オールライダーVSダークライダー

-Justice or Dark-

第12章

 

 

 タイプトライドロンとなった進之介。彼に向かって士が足を速めて、ライドブッカーを振りかざす。

 進之介が素早く動いて、士の攻撃をかわした。そして立て続けに素早いパンチを叩き込んでいく。

「速い。さらにパワーもあるな・・」

 進之介の発揮する強さを分析していく士。進之介が意識を集中して、タイプトライドロンの力を発揮する。

Come on,flare,spike,shadow.タイヤカキマゼール!Attack 1.2.3.”

 進之介に3種類のタイヤ、マックスフレア、「ファンキースパイク」、「ミッドナイトシャドー」が装着されて合わさって、新たなタイヤ「アタック1・2・3」となった。

 全てのシフトカーの能力をより高く引き出すことができるタイプトライドロン。複数のタイヤを1つに合わせて、それぞれの能力を同時に使うことが可能となった。

 進之介が棘付きのタイヤと手裏剣を投げつける。士が素早く動いて、タイヤと手裏剣をかわしていく。

「お前も能力をいくつか同時に使えるようだな。だがどうにかできないことはない。」

 続けて放たれた炎のタイヤもかわして、士が進之介に迫る。

Kiba,kamen ride emperor.”

 士がライドブッカーを振りかざして光の刃を放つ。ハンドル剣を掲げて光の刃を受け止める進之介だが、押し切られて突き飛ばされる。

「タイプトライドロンの力も見切ったっていうのか・・!?

「ならば運転を代わろう、進之介。」

 声を上げる進之介にドライブドライバーが呼びかけてきた。

「分かった!頼む、ベルトさん!」

 ドライブドライバーに答える進之介。その直後、ドライブの複眼が黄色から赤に変わった。

「ここからは私が相手をしよう。」

 士に向けてのドライブからの声。それは進之介ではなくドライブドライバー。そこに宿るクリムのものだった。

 タイプトライドロンになっている間は、進之介とクリムは一心同体の状態にある。進之介の体をクリムがコントロールすることも可能となり、これにより戦闘スタイルも変わることとなる。

 士がライドブッカーを振りかざすが、進之介の体に宿っているクリムは落ち着いてかわしていく。

「戦闘スタイルが変わった・・いや、電王のように違う人格になっているのか・・」

「察しが早いようだ。だが私と進之介のドライブ、たとえ数多くのライダーの力を使うお前でも、簡単には切り抜けることはできないぞ。」

 呟きかける士にクリムが言いかける。

「だがお前たちはそれだけだ。オレは全てを凌駕しているのだから・・」

「たった1人で乗り切れる困難などたかが知れている。だが我々は1人ではない。どのような悪路も突破してみせる!」

 強気に振る舞う士に対して、クリムは進之介や他の仲間たちとの絆を示して立ち向かうことを告げる。

「お前は天国へは行かせない。ただ地獄に送り返すつもりもない。そのおごりとあやまちの償いをさせる。」

Come on,dump mixer gravity.タイヤカキマゼール!Kouji genbar.”

 クリムが3つのタイヤを呼び寄せて合わせて「コウジゲンバータイヤ」にした。クリムは士に向けてコンクリート弾と重力のおもりを放つ

「くっ!」

 士は回避が間に合わずに動きを止められる。

「よし。後は任せるぞ、進之介。」

 クリムが意識を進之介に戻す。

“ヒッサーツ!Fullthrottle!tridoron!”

「これで終わらせるぞ、ディケイド!お前の罪を!」

 進之介がジャンプして、身動きの取れない士にキックを叩き込む。士が突き飛ばされて、地面を大きく転がる。

 進之介が着地して、倒れている士に目を向ける。剛とチェイスも進之介の隣に立つ。

「これで終わりだ、ディケイド・・」

「観念して地獄に戻りやがれ!」

 剛とチェイスが士に向けて声をかける。

「これで終わりだと思うな・・言ったはずだ。全てを凌駕していると・・」

 士が笑みをこぼして立ち上がる。

「ここまでやらせたんだ。それだけでも誇りに思えることだぞ・・」

 士が新たに1枚のライダーカードを取り出して、ディケイドライバーにセットした。

Kamen ride dark rider.”

 士のまとうディケイドの装甲に闇の仮面ライダーの力が集まる。それによって装甲が漆黒に染まる。

「これは・・・!?

「ディケイドの、新しい姿・・・!?

 チェイスと剛が士を見て警戒を強める。

「気を付けろ・・今まで以上に強大で、かつ凶悪な力を宿しているぞ・・・!」

「あぁ・・それでも退くわけにはいかない・・・!」

 クリムが注意を促して、進之介が構えを取る。

「今のオレは究極の闇・・世界の、いや、全ての破壊者・・・」

 士は低い声で告げると、構えたライドブッカーに黒い光を集中させていく。彼が振りかざしたライドブッカーから、黒い光の刃が放たれる。

「おわっ!」

 黒い刃に切り裂かれて、進之介たちが吹き飛ばされる。大きくダメージを与えられて、剛とチェイスの変身が解ける。

「剛!チェイス!」

 立ち上がって声を上げる進之介。士が彼に向かってゆっくりと近づいてくる。

 進之介が士に向かって突っ込んで、パンチを繰り出す。だが士は押されただけで、ほとんどダメージを受けていない。

「き、効かない・・!?

「タイプトライドロンでも平然としているとは・・!」

 驚きの声を上げる進之介とクリム。士がライドブッカーを振りかざして、立て続けに進之介を切りつけていく。

「ぐっ!」

 突き飛ばされた進之介が横転してうめく。立ち上がる彼に対して、士が笑みをこぼす。

「今のお前でも歯が立たないな。ムダな抵抗をしなければ楽に終わらせてやるぞ。」

「そう言われて、言うことを聞くと思っているのか?」

 言葉を投げかける士に、進之介が落ち着きを払って言葉を返す。

「トレーラー砲で一気に力を叩き込む!」

 進之介がトレーラー砲を手にして、シフトトライドロンとシフトスピードを装てんした。

Full full,speed,ビッグタイホー!

 トレーラー砲からトライドロン型のエネルギーが放たれる。同時に進之介の変身しているドライブがタイプスピードになる。

Final attack ride dark rider.”

 士がライドブッカーをガンモードにして、黒い光を発射する。黒い光は進之介の放った光を押し返す。

「何っ!?ぐあっ!」

 進之介が黒い光を受けて吹き飛ばされる。激痛に襲われた彼から、ドライブへの変身が解ける。

「泊さん!」

 倒れた進之介に霧子が悲痛の叫びを上げる。起き上がろうとする進之介だが、痛みが駆け巡り、起き上がることができない。

「ト・・トライドロンでも、勝てない・・・!?

「これで終わりだ、ドライブ。オレ以外の仮面ライダー全員もな・・」

 窮地に追い込まれた進之介に、士がゆっくりと近づいていった。

 

 それぞれの戦いを切り抜けて、RXたちは進之介たちの前に駆けつけた。

「進之介くん!」

 RXが倒れている進之介に向かって声をかける。進之介が彼の声に反応して、力を振り絞って立ち上がる。

「みんなそろったか。オレがここでまとめて始末してやる・・」

 士がRXたちに振り向いて、ソードモードにしたライドブッカーを構える。

「あれがディケイド・・邪悪な仮面ライダーたちの力を取り込んでいるのか・・!」

「地獄に落ちたライダーたちの怨念が、その力を強くしている・・それを取り込んだディケイドの力もまた・・・!」

 1号と一真が士の力を察して緊迫を覚える。

「ここは力を合わせましょう、みなさん!アイツが力を自分に集めてくるなら、オレたちも!」

 光輝が呼びかけてきて、RXたちが頷く。

「進之介、オレたちがそれぞれの力を集めて、お前に託す!」

「オレたちとともに、この世界を、地球を守るのだ!」

 紘汰と2号も進之介に呼びかける。

「ありがとう、みなさん・・感謝します・・!」

 進之介が感謝して、士に視線を戻す。

「オレたちの力、お前に託すぞ・・・!」

「ドライブに、オレたちの力を!」

 巧とRXが進之介に自分たちの意思を告げる。

「ライダーシンドローム!」

 仮面ライダーたちがそれぞれのポーズを取って、エネルギーを発揮する。放たれたエネルギーは集まって、進之介の前にやってきた。

 エネルギーの光は集中されて、1つの形を取った。

「この形・・シフトカー・・!?

 進之介が新たに現れたシフトカーを手にする。その形状は1号の仮面に似た形状をしていた。

「仮面ライダーの力が集まって、新たなシフトカーとなったのか・・・!」

「これならドライブで力を使うことができる・・・!」

 クリムと進之介がシフトカーを見て声を上げる。進之介がシフトカーを手にして、スイッチを入れる。

Fire,all engine.”

 進之介がそのシフトカーをシフトブレスにセットする。

「変身!」

Drive,type all rider.”

 進之介が新たな変身を果たす。その姿はドライブ・タイプトライドロンに酷似しているが、タイプトライドロンの装甲の赤の部分がカラフルになっていた。

「これは・・ドライブだけど、これもまた新しい姿だ・・・!」

「それもこれまでのドライブではない。歴代の仮面ライダーの力が、このドライブに宿っている・・!」

 進之介とクリムが今のドライブの姿と力に驚きを感じている。

「全ての仮面ライダーの力を集めて、体に宿したのか・・」

 士が進之介を見て、ドライブについて分析する。

「みんなが託してくれたこの力、この思い・・絶対にムダにしない・・・!」

 進之介が右手を握りしめて、士に振り返って構えを取る。

「ありがとう、みんな!ひとっ走り付き合ってくれ!」

OK!Start our engines!

 進之介とクリムが声をかける。進之介が士に向かって走り出す。

 士がパンチを進之介に叩き込む。だが進之介はダメージを受けていない。

 士がさらにキックを織り交ぜるが、それも進之介に通用しない。

「オレの攻撃が、通じないだと・・・!?

 士が進之介に驚きを見せる。

「これはオレとベルトさんだけの力じゃない・・先輩のみなさんがオレたちに託してくれた力なんだ!」

 進之介が言い放って、士にパンチを仕掛ける。士が衝撃に襲われて大きく突き飛ばされる。

「こ・・これほどのダメージが、一撃で・・・!?

 さらに驚く士。彼の前で進之介が、シフトブレスにセットされているシフトカー「シフトオールライダー」にあるスイッチを押して、シフトブレスのレバーを動かす。

“タイヤコウカーン!Stronger!”

 進之介が身に着けているタイヤが、電気を帯びたものへと変わる。その瞬間、彼はストロンガーの魂と能力を感じ取った。

「エレクトロファイヤー!」

 進之介が地面に右手を付けて、地を這う電撃を放った。士はジャンプして電撃をかわした。

「他のライダーの力も使えるのか・・だが他のライダーの力を使うのは、元々はオレの力だ・・」

 士が言いかけると、クロックアップを使って加速した。

「だったらこっちも・・!」

“タイヤコウカーン!Kabuto,hyper.”

 進之介の体に新たなタイヤが装着される。彼もクロックアップを使用して、士とスピード戦を演じる。

 RXたちの力を結集させて生まれたシフトオールライダー。その力を宿した進之介は、RXたちの全ての能力を使えるようになった。

 士の発揮するクロックアップは、カブトたちの従来のクロックアップのスピードを大きく超えていた。しかし進之介の発揮したスピードは、それをも上回っていた。

「ぐっ!」

 進之介の攻撃を受けた士が突き飛ばされる。足を止めた進之介が、さらにタイヤ交換を行う。

“タイヤコウカーン!Black RX

 彼の体にRXの力が宿る。士がライドブッカーを手にして飛びかかる。

「リボルケイン!」

 進之介がリボルケインを手にして、士が振りかざすライドブッカーを受け止める。2人はそれぞれの武器をぶつけ合い、激しく火花を散らす。

“ヒッサーツ!Fullthrottle!Black RX!”

 進之介がジャンプして、RXキックを繰り出す。士が両腕を構えて防ぐが、突き飛ばされて押される。

 進之介が続けてリボルケインを前に突き出す。士がとっさにライドブッカーを振り上げて、リボルケインをはじき飛ばす。

「ぐっ!」

 進之介がライドブッカーを当てられて押される。彼は踏みとどまって、意識を集中する。

「キングストーンフラッシュ!」

 進之介から閃光が放たれて、士が押される。その間に進之介が士との距離を取る。

「紘汰、お前の力も借りるぞ・・!」

“タイヤコウカーン!Gaim,kiwami!”

 進之介がタイヤ交換して、さらに大橙丸とソニックアローを手にする。

 士が分身を2人作り出して、進之介に向かう。2人がライドブッカーをガンモードにして射撃を仕掛けて、残り1人がソードモードで飛びかかるが、進之介は攻撃を全てはじき返した。

 進之介がソニックアローで光の矢を放って、士の分身2人を撃ち抜いた。

「本物を見抜くとは・・!」

「これも紘汰の、オーバーロードの力ということだな・・・」

 士と進之介が呟いて、互いの動きをうかがう。

「オレ以上に、仮面ライダーの力を引き出しているというのか・・・!?

 身構える士の前で、進之介がまたシフトオールライダーのスイッチを押して、シフトブレスのレバーを動かす。

“タイヤコウカーン!Omega,spirit!”

 新たなタイヤを身に着けて、進之介が構えを取る。強い精神力が彼自身の力を上げていた。

「スピリットライダーパンチ!」

 進之介が繰り出したパンチが、士を吹き飛ばす。進之介の精神エネルギーによって高まったパンチが、士へのダメージを大きくしていた。

「オレ以上に、仮面ライダーの力を支配できるとは・・・!」

「支配じゃない・・オレたちは、みんなで戦っているんだ!」

 声を張り上げる士に進之介が言い放つ。士は進之介の後ろに、歴代の仮面ライダーたちの幻影が並び立っているのを目の当たりにする。

「オレは全ての破壊者・・仮面ライダーの正義も存在も、オレの力で塗り替える・・・!」

「自分が絶対・・自分が正義・・そんな考えをしているお前は、結局は何も分かっていない・・本当の正義も本当の強さも、仮面ライダーという存在も・・」

 怒りを見せる士に、進之介が真剣に言いかける。

「みんなの正義と魂を、アイツにぶつける!」

“ヒッサーツ!Fullthrottle!All rider!”

 進之介の体を虹色の光が包み込む。彼の後ろにRXたちの幻影が現れる。

 RXたちとともに進之介が大きくジャンプする。彼ら全員がそれぞれのライダーキックを繰り出す。

Final attack ride Decade.”

 士も自分に宿る邪悪な仮面ライダーたちの力を集めてジャンプして、キックを繰り出す。彼と進之介のキックがぶつかり合い、まばゆい閃光のような衝撃を巻き起こした。

 進之介たちの強さに競り負けた士が、地面に叩き落とされる。大きなダメージを受けて消耗していた彼だが、力を振り絞って立ち上がる。

「オレの力が・・負けた・・だと・・!?

 劣勢に追い込まれていることに、士が愕然となる。

「このまま・・このまま終わるものか!」

 叫ぶ士が、駆けつけたバイク「マシンディケイダー」に乗った。

「進之介、こちらもマシンで対抗するぞ!」

「あぁ!」

 クリムの呼びかけに進之介が答える。駆けつけたトライドロンに乗って、進之介も士も迎え撃つ。

 スピードを上げて突っ込むトライドロンを、士のマシンディケイダーが飛び越える。旋回したマシンディケイダーと士の後ろに、邪悪なライダーたちの幻影が、それぞれのマシンを乗った姿で突っ込んできた。

「アイツもライダーの力を使ってきた・・!」

「問題ない!我々にも仲間がいる!」

 声を上げる進之介にクリムが呼びかける。

「もう1つの新たなシフトカーを使うのだ!」

「新たな・・・これは・・!?

 クリムに呼びかけられて他のシフトカーを手にした。それはライドロンの形をした「シフトライドロン」である。

「光太郎さんの・・RXのマシン・・このシフトカーを使えば・・・!」

 思い立った進之介が、シフトブレスにシフトライドロンをセットする。

Drive!Type ridoron!”

 進之介の乗るトライドロンの後ろに、歴代の仮面ライダーの幻影がそれぞれのバイク、マシンに乗って駆けつけてきた。

「アイツも・・!」

 士が感情を強めて加速する。進之介たちもさらにスピードを上げる。

「進兄さん!」

「オレたちも行くぞ・・!」

 そこへマッハ、チェイサーに変身した剛、チェイスがそれぞれ赤と青のレーシングカート「ライドブースター」に乗ってきた。

「2人もありがとう!よし!」

 進之介が答えて、トライドロンの後方タイヤにライドブースターが連結、合体をして「ブースタートライドロン」として飛行を可能をする。

 トライドロンが飛翔して、士に向かっていく。トライドロンとマシンディケイダーが激突して、激しい衝撃を巻き起こす。

「オレが負けることはない・・オレにできないことは、何ひとつない・・・!」

「オレたちは1人じゃない!人々や世界、自由と正義を守るために、オレたちは戦う!」

 声と力を振り絞る士に、進之介がみんなの決意を言い放つ。

“ヒッサーツ!Fullthrottle!Ridoron!”

 RXたちとマシンの幻影が進之介たちとトライドロンに集中していく。ライダーたちの魂に押し切られて、士が光に包まれていく。

「オレは・・オレは、まだ・・・!」

 抗おうとする士が完全に光の中に消えた。邪悪な仮面ライダーたちの力と怨念とともに。

 トライドロンが着陸して、進之介、剛、チェイスが降りてきた。彼らは士とともに消えていく光をじっと見つめていた。

「これが、みんなを守ることになったのだろうか・・仮面ライダーの正義を、守ることができただろうか・・」

 進之介が自分のしたことについて考えを巡らせていく。

「我々がすべきなのは人々を守ることだ。それは単に命を守るだけでなく、心や思いを守ることでもある。」

 クリムが進之介に励ましの言葉を送る。

「君は、いや、我々は命も心も守ることができた。仮面ライダーとして、その思いや正義をけがすことなく。」

「ベルトさん・・」

 クリムに励まされて、進之介が戸惑いを見せる。振り返った彼らの前に、紘汰たちがやってきた。

「やったな、進之介・・」

「紘汰、みんな・・みなさんが力を貸してくれたからです・・」

 声をかけてきた紘汰に、進之介が感謝を見せる。

「オレたちの力を1つの集めて、それを使いこなしたのは君だ、進之介くん。」

「君の正義と魂が、我々の力を1つにして、ディケイドの攻撃を阻止したのだ。」

 RXと1号が進之介に励ましの言葉を送る。

「お前たちがいなかったら、世界も人々も、仮面ライダーの存在も守れなかった・・」

「へっ!お前ら、いい走りっぷりだったぜ!」

 一真とモモタロスも進之介たちに称賛を送る。

「君たちにも君たちの戦いがある。だが自由と平和を守るため、それを脅かす悪に立ち向かう志があるのは同じだ。」

「君たちだけではない。我々もともに戦っている。またこうして力を合わせるときが来る。それを忘れないでくれ。」

 進之介、剛、チェイスに激励を投げかける1号と2号。2人の言葉に進之介たちが真剣な顔で頷く。

「ともに戦おう。新たな仮面ライダー、ドライブ、マッハ、チェイサー。」

「はい。先輩のみなさん、ありがとうございました!」

 RXが手を差し伸べて、進之介も手を伸ばす。2人が手を取り合って握手を交わした。

「みんな、行こう。オレたちの戦いへ。それぞれの戦いへ・・」

 1号が呼びかけて、RXたちが頷いた。彼らは進之介たちの前から歩き出して、それぞれの場所、それぞれの戦いへ戻っていく。

「たとえ人間でなくなっても、大切なものを守る思いは変わらない。いや、さらに強くなっている・・」

「大切なことが何か。お前たち1人1人が答えを見つけていくことになる・・」

 一真と紘汰が言いかけて、進之介たちが頷く。

 仮面ライダーの命運を賭けたこの戦いが終わっても、進之介たちとロイミュードの戦いは続いていく。決着をつけるのは自分たちだと、彼らは思っていた。

「大丈夫だ。これはオレたちが向き合うべき事件と戦いだ。オレたちの手で終わらせる・・」

「お前たちが答えを出すのを、オレも信じている・・」

 決意を口にする進之介に紘汰が信頼を送る。一真と紘汰も進之介たちの前から姿を消した。

「ありがとう、みんな・・オレたちも、みんなを守る・・みんなを悲しませる罪を、オレたちが止める・・」

「あぁ。ロイミュードとの戦い、オレたちで終わらせてやる・・!」

 進之介と剛が自分たちの決意を口にする。

「人間でなくても、大切なものを守る・・オレも、剛や泊進之介のように、大切なものがあるのだろうか・・・」

 紘汰たちの言葉を受けて、チェイスが自分に問いかける。彼は進之介と剛に目を向けて、考えを巡らせる。

「オレにもいつか見つかるだろう・・人間を守る戦いを続けていれば・・・」

 自分もいつか答えを見出すときが来ると、チェイスも思っていた。

 

 進之介たちの前から去っていった紘汰たち。戒斗は荒野の崖の上から、紘汰に目を向けていた。

「お前も戦い続けているのだな・・この世界のため、大切なもののために・・・」

 紘汰たちの決意を改めて目の当たりにして、戒斗は彼らに背を向ける。

「これからも見届けさせてもらうぞ・・お前たちの築いていく理想を・・・」

 紘汰の平和を見届けていくことを口にして、戒斗が歩き出す。彼は1人、死後の世界へと帰っていった。

 

 紘汰たちと別れを告げた進之介たちは、霧子の元へ戻ってきた。

「泊さん、剛、チェイス・・・」

「霧子、全て解決した。仮面ライダーが悪だという濡れ衣も、すぐに消えることになるだろう・・」

 戸惑いを見せる霧子に、進之介が状況を口にする。

「他の仮面ライダーたちは、それぞれの場所へ戻っていった・・それぞれ、大切なものを守るために・・・」

「大切なものを壊そうとするヤツらを、オレたちはブッ倒してやるぜ・・!」

 チェイスと剛が自分たちの決意を口にする。

「悪に立ち向かい、犯罪を止める。それがオレの、オレたちのやるべきことだ。刑事としても、仮面ライダーとしても。」

 進之介も決意を告げて、霧子も小さく頷いた。

「正義や守りたいものは人それぞれだが、それを奪う悪に立ち向かい止める意思は同じ。みんなの強い意思、私にも強く伝わっているぞ。」

 クリムも進之介たちの意思を感じ取って、激励を送る。

「我々も我々の戦いを続けていこう。そして世界や宇宙の危機のときには、他の仮面ライダーたちと力を合わせて、みんなを守り抜こう。」

「もちろんだ。これからも一緒に戦おう、ベルトさん。」

 互いに声をかけ合っていくクリムと進之介。歴代の仮面ライダーとの共闘が、彼らを強くしていた。

「ところで進兄さん、あのドライブに変身させるシフトカーは?」

 剛が進之介にシフトオールライダーとシフトライドロンのことを聞いてきた。

「あぁ、変身を解いたら、2つとも煙のように消えていった・・」

「今回の役目を終えたからだろう。もしも必要とされるときが来れば、また姿を現すだろう。」

 進之介が説明して、クリムも助言する。

「戻ろう・・みんなが待っている・・」

 進之介が言いかけて、霧子とともにトライドロンに乗る。剛、チェイスもライドマッハー、ライドチェイサーに乗って走り出した。

 

 特状課の前に進之介たちが戻ってきた。彼らの帰りを純たちが迎えに出てきていた。

「みんな、無事に帰ってきてくれましたね。」

「みんなー、おかえりー♪」

 純が頷いて、りんなが笑顔を見せて大きく手を振る。特状課の面々だけでなく、人々の誰もが進之介たちをあたたかく迎えていた。

 凌馬が促していた仮面ライダーに対する悪い噂。それが悪のライダーの仕業であることを、みんな分かっていた。

「ありがとう、仮面ライダー!」

「世界を救ってくれてありがとうー!」

 人々が進之介たちに信頼と感謝を送る。彼らは進之介たち仮面ライダーに疑いを持ってはいなかった。

「これが信頼というものであり、仮面ライダーという存在がどれだけ人々の心の支えとなっているかを物語っているのだな・・」

 仮面ライダーに対する絆に、クリムが納得して呟く。

「何が間違いで何が正しいのか、善悪の判断は誰の心の中にもあるはずなのだ。」

「でも何らかの形で道を踏み外してしまう人もいる。その悪事にオレたちは立ち向かう・・」

 クリムの言葉を受けて、進之介が頷く。2人は決意を新たに、人々を脅かす悪に立ち向かうことを心に決めていた。

「これからもよろしく頼む、進之介。」

「あぁ。こちらこそだ、ベルトさん。」

 クリムと進之介が声をかけ合う。仮面ライダーの大切さと本当の正義を胸に秘めて、彼らは自分たちの職務に専念することにした。

 

 

仮面ライダー。

自らの存在意義を賭けて、世界や宇宙を脅かす敵に立ち向かう戦士。

命と魂が存在し続ける限り、彼らの戦いは終わらない。

その歴史もまた、終わることはないのだ。

 

 

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