オールライダーVSダークライダー

-Justice or Dark-

第7章

 

 

 紘汰たちの前に現れた光実と貴虎は、龍玄と斬月に変身した。2人はそれぞれブドウ龍砲とソニックアローを手にして、龍玄・黄泉に目を向ける。

「あれは僕が犯した間違いの集合体・・その僕と向き合うためにも、あの影を倒さなければならない・・・」

「お前だけが背負い込む必要はない。オレも戦う・・」

 決意を口にする光実に、貴虎が言いかける。

「オレもだ。この世界を守ることは、オレの願いでもあるんだ。」

「紘汰さん・・兄さん・・・」

 紘汰も声をかけて、光実が戸惑いを覚える。龍玄が彼らに向かってゆっくりと近づいてくる。

「行くぞ・・ここからが、オレたちのステージだ!」

“ダイダイマル!”

 紘汰が言い放って、大橙丸を手にして龍玄に向かっていく。光実と貴虎も続く。

 紘汰と貴虎が振りかざす大橙丸とソニックアローを、龍玄は素早くかわす。そこを狙って、光実がブドウ龍砲で射撃する。

 これも龍玄はかわして、貴虎にキックを叩き込んで突き飛ばす。

「兄さん!」

 光実が声を上げて、さらにブドウ龍砲で射撃する。それも龍玄はかわして、黒い光を放って光実に命中させる。

「ミッチ!」

 紘汰が叫んで、龍玄に立ち向かう。大橙丸をかわして、パンチとキックを腕や足を構えて防ぐ龍玄だが、徐々に押されていく。

「このまま一気に追い込む!」

“ソニックアロー!”

 紘汰がソニックアローを呼び出して、龍玄に追撃を仕掛ける。

 そこへ黒いアーマードライダー「邪武(じゃむ)」が飛び込み、無双セイバーとダーク大橙丸を振りかざしてきた。紘汰が大橙丸とソニックアローで受け止める。

「お前も出てきていたのか・・!」

 声を上げる紘汰が、邪武が振りかざす無双セイバーとダーク大橙丸に切りつけられる。押される紘汰の前に、邪武と龍玄が並び立つ。

「2人の悪いライダーそろい踏み・・しかも・・・!」

 紘汰が焦りを感じて、さらに非難の声を上げる人々を目の当たりにしていく。

「これではまともに戦うことも・・・!」

 人々を巻き込みかねない状況に、貴虎も危機感をふくらませていく。

「そろいもそろって甘いヤツらだな。」

 そのとき、紘汰たちに向けて声がかかってきた。

「この声は・・・!」

 紘汰たちはこの声に聞き覚えがあった。彼らの前に1人の青年が現れた。

「頂点にまで上り詰めたお前まで・・まだ甘さが残っているようだな、葛葉。」

「戒斗・・お前もよみがえっていたのか・・・!」

 青年、駆紋(くもん)戒斗(かいと)に紘汰が驚きを見せる。

 戒斗は黄金の果実を巡って紘汰たちと争った1人である。最終的にヘルヘイムの実を口にしてオーバーロードとなって、紘汰との決戦の末に敗れて命を終えた。

 仮面ライダーや怪人たちがよみがえる中、戒斗も復活を果たしたのだった。

「ディケイドとかいうヤツの仕業だ。大人しく眠りについていたところを叩き起こしてくれて・・」

 戒斗が士への文句を言って、バナナロックシードを取り出す。

“バナナ!”

「変身!」

 戒斗が戦極ドライバーにバナナロックシードをセットして、カッティングブレードを倒す。

“ロックオン!バナナアームズ!ナイトオブスピアー!”

 バナナアームズを身にまとって、戒斗はアーマードライダー「バロン」に変身した。

「死にぞこないを片づけてやる。オレが地獄に引きずり戻してやる・・」

 戒斗が言いかけて、槍「バナスピアー」を構える。そこへ紘汰がやってきて、戒斗と並び立つ。

「またお前と力を合わせるときがくるとはな、戒斗・・!」

「勘違いするな。お前とオレ、倒すべき敵が同じというだけ。お前や他のヤツらのやり方に従うつもりはない。」

 笑みをこぼす紘汰に、戒斗が強気に言い返す。2人が龍玄と邪武に向かって戦いを挑む。

 紘汰と邪武、それぞれの無双セイバーと大橙丸がぶつかり合う。復活した好敵手の登場に奮起した紘汰が、邪武を徐々に押していく。

 戒斗が突き出すバナスピアーを、龍玄は素早くかわしていく。

「呉島光実がなっているライダーが変化した姿か。強力に、さらに凶悪に・・」

 戒斗が龍玄の姿と力を見定めて呟く。

「だが、魂のない抜け殻のような貴様などに、負けるオレではない!」

 戒斗が声を張り上げて、勢いを上げて龍玄を攻め立てる。彼の攻撃に押され気味になった龍玄だが、すぐに反撃を仕掛けて戒斗を突き飛ばす。

 さらに龍玄が体から黒いオーラを放出する。オーラを受けた戒斗が吹き飛ばされて、その先の壁に叩きつけられる。

「こんなもので、オレを止められると思うな!」

“バナナスカッシュ!”

 戒斗が言い放って、戦極ドライバーのカッティングブレードを1回倒す。彼が構えたバナスピアーにバナナ状のエネルギーが現れる。

 戒斗はそのバナスピアーを龍玄目がけて突き出す。彼の突きは龍玄に命中したが、すぐに踏みとどまった。

「何っ!?ぐあっ!」

 驚きの声を上げる戒斗が、龍玄が放ったオーラによって再び吹き飛ばされる。その弾みで彼から戦極ドライバーから外れて、バロンへの変身が解ける。

「くっ・・なめたマネをしてくれる!」

 戒斗が痛みに耐えて、声と力を振り絞る。彼の姿がバロンやライダーとは違う怪人の姿に変わった。

 ヘルヘイムの実を口にしてインベスとなって、さらにオーバーロードに進化した戒斗の姿である。

「貴様のような邪悪な塊は、オレが消し飛ばす!」

 戒斗も全身から赤いオーラを発して、龍玄に飛びかかる。赤と黒、2色のオーラが入り混じる中、戒斗がパンチを連続で出して、龍玄を攻め立てる。

「アイツも怪人だったのか・・・!」

 巧が戒斗を見て声を上げる。戒斗の力を込めたパンチを受けて、龍玄が押される。

“ヨモツヘグリスカッシュ!”

 龍玄が戦極ドライバーのカッティングブレードを倒して、ブドウ型のエネルギーを身にまとう。戒斗が赤いオーラを右手の集中させて、赤い槍を作り出す。

 龍玄が戒斗に向かって突っ込む。戒斗が龍玄に向けて槍を放つ。

 オーラと槍の衝突で爆発のような光と衝撃が巻き起こる。その中で槍がオーラを突き破り、龍玄の体を貫いた。

 致命的なダメージを負って倒れた龍玄だが、オーラを発しながら立ち上がってきた。

「しぶといヤツだ・・!」

「僕が終わらせる・・あれは、闇に堕ちていた僕自身だから・・・!」

 戒斗が言いかけたところで、光実が龍玄の前に出てきた。

“ブドウスパーキング!”

 光実が戦極ドライバーのカッティングブレードを3回倒す。彼が構えたブドウ龍砲の銃口にエネルギーが集まる。

“ヨモツヘグリスパーキング!”

 龍玄も戦極ドライバーのカッティングブレードを倒して、ブドウ龍砲を構える。2人が同時に発射して、それぞれ龍のような光と、連続した光弾が放たれる。

 龍の光は光弾を全てはじき飛ばして、龍玄を巻き込んだ。龍玄が爆発を起こして、煙のように消えていった。

「これで、罪滅ぼしになったと言えるのだろうか・・・」

 かつての自分に打ち勝ったことで気分が晴れたのか、疑問を感じていた光実。苦悩している彼に、貴虎が歩み寄る。

「そう言い切れないと思うなら、さらに尽力しなければならない。だがお前は1人ではない・・」

「兄さん・・・僕は・・・」

 貴虎から励まされて、光実が戸惑いを覚える。2人が戦意を見せたままの戒斗に目を向ける。

「お前はどうするつもりだ、駆紋戒斗?」

「この世界にはお前たちが、ヘルヘイムには葛葉紘汰がいる。本来ならこのまま事の成り行きを見守るつもりでいたが、この世に戻ってきてしまったのなら仕方がない・・」

 貴虎からの問いかけに答えて、戒斗が紘汰と邪武に目を向ける。

「この騒ぎの黒幕、オレのこの手で叩き潰す!」

 戒斗が言い放って、2本の赤い剣を具現化して、手にして構える。彼は紘汰が交戦している邪武に向かっていく。

「こんなところでもたついている場合ではないのだろう、葛葉?」

「そうだな・・オレもグズグズしていられないな・・!」

 戒斗に呼びかけられて、紘汰が笑みをこぼす。2人の前に邪武が迫ってくる。

「そうそう。トップギアで終わらせないと。」

 そこへ進之介が飛び込んできて、ジャンプのキックで邪武を横へ突き飛ばす。

「ここはライダーらしく、キックで一気に決めよう!」

「早く終わらせるには、力を合わせたほうが効果的ってことか・・」

 進之介と紘汰が声を掛け合って、立ち上がった邪武に目を向ける。

“オレンジスパーキング!”

“ヒッサーツ!Fullthrottle!Speed!”

 紘汰と進之介がエネルギーを集中して、大きくジャンプする。

“ダークネススパーキング!”

 邪武も巨大なリンゴ型のエネルギー弾を作りだし、放つ。だが紘汰と進之介が繰り出したキックにエネルギー弾が打ち砕かれ、そのまま邪武の体に叩き込まれた。

 突き飛ばされた邪武が、力を弱めて地面に膝をつく。

「ナイスコンビネーションだ、君たち。」

 ドライブドライバーが声をかけて、進之介と紘汰が頷いた。

「仮面ライダーはここからいなくなれー!」

「ライダー同士の戦いはよそでやってくれ!」

 そこへ人々が声を上げて、進之介たちに怒鳴りかけてきた。彼らの罵声に進之介も紘汰も滅入っていた。

「フン。弱いくせに調子の乗りやがる・・・」

 戒斗がその人々に近づこうとする。が、紘汰が手を出して制止する。

「邪魔をするつもりか、葛葉?コイツらは・・」

「別に認めてほしいとか、分かってほしいとかは思っていない。ただ、オレは世界やみんなを守るだけだ・・」

 不満を口にする戒斗に、紘汰が言いかける。彼の言葉に進之介が戸惑いを覚える。

「みんなを守るだけ・・それは仮面ライダーの本当の使命というだけじゃなく、警察官としての使命でもある・・」

「その両方である進之介は、その重大さを理解している。私も霧子もそれは分かっている。」

 自分たちが背負う使命の重さを改めて痛感する進之介に、ドライブドライバーが声をかける。進之介が頷いて、RXたちを見渡した。

 そこへ1列の電車が走ってきて、進之介たちのそばで停車した。

「デンライナー!」

「今のうちにここから離れるんだ!」

 モモタロスが声を上げて、光輝も呼びかける。進之介たちはデンライナーに乗って、人々の前から去っていった。

 

 進之介たちの動きを、凌馬はコンピューターとレーダーを駆使して把握していた。人々から非難を向けられる進之介たちの様子に、凌馬は笑みをこぼしていた。

「面白くなってきたね。貴虎と光実が合流してきただけじゃなく、駆紋戒斗までよみがえってくるとはね。」

 大きく揺れ動く状況を楽しんで、凌馬が笑みをこぼしていく。

「そろそろ向こうは進撃に踏み切るかな。僕も準備をしておくかな。」

 凌馬は席を立って、自分も進之介たちと戦うための準備に入った。

「あれだけの人数で、それぞれが個性的な仮面ライダーの面々だ。こっちに気付くのもそう遠くはない。」

 戦うときがもうすぐ来ることを、凌馬は直感していた。

 

 人々の前から離れて、デンライナーから降りた進之介たち。彼らが変身を解いてから、良太郎が小さく吐息をついた。

「こんなに大勢デンライナーに乗ることになるなんて・・」

「ありがとう、良太郎くん、みんな・・助かったよ・・」

 光輝も安心を見せて、良太郎に感謝する。

「だがオレたちが追い込まれている現状は変わっていない。早く手を打たないと・・」

「仮面ライダーが悪者だとみんなに思い込ませている・・そんなことをするには、何かポイントがあるはずだ・・」

 朔也と流星が打開の糸口を探って、考えを巡らせる。

「こうしてみんなに知らせるには、何か使わないと・・」

「情報・・拡散・・報道・・動画・・電波・・・」

 光実のつぶやきを聞いて、進之介も考えていく。そのとき、進之介の携帯電話が受信した。究からの連絡だった。

“もしもし、進之介くん!仮面ライダーが悪者だって言ってる情報の発信元が絞り込めたよ!”

「究ちゃん!その場所はどこなんだ・・!?

“僕たちのいる特状課から南西2キロの辺りだよ。だけどまだこれ以上細かく限定できないよ。”

 究が調べた情報から、進之介が霧子とともに、発信元の地点の地図を確認する。

「ここは倉庫跡地ですね。今は使われていません・・」

「でもこの辺りには確か、第2電波塔があった・・あんまり使われないまま、放送が地上デジタルに変わって使われなくなった・・」

 霧子と進之介が地図を見つめて言いかける。

「でも使われていないはずのその電波塔が、最近動いているとの情報もあります・・」

「えっ?動いているって・・動かしても、そこからの電波じゃもう何も・・」

 霧子からの情報に、進之介が疑問を口にする。第2電波塔からでは受信できるTVはもうまずない。

「フィリップ、検索で調べてくれ。」

「任せて、翔太郎。」

 翔太郎が呼びかけてフィリップが頷く。彼は意識を集中して、精神世界「地球(ほし)の本棚」にはいった。

 地球の本棚には地球の記憶が本棚に置かれた本のように並べられている。

「キーワードは“仮面ライダー”、“情報”、“第2電波塔”・・」

 翔太郎が投げかけるキーワードを受けていくフィリップ。検索のキーワードが加わることで、地球の本棚の本の数が減って、情報が絞られていく。

「そして、“悪”だ・・」

 翔太郎が4つ目のキーワードをフィリップに投げかける。しかし本棚の本を1冊に絞り込めない。

「まだ情報が正確じゃないね、翔太郎。他にいいキーワードはないか?」

「他の・・誰か、こんなことをしそうなヤツの名前でも・・・」

 フィリップに聞かれて、翔太郎が腕組みして考えていく。

「そんなことしそうなのは・・もしかして・・・」

 そこへ光実が近づいてきて、翔太郎に声をかけてきた。

「心当たりがいるのか?」

「他のライダーと同様によみがえっていたらの話になるが・・」

 翔太郎が聞くと、貴虎もやってきて声をかけてきた。

「戦極凌馬。かつてユグドラシルコーポレーションのプロフェッサーだった男だ。戦極ドライバー、ゲネシスドライバーの開発者でもあり、自身もアーマードライダーだった・・」

「そいつが、人々に悪い噂を吹き込んでるってのか!?

 貴虎の話を聞いて、弦太朗が声を上げる。

「フィリップ、“戦極凌馬”だ。」

 翔太郎が呼びかけて、フィリップが再び検索をかける。そこでようやく本が1冊に絞られた。

 フィリップがその本を手にして開く。

「その第2電波塔の近くにはスタジオがある。そのスタジオも、しばらく使われていなかったけどまた使われているよ。」

「スタジオ・・電波塔・・戦極凌馬・・仮面ライダー・・・」

 フィリップの言葉を受けて、進之介が呟いていく。彼の脳裏に様々なビジョンが駆け巡っていく。

「つながった・・・!」

 そのビジョンの数々から、進之介は1つの答え、事件の真相を導き出した。

「進之介くん、君は・・・」

「進之介さんが、推理して答えを導き出したのです。」

 光輝が声を上げて、霧子が説明をする。進之介がネクタイを締め直して、笑みを浮かべた。

「脳細胞が、トップギアだぜ・・!」

 

 進之介たちを迎え撃とうと外に出た凌馬。そこには既に士が立っていた。

「そろそろ僕たちのところに来るよ、ディケイド・・」

「望むところだ。オレに刃向かう仮面ライダー全員、一気に葬る。」

 微笑みかける凌馬に、士は落ち着いた様子で言いかける。

「これからの仮面ライダーは正しい正義の道を辿ることになる。オレが指し示す正義の道をな。」

「それがどんな道に、どんな世界になるか、僕も楽しみだよ・・」

 自分の意思を貫く士の言葉を聞いて、凌馬が笑みをこぼす。

(オレは何にも染まらない。たとえ全ての世界全員がオレを消そうとしてくるなら、オレがそいつら全員を消す・・)

 自分の前に立ちふさがる者を徹底的に排除しようと、士は考えていた。それが破壊者としての姿であるとも、彼は自覚していた。

「お客様のお出ましだよ。」

 凌馬が言いかけて立ち上がる。2人の前にトライドロンが走り込んできて、進之介が降りてきた。

「よくここが分かったね、泊進之介くん、仮面ライダードライブ。」

「使われなくなったはずの電波塔の再稼働。電波の発信源からここだと割り出せた。ここからデマの情報が流れたんだ。仮面ライダーは悪だという情報を。」

 凌馬が声をかけて、進之介が導き出した推理を語っていく。

「アンタが戦極凌馬か。紘汰くんと貴虎さんたちから聞いている。」

「なるほど。君たちがここを突き止めたのも、貴虎のおかげもあるんだね。」

 進之介に目を向けられて、凌馬が微笑んで答える。

「ディケイド、戦極凌馬、アンタたちの企みは、オレたちが止める。」

「僕たちを止めたからって遅いよ。世界は仮面ライダーそのものを悪だと思い込んでいる。君たちを厄介者にしただけで、僕にとっては面白い展開なんだよ。」

 呼びかける進之介に対して、凌馬は追い詰められた素振りも見せずに淡々と言いかける。

「仮面ライダーという存在と思いを弄んで、それを楽しむっていうのか・・!?

「楽しみというよりは悲しみが出てくるよ、この状況には。ちょっとしたことでみんなが噂を鵜呑みにしていく。悪い人間のちょっとした手振りで、みんないいように振り回されていくんだよ。」

「確かに人は、時に根拠のない噂に振り回されてしまうことがある。でもそれ自体は罪じゃない。本当の罪は、その弱さを利用して、自分の思い通りにしようとすることだ!」

 笑い声を上げる凌馬に進之介が言い放つ。自分の思惑通りに事を運ぼうとする凌馬の悪意に、進之介は怒りを感じていた。

「そんな罪を許しはしない・・オレは・・オレたちは!」

 士と凌馬に言い放つ進之介。そのとき、RXたちがそれぞれのバイクやマシンに乗って駆けつけてきた。

「光輝たちも来たか。1人で戦うイメージのある仮面ライダーだが、1人ではないということか・・」

 士がRXたちを見渡して言いかける。

「仮面ライダー。素顔を隠して世界や地球、自由と平和を守るために戦う戦士。だがその仲間は大切な人や、同じ仮面ライダーたちだけじゃない。」

「バイク、車・・ともに戦うマシンも、オレたちの大切な仲間だ。」

 光輝とRXが言いかけて、メガブレイバーとアクロバッターに目を向ける。

 仮面ライダーを乗せてともに悪に立ち向かい駆け抜けてきた彼らのマシン。険しい道を駆け上り、戦いの場に高速で駆けつける。意思を持ち、ライダーたちを助けに自ら向かうマシンもいる。

 仮面ライダーにとってマシンも、心強い仲間なのである。

「それだけの仲間がいれば、オレに勝てると思ってるのか?甘いな。」

 士が強気な態度を取って、進之介たちの前に出てくる。

「マシンが何体出てきても、何人束になってかかってきても、オレは負けはしない。」

「士・・お前は何度倒されても、まだ分かっていないんだな・・」

 強きを崩さない士に光輝が言いかける。

「世界や地球、自由と平和を守ることは、単純にその場所が無傷で、人々が生きていればいいということじゃない。命だけじゃなく、心も守ることなんだ・・」

「アンタたち悪のライダーたちは、その心を持っていない。中には心を利用する者もいる・・」

「そんなヤツらからみんなを守るために戦うのが、オレたち仮面ライダーだ・・!」

 紘汰、翔太郎、弦太朗も士に向かって言い放つ。

「すばらしいね。すばらしいヒーロー像だよ。少なくとも僕にあるのは、君たちの言う心じゃなくて、あくなき探究心というものさ。」

 凌馬が進之介たちに気さくな振る舞いを見せる。しかし彼のこの態度を、進之介たちは誰も友好的とは思わなかった。

「でも今のみんなにとっては、君たちも心ない悪者だよ。たとえ僕たちを倒しても、それを変えるのは極めて難しい。」

「別に認めてほしいと思っちゃいない。オレは刑事で、オレたちは仮面ライダー。どっちもみんなを守って悪事を止めるために戦う。」

 あざける凌馬に対して、進之介が自分たちの意思を口にする。

「それに、この世に光と正義がある限り、仮面ライダーはいつでもよみがえる!何度でも!」

 RXも続けて士と凌馬に言い放ったときだった。

 進之介たちの後ろにオーロラのようなゆがみが現れた。そこから現れたのは歴代の仮面ライダーたち。

 専用バイク「サイクロン」と「ハリケーン」に乗った1号、2号、V3を筆頭に、仮面ライダーたちがそれぞれのバイクに乗って駆けつけてきた。

「歴代のライダーたち・・倒されていなかったのか・・・」

 士が1号たちを見て呟く。彼は驚く様子を見せていなかった。

「先輩、無事だったんですね・・・!」

「悪の仮面ライダーたちとの戦いに時間をかけてしまった。心配をかけてしまってすまん・・」

 光輝が声をかけて、1号が事情を説明する。

「だがヤツらの攻撃を切り抜けて、ここまでたどり着くことができた。」

「君たちも無事に合流していたようだな。」

 V3と2号も声をかけていって、RXたちが頷く。

「泊進之介くん、仮面ライダードライブ、君のことは聞いている。」

 1号が進之介に声をかけて、手を差し伸べてきた。

「あなたが1人目の仮面ライダー・・1号ライダーですか・・・!」

 進之介が笑みを浮かべて、1号の手を取って握手を交わした。

「詩島剛くん、仮面ライダーマッハと、チェイス、仮面ライダーチェイサーだな。」

「オレのことも知れ渡ってるとは・・・!」

 1号がさらに声をかけて、剛が戸惑いを見せる。

「考えや目的、環境はそれぞれ違うが、大切なものを守ろうとする志は同じ。」

「その志をねじ曲げようとする悪と今、オレたちは一丸となって立ち向かう。」

 2号、V3からの言葉に進之介、剛、チェイスが頷いた。

「やろう、ベルトさん・・オレたちの大切なものを守るために・・刑事の、仮面ライダーの正義を賭けて・・・!」

OK!Start your engine!

 進之介の呼びかけにドライブドライバーが答える。

Signal bike!”

 剛とチェイスがマッハドライバー炎に、それぞれシグナルマッハ、シグナルチェイサーをセットする。進之介もシフトスピードをシフトブレスにセットする。

「変身!」

「レッツ、変身!」

Drive!Type speed!”

Rider!Mach!”

Chaser!”

 進之介、剛、チェイスがドライブ、マッハ、チェイサーに変身する。彼らが1号たち仮面ライダーと並び立つ。

「仮面ライダー1号!」

「仮面ライダー2号!」

「仮面ライダーV3!」

「ライダーマン!」

Xライダー!」

「アマゾンライダー!」

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!悪を倒せとオレを呼ぶ!オレは正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」

「スカイライダー!

「仮面ライダースーパー1!」

「ゼクロス!」

「仮面ライダー、BLACK!」

「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACKRX!」

「仮面ライダーJ!」

「オレは天の道を行き、総てを司る男・・」

「オレ、参上!」

「最初に言っておく!オレはかーなーり、強い!」

「キバっていくぜ!」

「その命、神に返しなさい。」

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

「振り切るぜ!」

「さぁ、稼ぎますか。」

「仮面ライダーフォーゼ、タイマン張らせてもらうぜ!」

「お前の運命(さだめ)は、オレが決める。」

「さぁ、ショータイムだ!」

「さぁ、ランチタイムだ!」

「仮面ライダードライブ!」

「追跡、撲滅、いずれもーマッハー!仮面ライダー、マッハー!」

「仮面ライダーチェイサー。」

 歴代の仮面ライダーたちが名乗りを上げてポーズを決める。

「本当に言ってくれるな、お前たち。さすが仮面ライダーと言ったところだな。」

 士が笑みをこぼすと、ライダーカードを取り出した。

「だったらオレも言っておく。オレは門矢士。通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ・・変身!」

kamen ride,Decade.”

 士がディケイドに変身して、ソードモードのライドブッカーを手にして構える。

「それじゃ、僕も参戦といこうか・・」

“レモンエナジー。”

 凌馬が笑みを見せて、レモンエナジーロックシードを取り出す。

「変身。」

“ロックオン。ソーダ。レモンエナジーアームズ。”

 ゲネシスドライバーにレモンエナジーロックシードをセットして、凌馬がアーマードライダー「デューク」に変身した。

「他のライダーたちも集まってきたね。」

 凌馬が言いかけた瞬間、彼と士の後ろにもオーロラのようなゆがみが現れた。そこから王蛇やエターナル、悪の仮面ライダーたちが姿を現した。

「オールライダーとダークライダーの対決ってところだね。」

「だが、この戦いの後、その正義と悪が入れ替わる。オレが仮面ライダーの正義となる。」

 凌馬に続いて士が言いかける。しかし進之介たちは彼らの言葉を聞き入れない。

「正義は我々だけでなく、生きとし生ける正しき者たちの中にある!」

「お前たちにねじ曲げられるものではない!」

 1号と2号が士たちに言い放つ。進之介が前に出て、1号たちに視線を向けた。

「みなさん、ひとっ走り付き合ってくれ!」

 進之介の声に1号たちが頷いた。オールライダーとダークライダー、正義と悪の決戦の幕が上がった。

 

 

 

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