ザ・グレイトバトル
-命の解放-
第9章
「80!」
「ユリアン!」
猛と涼子がアイテム「ブライトスティック」と「ブライトブレスレット」を使って、ウルトラの戦士、80とユリアンに変身した。
「ウルトラチャージ!」
2人が右手を伸ばしてエネルギーの光を放つ。光は硬直しているフォースとタイガのカラータイマーから体内へと入っていく。
エネルギーが回復したフォースとタイガの瞳に光が戻った。80たちの力で、2人は復活を遂げた。
「フォース、タイガ、大丈夫か!?」
80がユリアンとともに駆け寄って、フォースたちを支えた。復活はしたもののエネルギーが全快になったわけではなく、フォースたちのカラータイマーは点滅していた。
「あ、あなたたちは・・ウルトラ戦士・・・!」
「80さん、ユリアンさん・・2人もこっちに来ていたのですか・・!?」
フォースとタイガが80たちを見て、戸惑いを覚える。
「2人とも無事に目が覚めてよかったわ・・」
「1度変身を解くんだ。これから戦いが激しくなる。そのときに備えて、完全な回復を心掛けなければ・・」
ユリアンが微笑んで、80がフォースたちに呼びかける。フォースたちが変身を解いて、ハルキたちがナツたちの前に戻ってきた。
「ハルキくん・・よかった・・無事に戻ってきて・・!」
ナツが喜びと涙を浮かべて、ハルキに寄り添ってきた。ハルキは戸惑いを感じながら、彼女を優しく抱きしめた。
「うわぁ、熱い展開だねぇ〜♪」
「イサミ、からかうんじゃないって・・」
にやけるイサミをカツミが注意する。
「ありがとうございます。2人が力を貸してくれたから、僕たちはこうして戻ってくることができました・・」
ヒロユキが猛と涼子に感謝して、頭を下げた。
「君たちもこれからの世界を守る希望だ。私たちは君たちの活躍を信じている。」
「はいっ!」
猛から信頼の言葉を送られて、ヒロユキが笑顔で答えた。
「ところで、コウたちは・・?」
「敵の首謀者のところへ行くと言っていた。オレたちも追いかけよう・・!」
ヒロユキがコウたちを気にして、カツミが説明をする。
「ナツさんはハルキさんとヒロユキさんを連れて、本部に戻ってください。シンさんとルナマリアさんにも、今の状況を伝えてほしいですし・・」
「分かったわ、アサヒちゃん・・ハルキくん、ヒロユキさん、1度戻りましょう。」
アサヒの呼びかけを聞いて、ナツがハルキに肩を貸して歩き出す。ヒロユキも2人についていって、Gフォース本部に戻っていった。
今回の事件の黒幕を追って、アラタたちは或人たちとともにある人物の前に現れた。
「今回現れた敵を影で動かしていた黒幕。それがあなただ、富良野虎男。」
ハイドがその人物、虎男に語りかけた。
「君たちも別の世界から来たようだが、いきなり何を言い出すのだ?」
虎男がアラタたちに疑問を投げかける。
「私はフォースレンジャーの長官、富良野だ。パーソナルデータも防衛隊に登録されている。」
「それはお前が偽装した架空のデータだ。そのデータが巧妙である上、フォースレンジャーがこの世界の防衛隊の中で独立した部隊となっているため、偽装が気付かれることはない。」
自分のことを話す虎男に、ゴセイナイトが反論する。
「それに、僕たちは時間を超えて、あなたの正体を確かめることができました。本来はいけないことだけど、あなたに未来を動かされるわけにいかないから・・」
良太郎が虎男に向けて話を続ける。彼とモモタロスたちはデンライナーで時間を超えて、黒幕の正体を確かめていた。
「正体を見せるんだ、虎男さん・・いや、救星主のブラジラ!」
アラタが真剣な顔で虎男に呼びかけた。
「救星主?君たちの言っていることは分からないことだらけだ。これ以上おかしなことを言い続けるなら、我々も相応の対応をしなければならなくなるぞ。」
虎男がアラタたちの言葉に不満を浮かべる。
「とぼけるのもいい加減にしろ!お前が人間に化けているのは分かっているんだ!」
「これならさすがに化けの皮もはがれるよね!」
アグリとモネが言い放って、アラタたちとともにゴセイブラスターを手にして構えた。
「物騒なマネを・・君たちの言い分は認められないが、私はこのままやられるわけにはいかない・・!」
虎男が自分の身を守ろうと、携帯していた銃を手にした。
「お前たち!」
そこへ蓮斗が悠馬、理穂とともに駆けつけて、アラタたちを呼び止めてきた。
「フォースレンジャー!?」
「オレたちの邪魔をするだけじゃなく、長官にも危害を加えようとするなんて・・!」
或人が声を上げて、蓮斗が怒りをあらわにする。
「長官、下がってください!」
「ここはあたしたちが!」
悠馬と理穂が呼びかけて、虎男を守ろうとする。
「フォースチェンジ!」
蓮斗たちがフォースチェンジャーの青いボタンを押して、フォースレンジャーに変身した。
「待つんだ、みんな!アラタさんたちは悪くない!」
或人が呼び止めるが、蓮斗たちがアラタたちに飛びかかる。蓮斗たが繰り出した打撃を受けて、アラタたちが押される。
「やめるんだ、3人とも!オレたちが戦う必要はないんだ!」
「戦う必要はある・・お前たちが、オレたちの長官を狙っているからだ・・・!」
説得を試みるアラタだが、蓮斗たちは敵意を消さない。
「僕たちは大切なものを守る・・!」
「守れるだけの力を、私たちは手に入れたんだから!」
悠馬と理穂も自分たちの意思を貫こうとする。
「フォースシューター!ライフルモード!」
蓮斗たちがフォースシューターを手にして、ライフルモードにしてビームを発射した。
「天装!」
ビームが当たった地面の爆発のそばで、アラタたちがゴセイジャーに変身した。
蓮斗たちが射撃を続けて、アラタたちが回避していく。アラタたちは反撃はせず、蓮斗たちへの呼びかけを続ける。
「なぜ反撃しない!?本気で攻撃されて、何もしないつもりなのか!?」
防戦一方となっているアグリとハイドに、悠馬が疑問を覚える。
「オレたちはお前たちを倒したんじゃない!ホントのことを知ってもらいたいだけだ!」
「事実を知ってもらって、それでもオレたちが許せないというなら、お前たちのその怒りを甘んじて受けよう・・しかし真実を見ようとせずにただ怒りをぶつけてくるだけなら、オレたちはお前たちを止めなければならなくなる・・!」
アグリとハイドが悠馬に考えを伝える。
「それで、長官が悪者だっていうのを信じろって言うの!?そんな身勝手、認められるわけないでしょ!」
理穂が納得できず、不満を言い放つ。
「大切なものを守りたいって気持ちは、あたしたちにもあるよ!」
「私たちも、大切な人や守りたかった人を守れなかったことがある・・その辛さ、痛いほど分かっているよ・・!」
モネとエリも自分たちの経験してきたことを打ち明ける。
「ならオレたちの怒り、十分に分かっているはずだ!しかしお前たちは長官を、オレたちを!」
蓮斗がフォースソードを手にして振りかざす。蓮斗の攻撃を、アラタとゴセイナイトがスカイックソードとレオンレイザーで防いでいく。
「その怒りと悲しみを、君たちは利用されているんだ・・君たちが守ろうとしているものを、ブラジラは壊そうとしているんだ!」
「オレたちはお前たちの力に頼ることはない!オレたちがみんなを守るんだ!」
アラタの呼びかけをはねつける蓮斗。2人が横一線に振りかざしたスカイックソードとフォースソードが、互いの体を切りつける。
アラタと蓮斗が振り向きざまに、立て続けに一閃を繰り出す。スカイックソードとフォースソードがぶつかり合って、つばぜり合いとなる。
「僕たちも3人を止めましょう・・!」
良太郎が呼びかけて、志郎が頷いた。
「変身!」
“飛び上がライズ!ライジングホッパー!A jump to the sky turns
to a riderkick.”
“ライダーターイム!”
“カメンライダー・ジオー!”
“カメンラーイダー・ゲーイツ!”
“投影・フューチャータイム!スゴイ・ジダイ・ミライ!カメンライダー、ウォズ!ウォーズ!”
“Sword form.
「変身・・ブイスリャー!」
「クロノチェンジャー!」
或人、ソウゴ、ゲイツ、ウォズ、良太郎、志郎、竜也がゼロワン・ライジングホッパー、ジオウ、ゲイツ、ウォズ、電王・ソードフォーム、V3、タイムレッドに変身した。
「リュウソウチェンジ!」
“リュウソウクール!”
“リュウSO COOL!”
コウたちもリュウソウジャーに変身して、或人たちとともにアラタたちに加勢する。
「やめるんだ、みんな!」
コウがゴセイナイトとともにリュウソウケンとレオンレイザーを振り下ろして、アラタと蓮斗の間に割って入る。
「怒りや憎しみに囚われたら、守りたいものが守れなくなる・・大切なものも、自分自身も・・・!」
「お前たちが誰かを守ろうとするように、お前たちを守ろうと今も命懸けになっている者もいる。その者の意思を、お前たちも知らなければならない。」
コウとゴセイナイトも蓮斗たちに呼びかける。
「ゴセイジャーはオレたちを救ってはくれなかった・・そのお前たちが、そんなことを言う資格があると思っているのか!?」
蓮斗が怒りをふくらませて、アラタたちに向かっていく。その前にV3が立ちはだかって、フォースソードを持つ蓮斗の右腕をつかんで押さえた。
「アラタくんたちは真正面から呼びかけ、お前たちの怒りを真っ向から受け止めようとしている。その強い意思にただ怒りをぶつけるだけならば、我々も全力で止めなければならない・・!」
V3が蓮斗に忠告して、腕をつかむ手の力を強くする。
「邪魔をするなら容赦しない・・悠馬、理穂、力を合わせるぞ!」
蓮斗が指示を出して、V3を引き離して距離を取る。悠馬と理穂が彼と合流した。
「フォースバスター!」
蓮斗たちがフォースソード、フォースバズーカ、フォースアローを合体させて、フォースバスターにした。そのとき、彼らの持つフォースオーブから光が発せられた。
「このオーブを使えば、フォースバーストの威力を上げられるかも・・!」
「フォースウェポンにもフォースオーブは付けられた・・フォースバスターの力を上げるんだ・・!」
理穂が声を上げて、悠馬が呼びかける。
「フォースオーブ、セット!」
蓮斗たちがフォースバスターを形成しているフォースウェポンに、それぞれフォースオーブをセットした。フォースバスターから光があふれ出す。
「いけない!みんな、離れて!」
アラタが呼びかけて、エリたちとともに或人たちを横に突き飛ばした。
「フォースオーブバースト!」
蓮斗たちがフォースバスターから赤、青、黄色の光が混じった虹色の光線が放たれた。
「うわあっ!」
或人たちを庇ったアラタたちが、光線の直撃を受けて吹き飛ばされた。倒れた彼らは大きなダメージを負って、起き上がることができない。
「なんて威力だ、あの攻撃・・・!」
「それだけじゃない・・3人が使ったあのオーブ・・ブラジラが使っていた護星天使のオーブに似ている・・・!」
アグリが蓮斗たちの発揮した力に脅威を覚えて、ハイドがその力について推測する。
「ゴセイジャー、オレたちを庇って・・・!」
或人がアラタたちを見て動揺を隠せなくなる。
「これで分かったか・・オレたちは強くなった・・アンタたちに頼らなくても、世界を守ることができるんだ・・!」
蓮斗が言い放って、フォースバスターから分離したフォースソードの切っ先を新たに向けた。
「もうよせ!オレたちが争って何になるっていうんだ!?」
或人がアラタの前に出て、蓮斗を呼び止める。
「そこをどけ!お前もオレたちの邪魔をしやがって・・!」
「ゴセイジャーは君たちのために思いを口にして、体を張ってくれてる!君たちも大切なものを守るために戦ってるなら、その気持ちが分からないはずがない!」
怒鳴りかかる蓮斗に、或人が必死に呼びかける。
「それが分かっていないのはそいつらだ・・そんなのに味方するなら、アンタたちも容赦なく倒すぞ・・!」
「そこまで言い張るなら・・・君たちを止められるのは、オレたちだ!」
フォースソードを構える蓮斗に、或人が決意を固めて構えを取った。
「うあっ!」
「キャッ!」
そのとき、悠馬と理穂が黒い稲妻に体を締め付けられて、空中に持ち上げられた。
「悠馬、理穂!?」
蓮斗が悠馬たちに振り返って、驚きの声を上げる。
「このときを待っていた。護星天使どもがお前たちと同士討ちをして、追い込まれるこの瞬間を。」
蓮斗たちに向かって声がかかった。その声の主は虎男だった。
「ち、長官・・・!?」
虎男の行動と態度に、蓮斗が目を疑う。黒い稲妻を出していたのは虎男だった。
「う、動けない・・力が入らない・・・!」
「長官・・これは、どういうことですか・・・!?」
理穂と悠馬が声を振り絞って、虎男に問い詰める。
「お前たちの怒りがゴセイジャーを追い詰めた。私が引き出したとはいえ、それを思っていた以上の力を発揮したお前たちの怒りは本物だということだ。」
「何を言っているんですか!?・・きちんと説明してください、富良野長官!」
笑みをこぼす虎男に、蓮斗が怒鳴りかかる。
「やっぱり、そうだった・・お前は、ブラジラ・・・!」
「お前たちの言う通りだ、ゴセイレッド。この富良野虎男は借りの姿。本当の私は・・」
声を振り絞る新たに、虎男が笑みを浮かべて言い返した。彼の姿に変化が起こって、異形の怪人物となった。
「救星主のブラジラだ。」
「ち、長官・・!?」
変貌を遂げた虎男に、蓮斗が驚きを隠せなくなる。虎男の正体は、かつてアラタたちと激闘を繰り広げた救星主、ブラジラだった。
「本当にお前が、今回の事件の黒幕なのか・・!?」
「そういうことになるな。お前たちが戦った怪獣、怪人、宇宙人も私の思惑通りに動いてくれた。特にゴセイジャーへの強い不満を抱いていたフォースレンジャーには感謝しているぞ。」
或人が問い詰めて、ブラジラが自分たちのことを語り出す。
「感謝!?・・自分の目的のために他の人を平気で犠牲にするお前に、そんな感情があるはずがない・・!」
ハイドが顔を上げて、ブラジラに言い返す。
「こんな大げさなことをして、何を企んでるんだ!?」
或人が怒りの声を上げて、ブラジラに問い詰める。
「いいだろう。こうして正体を明かしたのだから・・」
ブラジラが笑みをこぼして、或人たちに自分の企みを打ち明けた。
「私はある強大な存在を束ねるため、この世界で動いていた。その力と肉体が合わされば、何者にも勝る絶対無比の存在が誕生する。」
「強大な存在・・・!?」
「“バンドーラ一味”があがめていた大サタン、“デーボス軍”の神、デーボス、大星団“ゴズマ”を束ねていた星王バズーことゴズマスター。その力と怨念が集まることで、救星王、デーボサタンが誕生するのだ!」
「救星王デーボサタン・・・!」
ブラジラの打ち明けた話に、コウが息をのむ。
「バンドーラ、デーボス、ゴズマ・・いずれもスーパー戦隊に撃退された一味たちだ・・!」
「その親玉が、こっちの世界にみんな集まってきたってわけかよ・・!」
竜也とモモタロスがブラジラの話を聞いて毒づく。
「もうじき大サタンたちの怨念が、この地球に集まってくる。その怨念がデーボサタンとなったところで、私がその核となるのだ!」
「そんなことはさせない・・ブラジラ、地球や宇宙を思い通りにしようとするお前の企み、オレたちが止める・・!」
高らかに言い放つブラジラに、アラタが言い返す。しかしダメージが大きく、彼もエリたちも起き上がることができない。
「ムダだ。お前たちは蓮斗たちの攻撃を受けたダメージが大きい。私を止めるどころか、他のヤツの足手まといになるだけだ。」
ブラジラがそんなアラタたちを見下ろしてあざ笑う。
「待て、ブラジラ!オレたちがいるのを、忘れてもらったら困る!」
コウがメルトたちとともにブラジラの前に立ちはだかった。
「アンタなんかの思い通りにはさせないんだから!」
「アラタさんたちを止めれば何とかなると思うのは、大きな間違いだと覚えておくことだ。」
アスナとメルトが言い放って、ブラジラにリュウソウケンの切っ先を向けた。
「他のヤツらは戦力としては厄介だが、我がダークゴセイパワーを阻む障害にはならない。ダークゴセイパワーも、デーボサタンを誕生させるカギなのだ。」
ブラジラがさらに語って、掲げた右手から黒い光を発する。
「そこまで計算して動いているとはね。」
「いや、アイツは自分は神やその類であると思い込んでいる、自己中心的なヤツだ・・」
「自分以外の人を利用して、平気な顔をする・・女性にもそんなことをするとは、断じて許すことができない・・・!」
トワが笑みをこぼすと、バンバとカナロがブラジラに対する怒りを口にした。
「富良野長官・・いや、ブラジラ!・・お前はオレたちを騙していたのか・・・!?」
蓮斗がブラジラに振り返って、鋭い視線を向ける。
「お前たちの怒りと力は、私の計画に十分役に立った。結果、ゴセイジャーを追い詰めるまでとなった。」
「この力はオレたち自身のものだ!お前のようなヤツの思い通りにはならない!」
喜びを見せるブラジラに、蓮斗が怒鳴りかかる。
「果たしてそうかな?」
ブラジラが言いかけたときだった。フォースソードにセットされていた赤いフォースオーブから、黒い稲妻が放たれた。
「何っ!?うあっ!」
驚く蓮斗も稲妻に体を縛られて動けなくなる。
「蓮斗!?」
宙に持ち上げられていく蓮斗に、或人が声を荒げる。
「フォースオーブは私が作り上げたもの。私の意思に反応して、その力を発揮することも可能だ。」
ブラジラが蓮斗に目を向けて語りかける。彼はフォースオーブを通じて、蓮斗たちを束縛したのである。
「そのフォースオーブ、お前が使っていた護星天使のオーブか・・!?」
ハイドがフォースオーブの正体に気付く。
「そうだ。フォースオーブはスカイックオーブ、ランディックオーブ、シーイックオーブを元にして、新たに作り出したオーブだ。蓮斗たちの力を引き出すため、そして3人を思い通りに動かすために。」
「ふざけるな!オレたちは、お前の思い通りにはならない!」
答えるブラジラに怒号を放って、蓮斗が黒い稲妻を打ち破ろうとする。
「うぐっ!」
そのとき、蓮斗たちを縛っていた黒い稲妻が、彼らの体に入り込んだ。
「ど、どうなっているんだ・・!?」
「言ったはずだ。フォースオーブはお前たちを思い通りにするためのものでもあると。お前たちが使ったことでオーブと同調するようになり、より支配しやすくなった。」
うめく蓮斗をブラジラがあざ笑う。
「フォースオーブの力でお前たちを支配し、我がしもべとしてくれる!」
ブラジラが稲妻の力を強めて、蓮斗たちを操ろうとする。
「そんなことは・・!」
「させない!」
ブラジラに言い返したのは、蓮斗だけでなく、コウもだった。
「ブラジラ、お前の野望を止めるために、オレたちも戦うぞ!」
「お前を止めるのは、オレたちだ!」
コウに続いて或人もブラジラに言い放った。
「リュウソウジャー、ゼロワン、お前たちの相手は私ではない。」
ブラジラが言い返すと、黒い稲妻が完全に蓮斗たちの中に入った。着地した3人がそれぞれのフォースウェポンを構えた。
「れ、蓮斗!?」
蓮斗たちの異変に、或人が声を荒げる。蓮斗がフォースソードを振りかざして、或人が慌ててかわす。
「何をするんだ、蓮斗!?敵はあっち!ブラジラだって!」
或人が呼びかけるが、蓮斗は攻撃の手を止めない。蓮斗が振りかざしたフォースソードを、コウがリュウソウケンで受け止めた。
「まさか、3人は操られているのか・・!?」
コウが声と力を振り絞って、フォースソードを振り払って蓮斗を遠ざける。
「そうだ。フォースオーブに潜ませたダークゴセイパワーに、蓮斗たちは支配されているのだ。」
ブラジラが今の蓮斗たちの状態を説明する。
「3人を操るなんて卑怯だよ!早く元に戻してよ!」
「せっかくここまで仕立ててきた最高の道具だ。使い捨てにするのはまだ早い。」
アスナが呼びかけるが、ブラジラは蓮斗たちを操ることをやめない。
「止める方法は2つ。1つは3人を倒すこと。もう1つは3人からダークゴセイパワーを叩き出すことだ。」
「ダークゴセイパワー・・あの、蓮斗たちに入った力のことか・・!」
ブラジラの話を聞いて、或人が蓮斗たちを注視する。
「しかし、ダークゴセイパワーを叩き出すには、ゴセイパワーが必要だ・・・!」
「ということはまさか、オレたちのゴセイパワーを封じるために、フォースレンジャーをオレたちにけしかけたのか・・!?」
ハイドが説明をして、アグリがブラジラに問い詰める。
「厄介な障害は取り除くべきなのだ。私の計画は必ず成功させなければならんのだ。」
ブラジラが笑い声を上げると、蓮斗たちが或人たちの前に立ちはだかった。
「目を覚ませ!自分のことしか考えないヤツにいいようにされて、君たちは悔しくないのか!?それが、君たちの望みだったのか!?」
或人が必死に蓮斗たちに呼びかける。
「ムダだ。ダークゴセイパワーを排除しない限り、3人は止まることはない。」
「フォースレンジャーは自分の意志を貫こうとしていた・・それだけ怒りがつよかったはずだ・・それなのに、許せないヤツにいいように操られて、納得できるわけがない!」
ブラジラがさらにあざ笑う中、或人が蓮斗たちから受けた印象を口にする。
「その怒り、言いようにされている今の自分たちにも向けるんだ!」
或人が呼びかけて、新たなプログライズキーを取り出した。
「どうしても止まらないというなら、力ずくでも止めてみせる!」
“Everybody jump!”
“Open rise.”
彼が決意を言い放って、プログライズキー「メタルクラスタホッパープログライズキー」を展開する。
「変身!」
或人がメタルクラスタホッパープログライズキーを飛電ゼロワンドライバーにセットした。
“Progrise!”
“メタルライズ!Secret metarial・飛電メタル。メタルクラスタホッパー!It's high Quality.”
ゼロワンのスーツがメタリックに変わっていく。或人はゼロワンの強化形態「メタルクラスタホッパー」になった。
「おー!銀ピカになったぞ、或人がー!」
コウが或人を見て感動を覚える。
「アイツめー!オレより目立ちやがってー!こうなったらこっちはてんこ盛りだー!」
モモタロスがいきり立って、携帯電話「ケータロス」を取り出した。
“Momo,ura,kin,ryu.climax form.”
彼がボタンを押したケータロスをデンオウベルトにセットする。ウラタロス、キンタロス、リュウタロスも良太郎の体に入り、電王の装甲が変化していく。
「オレたち、参上!」
モモタロスが高らかにポーズを決める。彼は電王の強化フォーム「クライマックスフォーム」となった。
「おい、ブラジルヤロー!テメェの思い通りになるオレたちじゃねぇ!」
「ブラジルヤローって・・」
モモタロスがブラジラを指さして言い放って、或人が呆れる。
「人間やイマジン風情が・・お前たちとは器が違うのだ!」
ブラジラが言い放って、背中の翼を広げて閃光を放出した。
「うわあっ!」
閃光と爆発を受けて、コウたちが吹き飛ばされる。コウとモモタロスは身構えて耐える。
「蓮斗、悠馬、理穂、コイツらを片付けろ。」
ブラジラが命令して、蓮斗たちが或人たちに向かっていく。或人が覚悟を決めて、モモタロスとともに蓮斗たちを迎え撃つ。
「さて、デーボサタン誕生までの時間、ヤツらにも動いてもらうとしよう・・」
ブラジラが策を巡らせて笑みをこぼす。
「いでよ、ドーラフランケ、ビービ虫!」
ブラジラが掲げた手の指を鳴らすと、ドーラフランケがヨロイ元帥たちとともに現れた。ドーラフランケの周りには、一つ目のコウモリのような虫、ビービ虫が群れを成して飛び回っていた。
ビービ虫の数匹に取りつかれたドーラフランケが巨大化を果たした。
「おいおいおい!こんなときにでっかくなりやがってー!」
モモタロスがドーラフランケを見上げて慌てふためく。
「こうなったら騎士竜を呼んで倒すしかない・・!」
バンバが危機感をふくらませて、コウたちとともにそれぞれ騎士竜を呼ぼうとした。
そこへシンの乗るデスティニーが駆けつけて、ドーラフランケの前に現れた。
「シンくん!」
「アイツはオレに任せてくれ!みんなはそいつを!」
竜也が声を上げて、シンが呼びかける。
ネジのヌンチャクを手にしたドーラフランケに向かって、デスティニーがビーム砲を発射した。ビームを受けて押されるドーラフランケだが、ヌンチャクを掲げて防いで耐えた。
「デスティニーの攻撃に耐えるとは・・・!」
ドーラフランケの耐久力にシンが毒づく。デスティニーがアロンダイトを手にして、ドーラフランケに向かっていった。