オールライダーVSダークライダー

-Justice or Dark-

第2章

 

 

 地球から遠く離れた星。そこでは怪人「インベス」がひっそりと住んでいた。

 その星の中の崖の上に1人の金髪の青年が立っていた。

 葛葉(かずらば)紘汰(こうた)。アーマードライダー「鎧武(がいむ)」に変身して、インベスやオーバーロード、他のアーマードライダーとの戦いを潜り抜けてきた。

 この戦いを終えて知恵の実を口にした紘汰は、インベスたちを生命が存在しなかったこの星に飛ばし、オーバーロードとして生きる道を選んだ。

(地球に何か起こってる・・とんでもない何かが・・・)

 異変を感じ取った紘汰が、地球を見つめる。

(また行くことになりそうだ・・地球に・・・)

 地球だけでなく、宇宙規模にも及びかねない危機を予感した紘汰は、地球に戻ることを決意していた。

 

 特状課の地下にある「ドライブピット」。トライドロンの整備場を兼ねた秘密基地である。

 進之介は霧子とともにドライブピットに、光太郎と巧を招き入れた。そこにはりんながいて、連絡を受けてデェムシュたちのデータの分析を行っていた。

「あら?2人がさっき言ってた先輩ライダーさんね。」

 りんなが席を立って、光太郎たちに声をかける。

「あたしもホントビックリ・・ドライブとマッハ以外に仮面ライダーがいたなんて・・」

「しかもロイミュードの他に、世界を脅かす悪人や怪物がいたとは・・」

 りんなと霧子が他の仮面ライダーや怪人たちの存在への驚きを口にする。

「光太郎さん、邪悪な仮面ライダーが復活して手を組んだって、どういうことですか?何が起こっているんです・・?」

 進之介が光太郎に話をうかがう。

「悪のライダーたちが、世界を守ってきたライダーたちを倒しに乗り出している。デスガロンたちも、悪のライダーたちとともに復活してきたのだろう・・」

「ライダーが、ライダーを!?・・そんな、バカな・・!?

 光太郎の話を聞いて、進之介が驚きを隠せなくなる。人々を守るためにいると信じている仮面ライダーに、邪悪な意思を持つ者がいて、さらに他のライダーを倒そうとしていることが、彼には信じられなかった。

「他のライダーたちもこの異変に気付いていると思う。だが他のヤツと連絡がつかない・・やられていなけりゃいいけど・・・」

 巧も深刻さを込めて言いかける。

「それで、そのライダーたちが復活していることの大元は分かりますか?復活させている首謀者とか・・」

 霧子が光太郎たちにさらに疑問を投げかける。

「それはまだ分からない・・悪のライダーの誰かと接触して、聞き出すしかないようだ・・今のところは・・」

 彼女の問いかけに光太郎が答える。

「アイツもこの異変に気付いてるだろうか・・声をかけたほうがよさそうだな・・」

 進之介が言いかけて、霧子も小さく頷いた。

 

 デェムシュたちが現れた広場から少し離れた地点。その中のビルの1つの屋上で、1人の青年がカメラを手にしていた。

 詩島(ごう)。霧子の弟で、カメラマンを仕事としている。

「何かおかしなことが起こってるな。それも犯人がロイミュードじゃない・・」

 剛がカメラを手にしながら、異変について呟いていく。

「また何か、とんでもないことが起こりそうな感じがするな・・」

 一抹の不安を覚えて、剛が目つきを鋭くする。

「いったん、姉ちゃんや進兄さんとこに行くか・・」

 剛は気持ちを切り替えて、進之介たちに会いに行こうとした。

「お前も仮面ライダーの1人か?」

 そのとき、剛が声をかけられて足を止めた。振り返った彼の前にいたのは、白いスーツと仮面をまとった戦士である。

「誰だ、アンタは?・・その姿・・・」

「オレの名はエターナル。仮面ライダーエターナルだ・・」

 剛が問いかけて、白い戦士、エターナルが名乗る。

「仮面ライダー?お前のようなヤツは知らないな。」

「どうやらお前は、仮面ライダーについて知っているようで知らないようだな・・」

 強気な態度を見せる剛に、エターナルが態度を変えずに言いかける。

「といっても、オレは仮面ライダーであることを豪語しようなどとは考えていない。オレの目的は、世界や地球を守ろうとする仮面ライダーを滅ぼすこと・・」

「何のことだかさっぱりだが、これだけは確かだ。オレはお前にやられたりはしない。」

 語りかけるエターナルの前に、剛が立ちふさがる。

「まずはお前から始末する。身の程知らずに、オレが受けてきた地獄と屈辱を味わわせてやる。」

「逆にオレのすごさを見せてやるよ。」

 言いかけるエターナルに言い返して、剛がバイク型のアイテム「シグナルバイク」の1つ「シグナルマッハ」を手にして、身に着けているベルト「マッハドライバー炎」に装てんする。

Signal bike!

 マッハドライバー炎から音声が発せられる。

「レッツ、変身!」

Rider!Mach!

 シグナルマッハをセットした剛の体を白いスーツが包む。彼は仮面ライダーへの変身を果たした。

「追跡、撲滅、いずれもー、マッハー!仮面ライダー、マッハー!」

 剛が高らかに名乗りを上げる。彼は仮面ライダーマッハに変身した。

「すぐにそのでっかい態度を変えてやるよ!」

 剛がエターナルに飛びかかって、パンチを繰り出す。エターナルは軽やかな動きで剛の攻撃をかわす。

 剛がさらに攻撃を続けるが、エターナルにことごとくかわされていく。

「威勢の割にオレに全然攻撃が当たらないぞ?」

 エターナルが挑発して、剛に反撃を仕掛ける。速く重い攻撃を叩き込まれて、剛が突き飛ばされる。

「強い・・だったら!」

 剛が銃「ゼンリンシューター」を手にして、エターナルに向けて射撃する。だがそれもエターナルはかいくぐっていく。

「すばしっこいな・・けどこれはかわせないだろ!」

 剛が青いシグナルバイク「シグナルカクサーン」を取り出して、マッハドライバー炎にセットする。

“シグナルコウカン!カクサーン!”

 そして剛が再びゼンリンシューターを、エターナルに向けて発射する。

「性懲りもなく・・」

 エターナルがこれも回避しようとした。そのとき、剛が放ったビームが拡散して、その全てがエターナルに向かって飛んでくる。

 エターナルは動きのスピードを上げて、ビームをかいくぐる。

「こんな芸当ができるとはな。だがその全てもオレには・・」

 言いかけるエターナルに、剛がさらに射撃するエターナルが軽くビームをかわそうとした。

 そのとき、エターナルがかわしたビームが軌道を変えて、再び彼に向かってきた。エターナルは回し蹴りを繰り出して、ビームをはじいた。

「ちょっとは焦ってきたか?オレの攻撃はまだまだこれからだぜ!」

 剛が強気に言うと、エターナルに向かって飛び込んできた。

「調子に乗るなよ、小僧が・・!」

Etarnal,maximum drive.

 エターナルが全身からエネルギーをあふれさせて、体を回転させてキックを繰り出した。

「や、やばい!」

“ヒッサツ!Fullthrottle!Mach!

 剛がとっさにゼンリンシューターにエネルギーを集めて発射する。が、エターナルのキックがエネルギーをはじき飛ばし、剛に命中する。

「うっ!」

 剛が突き飛ばされて横転する。ダメージを受けた彼の前で、エターナルが着地する。

「これで終わりだ。次で止とどめにする。」

 倒れて立ち上がれないでいる剛に、エターナルがとどめを刺そうとした。

 そのとき、1台のバイクに乗った1人の青年が走り込んできた。青年はバイクの前輪を上げながら飛び込んできて、エターナルを剛から引き離す。

 青年がバイクを止めて、剛の前にやってきた。

「大丈夫かい!?ここからは僕も戦うよ!」

「何だい、アンタは?・・アイツの相手はオレだぞ・・・!」

 呼びかける青年に言い返して、剛が立ち上がる。

「エターナルは手ごわい相手だ。僕にもやらせてくれ・・」

 青年はさらに言いかけて、エターナルに目を向ける。彼は1つの水晶「オメガクリスタル」を取り出した。

「変身!」

 青年がオメガクリスタルをベルト「オメガドライバー」にセットする。彼の体を赤い装甲が包み込んだ。

「お前・・・!」

「仮面ライダーオメガ!」

 青年、吉川(よしかわ)光輝(こうき)が変身した仮面ライダー、オメガが名乗りを上げてポーズを決めた。

「オメガが出てきたか。何人出てきてもオレを止めることはできないぞ・・」

 エターナルが強気に言うと、光輝に向かって歩き出す。

「自分だけで楽しむなんて、図々しいじゃないか?」

 そこへ声がかかって、光輝とエターナルが振り向く。紫の装甲のライダーが現れて、首を鳴らしていた。

「お前は王蛇(おうじゃ)!・・お前もよみがえっていたのか・・!」

「そいつの相手はオレがしてやる・・今度はオレが楽しむ時間だ・・」

 構えを取る光輝を見下ろして、王蛇があざ笑ってくる。

「いいだろう。オレはこのままそこのライダーを始末する・・」

 エターナルが剛に狙いを定め、王蛇が光輝の前に降り立った。

「今度こそとどめとさせてもらうぞ。」

「ちょっと待って!」

 そこへ1人の少年もやってきて、エターナルの前に立ちはだかった。

「これ以上、みんなを困らせるようなことはさせないよ・・行くよ、モモタロス・・!」

 少年はエターナルに言いかけてから、身に着けているベルト「デンオウベルト」の赤いボタンを押す。

「変身・・!」

 彼は取り出した「ライダーパス」をデンオウベルトにかざす。

Sword form.

 少年の体を赤い装甲が包む。同時に彼の体に赤い怪人、イマジンの1人、モモタロスが入り込んできた。

「オレ、参上!」

 変身した少年、野上(のがみ)良太郎(りょうたろう)が高らかに名乗りを上げる。彼には今モモタロスが憑依していて、さらに仮面ライダー「電王」に変身していた。

「オレが十分楽しませてやるよ・・オレは最初からクライマックスだからな!」

 良太郎に入っているモモタロスが高らかに言い放つ。彼は電王の武器「デンガッシャー」を「ソードモード」にして構える。

「行くぜ、行くぜ、行くぜー!」

 モモタロスが叫びながら、エターナルに向かっていく。モモタロスはガムシャラにデンガッシャーを振りかざして、エターナルを攻め立てる。

「じゃ、こっちも始めるか・・」

 王蛇が笑みをこぼして光輝に迫る。光輝は迎え撃ち、王蛇と攻撃を交える。

「お前たちは倒れたはずだ!誰がお前たちをよみがえらせた!?

「さぁな・・オレはイライラを止められて、楽しい気分になれればそれでいいんだよ!」

 光輝が問いかけるが、王蛇はあざ笑うばかりである。彼が繰り出したキックに突き飛ばされて、光輝が押される。

「そろそろ本気でやってやるよ・・」

 王蛇が言いかけると、1枚のカードを取り出して、杖「ベノバイザー」にセットする。

Sword vent.

 すると彼の手元に剣「ベノサーベル」が呼び出された。王蛇がベノサーベルを振りかざして、光輝のまとうオメガの装甲を切りつけていく。

「うあっ!」

 装甲から火花が飛び散り、光輝が押されていく。

「手ごわい・・この強さは健在か・・!」

 光輝が王蛇の見せつける力に毒づく。戦えることを喜んで、王蛇が笑みをこぼす。

「そうだ・・やっぱりこうでなくちゃ面白くないよな・・・!」

 王蛇がベノサーベルを構えて、光輝に向かっていく。光輝がとっさにオメガドライバーからオメガクリスタルを取り出して、右手の甲部にセットする。彼の精神エネルギーが右手に集中する。

「ライダーパンチ!」

 王蛇が突き出したベノサーベルをかわして、光輝がパンチ「メガブレイカー」を叩き込んだ。王蛇が突き飛ばされて横転する。

「くっ・・なかなかやるな・・こうでないとな・・・」

 王蛇が立ち上がって笑みをこぼしていく。

 その頃、モモタロスが振りかざすデンガッシャーが、エターナルの体を捉えていく。

「そろそろフィニッシュを決めるぜ・・行くぜ、オレの必殺技!」

 モモタロスが言い放って、ライダーパスを電王ベルトにかざす。

Full charge.

 彼が構えるデンガッシャーにエネルギーが集まる。デンガッシャーを振りかざすと、その刀身が分離してエターナルに飛んでいく。

 エターナルが回避行動を取るが、かわしきれずにデンガッシャーの刃に切りつけられた。

「へっ!どうだ!」

 モモタロスが勝ち誇ってガッツポーズを取る。

“モモタロス、ライダーたちをよみがえらせた犯人のことを聞かないと・・!”

 そこへ良太郎がモモタロスに呼びかけてきた。

「おっと!そうだった、そうだった・・!」

 モモタロスが気を取り直して、エターナルに問い詰めようとした。

「面倒だ・・一気に吹っ飛ばしてやる・・・!」

 そこで王蛇が1枚のカードを手にして、ベノバイザーにセットした。

Unite vent.

 すると3体の「ミラーモンスター」が合体して「ジェノサイダー」となった。

「一気に吹っ飛ばしてやるよ・・・!」

「いけない!メガブレイバー!」

 王蛇がいきり立ち、光輝がバイク「メガブレイバー」を呼ぶ。駆けつけたメガブレイバーはスピード重視の「スピードフォーム」になった。

「ここを離れる!つかまるんだ!」

 光輝が呼びかけて手を伸ばす。剛とモモタロスがとっさに光輝につかまった。

「逃げるな!」

 エターナルが叫ぶと同時に、ジェノサイダーが口と腹部のスクリューから閃光を放つ。光は光輝たちがいた場所を吹き飛ばすが、彼らには命中しなかった。

「逃げられたか・・まぁいい・・楽しみは後に回すか・・」

 王蛇がため息まじりに言いかけて、ジェノサイダーが姿を消す。

「さて、次の獲物でも探すか・・」

「勝手なヤツだ。だがヤツに構っているつもりはない。オレはオレの戦いをするだけだ・・」

 王蛇とエターナルが別れて、それぞれの戦いを続けることにした。標的を、世界や人々を守る仮面ライダーにして。

 

 メガブレイバーに乗ってエターナルと王蛇から離れた光輝、剛、モモタロス。止まったメガブレイバーから降りて、彼らはエターナルたちのいたほうに振り返る。

「何とか危機を脱したようだ・・」

「おいおいおい、オレはまだ十分やれたぜ!」

 安心を口にする光輝に、モモタロスも文句を言って意気込みを見せる。

「ちょっとちょっと!アンタたち何なんだ!?こんなに仮面ライダーがいるなんて聞いてないぞ!」

 剛が疑問を感じて、光輝とモモタロスに向けて声を上げる。

「分からないのもムリはないかもしれない。オレたちはそれぞれの場所で、それぞれの戦いをしているのだから・・」

 光輝が剛に振り向いて言いかける。

「オレでもまだ知らない、見つけられていない仮面ライダーがいたのか・・!?

 驚きを覚える剛の前で、光輝とモモタロスが変身を解く。良太郎の体からモモタロスが出ていく。

「僕は吉川光輝。オメガとして、人々の自由と平和を守っている・・」

「僕は野上良太郎。よろしく・・」

 光輝と良太郎が剛に自己紹介をする。

「オレは詩島剛。仮面ライダー、マッハー!」

 剛も高らかに自己紹介をする。かっこよく見せていた彼だが、すぐに真剣な表情を見せる。

「ここのところおかしなことが起こってるが、さっきの連中と何か関係があるのか?」

 剛が投げかけた問いかけに、光輝と良太郎が頷く。

「悪の仮面ライダーが復活して、みんなのために戦っているライダーたちを倒そうとしている・・」

「悪の仮面ライダー・・!?

 光輝が語りかけた話に、剛がさらに疑問をふくらませる。

「仮面ライダーは、悪と戦い、正義と世界、平和と自由を守るために戦っている人ばかりじゃない。自分の目的のためにライダーの力を使い、罪のない人を手にかけたり陥れたりする人もいる・・」

「さっきのエターナルとか王蛇とかいうヤツらも、その悪のライダーってわけか。」

 光輝がさらに話を続けて、剛がようやく納得する。

「ま、そういう悪いヤツらは、オレがマッハで撲滅してやるよ!」

「甘く見たらダメだよ・・悪い人って言っても、強さは他のライダーと同じかそれ以上なんだから・・」

 自信を見せる剛を良太郎が呼び止める。

「それにこの事件には首謀者がいる。その大元を見つけ出さないと・・」

「それで、その首謀者はどこにいるんだ?手がかりぐらいは見つけてるんだろ?」

 言いかける光輝に、剛が疑問を投げかける。

「それが、決定的なものは全然・・」

「ハァ・・オレも犯人追跡に出向くしかないな。」

 良太郎が首を横に振ると、剛がため息まじりに言いかける。

「それで、アンタら以外で協力的なライダーは他はどこにいるんだ?」

「何人かとは連絡は取れたけど、離れた場所にいるんだ・・」

 剛のさらなる問いかけに、良太郎が困った顔で答える。

「・・ったく、しょうがないなぁ・・じゃ、オレが紹介してやるよ。市民を守る仮面ライダーをな。」

 剛が笑みを見せて、光輝と良太郎を案内することにした。

 

 光太郎と巧の話を聞いて、進之介は考えにふけっていた。彼は悪の仮面ライダーがいることに対して、複雑な気分を感じていた。

「仮面ライダーの中に悪がいることを気にしているようだな・・」

 ドライブドライバーが進之介に声をかけてきた。しかし進之介は何も答えない。

「確かに仮面ライダーは、人々を守る正義の戦士だ。人々の多くがそれを認めている。しかし仮面ライダーの姿と能力は正義である前に力であり、手段でしかない。」

「ベルトさん・・・」

 ドライブドライバーが投げかけた言葉を聞いて、慎之介がようやく振り向く。

「ドライブもマッハも結局は力でしかない。君たちはその力を、ロイミュードを倒し、人々を守るために使っている・・大切なのは、手にした力をどう使うか。その力が正義か悪かは、それを使う者の心によって決まるのだ。」

「オレがみんなを守るために戦えば、ドライブもそのための力になる・・」

「そうだ。仮面ライダーの力を悪用する者がいるならば、それを止めるのもまた仮面ライダーの使命だ。進之介、君もそのことを十分分かっている・・」

 ドライブドライバーに励まされて、進之介が真剣な顔で頷く。悪によって人々の平和が脅かされるのを阻止することが、仮面ライダーの使命。彼はそのことを改めて心に決めていた。

「このまま光太郎さんと巧くんと力を合わせて、この事件の首謀者を見つけ出して止めることが、我々のすべきことだ。」

「そうだな・・オレたちと剛以外にも、みんなを守る仮面ライダーがいたことは、本当に心強いことだ・・」

 ドライブドライバーに答えて、進之介が立ち上がる。彼は感じていた迷いを振り切ることができた。

 そのとき、ドライブピットのドアが開いて、剛が入ってきた。

「剛!・・丁度いいところに・・!」

 霧子が剛に声をかけようとしたとき、光輝と良太郎もドライブピットに入ってきた。

「ここが、心当たりのライダーのいる場所・・」

「まるで秘密基地だ・・」

 光輝と良太郎がドライブピットを見渡して、驚きを見せる。

「光輝くん、良太郎くん、君たちも来てくれたのか・・!」

 光太郎が光輝と良太郎に声をかける。

「光太郎さん、巧さん!・・よかった・・あなたたちに会えて・・」

 光輝が光太郎と巧を見て安心を覚える。

「えっ!?知り合い!?・・剛、どういうことなんだ・・・!?

 進之介が驚きを見せて、剛に歩み寄る。

「オレと進兄さん以外にも、みんなを守る仮面ライダーがいたってこと・・もしかして、アンタたちも?」

 剛が説明して、光太郎と巧に目を向ける。

「騒々しそうなヤツが来たもんだな・・」

 巧が剛を気にして愚痴をこぼす。

「ということは、姉ちゃんたちも他のライダーに会ってたってわけか・・」

「剛も他のライダーと会っていたとはね・・」

 剛と霧子が顔を見合わせて声を掛け合う。

「それで他のみなさんは・・連絡できていないですか・・」

「あぁ・・君たちも連絡が付いていないんだね・・」

 光輝が投げかけた言葉に光太郎が答える。

「悪いライダーの動きや狙いはもちろんだけど、他のライダーのみなさんのことも気がかりです・・何とかして、居場所だけでも分かれば・・」

 良太郎が言いかけて、進之介たちが頷きかける。

「エターナル、王蛇・・他にもよみがえったライダーたちがそれぞれ行動を起こしているはずです。その誰かから黒幕のことを聞き出さないと・・」

 光輝が言いかけて考え込んで、右往左往する。

「私たちも力を貸すつもりでいる。ともに戦おう。」

「もちろんです。ありがとうございます・・・って、ええっ!?

 ドライブドライバーからの呼びかけに答えた直後、光輝が突然驚きの声を上げた。

「ど、どうした!?

 進之介が光輝に向かって声を荒げる。

「ベ、ベベベ、ベルトがしゃべってる!」

 光輝が声を上げて、ドライブドライバーを指さす。

「ど、どういう仕掛けなんだろう!?どこから声が・・!?

「や、やめたまえ!無闇につかんで振り回すとは失礼だぞ!それに目上の人には敬語とさん付けを使いたまえ!」

 つかんで見回してくる光輝に、ドライブドライバーが注意の声を上げてくる。

「もしかして、あなたがコレを使って変身を・・・!?

「あ、あぁ、まぁ・・」

 光輝が振り向いて、慎之介が動揺を浮かべながら頷く。

「とにかく放すのだ!それと敬意を忘れずに!」

「敬意・・さん付け・・・ベルトさん・・・」

「そうだ。くれぐれも目上の人への礼儀は・・」

「でもベルトにさん付けはどうしてもしっくりこないよ・・」

「おい、コラ!」

 光輝に注意を聞き入れてもらえず、ドライブドライバーが不満いっぱいになっていた。

「と、とにかくよろしくね。僕は吉川光輝。」

「僕は野上良太郎です。よろしく・・」

「あぁ。オレは警視庁の泊進之介。仮面ライダードライブだ。」

 光輝と良太郎、進之介が自己紹介をする。光輝と進之介が握手を交わす。

「オレはこれからライダーたちの行方を探しに行く。捜索の基本は足からってね。」

 進之介がライダーたちを探しに外に出ようとした。

「それなら僕も行くよ。みんなを早く見つけ出さないと・・」

「僕も。みんなで探したほうが早いはずだから・・」

 光輝と良太郎もライダー探しに乗り出す。

「でも何の手がかりもなしに動き回って、ホントに見つかるのか?敵の格好の的になるだけだ・・」

 そこで巧が声をかけて、進之介たちを呼び止めてきた。このまま外に出るのが危険である可能性が高いことは、彼らも分かっていた。

「それだったら、私たちも協力してもらっちゃうよー。」

 そこへ別の声がかかって、進之介たちが振り返る。純、究、れいながドライブピットにやってきた。

「課長!みんな!」

 進之介が声を上げて、純たちに駆け寄る。純たちは進之介がドライブ、剛がマッハであることを知っている。

「他に仮面ライダーが行動を起こしてるなら、必ず話題になってるはずだ。それを徹底的に調べてくよー!」

「情報が入ったらそっちに知らせるからねー♪」

 究が意気込みを見せて、りんなが気さくな態度で進之介に呼びかける。

「ありがとう、究ちゃん、りんなさん!では課長、行ってきます!」

 進之介は感謝を言って、純に頭を下げてから外に飛び出していった。剛と霧子も彼に続く。

「オレたちも行こう。慎之介くんたちも、世界を守るカギだから・・」

「はい。」

 光太郎が呼びかけて、光輝と良太郎が答える。彼らと巧もドライブピットを後にした。

 

 仮面ライダーたちの捜索に出た進之介たち。その途中、進之介が光太郎に声をかけてきた。

「光太郎さん、あなたも車に乗るライダーだったんですね。あの車、奇抜だけどかっこいいです!」

 進之介がライドロンへの感動を見せる。彼は大の自動車好きである。

「ライドロンは“怪魔界”のワールド博士が設計して、その設計図からオレが作り上げたんだ。命のエネルギーを与えられたライドロンは、オレの仲間の1人なんだ。」

 光太郎がライドロンについて語りかける。

「ライドロンは光の車。光の速さで走るライドロンには、みんなの夢が込められてもいるんだ。」

「車は夢・・なんといい響きなんだぁ〜♪」

 光太郎の話を聞いて、進之介がさらに感動をふくらませて、目を輝かせる。

「もう、泊さんったら・・」

「進兄さんは車のことになると目の色が違うからね。」

 その彼に霧子が呆れて、剛がため息まじりに笑みをこぼす。

「トライドロンもドライブも、みんなの夢を守り、心を支える正義の味方なんだ・・ライダーの魂、けがすわけにはいかない・・」

 落ち着きを取り戻した進之介が、仮面ライダーの使命を重く感じた。自分や剛だけでなく、世界や地球、宇宙を守り続けてきた多くの仮面ライダーに正義の心が強く宿っていると、彼は思っていた。

「慎之介くん、剛くん、これからもみんなのためにがんばっていこう!」

 光輝が笑顔を見せて、進之介と剛に頷いた。

「生憎だけど、進兄さん、ドライブは市民を守るライダーだけど、このオレ、マッハはマッハで敵を倒すライダーだ。それは忘れないでくれよ。」

 すると剛が強気な態度で言い返してきた。

(敵・・敵を倒す、か・・)

(何が敵なのか、ホントはどうなんだろうな・・)

 彼の言葉を受けて、光輝と巧が心の中で呟く。彼らは何が正義か悪かを考えていた。

 

 

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