as much as possible for that.(あなたが家族や友人のことを大切に思い、みなさんのために戦おうとするあなたの気持ちは分かります。ですがそのためでも、自分を危険に追い込む行為は極力避けてください。)”

(カイザー・・・本当にゴメン・・・)

 カイザーに苦言を呈されて、ヒカルは謝るしかなかった。

(あたし、ホントに情けない・・みんなに心配かけたらいけないと思って、一生懸命になってたのに・・逆にみんなに心配かけちゃった・・・)

 物悲しい笑みを浮かべて呟くヒカル。彼女の目からは涙がこぼれてきていた。

(ドライブ・ウォーリアーにされて、力が増しているはずだったのに・・ホントに情けないよ・・・)

 押し寄せる自責のため、涙をこらえることができなくなるヒカル。力が強いのにみんなのために活かし切れていない。そんな自分を彼女は許せなくなっていた。

Please do not cry. You are not miserable. Because you worked hard for your important person.(泣かないでください。あなたは情けなくはありません。なぜならあなたは、あなたの大切な人のために頑張ったのですから。)

 自分を責め続けるヒカルに、カイザーが励ましの言葉をかける。

(カイザー・・・でも、あたしは・・・)

I will have the mind to think you to be important though it provides with the artificial intelligence though it is me who lacks human touch. This mind cannot be likely to be shown by the word and the reason.(人工知能を備えているものの、人間味に欠けている私ですが、あなたを大切に思う心というものを持っているつもりです。おそらくこの心は、言葉や理屈では表せないものなのでしょうね。)”

 困惑を募らせるヒカルに、カイザーが自分の考えを述べる。

I want to learn through you though it is not when the mind can still be completely well informed.(まだ心について完全に熟知できてはいませんが、あなたを通じて学びたいと思っています。)

(カイザー・・・ホントにありがとうね・・一緒に頑張っていこう・・・)

 カイザーの決心をくみ取って、ヒカルは安らぎを取り戻していく。

(さて、今度こそみんなに心配させないように、今夜は休んでおかないと・・・おやすみ、カイザー・・・)

 ヒカルは安堵の笑みをこぼしてから、ベッドに横たわった。

 

「えっ!?・・ヒカルが、入院・・・!?

 その翌日、いつものようにヒカルを迎えに来たメイ。そこで彼女はアカリから、ヒカルが入院したことを聞かされた。

「えぇ・・かなり疲れてたということよ・・よくムチャすると思っていたけど・・こうなってくるとさすがに・・・」

「そうですか・・・では、学校が終わったらお見舞いに行ってみますね・・」

 困り顔で言いかけるアカリに、メイも困惑気味に答える。

「ごめんなさいね、メイちゃんにも心配かけちゃって・・・」

「大丈夫です、私は・・では行ってきます。」

 謝るアカリに小さく頭を下げてから、メイは学校に向かって歩き出した。

(ヒカルが入院・・昔からおてんばだったけど、病院送りになるほどはしゃぐことなんてなかったのに・・・)

 心の中でヒカルの心配をするメイ。

(病院に行ったら、しっかり叱ってあげないとね・・・)

 ヒカルに発破をかけようと考えるメイ。彼女はマモル、ネネと話を持ちかけて、ヒカルの見舞いに行くことを決めた。

 

 魔力の過度の消耗で倒れ、病院で一夜を過ごしたヒカル。彼女の体調は全快に向かっていた。これはカイザーを体内に宿したことでの身体能力の向上によるものだった。

 療養の時間を過ごすものの、退屈になっていくヒカル。ベッドの上で大きく背伸びをしていたところで、病室のドアがノックされた。

「はーい。」

 ヒカルが声をかけると、ドアが開いた。メイ、マモル、ネネが見舞いにやってきた。

「ヒカルちゃん、大丈夫だった〜?」

「マモルちゃ〜ん・・さびしかったよ〜・・」

 マモルとヒカルが涙ながらに抱擁してくる。2人の様子にメイもネネも呆れていた。

「その様子なら、これ以上の心配はいらないわね、ヒカル・・・」

 メイが苦笑を浮かべて、ヒカルに言いかける。

「ヒカルのことだから、はしゃぎすぎて倒れたんでしょうね。バカみたいなことしてるから、こんなことになるのよ・・」

「メイ・・・ゴメン、心配かけて・・・マモルちゃんもネネちゃんもホントにゴメン・・・」

 メイに苦言を呈されて、ヒカルが沈痛さを見せて謝る。するとメイがヒカルの頭を優しく撫でてきた。

「分かればよろしい。これに懲りたらムチャも程々にすること。いいわね?」

「はい、神凪先生♪」

 メイに念を押されて、ヒカルが笑顔で答えた。

「それでヒカル、退院は決まったの?」

 ネネがヒカルに話を切り出してきた。

「うん。体の調子にもよるんだけど、明日には退院できるって・・」

「よかった・・ずっと入院するのではないかと思って、冷や冷やしたよ・・」

 ヒカルの答えを聞いて、ネネが安堵を浮かべる。

「だったらきちんと休んで退院に備えること。でないと本当にずっと入院することになるわよ・・」

「う〜、それはイヤだよ〜・・みんなに学校で会えるのが遅くなるなんて〜・・・」

 メイからの注意を受けて、ヒカルが気落ちする。彼女のその反応に、メイだけでなく、マモルとネネも笑みをこぼした。

「それじゃ、遅くなったけどお見舞いのお花。あまりお金がなかったから大したものは買えなかったけど・・」

 ネネが持っていた花をヒカルに手渡してきた。

「ありがとう、ネネちゃん・・でもそんな長い時間入院することはないって・・」

 ヒカルが感謝の言葉をかけながら、苦笑いを浮かべた。

「あまり騒がしくしてしまうと悪いから、そろそろ失礼するわ・・」

「ヒカルちゃん、さびしいよ〜・・帰りたくないよ〜・・・」

 メイが声をかけたところで、マモルが涙目になる。ヒカルに抱きつこうとしたマモルを、ネネがつかみ上げる。

「はいはい、ヒカルちゃんに迷惑になるからまた今度ね・・」

 ネネに引っ張られる形で病室を出ていくマモル。

「またね、ヒカル・・今度は学校でね・・」

「うん・・メイ、みんな、ホントにありがとうね・・・」

 ヒカルに感謝の言葉をかけられて、メイも病室を後にした。

(よかった・・・みんなにこうして会えた・・・)

 メイたちと会えたことを、ヒカルは心から喜んでいた。

It is a really gentle best friend. I also felt the relief from the geniality of everybody.(本当に優しい親友ですね。私もみなさんの優しさから、安らぎを感じることができました。)

 そんな彼女に、カイザーが声をかけてきた。

(カイザー・・そうだね・・あたしもそう思う・・・)

 ヒカルがカイザーの言葉を聞いて、微笑んで頷く。

It is necessary to often think even for everybody what really bear it in mind is. It is disillusioned this time if coming to be worried any further or to kick.(みなさんのためにも、本当に心掛けないといけないことが何なのか、よく考えないといけませんね。これ以上心配かけるようなことになれば、今度こそ幻滅されてしまいますよ。)

(そうだね・・もう心配かけらんないよね・・・)

 カイザーからも注意されて、ヒカルが苦笑いを浮かべる。

It is time of the rest as said now. The recovering one doesn't recover when staying up indefinitely.(言われた通り、今は休息の時間です。いつまでも起きていると、治るものも治りませんよ。)

(分かりました。もしも何かあったら知らせて・・)

 カイザーに促されてヒカルがベッドに横になろうとしたときだった。

 突然奇妙な感覚を覚え、ヒカルが緊張感を募らせていく。

(この感じ・・強い魔力・・あたしもちゃんと感じるようになってる・・・)

There is an approaching person. It is not a normal person.(接近してくる人物がいます。普通の人ではありません。)

 注意力を高めるヒカルに、カイザーが呼びかける。彼女のいる病室の窓越しの外に、カイロスが姿を現した。

(ここにいたか、ウォーリアー・ウラヌス・・見た目は元気そうだが、魔力は完全回復したとはいえないようだ・・)

 カイロスが念話でヒカルに声をかけてきた。

(今度こそお前を捕獲させてもらうぞ、ウラヌス。万全でないお前がオレに刃向かったところで何の意味もない・・)

 不敵な笑みを見せるカイロスに、ヒカルは焦りをの色を見せる。ベッドから起き上がった彼女は、窓を開けてカイロスを見据える。

(それにここは病院。傷や病で休養を余儀なくされている人間が大勢いる。そんな場所で戦いを起こせば、どういう状況になるかは容易に想像がつく・・)

 カイロスが勝気な態度を崩さずに、右手を伸ばして魔力を収束させる。

(諦めろ、ウラヌス。お前にはもはや、オレたちと一緒に来る以外に、残された選択肢はない。)

(そんなことはない・・そんなの認めない・・・!)

 勝ち誇るカイロスに向けて、ヒカルが念話で反論してくる。

(あたしがどう生きていくのかはあたしが決める・・みんなにこれ以上心配かけないためにも、あたしは戦う!)

「カイザー!」

 病室から外に飛び出したヒカルが、バリアジャケットを身につける。彼女は即座にカイロスに飛びつき、全速力で押しこんでいく。

「相変わらず突っ込んでばかりのようだな・・」

 ヒカルに押されながらも、カイロスは不敵な笑みを崩さない。ヒカルはカイロスは人のいない草原に叩き落とした。

「ふぅ・・何とか人のいないところに行けたよ・・」

 草原に着地したヒカルが安堵の笑みをこぼす。

You are amazed and I am indeed amazed blankety-blank, too. It doesn't cure with this for a long, long time though there is no method because it is this situation.(あなたの無茶にはさすがに私も呆れてしまいます。この状況だから仕方のないことなのでしょうが、これではいつまでたっても完治しませんよ。)

(ゴメン、カイザー・・でも、こうでもしないと、みんなが危険になっちゃうから・・・)

 注意をしてくるカイザーに、ヒカルが苦笑いを浮かべて答える。ヒカルもみんなに心配させず、かつみんなを巻き込まないようにするために必死になっていた。

The time spent with you was not short, and it was predictable that you went out to such a means. Moreover, please let me never fall.(あなたと過ごした時間も短くありませんし、あなたがこういう手段に出ることは予測できていました。また倒れるようなことがないようにお願いします。)

(分かってるよ、カイザー・・心配させないために、すぐに終わらせないと・・・!)

 カイザーの言葉を受けて、ヒカルが気を引き締める。起き上がったカイロスがまたも不敵な笑みを見せてきた。

「こんな浅知恵が何の意味もないことが、まだ分かっていないようだな。今度こそそれを自覚させてやろう・・」

 目を見開いたカイロスが、掲げた両手から魔力を収束させていく。これに対し、ヒカルも身構える。

「絶望とともにな・・・」

 カイロスが両手から光の弾を放つ。ヒカルは右足を振りかざして、光の弾をカイロスに蹴り返す。

 カイロスは軽々と、返ってきた弾をかわす。弾は下に曲って、地面にぶつかって爆発した。

「考えているな。周りへの被害を最小限に抑え込もうとする・・そもそも、その行為そのものがオレには理解できないがな・・・」

 悠然と語りかけていくカイロス。だがそこへヒカルが間髪置かずに飛びかかり、右手を繰り出してきた。

「ぐっ!」

 体に打撃を叩き込まれて、カイロスがうめく。ヒカルは立て続けにカイロスへの攻撃を仕掛けていく。

(迷いなく攻撃を仕掛けてくる・・オレを倒すことしか頭にないと言わんばかりの勢いだ・・・!)

 猛攻するヒカルにカイロスが緊迫を覚える。ヒカルに蹴り飛ばされて、彼はしりもちをつく。

「こ、こんなことが・・・!」

「アンタは許さない・・自分の目的のためなら、他の人を平気で巻き込む・・・!」

 うめくカイロスに、ヒカルが鋭い視線を向ける。彼女は彼に強い怒りを感じていた。

「アンタは、ただの卑怯者だよ!」

 ヒカルが繰り出した右手を、カイロスが受け止める。続けて左手を突き出すヒカルだが、これもカイロスに受け止められる。

「卑怯?勝利や目的達成のために手段だと言ってもらおう・・」

「そのためだったら何をやってもいいっていうの!?そんなの自己満足!誰も喜ばないよ!」

 笑みを見せてくるカイロスに、ヒカルが声を張り上げる。

「どこまでも戯言ばかり・・そんなことでオレたちギルティアに太刀打ちできると・・・」

 カイロスがヒカルをあざ笑ったときだった。彼が再びヒカルに押されていく。

「まだ力が上がっている・・あれだけ追い詰めたというのに、戦闘力が衰えるどころか、ますます上がってくる・・・!」

 ヒカルの力を押し返すことができず、カイロスが危機感を膨らませていく。

(こうなれば街のほうに攻撃を・・そうすれば、ヤツは街の人間に気を取られて・・・!)

 カイロスがヒカルの両手を振り払うと、街に向けて右手から光の弾を放とうとする。だがヒカルに右手を叩かれて、光の弾が彼の眼下の地面にぶつかる。

(オレの企みを、見抜かれている・・・!)

「こんなやり方しかしようとしないアンタに、あたしは負けない!」

 ヒカルは怒りを込めて、カイロスに向けて両手を突き出してきた。

「こんな見え透いた攻撃、オレが食らうと・・!」

 カイロスが勝気な態度のまま、ヒカルの攻撃をかわそうとした。

 そのとき、カイロスは自分の体が光の輪で拘束されていることに気付く。

「まさか、バインド!?・・・いつの間に・・・!?

 動きを止められたことにカイロスが驚愕する。

 捕獲系魔法の1種である「バインド」。輪、縄、鎖などで対象の動きを封じる魔法である。種類によっては動きだけでなく、魔法や魔力を封じるものもある。

 ヒカルは両手を突き出した瞬間に「リングバインド」を展開していたのである。これはカイザーのアドバイスの賜物である。

「一気に叩き込んで、すぐに終わらせる!グランドスマッシャー!」

 ヒカルがカイロスに向けて魔力を放出する。魔力が光のように放出され、カイロスを吹き飛ばした。

 ヒカルの全力を込めた砲撃魔法で、カイロスが激しく横転する。大きく魔力を消耗して、ヒカルは息を絶え絶えにする。

「ハァ・・ハァ・・やった・・やれたよ・・・」

It is a result of current training. The current attack became a remark that decides an argument.(これまでの訓練の成果ですね。今の攻撃は決定打になりましたよ。)

 手応えを感じるヒカルに、カイザーが声をかけてくる。

However, carelessness is still a taboo. The enemy might still stand up.(ですがまだ油断は禁物です。敵はまだ立ち上がってくるかもしれません。)

「えっ・・・!?

 カイザーが投げかけた言葉にヒカルが緊張を強める。

「まさか、オレがこんな不様をさらすことになるとは・・・」

 そのとき、カイロスが立ちあがってきた。だが彼はかなりのダメージを追っており、呼吸を乱していた。

「まだ起きてくるなんて・・でも疲れてるみたい・・・」

Please take care. Power to be able to still fight seems to remain.(気を付けてください。まだ戦える力が残っているようです。)

 呟きかけるヒカルに、カイザーが呼びかける。追い込まれたはずのカイロスだが、不敵な笑みを見せてきていた。

「これでは、ダイアナとブルガノスのことは言えないな・・・」

 カイロスは嘆息をつくと、ゆっくりと飛翔し、上昇する。

「今回はここまでにしておいてやろう・・だがお前が正々堂々などという甘い考えを持ち続けている限り、オレを追い払うことはこの1回限りだと肝に銘じておくのだな・・・!」

「待って!逃げるなんて卑怯・・うっ!」

 去っていくカイロスを追おうとするヒカルだが、魔力の消耗で思うように動くことができず、膝をついてしまう。

should not. impossible more than thisIt dies really this time.(これ以上の無理はいけません。今度こそ本当に死んでしまいます。)

 カイザーがヒカルに向けて心配の声をかける。

「でも、カイザー・・あのまま逃がしたら、また関係ない人が・・・!」

The purpose is to defend an important person because of the purpose was not to knock it down because the reason why you used this power fought.  wouldNot only the life but also the mind.(あなたがこの力を使う理由は戦うため、倒すためではなく、大切な人を守るためだったはずです。命だけでなく、心も。)

 カイロスを追いかけようとするヒカルを、カイザーが呼び止める。この言葉に諭されて、ヒカルは思いとどまった。

「そうだね・・あたしは、みんなを守るために、カイザーと一緒に頑張ってるんだよね・・・」

 自分が戦う理由を思い返すヒカル。彼女は気持ちを落ち着けて、メイたちのことを脳裏に焼き付けていく。

Returning to the hospital is a prior settlement now. Everybody worries again, except for no return to the hospital.(今は病院に戻ることが先決です。病院に戻っていないと、みなさんがまた心配してしまいますよ。)

「そうだね・・これ以上はさすがにご法度だよ・・・」

 カイザーに促されて、ヒカルは気持ちを切り替えて病院に向かって歩き出していった。魔力のかすかな回復を見計らって、彼女は飛行を開始した。

 

 ヒカルに返り討ちにされたカイロスが、ギルティア本拠地に戻ってきた。その彼を、現れたブルガノスがあざ笑ってきた。。

「今度こそ無様にやられたな。お前も人のことがいえなかったな、カイロス。」

「確かに醜態をさらしたな・・だがお前たちと違って、オレはそれなりの収穫はある・・」

 あざ笑ってくるブルガノスに、カイロスが不敵な笑みを見せる。逆に嘲笑されて、ブルガノスが苛立ちを浮かべる。

「オレの戦い方は功を奏している。ヤツはオレが他の人間に手を加えようとすれば、確実にそちらに注意を向ける・・肉体はドライブウォーリアーでありながら、精神や考え方は浅はかな人間と大差ないということだ・・」

「言ってくれるな、カイロス。だがいつまでもお前の好きなようにはさせないぞ。」

 勝機を見出していたカイロスに、ブルガノスが言葉を返してくる。

「今度は私が出る。いつまでも私の力を見くびると後悔することになるぞ、カイロス。」

「せいぜいムダな時間と労力を費やすのだな。せめて楽しめる余興ぐらいは見せてもらおうか・・」

 ヒカル捕獲を買って出るブルガノスに、カイロスがあざ笑ってくる。

「お前こそ、その余裕に満ちた態度がいつまで続くのか・・・」

 ブルガノスも不敵な笑みを見せてから、カイロスの前から去っていった。

 

 病室のドアがノックされた。入ってきた看護士が、ベッドにうずくまっているヒカルを目にする。

「天宮さん、どうしました・・・!?

 看護士が血相を変えてヒカルに駆け寄る。顔を出したヒカルが苦笑いを浮かべていた。

「すみません、看護士さん・・また、寒気が・・・」

 この後ヒカルは熱を測ることとなった。彼女の体温は平熱を少し上回っていた。

「明日の朝まで入院して、様子を見ることになりそうですね・・」

「はい・・・お手数おかけします・・・」

 やや呆れ気味に言葉をかける看護士に、ヒカルは頭が上がらなくなっていた。看護士が病室から出てしばらくすると、ヒカルはため息をついた。

(危なかったね、カイザー・・・)

It was a hair's breadth.(間一髪でしたね。)

 安堵を覚えるヒカルに、カイザーが声をかけてきた。

There is no something wrong in the life even if I judge it. However, though leaving hospital is a little late.(私が判断しても、命に別状はありません。ですが退院が少し遅れてしまいましたが。)

(アハハハ・・・そうなんだよね・・・)

 カイザーが投げかけた言葉に、ヒカルが再び苦笑いを浮かべた。

(でも、みんなを守るために自分の力を使って・・また怒られちゃったけど、後悔はしていない・・・)

 ヒカルはすぐに気持ちを落ち着けて、胸を撫で下ろす。

I actually felt feelings that you become all-out because I renewed. Everybody is sure to understand you and me today even if known to the family and the best friend.(あなたが一生懸命になる気持ちを、私は改めて実感しました。仮に私や今のあなたのことを家族や親友に知られることになっても、みなさんは必ず分かってくれるはずです。)

 カイザーのこの言葉を聞いて、ヒカルが不安を覚える。自分が常人離れした存在となったことを知って、周囲の人間がどう思うのか、彼女は考えることすら抵抗を感じていた。

It cannot be said that it is good to reveal the feature. Keeping to the secret might be as wise to us as possible.(素性を明かすことがいいこととは言えません。極力私たちのことは内密にしておいたほうが賢明かもしれません。)

(そうだね・・これもみんなのために、ね・・・)

 カイザーの励ましを受けて、ヒカルは小さく頷く。メイたちのためにどうすることがいいのか、ヒカルはヒカルなりに考えを出していこうとしていた。

Let's already concentrate on recuperation. Only this is a fight against your today training.(もう療養に専念しましょう。これこそが今のあなたの訓練と戦いです。)

(うん・・おやすみ、カイザー・・・)

 カイザーとの会話を終えて、ヒカルは眠りに就いた。

 ギルティアにこれ以上日常を壊させない。ヒカルの決意は日に日に高まっていた。

 

 

次回予告

 

純粋たる力と、決意に満ちた心。

本当の強さとは何なのか?

絶え間ないギルティアの強襲。

激しい真っ向勝負の果てに、少女がつかむものとは?

 

次回・「終わりなき思い」

 

心の強さは、破壊の力を超えられるのか・・・?

 

 

作品集

 

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