悠久の歌
第4話「崩壊の序曲〜後編〜」

 

 

深夜の聖ハルイ

 

―敵襲!!!

 

その声で目が覚めるクリス

剣を持ち部屋を出るとそこにはリューイの姿が有った

「クリス隊長!」

「リューイ。カヤキス達を玉座へ!私も後で行くわ!」

「はい!」

そう答えるとカヤキス達の部屋の方へ去っていくリューイ

「敵は何処から来てるのよ。」

そう言うと城門へと走るクリス

 

城門

 

城門へと来たクリス

それを見て声を上げる兵士達

「敵は何処から来たの?それと数と正体は?」

「ハッ。敵は正面から。城下町には目もくれずこちらへ向かって来ております。

数はざっと100。敵の正体は蒼い髪に蒼眼だったと言う目撃が入っております。」

 

「蒼髪碧眼。……月の民か。」

クリスがそう言った瞬間何処からか断末魔が聞こえた

「何処!」

「上よ。」

その言葉に見上げると、そこには一人の女性が居た

「私達は月の民。蒼き星を奪いに来たの。」

そう言うと城壁へと降りる女性

「クリス様は中へ!」

そう言うと女性に向かい突撃していく多数の兵士

それを見て中へ入っていくクリス

「邪魔よ!」

そう言うと向かって来た兵士を蹴散らす女性

「逃がしはしない。」

 

玉座の間の前

 

そこにはレイピアとリューイの姿が有った

冷静なレイピアとそわそわするリューイ

「リューイ、落ち着きなさい。彼女、クリスなら大丈夫よ。」

レイピアの言葉の後姿を現すクリス

「リューイ。それにレイピア。中は誰が来ているの?」

「ネルビス様にラムダ。それに黒龍国の方々が来ているわ。」

レイピアの言葉に一安心するクリス

「クリス隊長、ユアが来ていないのですが…。」

リューイの言葉に答えるレイピア

「彼は来るわ。敵としてね。」

レイピアの言葉に考え込むリューイ

「クリス様!」

ふと男性の声が聞こえる

「グレン。それにアーキス。無事だったのね。」

「えぇ。なんとか。それよりもネルビス様は?」

「大丈夫、この中に居るわ。」

クリスの言葉に口を開くアーキス

「それならばクリス様は中へ。ここは私とグレンで死守致します。」

「アーキス。…お願いね。」

そう言うと扉を開けるクリス

玉座の間へと入って行くレイピアとリューイ

「グレン、アーキス。死なないでね。」

「「ハッ!」」

2人の返事を聞くと扉を閉めるクリス

 

玉座の間

 

クリスが扉を閉めたのを確認すると口を開くネルビス

「クリス、無事でしたのね。」

「お母様。はい。敵は月の民。数は100です。今扉の前ではグレンとアーキスが守

りに入っています。」

「城内の様子は?」

「…殆どが落ちたかと。」

暗い面持ちで答えるクリス

「覚悟を、決めなければいけませんね。」

ネルビスの言葉に表情が更に暗くなる

その直後、扉を激しく叩く音が鳴る

「なっ!もうココまで来たの!」

たまらず驚くクリス

その音を聞き扉に向かい鍵を外し扉を開けるカルナ

扉が開き、月の民が入って来る

「カルナ!どう言う事だ!」

たまらず声を上げるカヤキス

「己の保身の為に、祖国を裏切った。そう言う所かしら?」

カヤキスの言葉に口を開くレイピア

レイピアの言葉にカルナを見るカヤキス

それを見て口を開くカルナ

「へぇ、良く解ってるじゃない。そうよ、私は生き残る為なら祖国だって裏切るわ。

だから、死んで下さい。カヤキス。」

そう言うと剣を構えカヤキスに向かい突っ込むカルナ

「カヤキス様!」

たまらず声を上げる紅

その直後カルナの剣が人の身体を貫く

だがそこに居たのはカヤキスではなく…

「リューイ!」

叫ぶクリス

「リューイ、何で貴方が。何でカヤキスじゃないの!」

そう叫ぶと剣を手放しその場に座り込むカルナ

「…何でだろうな?…クリス隊長、先に、逝ってます。」

そう言うと倒れるリューイ

「全く、使えないわね、地球の人間は。」

ふと聞こえる女性の声

それと同時にカルナを一振りの剣が貫く

「えっ?」

その剣を見て疑問に思うカルナ

「役立たずはいらないわ。」

そう言うとカルナから剣を抜く女性

そのまま倒れ込むとリューイの方をへと手を伸ばすカルナ

「…来世で、一緒に、なれたら、良い…か…な……?」

そう言うと息絶えるカルナ

「カルナ!!!」

たまらず叫ぶカヤキス

「初めまして。月の民が一人、ルナと申します。そして後ろに居るのがユイアにユ

ア。」

そう言うと剣をクリス達に向けるルナ

「我ら月の民の為、死んで貰います。」

ルナのその言葉が終わると同時に飛び出すユアとユイア

自身に向かってきたユイアを一閃するクリス

そのまま倒れ込み息絶えるユイア

「ユイア!」

そう叫ぶとクリスに向かい突っ込むユア

独特の金属音が響き、剣と剣が合わさる

「カヤキス!ラムダ姉さん。ネルビス女王を!私のお母様を逃して!」

クリスの言葉にネルビスに近づくカヤキス

「レイピア、貴女も行って!!!」

クリスの言葉と同時に流れ込んでくる月の民

「それは出来ない相談ね。」

そう言うと月の民を蹴散らすレイピア

「そうね。」

そう言うと剣毎ユアを弾くクリス

そのままユアに切りかかるクリス

「ユア―――!!!」

身構える前にクリスの剣がユアを切り裂く

「なっ!……ユイア、済まない。ルナ、先に、逝ってる……ぞ。」

そう言うとその場に倒れ込み絶命するユア

その直後クリスの胸をルナの剣が貫く

「油断しましたね。聖騎士。」

そう言うとクリスの胸から剣を引き抜くルナ

「クリス!」

たまらず叫ぶカヤキス

「カヤキス!貴方はネルビス女王を連れてここから逃げなさい!」

「だがクリスが!」

「良いから早く!!!」

レイピアの言葉に圧倒され、玉座の後ろ辺りから部屋を出て、逃走するカヤキス達

その場には今にも息絶えそうなクリスと、レイピア・ルナのみが残った

「さて、貴女を倒して後を追わせて貰うわ。」

ルナのその言葉に口を開くレイピア

「それは無理な事ね。」

そう言った直後、ルナの胸を剣が貫く

「なっ!」

突然の事で驚きを隠せないルナ

「ただでは、死なないよ。」

「クリス!」

そう言うとクリスに駆け寄るレイピア

「私が、死ぬの?……すみません、ユーリ様。」

そう言うと倒れ、息絶えるルナ

「クリス、大丈夫?」

「レイピア、ううん、駄目、みたい。…レイピア、この剣をお姉様に渡して。お願い

…だから……ね……。」

そう言うと息を引き取るクリス

「…クリス。遥か彼方昔の私。貴女の願い、受け取ったわ。」

そう言うと月の民が入って来る

「邪魔だぁ!」

そう言うと派手に魔術を放つレイピア

その間にクリスの遺体と預かった剣を持ち隠し通路へと消えていくレイピア

 

聖ハルイを眺められる丘

 

そこにはカヤキス・紅・ネルビスにラムダの姿が有った

「…聖ハルイが、燃える。」

そう呟く紅

「大丈夫だ。王政を取れる人物が居れば、元に戻る。」

紅に対し、そう言うカヤキス

「カヤキス。」

ふとその時女性の声が聞こえる

振り返るとそこにはレイピアが居た

「レイピア。…その遺体は、クリスか?」

カヤキスの問いに頷くレイピア

「彼女は、聖ハルイを守ったわ。」

そう言うと近くの木にもたれるようにクリスを寝かすレイピア

「ラムダ、これを。」

そう言うとクリスの剣を手渡すレイピア

「レイピア。…ありがとう。」

ただ、そう言うラムダ

それを聞いて口を開くレイピア

「カヤキス・ラムダ。頑張って国を再興させてね。」

「レイピア。…あぁ、だがお前は来てくれないのか?」

カヤキスが疑問を投げかける

「…私は無理。この時代の人間じゃ無いから。」

レイピアの言葉に驚くカヤキス・紅・ラムダ

「…私の本当の名前はクリス=ラス=レイピア。未来の、彼女よ。」

そう言うと銀装を解くレイピア

「皆さん、私の事は、忘れて下さい。本来歴史に干渉してはいけない。私は、少しば

かり干渉し過ぎた。

…カヤキス・姉さん。国を、お願いします。」

そう言うとその場から消失するレイピア

「…解ったわ、クリス。聖ハルイは、必ず再興させるわ。」

そう言うと剣を抱えたまま空を見上げるラムダ

「行きましょう。遥かなる未来の為に。」

ネルビスの言葉に頷く一同

 

 

 

2年後

 

月の民の侵攻に脅威を覚えた地球人類は団結し、これを打ち負かす

その時先頭に立ち、先陣を切っていたのは、聖剣を持った黒騎士だったと言う

 

 

 

 

 

300年後

輪廻の輪に乗り、2人の騎士は再び出会う

そして、新たなる戦いへと、身を投じる

 

 

 

 

 

終わり

 

 

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