ザ・グレイトバトル外伝

ウルトラマンフォース

-光の戦士の大決戦-

第11章

 

 

 フォースを援護しようと、タイガとタロウがジャッカルに向かっていく。
「オレに及ばんヤツらがのこのこと・・!」
 ジャッカルがあざ笑って、全身から衝撃波を放つ。タイガたちが衝撃波に耐えて踏みとどまる。
「タイガさん、タロウさん、オレも行きます!」
 カナタが言い放って、デッカーも突き進んでタイガたちに合流する。
「みんな・・・セレーナ、私たちも陽輝とフォースに協力しよう!」
 ナツも思い立って、セレーナに呼びかける。
“でも、フォースに力を送って、私の力はまだ回復していないわ・・変身できても何秒持つか分からないよ・・”
 今の自分たちの状態を確かめて、セレーナが警告する。
「ほんのわずかでも、陽輝とフォースの力になりたい・・セレーナもそう思っているの、私も分かるよ・・」
“一心同体だから、考えていることも分かるんだね・・”
 ナツが思いを口にして、セレーナが笑みをこぼす。
“私たちの力は少ないということだけ、忘れないで、ナツ・・”
「分かっている・・それでも、力を合わせよう、セレーナ・・・!」
 セレーナと言葉を交わして、ナツが微笑んでからフォースをじっと見つめる。
(陽輝、私たちも行くよ・・・!)
「セレーナー!」
 陽輝への想いを込めたナツが、セレーナリングの付いた右腕を上げた。セレーナリングが光り輝いて、彼女はセレーナに変身した。
「フォース、私も援護するよ!」
「セレーナ、今の君はまだ体力が回復していないはず・・」
 セレーナが声をかけて、フォースが声を荒げる。
「みんなそろって、わざわざ倒されに来たか・・ならば望み通り全滅させてやるぞ!」
 ジャッカルが言い放って、全身から光を放出する。フォースたちが身構えて、光に耐える。
「ストリウム光線!」
 タロウが素早くストリウム光線を出して、ジャッカルの攻撃の威力を一瞬弱めた。
「その程度でオレは止まらんぞ、蚊トンボが!」
 ジャッカルが高らかに言って、さらに光を放つ。
「ネオストリウム光線!」
 タロウが両腕にエネルギーを集めて、X字に組んで光線を放った。より強力な威力のネオストリウム光線が、ジャッカルの光を食い止める。
「タロウさん!・・フォース、今のうちに!」
 陽輝が声を上げて、フォースが頷いた。フォースが両手を広げて、エネルギーを集めていく。
「サンムーンフォースシュート!」
 フォースが両手をX字に組んで、光線を発射した。
「ぐおっ!」
 ジャッカルがフォースの光線を横から受けて吹き飛ばされた。
「こうなれば、この星もろとも、貴様たちを宇宙の塵にしてくれる!」
 ジャッカルが空に上がって、力を集中する。彼は今までで最も多くの力を溜め込んでいた。
「アイツ、この地球を吹き飛ばすつもりか!?」
「そんなことはさせない!」
 ゼロが声を荒げて、カナタがジャッカルの阻止を考える。
「もう1度、光線でジャッカルの攻撃を止めるしかない・・!」
 陽輝が覚悟を決めて、フォースがまたエネルギーを集めようとした。
 そのとき、フォースブレスから虹色の光があふれ出して、陽輝が目を向けた。
「この光は、フォースとセレーナだけの力じゃない・・これは、ウルトラ戦士みんなの力・・!?」
 陽輝が戸惑いを覚えて、デッカーたちに目を向ける。デッカーたちからも同じ虹色の光があふれ出していた。
「つながっている・・デッカーたちが、フォースブレスに・・いや、私たちに・・・!」
「みんなが、オレたちに力を貸している・・・!」
 セレーナたちの力と意思が流れ込んできて、フォースと陽輝が戸惑いを感じていく。彼らのこの絆の光が、フォースガンダムに新たな力をもたらした。
「行くよ、フォース!」
「あぁ、陽輝!」
 陽輝がフォースと声を掛け合って、フォースブレスの画面をスライドして、新たに加わったマークを表示した。
「ウルトラフォースアーマー!」
 フォースアーマーがフォースから外れて、まばゆい光を放出した。光が弱まったとき、フォースアーマーは赤、銀、青をメインカラーとした新たな姿かたちに変わっていた。
「フォースアーマーに、ウルトラ戦士みんなの力が・・・!」
 陽輝がウルトラフォースアーマーを見つめて、戸惑いをふくらませる。フォースがウルトラフォースアーマーを装着して、その大きな力を実感する。
「みんな、ありがとう!必ず、ジャッカルを止めてみせる!」
 フォースが感謝して、ジャッカルに視線を戻す。
「まだです!僕たちも援護しますよ!」
 カナタが呼びかけて、デッカーたちもジャッカルの破壊光線を迎撃しようとしていた。
「タロウ、我々5兄弟の力を、お前にも集めるぞ。」
 ゾフィーがタロウに呼びかけて、ウルトラマン、セブン、ジャック、エースが頷いた。
「しかし、ただでさえエネルギーを消耗しているのに、私に分けたら兄さんたちが・・・!」
「我々がその後に戦える余力をきちんと残す。」
「その上でのウルトラチャージでも、お前は我々の力を1つに合わせて高めることが可能のはずだ。」
 心配するタロウを、ウルトラマンとセブンが励ます。
「我々もこの後も必ず戦い続ける。」
「オレたちのことは気にするな。今はヤツを倒すことに専念するんだ。」
 ジャックとエースもタロウの背中を押す。
「分かった・・力を貸してくれ、兄さんたち!」
 タロウが頷いて、意識を集中する。
「ウルトラチャージ!」
 ゾフィーたちがそれぞれカラータイマー、ビームランプからエネルギーを発して、タロウが頭の角「ウルトラホーン」で集めた。タロウの体全体も光を発する。
「ジャッカル、お前にこの地球も、どの宇宙も荒らさせはしない!」
 ジャッカルに言い放って、タロウが両腕にエネルギーを集中させる。
「コスモミラクル光線!」
 タロウが右腕を振りかざして光線を発射した。
「ムダだ、タロウ!」
 ジャッカルが言い放って、タロウたちに向かって破壊光線を発射した。2つの光線がぶつかり合うが、タロウの光線が押されていく。
「我々も最後の力を振り絞るぞ!」
 ゾフィーが指示を出して、ウルトラマンたちが頷いた。タロウにエネルギーを渡したことでカラータイマーとビームランプが点滅していた彼らだが、それを承知でタロウとフォースの援護をしようとしていた。
 ゾフィー、ウルトラマン、セブン、ジャック、エースがそれぞれM87光線、スペシウム光線、ワイドショット、シネラマショット、メタリウム光線を放って、タロウを援護する。
「レオ兄さん!」
「行くぞ、アストラ!」
 アストラとレオが声を掛け合って、ウルトラダブルフラッシャーを出した。
 80、ティガ、ダイナ、ガイア、アグルも続けてサクシウム光線、ゼペリオン光線、ソルジェント光線、フォトンストリーム、アグルストリームを発射した。
「ギンガクロスシュート!」
“3!ナイトビクトリウムフラッシュ!”
「ナイトビクトリウムフラッシュ!」
 ギンガとビクトリーもジャッカルの光線を押し返すため、それぞれ光線を出した。
「エクスラッガーショット!」
 エックスが額に戻したエクスラッガーから虹色の光線を発射する。
「オーブスプリームカリバー!」
 オーブがエネルギーを集めたオーブカリバーを前に出して、光線を出した。
“解放せよ、宇宙最強の力!”
「ロイヤルエンド!」
 ジードがキングソードを左腕に当てて十字を組んで、光線を発射した。
「フレイムスフィアシュート!」
「アクアストリューム!」
「グリージョショット!」
 ロッソ、ブル、グリージョも同時に光線を発射した。
「トライストリウムバースト!」
 タイガが両手を逆L字に組んで、光線を放った。
「ゼスティウム光線!」
 ゼットが両腕を十字に組んで、光線を撃った。
「ゼペリオン光線!」
「ダイミュード光線!」
 トリガーとデッカーも光線を出して、ゼットたちの光線と合わせて、ジャッカルの破壊光線を押し返す。
「セレーナ、私たちの残っている力を、この1発に込めよう!」
「分かったよ、ナツ!」
 ナツの呼び声にセレーナが答える。
「フルムーンシュート!」
 セレーナが左手にエネルギーを集めて光線を放って、デッカーたちの光線を後押しする。
「みんなの力を、オレたちが1つにする!」
 陽輝が言って、フォースが全身の虹色の光を1度カラータイマーに集めた。その光を両腕で移動させる。
「ウルトラフォースシュート!」
 フォースが両腕を十字に組んで、光線を発射した。光線の出力が大きく、彼はその反動に押されそうになるのを、両足を強く踏み込んで耐える。
 フォースの光線がデッカーたちの光線と合わさって、ジャッカルの破壊光線を押し込んだ。
「バカな!?今のオレの力が押し返されるだと!?」
 ジャッカルが驚きながら、力を振り絞る。破壊光線の威力が高まるが、フォースたちの光線に押される一方だった。
「オレは宇宙一の力を持った最強の存在・・このオレが、お前たちなどに負けるはずがない!」
 ジャッカルが納得できず、力ずくで破壊光線を押し込もうとする。
「我々は1人1人ではお前に劣るかもしれない・・だが我々は力を合わせることで、どんなことにも負けない強さとなる!」
「それはお前になくて、ウルトラマンや地球人、正しい心を持つ人にあるものだ!」
 フォースと陽輝が本当の強さについて言い放つ。
「そんなくだらないものに、オレが負けるものか!」
「我々の絆の強さをそのように考え続ける以上、それがお前の限界だ!」
 聞き入れないジャッカルにフォースが言い返す。フォースたちウルトラ戦士が出している光線にさらに力を込めた。
「ぐおぉっ!」
 破壊光線を破られて、ジャッカルがフォースたちの光線を浴びて包まれた。
「このオレが、こんなことで倒れるなど・・決してあり得ない・・オレは認めんぞー!」
 光線で地球から宇宙へ飛ばされたジャッカルが、絶叫を上げて大爆発した。他の星々に影響を及ぼすほどの力を宿していた彼だが、光線の威力で爆発の拡大が抑えられた。
「ジャッカルが完全に消えた・・宇宙の被害も最小限に食い止められた・・!」
 カナタが宇宙で消えていく光を見つめて、戸惑いを覚える。
「勝った・・我々で、ジャッカルたちから地球と宇宙を守ったんだ・・・!」
 フォースが勝利を確信して安心を覚える。
 その直後、彼とデッカーたちがふらついて、中にはその場に膝をつく人もいた。エネルギーを大きく消耗して、立っているのもやっとの状態だった。
「力を使いすぎた・・やっと勝てたということか・・・!」
「それだけの強敵だったということか・・・!」
 カナタとヒカルが疲弊を感じて呼吸を乱す。
「いけない・・みんな、早くエネルギーを回復させないと・・・!」
 セレーナが空を見上げて、太陽からエネルギーを得ようとした。
 そのとき、フォースたちの前に3人の人物が現れた。ウルトラの父と母、キングだった。
「父さん!母さん!」
「ウルトラマンキング!」
 タロウとレオが父たちに向かって声を上げる。
「すぐに駆け付けることができず、すまなかった・・」
「あなたたちの傷ついた体を治療します。」
 父が声をかけて、母が意識を集中する。
「マザー光線!」
 母が手をかざして光を放った。
「ウルトラの母の力を、ここにいる全員に。力を貸してくれ、ウルトラの父。」
「分かりました、キング。」
 キングが指示をして、父が答えた。2人が超能力を発して、母の光線を拡散させた。
 光線を浴びたフォースたちはエネルギーを回復させてカラータイマー、ビームランプも元に戻った。
「回復した・・ありがとう、母さん、父さん、キング!」
 タロウが感謝して、父たちが頷いた。
「ウルトラマンフォース、ウルトラウーマンセレーナ、君たちも平和を守るために戦ってきたこと、我々も理解している。」
 父がフォースとセレーナへ振り向いて称賛を送る。
「私たちだけではありません。ウルトラ戦士や他の世界の戦士たちが力を貸してくれたからこそ、地球と宇宙を守ることができました。」
「みんながいなかったら、私たちはどうなっていたか・・・」
 フォースとセレーナが答えて、互いに目を向ける。
「それで2人はこれからどうするつもりだ?このまま地球に留まるつもりか?」
 キングに問いかけられて、フォースとセレーナがそれぞれ陽輝、ナツに意識を傾ける。
「セレーナには、フラン王国の人たちを助ける使命があるわ。だから行ってあげて・・」
 ナツがセレーナの事情を組んで呼びかけた。
「でもそれだとあなたが・・」
「みんなを見つけて王国復活を軌道に乗せたら、また地球に来る。あなたの本心を私も分かっているわ。」
 心配するセレーナを、ナツがあたたかく見送ろうとしていた。
「フォース、君もセレーナについていくんだろう?フラン王国が落ち着いたら、セレーナと一緒にまた地球に来ると・・」
 陽輝もフォースがセレーナの手伝いをしたいと考えていることに気付く。
「あぁ。この地球が好きなのも本心だが、私の助けを求めているのは、この地球だけではないのも確かだ。」
「だから、オレたちのことは気にせず、セレーナのそばにいてやってくれ。地球は本来は、オレたち地球人が守らなくちゃいけない星なんだ。」
 正直な思いを告げるフォースに、陽輝が呼びかける。陽輝もフォースの意思を尊重しようと考えていた。
「ありがとう、陽輝。しかしこれは永遠の別れではない。必ずまた地球を訪れ、君と力を合わせることを誓う。」
「そのためにも、オレはナツたちと一緒に地球を守ってみせる。」
 感謝するフォースが、陽輝と再会を約束した。
「ウルトラの父、ウルトラの母、ウルトラマンキング、私とセレーナは1度地球を離れます。」
「でもすぐにまた地球へ来ます。私も、この地球が好きになったから・・」
 フォースとセレーナが自分たちの考えを父たちに伝えた。
 フォースとセレーナから陽輝とナツが出てきた。陽輝たちはフォースたちと分離して、腕からフォースブレス、セレーナリングが消えていた。
「これでオレたちは別れたんだね・・」
「でもまた戻ってくる・・もう1度、フォースブレスを付けるときが来る・・・」
 フォースたちと別れる悲しみを感じていくナツと、フォースたちを信じる陽輝。
「ミーたちは地球のどこかでひっそり暮らしていくぜ。」
 バルキがジョリーとともに巨大化を解いて、陽輝たちのところへ来た。イカリ、ナクリも一緒だった。
「お前らも来てたのか!」
「一緒に戦ってくれたんだね!」
 ギンガと大地がバルキたちを見て喜ぶ。
「あくまでオレたちの居場所を守っただけなんじゃなイカ!」
「活躍もあの王様たちに取られちゃったしねぇ~・・」
 イカリが言い返して、ナクリがキングオージャーを見上げてため息をつく。
「これで少しは落ち着けるかしらね。」
「この国に平和が戻ったようでございますな!」
 ヒメノが微笑んで、カグラギが高らかに言い放つ。
「しかし時間を費やした。そろそろ戻らなければ。」
「みんなにもツラを見せとかねぇとな!」
 リタが呟いて、ヤンマが国の仲間のことを考える。
「ではオレたちは1度帰る!だがこの国が平和を脅かすならば、オレがこの国を支配して平和にしてやるぞ!」
 ギラが高らかに言って、キングオージャーが飛び去っていった。
「また1つ、大きなつながりができた・・・」
 ギラたちとも知り合えて、陽輝はフォースとともに幸せを感じていた。
「では私たちも行くとするかしらね。」
「ちゃんとこの地球を守らないと、吾輩が支配してやってもいいんじゃなイカ!」
「ミーたちもこの地球を狙ってること、忘れるんじゃないぞー!」
 ナクリが言いかけて、捨て台詞を吐くイカリ、バルキと一緒に逃げ出すように走っていった。
「アイツら、そのつもりがないくせにあんなことを言って・・」
 エックスがバルキたちに向かって呟いて、大地も笑みをこぼす。
「我々も戻ることにしよう。」
「宇宙を脅かす脅威がどこかにある限り、我々の戦いはこれからも続いていく。」
 ウルトラマンとゾフィーがフォースたちに向かって声をかける。
「地球はそこに住む地球人によって守り抜く。その志は、この地球の人たちにしっかりとある。」
「どんな逆境にも、君たちなら乗り越えられる。」
「このままその強さと優しさを持ち続けてほしい。」
 セブン、ジャック、エースが陽輝たちに励ましの言葉を伝える。
「勇気と絆が、心の強さにつながっていく。この戦いの中で、みんなの中にそれがあることを確信した。」
「オレたちウルトラ戦士にも、地球のみんなにも。」
 タロウとタイガも続けて声を掛けた。
「たとえ世界が違っていても、こうして出会った以上、オレたちのつながりは絶対に切れない。」
「だからオレたちともまた会えるぜ。」
 ギンガとゼロが気さくに言って、陽輝とナツが笑みをこぼした。
「みんなと会えたこと、オレも絶対に忘れない。そしていつかまたここに来ます。」
 カナタも陽輝たちに向かって声をかけてきた。
「ありがとう、カナタ!ありがとう、みんな!」
 陽輝が喜んで、デッカーへ大きく手を振った。
「それじゃ、陽輝さん、ナツさん、さようなら!」
 カナタが陽輝たちに挨拶して、デッカーがトリガーたちとともに飛び去っていった。父、母、キングもフォースたちの前から姿を消した。
「フォースたちとも、1度ここでお別れだね・・・」
「だが必ずまた会いに来る。」
 陽輝とフォースがお互いに視線を戻す。
「フラン王国が平和を取り戻したこと、あなたたちに伝えに行くから。」
「うん。いつでも待っているからね、セレーナ。」
 セレーナとナツが再会を約束する。
「では行こう、セレーナ。」
「うん、フォース。」
 フォースとセレーナが目を合わせてから、飛び上がって地球を去った。
(ありがとう、フォース・・君たちがいたからこそ、オレもここまで戦えたんだ・・・また一緒に、地球と宇宙を守るために戦おう・・・)
 フォースたちを見送って、陽輝が感謝と決意を胸に秘めていた。
「陽輝!ナツ!」
 そこへギンがイズルとともに駆け付けて、陽輝たちに声をかけてきた。
「ギン、イズル!」
「2人も無事だったのね。」
 陽輝が答えて、ナツがギンたちを見て安心する。
「帰っていったんだな、ウルトラマンたち・・」
「フォースとセレーナも、この地球から・・・」
 ギンとイズルがフォースたちのことを聞いて、陽輝が頷いた。
「でも必ず帰ってくる。こうして地球に来て、オレたちと一緒に戦ってくれたんだから・・」
「それまで僕たちが、この地球を守ってよくしていかないと。」
 陽輝がフォースたちの帰りを待って、イズルがこれからのことを口にする。
「勇気と絆があれば、どんな困難も乗り越えられる・・・!」
「今度こそオレの力で悪い宇宙人をやっつけてやるぞー!」
 ナツが気を引き締めて、ギンが意気込みを見せる。
「さぁ、本部へ戻ろう。隊長が待っている。」
「うん。」
 陽輝が呼びかけて、ナツが頷いた。彼らはフォースガンダム、Gパニッシャーに乗って、Gフォース本部へ戻った。

 デッカーたち、そしてフォースとセレーナも地球から去ったのを、トウジも本部前から見届けていた。
「隊長!」
 ギンが陽輝たちと一緒に戻ってきて、トウジに声を掛けた。
「みんな、この世界を後にした。フォースたちも・・これからの地球は、我々で守っていかなければならない。」
「でも、フォースたちは必ず地球に来ます。そのときに、オレたちで地球を守れていることを示せるようにしておかなくては・・」
 トウジが大切なことを告げて、陽輝がフォースへの信頼を口にした。
「フォースたちに、ウルトラマンに、戦士たちに恥じない生き方をしないと・・」
「本当の戦いは、ここからだね。」
 陽輝とナツの決心に、ギンたちが頷いた。
「まずは本部と戦力の立て直しを行い、改めて防衛線を敷く。その上で機体の強化も考えていく。」
「フォースガンダムとGパニッシャーの強化も・・・!」
 トウジがこれからのことを話して、ギンが戸惑いを覚える。
「僕、やってみせます。Gフォースのモビルスーツの強化を。」
 イズルがトウジに機体の強化を志願した。
「みんなで協力してやっていきましょうね。」
「うん、ナツさん。」
 ナツに励まされて、イズルが微笑んで頷いた。
「今日は体を休めて、明日からの任務と作業に備えてくれ。」
「はい!」
 トウジが励ましを送って、陽輝たちが答えた。

 ジャッカルとその大軍団と、フォースたちウルトラ戦士と陽輝たちGフォースの戦いは幕を閉じた。
 その日の夜、陽輝はGフォース本部の前から夜空を見上げていた。フォースとセレーナがまた地球に来ると信じていたものの、一時的でも別れをすることに悲しみを感じていないわけではなかった。
「やはり、いなくなるとどうしても気になってしまうんだな・・・」
 陽輝が呟いて、フォースブレスがあった腕に目を向ける。
「フォース、お前がいなかったら、オレは間違った道を進んでいたし、生きてはいなかったと思う・・お前が、本当の強さを教えてくれたんだ・・」
 フォースとの出会い、フォースとともに戦ってきた日々を思い返す陽輝。フォースがいなければ復讐に囚われていたと、彼は痛感していた。
「フォースのことを考えていたの?」
 ナツがやってきて、陽輝に声をかけてきた。
「あぁ・・信じているからそんなに悲しまないと思っていたけど・・どうしても気にしてしまうものなのかな・・・」
 ナツに振り向いて答えてから、陽輝が空に視線を戻す。
「私はセレーナと一緒だったのは少しだけだったけど、セレーナと一緒にいられたことを嬉しく思うよ・・」
 ナツもセレーナと過ごしたひとときを思い出していく。
「ウルトラマン、ウルトラウーマンと一緒に戦うのはこういうことなんだって・・ものすごく身近にいて、一心同体ってこういうことなんだって・・・」
 セレーナとの共存の中で、ナツは大切なことを学んだ気がしていた。
「あぁ・・オレたちはフォースたちに救われた・・でもきっと、お互いに助け合ったというのが正解なのかも・・」
「私たち、お互いに力を合わせて乗り越えてきたよね・・もちろんGフォースのみんなも、この世界に来てくれた他の人たちも・・」
「その人たちもまた、この世界に来ると思う。オレたちが会ったことのない人も、ここに来るかもしれない・・」
「その人たちに恥ずかしいところに見せないために、私たち自身ががんばらないとね。」
 陽輝とナツが言葉を交わして、互いに励まし合う。
「地球は地球人が守る・・オレたちの強さが試されるのはこれからだ。」
「うん・・これからは、今まで以上に一緒に任務をこなしていくからね、陽輝。」
 決意を口にする陽輝に想いを伝えて、ナツが彼に寄り添った。
「ナツ・・・」
 戸惑いを感じた陽輝が、ナツを優しく抱きしめた。2人は互いに対して並々ならない気持ちを抱いていた。
「地球や宇宙を守りたいと思っているけど、今オレは、ナツのことを1番に守りたいと思っている・・・!」
「私も、1番守りたいのは陽輝だと思っている・・・」
 今の正直な想いを告白する陽輝とナツ。2人の仲が大きく深まった。
「明日から気を引き締めていこう。オレたち2人だけじゃなく、Gフォースのみんなと力を合わせて。」
「えぇ。私たちGフォースの真価が問われるのは、これからね。」
 陽輝とナツが決意を確かめ合って、本部の中に戻っていった。彼らの本当の任務が、ここから始まろうとしていた。

 地球を離れたフォースとセレーナは、フランにたどり着いた。ジャッカル星人の残党を撃退した2人は、フランの人々に向けてウルトラサインを飛ばした。
 ウルトラサインを見たことで、他の星へ逃げていたフランの人々が、徐々にフランに戻ってきた。
「セレーナ様、ご無事だったのですね・・!」
「フランに平和が戻るのを、どれだけ待ったことか・・・!」
 人々がセレーナを見て感動する。
「みんな、帰ってきたのね・・ジャッカルの軍団は倒れたよ。ウルトラ戦士が、みんなを守ってくれた・・」
 セレーナが説明をして、フォースに目を向ける。
「私たちはこれから、フランの復興と再建を進めていくつもりよ。でもその後にやりたいことがあるの。」
 彼女は続けて、自分の願いを人々に向けて語る。
「私は地球に来て、地球と地球人のすばらしさを知った。また地球に行って、もっとみんなのことを知りたい・・」
「セレーナ様・・そこまでその地球というところが好きになったのですか・・・!」
 セレーナの話と思いを聞いて、人々が戸惑いを覚える。
「セレーナ様、私たちは構いません。遠慮せずに行ってください。」
「私たちは今まで、あなたや国王に頼りきりでした。ですがこれからは、私たちもフランのために力と知恵を振り絞るときです。」
 人々がセレーナの願いを聞き入れて、自分たちがフランを盛り立てる決意を伝えた。
「ありがとう、みんな・・私のわがままを聞いてくれて・・・」
 セレーナが人々に感謝して、幸せを感じていく。
「私もフランの復興に協力する。ともにフランを立て直していこう。」
 フォースも人々に言って、セレーナと握手をした。
「ありがとうございます、フォース様!」
「これからよろしくお願いします!」
 人々がフォースにも感謝して、喜びをふくらませた。
「よかったよ、フォース。みんなが許可してくれて・・」
「君もわがままに考えを言うのではなく、王女としての自覚を持ってみんなに頼んだ。王女として成長しているということだ。」
 喜ぶセレーナにフォースも称賛する。
「ありがとう、フォース。これからもよろしくね。」
「あぁ、セレーナ。」
 セレーナとフォースが握手をして、人々が2人に向かって拍手を送った。
「さぁ、みんな。力を合わせてフランを盛り立てていこう。」
「おー!」
 セレーナが掛け声を上げて、人々が答えた。
「ナツ、地球でがんばって。私たちもフランでがんばって、また地球に行くから・・」
「陽輝、君たちは地球人だけの力で地球を守っていける。その姿をもう1度見るために、私たちは必ず地球を訪れる。そのときは、もう1度一緒に戦おう。」
 ナツや陽輝たちとの再会の決意を強くしていくセレーナとフォース。
 フォースたちウルトラ戦士と、陽輝たち地球人。両者が互いに成長していけば、再び力を合わせたときにより大きな強さを発揮できる。
 フォースたちも陽輝たちもそう考えていた。

 多次元宇宙の中の1つの地球を訪れたウルトラマン、フォース。
 その地球に住む陽輝と一心同体となり、同じく地球を訪れた戦士たちとも出会い、力を合わせて危機に立ち向かった。
 現在、両者は離れ離れになっているが、それぞれの場所で全力を尽くしている。
 その上でいつかまた再会し、また地球や宇宙を守るために力を合わせること、陽輝たちもフォースたちも決意していた。

 フォースたちの戦いは、まだまだ終わらない。

 

 

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