オールライダーVSダークライダー
-Justice or
Dark-
第1章
仮面ライダー。
仮面で素顔を隠し、世界や地球を支配・破壊しようと企む敵と戦う戦士。
その素性は、悪の組織によって改造された改造人間。
仲間や家族によって改造を施されて、希望を託さた者。
怪人やそれにつながりの深い力を駆使する者。
経緯はそれぞれだが、世界や地球、大切なものを守るために戦いを続けてきた。
孤独な戦いに身を委ねながら。
体が人と違うものへと変わってしまっても。
世界の平和、人々の自由、大切なものを守るために・・・
警視庁には怪奇事件を専門に担当する部署がある。「特殊状況下事件捜査課」、通称「特状課」である。
人や物の動きが遅くなる現象「重加速」。一般人からは「どんより」と呼ばれているこの現象を引き起こしているアンドロイド「ロイミュード」の事件も、特状課の管轄下である。
特状課の場所は警視庁本庁ではなく、「久留間運転免許試験場」の一室に設けられている。その特状課でやる気のない様子を見せている1人の青年がいた。
泊進之介。特状課の刑事で、熱しやすく冷めやすい性格をしている。気分が冷めているときはなまけ者であるが、やる気や本気を出したときは熱血漢、しっかり者へと一変する。
自分の机で頬杖をついて、進之介はため息ばかりついていた。
「進之介くん、ここのところ、ホントに元気ないわね・・」
やる気のない様子ばかりの進之介を見て、特状課の物理学者、沢神りんなが言いかける。
「ここんところロイミュードの事件どころか、どんよりも起きてないからねぇ・・」
特状課の研究員、西城究もパソコンの画面に目を向けたまま声をかける。
「まぁ、束の間の休息ってヤツ?だけどそのお休みも、そんな調子じゃ楽しめないよ〜。」
特状課課長、本願寺純が気楽な態度で進之介に言いかける。それでも進之介は何に対してもやる気を見せない。
そのとき、進之介が突然立ち上がり、オフィスから出ていった。
「泊くん、すっかり意気消沈だねぇ・・」
進之介の様子を見て、純はのん気に振る舞っていた。
特状課のオフィスから外に出た進之介。彼は近くの公園のベンチに腰を下ろしてのんびりしていた。
「平和だとこんなにのんびりしてしまうもんなのかなぁ・・」
「平和となまけることは違いますよ、泊さん!」
深呼吸していたところで声をかけられて、進之介が顔を引きつらせる。振り向いた彼の前に、1人の女性警官がいた。
詩島霧子。特状課所属の巡査である。
「き、霧子!?またお前・・!」
「こういうのを平和ボケというのですね。きっとどこかでやる気をなくしてサボってると思ってましたよ。」
声を上げる進之介に霧子が鋭い視線を向ける。
「事件がないからって仕事がないわけじゃないんです。パトロールも立派な仕事です。」
「オレの行動をパトロールするのが、霧子のお仕事ってわけかよ・・」
真剣に言ってくる霧子に、進之介が肩を落としてため息をつく。
「さ、見回りに行きますよ、泊さん。もしかしたら、私たちに気付かれないように、犯罪者やロイミュードが何かを企んでいるかもしれません。」
霧子が慎之介に向かって呼びかけた。だが霧子の前から進之介が消えていた。
「に、逃げた・・!?」
霧子が驚きながら、進之介を追いかけていった。
霧子から逃げてきて、進之介は街中の広場に来ていた。
「こうしてみんな平和を満喫してるんだから、オレもいいじゃないか・・霧子ったら・・」
霧子の追跡から解放されたいと思って、慎之介がため息をついた。
そのとき、にぎやかさとは違う騒然さが街中に漂ってきた。街にいた人々が慌ただしく逃げ出していく。
「な、何だ・・!?」
この事態に進之介が緊張を覚える。なまけていた彼は、ギアが切り替わるように気を引き締めていた。
逃げ出していく人々をかき分けて、進之介が進んでいく。その先には1人の機械的な怪人がいた。
「何だ、アイツは!?・・ロイミュード・・じゃない・・!?」
進之介が怪人に対して疑問を覚える。目の前にいる怪人は、彼の知るロイミュードとは形状が違っていた。
「何者だ、アンタ!?ロイミュードじゃないな!?」
「オレは怪魔ロボット、デスガロン。仮面ライダー排除のために行動している。」
進之介が声をかけると怪人、デスガロンが答える。
「怪魔ロボット!?また新しい敵の登場なのか・・!?」
慎之介がデスガロンに対して、さらなる疑問を感じていく。
そのとき、1台の車が進之介とデスガロンのいる場所に向かって走り込んできた。デスガロンはジャンプして車から回避する。
車は進之介の前で止まり、運転席のドアが開いた。
「慎之介!」
慎之介に向けて声がかけられる。声を出したのは車「トライドロン」ではなく、その中にあるベルト「ドライブドライバー」だった。
「あそこにいるのはロイミュードじゃないみたいだ、ベルトさん・・!」
進之介がドライブドライバーに呼びかけて手にする。
「だが邪悪な力を秘めていることは間違いないようだ。気を付けろ、進之介。」
「たとえロイミュードでなくても、みんなに悲しみを与えるようなヤツは、見過ごすわけにいかない・・!」
ドライブドライバーからの注意を聞いて、進之介が頷く。彼がドライブドライバーと「シフトブレス」を身に着ける。
進之介はドライブドライバーにあるカギ「アドバンスドイグニッション」を回す。そしてミニカー型のアイテム「シフトカー」の中の1台「シフトスピード」を手にして、シフトブレスにセットする。
「変身!」
慎之介が掛け声をあげて、シフトブレスのレバーを倒す。
“Drive!Type speed!”
彼の体を赤い光が包み込み、赤いスーツと装甲、仮面となった。さらに彼が身にまとったスーツの上に赤いラインが入ったタイヤが備わった。
ロイミュードから人々を守る戦士、仮面ライダー。進之介はその仮面ライダー「ドライブ」である。
「その姿・・お前も仮面ライダーか・・」
ドライブになった進之介を見て、デスガロンが呟く。
「ならばここでお前を倒す・・!」
「何だかよく分からないが、仮面ライダーを敵視しているようだな・・だったら、ひとっ走り付き合えよ!」
手を握りしめるデスガロンに進之介が立ち向かう。パンチとキックを繰り出していく進之介だが、デスガロンは難なく防いでいく。
そしてデスガロンが進之介の体に右手をかけて、持ち上げて投げ飛ばす。
「ぐっ!」
地面に叩き落とされて進之介がうめく。立ち上がったところを、彼はデスガロンにさらにパンチを受けて突き飛ばされる。
「くっ・・アイツ、とんでもないパワーだ・・・!」
「タイヤ交換で反撃開始だ!」
デスガロンのパワーを痛感する進之介に、ドライブドライバーが呼びかける。進之介はドライバーのエンジンを再びかけて、シフトブレスいシフトカー「マックスフレア」をセットする。
“タイヤコウカーン!Max flare!”
するとトライドロンから1つのタイヤが射出されて、ドライブが装着しているタイヤと入れ替わる。
ドライブは炎を発する「マックスフレアタイヤ」を身に着けた。
「体のタイヤを変えた?おかしな能力のライダーだ。」
ドライブの能力を目の当たりにして、デスガロンが呟く。進之介が炎を発しながら、デスガロンに飛びかかりパンチを繰り出す。
炎のパワーにより、進之介はデスガロンを押していた。
「炎を出しているだけではない。パワーも上げてきたか。」
デスガロンが進之介のパワーを痛感して言いかける。デスガロンが右手を握りしめて、エネルギーを込めて繰り出す。
「うっ!」
デスガロンのパンチを受けて、進之介が突き飛ばされる。
「貴様の力などオレには通用しない。覚悟するのだな。」
倒れた進之介にデスガロンが迫る。
「マックスフレアでも敵わないパワーを持っているみたいだ・・!」
「パワーが上手なら、こちらはパッションで対抗しよう!」
声を上げる進之介にドライブドライバーが呼びかける。
「よし!行くぞ、ベルトさん!」
進之介が言いかけて、黒のシフトカー「シフトワイルド」を取り出して、マックスフレアと入れ替える。
“Drive!Type wild!”
ドライブの姿が黒と銀へと変わり、タイヤも右肩に縦向きに装着された。パッションとパワー重視の形態「タイプワイルド」である。
「来い、ハンドル剣!」
進之介が呼ぶと、トライドロンからハンドルの形をしたグリップガードの剣「ハンドル剣」が射出された。ハンドル剣を手にした進之介に対し、デスガロンが2本の鎌を手にした。
デスガロンが飛びかかり、鎌を振りかざす。進之介はハンドル剣で鎌を受け止め、すぐさま振りかざしてデスガロンを切りつける。
さらに進之介が攻め立てて、ハンドル剣とパンチをデスガロンに当てていく。
「このオレを超えるパワーを発揮してくるとは・・!」
デスガロンが進之介の見せるパワーに焦りを見せる。
「よし!このまま決めるぞ!」
進之介がデスガロンにさらに攻め立てようとした。そのとき、彼の眼前で爆発が起こり、進之介が行く手を阻まれる。
「な、何だ!?」
突然の出来事に進之介が声を上げる。彼の前にもう1人の怪人が現れた。
「何だ!?今度は金ぴかなのが出てきた!」
進之介がその怪人、フィロキセラワームを見て構える。
「ヤツもロイミュードではない!そればかりか機械でもないようだ!あのような怪物がいるとは!」
ドライブドライバーがフィロキセラワームに対して驚きの声を上げる。
「油断するな、デスガロン。1人とはいえ仮面ライダーだからな。」
「お前の言う通り、油断していたようだ・・」
フィロキセラワームに声をかけられて、デスガロンが言葉を返す。
「油断、そんなのはただのいいわけだ。」
さらに赤い体の怪人が姿を現した。
「デェムシュ、お前も来ていたのか・・」
怪人「インベス」を統率する「オーバーロード」の1人、デェムシュにデスガロンが声をかける。
「ライダーは許しておけない存在・・1人残らず葬り去る!」
「何者なのかは知らないが、おとなしくやられるわけにはいかないな!」
言い放つデェムシュにも進之介は構えを取る。
「身の程知らずが・・貴様はここで消えろ!」
デェムシュが右手を伸ばして、進之介に向けて炎の球を放つ。ハンドル剣で炎の球をはじく進之介だが、かわし切れずに炎を受けて突き飛ばされる。
「や、やばい・・攻撃力でも数でもこっちが不利だ・・!」
窮地に追い込まれ、進之介が焦りを覚える。
「そろそろとどめだ・・!」
デェムシュが右手から炎を灯して、進之介に向かって放とうとした。
そこへ1台の赤色の車が走り込んできて、デェムシュを横から突き飛ばしてきた。車は進之介の前で止まった。
「えっ!?自動車!?」
「トライドロンに似た印象を受ける・・これは・・!」
進之介とドライブドライバーがその車に驚きの声を上げる。車の両側のドアが開き、中から2人の男が出てきた。
「光の車っていうのは伊達じゃないってわけか。すぐに着けた・・」
男の1人がもう1人の男に言いかける。2人はデスガロンとフィロキセラワーム、そして立ち上がって戻ってきたデェムシュに目を向けた。
「街を襲い、人々に恐怖を与えようとするとは・・絶対に許さん!」
男の1人がデスガロンたちに言い放ってから構えを取り、もう1人がベルトを身に着けて携帯電話を手にして、番号を入力していく。
“Standing by.”
音声を発する携帯電話を、男は高らかに掲げる。
「変身!」
“Complete.”
彼がベルトに携帯電話をセットすると、ベルトから赤い光のラインが伸びた。彼を包んだ光が装甲と仮面へと変わった。
「変身!」
もう1人の男がポーズを取ると、新たにベルトが現れて、彼の姿を黒い体と赤い目の戦士へと変えた。
「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACK!RX!」
戦士、RXが名乗りを上げてポーズを決める。もう1人の戦士、ファイズも右手を鳴らして構えを取る。
「RXにファイズか・・仮面ライダーが3人そろうとは・・!」
デスガロンがRXとファイズ、進之介を見て呟く。
「オレがまとめて、ここで吹き飛ばしてやるぞ!」
デェムシュが言い放って、全身から赤いオーラが放出していた。RXがジャンプしてデェムシュに向かっていく。
ファイズもデスガロンに向かっていく。2人がパンチをぶつけ合い、互角の攻防を演じる。
「どうやら彼らは我々の味方のようだ。今のうちに体勢を整えるのだ、進之介!」
「あぁ・・助かった・・!」
ドライブドライバーが呼びかけて、進之介が一瞬安心を口にする。
「それじゃ反撃開始だ!」
進之介がデスガロンに向かっていくが、デスガロンはビーム銃を手にして発射してきた。
「うわっ!」
不意を突かれた進之介が、撃たれてしりもちをつく。
「銃まで・・何でもアリかよ・・!」
「ならば目には目を、歯には歯を、銃には銃をだ!」
デスガロンに文句を言う進之介に、ドライブドライバーが呼びかける。進之介が緑のシフトカー「シフトテクニック」を手にして、シフトブレスにセットする。
“Drive!Type technique!”
慎之介がまとっているドライブの装甲が黄緑に変化する。タイヤも胸部に横向きに装着されている。
正確な攻撃に特化したドライブの形態「タイプテクニック」である。
「来い、ドア銃!」
進之介の呼び声で、トライドロンから車のドアの形をした銃「ドア銃」が射出された。彼は手にしたドア銃でデスガロンと撃ち合い、ビームがぶつかり合って相殺される。
進之介がさらにドア銃を発射して、デスガロンを狙い撃ちする。回避を取ろうとするデスガロンだが、進之介はその動きも見逃さずに狙い撃ちする。
その中で進之介はドア銃の「ドアパネルシールド」を開閉して、エネルギーを装てんしていく。
「よし!さらに動きを止める!」
進之介が黒のシフトカー「ローリングラビティ」をシフトブレスにセットする。
“タイヤコウカーン!Rollin'gravity!”
ドライブに装着されているタイヤが変わる。慎之介は錘「10tオモーリ」を手にして振りかざす。
するとデスガロンのいる場所に重力がかかる。上から重力がのしかかり、デスガロンが動きを封じられる。
「こ、これは!?・・体の、自由が利かない・・・!」
うめくデスガロンに対し、慎之介がドライブドライバーのエンジンをかけて、シフトブレスのボタン「イグナイター」を押して、レバーを倒す。
“ヒッサーツ!Fullthrottle!Rollin'gravity!”
進之介が構えたドア銃の銃口からエネルギーがあふれる。ドア銃から発射されたエネルギーが、身動きの取れないデスガロンに命中して、爆発を起こした。
デスガロンを倒して安心を覚える進之介が、RX、ファイズに目を向ける。デェムシュが放つ炎の攻撃に、RXが押されていた。
「まずはお前からだ!」
デェムシュが炎を右手に集めて、RXに向かってパンチを放つ。
そのとき、RXの姿に変化が起こった。金と黒のロボット然とした姿に。
デェムシュが繰り出したパンチの直撃を受けたRXだが、ダメージを受けていなかった。
「姿が変わっただと!?何だ、お前は!?」
「オレは炎の王子!RX!ロボライダー!」
驚きの声を上げるデェムシュに、RXが変身したロボライダーが名乗りを上げる。ロボライダーはRXを上回るパワーを発揮できるが、反面スピードが低下して機敏性に欠ける。
「破壊の限りを尽くすお前たちは、オレが打ち倒してやる!」
ロボライダーが言い放って、向かってきたデェムシュの打撃を防いでいく。さらにデェムシュの腕をつかんで、ロボライダーが力強く投げ飛ばす。
「ぐっ!・・おのれ、ライダーめ・・!」
デェムシュがいら立ちをふくらませて、炎の球を放つ。
「ボルティックシューター!」
ロボライダーが光線銃「ボルティックシューター」を手にして射撃し、炎の球を迎撃してデェムシュを狙撃した。
「お、おのれ・・!」
ロボライダーのパワーと射撃にうめくデェムシュ。
そのとき、ファイズがフィロキセラワームに突き飛ばされて、ロボライダーのそばまで転がってきた。
「大丈夫か!?」
「あぁ、オレは平気だ・・アイツ、とんでもなく速いな・・・!」
呼びかけるロボライダーに答えて、ファイズが立ち上がる。フィロキセラワームは目にも留まらぬ速さを見せていた。
怪人「ワーム」の最大の特徴は超高速である。その速さに対抗して、「クロックアップ」が生み出されたのである。
「けどな、オレもスピードじゃ負けないぜ・・」
ファイズがリストウォッチ「ファイズアクセル」のアクセルメモリーを携帯電話「ファイズフォン」にセットする。
“Complete.”
するとファイズの装甲の胸部が展開して、超高速形態「アクセルフォーム」になった。フィロキセラワームが一気にスピードを上げて、ファイズに向かってきた。
“Start up.”
ファイズがファイズアクセルのスイッチを入れて、超加速を行う。2人は超スピードで一進一退の攻防を繰り広げる。
“3,2,1...time out.Reformation.”
ファイズアクセルがカウントを終えると、ファイズの姿が元に戻る。アクセルフォームには制限時間10秒が設けられていて、それ以上の超高速を持続できない。
「時間切れのようだな。ならばこれで終わらせるぞ!」
フィロキセラワームがファイズにとどめを刺そうとした。
そのとき、青い液体がフィロキセラワームに向かってきて、突撃を仕掛けてダメージを与えてきた。
「これは!」
突然の攻撃に対応できず振り回されるフィロキセラワーム。液体は彼から離れて、青と銀の仮面ライダーへと姿を変えた。
「お前は!」
「オレは怒りの王子!RX!バイオライダー!」
声を上げるフィロキセラワームに、ロボライダーから新たに変身した戦士「バイオライダー」が名乗りを上げた。
RXのもう1つの多段変身であるバイオライダーは、俊敏性に特化した姿である。最大の特徴は液化能力であり、狭い隙間への移動も可能である。
「超高速を駆使しても、お前の攻撃はオレには通じないぞ!」
「おのれ・・!」
言い放つバイオライダーに、フィロキセラワームがいら立ちをふくらませる。フィロキセラワームが高速で迫り両手の爪を振りかざすが、液化するバイオライダーをすり抜ける。
「バイオブレード!」
液体から元に戻ったバイオライダーが剣「バイオブレード」を手にして振りかざす。素早い剣撃でフィロキセラワームが切りつけられていく。
さらにバイオライダーはバイオブレードにエネルギーを集めて、一閃「スパークカッター」を繰り出して、フィロキセラワームを切りつけた。
ダメージを増して押されるフィロキセラワームの前で、バイオライダーがRXに戻る。
「リボルケイン!」
RXがベルト「サンライザー」から剣状スティック「リボルケイン」を引き抜いた。
“Ready.”
ファイズもトーチライト「ファイズポインター」を右足にセットする。RXが飛び込み、リボルケインをフィロキセラワームの体に突き刺した。
“Exceed charge.”
ファイズがファイズフォンの「ENTER」を押して、右足にエネルギーを送り込む。彼はジャンプして、フィロキセラワームに向けて円錐状の光を飛ばして、狙いを定める。
RXがリボルケインをフィロキセラワームから引き抜く。直後にファイズが飛び込んできて、キックを繰り出してフィロキセラワームの体を貫いた。
体を貫かれたフィロキセラワームが爆発を引き起こした。
「つ、強い・・!」
「計り知れない能力の数々だ!味方であることが心強いほどに!」
進之介とドライブドライバーがRXとファイズの強さと能力に驚いている。
「おのれ、仮面ライダーども・・このままで済むと思うな・・・!」
デェムシュがいら立ちを浮かべたまま、進之介たちの前から姿を消した。RXとファイズが進之介に振り返ってきた。
「君が泊進之介くん、仮面ライダードライブだね?」
「オレのこと、知っているのか・・!?」
RXが声をかけて、慎之介が声を上げる。RXとファイズが変身を解く。
「オレは南光太郎。仮面ライダーBLACK RXだ。」
「オレは乾巧だ・・」
2人の男、光太郎と巧が進之介に名乗る。
“Nice drive.”
それを受けて進之介もドライブへの変身を解除した。
「今のは何者なんです?ロイミュードとは違っていたし、明らかに機械的でない怪物もいた・・」
慎之介が光太郎たちに疑問を投げかける。
「今のは“クライシス帝国”の怪魔ロボット、ワーム、そしてインベスのオーバーロードだ。君が戦っているロイミュードのことも知っている。」
「仮面ライダーは、そんな悪い連中と戦ってる。オレは降りかかる火の粉を払う感じだけどな・・」
光太郎に続けて、巧も悪ぶった態度で言いかける。
「驚いた・・ドライブやマッハの他に仮面ライダーがいたなんて・・」
「しかもドライブたちとは違うタイプのライダーのようだ。特に光太郎さん、あなたは変身のときに道具を使うことなく、ベルトも直接体から現れて変身を成している・・」
進之介とドライブドライバーが光太郎と巧に驚きの声をかけていく。
「何だ?ベルトがしゃべってんのか?」
巧がドライブドライバーに目を向けて、眉をひそめてきた。
「おい、コラ!目上の人に対して呼び捨てとは失礼だぞ!」
「失礼も何も、アンタは人じゃなくてベルトだろうが・・」
ドライブドライバーが怒って注意して来るが、巧は態度を変えない。
「仮面ライダーの中にも、口の悪い者もいるようだ・・」
「口が悪いのは生まれつきなんだよ。だいたいベルトに偉そうにされる筋合いはない・・」
呆れるドライブドライバーに巧がさらに悪態を見せる。
「えらいひねくれ者みたいだな・・」
進之介も巧を見て呆れていた。
「泊さん!」
そこへ霧子が駆けつけてきて、進之介に声をかけてきた。街の騒ぎを聞きつけてきたのである。
「泊さん、この人たちは・・・?」
霧子が光太郎と巧に目を向けて、疑問を投げかける。
「霧子・・彼らはオレの仲間、いや、先輩に当たる人たちみたいだ・・」
進之介が戸惑いを見せながら、霧子に説明をする。
「正直、まだ私にも計り知れないことばかりだ。それに・・」
疑問符を浮かべている霧子に、ドライブドライバーも語りかけていく。
「この件、ロイミュード以上の危険と深さが感じられる・・・」
「ベルトさん・・・?」
ドライブドライバーが告げた言葉に、進之介も疑問符を浮かべる。すると光太郎が真剣な面持ちで頷いてきた。
「邪悪な意思を持つ仮面ライダーが、復活を遂げて手を組んだ・・」
「邪悪な、仮面ライダー・・・!?」
光太郎が告げてきた言葉に、進之介が驚きを膨らませる。
「ちょっと待ってください・・仮面ライダーは、市民を守るために戦う存在だ!邪悪に染まったら、それは仮面ライダーじゃない!」
「仮面ライダーは全員が正義の心の持ち主というわけじゃない。そもそも仮面ライダーは、敵対している相手の力も、宿したり借りたりしている存在でもあるんだ・・」
反論してくる進之介に、光太郎が真剣な表情のまま言いかける。
「そうだ・・ファイズの力も、オレの力も、そのものにいいか悪いかじゃない・・ちゃんと使いこなせるか、力に溺れるか・・」
巧も続けて進之介たちに言いかける。
「彼らの言葉、重みのある、心に痛い言葉に思える・・なぜなら、“コア・ドライビア”はロイミュードとドライブ、マッハ、双方の動力源であるのだから・・」
2人の言葉を受け止めて、ドライブドライバーが深刻さを込める。
ドライブドライバーには科学者、クリム・スタインベルトの記憶と意識が内蔵されている。クリムはドライブシステムの開発とロイミュードの完成に着手したが、反逆したロイミュードによって命落としている。
「RXもファイズも、彼らが戦ってきた敵に浅からぬつながりがあるのだろう・・」
ドライブドライバーが声をかけると、光太郎と巧が頷いた。
「仮面ライダーの中には、オレと同じように手術を施された改造人間がいる。そうでなくても、戦っている相手と同一の存在だったり、その力を使ったりしている人が多い・・」
「そして世界を守るために、自分も人間でなくなったヤツもな・・」
光太郎と巧が仮面ライダーについて語る。
光太郎は暗黒結社「ゴルゴム」によって世紀王「ブラックサン」に改造された。しかし脳改造の直前で脱出し、彼は仮面ライダーBLACKとして、自由と平和のために戦った。
そして異次元世界「怪魔界」の「クライシス帝国」の襲撃に対し、光太郎は新たな姿、RXに生まれ変わった。さらにロボライダー、バイオライダーへの変身能力も身に着けた。
巧は人間の進化である「オルフェノク」である。そのためオルフェノクでしか使えないファイズの力を使うことができた。人間を守るため、彼はファイズとして戦うことを心に決めた。
世界や地球、人々を脅かす敵に力を与えられたり、敵と同種であったりする。それが仮面ライダーに課せられている宿命なのである。
「ドライブの力も、根っこはロイミュードにつながっているのか・・・」
ドライブもロイミュードという悪に全く関係ないわけでないことを痛感して、進之介は深刻さを噛みしめていた。