Eternity Lovers 後編「出会いと別れ」

 

 

仁科聖とエタニティーナンバー楓が姿を消してから1ヶ月が経とうとしていた

研究所は捜索を断念

唯・紫亜も同様

聖と楓は何処へ消えたのか…

 

Y市内高速のPA

 

「ほい、買って来たぞ。」

「あ、ありがとう。」

そう言ってご飯を受け取る楓

「…楓、そろそろここもやばいかもしれないな。」

「…そう、ね。」

「どうする?次は?」

聖の言葉に考え込む楓

「…帰るか?」

「それだけは、それだけは嫌。」

「…そうか。たまには遊びに行かないか?」

「えっ?」

突然の聖の言葉に驚く楓

「行こうぜ。善は急げ。ほれ、早く食え。」

そう言って楓を急かす聖

そのまま楓を載せ湾岸線を臨海副都心へ向けてバイクを走らせる聖

 

夕方

 

Y市内のPA

 

「今日はどうだった?」

「…面白かった。」

「そうか。」

聖がそう言うと突然立ちくらみをする楓

「楓!!!」

そう言うと楓を抱える聖

「何?今の感じ?」

「…楓。」

「ん?何?聖」

「帰るんだ!!!君を見つけたあの島へ!!!」

「えっ?でも…。」

「良いから!!!俺は、目の前で人が死ぬのなんて、見たくないんだ。例えクローンで

も。」

「…聖。…解ったわ、帰りましょう。あの島へ。」

「楓。すまない。」

そう言うとバイクに乗る聖と楓

「行くぜ。」

そう言うとそのまま高速で郊外のテーマパークへとバイクを走らせる

 

郊外のテーマパークの桟橋

 

「楓、ここに何が?」

「…来る。」

そう言うと船が1艘、こちらへ向って来てた

船が桟橋に着くと否や多数の銃を持った兵士らしき格好の男性が聖と楓を囲む

「銃を降ろして。彼に危害を加えなければ素直に戻るわ。」

「降ろしなさい。」

ふと聞こえた女性の声に銃を降ろす男性達

「船に戻っていなさい。」

女性がそう言うと船に戻って行く男性達

「久し振り、かしら?」

「フェイト。この前と良い貴女自ら来るのね。」

「えぇ。だって私は貴女を作った人物ですからね。」

「…マスターフェイト。少し、彼と2人っきりにさせてくれませんか?」

「…良いわよ。けど、必ず戻って来なさいよ。」

「…解っています。」

その言葉を聞くと船に戻って行くフェイト

「…戻るん、だよな?」

「自分で帰るんだって言っといて今更それ?」

「…だよな。言っといて何だか、自分の運命は、自分で決めろ。例えお前がクローン

でもな。」

「…えぇ。気を付けてね。」

「そっちもな。」

その言葉を聞くと聖の頬にキスをする楓

「それじゃあね。」

そう言うと船の方に歩いて行く楓

それをただ見守る聖

そして佇む聖を後にし、楓を載せた船が桟橋を出て行く

「…じゃあな、楓。」

そう言うとそこから立ち去っていく聖

 

久方ぶりに自分の部屋へと帰って来る聖

「…(家賃とか光熱費。どうしよう。)」

そう言いながら鍵を開けドアを開ける聖

「…開いた。」

不思議に思いながらも明りを付けドアを閉め部屋の中に入る聖

「随分と遅かったわね、仁科聖君。」

ふと聞こえた声に顔を上げる聖

「…あの時の女性。」

「水月唯よ。唯で良いわ。」

「えっ?けど何で俺の部屋に?」

「彼女の事についてね。」

「彼女って、楓の事ですか?」

「えぇ。君の選んだ選択肢は、本当に正しかったのかしら?」

「えっ?」

唯の言葉に疑問に思う聖

「君が本当に彼女の事を思うのなら、帰すべきでは無かった。違うかしら?」

唯の言葉に考え込む聖

(本当に良かったのか?あれが、楓の為だったのか?)」

―――自分の運命は、自分で決めろ―――

(…そうか。なら、俺のする事は1つ。)唯さん。」

「決めたようね。行きましょう。」

そう言うと外へ出て行く唯

それを追う聖

外に出るとそこには唯を含む数人の女性が立っていた

「…唯さん、これは?それに、紫亜さん迄。」

「事情は行きがてら説明するわ。さぁ、乗って。」

そう言うと人員輸送車に乗る聖達

 

車内

 

「唯さん、一体彼女達は?」

「…そうね。私達はとある市警の特殊部隊よ。」

「えっ?市警。」

「そっ。そして今回ちょっとだけ我侭言って来たの。それぞれ紹介するね。」

そう言うと聖の隣りの女性が口を開く

「夢野瑠衣です。よろしく。」

「私は知ってるよね?鷲月紫亜。けど本来はフィーナって言う名前。騙しててごめん

ね。」

「白井羽純よ。バックアップを担当するわ。」

「フェルミナよ。よろしく。」

「んで最後は私水月唯。今回指揮を取るから。それと、はい、これ。」

そう言うと拳銃を一丁渡す唯

「ゆ、唯さん。これって拳銃。」

「本物よ。乗り込むんだから最低でもそれぐらい無いと。」

「けど俺、銃なんて、サバゲー程度しか…。」

「それだけあれば充分よ。さて、具体的な作戦よ。」

そう言うと作戦の説明を始める唯

 

テーマパークの桟橋

 

「…羽純、どう?」

「見えますね。前方遠くに、島が。」

「そこね。」

「はい。」

唯の言葉に頷く羽純

「さぁ乗って。1番艇は私と聖とルイ。2番艇はフィーナとフェルミナで。各自健闘

を祈る。」

そう言うと桟橋を発進して行く唯達

 

船内

 

「…唯さん、1つ聞いて良いですか?」

「ん?何?」

「何で、何で俺と楓の為にここ迄してくれるんですか?」

「…う〜ん、強いて言うなら

“人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえ”って感じかな?」

唯の言葉に黙り込む聖

「唯様、素直に国からの依頼と言ってはどうでしょうか?」

「ルイ。」

「…すみません。」

「…国からの、依頼?」

「…まぁ、国も排除したいみたいなのよ、例の研究所。だから私達が呼ばれたの。」

唯の言葉に微妙に納得する聖

「唯様、そろそろ島です。」

「うっし。ルイは聖をサポートしつつ道順を。私が前に立つわ。」

「了解しました。…上陸します。」

そう言うと船を止め島に上陸する唯達

 

銃声が鳴り響く廊下

先へ進む毎に倒れ、蠢く人の姿が聖の目に入る

ふと唯達の前に1人の女性が立ちはだかる

その女性を見て口を開く聖

「…楓?」

「…侵入者は、全て排除する。」

そう言うと銃を構える楓

「楓。どうしたんだ?俺が解らないのか?楓!!!」

そう叫んだ後、聖の右肩を、銃弾が通過する

「聖!!!」

「…嘘だろ?楓。」

そう言うと廊下に倒れ込む聖

「ルイ!聖をお願い。彼女の相手は、私がする。」

そう言うと互いに銃を向ける唯と楓

ふとその時唯の視界に聖の姿が映る

「聖!」

「どいてて下さい。」

そう言うと楓に向って歩き始める聖

「聖!」

その直後銃弾を放つ楓

だがその軌道は聖を避けている

そのまま楓へと歩み寄り楓で抱きつく聖

「本当に忘れたのか?俺の事。…忘れたのなら、思い出してくれ。楓。」

そう言うと唇に口付けをする聖

「…聖?」

「…あぁ。」

「何で、私銃を持って?」

その言葉の後もう一度抱き付く聖

「良いんだ。良いんだ。…それよりも、一緒に、帰ろう。」

「帰るって、何処に?」

「…俺の部屋にだ。そして、2人で凄そう。命が尽き果てる迄。」

「…うん。」

「…良いね〜、恋愛って。…ルイ、2人を連れて船迄戻ってて。ケリは、私が付けるか

ら。」

「了解。フィーナさん達にも撤退命令を出しときます。」

「さんきゅ。さっ、行った行った。」

聖と楓を促す唯

そしてルイと共にそこから去って行く

「…さてと、行きますか。」

そう言うと奥へと走り去る唯

 

研究所外

 

止まっていた船に乗り込むルイ達

「唯さん、大丈夫なのかな〜?」

「唯様の事です。大丈夫です。」

「…そぅ。」

「船を出します。」

そう言うと船を出すルイ

「えっ?唯さんは?」

「大丈夫、ちゃんと来ます。」

そう言って船を出してしばらくすると研究所が爆発を起こす

その直後後ろから船1艘近寄って来る

「船が来る。追手か?」

「違いますよ。」

ルイがそう言うとその船が聖達の船の横に付く

「やっほ〜う。片付けて来たよ〜。」

「唯さん。」

「聖・楓。私達を別れたら、全て忘れなさい。そして、2人で生きていきなさい。良い

わね?」

唯の言葉に頷く聖と楓

「よろしい。さ〜て、後始末は管轄の警察に任せますか。」

「そうね。」

唯の言葉に答えるフィーナ

 

それから数ヵ月後

 

Y市郊外の砂浜

 

その砂浜にたたずむ一組のカップル

ふと、女性の方が口を開く

「…全ては、ここから始まったんだよね?」

「あぁ。ここで倒れてるお前を見付けてな。」

「…でも、見付けてくれなければ出会わなかった。」

「愛し合う事も無かった。…これって。」

「「運命なのかな?」」

2人同時に同じ言葉を言い赤面する2人

 

―――ねぇ、聖

―――どうした?

―――これから、どうしようか?

―――決まってる。恋をして、普通に結婚して、子供を産んで、

そんな普通の生活をするんだ

―――そうね。

―――行こうか?ここは冷えるだろうし

―――えぇ

 

終わり

 

 

 

後書き

 

え〜、終わりました

元は作者が夢を見て、その夢の中に出ていて覚えていた台詞から出来た作品です

…作業時間は3日です

用は1日1話の計算

後編が一番長いんですけどね。

それでは他の作品でも会える事を楽しみにしております

 

Hiziri Mutsuki

 

 

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