ザ・グレイトバトル

-感情の力-

第15章

 

 

 アキトの発揮する巨大な力に、フォースたちは力を結集させても太刀打ちできなかった。

(このままじゃみんなやられてしまう・・早くデータを・・・!)

 ナツはフォースガンダムの新しい合体データを見出そうと、コンピューターを操作していく。

「フォース、まずはお前から倒す・・1番最初に、オレを止められないことを完全に思い知らせる・・・!」

 アキトがフォースに向かって歩を進める。

「くっ・・これ以上、フォースバリアでアキトを封じ込められるだけのエネルギーが残っていない・・・!」

 フォースがフォースファンネルを自由に動かせないことを痛感する。

「これ以上、フォースに近づくな・・!」

 ライが立ち上がって、アキトに向かって声を振り絞る。

「何度も言わせるな・・誰にもオレを止めることはできないと・・・!」

「何度も言わせるな・・お前の好き勝手にはさせない・・・!」

 アキトとライが互いに鋭く言いかける。

「諦めてないのは、オレたちも同じだよ・・!」

 ソウゴもアキトに向かって言いかける。カツミたちも諦めずに、ルーブたちが立ち上がる。

「君1人止められないんじゃ、最高最善の王様になんてなれないからね・・!」

「いや、オレは止まらない・・オレがフォースにとどめを刺すのも・・・!」

 ソウゴの投げかける言葉をはねのけて、アキトがフォースにキックを繰り出そうとした。

 そのとき、アキトの足元にビームが飛んできた。

「ぐっ!」

 不意を突かれたアキトが、足にビームを当てられて怯んだ。ビームを放ったのは、ビームライフルを構えたGパニッシャーだった。

「オレたちがいるのを、忘れてもらっちゃ困るぜ!」

「たとえ止められなくても、注意を引き付けるぐらいのことはしてみせるよ!」

 ギンとイズルが言い放って、Gパニッシャーが再びビームライフルを発射する。

「邪魔な連中が・・!」

 アキトがいら立ちをふくらませて、腕を振りかざしてビームをはじく。

「くそっ!」

 ギンが毒づいて、Gパニッシャーの1機がビームサーベルに持ち替える。

「焦りはダメだ、ギン!1秒でも長くアイツを引き付けて時間を稼ぐのが、僕たちのやるべきことだよ!」

「だけど、こっちがやる気だってのを見せないと、アイツはフォースを攻撃しちまうぞ!」

 イズルが注意を呼びかけて、ギンが感情をあらわにして言い返す。

 Gパニッシャーの1機がアキトに向かっていって、ビームサーベルを振りかざす。しかしサーベルを当てられても、アキトは平然としている。

「その程度・・よけるまでもない・・!」

 アキトは低い声で言うと、再び左腕を振りかざす。ビームサーベルを持つGパニッシャーの腕が切り落とされた。

「なっ!?

 アキトの速い攻撃にギンが驚く。アキトがオーラを放って、Gパニッシャーを狙う。

「ギン、離れて!」

 イズルが呼びかけて、もう1機のGパニッシャーがビームライフルを連射する。しかしビームはアキトのオーラにかき消される。

「オレたちも行くよ!」

「あぁ!」

 ソウゴが呼びかけて、ライが答える。2人も同時に飛び出して、アキトに向かって足を振りかざした。

 アキトはオーラを一気に放出して、ライとソウゴ、Gパニッシャーたちを吹き飛ばした。

「他のヤツもすぐに倒す・・おとなしくしていろ・・・!」

 アキトがフォースに視線を戻して、オーラを解き放った。フォースがオーラに襲われて、爆発に巻き込まれた。

「フォース!」

 コウがフォースに向かって叫ぶ。アキトが眼前の炎を見つめて、笑みをこぼした。

 そのとき、燃え上がっていた炎が吹き飛ぶように消えた。中から現れたフォースは、新しいアーマーを身に着けていた。

 白と銀がメインカラーとなっているこのアーマーは、胸部が赤、右肩と左肩がそれぞれ黄色と緑、青と桃色に彩られていた。

「新しい、フォースのアーマーか・・!」

 イサミが今のフォースの姿を見て呟く。

 アキトのオーラを食らう直前にこのアーマーを身に着けたフォースは、ダメージをほとんど受けていなかった。そればかりか、点滅をしていた彼のカラータイマーが元に戻っていた。

「強化されただけでなくエネルギーも回復したということか・・!」

「何かすごそうなアーマーになったみたいだね!」

 メルトとトワがフォースを見て声を上げた。

「新しいフォースのアーマー・・でも私、こんなデータを構築した覚えは・・・!」

 ナツが今のアーマーに対して動揺を覚える。彼女はこのアーマーのデータを完成した手応えを感じていない。

「これは、みんなが力を貸してくれたから生まれたアーマーだ・・・!」

 フォースがこのアーマーに宿る力と思いを実感して、戸惑いを感じていく。彼は眼前にいる4人の人物の姿を見ていた。

 初代ウルトラマン、仮面ライダー1号、秘密戦隊ゴレンジャーのアカレンジャー、アムロ・レイと初代ガンダム。全てがそれぞれの最初の戦士と機体である。

「あなたたちが、私たちに力を貸してくれたのか・・・!」

 フォースが声を掛けると、ウルトラマン、1号、アカレンジャー、アムロが頷いた。

「オレにも感じます・・あなたたちの、いや、みんなの強さと思いが、このアーマーに込められているのを・・!」

 ハルキもウルトラマンたちに向かって微笑んだ。

「みんなの思いがこのアーマーのデータを構築して、フォースガンダムを変形させた・・フォースもフォースガンダムも、いや、オレたちみんなに、無限の可能性があるということか・・・!」

「みなさんの思いが、私たちの思いが、このデータを生み出した・・・!?

 自分を含めたみんなの思いが形になったことを、ハルキが実感して、ナツが戸惑いを感じていく。

「みんなのこの力を信じる・・この可能性も・・・!」

「ハルキくん・・私はこのデータについて、詳しく調べてみるわ!」

 信頼を感じ取るハルキに、ナツが呼びかけてコンピューターをチェックする。

「みんな、このアーマー、使わせてもらいます・・!」

 フォースが新しいアーマー「ファーストアーマー」の力を実感して、構えを取る。

「フォース、お前を倒す理由が1つ増えたようだ・・お前には未知の力が備わっているようだ・・・!」

 アキトが鋭く言いかけて、フォースに向かって飛びかかる。2人が右手を握りしめて、同時にパンチを繰り出してぶつけ合う。

 フォースとアキトのパンチの威力が互角で、2人が衝突の衝撃で押される。

「今の攻撃は互角みたいですね・・!」

「しかし体力の差で、フォースのほうが有利になっている・・!」

 咲也とつかさがフォースたちを見て言いかける。

 ファーストアーマーを装着したことでエネルギーを回復させたフォースと、力を使いすぎたために体力を消耗しているアキト。2人の体力の差は明らかだった。

「行くぞ、アキト・・オレたちの強い思いが集まった力だ・・!」

 ハルキが言いかけて、フォースがアキトに向かっていく。

「愚か者たちが集まったところで、愚かな世界は変えられない!」

 アキトが言い返して、フォースと連続でパンチとキックをぶつけ合う。2人の攻撃は互角で、互いに怯むことなく攻め続けていく。

 その間にナツは、ファーストアーマーについて調べていた。

(このアーマーの能力が、その戦士のみんなの力に基づいているなら、その人たちの能力や武器を知れば・・・!)

 ファーストアーマーを身に付けているときに使える能力や技を確かめようと、ナツはウルトラマンたちについて調べる。

(ウルトラマンはスペシウム光線、そしてウルトラスラッシュと呼ばれる八つ裂き光輪、1号ライダーはパンチやキックを始め、様々な技を持っている。アカレンジャーが所属しているゴレンジャーはゴレンジャーハリケーン。アムロさんの操縦するガンダムは、基本的な武装だけどバランスの取れた性能になっている・・)

 ナツがウルトラマンたちの能力や技、武器や性能について見出した。

「フォース、光線、肉弾戦、特殊能力、バランス、全てアーマーに備わっているわ!」

「分かった!ありがとう、ナツくん!」

 ナツが呼びかけて、フォースが答える。

「通常のときと同じ感覚でも戦えると思う・・!」

「いつもと同じ感覚で・・・よし・・!」

 ハルキが投げかけた言葉を聞いて、フォースが頷いた。彼は自分の戦い方を心がけるようにした。

 フォースとハルキが意識を集中して、ウルトラマンが光線を撃つ姿を思い浮かべた。

「フォーススペシウム!」

 フォースはウルトラマンと同じように、両腕を十字に組んで光線を放った。光線がアキトから出ている黒いオーラをかき消した。

「オレの力を打ち消した!?・・今のアイツには、そんな力があるというのか・・・!?

 アキトがフォースの力に驚きを覚える。フォースが彼に向かってジャンプして、右足を出した。

「フォースキック!」

 フォースが繰り出したキックが、とっさに防御の体勢を取ったアキトの交差した両腕に命中した。アキトがキックに押されてふらついた。

 フォースが一気に詰め寄って、アキトを捕まえて真上にジャンプした。

「フォースきりもみシュート!」

 フォースが腕を振りかざしてアキトを投げ飛ばす。回転を加えられたアキトが、体勢を整えられないまま地面に叩きつけられた。

「ぐっ!・・オレの力が、フォースに歯が立たなくなっている・・・!?

 劣勢を強いられて、アキトがいら立ちをふくらませていく。

「行くぞ!フォース・レインボーハリケーン!」

 フォースが両手を前に出して、エネルギーを集める。両手の中に虹色の光が現れて球になる。

 フォースは光の球を上に投げた。球は拡散すると、彼の分身4人が現れた。

「フォースビーム!」

 フォースが分身たちとともに手を前に出して、ビームを放つ。アキトがオーラを放出してビームを防ぐ。

「フォースサーベル!」

 フォースと分身たちが光の剣を具現化して手にする。5人が同時に飛び出して、アキトに向かって振りかざす。

「うぐっ!」

 アキトが光の剣に切りつけられてうめく。

「すごい・・すごい戦い方だ!」

「これがウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、ガンダムの力ッスよ!」

 コウが感動を浮かべて、鎧が高らかに言い放つ。

「アキト、これが最後の警告だ・・オレたちの言うことに従うんだ・・そして言葉で、お前の怒りをみんなに伝えるんだ・・・!」

 ハルキが真剣な顔でアキトに呼びかける。ハルキの中に、アキトを死なせたくないという気持ちが残っていた。

「オレは何度でも・・死んでもこの世界を正す・・・!」

 それでもアキトは自分の考えを変えようとしない。

「相手を分かろうとしないで、分かってもらおうなんて虫のいい話だ・・・!」

 ハルキが歯がゆさを感じて、フォースが分身たちとともに両腕にエネルギーを集めていく。

「オレはお前を倒すことを迷わない・・だがそれは、お前が許せないからじゃない・・この世界にいる大切なものを守りたいからだ・・・!」

 今の自分の正直な意思を口にするハルキ。ナツたちを守るため、彼はアキトを倒すことを心に決めていた。

「ファーストフォースシュート!」

 5人のフォースが腕を十字に組んで、同時に光線を発射した。

「愚かなものを守ろうとするのも、また愚かなことだ!」

 アキトが鋭く言って、黒いオーラを集めた右足を振りかざして、光線とぶつけ合う。光線とキックの押し合いが拮抗する中、アキトの足にダメージが蓄積されていく。

「オレが負ければ、世界は愚かなままだ・・オレがやらなければ、誰か愚か者を正す・・!」

 アキトが自分に言い聞かせて、足に力を込めて、強引に光線を押し返そうとする。それでも彼はだんだんと光線に押し込まれていく。

「私たちは喜びや悲しみを抱えて、それをみんなと分かち合って生きている!」

「その中には間違いをしてしまうこともある!罪を犯して償いをすることもある!」

 ナツとハルキが自分たちが経験してきて見つけた答えを告げる。

「許せないって気持ちはオレにも分かる・・オレもお前のことを憎んだからな・・だけど、傷つけるよりも守るほうが、より力が出る、より気分が晴れる・・そう思ったんだ・・・」

「思い知らせなければ、世界は愚かなまま悪化するばかり・・自分たちのしている愚かさを、この世界は理解する以外にない・・・!」

 自分の思いを口にするハルキに、アキトが怒りを込めて言い返す。

「オレたちは変わっていける!間違いを自分たちで償える!お前の言う通り、愚かなまま悪化するだけだというなら、お前が何もしなくても、この世界は滅びるだけだ!」

 ハルキが口にしたこの言葉に、アキトが心を揺さぶられる。

「それでもお前がこの世界をどうにかしようとするなら、オレはお前を倒す・・世界や宇宙を思い通りにするヤツらと、オレは戦う!」

「私も戦い続ける・・この世界を脅かす敵と!」

 ハルキに続いてフォースも戦う決意を言い放つ。フォースの光線がアキトのキックを押し返した。

 七色の光に包まれたアキトが、力なく地面に倒れた。

(力が入らない・・力が抜けてしまったというのか・・・!?

 動けなくなったアキトが驚きを感じていく。力が弱まった彼の体が元の大きさに戻っていく。

「力を完全に使い果したようだ。巨大化を維持することもできなくなった・・」

「これで終わりだ。我が魔王が決め手ではなかったが、これもまたよしか。」

 聖也がアキトの様子を見て、ウォズが同じく元の大きさに戻っていくライとソウゴを見て呟く。

「今度こそとどめを刺す・・身勝手なヤツは間違いを思い知らないといけない・・・!」

 ノゾムがアキトに近づいて、右手を強く握りしめる。

「待つんだ!」

 フォースが変身を解いて、フォースガンダムが元に戻る。ハルキが駆けつけて、ノゾムに呼びかけてきた。

「アキトはオレが連行して、罪を償わせる・・完全に倒すことはいつでもできるが、1度やったらやり直しができなくなる・・・!」

 ハルキがノゾムに向かって言いかける。ナツもフォースガンダムを近くに止めて、彼に追いついてきた。

「オレはコイツのような身勝手なヤツを野放しにはしない・・コイツのために、お前も苦しんだんじゃないのか・・!?

「だからこそ、死んで楽にさせようというわけにはいかない・・死ぬ前に分からせる・・自分の犯した罪と、世界をよくする正しいやり方を・・」

「身勝手な敵は自分の間違いを正そうとすらしない・・またムチャクチャにする前に倒す・・!」

「もしアキトがまた世界を脅かそうとするなら、今度こそオレが倒す・・・!」

 アキトへの敵意をむき出しにするノゾムだが、ハルキは自分たちの正義でアキトを正そうとしていた。

「この世界の住人であるハルキたちが、みんなと向き合って決めたことだから、それを信じなくちゃね。」

 ソウゴもやってきて、ノゾムに呼びかけて笑みをこぼす。

「1回失敗しただけでダメだっていうなら、オレたちみんなダメだってことになっちゃうよ。」

 コウもメルトたちとともにキシリュウオーから降りて、ハルキたちと合流して声を掛けた。

「オレたちの戦いは、絶対に勝たなければならない戦いだ。それでも間違いや敗北が全くなかったわけではない。間違いを正し、負けたときよりも強くなって立ち向かう。新たに見出した信念とともに。」

 レオが変身を解いてゲンがやってきて、ハルキたちに言いかける。

「愛、怒り、悲しみ・・感情は誰もが持ってるものだ。囚われすぎるのも問題だが、切り捨てるのも馬鹿げたことだ。感情を心の奥に宿して、強い力と意思に変えて戦うのが大切だ。」

 ドモンもゴッドガンダムから降りて、続けて言いかけてきた。

「オレたちは、それを決して忘れてはならない。君たちも、彼も・・」

 ゲンがさらに語って、アキトに目を向ける。

「君も知ることだ。その力、その感情の正しい使い方を・・」

「力の、正しい使い方・・・」

 ゲンが投げかけた言葉を受けて、アキトが心を揺さぶられる。

 ハルキがアキトからベルトを外す。変身が解けたアキトは、目から涙を流していた。

 アキトの涙には、世界を正したいという彼の変わらない意思が込められている。そして自分の無力さも。

 ハルキはアキトの涙の意味を、強く理解していた。

「ここはお前たちの世界だ・・オレが深く関わるべきじゃないな・・」

 ノゾムはハルキに背を向けて、アキトから離れていった。

 

 アキトとの壮絶な戦いに幕が下りた。ハルキやライたちの話を聞いたトウジは、防衛隊に今回の戦いの報告をした。

 過去の防衛隊の不祥事のことは、今の上層部も重々承知していた。

「分かった。鷹矢アキトの処分と管理は桜木隊長、君に任せる。」

「ありがとうございます。アキトくんの様子や発言についても報告していきます。」

 上層部からアキトのことを任されて、トウジは頭を下げた。

 アキトのことを一任されたことを、トウジはハルキたちに話した。

「そうでしたか・・私たちに、アキトのことを・・・」

 ハルキが戸惑いを感じて、小さく頷いた。

「ハルキ、君にアキトくんの監視役を命ずる。防衛隊や世界に影響を及ぼすと判断したときは、君が始末をつけるんだ。」

「はい、そのつもりです。Gフォース隊員としての任務であり、オレ自身の戦いでもありますから・・」

 トウジからの指示を聞いて、ハルキが敬礼する。

「ハルキ、私たちも手伝うわ。1人で抱え込まなくていいから・・」

 ナツがハルキに向かって声を掛ける。ナツもハルキとともに、自分たちが直面している戦いに身を投じようとしていた。

「2人とも、オレたちがいるのを忘れるなよ。」

「もう水くさいのはなしだよ、お互いに。」

 ギンとイズルもハルキとナツに呼びかけてきた。

「みんな、ありがとう・・オレのことに付き合ってくれて・・」

 ハルキが戸惑いをふくらませて、ナツたちに感謝していた。

「詳しい話は後だ。今はみんなを見送りに行く・・」

 ハルキはナツたちに言うと、指令室から外へ向かった。

「あ、ハルキくん・・!」

 ナツが慌ててハルキを追いかける。

「隊長、僕たちも行ってきます。」

 イズルがトウジに言ってから、ギンとともにハルキとナツを追いかけた。

(Gフォースは、いいチームということが、改めて分かったな・・)

 ハルキたちを見て、トウジは彼らの指揮官でいることを誇りに感じていた。

 

 一晩の休息を終えて、ライたちは次元のトンネルを通って元の世界に戻ろうとしていた。夜の間に空間の歪みが起こって、トンネルが再び発生していた。

「トウジ隊長には報告をした。名残惜しいけど、今を逃したらいつ帰れるか分からなくなるからね・・」

「最後にハルキたちに挨拶したかったけど、しょうがないね・・」

 ノエルが言いかけて、ソウゴが渋々納得する。

「絶対に会えなくなることはないですよ。」

「僕たちの知り合いに、次元を超える能力を持っている人がいるからね。」

 アイムとドンが他のヒーローについて語っていく。自らの能力で次元を渡っている戦士もいることを、ライたちは知った。

「それじゃいつかまた、みんなに会えるってことだね!もしかしたら、新しい仲間と初めて会うかも!」

 コウが期待をふくらませて目を輝かせる。

「そのためにも、私たちもこれからもがんばらなくちゃね♪」

 アスナが笑顔で言いかけて、コウが気さくに頷いた。

「きっとみんな会えるよ。今回、こうして会うことができたんだし、新しく会える人もきっと増える。」

「画面の中の存在だと思っていたはずの仮面ライダーと実際に会えて、オレ自身もライダーになった・・そして今回、違う世界のみんなと会うことができた・・」

 ソウゴとライがパラレルワールドについての思いと感想を口にした。

 新しい世界の発見は、新しい出会いにつながる。今回の出会いも感情も、これからのこともそれぞれ大切になってくると、ライたちは改めて思った。

 そのとき、ハルキたちがやってきて、ライたちい追いついた。

「よかった・・追いついた・・・!」

 イズルが安心の笑みをこぼして、ギンが笑みをこぼす。

「みんなには、すっかり助けられてしまいました・・みんながいなければ、もしかしたらオレも、アキトと同じになっていたかもしれない・・・」

 ハルキがライたちに感謝して、戸惑いをふくらませていく。

「君が君の信念を貫けたのは、君自身の強さだ。これから戦っていくこと、生きていくことに必要なことを、君も理解している。」

 ゲンがハルキに近付いて、激励を送る。

「君たちはこれからの戦い、乗り越えられるだろう。鷹矢アキトも・・」

「はい。そのつもりです。オレもGフォースのみんなも・・」

 ゲンの言葉に答えたハルキが、彼と握手を交わした。フォースブレスを着けている左手で。

(フォース、君はこのままこの地球に留まるのか?)

“はい。あなたたちがそれぞれの世界を守っているように、私もこの世界を守っていきます。ハルキと・・いや、Gフォースのみんなと・・”

 ゲンとフォースがテレパシーで会話をする。

(自分自身の力と信念、そして仲間たちとの絆を、フォースも大切にするんだ。)

“はい。あなたたちの教え、私も忘れません。”

 ゲンからの励ましを受けて、フォースも改めて決意を固めた。

「さて、そろそろ行くとするか。まだまだ宇宙のお宝を全部見つけちゃいねぇからな。」

「みなさん、会えたらまた会いましょう!」

 マーベラスが言いかけて、鎧がハルキたちに挨拶する。彼らゴーカイジャーがゴーカイガレオンに乗って、空間のトンネルを通っていった。

「オレも行く。アストラと合流して、地球や宇宙を狙う敵と戦っていく。」

 ゲンがハルキたちに告げて、彼らに背を向ける。

「実際に1人で戦わなければならないときが、これからもある。しかし遠く離れていても仲間や家族がいることを忘れないようにな。」

「はい。ありがとうございました、ゲンさん。アストラさんにもよろしく。」

 ゲンの激励に、ハルキが微笑んで答えた。

「レオー!」

 ゲンがレオに変身して、ハルキたちに目を向けて頷いた。彼は空へ飛び上がって、降下してきたアストラとともに、空間のトンネルに入って去っていった。

「それじゃ、オレたちも行くとするか。」

「世間をにぎわす怪盗の私たちが、みんなを退屈させるわけにはいかないね。」

 魁利と初美花が気さくに言うと、透真とともにハルキたちから離れていく。

「早く行かないと置いていくぞ、国際警察。」

 透真が圭一郎たちに告げて、魁利たちとともに去っていった。

「先輩、初美花ちゃんたちが行ってしまいます!」

「分かっている・・みなさん、我々はこれで失礼します。」

 慌てて呼びかける咲也に言い返して、圭一郎がハルキたちに挨拶する。圭一郎たちはハルキたちに敬礼を送ってから、魁利たちを追うようにトンネルに飛び込んだ。

「オレも行く。オレを待っている仲間がいるからな。」

 ドモンもハルキたちに告げて、ゴッドガンダムに向かっていく。

「そしてお前たちも仲間だ!オレもお前たちも、互いに意識していけば、強くなろうと魂が突き動かされる!それが好敵手(ライバル)というものだ!」

 ハルキに向かって高らかに言い放つドモンが乗り込んで、ゴッドガンダムもトンネルの中へ去っていった。

「オレも行く・・オレもオレの戦いが残っているからな・・」

 ノゾムがひとつ吐息をついてから、次元のトンネルへ向かっていく。

「身勝手や理不尽を押し付けるヤツらと、オレは戦い続ける・・これからも、ずっと・・・」

「オレもそういうやり方には屈しない。アキトのことを考えると、そうしないといけないと思うようになった・・ただ怒りや憎しみに動かされるのにもならないが・・」

 ノゾムの言葉を受けて、ハルキも自分の考えを口にする。

「お前がみんなのことを考えてそう決めているなら、オレは文句はない・・お前が自分を貫けると、オレも信じている・・・」

 ノゾムはハルキたちに笑みを見せてから、トンネルの中へ去っていった。

「オレたちも行こう。ツクヨミもおじさんも待ってるから。」

「あぁ、そうだな・・」

「戻ろう、我が魔王。あなたの覇道へ。」

 ソウゴが呼びかけて、ゲイツが答えて、ウォズが返事をする。3人も自分たちの世界へ戻っていった。

「オレたちもオレたちの世界に戻るよ。」

「まだまだ僕たちの知らない世界があって、正直驚いているよ。」

「僕も興味が尽きないよ。エヘヘ。」

 コウがハルキに言って、メルトとトワがパラレルワールドへの興味をふくらませていく。

「またこっちに来れたら、また会おうね♪」

「そのときは、今よりも強くなっていることを期待しているぞ。」

 アスナが明るく、バンバが冷静な態度でハルキたちに告げた。

「また会おうね、ハルキ、みんなー♪」

 コウがハルキたちに向かって手を振って、メルトたちとともに次元のトンネルをくぐった。ギンが大きく手を振って、ハルキたちもコウたちを見送った。

「オレもそろそろ戻るよ。みんなが待ってるからな。」

「もうちょっとここに残って、いろいろ調べたかったのに〜・・」

 カツミがハルキたちに言いかけて、イサミが心残りを訴える。

「そんなことしてる間に、いつあの穴が閉じちまうか分かんないんだぞ。次にまだ穴が出てくるかどうかも・・」

「残念だなぁ・・それじゃハルキ、みんな、会えたらまた会おう!」

 カツミに注意されて肩を落とすも、イサミはハルキたちに挨拶して、カツミとともに自分たちの世界へ帰っていった。

「オレたちのいる世界は、いろんな仮面ライダーの世界が、次元の壁を超えて合わさった世界になっている。」

 ライがハルキたちに自分の世界の現状を告げた。

「それ以外の世界もまだまだあることが、今回のことで分かった。この先どうなるか分かんないけど、また会えるんじゃないかって、オレも思っている・・」

「そのときは、また話ができればと思っているよ。」

 ライに続いて聖也もハルキたちとの再会を願った。

「オレたちもそう思っている。また会いたいって気持ちが、オレの中にある・・」

 ハルキが答えて、自分の胸に手を当てて微笑んだ。

「また会おうな、ハルキ、みんな・・」

「あぁ。ライも聖也も・・」

 ライはハルキと別れて、聖也とともに次元のトンネルの中に去っていった。彼らを見届けたハルキたちの前で、次元のトンネルは消えていった。

(ありがとう、みんな。みんながいなかったら、オレもナツたちも無事じゃ済まなかった・・)

 カツミたち、ライたち、コウたち、ドモンの決意と思いを受け止めて、ハルキは感謝していた。

 

 Gフォースの本部で拘束されていたアキトの取り調べを、トウジが行っていた。ハルキとナツも取り調べに立ち会っていた。

「君が地球人に絶望し、侵略目的の宇宙人や怪人と結託した。地球侵略や人類滅亡に加担した罪は重い。」

 トウジが真剣な顔で、アキトに話をしていく。

「しかし防衛隊が君にした仕打ちも悪い。互いの罪滅ぼしと成長のため、協力し合うことを提案する。すぐに我々やみんなを信じろとは言わない。正しい形で、この世界をよくしていくんだ。」

「綺麗事だな。そんなことで地球人たちが改心すると思っているのか?」

 トウジの投げかける言葉を、アキトが鼻で笑う。

「しかし、オレはそんなお前たちに負けた・・オレはしばらくお前たちの動向を見届けることにする・・それでもよくなっていないと判断すれば、オレは今度こそお前たちを見限る・・・」

 トウジとハルキたちの行動を見届けることにしたアキト。

「わずかだが、我々のことを信じてくれたか・・」

 これを前進だと考えて、トウジは笑みをこぼした。

「ハルキ、お前もすぐに気付くことになる。地球人の愚かさに・・お前も絶望することになるぞ・・」

「そうはならない・・オレには仲間や、オレたちを支えてくれる・・」

 忠告するアキトに答えて、ハルキがナツとトウジに目を向けた。

「オレたちは間違いを繰り返さない・・間違いを正しいと思い込んで強要する相手に屈しない・・それが、オレたちの正義の1つだ。」

「強情だな、ハルキは・・昔からずっと・・・それが愚かだと思っているが、今ではそれを見届けたいとも思っている・・」

 決意と思いを口にするハルキに、アキトが笑みをこぼした。

「世界はよくなっていく。オレたちがよくしていく・・アキト、それをここから見ていてくれ。」

 ハルキがアキトに言いかけて、フォースブレスに意識を傾ける。ハルキだけでなく、アキトもフォースの姿を認識した。

“私もこのまま地球に留まり、ハルキとともに戦う。地球や宇宙を脅かす存在が現れたとき、我々は戦う。思いを同じくする仲間とともに。”

 フォースもアキトに向けて、自分の意思を告げた。その声はハルキとアキトだけに聞こえていた。

「我々は我々の任務を果たす。Gフォースとして、地球に生きる者として。そして上層部も他の人たちも、自分たちの生きる場所をよくするために尽力していく。」

 トウジがアキトに告げて席を立つ。

「我々の行く末がいいか悪いか、その目で見定めてくれ。」

 トウジが部屋を出てハルキ、ナツとともに去っていった。様々な思いを抱えていたアキトが、兵士に連れられて牢獄に戻っていった。

 

 アキトと別れたハルキは、1人で窓から外を眺めていた。彼の心にフォースが声を掛けてきた。

“私と君たちがこの地球、この宇宙のためにどうしていくか。それがこれからの本当の戦いとなる。”

(あぁ。それがオレたちやみんなをよくしていくことになり、オレたちに力を貸してくれたみんなに報いることになる。)

 フォースの投げかける言葉に、ハルキが心の中で答える。

“ともに戦おう、ハルキ。私と君は一心同体だ。”

(オレたちだけじゃない。みんなともつながっている・・アキトと、違う世界から来た仲間と・・)

 フォースと信念を分かち合うハルキが、後ろに振り向いた。

(ナツと・・・)

 ハルキがナツと見つめ合って、微笑み合った。

 始まりはここからだった。ハルキの戦いも、彼とナツとの心の交流も。

 

 

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