Drive Warrior Gears

Episode04「ドライブチャージ」

 

 

 部隊の救援に駆け付けたブレイドの前に立ちはだかったガリュー。ガリューがブレイドとの一騎打ちに挑もうとしていた。
「ブレイド、今度こそこの手でお前の首を取る・・!」
「ガリュー・・オレを倒すために、ヴァンフォードに組するとは・・・」
 敵意を向けるガリューに対し、ブレイドが歯がゆさを覚える。
「確かにオレはお前たちを裏切り、ヴァンフォードに魂を売った。だがそれはお前を倒すためだけではない。」
 ガリューが落ち着きを見せてブレイドに語りかける。
「強い力のある者に、弱者は従うしかない・・弱肉強食ということだ・・」
「そのためにお前は、オレたちを裏切ったのか・・・!?」
 ガリューの言葉を受けて、ブレイドが憤りを覚える。
「お前もヴァンフォードの一員となればいい。お前ほどの魔力の持ち主なら重宝されるぞ。」
「ふざけるな・・オレは許しはしないぞ・・オレたちの世界を滅ぼしたヴァンフォードも、オレたちを裏切ったお前も・・!」
 誘いを入れてくるガリューだが、ブレイドは彼に憤りを向けるだけだった。
「これ以上、オレたちのような人を増やしてはならない・・そのために、オレはここでお前を倒す・・・!」
 ブレイドがトランザムを構えて、ガリューに立ち向かっていった。

 アリシアを守って、カイザーを損傷する重傷を負ったヒカル。ミュウが療養を行っている間も、ヒカルは眠り続けていた。
 はっきりしない意識の中で、ヒカルは声を上げた。
(どうしたのかな・・私、どうなっちゃったの・・・?)
“Was he noticed,master?(気が付かれましたか、マスター。)”
 ヒカルの心の声に答えてきたのはカイザーだった。
(カイザー・・私、どうなっちゃったの?・・もしかして・・・!?)
“No.You have still suspended a life.Although my injury was intense, medical treatment is received together with you.(いいえ。あなたはまだ一命を取り留めています。私も負傷が激しかったですが、あなたと一緒に療養を受けています。)”
(療養って・・誰が私とカイザーを・・!?)
“People of Loadside rescued you.You are recovered and its best is done as like still now.(ロードサイドの方々があなたを救援したのです。現在もあなたを回復させようと尽力されています。)”
(ロードサイド?・・誰なの、ロードサイドって・・?)
“He is the unit to whom the girl whom you helped belongs.Her friend was run and saved after you got injured.(あなたが助けた少女が所属している部隊です。あなたが負傷した後、彼女の仲間が駆けつけて助かったのです。)”
 ヒカルが投げかける疑問にカイザーが説明をしていく。彼女は自分が体験したことを思い返していく。
(そうだ・・私、あの子をかばって・・・)
“You are treated now.And the system which I have will be incorporated.(あなたは今、治療を受けています。そして私にあるシステムが組み込まれることになりました。)”
(あるシステム・・?)
“It is a Gulan-system Drive charge system.(グラン式ドライブチャージシステムです。)”
 カイザーからの言葉に、ヒカルは驚きを感じていた。だがすぐに彼女は疑問を覚えた。
(グラン式って?ドライブチャージシステム?・・ミッドチルダやベルカの2つしか、魔法のことは知らないんだけど・・?)
“The magic technology of the feature centralizes one point and releases magic.It refers to a Belka-system Cartridge system, and it multiplies by a mid childa-system and is produced.(魔力を一点集中させて放つのが特徴の魔法形式です。ベルカ式カートリッジシステムを参考にして、ミッドチルダ式とかけ合わせて生み出されたものです。)”
(ベルカとミッドチルダ・・でもいつの間に2つの魔法が・・?)
“Both are magic with a long history.Gulan-system is also the magic derived in the history.(どちらも歴史の長い魔法です。グラン式も、その歴史の中で派生した魔法です。)”
(そのグラン式の魔法・・私もうまく使えるかな・・?)
“It could master immediately,if it is you who have mastered the fundamental treatment of magic.(魔法の基本的な扱いをマスターしているあなたなら、すぐに使いこなすことができるでしょう。)”
 カイザーから説明と励ましを受けて、ヒカルが気分を落ち着けていく。
(だったら、絶対に治らないと・・みんなを心配させたくないから・・・!)
 アリシア、タクミへの思いを胸に秘めて、ヒカルは意識を集中させていった。

 部隊の救援に駆け付けたブレイドは、ガリューと交戦していた。ブレイドは部隊の安否を気にしていた。
(戦闘が長引けば、全滅に陥ることになる・・すぐにでもガリューを撃退しなければ・・!)
 ブレイドが思考を巡らせるところへ、ガリューが飛びかかって拳を繰り出してきた。ブレイドがトランザムを構えてガリューの拳を受け止める。
「よそ見をするとは余裕か?せめて戦いに集中しておかなければ、オレの力で一瞬でお前の敗北が決定するぞ。」
「余裕なのはお前のことではないのか?敵にわざわざ助言してくるとは・・」
 ガリューに言い返して、ブレイドがトランザムを振りかざして押し返す。
「そんな情けないお前を倒しても、逆に不愉快になるからな。真っ向勝負でお前を倒して、オレやヴァンフォードが上だということを思い知らせてくれる。」
「それが命取りになったと、後悔することになるぞ・・・!」
 強気に言いかけるガリューに、ブレイドがトランザムを構えて飛びかかる。
“Leerer Rand.”
 ブレイドが姿を消した直後、ガリューに向かって真空の刃が襲い掛かる。斬撃の連続を体に叩き込まれて、ガリューが落下していく。
 ギリギリのところで体勢を整えて、ガリューがうまく着地する。その彼の前にブレイドが姿を見せた。
(速い・・こんなにも魔力と戦闘力が上がっていたとは・・・!)
 ブレイドの力を痛感してガリューが毒づく。
「おとなしくここから引き下がるなら、とどめを刺さないでおく。オレはお前の相手をするよりも、仲間を守り救わなければならない・・」
 ブレイドがガリューの眼前にトランザムの切っ先を向ける。言う通り引き下がるのが我慢ならないと思いながらも、ガリューはブレイドに対する手立てを見出せないでいた。
“Magische Ansatze zum Himmel.(上空から魔力が接近。)”
 そのとき、トランザムがブレイドに注意を呼び掛けてきた。ブレイドがとっさにガリューから離れると、光の鞭が彼のいた場所に飛び込んできた。
「ラムだけじゃなく、ガリューまで手こずっていたなんてね・・」
 ガリューの前に現れたのはローザだった。
「ローザ・・結局、全員出張ることになったか・・」
「こうなったら絶対にここを制圧するしかないわ。私たち全員出向いて失敗したのでは、マスター・コスモの怒りは避けられない・・」
 言いかけるガリューにローザが忠告を送る。
「ヴァンフォードに屈服させてやるぞ・・ここにいる連中全員、ブレイド・ストラトスも!」
「あなたはブレイドを倒すことに集中しなさい。私はラムと合流するわ。あの子1人じゃどんなことになるのかも分からないし・・」
 ガリューと言葉を交わして、ローザがラムを追いかけていった。再びガリューはブレイドとの一騎打ちに臨む。
(まずいぞ。このままでは、ガリューを倒せても部隊は全滅だ・・)
「今度はオレがお前の体を切り刻む番だ。今のうちに余裕を感じているんだな!」
 焦りを募らせるブレイドに対して、ガリューがいきり立って飛びかかっていった。

 ヒカルの蘇生を祈って、アリシアとキャミィは彼女の治療が終わるのを待っていた。2人がしばらく待っていると、ミュウが部屋を出てきた。
「ミュウ・・・あの人は、もう大丈夫・・・?」
 アリシアが心配を浮かべながら、ミュウに声をかけた。
「尽くせる手は尽くしたわ。あとは彼女自身次第よ・・」
「そうですか・・・」
 ミュウの言葉を聞いて、アリシアが戸惑いを見せる。
「ミュウ、あの人のそばについていてもいいですか・・?」
「うん・・彼女を、ヒカルちゃんを勇気づけてあげて・・」
 アリシアの頼みを、ミュウが微笑んで聞いた。笑顔を見せたアリシアが、キャミィと一緒にヒカルの様子を見に行った。
 2人が部屋に来たときも、ヒカルはまだ目を閉じていた。
「お願い・・もう1度目を開けて、笑顔を見せて・・・」
 アリシアがヒカルに歩み寄って、囁くように声をかけた。ミュウの手術は成功した、必ず目を覚まして笑顔を見せてくれる。アリシアはそう信じていた。
「ところで、ブレイドさんは大丈夫なのでしょうか?・・まだ戦っているのかな・・・?」
 キャミィが唐突にアリシアに声をかけてきた。するとアリシアが表情を曇らせた。
「大丈夫だよ・・ブレイドは簡単にやられたりしないよ・・もしも何かあれば、連絡をしてくるよ・・・」
「そ・・そうですよね・・ブレイドさんですから大丈夫ですよね。アハハハ・・」
 アリシアに言われて、キャミィが苦笑いを見せた。
「あ、あの!ブレイドさんがピンチです!」
 そこへウィッシュが部屋に飛び込んできて、アリシアとキャミィに声をかけてきた。
「ブレイドが・・・!?」
 声を荒げるキャミィ。不安と緊張を募らせるアリシアが、ヒカルに振り向く。
「私、行ってくる・・戻っていたときに目を覚ましているって、信じているから・・」
 ヒカルに言いかけてから、アリシアは部屋を飛び出した。
「私、ブレイドを助けに行ってきます・・・!」

 ガリューとブレイドが交戦している頃、ラムは憂さ晴らしで部隊の基地への攻撃への続けていた。部隊の被害は壊滅的となり、戦闘もままならないほどの状態となっていた。
「本当に弱い連中ね。でもそれなりにストレス解消させてもらったかな・・」
 肩を落として落ち着きを取り戻していくラム。その彼女の前にローザが現れた。
「ローザ・・おどかさないでよね・・」
「1人で乗り込んでいって、ガリューに助けられたんじゃ世話ないわね・・」
 声を上げるラムを、ローザがからかってくる。
「うるさいわよ!文句を言うために来たなら、今ここでやっつけるわよ!」
「冗談が通じないのね・・・この様子では、ブレイド以外は全員始末したようね・・」
「スッキリしてないけど、ちょっとは楽しめたかな・・」
「そう。それならもう引き上げるわよ。強い魔力の持ち主は、もうここにはいないから・・」
 声を掛け合って、ラムとローザが部隊の基地から出ていくために廊下を歩き出した。

 ブレイドとガリューの激しい攻防。巧みな動きを見せるブレイドに、ガリューは追い込まれていた。
「悪いがオレには時間がない。仲間を助けるためにここに来たのだから・・」
 ブレイドが言いかけて、トランザムを構えてガリューに狙いを定める。
“Die Reaktion von das.verschwand.Es kann nicht wahrnehmen.(同朋の反応が消えました。感知できません。)”
「何っ!?」
 そのとき、トランザムが周辺に部隊の隊員たちの生命反応を感じないことを告げてきた。その報告にブレイドが驚愕を覚える。
「ローザとラムがやったようだな・・いや、ラムだけかもな・・」
 ガリューがブレイドに向けて不敵な笑みを浮かべる。部隊が全滅に陥ったことに、ブレイドは毒づく。
「しまった・・遅かった・・・!」
「どうやら形勢逆転のようだな。ブレイド、お前も今のうちに観念することだな。」
 ガリューが笑みを取り戻してブレイドに勝ち誇る。
「お前たちヴァンフォードに屈するつもりはない。だがもうここに留まる理由を失った・・」
 憤りを見せながらも、ブレイドがガリューから離れていこうとした。
“Zwei machtige Magie nahert sich.(強い魔力が2つ近づいてきます。)”
 そこへトランザムが注意を呼びかけてきた。戻ってきたローザとラムが飛びかかってきて、ブレイドが動いて奇襲を回避する。
「ガリューと戦って消耗していたのに、まだ注意力が落ちていないとはね・・」
「ガリュー、コイツの相手を買って出たくせに無様じゃない・・」
 ローザがブレイドに感心の言葉を送り、ラムがガリューに呆れる。
「でも、私たち3人いれば、倒せるだけじゃない。きちんと捕まえて、マスター・コスモに捧げることもできるわ・・」
「それもいいわね。ロードサイドで1番厄介なコイツをこっちのものにすれば、どれだけ愉快なことか・・」
 ローザが持ちかけた提案に、ラムが笑みをこぼす。ヴァンフォードの戦士3人に囲まれて、ブレイドは緊迫を募らせる。
(最悪の事態となった・・オレでもこの3人を相手にしたのでは、逃げることも可能かどうか・・・!)
 自分の危機的状況を痛感しながら、ブレイドは打開の糸口を見出そうとする。
「観念しろ、ブレイド・ストラトス・・・!」
 ガリューがブレイドに笑みを見せたときだった。突如、金色の閃光がローザ、ガリュー、ラムに向かって飛び込んできた。
「何っ!?」
 驚愕の声を上げるガリュー。彼らが素早く動いて、金色の光をかわした。
「この魔力・・アリシア・・・!?」
 ブレイドが緊張を募らせながら振り向いた。彼の視界が、空中でバルディッシュを構えたアリシアがいた。
「危なかったね、ブレイド・・来てよかったよ・・」
 アリシアがブレイドの無事に安心の笑みを浮かべていた。
「アリシア・・なぜ来た!?・・オレは連絡はしていないぞ・・・!」
「ごめん・・・でも、ブレイドのことが心配になって・・・」
 たまらず声を荒げるブレイドに、アリシアが心配の声をかける。するとブレイドがため息をついた。
「今はここから脱出することを最優先にする。もう部隊は全滅に追い込まれた・・」
「そんな・・間に合わなかった・・・!」
 ブレイドの言葉にアリシアが悲痛さを覚える。
「いや、オレの力が至らなかったからだ・・お前が悔やむことはないし、今は悔やんでいる暇もないぞ・・」
 ブレイドに呼びかけられて、アリシアが緊張を覚える。ローザたちが地上に降りて、再び2人を取り囲んできた。
「バルディッシュ、私たちがここから逃げ切ることはできるよね・・?」
“If the magic of us and a partner is guessed, it is difficult to escape from here.Slack of a momentary mind will not be allowed, either.(私たちと相手の魔力を推測すると、ここから脱出するのは難しいです。一瞬の気の緩みも許されないでしょう。)”
 アリシアの問いかけにバルディッシュが答える。
「それでも何とかしないと・・みんなが帰りを待っているんだから・・・!」
“I also do my best and it supports you.(私も尽力してあなたたちをサポートします。)”
 決心を口にするアリシアにバルディッシュも答える。アリシアの脳裏にはミュウたちロードサイドの仲間たち、そしてヒカルの姿がよぎっていた。
「ブレイドに助けられた小娘も現れたか。ならば2人まとめて、マスター・コスモに捧げるとしよう・・」
「これでやっとストレス解消になるかな・・」
 ガリューとラムがブレイドとアリシアを見据えて、不敵な笑みを見せる。
(アリシア、ヤツらをうまく引き離せるか・・!?)
(分からないけど・・やってみる・・・!)
 念話で呼びかけてくるブレイドにアリシアが答える。彼女はバルディッシュを構えて意識を集中する。
 ローザ、ガリュー、ラムの後方に、稲妻を帯びた光の弾が次々に出現した。
“Plasma lancer.”
「ファイア!」
 アリシアの掛け声とともに、光の弾が矢の形となってローザたちに向かって飛んでいく。ローザたちは一斉に上に飛んで、光の矢をかわす。
「ターン!」
 光の矢が方向を変えて、再びローザたちに向かっていく。ローザとガリューが魔力を放って、光の矢をかき消す。
「もう!しつこい!」
 ラムが不満をあらわにして、両手に魔力を込めて、前に出して放つ。彼女の魔力が光の矢とぶつかって爆発していくが、数本が残って飛んできた。
 回避することも間に合わず、ラムが光の矢を直撃される。
「ぐっ!」
 爆発に巻き込まれたラムが、巻き起こった煙から出てくる。
「あの小娘・・また私をイライラさせて・・・!」
 ラムがアリシアを血眼になって探す。だが周辺にアリシアとブレイドの姿がなくなっている。
「この攻撃の隙に逃げ出したようね・・」
「のんきに言ってる場合じゃないでしょうが!」
 呟きかけるローザに、ラムが不満の声を上げる。
 だが消耗しているブレイドが遠くに行っていないことを、ガリューは察知していた。

 アリシアに助けられて、ローザたちから逃げ出すことができたブレイド。だがブレイドはアリシアが来たことを腑に落ちていなかった。
「なぜ来た!?・・オレはお前たちに助けを求めていなかったぞ・・・!」
「ブレイドが危ないと思ったから・・・ゴメン・・・」
 ブレイドに謝るアリシア。彼女の沈痛な面持ちを見せられて、ブレイドがため息をついた。
「こうなってしまったら仕方がない・・全力でここから抜け出すぞ!」
「うん・・・!」
 ブレイドに呼びかけられて、アリシアが真剣な面持ちで頷く。2人は急いでミュウたちのところへ戻ろうとした。
 そのとき、アリシアとブレイドの周りを突然光の壁が取り囲んだ。動きを止めた2人が緊迫を募らせる。
「囲まれた・・・!」
「小賢しいマネをしても逃げられるわけではないわ。」
 不安の声を上げるアリシアと、微笑みかけてくるローザ。ガリューとラムも笑みを見せて、アリシアとブレイドを見据えていた。
「アンタたちを痛めつければ、ストレス解消には十分ね!おとなしくあたしにやられることね!」
 ラムが魔力を集めた右の拳をアリシアに向けて繰り出す。
“Defensor plus.Round shield.”
 アリシアがそれぞれ回避と防御に特化した障壁を重ねて展開させる。障壁はラムの打撃を、威力を弱めながらアリシアから外させた。
「この小娘!・・だけど、いい気になるのもここまでかも・・!」
 一瞬苛立ちを見せるも、ラムがすぐに不敵な笑みを見せる。
「キャッ!」
 次の瞬間、アリシアの背後で爆発が起こった。ラムが展開させていた魔力の弾が爆発して、アリシアが悲鳴を上げる。
「ふざけたマネをしてくれたお礼よ。たっぷり鬱憤晴らしさせてもらうよ!」
 ラムが言い放ち、再び魔力を込めた拳を繰り出す。またアリシアの前に障壁が自動展開されたが、防ぎきれずに彼女が突き飛ばされる。
「アリシア!」
 ブレイドがアリシアを助けに向かおうとするが、ガリューが行く手をさえぎる。
「お前の相手はオレだ。あの娘を気にする余裕はないはずだが?」
「くっ・・ガリュー・・!」
 不敵な笑みを見せてくるガリューに、ブレイドが毒づく。追い込まれるアリシアを、ラムとローザが取り囲んできた。
「まずはあなたから。大丈夫、殺しはしないわ。あなたを利用して、私たちの力になってもらうだけだから・・」
 ローザが妖しく微笑んで、アリシアに手を伸ばす。ラムにも挟まれて、アリシアは完全に追い込まれてしまった。
「その子から離れて!」
 そこへ声がかかって、ローザとラムが手を止める。2人とアリシアが声のしたほうに振り返る。
 その先にいたのはヒカル。ミュウの療養を受けたヒカルだった。
「アイツ!?」
「オレが息の根を止めたはず!その小娘が、なぜオレたちの前で平然と立っている!?」
 ラムとガリューがヒカルの姿に驚愕する。するとヒカルがアリシアに向けて笑みを見せてきた。
「よかった・・無事だったんだね・・」
「お姉ちゃん・・治ったんだね・・・!」
 アリシアがヒカルが目を覚ましたことを心から喜ぶ。
「どういうことかは分からないけど、また倒せばいいだけよ。うまくいけばマスター・コスモへ捧げる人柱にできる・・」
 ローザが妖しい笑みを浮かべて、右手から魔力の光を出す。
「私が相手をするわ。あの子が私に手も足も出なかったことは証明されているのだから・・」
 ローザがヒカルに向かって飛び込んでいく。ヒカルは笑みを消して、意識を集中する。
(カイザー、私、戦うよ・・あの子を助けるために・・・)
“When fighting, I would like you to memorize.(戦うのでしたら、あなたに覚えていただきたいことがあります。)”
 心の中で呼びかけるヒカルに、カイザーが呼びかけてきた。
“Drive charge system was newly built into me.Keep in mind that consumption of reaction, magic, or physical strength also becomes large while it can heighten the power of magic explosively temporarily enough.(私には新たにドライブチャージシステムが組み込まれました。それは魔法の威力を一時的に爆発的に高めることができる反面、反動や魔力や体力の消耗も大きくなりますので、十分注意してください。)”
(うん。分かったよ・・ありがとう、カイザー・・でも今はあの子やみんなを守るために、私はその危険に飛び込むよ・・)
“I understand.I also opt for preparedness together with you.(分かりました。私もあなたと一緒に覚悟を決めます。)”
 ヒカルの気持ちを汲み取って、カイザーが彼女を支えようとする。
「それじゃ、行くよ・・カイザー!」
“Gulan-system ignition.”
 ヒカルが呼びかけると、彼女の体にあるカイザーが起動する。彼女の体をバリアジャケットが包み込んだが、その形状は今までと比べて若干変わっていた。
 グラン式ドライブチャージシステムを組み込んだカイザーがもたらした、ヒカルの新しいバリアジャケットと魔法の力である。
 右手を出してきて魔力の光を押し込んできたローザに対し、ヒカルも右の拳を繰り出す。2人の魔力がぶつかり合って相殺される。
(すごい・・前と比べて力がものすごく上がっている・・・!)
 自分が発揮した力に驚くヒカル。
“Conventional magic and fighting power are improving by Drive charge system having been incorporated.(ドライブチャージシステムが組み込まれたことで、従来の魔力や戦闘力が向上しています。)”
(それで・・それでこんなに魔力がアップするなんて・・・!)
 カイザーからの説明も受けて、ヒカルはさらに驚きを感じていた。
「どういうこと!?・・戦闘力が格段に上がっている・・!?」
 ヒカルとカイザーの発揮した力に、ローザは驚きを隠せなくなっていた。
「パワーはあってもこれは耐えられないわよね。」
 ローザは右手を掲げて、大量の光の弾を作り出す。彼女は弾を一気にヒカルに向けて放った。
「バーストミーティア!」
 ヒカルが両手を出して魔力の衝撃波を放とうとする。がこちらは逆に衝撃の威力が弱い。
「えっ!?」
 驚きを感じながらも、ヒカルはすぐに飛び上がって光の弾をかわした。
(どうなってるの!?攻撃のパワーは上がってるのに、魔法は威力が弱くなってる!?)
“Your present magic needs to perform drive charge.If it does not carry out, an effect is still weak, but if it carries out, an effect will go up explosively.(今のあなたの魔法は、ドライブチャージを行う必要があります。行わなければ効果は弱いままですが、行えば効果が爆発的に上がります。)”
 動揺するヒカルにカイザーが説明をしていく。
(どうすれば使えるの、ドライブチャージシステム・・!?)
“Originally magic is sent into a device.It is the same point as charge of the bullet of the magic in Cartridge system.When it is you and me,magic can be concentrated by centralizing consciousness.It is the feeling which loads a hand and a leg with power simply.(本来はデバイスに魔力を送り込むものです。カートリッジシステムにおける魔力の弾丸の装填と同じ要領です。ですがあなたと私の場合は、意識を集中させることで魔力を集中できます。単純に手や足に力を込める感覚です。)”
(うん・・分かった・・やってみる・・・!)
 カイザーからの説明を受けて、ヒカルはローザを見据えて意識を集中する。
「よけきれないと思って諦めたのかしら?」
 ローザが妖しく微笑んで、新たに出現させていた光の弾をヒカルに向けて放つ。そのとき、ヒカルが全身の魔力を右手に集中させた。
(感じた・・これが、ドライブチャージ・・・!)
「バーストミーティア!」
 ヒカルがその右手を突き出して衝撃波を放つ。ローザの放った光の弾が衝撃波に押されて爆発を引き起こしていった。
 ヒカルが発揮した強大な力に、ローザたちは驚愕を覚える。カイザーにドライブチャージシステムを組み込んだヒカルは、魔力も身体能力も格段に上がっていた。


次回予告

ついに復活を果たしたヒカル。
彼女のつかんだ魔法が、ヴァンフォードの力を揺さぶっていく。
新しい自分と新しい力。
そして帰ってきた自分の日常。

次回・「帰るべき場所」

束の間の休息で待っているものとは・・・?

 

 

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