オメガx鎧武xトッキュウジャー

スーパーヒーロー・ファイナルバウト

第10章

 

 

 仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事。全てのスーパーヒーローの力を結集させた攻撃が、士を捉えた。

 光輝たちが着地して、ライトたちやアカレンジャーたち、撃たちと合流する。

「紘汰、光輝さん、大丈夫!?

「あぁ。オレたちは大丈夫だ・・みんながいてくれたから・・」

 ライトの呼びかけに紘汰が答える1号たち、アカレンジャー、撃たちも小さく頷いていた。

「やったのか・・今度こそアイツを、ディケイドを倒したのか・・・?」

 光輝が舞い上がっている砂煙を見据える。すると巧と一真が彼のそばにやってきた。

「そのほうがみんなのためになると思ったんだろ・・?」

「人類と世界の平和や幸せのために、オレたちは戦ったんだ・・それを踏みにじっていたディケイドを倒したんだ・・」

「巧さん・・剣崎さん・・・」

 巧と一真に励まされて、光輝が戸惑いを覚える。

「これがお前の、お前たちの正義ということだ・・」

 さらに光輝に声を変えてきたのは、復活を果たしていた竜也だった。

「竜也・・お前も戻ってこれたのか・・」

 竜也の登場に光輝が戸惑いをふくらませていく。

「戻ってきたが、中途半端な存在になっている・・情けないことだ・・」

「そんなことない・・君が、みんながいてくれたから・・・」

 歯がゆさを見せる竜也に、光輝がヒーローたちの支えを口にする。

「君とオレたちの正義が一致した。それだけのことだ。」

「我々は地球の平和と人々の自由と幸せを守った。それはこれからも変わることはない。」

 1号とアカレンジャーからも励ましの言葉をかけられる光輝。紘汰もライトたちも励まされて、笑みをこぼしていた。

「みんな、油断するな!まだ終わっていないぞ!」

 そこへRXが呼びかけてきた。彼の声を聞いて、光輝たちが緊張を覚える。

 砂煙が弱まって、その中から士が姿を現した。

「お前・・まだ生きていたのか・・・!?

「自分でもここまでしぶといことに驚いているくらいだ・・死んでよみがえっているしな・・」

 声を上げる光輝に士が言い返す。

「お前たちの力が侮れないことを改めて思い知った・・だからオレは、オレの全てを賭けてお前たちを倒す・・・!」

 光輝たちに向かって言い放つ士。彼がまとっているディケイドの装甲から光があふれてくる。

「な、何だ・・!?

「アイツ、まだ性懲りもなく・・!」

 丈瑠とモモタロスが声を上げる。光に包まれた士の姿がだんだんと大きくなっていく。

「アイツ、大きくなったぞ!」

「今のアイツは全てのヒーローの力が使える。Jやニンジャマンの能力で、巨大化したということか・・・!」

 ダイゴと晴人が大きくなった士を見上げて声を上げる。

「これでだいたいのヤツらが手に負えなくなるな。」

 士が光輝たちを見下ろして、強気を見せる。

「相手が大きくなったときの戦い方を、スーパー戦隊は知っている!」

 ライトが士に言い放って、彼らがトッキュウチェンジャーにトッキュウレッシャーをセットして、右のボタンを押す。

“烈車がまいりまーす。白線の内側に下がってーお待ちくださーい。”

 ライトたちの前に烈車がやってきた。目の前に現れた自動改札をレインボーパスをかざして通って、彼らが烈車に乗り込んだ。

 5色の烈車が切り離しと変形を行って合体を始める。

“毎度ご乗車ありがとうございまーす。トッキュウオー、完成いたしまーす。ドア開きまーす。”

 5台の烈車が合体して、巨大ロボ「トッキュウオー」が完成した。ライトたちが操縦するトッキュウオーが、士の前に降り立った。

「これで勝負ができる!試合再開だ!」

 ライトたちが言い放って、士のいるほうを指さす。

「フン。あっという間に終わることになるがな。その1体だけで何ができる?」

「オレたちだけじゃないさ!他の戦隊のみんなもいる!」

 鼻で笑ってくる士にライトが言い返す。トッキュウオーの後ろには、「バリブルーン」から「キョウリュウジン」まで、ゴレンジャーからキョウリュウジャーまでの歴代のスーパー戦隊のロボ、メカが集結した。

「援護するぞ、トッキュウジャー!」

「オレたちの腕の見せ所だぜ!」

 アカレンジャーとダイゴがライトたちに呼びかける。

「す、すっごーい!」

「スーパー戦隊のロボットが、全部出てきたよ・・!」

 歴代の戦隊メカたちの登場にトカッチとミオが驚きの声を上げる。

「これならどんなに大きい相手にも負けないよ♪」

「そうだといいんだけどね・・」

 上機嫌になるカグラと、落ち着きを払うヒカリ。

「戦隊メカそろい踏みか。だがそれだけでオレを倒せるか?」

 士は強気な態度を崩さずに、ソードモードのライドブッカーを構える。

「お前の相手はスーパー戦隊のメカだけではない!」

 そのとき、Jも大地の精霊の力を借りて巨大化を果たした。

「お前も来たか。ま、他のヤツは踏みつぶすとするか。」

「あのヤロー・・図体だけじゃなくて、偉そうな態度までさらにでっかくなりやがって〜!」

 見下ろしてくる士に対して、モモタロスが不満をあらわにする。

「それじゃみんな、出発しんこー!」

 ライトが高らかに言うと、トッキュウオーが士に向かっていく。キョウリュウジンたちも続いていく。

 トッキュウオーたち戦隊ロボたちが繰り出すパンチを、士は素早くかわしていく。バリブルーンとスカイエースがミサイルを撃つが、士はこれもかわしていく。

「ロボじゃどうしてもスピードが遅い。戦闘機も威力に欠ける。」

 士が呟くと、ライドブッカーを振りかざしてトッキュウオーたちを切りつけていく。

「みんな!」

 Jが士に向かっていって攻撃を仕掛ける。Jが繰り出すパンチとキックを、士が的確に防いでいく。

「動きのいいヤツが無敵っていうわけでもないぞ。」

 士が言いかけてライドブッカーを振りかざす。Jが切りつけられて突き飛ばされる。

「チェンジソード!」

 チェンジロボが盾「チェンジシールド」から剣「チェンジソード」を引き抜いて振りかざす。士が左手でチェンジソードを受け止めるが、振りかざしたライドブッカーをチェンジシールドで受け止められる。

「ファイヤー!」

 そこへデカレンジャーロボが銃「シグナルキャノン」から「ジャスティスフラッシャー」を発射する。士はチェンジロボを引き離して、射撃をかわす。

「遊びはここまでにしておくか。」

 士が言いかけて、ライドブッカーを構える。ライドブッカーの刀身にエネルギーが集まる。

 士がライドブッカーを振りかざして光の刃を放つ。突き抜けていく光の刃に、トッキュウオーたちが火花を散らしながら倒れていく。

「やばい!このままじゃライトたちがやられてしまうぞ!」

 ピンチに陥っているライトたちに、紘汰が声を荒げる。

「オレに大きくなる力はない・・スイカでもあの大きさじゃ太刀打ちできない・・!」

 打開の策を見つけようとする紘汰が、頭を抱えて悩む。すると1号と2号が紘汰のところへ歩み寄ってきた。

「紘汰くん、光輝くん、君たちに我々の力を分け与える。」

「そうすれば君たちにだけでも強くすることができる。」

「先輩・・オレたちのために・・・」

 1号たちの言葉に紘汰が戸惑いを浮かべる。

「オレたちの力も使ってくれ、光輝くん。」

「撃さん・・みなさん・・・」

 撃も声をかけて、光輝も戸惑いを見せる。

「ありがとうございます、先輩のみなさん・・」

「みんなの思い・・みんなの力・・今こそ、世界に平和を!」

 感謝を示す紘汰と光輝。2人は互いに顔を見合わせると、小さく頷き合った。

「オレたちの力を、鎧武とオメガに!」

「ライダーシンドローム!」

「コンバットチャージ!」

 1号の掛け声に合わせて、ライダーたちと宇宙刑事たちがそれぞれのポーズを取って、紘汰と光輝にエネルギーを送る。2人の体が虹色に輝き出す。

「ありがとう、みんな!」

「どんどん力がみなぎってくるぜ!」

 光輝と紘汰の体がだんだんと大きくなっていく。2人が士の前に立ちふさがった。

「お前の相手は戦隊だけじゃない!ライダーの力も宇宙刑事の力も、今ここに集まった!」

「ここからがオレたちの、スーパーヒーローのステージだ!」

 光輝と紘汰が言い放って、スピリットカリバーと無双セイバーの切っ先を士に向ける。

「何でもありだな。オレが言えた義理じゃないが・・」

 士は自分への皮肉を交えて呟くと、ライドブッカーを構える。

「お前たちも倒して、戦隊だけじゃなく、ライダーも宇宙刑事も完全に打ち倒す。」

「オレたちの強さ、甘く見るな!」

 士と光輝が飛びかかって、ライドブッカーとスピリットカリバーをぶつけ合う。2本の刀身がぶつかって火花を散らしていく。

「よし!オレも行くぞ!」

“ダイダイマル!”

 紘汰も大橙丸を手にして、士に向かっていく。大橙丸と無双セイバーを振り下ろしてきた紘汰が、光輝と士の間に割って入る。

 士が突き出したライドブッカーで光輝が突き飛ばされる。続けて士がライドブッカーを紘汰目がけて振りかざす。

“メロンディフェンダー!”

 紘汰がメロンディフェンダーを呼び出して、ライドブッカーを防ぐ。

“イチゴクナイ!”

 紘汰がイチゴクナイを放って士にぶつける。怯んだ一瞬の隙を狙って、紘汰が無双セイバーを振りかざして切りつける。

 突き飛ばされて横転する士。だがすぐに立ち上がり、ライドブッカーを振りかざして光の刃を放つ。

「ぐあっ!」

 紘汰と光輝が吹き飛ばされて転倒する。

「紘汰!光輝さん!」

 トッキュウオーにいるライトが声を上げる。

「烈車のみんなの力も借りないと!」

 ライトが新たにトッキュウレッシャーを手にする。彼と顔を見合わせたトカッチとミオも頷き合って、トッキュウレッシャーを取り出す。

“ディーゼルーレッシャー。タンクーレッシャー。カーキャリアーレッシャー。”

 トッキュウチェンジャーにトッキュウレッシャーをセットしたことで、烈車「ディーゼルレッシャー」、「タンクレッシャー」、「カーキャリアレッシャー」が駆けつけてきた。ディーゼルレッシャーたちは変形、合体してロボ「ディーゼルオー」となった。

「乗り換え完了!」

 ライトがトッキュウオーからディーゼルオーに乗り換えた。

「オレたちもまだまだ負けていないよ!」

 ライトが言い放ち、トッキュウオーとディーゼルオーが士に向かっていく。

「また新しいロボで来たか。」

 呟く士にディーゼルオーがパンチを繰り出す。重みのあるパンチを叩き込むディーゼルオーだが、士は耐えていく。

 士が左のパンチをディーゼルオーに叩き込む。彼の後ろにアギト・バーニングフォームの幻影が映った。

「ライト!」

 トカッチが声を上げて、トッキュウオーが士に向かっていく。

「フミキリケン!」

 トッキュウオーが剣「フミキリケン」を手にして振りかざす。だが士が構えるライドブッカーに防がれる。

 士がトッキュウオーに炎の一閃を繰り出す。彼の背後にマジレンジャーのウルザードファイヤーの幻影がいた。

「炎まで使ってくるとは・・・!」

「炎を出してくるなら、こっちはコレだ!」

 声を上げるヒカルと、新しくトッキュウレッシャーを取り出したライト。

“ファイヤーレッシャー。”

 ライトの呼び出して烈車「ファイヤーレッシャー」がやってきた。

「烈車武装!」

 ディーゼルレッシャーとファイヤーレッシャーが交換されて、ディーゼルオーは「ディーゼルオーファイヤー」になった。

「こっちの炎も負けてないよ!」

 ディーゼルオーが士に向かって、右腕から火炎「ファイヤースプラッシュ」を放射する。士がライドブッカーを振りかざして、火炎を切り裂く。

「所詮は小細工だな・・オレのほうが上手ということだ・・」

 士がライドブッカーを振りかざして、トッキュウオーとディーゼルオーを切りつける。2体は突き飛ばされて転倒する。

「ライトくん!」

 アカレンジャーが声を上げて、戦隊メカたちが士に向かっていく。

Final attack ride,Decade.”

 士はライドブッカーをガンモードにして、エネルギーを放射する。キョウリュウジンたちが砲撃を受けて吹き飛ばされる。

「みんな!」

 倒れていく戦隊メカたちやJに紘汰が声を上げる。

「こうなったら・・みんな、連結行くよ!」

「こっちの準備はOKだよ!」

 ライトの呼びかけにミオが答える。トッキュウオーとディーゼルオーがそれぞれ分離して、再度合体を果たした。

「超烈車合体!超トッキュウオー!」

 8列の烈車が合体して、「超トッキュウオー」となった。

「すごい!また合体するとは!」

 超トッキュウオーを見て、紘汰が感動の声を上げる。

「いろんな人の武器を使える君に言われるとはね・・」

 ヒカリが呆れていたが、その声は紘汰に届いていなかった。

“ヒナワダイダイDJジュウ!

 紘汰が火縄大橙DJ銃を手にして、士に銃口を向ける。

「ライト、一斉射撃だ!」

「OK!」

 紘汰の呼びかけにライトが答える。

「超トッキュウキャノン!」

 超トッキュウオーが両肩にある超トッキュウキャノンを発射する。紘汰も同時に火縄大橙DJ銃を連射する。

 射撃を受ける士だが、ひるまずに前進してくる。

「スピリットフラッシャー!」

 光輝がオメガドライバーにあるオメガクリスタルから精神エネルギーの光を放つ。士が耐えきれなくなって、ついに押されていく。

「オレたちには見えているんだ!お前の終着駅が!」

「どんなことが起こっても、オレたちは絶対に諦めない!」

 ライトと紘汰が士に言い放つ。光輝もスピリットカリバーを構えて、士を見据える。

「オレたちはこれからも戦い続ける・・世界のため、平和のため、大切なもののため・・・!」

 光輝が振り絞るように士に言いかける。

「お前は自分のことしか考えていない・・そんなお前に、本当の正義と平和、夢と希望を思い通りにすることはできない!」

「フン。お前たちだって、結局は自分のことばかり。人のことを言えた義理・・」

「これがみんなの願いとオレたちの答え、そしてお前が押し付けようとしたものの結末だ・・・!」

 士の言葉をさえぎって、光輝が言い放つ。

「そうだ・・これが、みんなが示してくれた答え・・・!」

 自分たちに力を貸してくれた仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事、そして彼らに声援を送る人々の思いを実感していく光輝。彼はみんなの思いを背に受けて、意識を集中させていく。

「みんな、行くよ・・みんなの思いを込めた、みんなの力を!」

“キワミスパーキング!”

 ライトが言い放ち、光輝と紘汰が構えを取って足に力を込めて、同時にジャンプする。

「超トッキュウオー・フルバーストフィニッシュ!」

 超トッキュウオーが烈車の姿の光を放つ。さらに歴代の戦隊メカからそれぞれのシンボルの形をした光が放たれていく。

Final attack ride,Decade.”

 士がライドブッカーにエネルギーを込めて振りかざす。切り裂こうとした彼だが、ライトたちの光はライドブッカーをすり抜けた。

 光に包まれた士が動きを封じ込められた。

「体が・・・!」

 光によって動けなくなる士。そこへ光輝と紘汰が士に向かって飛び込んできた。彼らの後ろに歴代の仮面ライダーと宇宙刑事たちが同じように飛び込んできていた。

「オールヒーロー・ダイナミックキック!」

 全てのスーパーヒーローの力が結集したキックが、士の体に叩き込まれた。次の瞬間、まばゆい光が一気に広がって彼らを包み込んだ。

 

 まばゆいばかりの光の中に、光輝と士はいた。真剣な面持ちを浮かべている光輝に、士が鋭い視線を向けていた。

「これが、本当の正義のヒーロー・・みんなの心か・・・」

「そうだ・・みんながこの長い時間の中で見てきたヒーローの姿だ・・オレもそんなヒーローに憧れた1人だった・・・」

 呟きかける士に、光輝がみんなの思いと今までの自分のことを口にする。

「オレは悪の組織の犠牲にあって戦いに巻き込まれたわけでも、何かを守るためでもなかった・・最初はただの夢や憧れで、仮面ライダーになった・・だが戦いを続ける中で、オレは正義とは何か、ライダーとして、ヒーローとして戦うことがどういうことなのかを学んだ・・」

 光輝が語りかけて、士に向かって右手を掲げて指をさす。

「オレがお前を倒すことは、正義に反してはいなかった・・いや、オレたちは、世界や人々の自由と平和のために戦ったんだ・・・」

「それが、オレを倒すことか・・・」

「お前は世界のために存在してはいけない・・全ての破壊者だから・・・」

「ここでまた地獄に送り返されても、オレはまた復活するかもな・・」

「ならば何度でも倒す・・みんなを踏みにじる悪と、オレたちは、ヒーローたちは戦っていく・・・」

 笑ってくる士に、光輝が決意を告げる。士が何度よみがえろうと、光輝は何度でも戦い倒すことを心に決めていた。

「終わりのない戦い、というヤツか・・」

 そこへ声をかけたのは竜也だった。竜也は光輝に1度目を向けてから、士に視線を移す。

「お前も消えるんだ・・偽りの正義を振りかざすときは終わった・・・」

「竜也・・・」

 士に言いかける竜也に、光輝が戸惑いを見せる。

「命を失っているオレも、今度こそ終わりのときを迎える・・・」

「竜也・・・」

「光輝、お前はお前の目指す正義を貫け・・他の者たちのように・・オレはお前の正義を見届けていく・・・」

 竜也は光輝に告げると、士の横をすり抜けて立ち去っていく。

「何もかもお前の思い通りにはならない・・何もかも自分の思い通りになると思い上がっているお前のな・・・」

 竜也は士に言うと、姿を消していった。

「アイツにまで正義を問われるとはな・・・」

 士が竜也に言われたことに皮肉を感じて、光輝に背を向ける。

「覚悟を決めることだな・・仮面ライダーオメガ・・・」

 光輝に告げてから、士も消えていった。

「オレは戦う・・自由と平和を守るために・・お前のような悪からみんなを守るために・・・!」

 決意を口にして、光輝も光の世界から姿を消した。

 

 仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事の全ての力が結集されて、士は完全に消滅した。巨大化していた光輝、紘汰、Jは元の大きさに戻った。

「これで、終わったってことでいいんだよね・・・?」

 ライトたちが超トッキュウオーから降りて、光輝たちのところへ来た。

「とりあえず、今回は・・・」

「今回は、か・・・」

 光輝が口にした答えに、紘汰も複雑な気分を感じていた。

「ディケイドはまたよみがえってくるかもしれない。今回みたいに・・だけどオレは倒す。何度でもアイツを・・」

「怒りや憎しみとかじゃなくて、みんなのために・・」

 光輝の心境に撃が戸惑いを見せる。深刻さを抱えている光輝に、1号、アカレンジャー、烈が歩み寄ってきた。

「オレたちはそれぞれの正義と信念を貫いている。

「自分たちの決意や使命などあるが、世界や宇宙のために戦っていることは同じだ。」

「その志を持ってのことなら、誰にもとがめることはできない。」

「みなさん・・・ありがとうございます・・・」

 3人からの激励に戸惑いを感じて、光輝が感謝の言葉を返す。

「君も君が正しいと、大切だと思ったことを貫けばいい。自分以外の誰かのためであるならば。」

「先輩・・はい!」

 1号の言葉に光輝が返事をする。

「君たちもまだ、自分たちの答えを見つけてはいない。」

「だが諦めなければ、必ず答えを見出せるだろう。」

 烈とアカレンジャーが紘汰とライトたちに励ましの言葉を送る。

「オレたちのステージは、まだまだこれからですよ。」

「オレたちはまだ旅の途中だけど、絶対オレたちの答えを見つけてみせますよ。」

 紘汰とライトがそれぞれの決意を口にする。1号たちは頷くと、振り返って光輝たちに背を向ける。

「君たちにできないことをオレたちはやろう。」

「だから君たちは、君たちにしかできないことを全力で貫き通せ。」

「我々は自由と平和のため、ともに戦っていこう。」

 1号、烈、アカレンジャーが紘汰とライトたちに励ましの言葉を送った。紘汰たちが決意を秘めて頷いた。

「はい!オレたちのステージはここからだ!」

「オレたちはまだ旅の途中だけど、必ず答えを見つけてみせる!」

 紘汰とライトが決意を口にする。

「これからも未来を目指して歩いていこう、未来のヒーローたち。」

 1号が激励を送って、仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事たちは去っていった。それぞれの居場所、それぞれの戦いへ。

(ありがとう、みんな・・オレも、これからも戦い続けます・・世界のために・・みんなのために・・・)

 決意を改めて固める光輝。今の彼には迷いがなくなっていた。

 

 ともに力を合わせた光輝、紘汰、ライトが手を重ねて結束を分かち合った。3人はそれぞれ握手を交わして頷き合った。

「また駅を回っていくのか、自分たちのことを知るために・・?」

「うん。もっと町を巡っていけば、きっと答えにたどり着ける。オレたちの終着駅は、まだまだまだまだ遠くにあるんだ。」

 紘汰の声にライトが笑みを見せて答える。

「オレもオレたちの戦いを続ける。また会うときがあったらよろしくな。」

「もちろんだよ!いつか必ず、また会えるときが来る!」

 再び再会を約束する紘汰とライト。

「そのときにはオレは、本物の覇者になっていることだろう・・」

 戒斗が紘汰とライトたちに言うと、振り返って立ち去っていった。

「戒斗、相変わらずだな・・」

「紘汰さん、僕たちも戻りましょう。舞さんが待っています。」

 苦笑いを浮かべる紘汰に光実が呼びかける。

(兄さんも戻ってきていたから・・・)

 光実は心の中で貴虎のことを考えていた。

「というわけで、オレたちも戻るよ。ありがとう、ライト、光輝さん・・」

 紘汰が声をかけて、ライトたちが笑みを見せて頷いた。

「光輝さん・・?」

 空を見上げている光輝に、紘汰が声をかけてきた。

「みんな・・進んでいく道はそれぞれだけど、オレたちの戦いに終わりはない・・戦いをやめない限りは、道を進んでいくのをやめない限りは・・」

「光輝さん・・・」

「僕も僕の戦いを続けていく・・もしもまた出会うときが来たら、一緒に力を合わせよう。」

 光輝が紘汰とライトたちと頷き合う。光輝は歩き出して、メガブレイバーに乗った。

 そこへ烈車がやってきて、車掌とチケットが顔を出してきた。

「そろそろ出発しますよー!」

「早くしないと置いていきますよー!」

 車掌とチケットがライトたちに呼びかける。

「それじゃ僕たちは行くよ。」

「またどこかで会おう!」

 トカッチとライトが挨拶して、彼らがレッドレッシャーに乗っていった。

「あぁ!またな、ライト、みんな!」

 発射した烈車を、紘汰が光輝、光実とともに見送った。レッドレッシャーの窓からライトたちが手を振ったのを、光輝と紘汰は目にしていた。

「オレたちも沢芽市に帰ります。ありがとうございました、光輝さん。」

「うん。僕もこれからも戦っていく。この終わりのない戦いを・・」

 感謝をする紘汰に光輝が決意を口にする。

「それじゃ、また、どこかで・・」

「はい!」

 紘汰と光実に見送られて、光輝はメガブレイバーを走らせた。紘汰と光実も沢芽市に戻っていった。

 

 紘汰、ライトたちと別れて、光輝はメガブレイバーで走り続けていた。その中で光輝は竜也のことを思い出していた。

(竜也、僕は戦いを続けていくよ。世界や人々の、自由と平和を守るために・・)

 光輝の脳裏に竜也の姿がよみがえってくる。

(もしまたディケイドが現れたら、また倒す・・何度でも出てくるなら、何度でも倒す・・世界のために、みんなのために・・・)

 光輝の脳裏に、さらに士の姿がよぎってくる。

(オレたちの戦いに終わりはない・・仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事・・スーパーヒーローを信じ続けているみんながいる限り・・・)

 自分と全てのヒーローたちの決意と正義を胸に秘める光輝。

“お前はお前の目指す正義を貫け・・オレはお前の正義を見届けていく・・・”

 光輝の脳裏にいる竜也の言葉が、光輝に伝わってくる。

(見守っていてくれ、竜也・・僕の、僕たちの終わらない戦いを・・・)

 竜也に自分の決意と思いを告げる光輝。

「行こう、メガブレイバー。僕たちの命と、みんなの思いが尽きない限り、僕たちの戦いは終わらない・・」

「分かった、光輝。私もどこまでも君とともに戦おう。」

 光輝の呼びかけにメガブレイバーが答える。光輝がメガブレイバーのスピードを上げた。

 自由と平和を守るため、光輝は走り続けた。歴代のヒーローと、彼らを信じる人々の思いを背に受けて。

 

 

仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事。

世界や宇宙、人々や大切なものを守るために悪と戦い続け、時に力を合わせていた。

彼らの戦いと歴史はこれからも続いていく。

 

人々のヒーローを信じる思いがある限り、スーパーヒーローの物語は終わらない。

 

 

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