オールライダーVSダークライダー
-Justice or
Dark-
第3章
漆黒に包まれた地下の大部屋。その中で2人の男がよみがえり、目を覚ました。
「オレは、どうしたんだ?・・ここは、どこだ・・・?」
「私は確か、痛めつけられて、屋上から落ちたはず・・生きているなんて・・」
男がたちが周りを見回して、疑問を感じていく。
「生きていたんじゃなく、1度死んで生き返ったんだ、お前たちは。」
そこへ声がかかって、男たちが振り向く。
「死んで生き返った?それはどういうことだ?」
男の1人が声の主に疑問を投げかける。
「オレの手はずで、命を落とした仮面ライダーたちは次々によみがえっている。お前たちもその中の2人ということだ。」
「仮面ライダー?アーマードライダーのことか?」
説明する声に、男の1人が疑問を投げかける。
「お前たちの世界ではそう呼ぶんだったな。仮面ライダーは世界によっては、呼び方も存在の意味も違っているからな。」
「死んだ人間が生き返る・・実に面白い現象だ。」
さらなる声にもう1人の男が感心を見せる。
「それで、お前はオレたちを生き返らせて、何が目的だ?生き返らせてもらって感謝するとこだと思ってるんだけどな、オレは誰の言いなりにはならねぇぞ。」
「言うことを聞けと言うのがよくあるパターンだな。だがオレはお前たちに何かやらせるつもりはない。そればかりか、お前たちは再びライダーになることができる。」
男があざけるが、声は口調が変わることなく続けられる。すると男たちの手元と腰に光が発せられる。
光はベルト「ゲネシスドライバー」と錠前型のアイテム「ロックシード」に変わった。
「ロックシード・・ゲネシスドライバー・・・!?」
「私が使っていたもの、そのものだ・・」
男たちがゲネシスドライバーとそれぞれのロックシードを見て、驚きを見せる。
「そこまでして、君は私をどうしたいのかな?何をさせたいと?」
「何もしないさ。戦極凌馬、シド、お前たちの好きにすればいい。ただし・・」
男の1人、凌馬の問いかけに声が答えかけた。
“チェリーエナジー。”
「変身。」
そのとき、もう1人の男、シドがロックシード「チェリーエナジーロックシード」をゲネシスドライバーにセットする。
“ロックオン。ソーダ。
彼はアーマードライダー「シグルド」に変身して、弓矢「ソニックアロー」を手にして構える。
「好きにしていいってことは、今ここで倒してもいいってことだよな!?」
「話は最後まで聞くものだぞ。」
言い放って光の矢を放つシドだが、矢は声の主の手前でかき消された。
「・・ただし、オレを倒そうとしてくるなら、この手で倒す・・それを忘れるな・・」
声は忠告を送ると、シドに向かって射撃してきた。ビームに射撃されたシドが突き飛ばされて、シグルドへの変身が解ける。
「今回はこれだけで勘弁してやるが、次は確実に仕留めるぞ。」
「く、くそっ!このままで済ますと思うな・・!」
声を投げかけられて、シドがいら立ちをふくらませる。
「だがお前の前に、どうしても仕留めないといけないヤツがいる・・そいつを片づけたら、次はお前だからな・・・!」
シドは捨て台詞を吐くと、1人で部屋を後にした。
「やれやれ。相変わらずだね、あの世から戻ってきても・・」
凌馬がシドの言動に呆れた素振りを見せる。
「それで、お前はどうする?」
声は今度は凌馬に投げかけられてきた。
「私も気ままにやらせてもらうよ。心配しなくていい。私は君に何かしようとは思っていないから・・」
凌馬は気さくに答えて、続いて部屋を後にする。
(今は、ね・・)
凌馬は心の中でこう付け加えていた。
「曲者ぞろいのライダーたちか。その中で、オレが1番の曲者だけどな。」
声は漆黒の大部屋にかすかに、そして鋭く響いていた。
人気のない埠頭の片隅に、1人の青年が物静かに海に目を向けていた。
青年の名はチェイス。ロイミュードの1人「000」である。
今、世界で起こっている異変をチェイスも感じ取っていた。
(今、何が起こっている?今まで感じたことのない異常が、この世界で起こっている・・)
異変のことを気にするチェイスが、視線を海から空に移す。
(この状況で、オレは何をすればいいのだ?・・また、誰かを、人間を守ればいいのか・・?)
自分のやるべきことを考えていくチェイス。ロイミュードであることを自覚しながら、人類とロイミュード、どちらのために行動すればいいのか、彼は苦悩していた。
そのとき、チェイスの耳に重圧のある足音が入ってきた。近づいてくる足音のする方に、チェイスが振り返る。
(誰かが来る・・それも、強い潜在能力を備えている・・・)
近づいてくる相手にチェイスが警戒する。彼の前に現れたのは、銀の鎧のような体をした男だった。
「誰だ?ロイミュード・・ではないようだな・・」
チェイスがその男に向けて声をかける。
「我が名はシャドームーン。仮面ライダーを葬るため、地獄よりよみがえりし死の使者。」
「シャドームーン?知らない名だ・・仮面ライダーを倒すのが目的か・・」
「ロイミュードの1人、チェイス。仮面ライダー打倒に協力してもらおう。ロイミュードのために戦ってきたお前にとって、ためらうことはないだろう。」
「確かにオレはロイミュード・・ロイミュードのために戦ってきた・・だが今は違う・・」
男、シャドームーンからの誘いに対し、チェイスが自分の意思を見せる。
「今のオレも、仮面ライダー・・人類を守ることを目的とした、仮面ライダーなのだ・・」
チェイスは言いかけると、シグナルバイク「シグナルチェイサー」を手にする。彼の腰にはマッハドライバー炎が装着されていた。
「変身。」
“Signal bike!Rider!Chaser!”
マッハドライバー炎にシグナルチェイサーをセットするチェイス。彼の体を銀と紫の装甲が包み込んだ。
チェイスは仮面ライダー「チェイサー」への変身を果たした。
「お前も仮面ライダーになっていたとは・・それで、協力の意思はあるのか?」
チェイスがライダーになったことにも動じず、シャドームーンが改めて問いかける。
「人間を守ることがオレの目的・・お前たちが人間を滅ぼそうとするなら、お前たちはオレの敵ということになる・・」
「それがお前の答えか・・ならば、オレがお前をここで倒す・・」
協力を拒否したチェイスに向けて、シャドームーンが右手を出してビームを放つ。チェイスは横に動いてビームをかわし、銃「ブレイクガンナー」を手にして迎撃に出る。
シャドームーンがジャンプして、チェイスの射撃をかわす。チェイスがブレイクガンナーを撃って、空中のシャドームーンにビームを命中させる。
怯んだシャドームーンが着地して体勢を整える。
「その力を葬るのは惜しいが、敵となるのであれば・・」
シャドームーンは言いかけると、両腕を構えて意識を集中する。
「シャドーセイバー!」
彼は長短2本の剣「シャドーセイバー」を手にして構える。
「オレは倒されるわけにはいかない・・倒れるぐらいなら、ここでお前を倒す・・」
チェイスは低く言うと、向かってきたシャドームーンにブレイクガンナーを向ける。ビームを射撃するチェイスだが、シャドームーンはシャドーセイバーでビームをはじく。
詰め寄ってきたシャドームーンが、チェイスにシャドーセイバーを振りかざしてきた。チェイスがブレイクガンナーを構えてシャドーセイバーを防御、回避する。
だがシャドーセイバー2本の攻撃を回避しきれず、チェイスが徐々に攻撃を受けていく。チェイサーの装甲が切りつけられて、火花を散らす。
「抵抗はムダだ。お前の動きは全て見極めている。」
「何という強さだ・・並みのロイミュードを大きく上回っている・・」
言いかけるシャドームーンの強さを痛感して、チェイスが毒づく。
「これで終わらせるぞ、仮面ライダー・・」
シャドームーンがシャドーセイバーを構えて、チェイスに迫る。チェイスがブレイクガンナーを発射して、シャドーセイバーの1本をはじく。
その直後、シャドームーンが大きくジャンプして、チェイスに向かっていく。
「シャドーキック!」
かかとの「レッグトリガー」を振動させてエネルギーを集めた両足のキック「シャドーキック」を繰り出すシャドームーン。チェイスが大型の斧「シンゴウアックス」を手にして構える。
シャドーキックがシンゴウアックスに命中して、チェイスが突き飛ばされる。シンゴウアックスを構えたことで、チェイスはダメージを弱めることができた。
「とどめとはいかないか・・ならばその体を貫き、確実にとどめを刺す。」
シャドームーンがシャドーセイバーを構えて、チェイスに向かっていく。
「そこまでだ。」
そのとき、シャドームーンが声をかけられて足を止める。彼とチェイスが振り向いた先に、1人の男がいた。
「お前、アンデッド・・ジョーカーか。」
シャドームーンが男に向けて声をかけてきた。
「オレはアンデッドでもジョーカーでもない・・人間たちとともに生き、人間を守る、仮面ライダーだ・・」
男が言葉を返すと、1枚のカードを取り出した。
「変身。」
“Change.”
男が身に着けているベルト「カリスラウザー」にカード「ラウズカード」を通す。すると彼の姿が変化をした。
「カリス。お前が出てきたか。」
男、相川始が変身したカリスに、シャドームーンが言いかける。
「お前も、仮面ライダーなのか・・・」
「ロイミュードでありながら仮面ライダーとして戦う・・お前がチェイスだな・・」
同じく声をかけてきたチェイスに、始が振り向いて言いかけてきた。
「人ならざる存在でありながら、人間として生きようとする・・その点は同じのようだ、オレとお前は・・」
「お前も、人間ではないというのか・・?」
始が口にした言葉に、チェイスが疑問を感じていく。
「仮面ライダーと呼ばれている者の多くは、普通の人間でない、人間であっても人間離れした能力を持っている・・そして、世界を守るために、人間であることを捨てた者も・・」
「人間であることを、捨てた・・・!?」
始が口にしたこの言葉に、チェイスが当惑を覚える。
「オレと世界のどちらかしか救えない状況の中で、オレの仲間は己を犠牲にして全てを守った・・オレはアイツのために、アイツの代わりに人々を守る・・・!」
始は自分のことをチェイスに語る。彼はシャドームーンに目を向けて、弓「カリスアロー」を手にして構える。
「何者であろうと、この世界を乱そうとするなら・・オレが倒す!」
「カリス、貴様も地獄に落ちるがいい!」
始とシャドームーンが飛びかかり、カリスアローとシャドーセイバーをぶつけ合う。素早い動きで攻撃をかいくぐろうとする始だが、シャドームーンの目「マイティアイ」は彼の動きを的確に捉えていた。
シャドームーンが振りかざしたシャドーセイバーが、始の体を切りつけた。
「ぐっ!」
倒された始がうめいて、シャドームーンに目を向ける。
「オレの動きを見抜いているのか・・!」
「すぐに気づいたか。だがお前の命は、既に我が手中にある。ムダなあがきはよせ。」
毒づく始にシャドームーンが忠告を送る。始が力を振り絞って立ち上がる。
「ムダなのは、オレに向けたお前のそんなセリフだ。オレはお前たちの言葉を聞き入れるつもりは毛頭ない・・」
「そういうことだ、シャドームーン。さっさととどめを刺しちまうに限るぜ。」
始が言い返したところで、新たな声が飛び込んできた。歌舞伎のような姿をした鬼が、始の前に降り立った。
「カリスの相手をしているのはオレだ。邪魔をするな、歌舞鬼。」
「何を言っている。おめぇ最初はアイツの相手してただろうが。」
声をかけるシャドームーンに鬼、歌舞鬼があざける。彼は刀「音叉剣」を手にして、始に切っ先を向ける。
「だったらオレが相手になってやる・・」
そこへまた新たに男が声をかけて、シャドームーンたちの前に現れた。
「お前・・戻ってきたのか・・・!?」
始がその男を目の当たりにして驚きを覚える。始はその男のことを知っていた。
「お、おめぇは!」
「オレは人々を、世界を守っていく・・今までも、これからも・・・!」
驚きを見せる歌舞鬼に、男が言いかける。彼はアイテム「ブレイバックル」を展開してベルトとして身に着け、構える。
「変身!」
“Turn up.”
男がブレイバックルのリーダーを回転させると、眼前に光のゲートが現れる。そのゲートを通ることで、彼は青い装甲を身にまとった。
男の名は剣崎一真。仮面ライダーブレイドととしてアンデッドと戦い、封印してきた。
アンデッド、ジョーカーである始がアンデッドの中で最後まで生き残ったことにより、世界の破滅が起こった。世界と始の両方を救うため、一真はブレイドの力、アンデッドとの融合をあえて酷使することにより、自らをジョーカーへと変化させ、世界の破滅を止めた。
アンデッドの運命に抗うため、一真は始の前から、仲間たちの前から姿を消していた。
「ブレイドが出てくるとはな。オレの相手はアイツになりそうだ。」
歌舞鬼が不敵な笑みをこぼすと、音叉剣を構える。
「1人増えたところで、オレが負けることはないがな。」
「それはどうかな。」
強気に言う歌舞鬼に向けて声がかかった。彼らの前に2人の男が現れた。
「橘さん、睦月!」
一真が男たち、橘朔也と上条睦月を見て声を上げる。
「剣崎さん、オレたちも戦いますよ・・みんなを守らないと・・・!」
睦月が言いかけて朔也が頷く。2人がそれぞれ「レンゲルバックル」と「ギャレンバックル」を展開して身に付ける。
「変身!」
“Turn up.”
“Open up.”
朔也と睦月が現れた光のゲートを通る。2人は仮面ライダー「ギャレン」と「レンゲル」に変身した。
「オレたちや他の仮面ライダーを倒そうとしている、悪のライダーたちか。」
「あぁ。だがそこにいるライダーは違う。アイツもヤツらに敵と見られている・・」
朔也が声をかけて、始がチェイスに目を向けて答える。
「詳しい話は後だ。まずはそこの2人を止めて、首謀者の正体を暴くぞ。」
「はい!」
朔也が呼びかけて一真と睦月が答える。彼らがシャドームーンと歌舞鬼に目を向ける。
「妙な印のライダーどもが集まりやがって・・全員まとめて片づけて・・!」
歌舞鬼が音叉剣を構えて、一真に狙いを定めて飛びかかる。一真が剣「ブレイラウザー」を振りかざして、歌舞鬼が振り下ろした音叉剣を受け止める。
「悪いな。お前たち相手に正々堂々をするつもりはない・・」
朔也が声をかけて、銃「ギャレンラウザー」を手にして射撃する。歌舞鬼が撃たれて、さらに一真に押されて突き飛ばされる。
睦月が杖「レンゲルラウザー」を振りかざして、シャドームーンを攻め立てる。しかしシャドームーンは睦月の動きも見抜いていた。
「何人集まろうと、オレに勝つことはできない。」
シャドームーンが左手を伸ばしてビームを放つ。レンゲルの装甲から火花を散らして、睦月が突き飛ばされる。
「睦月、大丈夫か!?」
「はい・・強いです、アイツ・・というよりも、動きを正確に読んできます・・・!」
朔也が駆けつけて、睦月がシャドームーンの力を痛感していく。
「ヤツは戦闘能力が高いだけでなく、オレたちの動きや技をモニターしている。下手に攻撃しても返り討ちにされるだけだ・・」
睦月がシャドームーンに目を向けて思考を巡らせる。
「だったら、その予測を超える力を出せばいいだけのことだ・・!」
一真は言いかけて、左腕にある「ラウズアブソーバー」にカードをセット、リードする。
“Absorb queen.Evolution
king.”
彼のまとうブレイドの装甲が金色に変わる。アンデッドとの融合を果たした彼は、強化形態「キングフォーム」となった。
「その姿の能力も全て見極めているぞ。」
「それでもオレは負けない!この世界を守るために、オレは戦い続ける!」
シャドームーンと一真が言いかけて、シャドーセイバーと剣「キングラウザー」を構える。
「世界を守るために・・そのために、人間であることを捨てたのか・・・」
チェイスが一真を見て、人を守ることを考えさせられる。彼は始が言っていた仲間が一真であることを悟った。
シャドームーンと一真がシャドーセイバーとキングラウザーをぶつけ合う。パワーでは一真が上回っていたが、シャドームーンは彼の動きを見切って、迎撃と回避を的確にこなしていた。
「剣崎、これを使え!」
始が朔也、睦月と顔を見合わせる。彼らがそれぞれカードを投げて、一真に渡す。
“Spade six,heart six,dia six,club six.Four card.”
4枚のカードの力を身にまとい、一真がキングラウザーを構えて振りかざす。彼の一閃でシャドームーンが体を切りつけられる。
「ぐっ!・・オレを超える力を発揮してくるとは・・・!」
シャドームーンがダメージを受けて膝をつく。
「くっ!・・調子に乗るのも大概にしとけ!」
歌舞鬼がいら立ちを見せて、一真に向かって飛びかかる。
そのとき、一真たちと歌舞鬼の間にまばゆい光が現れた。突然の閃光に歌舞鬼が足を止める。
「な、何だ・・!?」
眼前の光に歌舞鬼だけでなく、チェイスも驚きを感じていた。光の中から1人の青年が現れた。
「き、貴様は・・!?」
青年を目にしてシャドームーンが声を荒げる。一真たちの前に現れたのは紘汰だった。
「葛葉紘汰・・地球に戻ってきていたのか・・・!」
一真が紘汰に向けて声をかける。一真は紘汰の素性と動向について知っていた。
「貴様・・アーマードライダー、鎧武か。」
シャドームーンが紘汰に目を向けて言いかける。
「オレも感じた。地球に異変が起こっているのを・・」
紘汰が一真たちに言いかけて、チェイスに視線を移す。
「オレはもう地球の住人じゃない・・それでも、オレの故郷、オレのステージであることは変わらないから・・・」
「お前もその男と同じ・・世界を守るために、己を犠牲にしたのか・・・?」
自分の意思を口にする紘汰を、チェイスは一真と似た境遇の持ち主だと悟った。
「おかしな鎧を着こんだヤツだな。こけおどしだってことを証明してくれる!」
歌舞鬼がいきり立ち、紘汰に向かって飛びかかってきた。紘汰が右手をかざすと、歌舞鬼が振り下ろした音叉剣が途中で止められた。
「な、何っ!?」
驚く歌舞鬼が力を込めるが、音叉剣はビクともしない。
「お前、強力な妖術を・・!」
「確かにオレはもう人間じゃない・・それでもオレはこの地球を、多くの世界を守っていく・・・!」
声を上げる歌舞鬼に、紘汰が自分の決意を口にする。彼は力を込めて、歌舞鬼を押し返す。
“オレンジ!”
紘汰がロックシード「オレンジロックシード」を手にする。
「変身!」
“ロックオン!オレンジアームズ・ハナミチ・オンステージ!”
紘汰がオレンジロックシードをベルト「戦極ドライバー」にセットして、カッティングブレードを倒してオレンジロックシードを開く。すると頭上からオレンジのような物体が現れて、彼の頭に下りて展開される。
オレンジ色の装甲をまとった紘汰は鎧武に変身した。彼は2本の刀「無双セイバー」と「大橙丸」を手にして構える。
「久しぶりの、オレのステージだ!」
紘汰は言い放って、大橙丸と無双セイバーを振りかざす。
「いい気になるな、若造が!」
歌舞鬼も音叉剣を振りかざして、紘汰の攻撃を受け止める。だが紘汰の勢いと二刀流に押されていく。
「こんなヤツに、オレが負けるはずがねぇ!」
歌舞鬼がいきり立って、音叉剣の刀身に力を込める。
“オレンジスカッシュ!”
紘汰はカッティングブレードを倒して、大橙丸にエネルギーを集める。彼が繰り出した一閃が、歌舞鬼の体を切り裂いた。
「ぐっ!・・オレが、こんなところで・・・!」
断末魔を口にして、歌舞鬼が倒れて爆発を引き起こした。紘汰が1度肩の力を抜いてから、一真たちに振り返った。
「今起こっていることについては知っているのか・・?」
「だいたいは・・悪いライダーたちがよみがえって、他のライダーを襲っていることは・・」
朔也が聞くと、紘汰が小さく頷いて答える。
「これからオレの仲間のところへ行きます。狙われていないとはいえないので・・」
「それならオレも行く。今はオレたちが、力を合わせるときだ・・」
移動しようとする紘汰に一真も言いかける。始たちも2人と行動をともにすることを決めていた。
「オレも行く・・」
そこへチェイスも声をかけてきた。
「まだ何が起こっているのか、完全には把握できていない・・その中でオレがどうすべきなのか、答えも出せていない・・だが、オレは見つけ出す・・状況も、答えも・・」
「オレもまだ、完全に答えを出せているわけじゃない。オレたちは戦いを続けながら、考えて迷って悩んで、答えを探し続けているんだ・・」
自分の考えを正直に言うチェイスも、一真も自分たちのことを語りかける。
「きっと見つかるはずだ。見つけ出すという気持ちと決断があれば・・」
紘汰も言いかけて、チェイスは考えを巡らせていく。
「答えを見つけ出す・・オレが・・・仮面ライダーたちは、戦い守りながら、答えを探し続けている・・」
チェイスは呟きながら、ドライブとマッハ、進之介と剛のことを考えていた。決断を下して自分を助けてくれた霧子のことも。
「こんなところにいたか、小僧!」
そこへ声が飛び込んできて、チェイスたちが振り返る。彼らの前に現れたのはシドだった。
「アンタ・・アンタもよみがえっていたのか・・・!」
紘汰がシドを見て声を上げる。
「聞いてるぞ。お前が禁断の果実を手に入れたんだってな。」
シドが紘汰に言いかけてあざ笑う。
「何もかも思い通りにできて、さぞいい気になってんだろうなぁ!だがな、そういう王様気取りは今日でおしまいだ!」
“チェリーエナジー。”
いら立ちを見せるシドが、チェリーエナジーロックシードを取り出す。
“ロックオン。”
「変身!」
“ソーダ。”
チェリーエナジーロックシードをゲネシスドライバーにセットして、シドがシグルドに変身する。
「お前をブッ倒せば、禁断の果実を手に入れられるかもな!どっちにしても、お前をブッ倒せるだけでもよしとする!」
「たとえよみがえってきても、アンタじゃオレに勝てない。オレはその黄金の果実を、インベスの支配者としての力を手にしている。その覚悟と一緒に・・」
憎悪を向けてくるシドに紘汰が言い返す。
「アンタに、その覚悟を受け止められるか・・」
「生意気な口を叩くな、ガキが!」
シドがいら立ちをふくらませて、紘汰に向かって飛びかかる。
「だったら見せてやる・・オレが選んだ決断を・・・!」
紘汰が鋭く言いかけると、2つのロックシード「カチドキロックシード」と「極ロックシード」を取り出した。
“カチドキ!”
“フルーツバスケット!”
彼が2つのロックシードを戦極ドライバーにセットして展開する。
“ロックオープン!キワミアームズ!ダイ・ダイ・ダイ・ダイ・ダイショウグン!”
紘汰のまとう鎧武の装甲に、様々なアームズが入り込んだ。虹色に輝いた装甲がはじけ飛び、中から新たな銀色の装甲が現れた。
鎧武の最強形態「極アームズ」である。
「それが、最強のアーマードライダー、ヘルヘイムの支配者の姿か・・・!」
シャドームーンが紘汰の姿を見て呟く。
「それがどれほどのものか見定めて、オレがその力をもらう!」
シドがソニックアローを構えて、紘汰に振りかざす。紘汰は軽やかにシドの攻撃をかわす。
“ダイダイマル!”
紘汰が大橙丸を手にして、シドのソニックアローを受け止める。
「またそれか・・極みなのに芸がないな!」
シドがあざ笑って、紘汰が振りかざした大橙丸をかわして、ソニックアローを振りかざす。
「もらった!」
“メロンディフェンダー!”
シドが勝ち誇った瞬間、紘汰の左手に盾「メロンディフェンダー」が握られる。メロンディフェンダーがソニックアローを防いだ。
「何っ!?」
決定打と思っていた攻撃を防がれたことにシドが驚く。
“バナスピアー!”
紘汰が槍「バナスピアー」に持ち替えて突き出し、シドを突き飛ばす。
「バカな!?他のアーマードライバーの武器を使うなど!?」
シドが紘汰の見せる能力に驚きを見せる。
極アームズはアーマードライダーのあらゆる武器を呼び出すことができる。鎧武以外の武器も含めて。
「それが、支配者としての力だっていうのか・・その力、オレが手に入れてやる!」
シドが言い放つと、紘汰との距離を取る。彼がソニックアローから放った光の矢は、紘汰の頭上に飛ぶと、拡散して彼に向かっていく。
「これなら盾を使っても防げないだろ!」
再び勝ち誇るシド。しかし紘汰は冷静に対応していた。
“ブドウリュウホウ!”
“ヒナワダイダイDJジュウ!”
紘汰が2つの銃「ブドウ龍砲」と「火縄大橙DJ銃」を手にして連射して、全ての光の矢を迎撃した。
「何だと!?」
射撃を迎撃されたことにシドが驚く。最高のオーバーロードとなった紘汰は、あらゆる戦況に対応できるようになっていた。