GUNDAM WAR Complication of Thought-

EXTRA PHASE「反省」

 

 

シン「いやぁ、終わったなぁ・・」

アセム「やっと落ち着けるなぁ、と思えるなぁ・・」

 

シン「やっぱりきちんと主役を張れるのが1番いい・・」

アセム「オレたちは父さんとオレとキオ、3世代でやってきたからな。

    世代が変われば主役も変わるって、オレは割り切ってきたけどな。」

シン「そのほうがマシですよ・・

   オレなんてここんところ、悪い扱いばっか受けてきて・・

   これが主役の扱いなのかって、ずっと思ってきた・・」

アセム「イヤな扱われ方はお前だけじゃないぞ、シン・・

    オレが主役だったときはいい気がしなかったぞ・・」

シン「アンタもなのか・・!?

アセム「そのときは父さんが司令官だった。

    実力はオレより父さんのほうが上だった。

    それが悔しくてひたすら力を求めたな・・

    だけどオレは父さんの態度や命令に納得いかないことがあった。

    敵を倒すために無関係な人まで巻き込むやり方は納得いかなかった。

    だが父さんは全く効く耳持たなかった・・

    認めさせたいとか、自分の力で何とかしたいとか、いろいろ考えたり願ったりした・・

    そんなときにこう言われたことがある・・

    スーパーパイロットになれって・・」

シン「スーパーパイロット・・スーパーエースか・・

   オレもそんな風に言われてたな・・」

アセム「そういう実績や達成感があると、そのときは気分がよくなるもんだな・・

    だけど結局、その先を目指すようになるものだけどな・・」

シン「それもまた過去の栄光か・・」

アセム「そういう言い方だと虚しくなってくるな・・」

キオ「そんなことないよ、父さん。」

アセム「キオ、来たか。

    父さんが若い頃は、実に情けないことだったさ・・」

シン「だけど昇進して、立派なパイロットになったじゃないか・・

   オレなんて・・オレなんて・・・」

キオ「シンさんも立派に主役務めたじゃないですか。

   ものすごい勢いと腕で突破口を切り開きましたし、僕の迷いを吹き飛ばしてくれましたし・・」

シン「キオ・・・

   やっとオレも報われたってことか・・・」

アセム「やったな、シン。」

キオ「やりましたね。」

アスラン「あぁ、やったな。」

シン「そうそう、やったやった・・・って、アスラン!?

アスラン「オレも来ることにしたよ・・

     こういう集まりに顔出すのは好きじゃないんだけどな・・

     オレはあんまりうまいほうじゃないからな、人付き合いとか・・」

シン「何をのこのことこんなとこに・・!

   オレの扱いの悪さを決定づけた1人じゃないか、アンタも・・!」

アスラン「やはりこの不満は消せないか・・」

キオ「かなり根に持っているんですね・・」

アスラン「シン・・だって、あれは・・」

シン「いいよなぁ、アンタは・・

   いろんな女にチヤホヤされて・・」

アスラン「別にチヤホヤだなんて・・」

シン「その上ホイホイ裏切って・・

   それなのにいい思いばっかして・・

   ホントだったら悪者として打ち倒されるところなのに・・・」

アセム「ダメだ・・すっかりいじけている・・」

アスラン「そんなにへそを曲げられると、オレまで参るぞ・・」

アセム「やれやれ・・・

    そんなこと言ってるところで、他にもへそ曲げてるヤツがいるぞ・・」

キオ「えっ・・・!?

アスラン「あっ・・キ、キラ!?

キラ「ハァ・・何で・・・」

アセム「キラもすっかり落ち込んでいるな・・」

フリット「それは、今までずっといい思いをしていたのに、今回あまりにも散々なことになったからである。」

アセム「あ、父さん・・」

キオ「じいちゃんも来てたんだね。」

アスラン「散々って・・・キラも活躍してただろ・・・?」

キラ「途中まではね・・

   でもあのとき、あんなにあっさりとやられるなんて・・・

   こんなのありえないよね!」

シン「何言ってるんだよ、アンタ・・

   アンタの方がありえないことばかりやってたじゃないか・・・!」

アセム「そういえばキラだったな・・

    シンから主役の座を奪ったのは・・」

キラ「そんな人聞きの悪い・・・

   僕は戦いを止めるために飛び出しただけなのに・・」

シン「それで好き勝手にやって自分を押し付けてるんだから、性質が悪いよ・・

   しかもそれが何もかもうまくいくなんて・・

   絶対にありえないって!」

フリット「そうだな・・いくら力があるからといっても、さすがにできすぎだな・・・」

アセム「明らかに別格扱いされているからな・・

    あのような扱いされても問題ないな・・」

シン「そうだ、そうだ・・

   ちょっとはオレが受けてきた嫌気を味わえっての・・」

キラ「僕は、ただみんなを守っていただけなのに・・・

   だけなのに・・・」

キオ「うわぁ・・2人ともすっかり落ち込んじゃって・・・」

フリット「しばらく放っておけ。

     少し頭を冷やしておくことだな。

     名誉挽回などいくらでも・・」

アセム「父さんの場合は名誉挽回じゃなくて、“汚名挽回”だったじゃないか・・」

キオ「汚名挽回?それって言い間違いじゃ・・」

アセム「確かに言い間違いだ。

    だが父さんのこれまでの行動は、汚名挽回と言ってもおかしくなかったぞ・・」

フリット「それは聞き捨てならないぞ・・・!

     私は地球を守るために尽力しただけ・・!」

キオ「そのために自分を押し付けて・・」

アセム「他の人の意見をまるで聞こうともしないで・・」

アスラン「それじゃまさに汚名挽回ですね・・

     オレたちも人のことを言えないが・・」

フリット「私までお前たちがやってきた暴走に加えるな。

     私はあくまでヴェイガンを対し、世界を救うために・・」

アセム「それが暴走の原因になっていたじゃないか、父さん・・」

キオ「自分勝手がなかったら、きっとみんなで協力して、もっといい解決ができたかもしれないのに・・」

アスラン「まぁ、この世界観では善悪がハッキリしているわけではないからな・・」

シン「その割には偉そうに正義振りかざしてたじゃないか・・

   乗ってたのも正義だし・・」

フリット「今回はともかく、前は説得力皆無だったな・・」

アスラン「あなたは説得しようともしていなかったじゃないですか・・

     他からの説得にも耳を貸さないで・・・」

アセム「それだから汚名挽回になっているんだよ・・」

フリット「お前たちしつこいぞ、汚名挽回、汚名挽回って・・!

     これでは極悪人ではないか・・!

     まるでボスキャラのような・・!」

キオ「確かに向こうからしたら・・・

   でも戦争の中じゃ、正義も悪も表裏一体だよね・・

   ヴェイガンもじいちゃんがいうような悪者でも悪魔でもなかったし・・」

シン「主人公であるはずのオレが悪者扱いされたし・・

   アスランも勝手に裏切るし・・・」

アセム「キラも悪者扱いされてたし・・

    みんなコロコロ変わるもんだな・・」

フリット「お前だって海賊になったではないか・・

     海賊だって十分悪者だぞ・・」

アセム「確かに海賊は悪者だけど、けっこう人気あるんだぞ。

    海賊が主役の話もかなり出てきてるし、オレみたいにガンダムパイロットだったのが海賊になった話もあるし。」

キラ「その海賊だったアセムさんに助けられたしね・・」

シン「まぁ、アスノ司令がアスノ司令だったからね・・」

フリット「まったく、キオもシンもキラも逃亡とは・・

     アスランも裏切り癖があるし・・

     この中でまともなのは私だけか・・」

シン「いや、アンタもどうかしてる・・

   キラほどじゃないけど・・」

キラ「僕はどうかしてないって・・

   だからみんなからの支持を受けて・・」

シン「悪評の間違いだろ・・・」

キラ「よーし、こうなったら誰が立派な主人公か、ハッキリさせようじゃないかー!」

シン「上等だ、やってやるぞー!

   ここで白黒つけてやるぞ!」

アスラン「おい、キラ、シン・・

     今更こんなことで張り合っても・・」

シン「それが重要なんだ!」

キラ「重要なんだ!」

アセム「どこが重要なんだか・・・

    だったらコメディか何かだったらいいのか?」

キオ「コメディ?」

アセム「コメディとかだったら、主人公(笑)で片づけられそうな・・」

アスラン「戦争はコメディではない!」

キオ「そう力強く言われても・・・」

フリット「そうムキになったところでな・・」

アセム「毎回最初しか出番がなくて、その出番もまともに全うできない・・

    しかも影が薄い扱いときたもんだ・・」

シン「か・・・」

キラ「影が薄い・・・」

アセム「そういうと、オレも影が薄いことになるのか・・」

フリット「おい、そういうことを言うな!

     我々まで影が薄くなってしまうではないか!」

シン「お、おい!何だか透明になってきてないか!?

アスラン「な、なぜオレたちまで!?

キラ「消えたくない・・消えたくなーい!」

シン「オレが主人公だ・・・!

   オレが主役!

   オレが主人公なんだー!」

 

シン「結局、誰が主人公となるんだ?」

キラ「せめて今回のだけでも・・」

シン「今回はオレだろ。

   オレの活躍が光ってたからな。」

アスラン「いや、フィニッシュ決めていないだろ。

     そういう観点だとキオになるか。」

キオ「時代的には僕が主人公だったですね。」

アセム「でもあれは3世代、オレたち全員が主役だっただろう。

    オレもここでやっと報われた気がするし・・」

フリット「結局、みんなが主人公ということか。」

シン「それで納得すると思ってるのか、アンタたちは!?

   主人公はオレだ!

   今回も今までもな!」

アスラン「そこまでムキになってもな・・・」

シン「それが重要なんだ・・・!」

アセム「オレもそう思えてきたな・・

    やはり主人公となったからには、それなりの活躍がされるのがお約束なのだから・・」

シン「そうだ!だからオレが主人公だ!

   今までも、これからも!」

キラ「それは違う!

   主人公は最初は僕だったんだ!

   だから僕が主人公だ!」

シン「ふざけんな!オレだ!」

キラ「違う!僕だ!」

シン「オレだ!」

キラ「僕だ!」

フリット「おっ!あれは!」

アセム「ブラックホールだ!」

シン「す、吸い込まれる!?

キラ「どうして・・どうしてこんな!?

シン「

キラ「ぐああぁぁぁーーー!」

シン「うわあぁぁぁーーー!」

アスラン「キラー!シーン!」

キオ「2人とも吸い込まれていっちゃった・・・」

フリット「この主人公争い、喧嘩両成敗ということだな。」

アセム「おいおい・・」

フリット「そしてシンとキラは、ブラックホールに吸い込まれる運命も背負ったのだな・・」

キオ「ホントなのかな・・・」

アセム「シン、キラ、お前たちのことは、一生忘れない・・」

キラ「ちょっと待ったー!」

シン「オレたちは生きてるー!

   そしてオレが主人公だぁー!」

 

 

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