オールライダーVSダークライダー
-Justice or
Dark-
第9章
BLACK、RX、翔太郎、竜の前に立ちはだかるリュウガとダークカブト。RXたちは2人に対して、打開の糸口を探っていた。
“リュウガはパワー、ダークカブトはスピードが抜きに出ている。そのタッグ、侮れないね。”
「感心してる場合じゃないだろ、フィリップ・・」
リュウガとダークカブトについて分析するフィリップに、翔太郎がため息をつく。
「スピードならオレが負けるわけにはいかないな。」
竜が前に出てダークカブトに目を向ける。ダークカブトが前進して、竜が迎え撃つ。
「翔太郎くんとフィリップくんは竜くんの力になってくれ。」
RXが翔太郎たちに声をかけてきた。
「リュウガはオレが、いや、オレたちが倒す。」
BLACKも言いかけてRXと目を合わせる。
「力を合わせよう、BLACK。」
「こちらこそだ、RX。」
RXとBLACKが声を掛け合って、リュウガに目を向けて構える。
“Advent.”
リュウガが黒い龍「ドラグブラッカー」を呼び出して、黒い炎の球を放つ。BLACKとRXがジャンプして、炎の球をかわす。
「ライダーパンチ!」
BLACKがリュウガに向かって飛びかかり、エネルギーを集めたライダーパンチを繰り出す。パンチを受けたリュウガが突き飛ばされるも、すぐに踏みとどまる。
ドラグブラッカーがさらに黒い炎の球を放つ。
「キングストーンフラッシュ」
BLACKとRXが体内に埋め込まれた世紀王の石「キングストーン」のエネルギーを光にして放出する。光は炎の球を打ち消して、ドラグブラッカーの力を弱めていく。
“Final vent.”
ドラグブラッカーが舞い上がると同時に、リュウガが大きくジャンプする。
「オレたちも行くぞ!」
「あぁっ!」
RXの呼びかけにBLACKが答える。黒い炎に吹き付けられるように飛び出してキックを繰り出すリュウガに対して、2人も大きくジャンプする。
「ライダーキック!」
「RXキック!」
BLACKとRXのライダーキックが、リュウガのキックとぶつかり合う。リュウガが競り負けて、突き飛ばされて横転する。
「リボルケイン!」
RXがサンライザーからリボルケインを引き抜く。彼はジャンプして飛び込んで、リュウガにリボルケインを突き刺す。
「たとえ黒いボディであろうと、正義の心までは黒く染まってはいない!この世に光がある限り、世界に正義がある限り・・!」
「オレたちはいつでも、何度でもよみがえる!」
RX、そしてBLACKがリュウガに言い放つ。リボルケインを引き抜かれたリュウガが、火花を散らしながら倒れて爆発を起こした。
「やったな、BLACK。」
「あぁ。ありがとう、RX。」
RXとBLACKが声を掛け合って、手を取り合う。
「後は翔太郎くんたちか・・」
「大丈夫だ。彼らは負けはしない。」
BLACKとRXが翔太郎と竜に目を向ける。
“Clock up.”
ダークカブトがスピードを上げて、翔太郎と竜を攻め立てる。
「やはりクロックアップは速い・・!」
「ならばオレがスピードで上回るだけだ・・!」
翔太郎が声を上げて、竜がダークカブトへの反撃に出る。彼はアクセルドライバーからアクセルメモリを引き抜く。
“Trial.”
竜はストップウォッチ型ガイアメモリ「トライアルメモリ」をアクセルドライバーにセットする。彼のまとうアクセルの赤い装甲が黄色、そして青へと変わる。
アクセルの高速形態「アクセルトライアル」である。
「思い知れ・・絶望がお前のゴールだ・・・!」
竜が言いかけると、ダークカブトに向かって加速した。竜の発揮したスピードは、ダークカブトのクロックアップのスピードを超えていた。
しかしアクセルトライアルは、装甲の軽量化によって超スピードを可能としており、通常の攻撃力や耐久力は低下している。相手に大きなダメージを与えるのは、連続攻撃の蓄積によるものである。
「今のオレのスピードは、クロックアップをもしのぐ・・!」
竜は言いかけてから、トライアルメモリをドライブドライバーから引き抜く。
「オレたちがフィニッシュを決めるぞ、フィリップ・・!」
“分かった、翔太郎。”
翔太郎の声にフィリップが答える。翔太郎の手元にエクストリームメモリが来た。
“Extreme.”
翔太郎はエクストリームメモリをWドライバーにセットして、サイクロンジョーカーエクストリームとなった。彼は構えて、竜とダークカブトの動きをうかがう。
それを確かめてから、竜はトライアルメモリのスイッチを入れて、カウンターを起動させる。次の瞬間、竜がダークカブトに一気に詰め寄る。
「ライダーキック。」
“Rider kick.”
ダークカブトが回し蹴りを繰り出すが、竜はかわしてダークカブトを蹴り上げる。そして竜は宙に浮いたダークカブトに向けて、連続でキックを叩き込んでいく。その命中の軌道はT字を描いている。
トライアルメモリのカウンターが時間を刻んでいく。カウントが10秒になる前に、竜はトライアルメモリを手にしてスイッチを押して、カウンターを止めた。
“Trial,maximum drive!”
「9秒8・・それがお前の絶望までのタイムだ・・・!」
動きを止めて言いかける竜。彼の変身しているアクセルがトライアルから通常に戻ると、蓄積されたキックのダメージが爆発のような衝撃となって、ダークカブトが突き飛ばされる。
「よし、今だ!」
“Extreme,maximum drive!”
翔太郎が緑と黒の竜巻を起こしながら上昇して、立ち上がったダークカブトに目を向ける。
「ダブルエクストリーム!」
フィリップと声をそろえて、翔太郎がダークカブトに向かってキックを繰り出す。緑と黒の風に乗ったキックを受けたダークカブトが、風にまかれるように消滅していった。
「いいぞ。よくやったな。」
「お前がうまく追い詰めてくれたおかげだ。ありがとうな。」
互いに声を掛け合う竜と翔太郎。そこへBLACKとRXもやってきた。
「やったな。翔太郎くん、フィリップくん、竜くん。」
RXが声をかけて、翔太郎たちが頷く。
「他のみんながピンチになっているかもしれない。援護に向かおう!」
BLACKが声をかけて、RXたちとともに気を休めることなく駆け出していった。
ZO、J、オーズ、バースの前に王蛇が立ちふさがる。王蛇はオーズたちを見て笑みをこぼす。
「イライラが治まらない・・お前たち、オレを楽しませてくれよ・・・!」
「自分のためだけにみんなを傷付けるなんて・・オレは許しちゃおかないぞ!」
言いかける王蛇にオーズが言い放つ。
「お前のように命を弄ぶヤツを、オレは許さない・・!」
「みんなのため、世界のために、オレはお前を倒す!」
ZOとJが王蛇に怒りを言い放つ。
「だったら止めてみろよ・・止められるものならな・・!」
“Sword vent.”
王蛇が首を鳴らしてから、ベノサーベルを手にしてオーズたちに向かっていく。
「指名手配されてたら、どれぐらい礼金がもらえるかな。」
“Drill arm.”
バースは気さくに言うと、右腕に「ドリルアーム」を装着して、王蛇が振りかざしたベノサーベルをはじき返す。
「オレもやらせてもらうぞ!」
オーズが剣「メダジャリバー」を手にして王蛇に向かっていく。2人がそれぞれの剣をぶつけ合っていく。
「暑苦しいヤツだな・・ふっ飛ばしてやるよ・・!」
王蛇がいら立ちをふくらませて、カードをベノバイザーにセットする。
“Unite vent.”
彼に呼び出されたジェノサイダーが、右手を振りかざしてオーズとバースを突き飛ばす。
「オーズ!」
「バース!」
ZOとJが声を上げて、王蛇とジェノサイダーに向かっていく。Jがジェノサイダーの頭上をジャンプで飛び越えた直後に、ZOがパンチを繰り出す。
パンチは命中したが、ジェノサイダーは少し押されただけでダメージを受けていない。
「ぐっ!」
ジェノサイダーの頭突きを受けて、ZOが突き飛ばされる。Jが王蛇に向かって飛びかかるが、ジェノサイダーが作り出したブラックホールに引き寄せられて、動きを止められる。
「そいつはオレに任せろ!」
“Caterpillar leg.”
バースが両足に「キャタピラレッグ」を装着して、ジェノサイダーに向かっていく。
“Shovel arm.”
左腕に「ショベルアーム」を装着して、バースはジェノサイダーとぶつかって組み合う。
その間にオーズがベルト「オーズドライバー」にセットされているメダルを、全て赤のメダルにする。
“タカ!クジャク!コンドル!タージャードルー!”
オーズの装甲が紅いものに変わって、背中から翼が広がった。鳥系コンボ「タジャドルコンボ」である。
オーズは翼をはばたかせて飛び上がって、ジェノサイダーの注意を引き付ける。
「鳥になって飛び回って・・叩き落としてやる・・・!」
王蛇がオーズに目を向けて、カードをベノバイザーにセットする。
“Final vent.”
王蛇はオーズを狙って、大きくジャンプする。
“スキャニングチャージ!”
オーズはオーズドライバーにセットされているメダルをスキャンして、足にエネルギーを集める。彼と王蛇のキックが激しくぶつかり合う。
王蛇がオーズに押されて、突き飛ばされて地面を転がる。
「このまま力を全部出す!」
オーズが意識を集中すると、体から3枚の紫のメダルが飛び出した。彼はそのメダルをオーズドライバーにセットした。
“プテラ!トリケラ!ティラノ!プ・ト・ティラーノ・ザウルース!”
オーズの装甲が紫へと変わる。彼はオーズの強化形態「プトティラコンボ」になった。
オーズは武器「メダガブリュー」を手にして、王蛇に飛びかかる。そしてメダガブリューで王蛇を切りつけていく。
「コイツ・・いつまでも調子に乗るな!」
いら立ちが頂点に達して、王蛇が怒鳴り声を上げる。彼はジェノサイダーがバースに食い止められているのを目にする。
「行くぞ、J!」
「分かった、ZO!」
ZOとJが声を掛け合う。2人が同時にジャンプして、ジェノサイダーにライダーキックを繰り出す。
ダブルライダーキックを受けて、ジェノサイダーが大きく押される。
「どいてくれ!オレがふっ飛ばす!」
バースが呼びかけて、ZOとJがジェノサイダーから離れる。
“Breast cannon.”
“Cutter wing.”
全ての武装を装着して、バースは「バース・デイ」となった。
“Cell burst.”
胸部の「ブレストキャノン」の砲門にエネルギーが集まっていく。
「オレも行きますよ・・一気に・・!」
“プ・ト・ティラーノ・ヒッサーッツ!”
オーズはメダガブリューを「バズーカモード」にして、砲門にエネルギーを集めていく。彼はバースと同時にビームを発射する。
2つのビームはそれぞれ王蛇とジェノサイダーに直撃した。
「まだ・・まだイライラするんだよ・・・!」
王蛇はいら立ちを抱えたまま、ジェノサイダーとともに消滅していった。
オーズとバースが通常の姿に戻って、肩の力を抜いて深呼吸する。
「オーズ、バース、大丈夫か!?」
ZOがJとともにオーズとバースに駆けつけた。
「はい。少し体力を使っただけです・・」
「ひと休みには早いですよ。まだまだ稼ぎ足りないからね。」
オーズとバースが答えて振り返る。
「よし。みんなのところへ行こう!援護に向かう!」
Jが声をかけて、ZO、オーズ、バースとともに他のライダーたちの援護に向かった。
デュークに変身した凌馬の前に弦太朗、流星、フォーゼ、ビーストが立ちはだかった。
「悪いけど、君たちのデータは調査済みだよ。僕もただのんびり過ごしているわけじゃないよ。」
「オレたちの戦い方は分かっているという口ぶりだな。だけどオレたちの魔法は、データとかで測れるものじゃない。」
言いかける凌馬に、ウィザードが落ち着きを払って言葉を返す。
「オレたち仮面ライダーの友情の力は、どんなことにも負けたりしねぇ!」
「運命を決めるのはお前じゃない。このオレ・・いや、オレたちだ・・!」
弦太朗が意気込みを見せて、流星が鋭く言いかける。
「血気盛んな学生だね。そういう単純な君たちは、僕みたいなのにいいように振り回されるのがオチさ。」
「あ〜あ、みなまで言うな。頭でっかちの言うことなんて聞くだけムダだ。」
肩をすくめる素振りを見せる凌馬の言葉をさえぎって、ビーストが言いかける。
「教えてやるよ。お前たちが何をしてこようと、希望は消えない。オレたちが消させはしない!」
「それじゃ行くぜ、みんな!」
ウィザードと弦太朗が言い放つ。彼らが凌馬に向かって駆け出す。
そこへデェムシュが上空から飛び降りて、弦太朗たちの前に立ちふさがってきた。
「貴様らはオレが叩きつぶす!」
デェムシュが怒号とともに炎を放つ。弦太朗たちは横に動いて炎をかわす。
「アイツはヘルヘイムのオーバーロード・・!」
「戦極凌馬と手を組んだのか・・!?」
ビーストと流星がデェムシュを見て声を上げる。
「オレはコイツの仲間になった覚えはない!まずはお前たちから始末するだけだ!」
「そういうこと。共通の敵がいるってだけの話さ。」
デェムシュが言い放って、凌馬が付け加える。凌馬がソニックアローを手にして、流星とビーストに目を向ける。
「フォーゼとウィザードのほうが倒し甲斐があるんじゃないかな。君に譲るよ。」
「貴様の言葉など聞く耳持たん!全てオレが滅ぼす!」
気軽に声をかける凌馬に、デェムシュが怒鳴りかかる。
「オレが貴様らに地獄を味わわせてやるぞ!」
「おもしれぇ!オレたち仮面ライダーの友情パワーを受けてみろ!」
「お前は世界の絶望の種・・お前はオレが倒す・・・!」
高らかに言い放つデェムシュに、弦太朗とフォーゼが決意を口にする。デェムシュが腕を振りかざして炎を放って、弦太朗たちが動いてかわす。
デェムシュが続けて炎の球を放つ。炎の球を直撃されて、弦太朗とフォーゼが突き飛ばされる。
「如月!」
流星がビーストとともに弦太朗たちを助けようとするが、凌馬がソニックアローを撃って行く手を阻んできた。
「君たちまでいなくなったら、僕が退屈になってしまうよ・・」
「そんなに相手をしたいなら、望みどおり、オレが倒してやる・・・!」
「おいおい、コイツはオレのランチだ。思いっきり味わってやるよ!」
笑みをこぼす凌馬に、流星とビーストが言いかける。
「それじゃ、2人まとめて打倒するか。邪魔をしてくる仮面ライダーたちを・・」
凌馬は言いかけると、ソニックアローを構えて光の矢を放つ。ビーストが剣「ダイスサーベル」を手にして、光の矢をはじく。
流星がその隙に凌馬に詰め寄って、拳法を駆使して攻め立てる。が、凌馬は流星の攻撃を難なくかわしていく。
「オレの攻撃が当たらない・・!?」
「言っただろう。君たちのことは調査済みだと。癖や弱点などが見えているよ。」
驚きを覚える流星に、凌馬が落ち着きを払う。その一瞬に動きが止まった隙を見逃さず、凌馬がソニックアローで流星を切りつける。
「ぐっ!」
流星が突き飛ばされて、地面を転がる。
「コイツ!」
ビーストが凌馬に飛びかかって、ダイスサーベルを振りかざす。しかしこれも凌馬は軽々とかわしていく。
「だったらコイツはどうだ!」
“3!ファルコ!セイバーストライク!”
ビーストがダイスサーベルのスロットを回して、ハヤブサの幻影を呼び出す。凌馬はハヤブサの攻撃をもかいくぐって、そばの物陰に身をひそめた。
「おいおい、ご飯が逃げちゃダメだろうが!」
ビーストが叫んで凌馬を引きずり出そうとする。
“レモンエナジースカッシュ。”
凌馬が物陰から飛び出して、ビーストを狙ってソニックアローを振りかざしてきた。ビーストが気付いてダイスサーベルを振りかざす。
ダイスサーベルは凌馬に命中した。だがそれは彼が作り出した幻影だった。
「何っ!?」
驚きの声を上げるビースト。本物の凌馬が遅れて姿を見せて、ソニックアローから光の矢を放つ。
そこへ流星が飛び込んで、回し蹴りで光の矢をはじいた。
「気を付けろ!アイツは正確にオレたちの隙を突いてくるぞ!」
流星がビーストに声をかけて、凌馬に目を向ける。
「油断大敵ってわけか・・だったらこっちも全力出さないとな!」
ビーストが気合を入れて、「ハイパーウィザードリング」を指にはめる。
「運動した後のご飯がうまいってな!」
“ハイパー!”
ビーストの姿が最強形態「ビーストハイパー」になった。彼は銃「ミラージュマグナム」を手にして構える。
「オレも全力を出すしかないようだな・・!」
流星も気を引き締めなおして、アストロスイッチ「メテオストームスイッチ」を手にしてメテオドライバーにセットする。
“Meteor storm!”
彼のまとうメテオのスーツが、青と金色に変わった。メテオの攻撃形態「メテオストーム」である。
「オレの運命は嵐を呼ぶぜ!」
流星が言い放って、棒「メテオストームシャフト」を手にして構える。
「その姿も能力も調査が済んでいるよ。」
凌馬が流星とビーストに向けて、ソニックアローを発射する。ビーストがミラージュマグナムを発射して、光の矢を撃ち落とす。
「オレたちの運命、お前などに測れるものか!」
「オレたちの力、腹いっぱいに食らわせてやる!」
流星とビーストが凌馬に言い放つ。流星が飛びかかって、ビーストが凌馬に向かってミラージュマグナムを発射する。
「猪突猛進の攻撃・・実にバカバカしい・・」
呆れる凌馬に流星がメテオストームシャフトを振りかざす。だがまたもその凌馬は幻影で、メテオストームシャフトがぶつかると姿を消した。
「お前の姑息なやり方は分かっているぞ!」
“Meteor storm,limit
break!”
言い放つ流星が、メテオストームスイッチをメテオストームシャフトにセットする。
「メテオストームパニッシャー!」
流星がメテオストームシャフトを振りかざして、先端にある「ストームトッパー」を回転、射出する。隙を狙っていた凌馬に、放たれたストームトッパーが命中する。
「なっ!?」
逆に隙を突かれて、凌馬が驚く。ストームトッパーはさらに凌馬に直撃していく。
「おっしゃ!残りはオレがいただくぜ!」
ビーストがい言い放って、ハイパーウィザードリンクをミラージュマグナムに挿し込む。
“ハイパー!マグナムストライク!”
ミラージュマグナムの銃口に魔力が集まる。ビーストがミラージュマグナムを撃って、ビーストキマイラの姿をした光の球を放つ。
光の球に直撃されて、凌馬がダメージを負って地面に膝をつく。
「気をゆるめはしない!」
「さぁ、メインディッシュだ!」
流星とビーストがジャンプして、凌馬にキックを叩き込んだ。
「ま、まさか・・この僕が・・・!」
決定打を受けた凌馬が倒れて、霧のように消滅していった。
「ごっつぁん!」
ビーストが両手を合わせて、流星がメテオストームシャフトを下げる。
「如月たち、手こずっているのか・・・!?」
流星が弦太朗とウィザードがデェムシュに苦戦しているのを見て、声を上げる。
「さっさとしないと、オレのデザートにしちまうぞ!」
「慌てるなよ。本番はこれからだ。」
ビーストが呼びかけて、ウィザードが言葉を返す。ウィザードは新たに「インフィニティーウィザードリング」を指にはめて、ウィザードドライバーにかざす。
“インフィニティー!プリーズ!ヒースイーフードー・ボーザバビュードゴーン!”
ウィザードの姿が銀色の輝きを宿したものに変わる。最強形態「インフィニティースタイル」である。
「よっしゃ!オレも全力出すとするか!」
弦太朗も意気込みを見せて、アストロスイッチ「コズミックスイッチ」を手にして、フォーゼドライバーにセットした。
“Cosmic.”
彼のまとうフォーゼの姿が変化する。全てのアストロスイッチの力を宿した「コズミックステイツ」である。
「みんなの絆で、宇宙をつかむ!」
弦太朗が言い放って、剣「バリズンソード」を手にして構える。
「力を発揮したところで、貴様らがオレに倒されることに変わりはない!」
デェムシュが言い放って、全身から炎を放つ。だが炎を受けても、弦太朗もフォーゼもビクともしない。
「何だと!?」
自分の力が通じないことに、デェムシュが驚きの声を上げる。
「お前は自分の力だけでみんな壊せると思っているようだが・・・!」
「オレたちの友情も、みんなの大切なものも、お前なんかに壊せるもんじゃない!」
フォーゼと弦太朗がデェムシュに向かって言い放つ。2人の意思も他のみんなの心も、揺るがないものとなっていた。
「おのれ、人間どもが・・いい気になるな!」
デェムシュが怒りをあらわにして、さらに炎を放つ。弦太朗とフォーゼが炎をかいくぐって、バリズンソードと「カリバーモード」の「アックスカリバー」を振りかざす。
デェムシュが次々に切りつけられて、弦太朗たちに押されていく。とっさに力を爆発させるが、2人に衝撃波をかわされる。
「よーし!一気に決めるぜ!」
弦太朗が叫んで、突っ込んでバリズンソードをデェムシュに突き立てる。
「抜いて挿す!」
“Cosmic,limit break.”
バリズンソードにセットされていたコズミックスイッチを、1度抜いて挿しなおす。
“ハイタッチ!シャイニングストライク!キラキラ!”
ウィザードもアックスカリバーにエネルギーを集中させて、巨大化させる。
「Wライダー・超銀河シャイニングフィニッシュ!」
弦太朗とウィザードが同時にバリズンソードとアックスカリバーを振りかざす。2つの光の刃がデェムシュを切り裂いた。
「バカな・・こんなバカなことがぁー!」
絶叫を上げるデェムシュが、刃の光に包まれるように消えていった。
「よし!オレたちの勝ちだ!みんな、ありがとうな!」
弦太朗が勝利を喜んで、握った右手をウィザードに向ける。ウィザードも頷いて、握った右手を弦太朗の右手に合わせた。
「また全てが終わったわけじゃない。戦いは続いているぞ。」
「オレの食事もまだ終わってないってことだな。」
流星とビーストが弦太朗とウィザードに呼びかける。
「よーし!早速みんなを助けにいくぞー!」
「慌てると逆に助けられてしまうことになるよ・・」
意気込みを見せる弦太朗と、落ち着きを払うウィザード。彼らも進之介たちのところへ向かった。
紘汰、戒斗、光実、貴虎の前にシャドームーンが立ちはだかった。シャドームーンは長短2本の剣「シャドーセイバー」を手にした。
「オレたちのようなアーマードライダーとは違うようだが・・」
「只者でないことは間違いないな・・」
貴虎と戒斗がシャドームーンを見て身構える。
「お前たちがヘルヘイムの力を使うアーマードライダーか。だがお前たちの命は、既に我が手中にある。」
シャドームーンが紘汰たちを見て言いかける。
「ふざけたことを言うな・・お前などに、オレを思い通りにできると思うな!」
戒斗がシャドームーンに言い放って、紘汰に視線を向ける。
「オレの力を真正面から受け止められるのは、葛葉だけだ・・・!」
「戒斗・・お前からそう言われるとはな・・・」
戒斗の言葉を受けて、紘汰が呟く。
「それじゃ、ここからはオレたちのステージだ!」
“ダイダイマル!”
紘汰が無双セイバーと大橙丸を手にして、シャドームーンに向かっていく。2本の刀を振りかざす紘汰だが、シャドームーンは正確に回避と防御をしていく。
「攻撃が当たらない・・動きが読まれているのか・・・!?」
驚きを覚える紘汰が、さらに攻撃を仕掛けるが、シャドームーンにことごとくかわされる。
「ヤツは葛葉の動きを正確に読んでいる・・まるでカメラで記録して、予測を踏まえて対応しているようだ・・・!」
「もしかして、アイツも僕たちの戦い方をモニターしているんじゃ・・!?」
貴虎と光実がシャドームーンの戦いを見て声を上げる。
「ヤツがオレの動きを読んでくるなら、反撃できないようにすればいいだけのことだ・・!」
戒斗が強気な態度を崩さずに、剣を手にしてシャドームーンに向かっていく。
「オレたちは2人を援護する。ヤツの体勢を崩す・・!」
「分かりました、兄さん・・!」
貴虎の呼びかけに光実が頷く。2人はソニックアローとブドウ龍砲を構える。
シャドームーンが放ったシャドービームで、紘汰が突き飛ばされる。その直後に戒斗が剣を振りかざすが、シャドーセイバーに受け止められる。
「お前の動きも読めている。貴様も1度死んでよみがえったことも・・」
「そこまで分かっているか・・だが、貴様が地獄に落ちることに変わりはない!」
言いかけるシャドームーンに言い返す戒斗。戒斗はシャドーセイバーを剣ではじくと、シャドームーン目がけて剣を突き出す。
だがシャドームーンにシャドーセイバーで剣をはじかれる。
「くっ!オレの攻撃まで読み切っているだと・・!?」
「地獄に送り返されるのは貴様のようだな・・」
驚きの声を上げる戒斗に、シャドームーンがシャドーセイバーを振りかざす。
「ぐっ!」
体を切りつけられて、戒斗がうめく。
「シャドーパンチ!」
シャドームーンがシャドーセイバーの1本を地面に刺してから、右手のパンチを戒斗に叩き込む。
「ぐっ!」
戒斗が大きく突き飛ばされて、その先の壁に叩きつけられる。
「戒斗!・・アイツを倒すにはオレの、オレたちの全てをぶつけるしかないみたいだ・・・!」
紘汰が立ち上がって、両手を強く握りしめる。彼は持てる力の全てを発揮しようとしていた。