オールライダーVSダークライダー

-Justice or Dark-

第10章

 

 

 歴代の仮面ライダーの戦いを「マイティアイ」でモニターしていたシャドームーン。彼は紘汰や戒斗の動きも読んで対応していた。

 これに対し、紘汰も戒斗も全力を出すことを心に決めた。そのためには互いが協力することに、2人ともためらいはなかった。

「ヤツを倒すためなら、オレは手段を選びはしない・・!」

「オレもどうこう言うつもりはない・・ここでお前を倒して、世界を守る!」

 戒斗と紘汰が言い放って、シャドームーンに向かっていく。2人が無双セイバーと剣を振りかざすが、シャドームーンはシャドーセイバーで軽く防いでいく。

「何をしようとムダだ・・」

 シャドームーンがシャドーセイバーを振りかざして、反撃を仕掛ける。

「葛葉!」

 そこへ貴虎が呼びかけて、ソニックアローでシャドームーン目がけて光の矢を放つ。光実もブドウ龍砲でシャドームーンに射撃を仕掛ける。

「シャドーフラッシュ!」

 シャドームーンがベルト「シャドーチャージャー」から閃光を放つ。向かってきた光の矢と球が閃光にはじき飛ばされる。

「気付かれたか・・!」

「僕たちの攻撃も通じない・・!」

 貴虎と光実が焦りを覚える。2人の存在もシャドームーンは気付いていた。

“ヒナワダイダイDJジュウ!”

 紘汰が火縄大橙DJ銃を手にして、シャドームーンに向ける。彼が放つ連射をも、シャドームーンはシャドービームでかいくぐる。

 そこへ戒斗が飛び込んで剣を振りかざしてきた。その切っ先がシャドームーンの体に当たった。

「葛葉に気を取られすぎたな・・!」

 戒斗は立て続けに剣を振りかざしていく。彼の攻撃でシャドームーンが切りつけられていく。

「今だ!」

「はい!」

 貴虎と光実も再びソニックアローとブドウ龍砲を発射する。シャドームーンは回避が間に合わず、攻撃を受ける。

「これで終わらせる!」

“メロンエナジー。”

“ブドウスパーキング!”

 貴虎が光実とともにエネルギーを集める。貴虎が強力な光の矢を、光実が龍のような光を発射した。

“カチドキチャージ!”

 紘汰も火縄大橙DJ銃を構えて、銃口にエネルギーを集めて発射する。3つの光がシャドームーンに命中して追い込んでいく。

「このまま・・このまま終わりはしないぞ・・・!」

 シャドームーンがダメージに耐えて、紘汰たちに向かっていく。

「一気に倒すぞ、お前たち!」

 戒斗が呼びかけて、紘汰、光実、貴虎が頷く。4人が同時に飛び上がって、力を込めたキックを繰り出した。

 その瞬間、紘汰は戒斗がバロンになっていたように見えた。

「シャドーキック!」

 シャドームーンもジャンプして、エネルギーを集めた両足のキックを繰り出す。彼と紘汰たちのキックがぶつかり合い、閃光のような衝撃を巻き起こした。

「これがオレたちの力!それぞれの魂がかけ合わさった、オレたちの力だ!」

「アーマードライダーの・・仮面ライダーの力・・まだまだオレを上回るほどになるとは・・・!」

 言い放つ紘汰と戒斗たちの力を痛感して、シャドームーンが消滅していく。着地した紘汰たちが互いの顔を見合わせる。

「ミッチ、貴虎、戒斗・・ありがとうな・・」

「お前に礼を言われる覚えはない。オレの敵を倒しただけだ・・」

 紘汰が感謝すると、戒斗が突っ張った態度を見せる。

「オレも感謝されるほどのことじゃない。この世界を守るために戦った。それだけだ。」

「紘汰さん、これからも僕たちでこの世界を守ります。だから紘汰さんは、舞さんとヘルヘイムを・・」

 貴虎と光実も紘汰に自分の考えを告げる。

「気を抜くのはまだ早いぞ。ディケイド、門矢士は並外れた強さを備えている。」

 戒斗が注意を投げかけると、紘汰たちが頷く。

「進之介、オレたちが行くまで無事でいてくれ・・・!」

 進之介たちを気がかりにする紘汰。彼は戒斗たちとともに、進之介たちのところへ向かった。

 

 進之介、剛、チェイスは追い詰められていた。彼らは士だけでなく、ガイナニンポー、タイガーロイド、魔化魍の1体、サトリ、さらにダスタードたちが立ちふさがっていた。

「何でこっちは数が多いんだ・・!?

「こういう人気者は逆に迷惑だけど・・!」

 自分たちが置かれている状況に、進之介と剛が不満を口にする。

「文句を言う前にヤツらを倒すのが先だ・・人間を、世界を守り抜くまで、オレたちは倒れるわけにはいかない・・・!」

 チェイスが2人に向けて言いかける。

「お前に言われるまでもない!何人出てこようと、オレがマッハで片づけてやる!」

 剛がチェイスに言い返して、士たちに対して身構える。

「観念するんだな。こっちとお前たちじゃ力も数も違うんだからな。」

 士が強気に言うと、ガイナニンポーたちが前に出てきた。

「ディケイドが出てくるまでもない・・!」

「我らだけでこやつらを葬ることはたやすい!」

 タイガーロイドとガイナニンポーが強気に言い放つ。

「ならオレは他の仮面ライダーたちを倒しに行く。高みの見物ばかりだと退屈だからな・・」

 士が進之介たちの前から立ち去ろうとする。

「おい、待て!」

 進之介が士を追いかけようとするが、ガイナニンポーたちに行く手を阻まれる。

「お前たちの相手は我々だ!」

「やっぱ、マッハでブッ倒して、アイツを追いかけるしかないってわけか・・・!」

 構えを取るガイナニンポーに言い返して、剛が進之介、チェイスとともに構える。

「世界や人々を守るために、悪や犯罪を止めるために戦う・・それが、仮面ライダーだ!」

「その通りだ!仮面ライダーの正義を、悪の闇で染めさせるわけにはいかないぞ!」

 自分たちの使命感を口にする進之介とドライブドライバー。彼らも剛たちも立ち向かうことを諦めていなかった。

「往生際が悪いぞ!貴様らを地獄に叩き落としてくれる!」

 ガイナニンポーがあざ笑って、タイガーロイドたちが構えを取る。

「ちょーっと待ったー!」

 そのとき、高らかに声が飛び込んできて、進之介たちとガイナニンポーたちが振り返る。その先に6人の男女がいた。

「あっ!アンタたちは!」

「よっ!久しぶりだな、進之介!」

 声を上げる進之介に、青年の1人、伊賀崎(いがさき)天晴(たかはる)が気さくに声をかける。

 進之介たちと天晴たちは事件の中で知り合い、力を合わせて戦ったこともある。

「僕たちの周りでも騒ぎになってて、また妖怪の仕業じゃないかって思ってね。」

「だがあそこにいるのは牙鬼軍団じゃない。違う種類の妖怪や怪人ばかりだ。」

 青年の2人、松尾(まつお)(なぎ)加藤(かとう)クラウド八雲(やくも)がガイナニンポーたちを見て言いかける。

「しかも中に忍者みたいなのもいますね。」

「あっちは西遊記の孫悟空みたいだよ。」

 2人の少女、百地(ももち)(かすみ)と伊賀崎風花(ふうか)もガイナニンポーを見て言いかける。

「だけど、その孫悟空とはちょっと違う感じッスよ。」

 青年、キンジ・タキガワもガイナニンポーを見て疑問符を浮かべる。

「何だ、貴様らは!?

「お前たちも仮面ライダーなのか!?

 ガイナニンポーとタイガーロイドが天晴たちに問いかける。

「オレたちは進之介とは違うぞ!オレたちは忍者だ!」

 天晴は答えると、八雲、凪、風花、霞とともに着ていた服を脱いで、忍者装束姿を披露する。

「何だかよく分かんないけど、燃えてきたー!」

 天晴が意気込みを見せて、八雲たちとともに刀「忍者一番刀」を手にする。キンジもハンバーガー型のアイテム「スターバーガー」を取り出す。

“ザ・変化!ニンニンニン!ニンニニンニン!・・”

“ザ・チェンジ!”

 天晴たちが手裏剣「変化忍シュリケン」を忍者一番刀とスターバーガーにセットする。

「シュリケン変化!」

「シュリケンチェンジ!」

“アカジャー!アオジャー!キジャー!シロジャー!モモジャー!スタージャー!ニンジャー!”

 変化忍シュリケンを回す天晴たちが、新たに忍者装束と仮面を身に着ける。

「仮面ライダーじゃない!ヤツらは戦隊だ!」

「えーい!お前たち、何者だ!?

 声を上げるタイガーロイドとガイナニンポー。

「暴れてあっぱれ!アカニンジャー!」

「轟け八雲!アオニンジャー!」

「きらめきの凪!キニンジャー!」

「ひとひら風花!シロニンジャー!」

「揺らめく霞!モモニンジャー!」

「彩の星!スターニンジャー!」

 天晴、八雲、凪、風花、霞、キンジが名乗りを上げる。

「忍びなれども忍ばない!」

「忍びなれどもパーリナイ!」

 天晴とキンジが高らかに言い放つ。

「手裏剣戦隊ニンニンジャー!」

 天晴たちが声をそろえてポーズを決める。

 忍者の最強の称号「ラストニンジャ」を目指しているのが、天晴たち手裏剣戦隊ニンニンジャー。恐れの力を集める妖怪を率いる「牙鬼軍団」を倒すために、彼らは立ち向かい鍛錬に励んでいる。

「忍者の戦隊だと!?騒々しい連中だ!」

「忍びなら忍びらしく忍べ!」

 タイガーロイドとガイナニンポーが天晴たちに言い放つ。

「そうはいかないな!忍ぶどころか、暴れるぜ!」

 天晴が高らかに言い放つと、八雲たちとともにガイナニンポーたちに立ち向かう。

「進之介、お前たちは先に行け!コイツらはオレたちが相手する!」

 天晴がガイナニンポー相手に忍者一番刀を振りかざしながら、進之介たちに呼びかける。

「あなた方が止めなければならない相手は、他にいるはずです。」

「僕たちのことは気にしなくていいよ!この怪人たちは、僕たちだけで十分だから!」

 霞と凪も進之介たちに呼びかける。2人もダスタードに対して、忍者一番刀を振りかざす。

「おいおい、オレがいなくて大丈夫なのか!?

「イージーだな。オレたちは簡単に負けることはない。」

「お兄ちゃんだったら、これも修行の1つだって思っちゃうしね。」

 剛の声に答えて、八雲と風花もダスタードに応戦する。

「こんなのまでいるとは、世界はまだまだ広いッスね!」

 キンジが感心を見せて、エレキギター型の武器「スターソードガン」をタイガーロイドに振りかざす。

「仮面ライダーではないようだが、人間を守ろうとする考えは同じようだ・・」

 仮面ライダーだけではない。世界や地球を守るために戦う戦士が他にいることを知って、チェイスが呟く。

「だから早く行け、進之介!オレたちもお前たちも、このままいけいけドンドンだ!」

「天晴・・みんな・・ありがとう!助かった!」

 天晴に呼びかけられて、進之介が感謝して頷いた。

「剛、チェイス、ディケイドを追うぞ!」

「よーし!」

「あぁ・・!」

 進之介の呼びかけに剛とチェイスが頷く。彼らはトライドロン、ライドマッハー、ライドチェイサーに乗って、士を追いかけていった。

「お前たちの相手はオレたちだ!」

「お前さん方のやられっぷり、しっかり目に焼き付けさせていただきやすよー!ヒーハー!」

 八雲とキンジが言い放って、ダスタードを切りつけていく。

 サトリが鉈のような形の刀を手にして、凪と風花に迫る。サトリの刀をかわして、2人が反撃に転じる。

 が、サトリには相手の心を読む能力が備わっていて、凪と風花の動きを読んで回避してみせる。

「僕たちの攻撃が当たんないよ〜!」

「こうなったら、忍術で勝負だよ!」

 悲鳴を上げる凪と、新たに「五トン忍シュリケン」を忍者一番刀にセットする風花。

「シュリケン忍法!落とし穴の術!」

“どんどんじゃー!”

 風花が忍術で落とし穴を作り出して、サトリを落とそうとする。しかしそれさえも読んでいたサトリが、光の鞭を伸ばして風花を捕まえる。

「うわっ!」

 引っ張られた風花が、自分が開けた落とし穴に落ちてしまう。

「風花ちゃん!」

 凪が声を上げて、五トン忍シュリケンを忍者一番刀にセットする。

「シュリケン忍法・金の術!」

“きんきらじゃー!”

 凪が忍術で金だらいをサトリに向かって落とした。サトリはそれも読んで回避しようとした。

 そのとき、落とし穴に落ちた風花が飛び出してきた、忍者一番刀でサトリを切りつけた。不意を突かれたサトリが、落ちてきた金だらいをかわせず直撃を受ける。

 2人以上の心を同時に読むことはできず、サトリは不意を突かれて追い込まれる。

「今のうちにやっちゃおう!」

「お兄ちゃんなら、いけいけドンドンだね!」

 凪と風花が畳み掛けて、忍者一番刀を連続で振りかざして、サトリを切りつけていく。サトリが刀を振りかざすが、凪の一閃にはじき飛ばされる。

 凪と風花がサトリとの距離を取って、カエルの頭の形をした銃「ガマガマ銃」を構える。

“バンバンバン!忍者一撃!”

 2人が同時にガマガマ銃を発射して、サトリを撃ち抜いた。サトリは崩壊を起こして体が爆発した。

「やったね、風花ちゃん!」

「うん!お兄ちゃんたちのところへ戻ろう!」

 凪と風花が声をかけ合って、天晴たちのところへ戻る。

 その頃、タイガーロイドの背中の大砲からの砲撃を、八雲と霞は素早くかわしていた。

「バズーカ砲にしては連射の間隔が短いですね。およそ0.5秒・・」

「イージーだな。その間隔の隙を突く程度・・」

 分析する霞に、八雲が冷静かつ強気に言葉を返す。

「この世に善も悪もない!勝ち残った者が善なのだ!」

 タイガーロイドが言い放って、大砲を発射していく。

「ならば、オレたちが善ということになるな。」

 八雲は砲撃をかわして言い返す。

「カラクリヘンゲン・弓!」

 八雲と霞が大型手裏剣「カラクリヘンゲン」を弓に変形させて構える。

“弓変幻・射!”

 2人がタイガーロイドに向けて矢を放つ。放たれた光の矢は拡散して、タイガーロイドに次々に命中した。

「ぐおっ!」

 ダメージを受けてうめくタイガーロイド。背中の大砲も光の矢にやられて破損していた。

「これで攻撃は封じました!」

「後はオレがやる!」

 霞が声をかけて、八雲が忍者一番刀の「技」ボタンを押す。

“ザ・技!ナンジャナンジャ!ナンジャナンジャ!”

 八雲が忍者一番刀を構えて、タイガーロイドに向かっていく。

「シュリケン忍法奥義・忍龍斬!」

“忍者一閃!”

 八雲が体を回転させて飛び込んで、タイガーロイドを切りつけた。

「バ、バカな・・!」

 タイガーロイドが倒れて、爆発を引き起こした。

「あとはたか兄と・・」

「スターさんですね。」

 八雲と霞が声をかけ合って振り返る。

 棒を振り回すガイナニンポーを、天晴とキンジが迎え撃つ。

「おのれ、忍者の戦隊め・・・ものども、であえ!」

 ガイナニンポーが残りのダスタードを呼びつける。ダスタードたちも加勢して、天晴とキンジに向かっていく。

「向こうもいけいけドンドンできたか!燃えてきたー!」

「あっしも負けませんよー!ヒーハー!」

 天晴とキンジがダスタードたちを忍者一番刀とスターソードガンで切りつけていく。

 ガイナニンポーが天晴に向かって棒を伸ばしてきた。天晴が即座にかわして、棒はその先の岩を砕いた。

「ホントに孫悟空みたいですな!如意棒まで使ってくるとは!」

「だったらこっちも伸ばしてやるぜ!」

 声を上げるキンジと、忍者一番刀に「オトモ忍シュリケン」をセットする。

“ザ・技!ナンジャナンジャ!ナンジャナンジャ!”

「シュリケン忍法・蜿蜒長蛇(えんえんちょうだ)の術!」

 天晴の右手が伸びて、遠くからガイナニンポーを切りつける。

「おのれ、ニンニンジャー・・覚悟!」

 ガイナニンポーが棒からビームを放つ。天晴とキンジの周囲で爆発が起こる。

「おっと!落雷注意ッスよ!」

 キンジがスターソードガンに「雷忍シュリケン」をセットする。

“ザ・アタック!カミナリマジック!”

 キンジが構えるスターソードガンに雷が集まる。

「シュリケン忍法・雷の術!」

 キンジがスターソードガンを振りかざすと、ガイナニンポーに向かって落雷が起こった。

「ぐおっ!」

 雷の衝撃で、ガイナニンポーが棒をはじき飛ばされる。

「おのれ、ニンニンジャー・・これでもくらえ!」

 ガイナニンポーが印を結んで、炎の球を放つ。

「シュリケン忍法・分身(わけみ)の術!」

“カクレンジャー!”

 天晴たちの忍者としても戦隊としても先輩に当たる「忍者戦隊カクレンジャー」のニンジャレッドから授かったカクレンジャー忍シュリケンを、忍者一番刀にセットする天晴。彼は2人に分かれて、ガイナニンポーの炎の球をかわす。

「先輩たちの意思と魂を受け継いでるのは、進之介たちだけじゃない!オレたち忍者も戦隊も!」

「そしてあっしは、立派なラストニンジャになってみせやすよー!」

 決意を言い放って、天晴とキンジが忍者一番刀とスターソードガンを構える。

「よーし!これで終わらせる!シュリケン忍法奥義・忍烈斬!」

“忍者一閃!”

 天晴が叫んで、キンジとともに忍者一番刀とスターソードガンを振りかざす。

「ぐぎゃぁー!」

 2人の斬撃を受けたガイナニンポーが、絶叫を上げて倒れて爆発を起こした。

「おっしゃー!オレたちの勝ちだー!」

 天晴が勝利を喜んでガッツポーズをする。

「あっしもいい写真撮れましたー♪」

 キンジもスターバーガーで、倒れるガイナニンポーとの記念撮影をしていた。今回は天晴も一緒に写っていた。

「お兄ちゃんたちも終わったんだね。」

 風花が駆けつけて、天晴に声をかけてきた。八雲、凪、霞も戻ってきた。

「後は進之介たちに任せるか!アイツらもきっとやるぜ!」

 進之介たちを信じる天晴に、八雲たちが頷く。彼らはライダーたちの戦いの行く末を見守ろうとしていた。

 

 それぞれのマシンに乗って士を追っていく進之介たち。その最中、彼らの眼前に爆発が起こった。

「何だ!?また新手か!?

 進之介がトライドロンから降りて、前をじっとうかがう。舞い上がる砂煙の中から現れたのは、3人の闇の戦士。

 魔導騎士ウルザードと外道シンケンレッド、闇のトッキュウ1号である。

「また闇の戦士が出てきたか!」

「彼らは仮面ライダーではないようだが、邪悪な力を宿しているのは間違いない!」

 ウルザードたちを見て、進之介とドライブドライバーが声を上げる。

「何者かは知らないが、邪魔をするな・・!」

「でないと速攻ブッ倒すぜ!」

 チェイスと剛が呼びかけるが、ウルザードたちは引き下がらない。

「お前たちを倒さないといけないみたいだな・・・!」

「ちょっと待ったー!」

 身構えたところで、進之介の耳に声が入ってきた。彼らとウルザードたちの前に現れたのは、5人の子供たち。

「おいおい、何でこんなところに子供たちが!?

「危ない、君たち!早く逃げるんだ!」

 剛が声を上げて、進之介が子供たちに呼びかける。

「君たちが新しい仮面ライダーなんだね!」

 子供たちの1人、ライトが進之介たちに声をかけてきた。

「今度はタイヤが体に付いてるライダーみたいだよ。」

「うわーい♪おもしろそうだねー♪」

 子供たち、トカッチとカグラも進之介たちを見て声をかける。

「僕たちも特徴的だと言えなくないけどね・・」

「そうだね。子供なのに、世界を守る戦隊なんだからね。」

 子供たち、ヒカリとミオも言いかける。

「戦隊って・・君たちもまさか・・!?

「そうだ。コイツらとオレは、闇を打ち払う烈車戦隊だ。」

 進之介が声を上げたところで、新たに1人の男がやってきた。

「明!明も来てくれたんだ!」

 ライトが振り返って男、虹野(にじの)(あきら)に声をかける。

「お前たちも気付いたみたいだな、世界の異変に。」

「うん。明とまた会えて嬉しいよ。」

 明とトカッチが声をかけ合って、ウルザードたちに目を向ける。

「それじゃみんな、久しぶりに行くよ!」

 ライトが呼びかけて、トカッチたちが頷く。ライトたちが左腕にあるブレスレット「トッキュウチェンジャー」を、明が取り出したスマートフォン「アプリチェンジャー」を操作する。

“変身いたしまーす。白線の内側に下がってーお待ちくださーい。”

 アナウンスの発するトッキュウチェンジャーとアプリちぇじゃーに、ライトたちはアイテム「トッキュウレッシャー」をセットする。

「トッキュウチェンジ!」

 ライトたちがそれぞれスーツと、レールを思わせるゴーグルをしたマスクを身にまとった。

“トッキュウ1号、トッキュウ1号。”

「はっ!」

“トッキュウ2号、トッキュウ2号。”

「お久しぶりです。」

“トッキュウ3号、トッキュウ3号。”

「はっ!」

“トッキュウ4号、トッキュウ4号。”

「ふっ!」

“トッキュウ5号、トッキュウ5号。”

「はーい♪」

“トッキュウ6号、トッキュウ6号。”

「やっ!」

 アナウンスが流れる中、ライトたちが構えを取って、トカッチがお辞儀をして、カグラが明るく答える。

「勝利のイマジネーション!烈車戦隊トッキュウジャー!」

 ライトたちが名乗りを上げてポーズを決めた。

 「烈車戦隊トッキュウジャー」。闇の帝国「シャドーライン」と戦い、烈車に乗って旅をしてきた。明を除く5人が元々は子供であり、旅を終えてそれぞれの家族の元へ戻った際に子供の姿に戻った。

 しかしトッキュウジャーになれなくなったわけではなく、イマジネーションを高めることで変身が可能となる。

「さーて!久しぶりに、しゅっぱーつしんこー!」

 ライトが掛け声を上げて、ウルザード、外道シンケンレッド、闇のトッキュウ1号に向かっていく。

「ここは僕たちに任せて先に行って!」

「私たちがこの3人を倒すよ!」

 トカッチとミオが進之介たちに呼びかける。

「あなたたちの相手が他にいるのは分かっている。」

「私はできる。私はできる!私はできる!」

 ヒカルも呼びかけて、カグラは自分に言い聞かせてイマジネーションを高める。

「この3人は、闇から生まれた化身!ヤツらの相手はオレたちがふさわしい!」

「オレたちのことは気にしなくていいから、君たちは先に行って!」

 明とライトも呼びかけて、ウルザードたちと攻防を繰り広げる。

「トッキュウジャー・・・分かった!ここは君たちに任せるよ!」

 進之介はライトたちを信じて、トライドロンに乗って走り出した。剛、チェイスも彼に続いた。

「あれは闇に染まったトッキュウ1号・・!」

「闇の力で戦おうとしていた、あのときのオレの姿・・今そこにいるアイツは、オレの影、オレの闇・・・!」

 明とライトが闇のトッキュウ1号を見て声を上げる。

「だが、今のライトなら勝てる。自分自身の闇に、お前は打ち勝つことができる!」

「もちろんだ!闇を広げないために、オレたちでアイツらをやっつけよう!」

 2人が声をかけ合って、武器「トッキュウブラスター」とロッド「ユウドウブレイカー」を手にする。闇のトッキュウ1号もトッキュウブラスターを手にして構える。

“切りまーす。”

 ライトと闇のトッキュウ1号が、「キリマスモード」にしたトッキュウブラスターを振りかざして、ぶつけ合う。そこへ明が飛び込んで、ユウドウブレイカーを振り下ろして闇のトッキュウ1号に当てる。

 ライトと明の攻撃を受けた闇のトッキュウ1号だが、ほとんどダメージを受けていない。

「闇の力が濃い・・思っていた以上の力を持っているぞ、コイツ・・・!」

「世界で起こってるおかしな事件の影響なのかな・・・!」

 明とライトが闇のトッキュウ1号の力を実感する。ライトがかつて闇の力を使っていたとき以上に、彼らの前にいる闇のトッキュウ1号は力を秘めていた。

 一方、ミオとカグラはウルザードが振りかざす剣と炎の魔法に苦戦していた。

「あの人、とっても強いよ・・!」

「だけど私たちが力を合わせれば、あんなのにも負けないよ!」

 不安を見せるカグラに、ミオが呼びかける。

「よーし・・やってみるよ・・・!」

 ミオに励まされて、カグラが意識を集中する。

「私は強い・・私は強い!私は強い!スーパーガール!」

 カグラは自分に言い聞かせて、強力なパワーを発揮する。思い込みとイマジネーションを高めることによって、彼女はその力を発揮することができるのだ。

 ウルザードが剣を振りかざして炎を放つ。

「テッキョウクロー!」

 カグラが爪「テッキョウクロー」を装備して、突撃を仕掛ける。ウルザードの炎をものともせずに突っ込んで、彼女はテッキョウクローをウルザードに突き立てた。

 ウルザードが突き飛ばされて押し倒される。

「シンゴウハンマー!」

 ミオがハンマー「シンゴウハンマー」を手にして、ウルザードに向かっていく。

「カグラ、離れて!」

 ミオが呼びかけてカグラが離れる。ミオが振り下ろしたシンゴウハンマーに直撃されて、ウルザードが地面に叩きつけられる。

「このまま一気に行っちゃうよ♪」

「うんっ!」

 カグラが呼びかけてミオが頷く。

“撃ちますよー。ご注意くださーい。ご注意くださーい!”

 銃型の「ウチマスモード」にしたトッキュウブラスターを構えて、2人が立ち上がったウルザードに向けて発射する。2つのビームが合わさって、ウルザードの体を貫いた。

 ウルザードが倒れて、爆発を起こして消滅していった。

「やったー♪やったよ、ミオちゃん♪」

「うん。ライトたちのところへ戻ろう。待たせたら悪いからね。」

 大喜びするカグラにミオが呼びかける。2人がライトたちのところへ戻っていった。

 

 

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