オールライダーVSダークライダー

-Justice or Dark-

第6章

 

 

 龍騎の世界の仮面ライダーの中で神々しさを宿しているオーディンと、ヘルヘイムの統治者となった紘汰。神々しさを宿している2人のライダーが、一騎打ちを仕掛けようとしていた。

 紘汰がオーディンに向けて無双セイバーを振りかざす。オーディンは動きの動作を見せることなく、後ろに動いて回避していく。

“ソニックアロー!”

 紘汰がソニックアローを手にして矢を放つ。するとオーディンの姿が消えて、放たれた光の矢が遠くに消えていく。

「瞬間移動を使うのか・・・!」

 呟く紘汰を別方向から狙うオーディン。彼は金の羽根の形の光を大量に放つ。オーディンのこの攻撃は回避は極めて難しいはずだった。

 そのとき、紘汰の姿がオーディンの前から消えた。

「おっ!?アイツも消えた!?

「アイツも瞬間移動が使えるみたいだな・・」

“彼もオーバーロードになっている。それだけの力を持っているということだね。”

 モモタロス、翔太郎、フィリップが紘汰の力を見て声を上げる。姿を現した紘汰に、オーディンが振り返る。

「戦いを求めたりやらせようとするなら、オレがアンタの企みを止める・・アンタたちの思い通りにはいかせない・・・!」

 紘汰が自分の意思を口にして、オーディンに近づいていく。彼が手にしていたソニックアローを振りかざすと、オーディンはまた姿を消した。

「仮面ライダーは戦い合い、最後に1人生き残る者・・生き残れないならば、存在する意味がない・・」

Adbent.

 オーディンが言いかけると、彼と契約しているモンスター「ゴルトフェニックス」が下りてきた。炎のような光をまとったゴルトフェニックスが、紘汰に突撃を仕掛ける。

 紘汰は回避が間に合わず、ゴルトフェニックスの突撃を受ける。ダメージを受けた彼だが、すぐに体勢を整える。

「戦わなければ生き残れない・・私もお前も、誰であろうと例外はない・・・」

 オーディンが告げると、1枚のカードを杖「ゴルトバイザー」にセットした。

Final vent.

 ゴルトフェニックスがオーディンと一体となって、炎の光の翼となって彼を飛翔させる。

“キワミスパーキング!”

 紘汰が戦極ドライバーのカッティングブレードを3回倒して、エネルギーを右足に集中させる。

「オレたちも鎧武を援護するぞ・・!」

“オーディンの技の力を止めるのは難しいとだけ言っておくよ。”

 翔太郎が声をかけて、フィリップが答える。

Cyclone,joker!

 翔太郎はサイクロンジョーカーに戻って、サイクロンメモリをドライブドライバーの右腰部にセットする。

Cyclone,maximum drive!

 翔太郎が体から緑の竜巻を巻き起こしながら上昇する。

「オレたちでヤツを吹き飛ばすから、フィニッシュ頼むぜ、電王・・!」

「へっ!いいぜ!派手に決めてやるぜ!」

 翔太郎に呼びかけられて、モモタロスが意気込みを見せる。

「ジョーカーエクストリーム!」

 翔太郎の体が縦半分にずれる。翔太郎と紘汰が、突っ込んできたオーディンに必殺のキックを叩き込んだ。

 オーディンの突撃は紘汰と翔太郎のキックによって威力が相殺される。

「行くぜ・・オレの必殺技!」

Full charge.

 モモタロスがデンガッシャーを構えて振りかざす。エネルギーを集めたデンガッシャーの刀身が飛んで、動きの止まったオーディンに命中した。

 ダメージを受けて押されたオーディンだが、その素振りを見せない。

「何てタフなヤツだ!オレたちの攻撃を食らっても平気でいやがる!」

 モモタロスがオーディンの力に毒づく。その直後、オーディンが瞬間移動をして、モモタロスの後ろに回り込んできた。

「後ろだ!」

 翔太郎が呼びかけて、モモタロスが振り返る。

Sword vent.

 剣「ゴルトセイバー」を手にして、オーディンがモモタロス目がけて振り下ろす。

 そのとき、オーディンが横から蹴り飛ばされて、モモタロスから引き離される。すぐに体勢を整えてオーディンが振り向く。

「相変わらず調子に乗っているな、野上のイマジンは。」

 モモタロスの前に現れた青年が声をかけてきた。

「おめぇ、のこのこ何しにきやがったー!?

「何しにって・・悪いライダーたちを倒しに来たに決まってんだろ。」

 怒鳴りかかるモモタロスに青年、桜井(さくらい)侑斗(ゆうと)が答える。

「そいつの中に鬼が入ってるのか?」

 モモタロスに向けてさらに声がかけられる。続けてもう1人の青年が現れた。優斗と瓜二つの顔をした青年だった。

「なぬ!?もう1人!?・・もしかして、双子ってヤツか・・!?

魔化魍(まかもう)と戦うオレたちと違う鬼だが、オレとは天地の差のようだな。」

 声を上げるモモタロスを見下して、青年が肩を落とす。

「その点はオレも十分分かっている。」

「お前ら・・オレにケンカ売りに来たのかー!?

 侑斗も言いかけて、モモタロスが文句を言い放つ。

「オレは桐矢(きりや)京介(きょうすけ)。体も心も強い鬼だ。」

 青年、京介が名乗ると、取り出した音叉を自分の体に当てて振動させる。振動している音叉の音波を受けた彼の額に鬼面が現れる。

 京介の体が炎に包まれる。その炎を振り切った彼の体は銀色の鬼へと変わっていた。

「変身!」

Altair form.

 侑斗はカード「ゼロノスカード」をベルト「ゼロノスベルト」にセットする。彼の体を緑の装甲が包み込んだ。

 侑斗は仮面ライダー「ゼロノス」に変身したのである。

「最初に言っておく!オレはかーなーり、強い!」

 侑斗が武器「ゼロガッシャー」を手にして、オーディンに向けて高らかに言い放つ。彼はゼロガッシャーを「サーベルモード」にして、京介とともに構える。

「仮面ライダーが対決ではなく力を合わせるとは・・実に愚かしい・・」

 オーディンが侑斗と京介を見て呟く。

「別に協力しているわけじゃない。」

「倒す相手が同じなだけだ!」

 京介と侑斗が声を掛け合う。京介が先に飛び出してパンチを繰り出すが、オーディンは瞬間移動でかわす。

 その移動した先に向けて、侑斗がゼロガッシャーを振りかざす。移動と回避が間に合わず、オーディンが右腕を構えてゼロガッシャーを受け止めた。

「くっ・・お前もかなり強いということか・・・!」

「お前たちもここで消えるがいい・・」

 毒づく侑斗にオーディンがパンチを叩き込む。押された侑斗だがすぐに体勢を整える。

「あれだけやってもまだ戦えるとは、とんでもないヤツだ・・!」

“だったら僕たちも全力を出さないといけないね。”

 声を上げる翔太郎にフィリップが呼びかける。翔太郎の元へ鳥形ガイアメモリ「エクストリームメモリ」が飛んできた。

Extreme.

 エクストリームメモリがWドライバーに装着される。Wのスーツの黒と緑の間に白のラインが入る。

 翔太郎はWの強化形態「サイクロンジョーカー・エクストリーム」となった。

「よっしゃ!オレもクライマックスで行くぜ!」

 モモタロスが意気込みを見せて、携帯電話「ケータロス」を取り出した。

Momo,ura,kin,ryu,climax form.

 ケータロスのボタンを押して、デンオウベルトにセットする。電王の装甲がさらなる装着と展開を起こして、モモタロスは強化形態「クライマックスフォーム」になった。

「行くぜ、W!一気にクライマックスだ!」

 モモタロスが言い放って、デンガッシャーを構える。

「悪いがオレたちはクールに行くぜ・・!」

 翔太郎は落ちつきを見せて、武器「プリズムビッカー」を手にした。彼は盾「ビッカーシールド」から剣「プリズムソード」を引き抜く。

「行くぜ、オレたちの・・オレたち仮面ライダーの必殺技!」

Full charge.

 モモタロスが言い放って、エネルギーを集めたデンガッシャーを振りかざす。

Prism,maximum drive!

「プリズムブレイク!」

 翔太郎もプリズムソードを振りかざして、モモタロスとともに光の刃を放つ。瞬間移動を行おうとしたオーディンだが、翔太郎の放った光の刃のエネルギーの干渉を受けて、移動ができなくなる。

 オーディンがとっさにゴルトセイバーで2つの光の刃を受け止める。

「よそ見をしている暇はないぞ!」

Full charge.

 侑斗もオーディンに言いかけて、エネルギーを集めたゼロガッシャーを振りかざして、光の刃を放つ。3つの刃に攻め立てられて、オーディンが突き飛ばされた。

 オーディン、雅人、ベルデを追い詰める進之介たち。進之介がオーディンたちの前に出て呼びかけてきた。

「もう悪いことはやめろ。仮に仮面ライダーなら、その力を悪いことじゃなく、みんなのために使ってくれ・・」

「フン・・バケモノになったヤツの味方であるお前たちのほうが、悪・・そうじゃないのか・・・!?

 しかし雅人が進之介の言葉を拒絶し、ベルデとオーディンも聞かない。

「同じ怪人の肉体だとか、怪人の力を使っているとかは関係ない。大切なのは、その力の使い方だ・・」

「その通りだ。正義と平和、大切なものを守るためにその力を使えば、君たちも正義の仮面ライダーとして、人々から受け入れられただろう・・」

 進之介に続いてドライブドライバーも呼びかける。

「その正義とは、大切なものはいったい何なんだ?」

 そこへ声がかかって、進之介たちが振り返る。彼らの前に士が現れた。

「アイツ・・!」

 光輝が士を見て憤りを覚える。

「もうお前たち仮面ライダーに正義なんてない。少なくとも世界はそれを認めることはないだろうな。」

「何をバカな!?みんなは仮面ライダーのことを・・!」

 士が口にした言葉に進之介が反論する。

「世界によみがえっている仮面ライダーは他にもいる。中には同じく復活した怪人と手を組んでいるヤツもいる。ヤツらは自分の考えで行動して、人間たちを追い込んでいる。その恐怖から、人は仮面ライダーへの認識を変えてしまった・・正義と平和、自由と幸せを守るはずのライダーが、破壊の限りを尽くす悪だと・・」

「そんなことで、みんなの心が変わるなんてことはない!みんなの心を甘く見るな!」

「甘く見ているのはお前たちのほうだ。そこまで言うなら自分の目と耳で確かめてみることだな。現実ってヤツを・・」

 言い返す進之介を士が見下してくる。

「1度引いたほうがいいな、お前たち。このままやってもやられるのは分かるはずだ。」

 士は雅人たちに言うと、きびすを返して去っていく。

「くっ・・調子のいいヤツが・・・!」

 ベルデが不満を口にしながらも、雅人、オーディンとともに姿を消した。

「仮面ライダーが、悪だって・・・!?

 士の口にした言葉に、進之介が耳を疑う。

「1度、特状課に戻ってみます。みなさんは1回、変身を解いたほうがよさそうです・・」

 霧子に促されて、進之介たちはそれぞれ変身を解いた。

「行こう、霧子、ベルトさん。」

 進之介が呼びかけて、霧子とともにトライドロンに乗って、特状課に向かった。

「進之介くん・・・」

 士の言葉が脳裏に焼き付いている進之介を心配する光輝。光太郎たちも世界のさらなる異変に緊張をふくらませていた。

 

 士が告げた仮面ライダーの評価の変化を、進之介たちはすぐに目の当たりにすることになった。

 久留間運転免許試験場の前には人だかりができていた。みんな、仮面ライダーへの抗議に集まっていた。

「途中で降りてこっそり様子を見に来たのは、正解だったみたいですね・・」

「トライドロンにとって真正面から向かっていったら、みんなこっちに詰め寄ってきていたぞ・・」

 霧子と進之介が物陰から試験場前の様子をうかがう。ライダーに疑心暗鬼を持っている人たちが彼らに押し寄せることになると、彼らは察していた。

「ここは電話で連絡取って、詳しく話を聞こう。」

 進之介の声に霧子が頷く。彼女は携帯電話を取り出して、特状課との連絡を試みる。

「もしもし、りんなさん?・・大変なことになっていますが・・」

“もう〜、ホントにそうよ〜!これじゃ気軽に作業もお出かけもできないじゃな〜い!”

 霧子が声をかけると、りんなが不満の声を上げてきた。

「りんなさん、そちらの状況は!?

 霧子が語気を強めて、りんなに改めて問い詰める。

“うん・・悪の仮面ライダーの暴挙や犯罪がいろんなところで発生していて、みんな仮面ライダー自体が悪いと思うようになってるのよ。”

“それも全国規模だよ。ドライブたちまで悪いって言ってくる始末で・・!”

 りんなが落ち着いてから説明して、究も付け加える。

「ディケイドを中心によみがえった仮面ライダーたちの行動が、この騒動の原因になっているのでしょう・・この騒ぎを止めるためにも、ディケイドを止めないと・・」

“こっちでも仮面ライダーたちの行方を追ってみるわ。霧子ちゃんたちも気を付けてね。”

 深刻さを口にする霧子に、りんなが呼びかける。連絡を終えた霧子が、進之介に目を向ける。

「早くこの問題を解決しないと、私たちはますます追い詰められてしまいます。」

「あぁ・・最悪、仮面ライダーとして、戦うこともできなくなる・・・!」

 霧子に答えて、進之介がネクタイを締め直す。

「これは仮面ライダーの正義だけではない。全世界の正義の命運を賭けた戦いだ。」

 ドライブドライバーが呼びかけて、進之介が頷く。彼らはトライドロンに乗って、士や雅人たちの行方を追った。

 

 仮面ライダーが悪だという濡れ衣の拡散。それは凌馬の行動も一因となっていた。

「みんな、こうもうまく思い通りに動いてくれるとはね・・」

 凌馬が世界各地の情報を集めて、状況を楽しんでいく。

「楽しんでいるようだな。」

 そこへ士がやってきて、凌馬に声をかけてきた。

「みんな勝手にやっているが、その全てが、仮面ライダーは悪の使者であるという認識の要因となった・・」

「偶然とは恐ろしいものだよ。僕にとっても想定外だったよ、ここまでの成果は。」

 士が言葉を投げかけると、凌馬が微笑んで答える。

「人間というのは、みんなが思っているよりも単純だったりするんだよ。ちょっとしたことですぐに考えを変えてしまう。」

 凌馬が気さくに、自分が見出した結論を語っていく。

「わずかの悪い仮面ライダーが暴挙を働いただけで、ライダー全てが悪いと考えるようになる。本当に単純だね・・」

「わずかの悪さ、か・・世界の破壊者・・・」

 凌馬の話を聞いて、士が呟いていく。

「どうかしたのかな?」

「・・何でもない・・・オレは破壊者だ。世界も夢も正義も、仮面ライダーという存在そのものも・・・」

 凌馬に声をかけられて、士が我に返る。

「オレにできないことは何もない・・何度もよみがえり、世界を変えていく・・そう・・オレに、限界などない・・・」

 士は自分に言い聞かせて歩き出す。彼は自分の道を突き進もうとしていた。他の何もかもに囚われることなく。

(彼も彼で、面白い反応を示しているようだ。)

 士の様子をうかがいながら、凌馬は情報収集を続けた。

 

 翔太郎とフィリップの案内で、光太郎たちは弦太朗たちのところへ向かっていた。彼らの前に2人の青年が現れた。

 照井(てるい)(りゅう)=アクセルと朔田(さくた)流星(りゅうせい)=メテオである。

「竜、無事だったか・・よかった・・」

「オレは簡単にはやられはしない。オレと流星で、近づいてきた怪人たちは撃退した。」

 翔太郎が安心を見せて、竜が強気な態度を見せる。

「それで流星くん、弦太朗くんはどこに・・・?」

 光輝が問いかけると、流星がため息まじりに肩を落としてきた。

「ようやく見つけて、みんなの前に連れてきたぞ・・」

 流星に引っ張られて、弦太朗が気さくな笑みを見せてきた。

「いやぁ、やっぱり仮面ライダーだから、ダチになれるかと思ったんだけどなぁ・・」

「相変わらずだな、如月は・・呆れてものも言えないぞ・・」

 苦笑いする弦太朗に、流星が文句を言ってくる。

「そういえば新しい仮面ライダーがいるって聞いてるけど・・もしかして、お前とお前かー!」

 弦太朗が剛とチェイスを見て喜びを見せてきた。

「オレは如月弦太朗!仮面ライダー全員と友達になる男だ!」

 弦太朗が自己紹介をして気さくに挨拶する。が、剛も呆れて肩を落とす。

「ムチャクチャなこと言うね、アンタ。悪い仮面ライダーがよみがえって悪さを働いて、オレたちにも攻撃をしてきたこと、アンタも知ってるだろ。」

 剛が弦太朗に文句を言っていく。

「第一、ロイミュードなのに仮面ライダーになってるコイツなんて・・」

 剛はチェイスに目を向けて、さらに不満を口にする。が、弦太朗は全く疑いを持たなかった。

「もしかして、体が人間じゃないってことなのか?そんなことは気になんないな、オレは!」

「は、はっ!?

 弦太朗から思わぬことを言われて、剛が疑問符を浮かべる。

「仮面ライダーのほとんどは、改造人間だったり人間離れした体や能力を持ってたりしてるんだ!ライダーとダチになるなら、それもみんなひっくるめて受け止めてやるぜ!」

「人がよすぎるな、如月というヤツは・・まぁ、それが如月らしいけどな・・」

 気さくに言いかける弦太朗に、流星が肩を落として苦笑いを浮かべた。

「ホントにおめでたい人だ、アンタは・・」

「その点には同意するよ・・」

 呆れ果てる剛に流星が言いかける。

 そこへトライドロンが戻ってきて、進之介と霧子が降りてきた。

「姉ちゃん、進兄さん、特状課は・・?」

「入口にはすっかり苦情を言いに来た人たちであふれていたわ。泊さんが仮面ライダーだってことは、みんなに知れ渡っているから・・」

 剛の問いかけに、霧子が深刻な表情を浮かべて答える。

「でもりんなさんも究ちゃんも情報を集めてくれている。オレたちもみんなを信じてがんばるだけだ。」

「進之介くん・・」

 決意を口にする進之介に、光輝が戸惑いを覚える。

「他の部署も反ライダーの声が強まっている。同じ刑事としてやりにくいな・・」

 竜が状況を思い返して、不満を口にする。

「えっ!?あなたも刑事で仮面ライダーなんですか?どこの署ですか?今度、挨拶にでも・・」

「オレに質問するな!しかも馴れ馴れしく・・!」

 喜びを見せて聞いてきた進之介に、竜が怒鳴り声を上げる。

「竜は質問されるのが嫌いなんだ。軽々しくするのはダメだよ。」

 フィリップが進之介に注意を投げかけた。

「泊さんとは違うタイプなんですね。」

 霧子が進之介と竜を見て頷いていく。

 そのとき、大勢の仮面ライダーが進之介たちの前に続々と姿を現した。

「これは・・!?

 光輝が声を上げて構える。現れたのはショッカーライダー、ライオトルーパー、黒影トルーパー、スカルライダーである。

「量産型の仮面ライダーが出てきたか。」

「でも数を集めればオレたちに勝てるわけじゃない・・!」

 朔也と睦月がショッカーライダーたちを見て構えを取る。

「揺るぎない意思と大切な人への思い・・」

「守りたい、救いたいという強い願い・・」

「そして仲間との絆が、本当の強さになるんだ・・・!」

 始、一真、紘汰も続けて決心を告げる。

「今こそ見せるときなんだ・・仮面ライダーというのが、どういう存在なのかを!」

 仮面ライダーの存在意義と正義を賭けて、光輝が言い放つ。

Standing by.

 巧がファイズフォンに変身コードを入力する。

3,2,1...

Meteor,ready.

「変身!」

Complete.

Turn up.

Change.

Open up.

Sword form.

Altair form.

Cyclone,joker!

Accel.

“オレンジアームズ・ハナミチ・オンステージ!”

Drive!Type speed!

Signal bike!Rider!Mach!

Chaser!

 光太郎たちがそれぞれ変身を果たして、ショッカーライダーたちに立ち向かう。

 数で攻め立てようとするショッカーライダーたちだが、RXたちの攻撃に歯が立たない。

「大勢で出てきても無駄だ。お前たちの運命(さだめ)は、オレたちが決める・・!」

 流星が強気に言って、ライオトルーパーと黒影トルーパーを蹴り飛ばす。進之介と竜も素早い動きでスカルライダーたちをなぎ払う。

「すごい・・刑事だけじゃなくて、スピードタイプのライダーだったなんて・・!」

 進之介が竜に対して、再び感動を覚える。

「もっとも、進兄さんは車のライダーだけど、あの人はオレと同じ、バイクのライダーだけどね。」

 剛もやってきて、2人に声をかけてきた。

「どいつもこいつも、新しい仮面ライダーは馴れ馴れしいな・・」

 竜が進之介と剛に不満を口にして、ショッカーライダーたちをさらに撃退していく。

「やはり数だけでは太刀打ちできんようだな!」

 そのとき、高らかな声が響いてきて、RXたちが振り返る。その先のビルの屋上に1人の怪人がいた。

「お前は・・!」

「オレ様は怪魔獣人、ガイナニンポー!」

 光輝が声を上げて、怪人、ガイナニンポーが名乗りを上げる。

「他にもクライシス帝国の怪魔戦士がよみがえっていたのか!」

「お前たち仮面ライダーは、もはや悪の使者と化した!人間どもに迫害されるのは時間の問題だ!」

 RXも声を上げて、ガイナニンポーが言い放つ。ガイナニンポーが人間に化けて、RXたちに向けて笑みを見せる。

「ライダーだ!仮面ライダーがいるぞ!」

「な、何っ!?

 ガイナニンポーの呼び声に進之介が驚きを見せる。同時にショッカーライダーたちが進之介たちの前から逃げ出していく。

「あ、あそこだ!仮面ライダーがいるぞ!」

「お前たち・・オレたちや街をムチャクチャにして・・!」

「出ていって!これ以上ひどいことしないでー!」

 進之介たち仮面ライダーを見た人々が、次々に非難の声を投げかけてくる。

「オレたちを陥れるのが狙いだったのか・・・!」

 罠にかけられたことに巧が毒づく。

「ショッカーライダーたちが引き上げたのも、自分たちも追い立てられないため・・!」

 光輝もショッカーライダーたちの狙いを悟って、焦りを感じていく。

「慌てることはねぇって!仮面ライダーはみんなの味方だってことを言えば・・!」

「そんな簡単に話が通じるならとっくにこの騒ぎは終わっている!」

 弦太朗が呼びかけるが、流星に注意される。

「人間を傷付けるわけにはいかない・・ここは引き上げるしかない・・・!」

「だとしても、あのサルヤローをブッ倒してからじゃねぇと・・!」

 始が言いかけて、モモタロスがガイナニンポーを倒そうと視線を移す。が、人間に化けたガイナニンポーは他の人に紛れてしまった。

「いなくなってるー!アイツ、姑息なマネをしやがってー!」

「とにかくここから離れるぞ!みんなが危なくなる!」

 モモタロスが文句を叫んで、一真が呼びかける。

 睦月がレンゲルラウザーを地面に叩きつけて、振動を起こす。その振動に揺さぶられて、人々がバランスを崩す。

「今のうちに離れましょう!」

 睦月が呼びかけて、進之介たちがこの場を離れようとした。

 そのとき、進之介たちの前で爆発が起こった。足を止めた彼らの前に、それぞれ黒と紅の装甲をした仮面ライダーが現れた。

「あれは・・!」

 紅のライダーを見て紘汰が声を上げる。彼はそのライダーの姿に覚えがあった。

「ミッチ・・何でまたその姿に・・・!?

 紘汰が驚きを抱えたまま問いかける。

 紘汰の仲間、呉島(くれしま)光実(みつざね)。紅のライダーは、彼がかつて変身したアーマードライダー「龍玄(りゅうげん)・黄泉」である。

「あの姿のロックシードは失われたと聞く!仮に本来の装着者が今ここに出てきたとしても、ヤツがあの姿になることはない!」

 竜が龍玄に対して言いかける。龍玄がブドウ龍砲を手にして、銃口を紘汰に向ける。

「何やってんだ、ミッチ!?目を覚ませ!」

「目ならしっかり覚めていますよ、紘汰さん。」

 龍玄に向けて呼びかける紘汰に声がかかった。投げかけたのは彼の眼前にいる龍玄ではなく、後方から現れた1人の青年だった。

「ミ、ミッチ!?

 紘汰が驚いて視線を巡らせていく。彼の前に現れたのは光実だった。

「まさかあのライダーがよみがえってくるとは・・でもアイツと僕が別人というのは確かですよ。」

「ミッチ・・よかった・・ビックリしたぞ・・・!」

 笑みを見せて言いかける光実に、紘汰が安心を見せる。

「ヘルヘイムを束ねる存在になっても相変わらずだな、葛葉・・」

 さらにもう1人、男がやってきて紘汰に声をかけてきた。

「だが、そんなお前らしさに救われたのだけどな。」

「貴虎・・アンタも来てくれたのか・・!」

 笑みを見せてきた男に紘汰が答える。光実の兄、呉島貴虎(たかとら)である。

「状況は把握している。復活したライダーや怪物たちの撃退に追われていた・・」

「でもそれも片付いて、こうして紘汰さんと合流することができた・・」

 貴虎と光実が紘汰に事情を説明して、それぞれロックシー、「メロンエナジーロックシード」、「ブドウロックシード」を手にした。

“メロンエナジー。ロックオン。”

“ブドウ!ロックオン!”

「変身!」

 貴虎と光実がゲネシスドライバーと戦極ドライバーにロックシードをセットした。

“メロンエナジーアームズ。”

“ブドウアームズ!リュウ・ホウ・ハッハッハ!”

 2人がメロンエナジーアームズ、ブドウアームズを身にまとう。彼らは斬月、龍玄への変身を果たした。

 

 

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