Angel’s Knight 第4章
ACT8「それぞれの道〜漆黒の薔薇騎士シルヴィー〜」

 

 

4月

 

フィーナが教会に出頭した翌日

 

教員棟談話室

 

そこに風濫・雪・青葉にライダー・紫亜にセフィリアの姿が有った

「風濫、話って何なの?」

雪が疑問の言葉をあげる

「うん。また、魔界に行こうと思ってるの。」

風濫の言葉に驚く一同

「理由は魔界の現状と自身の戦力アップって所かしら?」

青葉の言葉に頷く風濫

そのまま風濫を見続けると口を開く青葉

「決意は固いみたいね。OK、羽咲は任せて。」

「ゴメン、青葉。」

「気にしないで、風濫。」

 

それから一週間後

 

風濫・ライダー・フェルミナと言うメンバーで魔界に来ていた

 

城内

 

王の間

 

リースから現状を聞く秋華

「以上が現状です。」

「ありがとう。用があったら呼ぶわ。」

「はい。失礼します。」

そう言うと王の間から出て行くリース

「相変わらず彼女なんですね。」

「えぇ。結構優秀だから、彼女。」

「そう。」

そう答えると真剣な眼差しをする風濫

「それで、何処らへんを治めてくれば良いの?」

「南39地区。管理下なんだけど治安部隊が好き放題していて民が苦しんでるの。

シルヴィー、行ってくれる?」

秋華の言葉に頷くシルヴィー

「…ありがとう。」

「それじゃ、行って来るわね。ライダー、行くわよ。」

そう言うと王の間から出て行くシルヴィーとライダー

 

南39地区

 

酒場

 

酒場に入るとカウンターに座るシルヴィーとライダー

「どうも。何か用かい?こんな所に?」

「今ここがどうなってるか知りたいの。教えて。」

シルヴィーの言葉と表情に口を開くマスター

「この地区は今治安部隊の好き邦題だ。中央都市からも遠いし。

秋華様への陳情は届いているんだろうか…。」

言い終わると溜息をつくマスター

「マスター。その治安部隊は何処に行けば会えるのかしら?」

シルヴィーがそう言い終わると同時に酒場に入って来る武装した魔族達

「噂をすれば。…いらっしゃいませ。」

溜息を一つつくと口を開くシルヴィー

「ライダー、手出し無用だからね。」

そう言うと立ち上がり口を開くシルヴィー

「治安部隊の皆様ですね?」

シルヴィーの言葉に絡んでくる治安部隊

「あぁ、そうだけど、あんた何者だい?ここじゃ見ねぇ顔だけどな。」

「シルヴィー。」

「あぁ?」

「漆黒の薔薇騎士、シルヴィーよ。」

そう言うとレヴィキスを抜くシルヴィー

「おぉ、嬢ちゃん。やる気かい?おい、外に出るぞ!」

 

酒場の外

 

漆黒の鎧を纏いレヴィキスを持ち佇むシルヴィー

そんなシルヴィーを囲む16名程の治安部隊

「先に二つ程質問してもよろしいかしら?」

シルヴィーの言葉に周囲を見て頷く一人の男性

「ここの治安部隊はこの場に居るので全員かしら?」

「あぁ、そうだ。」

「そう、安心したわ。次。皆、死を覚悟しているかしら?」

そう言うとレヴィキスから薬莢が排出される

「当たり前だ!我々の任務には常に死と隣り合わせだ!」

「そう。ありがとう。」

そう言うと同時にレヴィキスを振るうシルヴィー

隊長らしき男を除き全ての隊員が一瞬で絶命する

「さて、まだやる?」

シルヴィーの言葉に逃亡する隊長らしき男

その逃亡した先には住民の姿が見られた

「やばい!ライダー!!!

シルヴィーの言葉と同時に逃亡した隊長らしき男の前に回り込み殴るライダー

「敵前逃亡及び非戦闘員を人質にしようとした行為、許さない。ライダー、上へ!」

シルヴィーの言葉に隊長らしき男を上空へほおるライダー

その隊長より更に上へ飛翔するシルヴィー

それと同時に薬莢を排出するレヴィキス

地上ではライダーが眼帯を外し、己の血で魔方陣を描いていた

―騎英の手綱―ベルレ・フォーン

そう言うと同時に上空へ一筋の光が伸びる

それに合わせレヴィキスを振るうシルヴィー

上空で二つの衝撃を食らい拡散する隊長らしき男の肉体

そのまま燃え尽きる

それを確認し地表に降り立つシルヴィー

少し遅れライダーも降りてくる

「ふぅ。終わったわね。」

「はい。今ので良い合図になったと思いますので

しばらくすれば新たな治安維持部隊が来るでしょう。」

「そうね。そうすれば私達の任務も終わりね。」

そう言うとレヴィキスを納めるシルヴィー

 

しばらくして新たな治安維持部隊が到着する

住民の為に尽くす事を約束させ、住民も協力する事となった

そして戻ろうとした矢先

地響きが、鳴り響く

そこに姿を現したのは野生の黒竜

溜息をつくとレヴィキスを抜き口を開くシルヴィー

「ライダー、かく乱お願い。」

シルヴィーの言葉に頷くと黒竜目掛け駆け出すライダー

「対象の周辺に積層結界を展開。…拡張魔方陣展開。」

シルヴィーの言葉に黒竜の周辺に結界が

目の前に魔方陣が展開する

「飛べ、漆黒の不死鳥。」

そう言うとレヴィキスを魔方陣に突き刺す

それと同時にレヴィキスが漆黒の不死鳥へと姿を変える

「燃え尽きろぉぉぉ!!!

そう叫ぶと同時に不死鳥を纏い黒竜に突っ込むシルヴィー

そのまま黒竜に当たると燃え尽きる黒竜

その炎の中からレヴィキスを持ちて出てくるシルヴィー

「マスター。」

「ライダー、帰るわよ。」

「…はい、マスター。」

 

王の間

 

「夜叉様、シルヴィー只今戻りました。」

シルヴィーの言葉に口を開く夜叉

「シルヴィー、楽にして良いわ。表面上は主君と騎士だけど、私達は仲間でしょ?」

夜叉の言葉に楽になるシルヴィー

「それで、南39地区はどうなったの?」

「締めに黒竜が出てきたけど、一安心。今は新たな治安維持部隊が住民を守っている

わ。」

「黒竜?飼育物?野生?」

「後者。」

シルヴィーの答えに考え込む夜叉

「秋華さん?」

その様子に疑問に思うシルヴィー

「えっ?何?」

「今何か考えていたみたいですけど、どうしたんですか?」

「いえ、なんでも無いわ。」

秋華の言葉にひとまず頷き失礼するシルヴィー

 

王の間の前

 

王の間から出てくるとリースとライダーが居た

2人に気づき口を開くシルヴィー

「リース、ライダー。」

「シルヴィーさん、夜叉様は?」

「とりあえず安心してたわ。…リース、野生の黒竜の出現、どう見る?」

シルヴィーの突然問われ疑問に思うリース

「無理に考えないで良いわ。ライダー、行くわよ。」

「あっ、はい。失礼します。」

ライダーがそう言うとその場から去って行くシルヴィーとライダー

 

3日後

 

深夜

 

ふと目が覚めバルコニーに出るシルヴィー

「眠れないのですか?マスター。」

「ライダー。…うん、何か胸騒ぎがしてね。」

ライダーに返答すると城下町を見るシルヴィー

ふと何か異変を感じるシルヴィー

「…ライダー、何かおかしくない?」

「えっ?」

シルヴィーの言葉に疑問に思うライダー

「…やっぱり。ライダー、リース起こして来て!何か来てる。」

そう言うと同時に鎧を纏いバルコニーから飛び出して行くシルヴィー

 

城門

 

「大丈夫か!」

そう言いながら降り立つシルヴィー

そこには虚ろな目をした兵士が二人と妖艶な雰囲気を醸し出す女性が居た

「…貴女は、誰?ここに何の用かしら?」

そう言いながらレヴィキスを女性に向けるシルヴィー

「私は調和を乱す者。…貴女も私の人形にしてあげる。」

その言葉と共に意識が遠のくシルヴィー

「しま…った……。」

その言葉の後、そこには虚ろな目で立ち尽くすシルヴィーの姿が有った

「フフッ、さぁ、貴女の事、教えて。」

女性の言葉に頷くと口を開くシルヴィー

「私の名前は…名前、私の、名前。」

ふとシルヴィーの言動に疑問を感じる女性

「どうしたの?効きが浅いかしら?」

「私は、フィーリア。彼女を守る者!」

そう言うと同時に鎧が黒神装に変化する

「さて、久しぶりなのかしらね?人形師セレーナ。」

「フィーリア、黒薔薇の騎士の?…くっ、行け!!!

セレーナの言葉に駆け出す二人の兵士

その直後、その場に銀の閃光が発生し、光が止むとそこに銀装を纏った一人の女性が

居た

「まったく。秋華さんから連絡を受けて来てみれば…やれやれ。」

そう言うとしゃがんでいた体勢から立ち上がりセレーナを見る女性

「貴女、何者?」

セレーナが問いかける

「魔を浄化する剣、銀装妖精レイピア。…さて、どうしよっか?」

そう言うとセレーナに剣を向けるレイピア

「レイピア、彼女は私に任せて貴女は夜叉の所へ。」

「シ…フィーリアさん。はい。」

そう頷くと城へと向かうレイピア

レイピアを見送ると口を開くフィーリア

「さて、セレーナ。何でこんな事してるの?貴女は足を洗った筈でしょ?」

フィーリアの言葉に黙り込むセレーナ

「セレーナ、答えて!」

「…助けて、フィーリア。」

セレーナの一言に驚くフィーリア

「私を、助けて。私は、自ら死ぬ事も出来ない。だから、お願い。」

「解った。けど、その前に教えて。黒幕は、誰?」

そう言い、セレーナに触った瞬間

崩れ落ちて行くセレーナの身体

「セレーナ!」

「…フィーリア。また会えて、良かった。」

そう言い終わると完全に崩れ落ち砂となったセレーナ

「やれやれ。これだから試験体は困るわ。」

ふと女性の声がして振り返るフィーリア

そこに居たのは…

「…リース。貴女、何故?」

「何故?愚問ね。主が無能だと疲れるのよね〜。」

その言葉に剣先を向けるフィーリア

「それだけの理由なの?」

「それ以外に何が有るって言うの?」

リースの言葉に一度剣を降ろすフィーリア

「…そう。けど貴女を討つのは私(フィーリア)じゃない。……(シルヴィー)よ。」

その言葉と同時に鎧が漆黒装に変わり、剣もレヴィキスへと変わる

「威勢が良いわね。けど、一人で倒せるかしら?」

「一人?貴女の目は節穴かしら?そうでしょう?レイ。」

シルヴィーの言葉と共に夜叉を連れて現れるレイピア

「リース、何で貴女が?」

疑問の声を出す夜叉

「何で?愚問ですね。答えるまでも、無い!」

リースのその言葉と同時に地中から大量のゾンビが這い出て来る

それを見て溜息をこぼすシルヴィー

「やれやれ。レイ!」

シルヴィーの言葉と同時に銀槍を地面に突き刺す

それと同時に浄化の光が大量のゾンビを包みこみ昇天させる

「悪いけど、この手の類は通用しないわよ。」

そう言うとリースに銀槍を向けるレイピア

「フフッ、それなら今回はこのへんにしておきましょうか?」

リースがそう言った直後

Darkness Slash―

電子音声がその場に響くと同時に切り裂くシルヴィー

「えっ?」

疑問に思うリース

その直後

「シルバースラッシュ!!!

銀槍で縦にリースを切り裂くレイピア

その攻撃でよろめくリース

その直後

リースを貫くヴォルケス

「夜叉。」

「せめて、安らかに眠って。」

「…えぇ、そうするわ。」

その言葉の後燃え尽きるリース

それを確認して口を開く夜叉

「レイ・シルヴィー。これからどうするの?」

「私は帰ります。シルヴィーは?」

レイピアに問われ口を開くシルヴィー

「私はもう少しこっちに居るわ。夜叉のサポートをしなくちゃいけないし。」

シルヴィーの言葉に納得するレイピア

「解った。けど、ちゃんと戻ってきてね。」

「解ってるよ。」

そう言うと拳を合わせる二人

 

―――私の進むべき道は、決まりましたよ、フィーリアさん―――

 

続く

 

次回予告

彼女は探している

自身の剣を奪い、静めてくれる者を

そしてその人物は身近な所に居た

次回ACT9「それぞれの道〜真紅の戦女神と聖神〜

 

 

 

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